JP4422277B2 - 車両の出力制御装置およびこれを備えるハイブリッド車両 - Google Patents

車両の出力制御装置およびこれを備えるハイブリッド車両 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃焼機関および電動機を駆動源として備えるいわゆるハイブリッド車両における出力制御技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のハイブリッド車両における出力制御技術では、一般的に、車両要求出力に基づいて常に燃費が最良となる内燃機関動作点(最高効率動作点)において内燃機関を運転させ、内燃機関を最高効率動作点にて運転しても動力が不足する条件下では電動機によって必要な駆動力を出力させていた。最高効率動作点は車両要求出力の変動に伴い変化するため、このような出力制御技術では車両要求出力の変動に応じて内燃機関動作点を頻繁に変更して最高効率動作点における内燃機関の運転を実現していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ハイブリッド車両では、内燃機関の出力軸に電動機のロータが結合されているため出力軸の慣性が大きくなる傾向にある。また、内燃機関動作点の変更は内燃機関の機関回転数の変動を伴う。したがって、内燃機関を最高効率動作点にて運転させるべく車両要求出力の変動に対応して内燃機関の運転動作点を頻繁に変更すると内燃機関の機関回転数も頻繁に上昇および下降することとなり、特に機関回転数が上昇する場合には慣性に起因する加速損失が発生して車両全体におけるエネルギ効率は必ずしも満足できるものではなかった。また、内燃機関の機関回転数の頻繁な変動に伴い発生する振動によってドライバビリティも損なわれていた。
【0004】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、ハイブリッド車両において燃費の向上を図ると共にドライバビリティの向上を図ることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
上記課題を解決するために本発明の第1の態様は、燃料の燃焼により動力を発生する燃焼機関および電気的なエネルギにより動力を発生する電動機の少なくとも一方によって車両に要求される車両要求出力に応じた実出力を出力させる出力制御装置を提供する。本発明の第1の態様に係る出力制御装置は、所定の時間間隔で第1の車両要求出力と第2の車両要求出力とを前記車両要求出力を算出する車両要求出力算出手段と、前記車両要求出力算出手段によって算出された前記第1の車両要求出力と前記第2の車両要求出力との差分から車両要求出力の変動量を算出する要求出力変動量算出手段と、算出された前記要求出力の変動量を反映して前記燃焼機関により出力すべき燃焼機関出力を算出し、その算出された前記燃焼機関出力を出力するように前記燃焼機関を制御する燃焼機関制御手段であって、前記車両要求出力の変動量が第1のしきい値未満の場合には、前記第1の車両要求出力に対応する第1燃焼機関出力を前記燃焼機関出力とする第1制御パターンにて前記燃焼機関を制御し、前記車両要求出力の変動量が前記第1のしきい値より大きな第2のしきい値以上の場合には、前記第2の車両要求出力から前記電動機によって出力可能な電動機出力を減じた出力を前記燃焼機関出力とする第2制御パターンにて前記燃焼機関を制御し、前記車両要求出力の変動量が前記第1のしきい値以上であり且つ前記第2のしきい値未満の場合には、前記車両要求出力の変動量を時間当たりの変動量を低減する時間調整係数で除した補正車両要求出力と前記第1の車両要求出力との和を前記燃焼機関出力とする第3制御パターンにて前記燃焼機関を制御する燃焼機関制御手段と、前記燃焼機関出力と前記車両要求出力との差分に基づいて前記電動機によって出力すべき電動機出力を算出し、その算出された前記電動機出力を出力するように前記電動機を制御する電動機制御手段とを備えることを特徴とする。
【0006】
本発明の第1の態様によれば、要求出力変動量を反映して燃焼機関により出力すべき燃焼機関出力を算出し、その算出された燃焼機関出力を出力するように燃焼機関を制御する燃焼機関制御手段を備えるので、ハイブリッド車両において燃費の向上を図ると共にドライバビリティの向上を図ることができる。また、電動機によって燃焼機関出力と車両要求出力との差分出力が補完されるので、燃焼機関出力が車両要求出力とが異なることに起因するドライバビリティの低下を排除することができる。
【0008】
本発明の第1の態様に係る出力制御装置において、前記電動機によって前記電動機出力を出力できない場合には、前記燃焼機関制御手段は前記燃焼機関出力を前記第2の車両要求出力とする第4制御パターンにて前記燃焼機関を制御することができる。
【0009】
このように車両要求出力変動量を反映していくつかの制御パターンを採ることにより、不要なエンジン出力変動を抑制し、エンジン出力変動に伴う振動を抑制することができる。この結果、ドライバビリティを向上させることができる。また、燃焼機関出力変動が抑制されるので慣性に起因する加減速損を低減することが可能となり、燃焼機関の燃費効率を向上することができる。
【0015】
本発明の第の態様は、燃料の燃焼により動力を発生する燃焼機関および電気的なエネルギにより動力を発生する電動機を動力源として備えると共に少なくとも前記燃焼機関または電動機の一方によって車両の要求する車両要求出力に応じた実出力が出力される車両における燃焼機関の出力制御方法を提供する。本発明の第の態様に係る出力制御方法は、所定の時間間隔にて第1車両要求出力と第2車両要求出力とを算出し、先回算出した第1車両要求出力と今回算出した第2車両要求出力との差分から車両要求出力の変動量を算出し、前記車両要求出力変動量が第1のしきい値未満の場合には、前記第1車両要求出力に対応する第1燃焼機関出力を前記燃焼機関に出力させ、前記車両要求出力変動量が前記第1のしきい値より大きな第2のしきい値以上の場合には、前記第2車両要求出力から前記電動機によって出力可能な出力を減じた補正燃焼機関出力を前記燃焼機関に出力させ、前記車両要求出力変動量が前記第1のしきい値以上であり且つ第2のしきい値未満の場合には、前記車両要求出力の変動量を時間当たりの変動量を低減する時間調整係数で除した補正車両要求出力と前記第1の車両要求出力との和を前記燃焼機関に出力させ、前記燃焼機関出力と前記第2車両要求出力との差分出力を前記電動機によって出力させることを特徴として備える。
【0016】
本発明の第の態様によれば、車両要求出力変動量を反映して車両要求出力に対応する燃焼機関の出力を決定するので、ハイブリッド車両において燃費の向上を図ると共にドライバビリティの向上を図ることができる。また、このように車両要求出力変動量を考慮して燃焼機関出力を決定するので、不要なエンジン出力変動を抑制し、エンジン出力変動に伴う振動を抑制することができる。この結果、ドライバビリティを向上させることができる。また、燃焼機関出力変動が抑制されるので慣性に起因する加減速損を低減することが可能となり、燃焼機関の燃費効率を向上することができる。
【0019】
本発明の第の態様に係る出力制御方法は、前記電動機によって前記差分出力を出力できない場合には、前記第2車両要求出力を前記燃焼機関に出力させることができる。かかる構成を備える場合には、電動機によって燃焼機関出力と車両要求出力との差分出力が補完されるので、燃焼機関出力が車両要求出力とが異なることに起因するドライバビリティの低下を排除することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るハイブリッド車両の出力制御装置について図面を参考にして実施例に基づいて説明する。
【0021】
図1を参照して本実施例に従うハイブリッド車両の出力制御装置が用いられ得る車両の概略構成について説明する。図1は第1の実施例が適用される車両の概略構成を示すブロック図である。
【0022】
車両は、主動力源としてのガソリンエンジン(燃焼機関)10、第1モータ20、および第2モータ30を備えている。第1モータ20は、エンジン10のクランクシャフト16とドライブシャフト40との継合および解放を制御すると共にエンジン10のトルクを増幅する。第2モータ30は、EV走行時に動力源となると共にエンジン10の不足トルクを補完する。
【0023】
エンジン10は、吸入空気量を調整するために吸気管11に配置されているスロットルバルブ12、吸入空気と共に混合気を形成するために吸気ポートに向けてガソリン燃料を噴射するインジェクタ13、吸気バルブ(図示せず)を介してシリンダ内に導入された混合気に点火するための点火プラグ14、出力をエンジン10の外部へ伝達するためのクランクシャフト16等を備えている。スロットルバルブ12を駆動するスロットバルブモータ18、インジェクタ13、および点火プラグ14に高電圧を供給するイグナイタ15は、制御ユニット60によって制御される。点火プラグ14は、制御ユニット60によって指示されたタイミングにてイグナイタ15から供給される高電圧を電気火花に変え、これによって混合気は点火され爆発燃焼する。爆発燃焼により生じたエネルギはクランクシャフト16を介して外部に出力される。クランクシャフト16の近傍にはエンジン回転数センサ50が備えられており、エンジン回転数Ne(クランクシャフト回転数)検出して制御ユニット60に送信する。なお、図1では、インジェクタ13が代表的に1個のみ示されているが、各シリンダ毎に備えられ得ることは言うまでもない。
【0024】
第1モータ20は、三相同期電動機であり、アウターロータ21とインナーロータ22とを備えている。アウターロータ21の一端(エンジン10側)はフライホイール17を介してクランクシャフト16と結合されている。アウターロータ21に形成されたスロット(図示せず)には、三相のコイルが巻回されて三相コイル23が形成されている。この三相コイル23に対する電力の供給はアウターロータ21の中空回転軸24に対して摺動可能に備えられているスリップリング25を介して行われる。スリップリング25には第1インバータ200が接続されており、第1インバータ200には制御ユニット60およびバッテリ210が接続されている。インナーロータ22の外周面には複数の永久磁石26が備えられている。インナーロータ22にはドライブシャフト40が結合されており、ドライブシャフト40は中空回転軸24の内部空間を貫通した後ディファレンシャルギヤ41を介して車軸42と接続されている。ドライブシャフト40上の第2モータ30とディファレンシャルギヤ41との間の位置には、ドライブシャフト40(インナーロータ22)の回転数Ndを検出する第1レゾルバ51が配置されている。車軸42の両端には車輪43がそれぞれ取り付けられており、車軸42の近傍には車速vを検出するための車速センサ53が配置されている。第1モータ20では、インナーロータ22の永久磁石26により形成される磁界と制御ユニット60からの指令に基づき三相コイル23によって形成される磁界との相互作用によって、アウターロータ21とインナーロータ22とが様々な態様の動作を示す。
【0025】
第2モータ30は、三相同期電動機であり、ケース45の内周面に配置された複数のステータ31、その外周面に複数の永久磁石32を備えたロータ33を備えている。回転磁界を形成する三相コイル34は、各ステータ31にコイルが巻回されることにより構成されている。三相コイル34に対しては第2インバータ220が接続されており、第2インバータ220は制御ユニット60およびバッテリ210と接続されている。第2モータ30では、ロータ33の永久磁石32により形成される磁界と制御ユニット60からの指令に基づき三相コイル34によって形成される磁界との相互作用によって、ロータ33が回転する。ロータ33はドライブシャフト40と同一軸上に配置されていると共にその中空部をドライブシャフト40が貫通する中空軸35に結合されており、中空軸35の近傍にはロータ33の回転数を検出する第2レゾルバ52が配置されている。また、第2モータ30の中空軸35と第1モータ20のアウターロータ21の他端とは以下のクラッチ装置70を介して継合および解放可能に連結されている。
【0026】
第1モータ20と第2モータ30との間にはクラッチ装置70が配置されている。クラッチ装置70は図示しないアクチュエータによって駆動される第1クラッチ71と第2クラッチ72とを備えており、第1クラッチ71はアウターロータ21と中空軸35(ロータ33)との連結の継合および解放を実行し、第2クラッチ72はドライブシャフト40と中空軸35(ロータ33)との連結の継合および解放を実行する。クラッチ装置70には制御ユニット60が接続されており、クラッチ装置70は制御ユニット60からの指令に基づいて各アクチュエータ(図示せず)が作動することにより制御される。
【0027】
次に、図1を参照して本実施例に係る車両の制御系について説明する。制御ユニット60は、ハイブリッドECU(電子制御ユニット)600、およびエンジンECU610を備えている。各ECU600、610にはCPU、ROM、RAM等がそれぞれ備えられている。なお、これらECUは例示であり、例えば、ハイブリッドECU600にはバッテリ210の状態管理を行うバッテリECUが組み込まれ得る。
【0028】
ハイブリッドECU600は制御ユニット60の中核をなすECUであり車両の走行状態全般を制御する。ハイブリッドECU600は、エンジンECU610と双方向通信可能に信号線を介して接続されている。ハイブリッドECU600には、エンジン10のクランクシャフト16の回転数を検出するエンジン回転数センサ50、ドライブシャフト40(インナーロータ22)の回転数を検出する第1レゾルバ51、第2モータ30のロータ33の回転数を検出する第2レゾルバ52、車両の車速を検出する車速センサ53、アクセル踏み込み量をアクセル開度として検出するアクセル開度センサ54、およびバッテリ充電率(SOC)を検出するSOCセンサ55がそれぞれ信号線を介して接続されている。ハイブリッドECU600は、第1および第2インバータ200、220と信号線を介して接続されており第1および第2モータ20、30の動作を制御する。ハイブリッドECU600はクラッチ装置70内の第1及び第2クラッチ71、72に対しても信号線を介して接続されており、エンジン10を常に最高効率点にて運転し得るように車両の走行状態を制御している。ハイブリッドECU600内のROM601は、本実施例の特徴であるエンジン10の出力制御処理を実行するプログラムを格納し、RAM602は先の車両要求出力、アクセル開度等を逐次更新して格納している。
【0029】
エンジンECU610は、スロットルバルブ12、インジェクタ13、イグナイタ15等のエンジン運転状態を変更する装置と接続されており、ハイブリッドECU600からの要求に従ってスロットルバルブ12、インジェクタ13、イグナイタ15等を介してエンジン10の運転状態を制御する。
【0030】
次に、これら構成を備える本実施例に従うハイブリッド車両の出力制御装置の動作状態について図2ないし図4を参照して説明する。図2および図3は本実施例に従う出力制御装置によって実行されるエンジン出力制御ルーチンを示すフローチャートである。図4はアクセル開度および車速に基づいて車両要求出力を決定する際に用いられるマップの一例を示す説明図である。
【0031】
本処理ルーチンは、ハイブリッドECU600が、例えば、イグニッションキー位置に基づいて、車両が走行準備状態にあることを検知すると開始され、所定の時間間隔(例えば、8msec)で繰り返し実行される。ハイブリッドECU600は、アクセル開度センサ54からアクセル開度θを取得し、取得したアクセル開度θを現アクセル開度θ1としてRAM602に一時的に格納する(ステップS100)。ハイブリッドECU600は車速センサ53から車速vを取得し、取得した車速vをv1としてRAM602に一時的に格納する(ステップS110)。次に、ハイブリッドECU600は、RAM602に格納されている車速v1および現アクセル開度θ1を読み出し、現車両要求出力Pr1を図4に示すマップに基づいて決定する(ステップS120)。図4には、左からシフトポジションが1st、2nd、3rd、4thの場合における特性線が例示されており、シフトポジション、アクセル開度θおよび車速vに基づいて車両要求出力が決定される。なお、図示する特性線は本実施例の理解を容易にするために用いた例示に過ぎず、車両要求出力を決定するための特性線(マップ)はこれに限定されるものではない。
【0032】
ハイブリッドECU600は、現車両要求出力Pr1がエンジン10を最高効率運転ポイントで運転させることができる最小エンジン出力Peminよりも大きいか否かを判定する(ステップS130)。なお、最小エンジン出力Peminは第2モータ30が単独で出力し得る出力であることはいうまでもない。ハイブリッドECU600は、Pr1≦Peminであると判定した場合には(ステップS130:No)、現車両要求出力Pr1を先車両要求出力Pr0として、現アクセル開度θ1を先アクセル開度θ0としてそれぞれRAM602に格納して(ステップS140)本処理ルーチンを終了する。かかる場合には、本処理ルーチンとは別のEV制御ルーチンが実行される。例えば、バッテリ充電率SOCが下限しきい値より大きな場合には、第2モータに対する要求出力Pm2*=Pr1、エンジン回転数Ne=0、エンジントルクTe=0としてバッテリ210の電力を第2モータ30から車両出力として出力することができる。あるいは、バッテリ充電率SOCが下限しきい値以下の場合には、エンジン10をエンジン動作ラインL3上のいずれかの点において運転させ、第1モータ20をジェネレータとして作動させ、得られた電力を第2モータ30から車両トルクとして出力しても良い。この他にも、様々な公知のEV走行制御ルーチンが用いられ得ることは言うまでもない。
【0033】
これに対して、ハイブリッドECU600は、Pr1>Peminであると判定した場合には(ステップS130:Yes)、バッテリ充電率SOCが下限しきい値SOCrefより大きいか否かを判定する(ステップS150)。ハイブリッドECU600は、バッテリ充電率SOCが下限しきい値SOCrefよりも大きいと判定した場合には(ステップS150:No)、車両要求出力Prの変動量ΔPrを求める(ステップS160)。なお、RAM602には先の本処理ルーチン実行時に算出された車両要求出力が先車両要求出力Pr0として格納されており、この先車両要求出力Pr0と現車両要求出力Pr1の絶対値の差分から車両要求出力変動量ΔPrが求められる。また、先車両要求出力Pr0と現車両要求出力Pr1との算出間隔は、本処理ルーチンの実行間隔に一致する。ハイブリッドECU600は、算出した車両要求出力変動量ΔPrが第1しきい値Peref1未満であるか否かを判定する(ステップS170)。第1しきい値Peref1は、車両要求出力変動量ΔPrがエンジン運転ポイント(エンジン動作点)を変化させる必要のないほど小さな変動量であるか否かを判定するために用いられるしきい値であり、例えば、10N程度の値となる。
【0034】
ハイブリッドECU600は、車両要求出力変動量ΔPrが第1しきい値Peref1未満であると判定した場合には(ステップS170:Yes)、指令アクセル開度θ*を先回の実行ルーチンにてRAM602に格納された先アクセル開度θ0に設定し、目標エンジン出力Pe*を先エンジン出力Pe0に設定し、Pe0に対応するエンジン回転数NeおよびエンジントルクTeをマップから求める(ステップS180)。すなわち、先車両要求出力Pr0と現車両要求出力Pr1との間に変動があったとしても、その変動を目標エンジン出力Pe*に反映させることなく、先エンジン出力Pr0に対応するエンジン運転ポイントと同一の運転ポイントにてエンジン10を運転させる。この結果、僅かな車両要求出力変動によってはエンジン運転ポイントは変更されず、頻繁なエンジン運転ポイントの変化に伴い発生する加速損失を低減することができる。ハイブリッドECU600は、現車両要求出力Pr1と目標エンジン出力Pe*との差分を求め、第1および第2モータ20、30のいずれかによってアシストされるべき目標アシスト出力Pma*とする(ステップS190)。エンジン10によって出力される目標エンジン出力Pe*と、アクセル開度および車速に基づく本来エンジンが出力すべき現車両要求出力Pr1との出力差を第1および第2モータ20、30のいずれかによって補完するのである。この結果、現車両要求出力Pr1とドライブシャフト40から車輪43に伝達される出力とが一致する。
【0035】
ここで、目標エンジン出力Pe*から目標エンジン回転数Ne*および目標エンジントルクTe*を求める際に用いられるマップについて図5を参照して説明する。図5は本実施例の出力制御装置がエンジン10の運転を制御する際に用いるエンジン運転ポイントのマップを示す説明図である。図5において縦軸はエンジントルクTe(Nm)を示し、横軸はエンジン回転数Ne(rpm)を示す。等燃費ラインL1は燃費が等しくなるポイントを結んで示した特性線であり、エンジン等出力ラインL2はエンジン10の出力(Pe)が等しくなるポイントを結んで示した特性線である。これら等燃費ラインL1およびエンジン等出力ラインL2に基づいて、同一のエンジン出力に対してエンジンの運転効率が最高となるように(燃費が最も良くなるように)エンジン動作ラインL3が決定される。エンジン運転ポイントはエンジン動作ラインL3上にある。エンジン動作ラインL3が存在しない左側1/4の領域は、エンジン10によって車両要求出力を出力するよりも第2モータ30によって車両要求出力を出力する方が車両全体としてのエネルギ効率が良くなるEV領域である。このEV領域ではエンジン10は駆動出力を出力するためには運転されず、専ら第2モータ30によって車両要求出力が出力される。もっとも、エンジン10は、SOCセンサ55によって検出されたバッテリ210のSOCが下限しきい値以下の場合には第1モータ20をジェネレータとして駆動するための動力源として用いられ得る。かかる場合にも、エンジン10はエンジン動作ラインL3上のいずれかの運転ポイントにて運転され得ることは言うまでもない。
【0036】
目標エンジン出力Pe*からエンジン回転数Ne*およびエンジントルクTe*を求める手順は次の通りである。目標エンジン出力Pe*に対応するエンジン運転ポイントをエンジン動作ラインL3上から選択し、そのエンジン運転ポイントに対応するマップ上のエンジン回転数Neを目標エンジン回転数Ne*とする。エンジン出力Peとエンジン回転数NeおよびエンジントルクTeとの間には、Pe=Ne×Teの関係があり、エンジン動作ラインL3上にてエンジン出力Peとエンジン回転数Neとは一対一に対応しているからである。また、目標エンジン回転数Ne*が決定されると、その目標エンジン回転数Ne*に対応した目標エンジントルクTe*も一義的に決定される。
【0037】
ステップS180では上述の手順に従って目標エンジン回転数Ne*および目標エンジントルクTe*が求められる。ハイブリッドECU600は、ステップS170にて、車両要求出力変動量ΔPrは第1しきい値Peref1以上であると判定した場合(ステップS170:No)、車両要求出力変動量ΔPrが第2しきい値Peref2未満であるか否かを判定する(ステップS200)。第2しきい値Peref2は、車両要求出力変動量ΔPrが急加速等に対応する大きな変動量であるか否かを判定するための上限しきい値であり、例えば、20〜30N程度である。ハイブリッドECU600は、車両要求出力変動量ΔPrが第2しきい値Peref2未満であると判定した場合には(ステップS200:Yes)、目標アクセル開度θ*を式(1)
θ*=θ0+(θ1−θ0)/(ksΔt)・・・(1)
から求め、求めた目標アクセル開度θ*と車速v1とに基づいて目標エンジン出力Pe*を図4に示すマップから求める(ステップS210)。
【0038】
式1においてΔtはアクセル開度がθ0からθ1に変化するまでの時間、通常は本処理ルーチンの実行時間間隔であり、ksは立ち上がり時間を遅らせる立ち上がり時間調整係数である。なお、θ0は先回の実行ルーチンにてRAM602に格納された先アクセル開度であり、ハイブリッドECU600は、目標エンジン出力Pe*を求める際に先アクセル開度θ0をRAM602から読み出して用いる。ハイブリッドECU600は、求めた目標エンジン出力Pe*から図5に示すマップに基づいて既述のように目標エンジン回転数Ne*および目標エンジントルクTe*を求める。ハイブリッドECU600は、現車両要求出力Pr1と目標エンジン出力Pe*との差分を求め、第1および第2モータ20、30のいずれかに対する目標アシスト出力Pma*とする(ステップS190)。かかる制御によれば、先車両要求出力Pr0から目標エンジン出力Pe*への変動量(すなわち、エンジン運転ポイントの変化速度)は先車両要求出力Pr0から本来の現車両要求出力Pr1への変動量と比較して小さくなる。この結果、エンジン回転数NeおよびエンジントルクTeは緩やかに増加し、エンジン回転数Neの変動が緩慢となるため慣性による加速損失が低減されると共に、エンジン運転ポイントがエンジン動作ラインL3上を移動することと相まって燃費を向上させることができる。また、不足するエンジン出力は第1および第2モータ20、30のいずれかによって補完されるのでドライバビリティが損なわれることもない。
【0039】
ハイブリッドECU600は、ステップS200にて車両要求出力変動量ΔPrが第2しきい値以上であると判定した場合には(ステップS200:No)、目標エンジン出力Pe*を式Pe*=Pr1−Pbatに基づいて求める。ここで、Pbatはバッテリ210から持ち出すことのできる出力(バッテリ210の電気エネルギを第1および第2モータ20、30のいずれかによって機械エネルギとして出力できる出力)を意味し、Pbat=Pm1+Pm2である。Pbatは、バッテリ充電率SOCに応じて変化し、例えば、バッテリ充電率SOCが十分に高い場合には15N程度であり、バッテリ充電率SOCの低下と共に最終的には0Nとなる。ハイブリッドECU600は、求めた目標エンジン出力Pe*から図5のマップに基づいて目標エンジン回転数Ne*および目標エンジントルクTe*を求める(ステップS220)。このように車両要求出力変動量ΔPrが第2しきい値以上の場合には、バッテリ210によって持ち出しできる出力Pbatを第1および第2モータ20,30のいずれかを介して出力し、エンジン回転数NeおよびエンジントルクTeは徐々に目標エンジン回転数Ne*および目標エンジントルクTe*へと増加される。
【0040】
ハイブリッドECU600は、現車両要求出力Pr1と目標エンジン出力Pe*との差分を求め、第1および第2モータ20、30のいずれかに対する目標アシスト出力Pma*とする(ステップS190)。かかる制御によれば、先車両要求出力Pr0から目標エンジン出力Pe*への変動量(すなわち、エンジン運転ポイントの変化速度)はバッテリ持ち出し出力Pbatの分だけ先車両要求出力Pr0から現車両要求出力Pr1への変動量と比較して小さくなる。このように、エンジン回転数NeおよびエンジントルクTeは緩やかに増加する一方で、現車両要求出力Pr1に対して不足する出力は第1および第2モータ20、30のいずれかによって補完されるので、加速要求に応えてドライバビリティを損なうことなく慣性による加速損失を低減して燃費を向上させることができる。
【0041】
ハイブリッドECU600は、ステップS150にてバッテリ充電率SOCが下限しきい値SOCref以下であると判定した場合には(ステップS150:No)、エンジン目標出力Pe*を現車両要求出力Pr1とし、目標アクセル開度θ*を現アクセル開度θ1として目標エンジン回転数Ne*および目標エンジントルクTe*を決定する(S230)。バッテリ充電率SOCが下限しきい値SOCref以下の場合には、第1および第2モータ20、30のいずれかによって抑制されたエンジン出力分を補うことができないので、車両要求出力Pr1に応じた全出力をエンジン10によって出力しなければならないからである。したがて、バッテリ210によって差分出力が補完されている状態においてバッテリ充電率SOCが下限しきい値SOCref以下となった場合には、上記の目標エンジン出力Pe*の算出方法に拘わらず、ハイブリッドECU600は車両要求出力変動量ΔPrを反映することなくエンジンECU610を介してエンジン10によって全車両要求出力を出力させる。続いて、ハイブリッドECU600は、現車両要求出力Pr1と目標エンジン出力Pe*との差分を求め、第1および第2モータ20、30のいずれかに対する目標アシスト出力Pma*(実際には0)とする(ステップS190)。
【0042】
ステップS180に続いて、ハイブリッドECU600は、第1レゾルバ51からドライブシャフト回転数Ndを取得する(ステップS240)。このドライブシャフト回転数Ndは第1モータのインナーロータ22の回転数としても用いられ得る。ハイブリッドECU600は、決定した目標エンジン回転数Ne*がドライブシャフト回転数Ndよりも高い(大きい)か否かを判定する(ステップS250)。すなわち、走行状態にある車両のドライブシャフト回転数Ndがエンジン回転数Neよりも低いアンダードライブ状態にあるのか、あるいは、ドライブシャフト回転数Ndがエンジン回転数Neよりも高いオーバドライブ状態にあるのかを判定する。ハイブリッドECU600は、目標エンジン回転数Ne*>ドライブシャフト回転数Ndであると判定した場合には(ステップS230:Yes)、アンダードライブ制御を実行する(ステップS260)。一方、ハイブリッドECU600は、目標エンジン回転数Ne*≦ドライブシャフト回転数Ndであると判定した場合には(ステップS250:No)、オーバドライブ制御を実行する(ステップS270)。
【0043】
ここで、アンダードライブ制御およびオーバドライブ制御について図6および図7を参照して説明する。図6はアンダードライブ制御に際してハイブリッドECU600にて実行される処理ルーチンを示すフローチャートであり、図7はオーバドライブ制御に際してハイブリッドECU600にて実行される処理ルーチンを示すフローチャートである。
【0044】
先ず、図6を参照してアンダードライブ制御について説明する。アンダードライブ制御を開始すると、ハイブリッドECU600は第1クラッチ71が解放状態(オフ状態)にあり、且つ第2クラッチ72が継合状態(オン状態)にあるか否かを判定する(ステップS261)。すなわち、第2モータ30のロータ33とドライブシャフト40とが結合されているか否かを判定する。ハイブリッドECU600は、第1クラッチ71および第2クラッチ72の少なくとも一方が判定条件を満たしていないと判定した場合には(ステップS261:No)、第1および第2クラッチ71,72を解放させる(ステップS262)。両クラッチ71,72を解放するのは、両クラッチ71,72が共に継合してエンジン10の自由な運転制御が阻害される事態を回避するためである。続いて、ハイブリッドECU600は、第2クラッチ72を継合させて、第2モータ30のロータ33とドライブシャフト40とを結合し、第2モータ30がドライブシャフト40上に配置されている構成とする(ステップS263)。アンダードライブ時には、第1モータ20にて回生したエネルギが第2モータ30にて消費され、その消費されたエネルギを再度第1モータ20にて回生するというエネルギの再循環を防止すると共に、エネルギ効率を向上させるために、第2モータ30のロータ33をドライブシャフト40に継合することとした。
【0045】
ハイブリッドECU600は、第1モータ20に対する目標モータトルクTm1*を目標エンジントルクTe*に設定する(ステップS264)。このようなアンダードライブ制御時の動力伝達系の構成では、第1モータ20がエンジン10に結合されており第1モータ20のトルクTm1がエンジン10の負荷トルクとなるので、第1モータ20の目標モータトルクTm1*をエンジン10の目標エンジントルクTe*に合わせることによりエンジン10を目標エンジントルクTe*にて安定して運転させるのである。続いて、ハイブリッドECU600は、第2モータ30に対する目標モータトルクTm2*を式(2)
Tm2*=((Pe*+Pma*)/Nd)−Te*・・・(2)
から求める(ステップS265)。すなわち、車両要求出力Pr1に対応してドライブシャフト40上に出力されるべきトルクとエンジン10によって出力されるエンジントルクTeとの差分トルクを第2モータ30の目標モータトルクTm2*に設定する。ハイブリッドECU600は目標モータトルクTm2*を設定後、メイン処理ルーチンにリターンする。かかる構成では、第1モータ20は、負のトルクを出力(回生動作)することとなるため、第1モータ20はジェネレータとして機能し、第1モータ20にて生成された電力は第2モータ30によって目標モータトルクTm2*を発生させるために消費されることとなる。
【0046】
次に図7を参照してオーバドライブ制御について説明する。オーバードライブ制御を開始すると、ハイブリッドECU600は第1クラッチ71が継合状態(オン状態)にあり、且つ第2クラッチ72が解放状態(オフ状態)にあるか否かを判定する(ステップS271)。すなわち、第2モータ30のロータ33とクランクシャフト16とが結合されているか否かを判定する。ハイブリッドECU600は、第1クラッチ71および第2クラッチ72の少なくとも一方が判定条件を満たしていないと判定した場合には(ステップS271:No)、第1および第2クラッチ71,72を解放させる(ステップS272)。続いて、ハイブリッドECU600は、第1クラッチ71を継合させて、第2モータ30のロータ33とクランクシャフト16とを結合し、第2モータ30の出力をクランクシャフト16上に出力し得る構成とする(ステップS273)。オーバドライブ時には、第2モータ30にて回生したエネルギが第1モータ20にて消費され、その消費されたエネルギを再度第2モータ30にて回生するというエネルギの再循環を防止すると共に、エネルギ効率を向上させるために、第2モータ30のロータ33をクランクシャフト16に継合することとした。
【0047】
ハイブリッドECU600は、第1モータ20の対する目標モータトルクTm1*を式(3)
Tm1*=(Pe*+Pma*)/Nd・・・(3)
から求める(ステップS274)。このようなオーバードライブ制御時の動力伝達系の構成では、第1モータ20のトルクが車両要求トルクPr1に対応するドライブシャフト40のトルクとなるからである。続いて、ハイブリッドECU600は、第2モータ30の目標モータトルクTm2*を式(4)
Tm2*=Tm1*−Te*・・・(4)
から求める(ステップS275)。この構成では、第2モータ30はエンジン10と第1モータ20との間に配置されるため第2モータ30はエンジン10の目標エンジントルクTe*と第1モータ20の目標モータトルクTm1*の差分トルクを目標モータトルクTm2*としなければならないからである。また、かかる構成では第2モータ30のモータトルクTm2*は負のトルクとなるため、第2モータ30はジェネレータとして機能して電力を生成し、生成された電力は第1モータ20にて目標モータトルクTm1*を発生させるために消費される。
【0048】
ハイブリッドECU600は、アンダードライブ制御またはオーバドライブ制御を経た後、ステップS180、S210、S220、S230のいずれかのステップで決定された目標エンジン回転数Ne*にてエンジン10を運転させるようにエンジンECU610に対して指令を送り、エンジン10を制御する(ステップS280)。この結果、目標エンジントルクTe*がクランクシャフト16上に出力される。ハイブリッドECU600は、第2インバータ220を介してステップS265またはステップS275にて求められた目標モータトルクTm2*にて第2モータ30を駆動し、第1インバータ200を介してステップS264またはステップS274にて求められた目標モータトルクTm1*にて第1モータを駆動する(ステップS290)。最後に、ハイブリッドECU600は、現車両要求出力Pr1を先車両要求出力Pr0として、現アクセル開度θ1を先アクセル開度θ0としてそれぞれRAM602に格納して(ステップS300)本処理ルーチンを終了する。
【0049】
以上説明した本実施例に係るハイブリッド車両の出力制御装置によるエンジン出力の時間変化について図8〜図11を参照して説明する。図8は車両要求出力の変動量の程度を示すための説明図である。図9はアクセル踏み込み量に対応するアクセル開度が短時間の間に変動する場合のエンジン出力変動と車両要求出力変動の関係例を模式的に示すグラフである。図10はアクセル開度が比較的緩やかに変動する場合のエンジン出力変化と車両要求出力変化の関係例を模式的に示すグラフである。
【0050】
図8のグラフにおいて、縦軸は車両要求トルクTeを示し、横軸はエンジン回転数Neを示している。グラフ中▲1▼の変動量は車両要求出力変動量が小さい場合(第1しきい値未満の場合)を示し、▲2▼の変動量は車両要求出力変動量が中程度の場合(第1しきい値以上で第2しきい値未満の場合)を示し、▲3▼の変動量は車両要求出力変動量が大きい場合(第2しきい値以上の場合)をそれぞれ示す。なお、変動量▲1▼、変動量▲2▼および変動量▲3▼のグラフ上の位置はあくまでも目安に過ぎず、これら変動量のグラフ上の位置が本実施例中における各しきい値の値と一致するわけではない。
【0051】
先ず、アクセル踏み込み量に対応するアクセル開度が短時間の間に変動する場合のエンジン出力変動と車両要求出力変動との関係について図9を参照して説明する。なお、車両要求出力変動量のサンプリングは既述のように例えば、8ms間隔で行われる。変動量▲1▼では車両要求出力Prが変化してもエンジン出力Peは変動せず、先エンジン出力Pe0を保持し続ける。変動量▲2▼では、車両要求出力変動線LPrの傾きと比較してエンジン出力変動線LPeの傾きが小さくなり、エンジン回転数Neの上昇が抑制される。変動量▲3▼では、現車両要求出力Pr1から第1および第2モータ20、30のいずれかによって出力可能なバッテリ出力Pbatを減じた値が目標エンジン出力Pe*となるため、変動量▲2▼の場合と比較してエンジン出力変動線LPeの傾きが大きくなるものの、車両要求出力Prの変動量と比較すればエンジン出力Peの変動量は小さくエンジン回転数Neの上昇が抑制される。特に最右側に現れる変動量▲3▼では、車両要求出力Prの変動量が極めて大きいためエンジン出力変動線LPeの傾きが先の変動量▲3▼の場合よりも大きくなるものの、車両要求出力Prの変動量と比較すればエンジン出力Peの変動量は小さくエンジン回転数Neの上昇が抑制される。いずれの場合も、車両要求出力Prとエンジン出力Peとの差分出力は第1および第2モータ20、30のいずれかによって出力される。したがって、現実に車両から出力される車両出力は車両要求出力と一致する。以上の現象は車両要求出力Prが減少した場合(車両要求出力変動量ΔPrが負の場合)にも同様に現れる。
【0052】
図9ではバッテリ出力Pbatが比較的小さい場合(バッテリ充電率SOCが下限しきい値を下回らない場合)について説明したが、車両要求出力Prの変動状態によってはバッテリ充電率SOCが下限しきい値を下回る場合もある。かかる場合について、図10を参照して説明する。図9を参照して説明したのと同様にエンジン出力Peは車両要求出力変動ΔPrが変動量▲1▼の場合には先エンジン出力Pe0を採り、変動量▲2▼の場合には車両要求出力変動線LPeと比較して傾きの小さなエンジン出力変動線LPe上の出力をエンジン出力Peとして採る。変動量▲3▼の場合には、現車両要求出力Pr1からバッテリ出力Pbatを減じた出力が目標エンジン出力Pe*となる。ただし、車両要求出力Prが比較的大きな状態で保持されバッテリ充電率SOCが下限しきい値を下回ると目標エンジン出力Pe*を現車両要求出力Pr1に変更される(SOC規制)。その後は、バッテリ充電率SOCが下限しきい値を上回るまで目標エンジン出力Pe*に現車両要求出力Pr1が設定される。
【0053】
このように本実施例に係るハイブリッド車両の出力制御装置によれば、エンジン運転ポイントの頻繁な変更が抑制されるので、エンジン回転数の変動に伴って発生する慣性による加速損失を低減することができると共に、エンジン10を常に最高効率運転ポイントにて運転させるので燃費を最良とすることができる。また、エンジン回転数の変動に伴うトルク変動が抑制されるのでドライバビリティを改善することができる。
【0054】
さらに、本実施例に係るハイブリッド車両の出力制御装置によれば、現車両要求出力Pr1とエンジン10によって出力される目標エンジン出力Pe*との差分出力は第1および第2モータ20、30のいずれかによって補完される。また、これら第1および第2モータ20、30による不足出力の補完は、少なくともバッテリ充電率SOCが下限しきい値SOCref以下となるまでは得られる。これにより、単に目標エンジン出力Pe*を抑制するだけの場合に生じていた車両要求出力と車両出力との出力差が解消され、ドライバビリティを改善することができる。
【0055】
また、第1モータ20によってエンジン10のトルク脈動を吸収することができるので、エンジン10と第1モータ20とをダンパを介すことなく直接結合することができる。エンジン10の第1モータ20とが直接結合されるので、第1モータ20の慣性を利用することが可能となり、フライホイールを小型化、あるいは、取り除くことができる。さらに、第1モータ20がエンジン10側に配置されているので第1モータ20の入力軸を短くすることが可能となり、容易に必要な強度を得ることができる。
【0056】
以上、発明の実施の形態に基づき本発明に係るハイブリッド車両の出力制御装置を説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。
【0057】
上記実施例では、車両要求出力変動量ΔPrが第1しきい値Peref1未満の場合にも、第1モータ20あるいは第2モータ30によって差分出力を出力する構成を備えているが、目標エンジン出力Pe*を車両出力としてもよい。車両要求出力変動量ΔPrが小さな領域では、現車両要求出力Pr1と目標エンジン出力Pe*との差は小さく、その差分出力を補わなくともドライバビリティを著しく低下させることはないからである。かかる場合には、第1モータ20あるいは第2モータ30による差分出力の補完がより効果的な場合のために、バッテリ充電率SOCを高い値で保持することができる。
【0058】
上記実施例では、バッテリ充電率SOCが下限しきい値SOCref以下となった時点で第1および第2モータ20、30による差分出力の補完を中止し、エンジン10によって現車両要求出力Pr1の全てを出力する構成を備えている。これに対して、バッテリ充電率SOCの判定しきい値をいくつか持ち、段階的に補完する出力量を低減していっても良い。かかる場合には、エンジン10の出力を増大させて車両要求出力と実際に出力される車両出力を一致させても良く、あるいは、車両要求出力と実際に出力される車両出力との間に小さな出力差を持たせても良い。前者の場合には車両要求出力に応じた車両出力が出力されるという利点を有し、後者の場合にはドライバビリティを著しく低下させることなくエンジン10の運転ポイントを維持することができるという利点を有する。
【0059】
上記実施例では、車両要求出力変動量ΔPrが第2しきい値Peref2以上の場合には、バッテリ210から持ち出すことのできる最大出力を第1モータ20あるいは第2モータ30によって出力する構成を備えているが、最大出力未満の所望の値としても良い。
【0060】
上記実施例では、エンジン10と第1モータ20とがダンパを介すことなく結合されているが、ダンパを介してエンジン10と第1モータ20とが結合されている場合にも本発明に係る出力制御装置は適用可能である。また、第2モータ30がエンジン10側に配置されているハイブリッド車両に対してもの本発明は適用可能である。
【0061】
上記実施例における、第1しきい値Peref1、第2しきい値Peref2、およびPbat等の値はあくまで例示であり、エンジン10、第1モータ20、第2モータ30、バッテリ210等の特性によって最適な値は適宜変化し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施例が適用される車両の概略構成を示すブロック図である。
【図2】本実施例に従う出力制御装置によって実行されるエンジン出力制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図3】本実施例に従う出力制御装置によって実行されるエンジン出力制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図4】本実施例においてアクセル開度および車速に基づき車両要求出力を求めるためのマップを示す説明図である。
【図5】本実施例に従う出力制御装置がエンジンの運転を制御する際に用いるエンジン運転ポイントのマップを示す説明図である。
【図6】アンダードライブ制御に際してハイブリッドECU600にて実行される処理ルーチンを示すフローチャートである。
【図7】オーバドライブ制御に際してハイブリッドECU600にて実行される処理ルーチンを示すフローチャートである。
【図8】車両要求出力の変動量の程度を示すための説明図である。
【図9】アクセル踏み込み量に対応するアクセル開度が短時間の間に変動する場合のエンジン出力変動と車両要求出力変動の関係例を模式的に示すグラフである。
【図10】アクセル開度が比較的緩やかに変動する場合のエンジン出力変化と車両要求出力変化の関係例を模式的に示すグラフである。
【符号の説明】
10…エンジン
11…吸気管
12…スロットルバルブ
13…インジェクタ
14…点火プラグ
16…クランクシャフト
20…第1モータ
21…アウターロータ
22…インナーロータ
23…三相コイル
24…中空回転軸
25…スリップリング
26…永久磁石
30…第2モータ
31…ステータ
32…永久磁石
33…ロータ
34…三相コイル
35…中空軸
40…ドライブシャフト
41…ディファレンシャルギヤ
42…車軸
43…車輪
45…ケース
50…エンジン回転数センサ
51…第1レゾルバ
52…第2レゾルバ
53…車速センサ
54…アクセル開度センサ
55…SOCセンサ
60…制御ユニット
70…クラッチ装置
71…第1クラッチ
72…第2クラッチ
200…第1インバータ
210…バッテリ
220…第2インバータ
600…ハイブリッドECU600
610…エンジンECU

Claims (5)

  1. 燃料の燃焼により動力を発生する燃焼機関および電気的なエネルギにより動力を発生する電動機の少なくとも一方によって車両に要求される車両要求出力に応じた実出力を出力させる出力制御装置であって、
    所定の時間間隔で第1の車両要求出力と第2の車両要求出力とを前記車両要求出力を算出する車両要求出力算出手段と、
    前記車両要求出力算出手段によって算出された前記第1の車両要求出力と前記第2の車両要求出力との差分から車両要求出力の変動量を算出する要求出力変動量算出手段と、
    算出された前記要求出力の変動量を反映して前記燃焼機関により出力すべき燃焼機関出力を算出し、その算出された前記燃焼機関出力を出力するように前記燃焼機関を制御する燃焼機関制御手段であって、
    前記車両要求出力の変動量が第1のしきい値未満の場合には、前記第1の車両要求出力に対応する第1燃焼機関出力を前記燃焼機関出力とする第1制御パターンにて前記燃焼機関を制御し、
    前記車両要求出力の変動量が前記第1のしきい値より大きな第2のしきい値以上の場合には、前記第2の車両要求出力から前記電動機によって出力可能な電動機出力を減じた出力を前記燃焼機関出力とする第2制御パターンにて前記燃焼機関を制御し、
    前記車両要求出力の変動量が前記第1のしきい値以上であり且つ前記第2のしきい値未満の場合には、前記車両要求出力の変動量を時間当たりの変動量を低減する時間調整係数で除した補正車両要求出力と前記第1の車両要求出力との和を前記燃焼機関出力とする第3制御パターンにて前記燃焼機関を制御する燃焼機関制御手段と、
    前記燃焼機関出力と前記車両要求出力との差分に基づいて前記電動機によって出力すべき電動機出力を算出し、その算出された前記電動機出力を出力するように前記電動機を制御する電動機制御手段とを備える出力制御装置。
  2. 請求項1に記載の出力制御装置において、前記燃焼機関制御手段は前記車両要求出力の変動量に応じて、前記燃焼機関の出力制御パターンを変更することを特徴とする出力制御装置。
  3. 請求項1に記載の出力制御装置において、前記電動機によって前記電動機出力を出力できない場合には、前記燃焼機関制御手段は前記燃焼機関出力を前記第2の車両要求出力とする第4制御パターンにて前記燃焼機関を制御することを特徴とする出力制御装置
  4. 燃料の燃焼により動力を発生する燃焼機関および電気的なエネルギにより動力を発生する電動機を動力源として備えると共に少なくとも前記燃焼機関または電動機の一方によって車両の要求する車両要求出力に応じた実出力が出力される車両における燃焼機関の出力制御方法であって、
    所定の時間間隔にて第1車両要求出力と第2車両要求出力とを算出し、
    先回算出した第1車両要求出力と今回算出した第2車両要求出力との差分から車両要求出力の変動量を算出し、
    前記車両要求出力変動量が第1のしきい値未満の場合には、前記第1車両要求出力に対応する第1燃焼機関出力を前記燃焼機関に出力させ、
    前記車両要求出力変動量が前記第1のしきい値より大きな第2のしきい値以上の場合には、前記第2車両要求出力から前記電動機によって出力可能な出力を減じた補正燃焼機関出力を前記燃焼機関に出力させ、
    前記車両要求出力変動量が前記第1のしきい値以上であり且つ第2のしきい値未満の場合には、前記車両要求出力の変動量を時間当たりの変動量を低減する時間調整係数で除した補正車両要求出力と前記第1の車両要求出力との和を前記燃焼機関に出力させ、
    前記燃焼機関出力と前記第2車両要求出力との差分出力を前記電動機によって出力させる方法。
  5. 請求項に記載の方法において、前記電動機によって前記差分出力を出力できない場合には、前記第2車両要求出力を前記燃焼機関に出力させる方法。
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