JP3452866B2 - 内燃機関の回転数制御装置を有するハイブリッド車両 - Google Patents
内燃機関の回転数制御装置を有するハイブリッド車両Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関と電動機
とを動力源とし、内燃機関を所定状況下において目標ア
イドル回転数で運転制御するアイドル制御と、このアイ
ドル制御とは異なる回転数制御要求に基づいて内燃機関
の回転数を制御する回転数制御装置を搭載したハイブリ
ッド車両に関する。 【0002】 【従来の技術】近年、内燃機関と電動機とを動力源とし
て備えるハイブリッド車両が提案されている。こうした
ハイブリッド車両であっても、内燃機関のみを動力源と
する既存の車両と同様に、内燃機関を約1000rpm
程度の低回転数のアイドル回転数で運転制御するアイド
ル制御が行われている。 【0003】ところで、ハイブリッド車両では、内燃機
関を車両動力として運転制御するほか、内燃機関を種々
の目的で制御する場合がある。例えば、内燃機関を駆動
軸とは結合させず発電機と結合したいわゆるシリーズハ
イブリッド車両では、内燃機関の動力で発電機を駆動し
て発電させ、この電力でバッテリ充電を図る等の目的
で、内燃機関の回転数を制御することがある。 【0004】内燃機関に加え電動機も駆動軸に結合した
パラレルハイブリッド車両では、電動機を力行すること
で、内燃機関から駆動軸に伝達された動力を補って、駆
動軸から要求動力を出力して走行することができる。こ
のパラレルハイブリッド車両にあっても、シリーズハイ
ブリッド車両と同様に内燃機関を発電機と結合している
ことから、発電電力によるバッテリ充電の目的で、内燃
機関の回転数を制御することがある。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】このように、ハイブリ
ッド車両では、アイドル制御による回転数制御とそれ以
外の制御要求による回転数制御を行う都合上、次のよう
な不具合が指摘されるに至った。 【0006】今、アイドル制御以外の制御要求、例え
ば、発電機を介した発電要求(充放電要求)から、内燃
機関をアイドル回転数(約1000rpm)を越える回
転数(例えば、1500rpm)で発電機により運転制
御している状況を考える。こうした制御状況下にあって
も内燃機関はアイドル制御の制約を受けることから、内
燃機関の吸気スロットル或いはそのバイパス管路のバル
ブは、その時の回転数(1500rpm)をアイドル回
転数(約1000rpm)とすべく、大きく絞り側に駆
動制御される。そして、内燃機関を1500rpmの回
転数で制御する制御要求が解除されると、内燃機関はア
イドル制御により回転数制御される。具体的には、スロ
ットル開度制御、燃料噴射と点火制御が行われる。この
際、スロットルやバイパスバルブは既に絞り側に駆動済
みであることから、吸入空気が不足して、回転数がアイ
ドル回転数を下回ってしまうアンダーシュートが起きた
り、これに伴う振動を起こすことがあった。また、場合
によっては、エンジンストールを起こす虞もあった。特
に、ハイブリッド車両では、車両の走行状態に応じて発
電機を介して内燃機関を種々制御するので、減速走行時
等にあっては、過充放電防止のためやドライバビリティ
維持等のために発電機を介した回転数制御を行う状況で
ありながら、内燃機関をアイドル制御すべき状況が起き
がちである。 【0007】上述の課題は、ハイブリッド車両に限定さ
れた課題ではない。内燃機関のアイドル制御と、アイド
ル制御以外の制御要求で内燃機関の回転数を制御する回
転数制御とを行う全て機構に共通の課題であった。本発
明は、かかる課題を解決するためになされたものであ
り、内燃機関のアイドル制御の実行に伴う不具合を解消
し、信頼性を高めることを目的とする。 【0008】 【課題を解決するための手段およびその作用・効果】か
かる課題の少なくとも一部を解決するため、本発明のハ
イブリッド車両は、内燃機関と第1の電動機とを動力の
供給源として搭載し、該内燃機関に結合された第2の電
動機によって内燃機関の回転数制御を行いつつ走行する
ハイブリッド車両であって、前記内燃機関を所定状況下
において目標アイドル回転数で運転制御するため、前記
内燃機関の回転数と前記目標アイドル回転数との偏差を
是正するよう前記内燃機関の回転数を制御するアイドル
制御手段と、前記第2の電動機の制御上の要求に基づい
て、前記内燃機関の回転数を制御する回転数制御手段
と、前記回転数制御手段による内燃機関の制御状況下に
おいて前記所定状況が発現した場合には、前記アイドル
制御手段による回転数制御の実行を制限する制限手段
と、を備えることを特徴とする。 【0009】上記構成を有する本発明のハイブリッド車
両では、アイドル制御手段とは異なる回転数制御要求、
即ち第2の電動機の制御上の要求(以下、説明の便宜
上、単に他の制御要求という)があれば、この他の制御
要求に基づいて内燃機関の回転数を制御する。そして、
このような回転数制御(以下、説明の便宜上、この回転
数制御を他の回転数制御という)の状況下で、アイドル
制御手段による運転制御が求められる所定状況が発現し
てアイドル制御手段による回転数制御(アイドル回転数
制御)に推移しても、このアイドル回転数制御はその実
行が制限される。よって、アイドル回転数制御への推移
時において、回転数制御の制御度合いを抑制したりでき
る。或いは、他の制御要求に基づく他の回転数制御の状
況の間にはアイドル回転数制御自体を中断しておいて、
アイドル回転数制御推移時から当該制御を実行し、内燃
機関を目標アイドル回転数で運転制御するようにするこ
とができる。このため、他の制御要求に基づいた他の回
転数制御がなされないままアイドル回転数制御に推移し
た場合とほぼ同様に、内燃機関を目標アイドル回転数で
運転制御できる。 【0010】 【0011】 【0012】 【0013】よって、上記の本発明のハイブリッド車両
によれば、上記したようなアイドル回転数制御の実行に
伴う不具合を回避でき、制御の信頼性を高めることがで
きる。特に、本発明のハイブリッド車両では、車両走行
において頻繁に起きる減速走行時等において、過充放電
防止やドライバビリティ維持等を目的とした回転数制御
を行ってこれら目的を達成しつつ、内燃機関を確実に目
標アイドル回転数で好適に運転制御して、その後の内燃
機関運転(例えば、加速運転)に備えることができる。 【0014】なお、本発明のハイブリッド車両は、シリ
ーズハイブリッド車両およびパラレルハイブリッド車両
のいずれの構成でもよい。上述の第1の電動機と第2の
電動機とを異なる電動機とし、エンジンと駆動軸とは結
合されていない構成を適用すれば、シリーズハイブリッ
ド車両となる。また、第1の電動機と第2の電動機とを
異なる電動機とし、エンジンと駆動軸とを結合すれば、
電動機を2つ備えたパラレルハイブリッド車両となる。
さらに、第1の電動機と第2の電動機とを共通の電動機
とすれば、電動機を1つ備えたパラレルハイブリッド車
両となる。 【0015】 【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態を実施
例に基づき説明する。図1は実施例のハイブリッド車両
が有する動力系統の構成を示す説明図、図2は図1のハ
イブリッド車両におけるエンジンを中心とした概略構成
を示す構成図である。説明の都合上、まず図2を用い
て、車両全体の構成から説明する。 【0016】図示するように、実施例のハイブリッド車
両は、ガソリンを燃料として動力を出力するエンジン1
50を備える。このエンジン150は、吸気系からスロ
ットルバルブ166を介して吸入した空気と燃料噴射弁
151から噴射されたガソリンとの混合気を燃焼室15
2に吸入する。エンジン150は、この混合気の爆発に
より押し下げられるピストン154の運動をクランクシ
ャフト156の回転運動に変換する。ここで、スロット
ルバルブ166はスロットルアクチュエータ168によ
り開閉駆動される。点火プラグ162は、イグナイタ1
58からディストリビュータ160を介して導かれた高
電圧によって電気火花を形成し、混合気はその電気火花
によって点火されて爆発燃焼する。 【0017】また、エンジン150の吸気系には、スロ
ットルバルブ166の設けられた吸気部分を迂回するよ
うにバイパス通路167が形成されている。このバイパ
ス通路167には、アイドルスピードコントロールバル
ブ(以下、ISCVと呼ぶ)167aが設けられてい
る。ISCV167aは、リニアソレノイドによって開
弁度が制御される高速応答性に優れた弁体を備えてお
り、この弁体の閉開の時間比に相当するデューティ比を
有するデューティ信号をリニアソレノイドに出力するこ
とにより、空気流量を高精度に制御する。このISCV
167aを用いることで、一般的に大型のDCモータか
ら構成されるスロットルアクチュエータ168を使用す
ることなく、エンジン150のアイドリング時の吸入空
気量を高速制御することができる。 【0018】エンジン150の運転は、EFIECU1
70により制御されている。EFIECU170は内部
にCPU、ROM、RAM等を有するワンチップ・マイ
クロコンピュータであり、CPUがROMに記録された
プログラムに従い、エンジン150の燃料噴射量その他
の制御を実行する。EFIECU170には、エンジン
150の運転状態を示す種々のセンサが接続されてい
る。例えば、スロットルバルブ166の開度(ポジショ
ン)を検出するスロットルバルブポジションセンサ17
1、エンジン150の負荷を検出する吸気管負圧センサ
172、エンジン150の水温を検出する水温センサ1
74、ディストリビュータ160に設けられクランクシ
ャフト156の回転数と回転角度を検出する回転数セン
サ176及び回転角度センサ178などである。なお、
EFIECU170には、この他、例えばイグニッショ
ンキーの状態STを検出するスタータスイッチ179な
ども接続されているが、その他のセンサ,スイッチなど
の図示は省略した。 【0019】動力系統には、他にモータMG1,MG2
が備えられている。モータMG1,MG2は、同期電動
機であり、外周面に複数個の永久磁石を有するロータ1
32,142と、回転磁界を形成する三相コイル13
1,141が巻回されたステータ133,143とを備
える。ステータ133,143はケース119に固定さ
れている。モータMG1,MG2のステータ133,1
43に巻回された三相コイル131,141は、それぞ
れ駆動回路191,192を介してバッテリ194に接
続されている。駆動回路191,192は、各相ごとに
スイッチング素子としてのトランジスタを2つ1組で備
えたトランジスタインバータである。駆動回路191,
192は制御ユニット190に接続されている。制御ユ
ニット190からの制御信号によって駆動回路191,
192のトランジスタがスイッチングされるとバッテリ
194とモータMG1,MG2との間に電流が流れる。
モータMG1,MG2はバッテリ194からの電力の供
給を受けて回転駆動する電動機として動作することもで
きるし(以下、この走行状態を力行と呼ぶ)、ロータ1
32,142が外力により回転している場合には三相コ
イル131,141の両端に起電力を生じさせる発電機
として機能してバッテリ194を充電することもできる
(以下、この走行状態を回生と呼ぶ)。 【0020】エンジン150とモータMG1,MG2は
それぞれプラネタリギヤ120を介して機械的に結合さ
れている。プラネタリギヤ120は、サンギヤ121,
リングギヤ122,プラネタリピニオンギヤ123を有
するプラネタリキャリア124から構成されている。サ
ンギヤ121は中央で回転する。プラネタリピニオンギ
ヤ123はサンギヤ121の周囲を自転しながら公転す
る。リングギヤ122はプラネタリピニオンギヤ123
の周囲で回転する。エンジン150のクランクシャフト
156はダンパ130を介してプラネタリキャリア軸1
27に結合されている。ダンパ130はクランクシャフ
ト156に生じる捻り振動を吸収するためのものであ
る。モータMG1のロータ132は、サンギヤ軸125
に結合されている。モータMG2のロータ142は、リ
ングギヤ軸126に結合されている。リングギヤ122
の回転は、チェーンベルト129を介して駆動軸112
および車輪116R,116Lに伝達される。 【0021】実施例のハイブリッド車両の運転全体は制
御ユニット190により制御されている。制御ユニット
190は、EFIECU170と同様、内部にCPU、
ROM、RAM等を有するワンチップ・マイクロコンピ
ュータである。制御ユニット190はEFIECU17
0と接続されており、両者は種々の情報を相互に通信し
合うことが可能である。例えば、EFIECU170は
エンジン水温を水温センサ174により検出しているの
で、制御ユニット190は通信によりエンジン水温を取
得することができる。逆に、制御ユニット190は、エ
ンジン150の制御に必要となるトルク指令値や回転数
の指令値或いは現在のエンジン制御の状況などの情報を
EFIECU170に送信することにより、エンジン1
50の運転を間接的に制御することができる。また、駆
動回路191,192のスイッチングを制御することに
より、モータMG1,MG2の運転を直接制御すること
ができる。 【0022】かかる制御を実現するために制御ユニット
190には、種々のセンサ、例えば、運転者によるアク
セルの踏み込み量を検出するためのアクセルペダルポジ
ションセンサ165、および駆動軸112の回転数を知
るための回転数センサ144などが設けられている。こ
の他、制御ユニット190には、図示を省略したセンサ
として、シフトレバーに設けられたシフトポジションセ
ンサや、ブレーキペダルに設けられたブレーキペダルポ
ジションセンサなども接続されている。リングギヤ軸1
26と駆動軸112は機械的に結合されているため、本
実施例では、駆動軸112の回転数を知るための回転数
センサ144をリングギヤ軸126に設け、モータMG
2の回転を制御するためのセンサと共通にしている。ま
た、制御ユニット190は、サンギヤ軸125の回転角
度θs、リングギヤ軸126の回転角度θr、第1の駆
動回路191からの電流値Iu1,Iv2、第2の駆動
回路192からの電流値Iu2,Iv2、バッテリ19
4の残容量BRMなどの入力を受け、これらを用いてモー
タ制御等を行う。 【0023】かかるハイブリッド車両の基本的な動作を
説明するために、まずプラネタリギヤ120の動作につ
いて説明する。プラネタリギヤ120は、上述した3つ
の回転軸のうち、2つの回転軸の回転数およびトルク
(以下、両者をまとめて回転状態とよぶ)が決定される
と残余の回転軸の回転状態が決まるという性質を有して
いる。各回転軸の回転状態の関係を次式(1)に示す。 【0024】 Nr=(1+ρ)・Nc−ρ・Ns; Nc=(Nr+ρ・Ns)/(1+ρ); Ns=((Nc−Nr)/ρ)+Nc; Ts=(ρ/(1+ρ))・Tc; Tr=(1/(1+ρ))×Tc …(1) 【0025】ここで、Ns,Tsはサンギヤ軸125の
回転数およびトルク、Nr,Trはリングギヤ軸126
の回転数およびトルク、Nc,Tcはプラネタリキャリ
ア軸127の回転数およびトルクである。また、ρは次
式で表される通り、サンギヤ121とリングギヤ122
のギヤ比である。 ρ=サンギヤ121の歯数/リングギヤ122の歯数 【0026】本実施例のハイブリッド車両は、プラネタ
リギヤ120の作用に基づいて、種々の状態で走行する
ことができる。例えば、ハイブリッド車両が走行を始め
た比較的低速な状態では、エンジン150を停止したま
ま、モータMG2を力行することにより駆動軸112に
動力を伝達して走行する。同様にエンジン150をアイ
ドル運転したまま走行することもある。このアイドル運
転については後に詳述する。 【0027】ハイブリッド車両が所定の速度に達する
と、制御ユニット190はモータMG1に正のトルクが
掛かるよう当該モータを制御し、こうして制御されたモ
ータMG1によってエンジン150をクランキングして
始動する。このとき、モータMG1の反力トルクがプラ
ネタリギヤ120を介してリングギヤ122にも出力さ
れる。制御ユニット190はこの反力トルクを相殺しつ
つ要求動力を駆動軸112から出力するようにモータM
G2の運転を制御する。 【0028】エンジン150が運転している状態では、
その動力を種々の回転数およびトルクの回転状態に変換
して駆動軸112から出力し、走行する。エンジン15
0を運転してプラネタリキャリア軸127を回転させる
と、上式(1)を満足する条件下で、サンギヤ軸125
およびリングギヤ軸126が回転する。リングギヤ軸1
26の回転による動力はそのまま車輪116R,116
Lに伝達される。サンギヤ軸125の回転による動力は
モータMG1で電力として回生することができる。一
方、モータMG2を力行すれば、リングギヤ軸126を
介して車輪116R,116Lに動力を出力することが
できる。エンジン150からリングギヤ軸126に伝達
されるトルクが不足する場合にはモータMG2を力行す
ることによりトルクをアシストする。モータMG2を力
行するための電力にはモータMG1で回生した電力およ
びバッテリ149に蓄えられた電力を用いる。制御ユニ
ット190は駆動軸112から出力すべき要求動力に応
じてモータMG1,MG2の運転を制御する。 【0029】プラネタリギヤ120は、リングギヤ12
2が停止した状態で、プラネタリキャリア124および
サンギヤ121を回転させることが可能である。従っ
て、車両が停止した状態でもエンジン150は運転可能
である。例えば、バッテリ194の残容量が少なくなれ
ば、エンジン150を始動し、モータMG1を回生運転
することにより、バッテリ194を充電する。車両が停
止しているときでもモータMG1を力行すれば、そのト
ルクによってエンジン150をクランキングし、始動す
ることができる。このとき、制御ユニット190はモー
タMG2を制御して、モータMG1の反力トルクを相殺
する。 【0030】次に、上記した構成を備える本実施例のハ
イブリッド車両におけるアイドル回転数制御について説
明する。このアイドル回転数制御は、エンジン150を
無負荷状況下において目標アイドル回転数(例えば、1
000rpm)で運転制御するものであり、ハイブリッ
ド車両が採り得る各種の運転モードにおいて随時実行さ
れる。この場合、各運転モードでのエンジン・モータの
統括制御は制御ユニット190にて実行されるので、ア
イドル回転数制御をこの制御ユニット190にて統括制
御の一処理として実行するようにもできる。また、アイ
ドル回転数制御を制御ユニット190の統括制御から切
り離し、エンジン制御を行うEFIECU170にてア
イドル回転数制御を実行するようにすることもできる。
よって、エンジン・モータの統括制御についての簡単な
説明と併せて、本実施例のアイドル回転数制御について
説明することとする。 【0031】まず、この統括制御について説明する。図
3はエンジン・モータを統括的に制御する運転制御ルー
チンを表すフローチャートである。運転制御ルーチンが
実行されると、制御ユニット190は、まずリングギヤ
軸126の回転数Nrを入力する処理を行なう(ステッ
プS100)。リングギヤ軸126の回転数Nrは、図
示しないレゾルバから読み込んだリングギヤ軸126の
回転角度θrから求めることができる。次に、アクセル
ペダルポジションセンサ165からのアクセルペダルポ
ジションAPを読み込む(ステップS102)。アクセ
ルペダルは運転者が出力トルクが足りないと感じたとき
に踏み込まれるから、アクセルペダルポジションAPは
運転者の欲している出力トルク(すなわち、駆動輪11
6R,116Lに出力されるトルク)に対応するものと
なる。 【0032】続いて、読み込まれたアクセルペダルポジ
ションAPに応じてリングギヤ軸126に出力すべきト
ルクの目標値であるトルク指令値Tr*を導出する処理
を行なう(ステップS104)。ここで、アクセルペダ
ルポジションAPに応じて駆動輪116R,116Lに
出力すべきトルクを導出せずに、リングギヤ軸126に
出力すべきトルクを導出するのは次の理由による。リン
グギヤ軸126はプラネタリギヤ120,チェーンベル
ト129およびディファレンシャルギヤ114を介して
駆動輪に機械的に結合されているから、リングギヤ軸1
26に出力すべきトルクを導出すれば、駆動輪に出力す
べきトルクを導出する結果となるからである。なお、ト
ルク指令値Tr*の値の導出には、トルク指令値Tr*
とリングギヤ軸126の回転数Nrとアクセルペダルポ
ジションAPとの関係を示すマップを予めROM190
bに記憶しておき、このマップと読み込まれたアクセル
ペダルポジションAPおよびリングギヤ軸126の回転
数Nrに基づいてトルク指令値Tr*の値を導出するよ
うにすればよい。 【0033】次に、導き出されたトルク指令値Tr*と
読み込まれたリングギヤ軸126の回転数Nrとから、
リングギヤ軸126に出力すべきエネルギPrを計算
(Pr=Tr*×Nr)により求める(ステップS10
6)。続いて、バッテリ194の残容量BRMを読み込む
処理を行なって(ステップS108)、運転モードの判
定処理を行なう(ステップS110)。この運転モード
の判定処理は、ステップS100ないしS108で読み
込んだデータや計算したデータなどを用いて、そのとき
の動力出力装置110のより適切な運転モードを判定す
る。なお、運転モード判定処理は、本発明の要旨と直接
関係しないので、詳細な説明については省略する。 【0034】運転モードの判定処理では、読み込みデー
タ等により、バッテリ194の残容量BRWに基づくバッ
テリの充放電の必要性、モータMG2のみによる駆動可
能性、パワーアシストの必要性等を判定する。そして、
この結果に応じて、その時点の運転モードを、モータM
G1によるバッテリ194の充放電モード、エンジン出
力をモータMG2で賄うパワーアシストモード、サンギ
ヤ軸125の回転を停止した状態のロックアップモー
ド、モータMG2のみによるモータ駆動モード、或い
は、通常の運転を行なう通常運転モードのいずれかを設
定する。 【0035】こうして運転モードが設定されると、設定
された各運転モードに応じたトルク制御処理(ステップ
S112〜120)に移行する。そして、各トルク制御
処理にて、エンジン並びに各モータの必要トルクや回転
数を求め、これに応じたエンジン制御とモータ制御を実
行する。この各トルク制御処理において、エンジン15
0を上記の目標アイドル回転数で運転制御する必要が生
じると、以下に説明するアイドル回転数制御を実行す
る。 【0036】図4はアイドル回転数制御を制御ユニット
190における上記の運転制御ルーチンから切り離し、
EFIECU170にて実行するようにしたアイドル回
転数制御を表すフローチャートである。このアイドル回
転数制御ルーチンは、所定時間ごとに繰り返しEFIE
CU170にて実行されるものであり、図示するよう
に、まず、制御ユニット190の側の運転制御において
エンジン回転数制御を実行中か否かを判定する(ステッ
プS200)。EFIECU170は、制御ユニット1
90との間で既述したように種々の情報通信を行ってい
るので、制御ユニット190からの通信情報により上記
の判定を行う。 【0037】ここで、エンジン回転数制御中であると判
定すれば、アイドル回転数制御の実行を制限する制限処
理を行い(ステップS210)、本ルーチンを一旦終了
する。 【0038】本実施例のアイドル回転数制御では、エン
ジン150が無負荷状況下にあるときに、その時のエン
ジン回転数(実回転数)と目標アイドル回転数(100
0rpm)との偏差を求め、エンジン回転数(実回転
数)が目標アイドル回転数(1000rpm)に一致す
るよう偏差に応じてフィードバック制御するようにし
た。より具体的に説明すると、EFIECU170は、
回転数センサ176からエンジン150の実回転数を読
み込み、これと目標アイドル回転数との偏差を演算す
る。そして、この偏差にフィードバックゲイン等の常数
を乗じる等の演算を行って、スロットルバルブ166や
バイパス通路167のISCV167aの開度、並びに
開度に応じた燃料噴射量等を求め、その求めた開度や燃
料噴射量で各バルブ並びに燃料噴射弁151を駆動制御
する。なお、こうした制御と平行して、点火プラグ16
2を点火制御する。 【0039】上記のステップS210では、こうしたア
イドル回転数制御の実行を制限する。例えば、偏差やバ
ルブ開度、燃料噴射量の演算等を行うものの、バルブ駆
動や燃料噴射弁151駆動については行わないようにす
る。或いは、種々の演算を含めバルブ駆動や燃料噴射弁
151駆動も行わないようにすることもできる。また、
バルブ開度や燃料噴射量をアイドル回転数制御の際に常
用する初期値に設定し、バルブ駆動や燃料噴射弁151
駆動については行わないようにすることもできる。従っ
て、上記の各トルク制御においてエンジン回転数制御の
実行中の間は、ステップS210でのアイドル回転数制
御の実行制限により、スロットルバルブ166やISC
V167a並びに燃料噴射弁151を不用意に駆動させ
ることがない。なお、このステップS210では、点火
プラグ162の点火制御も行われない。 【0040】一方、ステップS200で、エンジン15
0が無負荷状況下にありながら上記の各トルク制御にお
いてエンジン回転数制御が実行されていないと判定した
場合は、上記したアイドル回転数制御を実行し(ステッ
プS220)、一旦本ルーチンを終了する。これによ
り、エンジン150を目標アイドル回転数でフィードバ
ック制御しつつ回転制御することができる。 【0041】以上説明したアイドル回転数制御ルーチン
によれば、次の利点がある。ハイブリッド車両を最適な
運転モードで走行制御している間に、例えば充放電トル
ク制御からの要請でエンジン150をモータMG1で回
転数制御していると、この場合には、ステップS210
によりスロットルバルブ166やISCV167aを駆
動させない。よって、車両の走行状態が変化してこのモ
ータMG1による回転数制御が解除され(ステップS2
00否定判定)、アイドル回転数制御が実行されると、
その時点から、上記の偏差に基づいたバルブ開度並びに
燃料噴射量で、スロットルバルブ166やISCV16
7aおよび燃料噴射弁151を駆動する。このため、ア
イドル回転数制御に先だってバルブ等が駆動するような
ことがないので、吸入空気量と燃料噴射量の整合が採ら
れた状態でのエンジンの点火駆動を起こすことができ、
エンジン150を目標アイドル回転数で好適に制御でき
る。この結果、既述したアンダーシュートやエンジンス
トールといった不具合を回避でき、アイドル回転数制御
の信頼性を高めることができる。 【0042】次に、各運転モードでエンジン・モータを
統括的に制御する図3の運転制御ルーチンの一環として
制御ユニット190の側でアイドル回転数制御を実行
し、EFIECU170ではアイドル回転数制御に必要
な制御量を演算するようにした場合について説明する。
図5はアイドル回転数制御の実行に際しEFIECU1
70で行う制御量演算ルーチンを表すフローチャート、
図6はこの制御量演算ルーチンで求めた制御量を用いた
場合のアイドル回転数制御の実行の様子を説明するため
の説明図である。 【0043】図5に示す制御量演算ルーチンは、所定の
繰り返し時間(数μmin;n)で繰り返しEFIEC
U170にて実行されるものであり、まず、アイドル回
転数制御の演算要求(ISC演算要求)があるか否かを
判定する(ステップS300)。このISC演算要求
は、制御ユニット190が実行する上記の運転制御ルー
チンに基づく様々な走行状況において、エンジン150
がこれと結合されたモータMG1の制御要請(具体的に
は、バッテリ充放電)から当該モータMG1により回転
制御されている際に、車速、アクセル操作に基づく要求
トルク等の状況に応じて出されるものである。ここで、
ISC演算要求について先に説明する。 【0044】制御ユニット190は、図6に示すよう
に、時刻t0でアクセル操作が解消されたために車両を
減速走行させるような場合、操作者の意図(アクセルオ
フによる減速要求)に答えるべく、エンジン回転数を速
やかに低減させる。より詳しくは、時刻t0から燃料噴
射をカットすると共に、モータMG1によりエンジン1
50の回転数を低減制御する。こうして、エンジン負荷
が無負荷状態となり、エンジン150がモータMG1に
よる回転制御を受けつつエンジン回転数が所定値(例え
ば、約1500rpm)となると(時刻t1)、ISC
演算要求フラグをセットし、ISC演算要求を出す。そ
して、制御ユニット190は、このISC演算要求フラ
グのセット後から、上記した偏差に応じたフィードバッ
ク制御によるISC制御を実行し、演算したバルブ開度
並びに燃料噴射量でのバルブ駆動、燃料噴射弁駆動のほ
か、点火プラグ162の点火制御を行う。本実施例で
は、制御ユニット190の側の運転制御ルーチンにてI
SC制御を実行するが、上記偏差(後述の実効偏差Δ
H)の演算に、EFIECU170が以下に説明する本
制御量演算ルーチンで求めたエンジン目標回転数演算値
t_ntcal を用いる。 【0045】ここで、ISC演算要求フラグのセット後
の制御ユニット190における運転制御について簡単に
説明する。制御ユニット190は、時刻t1でのISC
演算要求フラグのセット後も、モータMG1等のトルク
状況を監視する。そして、エンジン150と結合された
モータMG1のトルクが値ゼロとなると(図6;時刻t
2)、それ以降は、ISC制御のみによるエンジン回転
数制御を実行することになる。これは次のような理由に
よる。上記したアクセルオフ後の減速状況では、図1に
示した動力構成の都合上、モータMG2は回生状態にあ
り、その電力はバッテリの充電に回される。このため、
モータMG1を力行状態として電力を消費することで、
バッテリ194への電力受け入れ(充電)を所定のもの
に制限する。こうして力行状態にあるモータMG1をI
SC演算要求フラグのセットと同時にトルクゼロの状態
とすると、モータにショックが起こり好ましくない。よ
って、このショック回避のためにISC演算要求フラグ
のセット後にモータMG1のトルクが値ゼロに徐変する
ようにするので(時刻t1〜t2)、当該トルクが値ゼ
ロとなると、ISC制御のみによるエンジン回転数制御
となる。 【0046】制御ユニット190でこうした制御が行わ
れる間、EFIECU170は、ステップS300にて
ISC演算要求の有無をISC演算要求フラグの状態に
より判定し、ISC演算要求が無いとすれば、エンジン
目標回転数演算値t_ntcal にその時のエンジン回転数en
e (実回転数)をセットする(ステップS310)。こ
のエンジン回転数ene は、回転数センサ176から読み
込まれる。その後、エンジン目標回転数entcalにエンジ
ン目標回転数演算値t_ntcal (=ene )をセットし(ス
テップS320)、本ルーチンを一旦終了する。従っ
て、ISC演算要求が出されるまでは、エンジン目標回
転数entcalはエンジン回転数ene とされる。ところで、
制御ユニット190は、このエンジン目標回転数entcal
を受けてアイドル制御を実行するものの、ステップS3
10はISC演算要求が無い場合のものであることか
ら、次のようになる。 【0047】既述したようにISC演算要求は、エンジ
ン150がモータMG1による回転制御を受けている状
況下にあることを前提とし、その状況下で上記の所定条
件(負荷状態、回転数)が成立すると出力される。よっ
て、エンジン150がモータMG1による回転制御を受
けていない状況下でエンジンをアイドル回転数制御する
必要がある場合は、ISC演算要求は出されない。この
ようにISC演算要求を出さないままアイドル回転数制
御を実行する状況としては、以下のものが挙げられる。 【0048】エンジンのアイドル回転数制御は、エンジ
ン150がモータMG1による回転制御を受けている状
況のほか、種々の局面で必要となる。例えば、車両が停
止状態にあるときにエンジン150をセルモータ等で始
動させ、その後にアイドル回転数制御を実行する場合が
ある。こうした状況では、モータMG1による回転制御
を要しないので、ISC演算要求が出されないままアイ
ドル回転数制御が実行される。こうして、ISC演算要
求が無いままアイドル回転数制御を実行する場合、つま
り、上記のステップS310を経た場合は、制御ユニッ
ト190は、エンジン回転数ene と最終的な目標アイド
ル回転数(1000rpm)との偏差を演算し、この偏
差に応じたバルブ開度並びに燃料噴射量で各バルブ並び
に燃料噴射弁151を駆動制御しつつ、点火プラグ16
2をその点火時期に応じて点火制御する。つまり、制御
ユニット190がアイドル要求以外の要請(充放電要
請)でエンジン回転数制御を実行している際にISC演
算要求を出さない状態では、実回転数を用いたアイドル
回転数制御が実行される。この場合、ステップS320
で求めたエンジン目標回転数entcalはエンジン回転数en
e であることから、上記の偏差演算にステップS320
のエンジン目標回転数entcalを用いることもできる。な
お、この場合は、エンジン150の制御は当初からアイ
ドル回転数制御のみに基づくものであるため、実回転数
を用いても支障は無い。 【0049】その一方、制御ユニット190の側でアイ
ドル演算要求を出せば、つまり、エンジン150がモー
タMG1による回転制御を受けている状況下でのアイド
ル回転数制御であれば、EFIECU170は、ステッ
プS300での肯定判定を受けて、次の処理を行う。即
ち、この肯定判定に続いては、エンジン目標回転数演算
値t_ntcal を徐々に低減させる徐変処理を行って(ステ
ップS330)、その徐変処理結果をエンジン目標回転
数entcalにセットし(ステップS320)、本ルーチン
を一旦終了する。この場合、ISC要求が出された直後
の本ルーチンでは、それ以前の本ルーチンにてエンジン
目標回転数entcalはエンジン回転数eneとされているの
で、このエンジン目標回転数演算値t_ntcal (=ene )
から徐変がなされる。本実施例では、ステップS330
の徐変処理として、次のなまし処理或いはレートリミッ
タ処理のいずれかの手法でエンジン目標回転数演算値t_
ntcal を徐変させた。 【0050】なまし処理; t_ntcal =entcal_old+(ntcaltag−entcal_old)/n 【0051】ここで、entcal_oldは、本ルーチンの前回
の実行の際に演算したエンジン目標回転数entcalであ
り、ntcaltagは、最終目標回転数(上記の1000rp
m)であり、nは、本ルーチンの上記した繰り返し演算
周期である。 【0052】レートリミッタ処理; t_ntcal =entcal_old±α 【0053】ここで、αは定数であり、処理結果のt_nt
cal は、その下限値を最終目標回転数ntcaltagでガード
するようにした。 【0054】従って、エンジン150がモータMG1に
よる回転制御を受けている状況下でISC演算要求を出
してアイドル回転数制御に推移した場合には(図6;時
刻t1以降)、上記した偏差の演算に図6に点線で示す
徐変処理演算値のエンジン目標回転数entcal(=t_ntca
l )を用いる。この徐変処理演算値のエンジン目標回転
数entcalは図中実線で示す実回転数より小さい側に徐変
したものであり、最終的な目標アイドル回転数(100
0rpm)より大きい。よって、この場合のアイドル回
転数制御は、エンジン回転数ene と徐変処理演算値のエ
ンジン目標回転数entcalとの偏差である実効偏差ΔHを
も徐変させる。このため、アイドル回転数制御における
バルブ駆動(閉側駆動)の際、上記のように実効偏差Δ
Hを低減徐変することで、過剰なバルブの閉駆動を回避
できる。よって、時刻t2にてアイドル回転数制御のみ
によりエンジン150が制御されても、吸入空気量の不
整合を抑制できるので、エンジン回転数の不用意な落ち
込みを招かず、エンジンストール等の不具合を起こすこ
とがない。この結果、アイドル回転数制御の信頼性を高
めることができる。 【0055】これに対し、上記のステップS330を行
わず実回転数ene を偏差算出に用いた場合には、大きな
偏差によりバルブ駆動がなされる。よって、時刻t2以
降でアイドル回転数制御のみによりエンジン150が制
御されることになると、それまでのバルブ閉駆動が過剰
なために吸入空気量が不整合となり、エンジンストール
等の不具合を起こすことがある。 【0056】本実施例では、プラネタリギヤ120を適
用したハイブリッド車両を例示した。本発明はこれに関
わらず種々の構成からなるハイブリッド車両に適用可能
である。図7は変形例としてのハイブリッド車両の構成
を示す説明図である。このハイブリッド車両では、プラ
ネタリギヤ120およびモータMG1に代えて、クラッ
チモータCMを備える。クラッチモータとは、相対的に
回転可能なインナロータ202およびアウタロータ20
4を備える対ロータ電動機である。図7に示す通り、イ
ンナロータ202はエンジン150のクランクシャフト
156に結合され、アウタロータ204は駆動軸112
に結合されている。アウタロータ204には、スリップ
リング206を介して電力が供給される。アウタロータ
204側の軸にはモータMG2も結合されている。その
他の構成は、本実施例のハイブリッド車両と同様であ
る。 【0057】エンジン150から出力された動力は、ク
ラッチモータCMを介して駆動軸112に伝達すること
ができる。クラッチモータCMは、インナロータ202
とアウタロータ204との間に電磁的な結合を介して動
力を伝達する。この際、アウタロータ204の回転数が
インナロータ202の回転数よりも低ければ、両者の滑
りに応じた電力をクラッチモータCMで回生することが
できる。逆に、クラッチモータCMに電力を供給すれ
ば、インナロータ202の回転数を増速して駆動軸11
2に出力することができる。エンジン150からクラッ
チモータCMを介して出力されたトルクが駆動軸112
から出力すべき要求トルクと一致しない場合には、モー
タMG2で補償することができる。 【0058】そして、クラッチモータを力行すること
で、エンジン150の回転数制御を行うことができる。
なお、こうした回転数制御を行う際には、インナロータ
202とアウタロータ204間での作用・反作用の原理
に基づき、反力トルクが車軸側に出力される。しかし、
この反力トルクはモータMG2で相殺することができ
る。本発明をこの図7に示すハイブリッド車両に適用し
ても、クラッチモータによるエンジン回転数制御下でア
イドル回転数制御を行う際に、そのアイドル回転数制御
の信頼性を高めることができる。 【0059】本発明は、このようにエンジン150の動
力を駆動軸に直接出力可能なパラレルハイブリッド車両
の他、いわゆるシリーズハイブリッド車両に適用するこ
とも可能である。図8は、シリーズハイブリッド車両の
構成を示す説明図である。シリーズハイブリッド車両で
は、エンジン150のクランクシャフトは発電機Gの回
転軸に機械的に結合されている。エンジン150は駆動
軸には結合されていない。エンジン150を運転するこ
とにより発電機Gで電力を発生することができる。発電
された電力は、バッテリに蓄電される。一方、駆動軸に
はモータMが結合されている。モータMはバッテリの電
力により回転する。 【0060】シリーズハイブリッド車両では、バッテリ
の充電量に応じてエンジン150を運転・停止する。バ
ッテリの電力が消費され、充電が必要になるとエンジン
150を始動して充電を開始する。始動は発電機Gでエ
ンジン150をクランキングして行われ、始動後のエン
ジン運転状況において、エンジン150を発電機Gの制
御の要請から駆動している際に、エンジン150をアイ
ドル回転数制御する場合が起きる。よって、本発明を図
8のシリーズハイブリッド車両に適用しても、アイドル
回転数制御の信頼性を高めることができる。 【0061】 【0062】また、上記したISC要求時のアイドル回
転数制御を実行するに当たり、その偏差演算において、
上記実施例では徐変演算したエンジン目標回転数entcal
(=t_ntcal )を用いたが、最終的な目標アイドル回転
数(1000rpm)を用いるようにすることもでき
る。この場合は、この最終的な目標アイドル回転数との
偏差演算対象となるエンジン回転数ene を、実際のエン
ジン回転数ene を低減補正したエンジン回転数ene (低
減補正値)とする。こうしても、アイドル回転数制御時
のバルブ開度や燃料噴射量等を定める偏差を少なくでき
るので、上記実施例と同様の効果を奏することができ
る。 【0063】以上、本発明の実施の形態について説明し
たが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるも
のではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内におい
て、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。例え
ば、上記実施例では、ソフトウェアにより種々の制御を
実行しているが、これらをハードウェアによって実現す
るものとしても構わない。
とを動力源とし、内燃機関を所定状況下において目標ア
イドル回転数で運転制御するアイドル制御と、このアイ
ドル制御とは異なる回転数制御要求に基づいて内燃機関
の回転数を制御する回転数制御装置を搭載したハイブリ
ッド車両に関する。 【0002】 【従来の技術】近年、内燃機関と電動機とを動力源とし
て備えるハイブリッド車両が提案されている。こうした
ハイブリッド車両であっても、内燃機関のみを動力源と
する既存の車両と同様に、内燃機関を約1000rpm
程度の低回転数のアイドル回転数で運転制御するアイド
ル制御が行われている。 【0003】ところで、ハイブリッド車両では、内燃機
関を車両動力として運転制御するほか、内燃機関を種々
の目的で制御する場合がある。例えば、内燃機関を駆動
軸とは結合させず発電機と結合したいわゆるシリーズハ
イブリッド車両では、内燃機関の動力で発電機を駆動し
て発電させ、この電力でバッテリ充電を図る等の目的
で、内燃機関の回転数を制御することがある。 【0004】内燃機関に加え電動機も駆動軸に結合した
パラレルハイブリッド車両では、電動機を力行すること
で、内燃機関から駆動軸に伝達された動力を補って、駆
動軸から要求動力を出力して走行することができる。こ
のパラレルハイブリッド車両にあっても、シリーズハイ
ブリッド車両と同様に内燃機関を発電機と結合している
ことから、発電電力によるバッテリ充電の目的で、内燃
機関の回転数を制御することがある。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】このように、ハイブリ
ッド車両では、アイドル制御による回転数制御とそれ以
外の制御要求による回転数制御を行う都合上、次のよう
な不具合が指摘されるに至った。 【0006】今、アイドル制御以外の制御要求、例え
ば、発電機を介した発電要求(充放電要求)から、内燃
機関をアイドル回転数(約1000rpm)を越える回
転数(例えば、1500rpm)で発電機により運転制
御している状況を考える。こうした制御状況下にあって
も内燃機関はアイドル制御の制約を受けることから、内
燃機関の吸気スロットル或いはそのバイパス管路のバル
ブは、その時の回転数(1500rpm)をアイドル回
転数(約1000rpm)とすべく、大きく絞り側に駆
動制御される。そして、内燃機関を1500rpmの回
転数で制御する制御要求が解除されると、内燃機関はア
イドル制御により回転数制御される。具体的には、スロ
ットル開度制御、燃料噴射と点火制御が行われる。この
際、スロットルやバイパスバルブは既に絞り側に駆動済
みであることから、吸入空気が不足して、回転数がアイ
ドル回転数を下回ってしまうアンダーシュートが起きた
り、これに伴う振動を起こすことがあった。また、場合
によっては、エンジンストールを起こす虞もあった。特
に、ハイブリッド車両では、車両の走行状態に応じて発
電機を介して内燃機関を種々制御するので、減速走行時
等にあっては、過充放電防止のためやドライバビリティ
維持等のために発電機を介した回転数制御を行う状況で
ありながら、内燃機関をアイドル制御すべき状況が起き
がちである。 【0007】上述の課題は、ハイブリッド車両に限定さ
れた課題ではない。内燃機関のアイドル制御と、アイド
ル制御以外の制御要求で内燃機関の回転数を制御する回
転数制御とを行う全て機構に共通の課題であった。本発
明は、かかる課題を解決するためになされたものであ
り、内燃機関のアイドル制御の実行に伴う不具合を解消
し、信頼性を高めることを目的とする。 【0008】 【課題を解決するための手段およびその作用・効果】か
かる課題の少なくとも一部を解決するため、本発明のハ
イブリッド車両は、内燃機関と第1の電動機とを動力の
供給源として搭載し、該内燃機関に結合された第2の電
動機によって内燃機関の回転数制御を行いつつ走行する
ハイブリッド車両であって、前記内燃機関を所定状況下
において目標アイドル回転数で運転制御するため、前記
内燃機関の回転数と前記目標アイドル回転数との偏差を
是正するよう前記内燃機関の回転数を制御するアイドル
制御手段と、前記第2の電動機の制御上の要求に基づい
て、前記内燃機関の回転数を制御する回転数制御手段
と、前記回転数制御手段による内燃機関の制御状況下に
おいて前記所定状況が発現した場合には、前記アイドル
制御手段による回転数制御の実行を制限する制限手段
と、を備えることを特徴とする。 【0009】上記構成を有する本発明のハイブリッド車
両では、アイドル制御手段とは異なる回転数制御要求、
即ち第2の電動機の制御上の要求(以下、説明の便宜
上、単に他の制御要求という)があれば、この他の制御
要求に基づいて内燃機関の回転数を制御する。そして、
このような回転数制御(以下、説明の便宜上、この回転
数制御を他の回転数制御という)の状況下で、アイドル
制御手段による運転制御が求められる所定状況が発現し
てアイドル制御手段による回転数制御(アイドル回転数
制御)に推移しても、このアイドル回転数制御はその実
行が制限される。よって、アイドル回転数制御への推移
時において、回転数制御の制御度合いを抑制したりでき
る。或いは、他の制御要求に基づく他の回転数制御の状
況の間にはアイドル回転数制御自体を中断しておいて、
アイドル回転数制御推移時から当該制御を実行し、内燃
機関を目標アイドル回転数で運転制御するようにするこ
とができる。このため、他の制御要求に基づいた他の回
転数制御がなされないままアイドル回転数制御に推移し
た場合とほぼ同様に、内燃機関を目標アイドル回転数で
運転制御できる。 【0010】 【0011】 【0012】 【0013】よって、上記の本発明のハイブリッド車両
によれば、上記したようなアイドル回転数制御の実行に
伴う不具合を回避でき、制御の信頼性を高めることがで
きる。特に、本発明のハイブリッド車両では、車両走行
において頻繁に起きる減速走行時等において、過充放電
防止やドライバビリティ維持等を目的とした回転数制御
を行ってこれら目的を達成しつつ、内燃機関を確実に目
標アイドル回転数で好適に運転制御して、その後の内燃
機関運転(例えば、加速運転)に備えることができる。 【0014】なお、本発明のハイブリッド車両は、シリ
ーズハイブリッド車両およびパラレルハイブリッド車両
のいずれの構成でもよい。上述の第1の電動機と第2の
電動機とを異なる電動機とし、エンジンと駆動軸とは結
合されていない構成を適用すれば、シリーズハイブリッ
ド車両となる。また、第1の電動機と第2の電動機とを
異なる電動機とし、エンジンと駆動軸とを結合すれば、
電動機を2つ備えたパラレルハイブリッド車両となる。
さらに、第1の電動機と第2の電動機とを共通の電動機
とすれば、電動機を1つ備えたパラレルハイブリッド車
両となる。 【0015】 【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態を実施
例に基づき説明する。図1は実施例のハイブリッド車両
が有する動力系統の構成を示す説明図、図2は図1のハ
イブリッド車両におけるエンジンを中心とした概略構成
を示す構成図である。説明の都合上、まず図2を用い
て、車両全体の構成から説明する。 【0016】図示するように、実施例のハイブリッド車
両は、ガソリンを燃料として動力を出力するエンジン1
50を備える。このエンジン150は、吸気系からスロ
ットルバルブ166を介して吸入した空気と燃料噴射弁
151から噴射されたガソリンとの混合気を燃焼室15
2に吸入する。エンジン150は、この混合気の爆発に
より押し下げられるピストン154の運動をクランクシ
ャフト156の回転運動に変換する。ここで、スロット
ルバルブ166はスロットルアクチュエータ168によ
り開閉駆動される。点火プラグ162は、イグナイタ1
58からディストリビュータ160を介して導かれた高
電圧によって電気火花を形成し、混合気はその電気火花
によって点火されて爆発燃焼する。 【0017】また、エンジン150の吸気系には、スロ
ットルバルブ166の設けられた吸気部分を迂回するよ
うにバイパス通路167が形成されている。このバイパ
ス通路167には、アイドルスピードコントロールバル
ブ(以下、ISCVと呼ぶ)167aが設けられてい
る。ISCV167aは、リニアソレノイドによって開
弁度が制御される高速応答性に優れた弁体を備えてお
り、この弁体の閉開の時間比に相当するデューティ比を
有するデューティ信号をリニアソレノイドに出力するこ
とにより、空気流量を高精度に制御する。このISCV
167aを用いることで、一般的に大型のDCモータか
ら構成されるスロットルアクチュエータ168を使用す
ることなく、エンジン150のアイドリング時の吸入空
気量を高速制御することができる。 【0018】エンジン150の運転は、EFIECU1
70により制御されている。EFIECU170は内部
にCPU、ROM、RAM等を有するワンチップ・マイ
クロコンピュータであり、CPUがROMに記録された
プログラムに従い、エンジン150の燃料噴射量その他
の制御を実行する。EFIECU170には、エンジン
150の運転状態を示す種々のセンサが接続されてい
る。例えば、スロットルバルブ166の開度(ポジショ
ン)を検出するスロットルバルブポジションセンサ17
1、エンジン150の負荷を検出する吸気管負圧センサ
172、エンジン150の水温を検出する水温センサ1
74、ディストリビュータ160に設けられクランクシ
ャフト156の回転数と回転角度を検出する回転数セン
サ176及び回転角度センサ178などである。なお、
EFIECU170には、この他、例えばイグニッショ
ンキーの状態STを検出するスタータスイッチ179な
ども接続されているが、その他のセンサ,スイッチなど
の図示は省略した。 【0019】動力系統には、他にモータMG1,MG2
が備えられている。モータMG1,MG2は、同期電動
機であり、外周面に複数個の永久磁石を有するロータ1
32,142と、回転磁界を形成する三相コイル13
1,141が巻回されたステータ133,143とを備
える。ステータ133,143はケース119に固定さ
れている。モータMG1,MG2のステータ133,1
43に巻回された三相コイル131,141は、それぞ
れ駆動回路191,192を介してバッテリ194に接
続されている。駆動回路191,192は、各相ごとに
スイッチング素子としてのトランジスタを2つ1組で備
えたトランジスタインバータである。駆動回路191,
192は制御ユニット190に接続されている。制御ユ
ニット190からの制御信号によって駆動回路191,
192のトランジスタがスイッチングされるとバッテリ
194とモータMG1,MG2との間に電流が流れる。
モータMG1,MG2はバッテリ194からの電力の供
給を受けて回転駆動する電動機として動作することもで
きるし(以下、この走行状態を力行と呼ぶ)、ロータ1
32,142が外力により回転している場合には三相コ
イル131,141の両端に起電力を生じさせる発電機
として機能してバッテリ194を充電することもできる
(以下、この走行状態を回生と呼ぶ)。 【0020】エンジン150とモータMG1,MG2は
それぞれプラネタリギヤ120を介して機械的に結合さ
れている。プラネタリギヤ120は、サンギヤ121,
リングギヤ122,プラネタリピニオンギヤ123を有
するプラネタリキャリア124から構成されている。サ
ンギヤ121は中央で回転する。プラネタリピニオンギ
ヤ123はサンギヤ121の周囲を自転しながら公転す
る。リングギヤ122はプラネタリピニオンギヤ123
の周囲で回転する。エンジン150のクランクシャフト
156はダンパ130を介してプラネタリキャリア軸1
27に結合されている。ダンパ130はクランクシャフ
ト156に生じる捻り振動を吸収するためのものであ
る。モータMG1のロータ132は、サンギヤ軸125
に結合されている。モータMG2のロータ142は、リ
ングギヤ軸126に結合されている。リングギヤ122
の回転は、チェーンベルト129を介して駆動軸112
および車輪116R,116Lに伝達される。 【0021】実施例のハイブリッド車両の運転全体は制
御ユニット190により制御されている。制御ユニット
190は、EFIECU170と同様、内部にCPU、
ROM、RAM等を有するワンチップ・マイクロコンピ
ュータである。制御ユニット190はEFIECU17
0と接続されており、両者は種々の情報を相互に通信し
合うことが可能である。例えば、EFIECU170は
エンジン水温を水温センサ174により検出しているの
で、制御ユニット190は通信によりエンジン水温を取
得することができる。逆に、制御ユニット190は、エ
ンジン150の制御に必要となるトルク指令値や回転数
の指令値或いは現在のエンジン制御の状況などの情報を
EFIECU170に送信することにより、エンジン1
50の運転を間接的に制御することができる。また、駆
動回路191,192のスイッチングを制御することに
より、モータMG1,MG2の運転を直接制御すること
ができる。 【0022】かかる制御を実現するために制御ユニット
190には、種々のセンサ、例えば、運転者によるアク
セルの踏み込み量を検出するためのアクセルペダルポジ
ションセンサ165、および駆動軸112の回転数を知
るための回転数センサ144などが設けられている。こ
の他、制御ユニット190には、図示を省略したセンサ
として、シフトレバーに設けられたシフトポジションセ
ンサや、ブレーキペダルに設けられたブレーキペダルポ
ジションセンサなども接続されている。リングギヤ軸1
26と駆動軸112は機械的に結合されているため、本
実施例では、駆動軸112の回転数を知るための回転数
センサ144をリングギヤ軸126に設け、モータMG
2の回転を制御するためのセンサと共通にしている。ま
た、制御ユニット190は、サンギヤ軸125の回転角
度θs、リングギヤ軸126の回転角度θr、第1の駆
動回路191からの電流値Iu1,Iv2、第2の駆動
回路192からの電流値Iu2,Iv2、バッテリ19
4の残容量BRMなどの入力を受け、これらを用いてモー
タ制御等を行う。 【0023】かかるハイブリッド車両の基本的な動作を
説明するために、まずプラネタリギヤ120の動作につ
いて説明する。プラネタリギヤ120は、上述した3つ
の回転軸のうち、2つの回転軸の回転数およびトルク
(以下、両者をまとめて回転状態とよぶ)が決定される
と残余の回転軸の回転状態が決まるという性質を有して
いる。各回転軸の回転状態の関係を次式(1)に示す。 【0024】 Nr=(1+ρ)・Nc−ρ・Ns; Nc=(Nr+ρ・Ns)/(1+ρ); Ns=((Nc−Nr)/ρ)+Nc; Ts=(ρ/(1+ρ))・Tc; Tr=(1/(1+ρ))×Tc …(1) 【0025】ここで、Ns,Tsはサンギヤ軸125の
回転数およびトルク、Nr,Trはリングギヤ軸126
の回転数およびトルク、Nc,Tcはプラネタリキャリ
ア軸127の回転数およびトルクである。また、ρは次
式で表される通り、サンギヤ121とリングギヤ122
のギヤ比である。 ρ=サンギヤ121の歯数/リングギヤ122の歯数 【0026】本実施例のハイブリッド車両は、プラネタ
リギヤ120の作用に基づいて、種々の状態で走行する
ことができる。例えば、ハイブリッド車両が走行を始め
た比較的低速な状態では、エンジン150を停止したま
ま、モータMG2を力行することにより駆動軸112に
動力を伝達して走行する。同様にエンジン150をアイ
ドル運転したまま走行することもある。このアイドル運
転については後に詳述する。 【0027】ハイブリッド車両が所定の速度に達する
と、制御ユニット190はモータMG1に正のトルクが
掛かるよう当該モータを制御し、こうして制御されたモ
ータMG1によってエンジン150をクランキングして
始動する。このとき、モータMG1の反力トルクがプラ
ネタリギヤ120を介してリングギヤ122にも出力さ
れる。制御ユニット190はこの反力トルクを相殺しつ
つ要求動力を駆動軸112から出力するようにモータM
G2の運転を制御する。 【0028】エンジン150が運転している状態では、
その動力を種々の回転数およびトルクの回転状態に変換
して駆動軸112から出力し、走行する。エンジン15
0を運転してプラネタリキャリア軸127を回転させる
と、上式(1)を満足する条件下で、サンギヤ軸125
およびリングギヤ軸126が回転する。リングギヤ軸1
26の回転による動力はそのまま車輪116R,116
Lに伝達される。サンギヤ軸125の回転による動力は
モータMG1で電力として回生することができる。一
方、モータMG2を力行すれば、リングギヤ軸126を
介して車輪116R,116Lに動力を出力することが
できる。エンジン150からリングギヤ軸126に伝達
されるトルクが不足する場合にはモータMG2を力行す
ることによりトルクをアシストする。モータMG2を力
行するための電力にはモータMG1で回生した電力およ
びバッテリ149に蓄えられた電力を用いる。制御ユニ
ット190は駆動軸112から出力すべき要求動力に応
じてモータMG1,MG2の運転を制御する。 【0029】プラネタリギヤ120は、リングギヤ12
2が停止した状態で、プラネタリキャリア124および
サンギヤ121を回転させることが可能である。従っ
て、車両が停止した状態でもエンジン150は運転可能
である。例えば、バッテリ194の残容量が少なくなれ
ば、エンジン150を始動し、モータMG1を回生運転
することにより、バッテリ194を充電する。車両が停
止しているときでもモータMG1を力行すれば、そのト
ルクによってエンジン150をクランキングし、始動す
ることができる。このとき、制御ユニット190はモー
タMG2を制御して、モータMG1の反力トルクを相殺
する。 【0030】次に、上記した構成を備える本実施例のハ
イブリッド車両におけるアイドル回転数制御について説
明する。このアイドル回転数制御は、エンジン150を
無負荷状況下において目標アイドル回転数(例えば、1
000rpm)で運転制御するものであり、ハイブリッ
ド車両が採り得る各種の運転モードにおいて随時実行さ
れる。この場合、各運転モードでのエンジン・モータの
統括制御は制御ユニット190にて実行されるので、ア
イドル回転数制御をこの制御ユニット190にて統括制
御の一処理として実行するようにもできる。また、アイ
ドル回転数制御を制御ユニット190の統括制御から切
り離し、エンジン制御を行うEFIECU170にてア
イドル回転数制御を実行するようにすることもできる。
よって、エンジン・モータの統括制御についての簡単な
説明と併せて、本実施例のアイドル回転数制御について
説明することとする。 【0031】まず、この統括制御について説明する。図
3はエンジン・モータを統括的に制御する運転制御ルー
チンを表すフローチャートである。運転制御ルーチンが
実行されると、制御ユニット190は、まずリングギヤ
軸126の回転数Nrを入力する処理を行なう(ステッ
プS100)。リングギヤ軸126の回転数Nrは、図
示しないレゾルバから読み込んだリングギヤ軸126の
回転角度θrから求めることができる。次に、アクセル
ペダルポジションセンサ165からのアクセルペダルポ
ジションAPを読み込む(ステップS102)。アクセ
ルペダルは運転者が出力トルクが足りないと感じたとき
に踏み込まれるから、アクセルペダルポジションAPは
運転者の欲している出力トルク(すなわち、駆動輪11
6R,116Lに出力されるトルク)に対応するものと
なる。 【0032】続いて、読み込まれたアクセルペダルポジ
ションAPに応じてリングギヤ軸126に出力すべきト
ルクの目標値であるトルク指令値Tr*を導出する処理
を行なう(ステップS104)。ここで、アクセルペダ
ルポジションAPに応じて駆動輪116R,116Lに
出力すべきトルクを導出せずに、リングギヤ軸126に
出力すべきトルクを導出するのは次の理由による。リン
グギヤ軸126はプラネタリギヤ120,チェーンベル
ト129およびディファレンシャルギヤ114を介して
駆動輪に機械的に結合されているから、リングギヤ軸1
26に出力すべきトルクを導出すれば、駆動輪に出力す
べきトルクを導出する結果となるからである。なお、ト
ルク指令値Tr*の値の導出には、トルク指令値Tr*
とリングギヤ軸126の回転数Nrとアクセルペダルポ
ジションAPとの関係を示すマップを予めROM190
bに記憶しておき、このマップと読み込まれたアクセル
ペダルポジションAPおよびリングギヤ軸126の回転
数Nrに基づいてトルク指令値Tr*の値を導出するよ
うにすればよい。 【0033】次に、導き出されたトルク指令値Tr*と
読み込まれたリングギヤ軸126の回転数Nrとから、
リングギヤ軸126に出力すべきエネルギPrを計算
(Pr=Tr*×Nr)により求める(ステップS10
6)。続いて、バッテリ194の残容量BRMを読み込む
処理を行なって(ステップS108)、運転モードの判
定処理を行なう(ステップS110)。この運転モード
の判定処理は、ステップS100ないしS108で読み
込んだデータや計算したデータなどを用いて、そのとき
の動力出力装置110のより適切な運転モードを判定す
る。なお、運転モード判定処理は、本発明の要旨と直接
関係しないので、詳細な説明については省略する。 【0034】運転モードの判定処理では、読み込みデー
タ等により、バッテリ194の残容量BRWに基づくバッ
テリの充放電の必要性、モータMG2のみによる駆動可
能性、パワーアシストの必要性等を判定する。そして、
この結果に応じて、その時点の運転モードを、モータM
G1によるバッテリ194の充放電モード、エンジン出
力をモータMG2で賄うパワーアシストモード、サンギ
ヤ軸125の回転を停止した状態のロックアップモー
ド、モータMG2のみによるモータ駆動モード、或い
は、通常の運転を行なう通常運転モードのいずれかを設
定する。 【0035】こうして運転モードが設定されると、設定
された各運転モードに応じたトルク制御処理(ステップ
S112〜120)に移行する。そして、各トルク制御
処理にて、エンジン並びに各モータの必要トルクや回転
数を求め、これに応じたエンジン制御とモータ制御を実
行する。この各トルク制御処理において、エンジン15
0を上記の目標アイドル回転数で運転制御する必要が生
じると、以下に説明するアイドル回転数制御を実行す
る。 【0036】図4はアイドル回転数制御を制御ユニット
190における上記の運転制御ルーチンから切り離し、
EFIECU170にて実行するようにしたアイドル回
転数制御を表すフローチャートである。このアイドル回
転数制御ルーチンは、所定時間ごとに繰り返しEFIE
CU170にて実行されるものであり、図示するよう
に、まず、制御ユニット190の側の運転制御において
エンジン回転数制御を実行中か否かを判定する(ステッ
プS200)。EFIECU170は、制御ユニット1
90との間で既述したように種々の情報通信を行ってい
るので、制御ユニット190からの通信情報により上記
の判定を行う。 【0037】ここで、エンジン回転数制御中であると判
定すれば、アイドル回転数制御の実行を制限する制限処
理を行い(ステップS210)、本ルーチンを一旦終了
する。 【0038】本実施例のアイドル回転数制御では、エン
ジン150が無負荷状況下にあるときに、その時のエン
ジン回転数(実回転数)と目標アイドル回転数(100
0rpm)との偏差を求め、エンジン回転数(実回転
数)が目標アイドル回転数(1000rpm)に一致す
るよう偏差に応じてフィードバック制御するようにし
た。より具体的に説明すると、EFIECU170は、
回転数センサ176からエンジン150の実回転数を読
み込み、これと目標アイドル回転数との偏差を演算す
る。そして、この偏差にフィードバックゲイン等の常数
を乗じる等の演算を行って、スロットルバルブ166や
バイパス通路167のISCV167aの開度、並びに
開度に応じた燃料噴射量等を求め、その求めた開度や燃
料噴射量で各バルブ並びに燃料噴射弁151を駆動制御
する。なお、こうした制御と平行して、点火プラグ16
2を点火制御する。 【0039】上記のステップS210では、こうしたア
イドル回転数制御の実行を制限する。例えば、偏差やバ
ルブ開度、燃料噴射量の演算等を行うものの、バルブ駆
動や燃料噴射弁151駆動については行わないようにす
る。或いは、種々の演算を含めバルブ駆動や燃料噴射弁
151駆動も行わないようにすることもできる。また、
バルブ開度や燃料噴射量をアイドル回転数制御の際に常
用する初期値に設定し、バルブ駆動や燃料噴射弁151
駆動については行わないようにすることもできる。従っ
て、上記の各トルク制御においてエンジン回転数制御の
実行中の間は、ステップS210でのアイドル回転数制
御の実行制限により、スロットルバルブ166やISC
V167a並びに燃料噴射弁151を不用意に駆動させ
ることがない。なお、このステップS210では、点火
プラグ162の点火制御も行われない。 【0040】一方、ステップS200で、エンジン15
0が無負荷状況下にありながら上記の各トルク制御にお
いてエンジン回転数制御が実行されていないと判定した
場合は、上記したアイドル回転数制御を実行し(ステッ
プS220)、一旦本ルーチンを終了する。これによ
り、エンジン150を目標アイドル回転数でフィードバ
ック制御しつつ回転制御することができる。 【0041】以上説明したアイドル回転数制御ルーチン
によれば、次の利点がある。ハイブリッド車両を最適な
運転モードで走行制御している間に、例えば充放電トル
ク制御からの要請でエンジン150をモータMG1で回
転数制御していると、この場合には、ステップS210
によりスロットルバルブ166やISCV167aを駆
動させない。よって、車両の走行状態が変化してこのモ
ータMG1による回転数制御が解除され(ステップS2
00否定判定)、アイドル回転数制御が実行されると、
その時点から、上記の偏差に基づいたバルブ開度並びに
燃料噴射量で、スロットルバルブ166やISCV16
7aおよび燃料噴射弁151を駆動する。このため、ア
イドル回転数制御に先だってバルブ等が駆動するような
ことがないので、吸入空気量と燃料噴射量の整合が採ら
れた状態でのエンジンの点火駆動を起こすことができ、
エンジン150を目標アイドル回転数で好適に制御でき
る。この結果、既述したアンダーシュートやエンジンス
トールといった不具合を回避でき、アイドル回転数制御
の信頼性を高めることができる。 【0042】次に、各運転モードでエンジン・モータを
統括的に制御する図3の運転制御ルーチンの一環として
制御ユニット190の側でアイドル回転数制御を実行
し、EFIECU170ではアイドル回転数制御に必要
な制御量を演算するようにした場合について説明する。
図5はアイドル回転数制御の実行に際しEFIECU1
70で行う制御量演算ルーチンを表すフローチャート、
図6はこの制御量演算ルーチンで求めた制御量を用いた
場合のアイドル回転数制御の実行の様子を説明するため
の説明図である。 【0043】図5に示す制御量演算ルーチンは、所定の
繰り返し時間(数μmin;n)で繰り返しEFIEC
U170にて実行されるものであり、まず、アイドル回
転数制御の演算要求(ISC演算要求)があるか否かを
判定する(ステップS300)。このISC演算要求
は、制御ユニット190が実行する上記の運転制御ルー
チンに基づく様々な走行状況において、エンジン150
がこれと結合されたモータMG1の制御要請(具体的に
は、バッテリ充放電)から当該モータMG1により回転
制御されている際に、車速、アクセル操作に基づく要求
トルク等の状況に応じて出されるものである。ここで、
ISC演算要求について先に説明する。 【0044】制御ユニット190は、図6に示すよう
に、時刻t0でアクセル操作が解消されたために車両を
減速走行させるような場合、操作者の意図(アクセルオ
フによる減速要求)に答えるべく、エンジン回転数を速
やかに低減させる。より詳しくは、時刻t0から燃料噴
射をカットすると共に、モータMG1によりエンジン1
50の回転数を低減制御する。こうして、エンジン負荷
が無負荷状態となり、エンジン150がモータMG1に
よる回転制御を受けつつエンジン回転数が所定値(例え
ば、約1500rpm)となると(時刻t1)、ISC
演算要求フラグをセットし、ISC演算要求を出す。そ
して、制御ユニット190は、このISC演算要求フラ
グのセット後から、上記した偏差に応じたフィードバッ
ク制御によるISC制御を実行し、演算したバルブ開度
並びに燃料噴射量でのバルブ駆動、燃料噴射弁駆動のほ
か、点火プラグ162の点火制御を行う。本実施例で
は、制御ユニット190の側の運転制御ルーチンにてI
SC制御を実行するが、上記偏差(後述の実効偏差Δ
H)の演算に、EFIECU170が以下に説明する本
制御量演算ルーチンで求めたエンジン目標回転数演算値
t_ntcal を用いる。 【0045】ここで、ISC演算要求フラグのセット後
の制御ユニット190における運転制御について簡単に
説明する。制御ユニット190は、時刻t1でのISC
演算要求フラグのセット後も、モータMG1等のトルク
状況を監視する。そして、エンジン150と結合された
モータMG1のトルクが値ゼロとなると(図6;時刻t
2)、それ以降は、ISC制御のみによるエンジン回転
数制御を実行することになる。これは次のような理由に
よる。上記したアクセルオフ後の減速状況では、図1に
示した動力構成の都合上、モータMG2は回生状態にあ
り、その電力はバッテリの充電に回される。このため、
モータMG1を力行状態として電力を消費することで、
バッテリ194への電力受け入れ(充電)を所定のもの
に制限する。こうして力行状態にあるモータMG1をI
SC演算要求フラグのセットと同時にトルクゼロの状態
とすると、モータにショックが起こり好ましくない。よ
って、このショック回避のためにISC演算要求フラグ
のセット後にモータMG1のトルクが値ゼロに徐変する
ようにするので(時刻t1〜t2)、当該トルクが値ゼ
ロとなると、ISC制御のみによるエンジン回転数制御
となる。 【0046】制御ユニット190でこうした制御が行わ
れる間、EFIECU170は、ステップS300にて
ISC演算要求の有無をISC演算要求フラグの状態に
より判定し、ISC演算要求が無いとすれば、エンジン
目標回転数演算値t_ntcal にその時のエンジン回転数en
e (実回転数)をセットする(ステップS310)。こ
のエンジン回転数ene は、回転数センサ176から読み
込まれる。その後、エンジン目標回転数entcalにエンジ
ン目標回転数演算値t_ntcal (=ene )をセットし(ス
テップS320)、本ルーチンを一旦終了する。従っ
て、ISC演算要求が出されるまでは、エンジン目標回
転数entcalはエンジン回転数ene とされる。ところで、
制御ユニット190は、このエンジン目標回転数entcal
を受けてアイドル制御を実行するものの、ステップS3
10はISC演算要求が無い場合のものであることか
ら、次のようになる。 【0047】既述したようにISC演算要求は、エンジ
ン150がモータMG1による回転制御を受けている状
況下にあることを前提とし、その状況下で上記の所定条
件(負荷状態、回転数)が成立すると出力される。よっ
て、エンジン150がモータMG1による回転制御を受
けていない状況下でエンジンをアイドル回転数制御する
必要がある場合は、ISC演算要求は出されない。この
ようにISC演算要求を出さないままアイドル回転数制
御を実行する状況としては、以下のものが挙げられる。 【0048】エンジンのアイドル回転数制御は、エンジ
ン150がモータMG1による回転制御を受けている状
況のほか、種々の局面で必要となる。例えば、車両が停
止状態にあるときにエンジン150をセルモータ等で始
動させ、その後にアイドル回転数制御を実行する場合が
ある。こうした状況では、モータMG1による回転制御
を要しないので、ISC演算要求が出されないままアイ
ドル回転数制御が実行される。こうして、ISC演算要
求が無いままアイドル回転数制御を実行する場合、つま
り、上記のステップS310を経た場合は、制御ユニッ
ト190は、エンジン回転数ene と最終的な目標アイド
ル回転数(1000rpm)との偏差を演算し、この偏
差に応じたバルブ開度並びに燃料噴射量で各バルブ並び
に燃料噴射弁151を駆動制御しつつ、点火プラグ16
2をその点火時期に応じて点火制御する。つまり、制御
ユニット190がアイドル要求以外の要請(充放電要
請)でエンジン回転数制御を実行している際にISC演
算要求を出さない状態では、実回転数を用いたアイドル
回転数制御が実行される。この場合、ステップS320
で求めたエンジン目標回転数entcalはエンジン回転数en
e であることから、上記の偏差演算にステップS320
のエンジン目標回転数entcalを用いることもできる。な
お、この場合は、エンジン150の制御は当初からアイ
ドル回転数制御のみに基づくものであるため、実回転数
を用いても支障は無い。 【0049】その一方、制御ユニット190の側でアイ
ドル演算要求を出せば、つまり、エンジン150がモー
タMG1による回転制御を受けている状況下でのアイド
ル回転数制御であれば、EFIECU170は、ステッ
プS300での肯定判定を受けて、次の処理を行う。即
ち、この肯定判定に続いては、エンジン目標回転数演算
値t_ntcal を徐々に低減させる徐変処理を行って(ステ
ップS330)、その徐変処理結果をエンジン目標回転
数entcalにセットし(ステップS320)、本ルーチン
を一旦終了する。この場合、ISC要求が出された直後
の本ルーチンでは、それ以前の本ルーチンにてエンジン
目標回転数entcalはエンジン回転数eneとされているの
で、このエンジン目標回転数演算値t_ntcal (=ene )
から徐変がなされる。本実施例では、ステップS330
の徐変処理として、次のなまし処理或いはレートリミッ
タ処理のいずれかの手法でエンジン目標回転数演算値t_
ntcal を徐変させた。 【0050】なまし処理; t_ntcal =entcal_old+(ntcaltag−entcal_old)/n 【0051】ここで、entcal_oldは、本ルーチンの前回
の実行の際に演算したエンジン目標回転数entcalであ
り、ntcaltagは、最終目標回転数(上記の1000rp
m)であり、nは、本ルーチンの上記した繰り返し演算
周期である。 【0052】レートリミッタ処理; t_ntcal =entcal_old±α 【0053】ここで、αは定数であり、処理結果のt_nt
cal は、その下限値を最終目標回転数ntcaltagでガード
するようにした。 【0054】従って、エンジン150がモータMG1に
よる回転制御を受けている状況下でISC演算要求を出
してアイドル回転数制御に推移した場合には(図6;時
刻t1以降)、上記した偏差の演算に図6に点線で示す
徐変処理演算値のエンジン目標回転数entcal(=t_ntca
l )を用いる。この徐変処理演算値のエンジン目標回転
数entcalは図中実線で示す実回転数より小さい側に徐変
したものであり、最終的な目標アイドル回転数(100
0rpm)より大きい。よって、この場合のアイドル回
転数制御は、エンジン回転数ene と徐変処理演算値のエ
ンジン目標回転数entcalとの偏差である実効偏差ΔHを
も徐変させる。このため、アイドル回転数制御における
バルブ駆動(閉側駆動)の際、上記のように実効偏差Δ
Hを低減徐変することで、過剰なバルブの閉駆動を回避
できる。よって、時刻t2にてアイドル回転数制御のみ
によりエンジン150が制御されても、吸入空気量の不
整合を抑制できるので、エンジン回転数の不用意な落ち
込みを招かず、エンジンストール等の不具合を起こすこ
とがない。この結果、アイドル回転数制御の信頼性を高
めることができる。 【0055】これに対し、上記のステップS330を行
わず実回転数ene を偏差算出に用いた場合には、大きな
偏差によりバルブ駆動がなされる。よって、時刻t2以
降でアイドル回転数制御のみによりエンジン150が制
御されることになると、それまでのバルブ閉駆動が過剰
なために吸入空気量が不整合となり、エンジンストール
等の不具合を起こすことがある。 【0056】本実施例では、プラネタリギヤ120を適
用したハイブリッド車両を例示した。本発明はこれに関
わらず種々の構成からなるハイブリッド車両に適用可能
である。図7は変形例としてのハイブリッド車両の構成
を示す説明図である。このハイブリッド車両では、プラ
ネタリギヤ120およびモータMG1に代えて、クラッ
チモータCMを備える。クラッチモータとは、相対的に
回転可能なインナロータ202およびアウタロータ20
4を備える対ロータ電動機である。図7に示す通り、イ
ンナロータ202はエンジン150のクランクシャフト
156に結合され、アウタロータ204は駆動軸112
に結合されている。アウタロータ204には、スリップ
リング206を介して電力が供給される。アウタロータ
204側の軸にはモータMG2も結合されている。その
他の構成は、本実施例のハイブリッド車両と同様であ
る。 【0057】エンジン150から出力された動力は、ク
ラッチモータCMを介して駆動軸112に伝達すること
ができる。クラッチモータCMは、インナロータ202
とアウタロータ204との間に電磁的な結合を介して動
力を伝達する。この際、アウタロータ204の回転数が
インナロータ202の回転数よりも低ければ、両者の滑
りに応じた電力をクラッチモータCMで回生することが
できる。逆に、クラッチモータCMに電力を供給すれ
ば、インナロータ202の回転数を増速して駆動軸11
2に出力することができる。エンジン150からクラッ
チモータCMを介して出力されたトルクが駆動軸112
から出力すべき要求トルクと一致しない場合には、モー
タMG2で補償することができる。 【0058】そして、クラッチモータを力行すること
で、エンジン150の回転数制御を行うことができる。
なお、こうした回転数制御を行う際には、インナロータ
202とアウタロータ204間での作用・反作用の原理
に基づき、反力トルクが車軸側に出力される。しかし、
この反力トルクはモータMG2で相殺することができ
る。本発明をこの図7に示すハイブリッド車両に適用し
ても、クラッチモータによるエンジン回転数制御下でア
イドル回転数制御を行う際に、そのアイドル回転数制御
の信頼性を高めることができる。 【0059】本発明は、このようにエンジン150の動
力を駆動軸に直接出力可能なパラレルハイブリッド車両
の他、いわゆるシリーズハイブリッド車両に適用するこ
とも可能である。図8は、シリーズハイブリッド車両の
構成を示す説明図である。シリーズハイブリッド車両で
は、エンジン150のクランクシャフトは発電機Gの回
転軸に機械的に結合されている。エンジン150は駆動
軸には結合されていない。エンジン150を運転するこ
とにより発電機Gで電力を発生することができる。発電
された電力は、バッテリに蓄電される。一方、駆動軸に
はモータMが結合されている。モータMはバッテリの電
力により回転する。 【0060】シリーズハイブリッド車両では、バッテリ
の充電量に応じてエンジン150を運転・停止する。バ
ッテリの電力が消費され、充電が必要になるとエンジン
150を始動して充電を開始する。始動は発電機Gでエ
ンジン150をクランキングして行われ、始動後のエン
ジン運転状況において、エンジン150を発電機Gの制
御の要請から駆動している際に、エンジン150をアイ
ドル回転数制御する場合が起きる。よって、本発明を図
8のシリーズハイブリッド車両に適用しても、アイドル
回転数制御の信頼性を高めることができる。 【0061】 【0062】また、上記したISC要求時のアイドル回
転数制御を実行するに当たり、その偏差演算において、
上記実施例では徐変演算したエンジン目標回転数entcal
(=t_ntcal )を用いたが、最終的な目標アイドル回転
数(1000rpm)を用いるようにすることもでき
る。この場合は、この最終的な目標アイドル回転数との
偏差演算対象となるエンジン回転数ene を、実際のエン
ジン回転数ene を低減補正したエンジン回転数ene (低
減補正値)とする。こうしても、アイドル回転数制御時
のバルブ開度や燃料噴射量等を定める偏差を少なくでき
るので、上記実施例と同様の効果を奏することができ
る。 【0063】以上、本発明の実施の形態について説明し
たが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるも
のではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内におい
て、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。例え
ば、上記実施例では、ソフトウェアにより種々の制御を
実行しているが、これらをハードウェアによって実現す
るものとしても構わない。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例のハイブリッド車両が有する動力系統の
構成を示す説明図である。 【図2】図1のハイブリッド車両におけるエンジンを中
心とした概略構成を示す構成図である。 【図3】エンジン・モータを統括的に制御する運転制御
ルーチンを表すフローチャートである。 【図4】制御ユニット190における運転制御ルーチン
から切り離して実行するようにしたアイドル回転数制御
を表すフローチャートである。 【図5】アイドル回転数制御の際の目標アイドル回転数
の演算を行う制御量演算ルーチンを表すフローチャート
である。 【図6】この制御量演算ルーチンで求めた制御量を用い
た場合のアイドル回転数制御の実行の様子を説明するた
めの説明図である。 【図7】変形例としてのハイブリッド車両の構成を示す
説明図である。 【図8】別の変形例としてのシリーズハイブリッド車両
の構成を示す説明図である。 【符号の説明】 110…動力出力装置 112…駆動軸 114…ディファレンシャルギヤ 116R,116L…車輪(駆動輪) 119…ケース 120…プラネタリギヤ 121…サンギヤ 122…リングギヤ 123…プラネタリピニオンギヤ 124…プラネタリキャリア 125…サンギヤ軸 126…リングギヤ軸 127…プラネタリキャリア軸 129…チェーンベルト 130…ダンパ 131,141…三相コイル 132,142…ロータ 133,143…ステータ 144…回転数センサ 149…バッテリ 150…エンジン 151…燃料噴射弁 152…燃焼室 154…ピストン 156…クランクシャフト 158…イグナイタ 160…ディストリビュータ 162…点火プラグ 165…アクセルペダルポジションセンサ 166…スロットルバルブ 167…バイパス通路 167a…アイドルスピードコントロールバルブ(IS
CV) 168…スロットルアクチュエータ 171…スロットルバルブポジションセンサ 172…吸気管負圧センサ 174…水温センサ 176…回転数センサ 178…回転角度センサ 179…スタータスイッチ 190…制御ユニット 191…第1の駆動回路 192…第2の駆動回路 194…バッテリ 202…インナロータ 204…アウタロータ 206…スリップリング MG1,MG2…モータ CM…クラッチモータ G…発電機 M…モータ
構成を示す説明図である。 【図2】図1のハイブリッド車両におけるエンジンを中
心とした概略構成を示す構成図である。 【図3】エンジン・モータを統括的に制御する運転制御
ルーチンを表すフローチャートである。 【図4】制御ユニット190における運転制御ルーチン
から切り離して実行するようにしたアイドル回転数制御
を表すフローチャートである。 【図5】アイドル回転数制御の際の目標アイドル回転数
の演算を行う制御量演算ルーチンを表すフローチャート
である。 【図6】この制御量演算ルーチンで求めた制御量を用い
た場合のアイドル回転数制御の実行の様子を説明するた
めの説明図である。 【図7】変形例としてのハイブリッド車両の構成を示す
説明図である。 【図8】別の変形例としてのシリーズハイブリッド車両
の構成を示す説明図である。 【符号の説明】 110…動力出力装置 112…駆動軸 114…ディファレンシャルギヤ 116R,116L…車輪(駆動輪) 119…ケース 120…プラネタリギヤ 121…サンギヤ 122…リングギヤ 123…プラネタリピニオンギヤ 124…プラネタリキャリア 125…サンギヤ軸 126…リングギヤ軸 127…プラネタリキャリア軸 129…チェーンベルト 130…ダンパ 131,141…三相コイル 132,142…ロータ 133,143…ステータ 144…回転数センサ 149…バッテリ 150…エンジン 151…燃料噴射弁 152…燃焼室 154…ピストン 156…クランクシャフト 158…イグナイタ 160…ディストリビュータ 162…点火プラグ 165…アクセルペダルポジションセンサ 166…スロットルバルブ 167…バイパス通路 167a…アイドルスピードコントロールバルブ(IS
CV) 168…スロットルアクチュエータ 171…スロットルバルブポジションセンサ 172…吸気管負圧センサ 174…水温センサ 176…回転数センサ 178…回転角度センサ 179…スタータスイッチ 190…制御ユニット 191…第1の駆動回路 192…第2の駆動回路 194…バッテリ 202…インナロータ 204…アウタロータ 206…スリップリング MG1,MG2…モータ CM…クラッチモータ G…発電機 M…モータ
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(51)Int.Cl.7 識別記号 FI
F02D 29/02 F02D 29/02 D
331 331Z
29/06 29/06 D
(72)発明者 原田 修
愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自
動車株式会社内
(72)発明者 日野 晴二
愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自
動車株式会社内
(72)発明者 阿部 真一
愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自
動車株式会社内
(72)発明者 山本 健児
愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式
会社デンソー内
(72)発明者 川端 剛士
愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式
会社デンソー内
(56)参考文献 特開 平11−107834(JP,A)
特開 平10−325348(JP,A)
特開2000−97069(JP,A)
特開 平9−117009(JP,A)
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
B60K 6/02 - 6/04
B60L 11/00 - 11/18
F02D 29/00 - 29/06
F02D 41/16
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 内燃機関と第1の電動機とを動力の供給
源として搭載し、該内燃機関に結合された第2の電動機
によって内燃機関の回転数制御を行いつつ走行するハイ
ブリッド車両であって、 前記内燃機関を所定状況下において目標アイドル回転数
で運転制御するため、前記内燃機関の回転数と前記目標
アイドル回転数との偏差を是正するよう前記内燃機関の
回転数を制御するアイドル制御手段と、 前記第2の電動機の制御上の要求に基づいて、前記内燃
機関の回転数を制御する回転数制御手段と、 前記回転数制御手段による内燃機関の制御状況下におい
て前記所定状況が発現した場合には、前記アイドル制御
手段による回転数制御の実行を制限する制限手段と、 を備えることを特徴とするハイブリッド車両。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000130466A JP3452866B2 (ja) | 2000-04-28 | 2000-04-28 | 内燃機関の回転数制御装置を有するハイブリッド車両 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000130466A JP3452866B2 (ja) | 2000-04-28 | 2000-04-28 | 内燃機関の回転数制御装置を有するハイブリッド車両 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001304022A JP2001304022A (ja) | 2001-10-31 |
JP3452866B2 true JP3452866B2 (ja) | 2003-10-06 |
Family
ID=18639566
Family Applications (1)
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---|---|---|---|
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Families Citing this family (2)
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JP4059283B2 (ja) | 2006-08-25 | 2008-03-12 | トヨタ自動車株式会社 | 車両の制御装置、ハイブリッド車両、車両の制御方法、車両の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムおよびそのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体 |
JP6331341B2 (ja) * | 2013-11-11 | 2018-05-30 | 株式会社豊田中央研究所 | 動力伝達装置 |
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2000
- 2000-04-28 JP JP2000130466A patent/JP3452866B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JP2001304022A (ja) | 2001-10-31 |
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