JP4422400B2 - カラーフィルターの製造方法 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、カラーフラットパネルディスプレイ装置に関するものであり、特にカラーフラットパネルディスプレイ装置に用いる透明導電膜付きカラーフィルター基板の製造方法関するものである。
【0002】
【従来技術】
カラーフラットパネルディスプレイ装置に用いられるカラーフィルターは、透明基板上に各画素を区画するとともに、光の遮蔽をするブラックマトリックスを形成した後に、赤(R)、緑(G)、青(B)の各波長のみを透過する材料よりなる各画素を規則正しく配列した着色画素を形成している(以下RGB層)。これは、単色の表示装置においてカラー表示を可能にする目的だけではなく、カラー表示機能を有する表示装置においても外光によるコントラストの低下を防ぐ、各色の表示色を改善してより高品質なカラー表示を得るなどの機能を有している。従って、カラーフラットパネルディスプレイとして、現在主流である透過型液晶表示パネルをはじめ、反射型液晶表示パネル、プラズマディスプレイパネル、無機エレクトロルミネッセンスパネル、有機エレクトロルミネッセンスパネル、カプセル化された電気泳動性ディスプレイを利用した電子ペーパー等、あらゆるタイプのカラーフラットパネルディスプレイに不可欠である。また、このようなカラーフラットパネルディスプレイに使用されるカラーフィルターは、ほとんどの場合表示に使用する電極として、多くの場合ライン状に複数本パターン形成された透明導電膜が形成されている。
【0003】
カラーフィルターの着色画素部分は、染色法、顔料分散法、電着法、印刷法等の方法によって形成されている。着色画素上には合成樹脂組成物からなる保護層が設けられている。保護層は着色画素の段差を埋めて表面を平坦化するとともに着色画素を保護する作用を果たしている。そして、保護層上にはカラーフラットパネルディスプレイ装置駆動用の透明導電膜膜が形成される。液晶表示装置を例とすると、保護層に大きな凸部が形成されていると、カラーフィルター上の透明導電膜が対向基板上と短絡し、あるいは凹凸による液晶層の厚さの違いにより表示むらが生じることがおこる。(例えば特許文献1参照)
【0004】
また、パネル化したときにギャップ規正のため、グラスファイバー、ビーズ等を用いることがあるが、この場合、突出部分があると、その部分でめり込み等が起こり、透明導電膜の剥がれや、対向導電膜間で電気的短絡や、色フィルター層の部分的薄膜化や、透明導電膜の断線が起こる。
【0005】
このうち特に、断線が発生する場合、これを予防するために、どうしてもこの透明導電膜を厚くしなければならなかった。しかし、この様に透明導電膜が厚くなると、透明導電膜の光透過度がどうしても低下しがちであった。更に、透明導電膜に突出部分があると、その部分で導電膜間隔が小さくなり、表示素子の駆動条件の不均一により駆動マージンの減少を招く。
【0006】
そして、この様に表面形状が複雑だと色フィルター層部分にひび割れや剥がれが起き易い。また、光無反射層の部分の他、その近辺の部分も、色フィルター層が持ち上がる。したがってその部分では、色フィルター層の厚みが他の部分より大きくなり光学特性が違ってくる。
【0007】
したがって、凹凸が形成されないように、着色画素あるいは保護層の形成材料等に異物が混入することを防止し、あるいは着色画素、保護層の形成時に凹凸が形成されないように製造工程において各種の工夫が行われている。
【0008】
ところが、現実には凹凸のない保護層を形成することは困難であり、保護層を形成の後に保護層に形成された凹凸を平坦化することが行われている。カラーフィルター表面の微小な連続した凹凸を平滑化する方法としては、従来RGBの樹脂膜層の表面や保護膜表面を研磨や平滑化材料の塗布によって平滑化処理する方法が一般的である。(例えば特許文献1参照)
【0009】
【特許文献1】
特開昭63-17215号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この方法では後工程である透明導電膜の形成条件(成膜条件)によって、平滑化された樹脂膜表面に再び微小な凹凸が発生することがあり、透明導電膜の形成条件に余裕度がなく制限されてしまうといった問題点がある。
このような微小な凹凸、特に突起は対向導電膜とのショートの原因となり、また、電流や電圧の集中を招きパネルの駆動均一性を阻害するなどパネルの信頼性に重大な問題を引き起こす可能性がある。
【0011】
この発明の課題は、カラー表示装置の透明導電膜付きカラーフィルターの、透明導電膜形成側の面及び、導電膜表面の平滑度を向上させるカラーフィルターの製造方法を提供することにある。
透明導電膜付きカラーフィルターの表面を平滑にすると、カラー表示装置の信頼性が向上する。
また液晶表示パネルの場合カラーフィルターの表面を平滑に揃えると、液晶層の厚さが均一になり、表示品質も向上する。
【0012】
本発明は、極めて平滑な面を有する透明導電膜付きカラーフィルターの製造方法を提供することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明に関わるカラーフィルターは、基板上に、着色層、および透明導電膜層とを少なくとも有するカラーフィルターにおいて、前記透明導電膜層表面は、平均真球状のアルミナで、平均粒子径が50nm以下の微粒子の濃度を水に対して0.1wt%以上とする微粒子分散水を用い、スポンジ状ブラシにて行う、平滑化処理をされており、当該透明導電膜層表面の平均表面粗さ(Ra)が30Å以下であることを特徴とするカラーフィルターである。
【0014】
本発明の第一は、基板上に少なくとも着色層、スパッタリングにて成膜したITOからなる透明導電膜層を形成した後に、当該透明導電膜層の表面を、平滑化処理するもので、前記平滑化処理は、平均真球状のアルミナで、平均粒子径が50nm以下の微粒子の濃度を水に対して0.1wt%以上とする微粒子分散水を用い、気孔率80%以上の連続気泡または半連続気泡タイプの構造の、ポリビニルアルコール系またはポリウレタン系の、スポンジ状ブラシにて行うものであり、且つ、前記平滑化処理は、前記アルミナからなる微粒子の粒子径を変えて2段階で行うもので、先ず、平均粒子径50nm〜40nmの微粒子分散液にて第1段階を行い、次に、35nm〜20nmの微粒子分散液にて第2段階を行うものであることを特徴とするカラーフィルター製造方法である。
【0015】
本発明の第ニは、第一の発明のカラーフィルター製造方法において、前記透明導電膜層の平滑化処理により、当該透明導電膜層表面の平均表面粗さ(Ra)を30Å以下とすることを特徴とするカラーフィルター製造方法である。
【0018】
本発明により、カラー表示装置における表示不良や特に液晶表示装における配向膜の配向不良の発生がない信頼性の高いカラーフィルターの製造方法を提供することが可能となった。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明について実施の形態を説明する。
本発明における透明基板は、特に制約されるものではなく平滑度と透明性に優れた材料であれば、いずれも使用可能であり、透明導電膜付きカラーフィルターを使用する表示装置の種類によってのみ規制される。経済的な観点からガラス、または透明度の高いプラスチック材料から選択される場合が多いと推定される。表示素子の性格が許せば、特に、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイや、電子ペーパーについてはフレキシブルなフィルム材料についても適用が可能である。
【0020】
ブラックマトリクス、カラーフィルター層(RGB樹脂層)の材料及び形成方法、オーバーコート層の材料及び形成方法についても、各々の表示装置に適した材料、適した形成方法から選択すればよい。また、ブラックマトリクス,及び、カラーフィルター層(RGB樹脂層)の形成後の平滑化処理、例えば研磨、平滑化層の形成もしくはその両方等、やオーバーコート層形成後の平滑化処理、例えば研磨、平滑化層の形成もしくはその両方等を排除するものではなく、材料、プロセスの関係で、平滑性が充分でない場合は、これらの前工程での平滑化処理を積極的に実施することによって、より平滑度の高い透明導電膜付きカラーフィルターを得られることは、言うまでもない。
【0021】
透明導電膜の材料、についても特に規制するものではなく、ITO(インジウム−スズ酸化物)酸化亜鉛、酸化スズ、酸化アルミニウムや酸化ガリウムを添加した酸化亜鉛、酸化アンチモンやフッ素をドープした酸化スズなどいずれも適用可能である。
【0022】
形成プロセスについても特に規制するものでなく、大面積基板上に低抵抗な膜を比較的低温で作製できるため工業的に広く用いられているスパッタリング。金属を蒸発源にし、酸素を導入した雰囲気中で反応性蒸着を行う活性化反応蒸着や高密度プラズマアシスト蒸着を含む真空蒸着。金属アルコキシドなどの化合物の溶液を原料として、スピンコートやディッピング後熱処理によって膜を形成するゾル・ゲル法。金属または酸化物原料からの蒸着中に酸素クラスターイオンビームを基板に同時照射するクラスタービー ム蒸着。レーザー光でターゲット表面を叩き出して対向する基板上に膜を形成するPLD法。などいずれの形成方法も適用可能である。本発明では、成膜温度200℃、膜厚1600Åにて高温成幕条件のスパッタリングにて成膜したITO(インジウム−スズ酸化物)において非常に良好な効果が確認された。
【0023】
ガラス上にブラックマトリクス、カラーフィルター層(RGB樹脂層)、成膜温度200℃、膜厚1600Åにて高温成幕条件のスパッタリングにて成膜したITO(インジウム−スズ酸化物)透明導電膜を形成した基板を作製した。表面凹凸の測定は、タカノ(株)製走査型プローブ顕微鏡 AS-7Bを用いて測定長さ128μmでの標高の絶対値の算術平均である粗さ曲線の算術平均粗さ(以下Ra)にて測定した。このときカラーフィルター表面の凹凸(Ra)は処理前120Å程度であった。
【0024】
通常、液晶表示装置に使用する際は、凹凸(Ra)が50Å前後でパネルとして使用が可能となり、30Å以下に抑えられると、駆動マージンが充分な、信頼性の高い液晶表示装置が実現できることを見出しことができた。
表面の平滑化処理方法は、微粒子分散液を吸収したスポンジブラシでカラーフィルター表面を擦ることによって、微小な凹凸を除去することで平滑化していき、その後微粒子分散液を除去していくものである。
【0025】
平滑化処理を行う微粒子は材質的には不必要な傷の少なさ、研磨の効率の良さから平均真球状のアルミナが良好であった。また、シリカ、酸価セリュウム等も使用可能である。角の多い粒子の使用は、基板に細かい傷をつけ透明導電膜の透明性を損ね、且つ、パネルにした際の抵抗値が高く且つバラツキ信頼誠意に乏しいものとなった。粒径50nm以下にすることが好ましく、この粒子形状は真球状なものが好ましい。粒径は大きくなると処理の速度が上げられるが、抵抗値の上昇、傷の増加を招き粒径が50nm以上になると、研磨の速度は速くなるが、著しく傷か増え、透明導電膜の抵抗も急激に上昇する。また、粒径が小さくなると研磨の傷が少なく平滑性の高い研磨が可能となるが、20nm以下となると、著しく処理速度が遅くなる。
【0026】
微粒子分散水の水に対する微粒子の濃度は0.1wt%以上にすること好ましく、0.3wt%とした。微粒子分散水の水に対する微粒子の濃度は0.1wt%以下となると平滑性が著しく低下し、また、微粒子分散水の水に対する微粒子の濃度は1.0wt%以上となると平滑化処理後の透明導電膜付きカラーフィルターからの除去の効率が著しく低下した。
【0027】
処理方法として、カラーフィルターを平均粒子径40nm以下の真球状粒子を用いてスポンジ状ブラシを用いて表面の平滑化処理を行った。
スポンジブラシは微粒子分散液を吸収しやすい構造のものを用いており、連続気泡または半連続気泡タイプの構造が好ましく、形状はロール状、ディスク上などが上げられる。材質はポリビニルアルコール系やポリウレタン系の材料が好ましい。
具体的には、気孔率90%、アスカーC型硬度10°以下のポリビニルアルコール系ロールブラシ、商品名ベルクリン、気孔率80%、アスカーC型硬度10°のポリウレタン系ロールブラシ、商品名ルビーセル、等が良好な結果を示し、気孔率75%、アスカーC型硬度10°以下のポリ塩化ビニル系ロールブラシ、商品名ICローラー、では傷の発生が多く使用に不向きであった。
【0028】
ライン適正、効率、均質性の観点からロール搬送を備えたロールブラシの使用が非常に有効であった。(図1参考)基板搬送速度0.3〜0.5m/minにおいてロールブラシ1の回転数は300〜450rpmで順方向回転で良好な結果を得られ基板2の速度との関係から言えば、基板と同速にならないようブラシ回転が速くなるよう考慮する必要がある。効率の観点からは、ロールブラシの本数を増やすことによってスピード上げることができ、効率が向上することは言うまでもない。
【0029】
ブラッシの接触量Wは5mm〜30mmが好ましく、5mm以下では充分な研磨が得られず、平滑性が低下する。また、30mm以上ではブラシの回転にかかるトルクが大きくなり、回転が不安定となり平滑性が不均一となる。
【0030】
また、処理効率と製品品質を考慮して、平均粒子径を2段階に分けてもよい。まず、平均粒子径50nm〜40nmの微粒子分散液にて第一段研磨とし、次に35nm〜20nmの微粒子分散液にて表面を仕上げることによって、効率的に高い品質で処理を行うことができる。このような方法によれば、透明導電膜の膜厚は1600Å程度のとき、表面処理後の膜表面粗さ10Å以下の高い平滑性を有する表面を、実用的な処理効率で、透明導電膜の透過率の低下や抵抗値の増加を生じないで得ることもできる。
【0031】
【実施例1】
板厚0.7mm のガラスに1.3 μm 程度のRGB 層を形成し、更に1600Å程度の透明導電膜を成膜したカラーフィルターを実験に用いた。実験前の表面凹凸(Ra)は、おおよそ130 Åであった。
このカラーフィルターを平滑化装置にて処理を行った。( 装置構造は省略) 装置条件: 搬送速度0.5m/minポリビニルアルコール系ロールブラシ400rpm( 基板と同一方向に回転) 微粒子分散液:アルミナ0.3wt %(平均粒子径45nm及び30nm)上記装置条件にて第一段階では、平均粒子径45nmにて平滑化処理を行い、第二段階として30nmにて処理を行った。
分散液はスポンジブラシに吸収させた後にカラーフィルター表面を擦った。表面処理を行った後、水洗しながらスポンジブラシにてリンス処理を充分に行い乾燥させた。
表面凹凸を測定したところおおよそ28Å程度であった。
【0032】
これらの結果からわかるように、透明基板上に形成された透明導電膜付きカラーフィルターは、透明導電膜形成後に平滑化処理することによって、平滑性が高く、信頼性の高い透明導電膜付きカラーフィルターを作製できるものである。
【0033】
【発明の効果】
本発明の請求項に係る加工方法によって透明導電膜形成後に表面平滑化処理を行うことによって、透明導電膜の成膜条件に影響を受けることなく、表面に微小凹凸のないカラーフィルターを歩留まり良く安定して生産することが可能となった。
【0034】
【図面の簡単な説明】
【図1】ブラシ接触量を模式的に図示したものである。
【符号の説明】
1 ロールブラシ
2 透明導電膜付きカラーフィルター基板
3 アルミナ分散水(研磨剤)
W ブラシ接触量

Claims (2)

  1. 基板上に少なくとも着色層、スパッタリングにて成膜したITOからなる透明導電膜層を形成した後に、当該透明導電膜層の表面を、平滑化処理するもので、前記平滑化処理は、平均真球状のアルミナで、平均粒子径が50nm以下の微粒子の濃度を水に対して0.1wt%以上とする微粒子分散水を用い、気孔率80%以上の連続気泡または半連続気泡タイプの構造の、ポリビニルアルコール系またはポリウレタン系の、スポンジ状ブラシにて行うものであり、且つ、前記平滑化処理は、前記アルミナからなる微粒子の粒子径を変えて2段階で行うもので、先ず、平均粒子径50nm〜40nmの微粒子分散液にて第1段階を行い、次に、35nm〜20nmの微粒子分散液にて第2段階を行うものであることを特徴とするカラーフィルターの製造方法。
  2. 請求項1のカラーフィルター製造方法において、前記透明導電膜層の平滑化処理により、当該透明導電膜層表面の平均表面粗さ(Ra)を30Å以下とすることを特徴とするカラーフィルターの製造方法。
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