JP4421733B2 - 射出プレス成形金型装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、合成樹脂から成る成形品のうち第1成形部の外面に対応した第1金型と、前記成形品の一部を構成するとともに第1成形部の一部周縁に鋭角をなす方向で連なる第2成形部の外面に対応した第2金型とを少なくとも備え、第1および第2金型の型割り面が、前記第1および第2成形部の連設部に対応した位置に配置される射出プレス成形金型装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ところで、射出プレス成形金型装置は、予め圧縮ストローク分だけ開いた金型空間に溶融した合成樹脂を射出した後に、金型を圧縮するように閉じるようにして成形品を得るものであるが、成形品の周縁部にアンダーカットとなる鋭角部があると、その角部に空気が溜まって溶融樹脂による充分な成形ができないことがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記鋭角部から空気を充分に排除するために、型割り面を該鋭角部に対応する位置に配置することも考えられるが、型割り面からの空気の排出が不充分となる可能性がある。
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、成形品の周縁の鋭角部をも確実に成形可能とした射出プレス成形金型装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、合成樹脂から成る成形品のうち第1成形部の外面に対応した第1金型と、前記成形品の一部を構成するとともに第1成形部の一部周縁に鋭角をなす方向で連なる第2成形部の外面に対応した第2金型とを少なくとも備え、第1および第2金型の型割り面が、前記第1および第2成形部の連設部に対応した位置に配置される射出プレス成形金型において、前記成形品に対応したキャビティのうち前記第1および第2成形部の連設部に対応した屈曲部分の外方に配置されるダミーキャビティと、該ダミーキャビティ及び前記屈曲部分間を結ぶ絞り通路部とが、型締め状態での第1および第2金型間に形成され、前記絞り通路部は前記屈曲部分の外方に配置されると共に、その絞り通路部の前記屈曲部分への開口端が、該屈曲部分の上面よりも低い位置に存することを特徴とする。
【0006】
このような構成によれば、第1および第2金型を圧縮した型締め状態としたときに、成形品のうち第1および第2成形部の連設部に対応した部分でキャビティからは、絞り通路部で流通量を絞りつつダミーキャビティ側に溶融樹脂の一部が流れることになり、前記連設部に空気が溜まることを確実に防止して成形品の周縁の鋭角部をも確実に成形することができ、しかも成形完了後に絞り通路部に対応する部分を成形品から切除することも容易である。
【0007】
また請求項2記載の発明は、上記請求項1記載の発明の構成に加えて、前記第2成形部の内面に対応した押上げコアが、第1および第2金型の型開き時に、第1金型側に向けて斜めに成形品を押し上げることを可能として第2金型に配設されることを特徴とし、かかる構成によれば、アンダーカット部となる第2成形部を第2金型および押上げコア間で成形するようにして、第2成形部の射出プレス成形が可能となる。
【0008】
さらに請求項3記載の発明は、上記請求項1記載の発明の構成に加えて、前記第1および第2金型間での前記絞り通路部の幅が0.5mm以下に設定されることを特徴とし、かかる構成によれば、ダミーキャビティ側に流れる余剰溶融樹脂量を抑え、溶融樹脂の無駄な消費を極力抑えることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付の図面に示した本発明の一実施例に基づいて説明する。
【0010】
図1〜図4は本発明の一実施例を示すものであり、図1は成形完了後の成形品の平面図、図2は図1の2−2線断面図、図3は射出プレス成形金型装置の縦断面図、図4は図3の4矢示部拡大図である。
【0011】
先ず図1および図2において、成形品5はたとえば車両のフロントフェンダであり、この成形品5の一部は、比較的広い面積の第1成形部5aと、第1成形部5aの周縁の一部周縁に鋭角をなす方向で連なる第2成形部5bとで構成される。
【0012】
図3および図4を併せて参照して、前記成形品5を射出プレス成形するための金型装置は、前記成形品5のうち第1成形部5aの外面に対応した第1金型としての固定金型6と、前記成形品5のうち第2成形部5bの外面に対応した第2金型としての可動金型7とを少なくとも備える。
【0013】
固定金型6は固定取付板8に固定される。また可動金型7は、固定金型6の下方に配置されており、該可動金型7よりも下方に配置された可動取付板9に複数のスペーサブロック10,10…を介して取付けられ、可動取付板9の昇降作動により可動金型7が固定金型6に対して近接、離反する。しかも可動金型7には、複数のガイドピン11…が固定されており、各ガイドピン11…は固定金型6に設けられるブッシュ12…に摺動可能に嵌合される。
【0014】
ところで可動取付板9上には、可動取付板9に対する上下相対移動を可能とした下部突き出し板13と、上部突き出し板14とが重なって配設されており、第2成形部5bの内面に対応して可動金型7に配設される押上げコア15に連結されて可動金型7を摺動自在に貫く傾斜ロッド16が前記上部突き出し板14に連結される。
【0015】
而して前記押上げコア15は、固定金型6および可動金型7の型開き時に、固定金型6側に向けて斜めに成形品5を押し上げることが可能であり、それによりアンダーカット部となる第2成形部5bを可動金型7および押上げコア15間で成形することが可能となる。
【0016】
ところで前記固定金型6、可動金型7および押上げコア15により、成形品5に対応した形状のキャビティ17が形成されるのであるが、そのキャビティ17に溶融樹脂を射出するための射出ゲート18が、固定取付板8および固定金型6に設けられる。
【0017】
また前記キャビティ17に上端を臨ませる突き出しピン19が可動金型7を上下移動自在に貫通して配設されており、この突き出しピン19の下端は、下部突き出し板13および上部突き出し板14間に固定的に挟持される。
【0018】
ところで固定金型6および可動金型7の型割り面は、第1および第2成形部5a,5bの連設部に対応した位置に配置されるものであり、成形品5に対応したキャビティ17のうち第1および第2成形部5a,5bの連設部に対応した屈曲部分の外方に配置されるダミーキャビティ20と、該ダミーキャビティ20および前記屈曲部分間を結ぶ絞り通路部21とが、固定金型6および可動金型7に形成される。そして、前記絞り通路部21は前記屈曲部分の外方に配置されると共に、その絞り通路部21の前記屈曲部分への開口端が、該屈曲部分の上面よりも低い位置に存するものである。
【0019】
しかも固定金型6および可動金型7間での前記絞り通路部21の幅は0.5mm以下に設定されることが望ましい。
【0020】
次にこの実施例の作用について説明すると、成形品5に対応したキャビティ17のうち第1および第2成形部5a,5bの連設部に対応した屈曲部分の外方にダミーキャビティ20が配置され、ダミーキャビティ20キャビティ17の前記屈曲部分との間が絞り通路部21を介して結ばれるので、固定金型6および可動金型7を圧縮して型締めしたときに、成形品5のうち第1および第2成形部5a,5bの連設部に対応した部分でキャビティ17からは、絞り通路部21で流通量を絞りつつダミーキャビティ20側に溶融樹脂の一部が流れることになる。
【0021】
したがって第1および第2成形部5a,5bの連設部に空気が溜まることを確実に防止して成形品5の周縁の鋭角部をも確実に成形することができ、しかも成形完了後に絞り通路部21に対応する部分を成形品5から切除することも容易である。
【0022】
また第2成形部5bの内面に対応した押上げコア15が、型開き時に固定金型6側に向けて斜めに成形品5を押し上げることを可能として可動金型7に配設されるので、アンダーカット部となる第2成形部5bを可動金型7および押上げコア15間で成形するようにして、第2成形部5bの射出プレス成形が可能となる。
【0023】
さらに固定金型6および可動金型7間での絞り通路部21の幅を0.5mm以下に設定することで、ダミーキャビティ20側に流れる余剰溶融樹脂量を抑え、溶融樹脂の無駄な消費を極力抑えることができる。
【0024】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【0025】
【発明の効果】
以上のように請求項1記載の発明によれば、成形品の周縁の鋭角部をも確実に成形することができ、成形完了後に絞り通路部に対応する部分を成形品から切除することも容易である。
【0026】
また請求項2記載の発明によれば、アンダーカット部となる第2成形部を第2金型および押上げコア間で成形するようにして、第2成形部の射出プレス成形が可能となる。
【0027】
さらに請求項3記載の発明によれば、ダミーキャビティ側に流れる余剰溶融樹脂量を抑え、溶融樹脂の無駄な消費を極力抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 成形完了後の成形品の平面図である。
【図2】 図1の2−2線拡大断面図である。
【図3】 射出プレス成形金型装置の縦断面図である。
【図4】 図3の4矢示部拡大図である。
【符号の説明】
5・・・成形品
5a・・・第1成形部
5b・・・第2成形部
6・・・第1金型としての固定金型
7・・・第2金型としての可動金型
15・・・押上げコア
17・・・キャビティ
20・・・ダミーキャビティ
21・・・絞り通路部

Claims (3)

  1. 合成樹脂から成る成形品(5)のうち第1成形部(5a)の外面に対応した第1金型(6)と、前記成形品(5)の一部を構成するとともに第1成形部(5a)の一部周縁に鋭角をなす方向で連なる第2成形部(5b)の外面に対応した第2金型(7)とを少なくとも備え、第1および第2金型(6,7)の型割り面が、前記第1および第2成形部(5a,5b)の連設部に対応した位置に配置される射出プレス成形金型装置において、
    前記成形品(5)に対応したキャビティ(17)のうち前記第1および第2成形部(5a,5b)の連設部に対応した屈曲部分の外方に配置されるダミーキャビティ(20)と、該ダミーキャビティ(20)及び前記屈曲部分間を結ぶ絞り通路部(21)とが、型締め状態での第1および第2金型(6,7)間に形成され
    前記絞り通路部(21)は前記屈曲部分の外方に配置されると共に、その絞り通路部(21)の前記屈曲部分への開口端が、該屈曲部分の上面よりも低い位置に存することを特徴とする射出プレス成形金型装置。
  2. 前記第2成形部(5b)の内面に対応した押上げコア(15)が、第1および第2金型(6,7)の型開き時に、第1金型(6)側に向けて斜めに成形品(5)を押し上げることを可能として第2金型(7)に配設されることを特徴とする請求項1記載の射出プレス成形金型装置。
  3. 前記第1および第2金型(6,7)間での前記絞り通路部(21)の幅が0.5mm以下に設定されることを特徴とする請求項1記載の射出プレス成形金型装置。
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