JP4421143B2 - 偏波面保持型光ファイバグレーティング、光モジュール及び光通信システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光情報通信分野、光計測分野などに用いられる光ファイバグレーティングに関し、特に、製造性及び温度特性の両方の点において優れている偏波面保持型光ファイバグレーティングに関する。
【0002】
【従来の技術】
高密度な波長多重通信を実現するために、偏波面を保持するタイプの光ファイバグレーティングが開発されている。また、光センサ等の分野でも、偏波面保持型光ファイバグレーティングを形成し、この偏波面保持型光ファイバグレーティング1個のみで、偏波面保持型光ファイバを伝搬する2つの偏波方向、すなわち、光の伝搬速度が遅い軸(以下「Slow軸」と略記する)方向と、光の伝搬速度が速い軸(以下「Fast軸」と略記する)方向の透過光又は反射光をモニタして、温度と歪みの両方を検知するセンサ等が開発されている。
このような分野で用いられる光ファイバグレーティングには、短周期型光ファイバグレーティングと長周期型光ファイバグレーティングの2種類がある。
短周期型光ファイバグレーティングとは、通常、導波モード光を、伝搬方向に対して逆方向に進む導波モード光(すなわち反射モード光)、またはクラッドモード光に結合させる光ファイバグレーティングをいい、特定の波長の光を反射又は減衰させる機能を持つ。短周期型光ファイバグレーティングのグレーティング周期は、波長1.55μm帯域用としては、400〜600nm程度、波長0.98μm帯域用としては、200〜400nm程度のものが用いられる。
【0003】
一方、長周期型光ファイバグレーティングとは、導波モード光を、伝搬方向と同方向のクラッドモード光ないしは放射モード光に結合させる光ファイバグレーティングをいい、特定に波長の光を減衰させる機能を持つ。長周期型光ファイバグレーティングのグレーティング周期は、波長1.2μm〜波長1.7μm程度の光に対して、数十μm〜数百μmのものが用いられる。
偏波面保持型光ファイバグレーティングは、偏波面保持型光ファイバ上にこのようなグレーティングを形成して、偏波面を保持しつつ特定の波長の光を反射又は減衰させる機能を持つものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、偏波面保持型光ファイバ、特にPANDAファイバ等のように、ファイバ製造時の残留応力を利用して製造された光ファイバは、温度変動によって残留応力が変動するため、例えば、高温時におけるPANDAファイバの複屈折率は、常温時における複屈折率より小さくなっている。
このことは、偏波面保持型光ファイバのSlow軸及びFast軸に電界成分を持つ各偏波の導波光の実効屈折率の温度依存性が、偏波により異なっていることを意味する。これにより、PANDAファイバ等のように、残留応力を利用した偏波面保持型光ファイバを用いて形成された偏波面保持型光ファイバグレーティングは、反射光ないしは透過光の挿入損失偏波依存性(Polarization-dependent Loss以下「PDL」と略記する)などの偏波特性が劣化する。
【0005】
図9、10、11に、偏波特性の温度依存性について、その具体例を示している。図9は、波長1.55μm帯域用のPANDAファイバに、グレーティング間隔を338.2μmとしてグレーティングを形成した長周期型光ファイバグレーティングについて、導波モードからクラッドモードへの結合による損失特性の温度依存性を、各偏波について示したものである。図9(a)はSlow軸方向の偏波(以下「X偏波」という)についての損失特性であり、図9(b)はFast軸方向の偏波(以下「Y偏波」という)についての損失特性である。測定温度は、−20℃、0℃、25℃、40℃、及び70℃とした。
図9(a)、(b)からわかるように、透過損失の中心波長(以下「中心波長」と略記する)は、X偏波については、1.55μm帯にあり、Y偏波については1.4μm帯にある。さらに、その温度特性については、X偏波の中心波長は、温度上昇に伴って短波長側に移動し、Y偏波の中心波長は、温度上昇に伴って長波長側に移動している。
【0006】
このような事情から、1つの光ファイバグレーティングを用いて、X偏波とY偏波の両偏波に対して、損失の中心波長が同じ波長帯域となるようにすることはできないが、偏波毎にグレーティングの製造パラメータを調整して形成した偏波面保持型光ファイバグレーティングを縦列接続して、X偏波とY偏波の両偏波に対して同一の透過損失特性を持つようにすることは可能である。
この例を図10、11に示している。図10は、グレーティング周期を362.0μmとして、そのY偏波の透過損失特性が、図9(a)に示した光ファイバグレーティングのX偏波の透過損失特性とほぼ同一となるように調整したものである。
これらの偏波面保持型光ファイバグレーティングを、偏波面を揃えて融着により縦列接続したときの挿入損失偏波依存性を図11に示している。縦列接続したことによって、設計中心温度である25℃においては、PDLは小さくなっている。しかし、設計温度以外の温度においては、中心波長が温度変動に伴ってシフトし、このシフト量が偏波毎に異なるため、PDLが著しく劣化するという問題を生じる。
【0007】
また、このようにして偏波面保持型光ファイバグレーティングを構成すると、偏波毎に光学特性を調整した光ファイバグレーティングを準備し、これを組み合わせて用いる必要があるため、生産効率上の問題もあった。
一方、短周期型光ファイバグレーティングについても、例えば、1.55μm帯では、偏波面によって、中心波長が0.3nm程度ずれるため、両偏波を利用する用途への適用はやはり困難であった。
本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、偏波毎の透過損失特性の温度変動が少なく、かつ簡単な構成によって生産性を向上することができる偏波面保持型光ファイバグレーティングを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するために、請求項1記載の発明は、偏波面保持型光ファイバの長手方向に周期的に屈折率変化を持たせてなる偏波面保持型光ファイバグレーティングにおいて、略同一の損失波長特性を有する2つの該偏波面保持型光ファイバグレーティングが、その偏波面を90°異なるようにして縦列接続されてなることを特徴とする偏波面保持型光ファイバグレーティングであり、これにより、接続面において、X偏波光とY偏波光とが入れ替わるようにしたものである。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記2つの偏波面保持型光ファイバグレーティングを各々別のパッケージとし、このパッケージ間を偏波面保持型光ファイバで接続したことを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記2つの偏波面保持型光ファイバグレーティングを接続したものを1つのパッケージに収納したことを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明は、請求項1、2又は3記載の発明において、前記2つの偏波面保持型光ファイバグレーティングとして、長周期型光ファイバグレーティングを用いたことを特徴とする。
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明において、前記2つの偏波面保持型光ファイバグレーティングのクラッドモードの次数をずらすことにより、偏波面保持型光ファイバグレーティング間のクラッドモード干渉を抑制することを特徴とする。
請求項6記載の発明は、請求項4記載の発明において、前記2つの偏波面保持型光ファイバグレーティング間に、クラッドモードを消衰させる物質を添加したクラッドを有する光ファイバが挟まれていることを特徴とする。
請求項7記載の発明は、請求項1、2又は3記載の発明において、前記2つの偏波面保持型光ファイバグレーティングとして、短周期型光ファイバグレーティングを用いたことを特徴とする。
【0010】
請求項8記載の発明は、請求項1から7のいずれか1項に記載の偏波面保持型光ファイバグレーティングを有することを特徴とする光モジュールである。
請求項9記載の発明は、請求項8記載の光モジュールを組み込んだことを特徴とする光通信システムである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
まず、本発明の偏波面保持型光ファイバグレーティングの第1の例について説明する。
図1は、本発明の偏波面保持型光ファイバグレーティングの第1の例を示すものである。
図1中、符号1a、1b、1cは偏波面保持型光ファイバを示す。この偏波面保持型光ファイバ1a、1b、1cとして、PANDAファイバなど残留応力を利用した複屈折光ファイバが用いられる。この偏波面保持型光ファイバ1aは、第1の長周期型光ファイバグレーティング2の入力端に接続されている。
この第1の長周期型光ファイバグレーティング2の出力端には、偏波面保持型光ファイバ1bを介して、第2の長周期型光ファイバグレーティング3の入力端が接続され、この第2の長周期型光ファイバグレーティング3の出力端には、偏波面保持型光ファイバ1cが接続されている。
第1の長周期型光ファイバグレーティング2及び第2の長周期型光ファイバグレーティング3はそれぞれ、補強材に固定されてパッケージ4が形成されている。これは、光ファイバグレーティングは被覆を除去した光ファイバ上に形成されるため、機械的強度が弱く、補強材を用いて保護することが必要となるからである。
【0012】
この第1の長周期型光ファイバグレーティング2と第2の長周期型光ファイバグレーティング3とは、略同一の透過損失特性を有している。例えば、第1の長周期型ファイバグレーティングは、グレーティング間隔を338.2μmとして、図2(a)に示すように、X偏波の透過損失の中心波長が1.55μm帯となるように作製されている。
一方、第2の長周期型光ファイバグレーティングも、グレーティング間隔を338.2μmとして、図2(b)に示すように、X偏波の透過損失の中心波長が1.55μm帯となるように作製されている。
この2つの長周期型光ファイバグレーティングを接続する偏波面保持型光ファイバ1bは、偏波面が90°異なるようにするために、90°捻りの状態で融着接続されている。この90°捻りの状態とは、接続箇所において、互いの偏波面が90°異なっているのが理想的であるが、製造上の誤差を考慮すると、偏波クロストークの劣化を例えば−25dB以下とするためには、90°に対して±3.1°以内とすることが必要であり、例えば−20dB以下とするためには、90°に対して±5.5°以内とすることが必要である。
また、第2の長周期型光ファイバグレーティング3の出力端に接続されている偏波面保持型光ファイバ1cも、90°捻りの状態で融着接続されている。
なお、ここでは、波長1.55μm帯において使用することを目的として、長周期型光ファイバグレーティングのグレーティング間隔を338.2μmとしているが、これに限定されるものではなく、使用する波長帯域に応じて、適宜変更して作製されるものである。
【0013】
次に、この例の偏波面保持型光ファイバグレーティングの動作例について説明する。
偏波面保持型光ファイバ1aを伝搬する信号光のうち、X偏波光は、第1の長周期型光ファイバグレーティング2によって、波長1.55μm帯において、透過損失を受ける。
しかし、Y偏波光については、図8(b)に示すように、透過損失の中心波長は1.4μm帯であり、波長1.55μm帯においては透過損失を受けない。従って、第1の長周期型光ファイバグレーティング2によって透過損失を受けるのはX偏波光のみである。
【0014】
このようにして、波長1.55μm帯においてX偏波光のみが透過損失を受けた信号光は、偏波面保持型光ファイバ1bを伝搬するが、偏波面保持型光ファイバ1bは90°捻り接続されているため、X偏波光とY偏波光とが入れ替わり、第2の長周期型光ファイバグレーティング3においては、波長1.55μm帯においてY偏波光のみが透過損失を受け、X偏波光は透過損失を受けない。
従って、第1の長周期型光ファイバグレーティング2と第2の長周期型光ファイバグレーティング3を通過した後のX偏波光とY偏波光は、波長1.55μm帯において、ほぼ同一の透過損失を受け、しかも、第1の長周期型光ファイバグレーティング2のX偏波光に対する透過損失の温度特性と、第2の長周期型光ファイバグレーティング3のY偏波光に対する透過損失の温度特性の差は充分に小さい。
【0015】
この信号光は、偏波面保持型光ファイバ1cを伝搬するが、偏波面保持型光ファイバ1cは90°捻り接続されているため、X偏波とY偏波とが再び入れ替わり、2つの長周期ファイバグレーティングに入射する前の偏波状態に戻る。
図3に、この例の偏波面保持型光ファイバグレーティングのPDLの温度特性を示している。図3からわかるように、設計中心温度である25℃ばかりでなく、その他の温度においても、PDLは極めて小さな値となっている。
この例によると、略同一の透過損失特性を有する第1の長周期型光ファイバグレーティング2と第2の長周期型光ファイバグレーティング3とが、偏波面保持型光ファイバ1bによって90°捻り接続されていることにより、X偏波光とY偏波光の両偏波光に対して、波長1.55μm帯において、ほぼ同一の透過損失特性を持ち、かつ、透過損失特性の温度特性もほぼ同一となる偏波面保持型光ファイバグレーティングを実現することができる。
また、この例によると、偏波毎にグレーティングの製造パラメータを調整して形成した偏波面保持型光ファイバグレーティングを準備する必要がないため、偏波面保持型光ファイバグレーティングの製造性を向上させることができる。
【0016】
次に、本発明の偏波面保持型光ファイバグレーティングの第2の例について説明する。
図4に、本発明の偏波面保持型光ファイバグレーティングの第2の例を示す。
この例は、第1の長周期型光ファイバグレーティング2と第2の長周期型光ファイバグレーティング3とを90°捻り接続し、これを1つのパッケージ4として形成し、これに偏波面保持型光ファイバ1cを90°捻り接続して偏波面保持型光ファイバグレーティングを形成したものである。
この例においては、偏波面保持型光ファイバ1aを伝搬する光のうち、波長1.55μm帯において、第1の長周期型光ファイバグレーティング2によってX偏波光のみが透過損失を受け、次に、第2の長周期型光ファイバグレーティング3によってY偏波のみが透過損失を受ける。
従って、第1の長周期型光ファイバグレーティング2と第2の長周期型光ファイバグレーティング3を通過した後のX偏波光とY偏波光は、波長1.55μm帯において、ほぼ同一の透過損失を受け、しかも、その温度特性も同一である。
【0017】
なお、この例においては、第1の長周期型光ファイバグレーティング2と第2の長周期型光ファイバグレーティング3との間で、クラッドモード間の干渉を防ぐために、クラッドモードの次数を各長周期型ファイバグレーティングでずらすことが望ましい。
この例によると、第1の長周期型光ファイバグレーティング2と第2の長周期型光ファイバグレーティング3とを90°捻り接続し、これを1つのパッケージ4として形成することにより、両偏波光に対して、波長1.55μm帯において、ほぼ同一の透過損失特性を持ち、かつ、透過損失特性の温度特性もほぼ同一となる偏波面保持型光ファイバグレーティングの小型化を実現することができる。
【0018】
次に、本発明の偏波面保持型光ファイバグレーティングの第3の例について説明する。
図5に、本発明の偏波面保持型光ファイバグレーティングの第3の例を示す。この例では、第1の長周期型光ファイバグレーティング2と第2の長周期型光ファイバグレーティング3とを90°捻り接続し、これを1つのパッケージ4として形成し、これに偏波面保持型光ファイバ1cを90°捻り接続したものであることは第2の例と同様であるが、第1の長周期型光ファイバグレーティング2と第2の長周期型光ファイバグレーティング3との間に、コバルト等の遷移金属元素や、エルビウム等のように、使用波長帯域の光を吸収する材料をクラッドに添加した光ファイバ5が挟まれて接続されている。
クラッドモードの干渉を防ぐには、通常30dB以上、好ましくは50dB以上クラッドモード光を減衰させる必要がある。このためには、クラッドにドーパントを添加した光ファイバ5の長さと、ドーパントの添加量により、クラッドモード光の減衰量を調整することができる。
図8に、クラッドにドーパントを添加した光ファイバの長さと、透過損失との関係を示している。図8からわかるように、例えば、50dB以上の減衰量を得るためには、クラッド内にコバルトを15000ppm含む光ファイバでは、長さ7.5mm以上、30000ppm含む光ファイバでは、長さ4mm以上とすればよい。また、30dB以上の減衰量を得るためには、クラッド内にコバルトを15000ppm含む光ファイバでは、長さ5mm以上、30000ppm含む光ファイバでは、長さ2.5mm以上とすればよい。
このような構成とすることにより、第1の長周期型光ファイバグレーティング2と第2の長周期型光ファイバグレーティング3との間で、クラッドモードの次数を変えることなく、クラッドモードの干渉を抑制することができる。
【0019】
なお、第2の例及び第3の例において、第2の長周期型光ファイバグレーティング3と偏波面保持型光ファイバ1cを90°捻り接続する位置を、パッケージ4の内部としているが、これに限定されるものではなく、パッケージ4の外部において接続してもよい。
この例によると、第1の長周期型光ファイバグレーティング2と第2の長周期型光ファイバグレーティング3とを90°捻り接続し、この2つの長周期型光ファイバグレーティングの間に、使用波長帯域の光を吸収する材料がクラッドに添加された光ファイバ5を挟んで接続して1つのパッケージ4とすることにより、両偏波光に対してほぼ同一の透過損失特性を持ち、かつ、透過損失特性の温度特性もほぼ同一となり、小型化が可能で、かつ、クラッドモードの干渉を抑制することができる偏波面保持型光ファイバグレーティングを実現することができる。
【0020】
次に、本発明の偏波面保持型光ファイバグレーティングの第4の例について説明する。
図6に、本発明の偏波面保持型光ファイバグレーティングの第4の例を示す。
図6中、符号1a、1b、1cは偏波面保持型光ファイバを示す。この偏波面保持型光ファイバ1aは、第1の短周期型光ファイバグレーティング6の入力端に接続されている。
この第1の短周期型光ファイバグレーティング6の出力端には、偏波面保持型光ファイバ1bを介して、第2の短周期型光ファイバグレーティング7の入力端が接続され、この第2の短周期型光ファイバグレーティング7の出力端には、偏波面保持型光ファイバ1cが接続されている。
【0021】
この第1の短周期型光ファイバグレーティング6と第2の短周期型光ファイバグレーティング7とは、略同一の透過損失特性を有している。
この2つの短周期型光ファイバグレーティングを接続する偏波面保持型光ファイバ1bは、偏波面が90°異なるようにするために、90°捻りの状態で融着接続されている。また、第2の短周期光ファイバグレーティング7の出力端に接続されている偏波面保持型光ファイバ1cも、90°捻りの状態で融着接続されている。
【0022】
次に、この例の偏波面保持型光ファイバグレーティングの動作例について説明する。
偏波面保持型光ファイバ1aを伝搬する信号光のうち、波長1.55μm帯において、第1の短周期型光ファイバグレーティング6によってX偏波光のみが透過損失を受け、次に、第2の短周期光ファイバグレーティング7によってY偏波のみが透過損失を受ける。
この例によると、第1の短周期型光ファイバグレーティング6と第2の短周期型光ファイバグレーティング7とを接続する偏波面保持型光ファイバ1bが90°捻り接続されていることにより、X偏波光とY偏波光の両偏波光に対して、波長1.55μm帯において、ほぼ同一の透過損失特性を持ち、かつ、透過損失特性の温度特性もほぼ同一となる偏波面保持型光ファイバグレーティングを実現することができる。
【0023】
次に、本発明の偏波面保持型光ファイバグレーティングの第5の例について説明する。
図7に、本発明の偏波面保持型光ファイバグレーティングの第5の例を示す。
この例は、第1の短周期型光ファイバグレーティング6と第2の短周期型光ファイバグレーティング7とを90°捻り接続し、これを1つのパッケージ4として形成し、これに偏波面保持型光ファイバ1cを90°捻り接続したものである。
この例では、光の損失分は、反射光、すなわち、入射光とは逆方向の導波モードまたはクラッドモードや、放射モードへ結合するため、第1の短周期型光ファイバグレーティング6と第2の短周期型光ファイバグレーティング7との間でモード間の干渉を生じることがない。従って、クラッドモードの次数をずらしたり、2つの短周期型光ファイバグレーティングの間にクラッドモードを消衰させるための領域を設けることなく、簡単な構成で小型の光減衰器や利得等化器を実現することができる。
【0024】
この例によると、第1の短周期型光ファイバグレーティング6と第2の短周期型光ファイバグレーティング7とを90°捻り接続して、1つのパッケージ4とすることにより、両偏波光に対して、波長1.55μm帯において、ほぼ同一の透過損失特性を持ち、かつ、透過損失特性の温度特性もほぼ同一であり、小型化が可能で、クラッドモードの干渉を抑制することができる偏波面保持型光ファイバグレーティングを実現することができる。
【0025】
次に、本発明の光モジュールの例について説明する。
この例は、他の光部品と、上述した偏波面保持型光ファイバグレーティングとを組み合わせて、光モジュールを構成したものである。
例えば、光増幅器の利得を等化するために、偏波面保持型光ファイバグレーティングが利得等化器として用いられる場合、利得等化器の損失特性の温度依存性が大きいと、光増幅器モジュール全体として温度変動の影響を大きく受けることとなる。
本発明の偏波面保持型光ファイバグレーティングは、温度による影響を受けることなく、両偏波に対してほぼ同一の損失を与えることができるため、この偏波面保持型光ファイバグレーティングを組み込むことにより、温度に依存しない光学特性を有する光増幅器モジュールを実現することができる。
従って、より一般的には、本発明の偏波面保持型光ファイバグレーティングを他の光部品と組み合わせることによって、温度に依存しない光学特性を有する光モジュールを実現することができる。
【0026】
次に、本発明の光通信システムの例について説明する。
この例は、本発明の光モジュールを組み込んで構成された光通信システムである。本発明の光モジュールは、温度に依存しない光学特性を有するため、この光モジュールを組み込むことにより、温度変動の影響を受けずに通信を行うことができる光通信システムを実現することができる。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、略同一の透過損失特性を有する第1の長周期型光ファイバグレーティング2と第2の長周期型光ファイバグレーティング3とが、偏波面保持型光ファイバ1bによって90°捻り接続されていることにより、X偏波光とY偏波光の両偏波光に対して、ほぼ同一の透過損失特性を持ち、かつ、透過損失特性の温度特性もほぼ同一となる偏波面保持型光ファイバグレーティングを実現することができる。
また、偏波毎にグレーティングの製造パラメータを調整して形成した偏波面保持型光ファイバグレーティングを準備する必要がないため、偏波面保持型光ファイバグレーティングの製造性を向上させることができる。
【0028】
さらに、2つの長周期型光ファイバグレーティングを90°捻り接続し、これを1つのパッケージとして形成することにより、偏波面保持型光ファイバグレーティングの小型化を実現することができる。
さらに、この2つの長周期型光ファイバグレーティングの間に、使用波長帯域の光を吸収する材料がクラッドに添加された光ファイバを挟んで接続して1つのパッケージとすることにより、小型化が可能で、かつ、クラッドモードの干渉を抑制することができる偏波面保持型光ファイバグレーティングを実現することができる。
【0029】
また、本発明によれば、略同一の透過損失特性を有する第1の短周期型光ファイバグレーティングと第2の短周期型光ファイバグレーティングとが、偏波面保持型光ファイバによって90°捻り接続されていることにより、X偏波光とY偏波光の両偏波光に対して、ほぼ同一の透過損失特性を持ち、かつ、透過損失特性の温度特性もほぼ同一となる偏波面保持型光ファイバグレーティングを実現することができる。
さらに、この2つの短周期型光ファイバグレーティングを90°捻り接続して、1つのパッケージとすることにより、小型化が可能で、かつ、クラッドモードの干渉を抑制することができる偏波面保持型光ファイバグレーティングを実現することができる。
【0030】
また、本発明によると、偏波面保持型光ファイバグレーティングを他の光部品と組みあわせることによって、温度に依存しない光学特性を有する光モジュールを実現することができる。
さらに、この光モジュールを組み込むことにより、温度変動の影響を受けずに通信を行うことができる光通信システムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の偏波面保持型光ファイバグレーティングの第1の例を示す図である。
【図2】グレーティング間隔338.2μmで作製した長周期型光ファイバグレーティングの、X偏波に対する透過損失特性とその温度特性を示す図である。
【図3】本発明の偏波面保持型光ファイバグレーティングのPDLの温度特性を示す図である。
【図4】本発明の偏波面保持型光ファイバグレーティングの第2の例を示す図である。
【図5】本発明の偏波面保持型光ファイバグレーティングの第3の例を示す図である。
【図6】本発明の偏波面保持型光ファイバグレーティングの第4の例を示す図である。
【図7】本発明の偏波面保持型光ファイバグレーティングの第5の例を示す図である。
【図8】クラッドにドーパントを添加した光ファイバの長さと、透過損失との関係を示す図である。
【図9】偏波面保持型光ファイバグレーティングの透過損失特性の温度特性を示す図であり、(a)はグレーティング間隔338.2μmの長周期型光ファイバグレーティングのX偏波の透過損失、(b)はグレーティング間隔338.2μmの長周期型光ファイバグレーティングのY偏波の透過損失である。
【図10】偏波面保持型光ファイバグレーティングの透過損失特性の温度特性を示す図であり、グレーティング間隔362.0μmの長周期型光ファイバグレーティングのY偏波の透過損失を示す図である。
【図11】グレーティング間隔338.2μmの長周期型光ファイバグレーティングとグレーティング間隔362.0μmの長周期型光ファイバグレーティングを縦列接続したときのPDLを示すものである。
【符号の説明】
1a、1b、1c…偏波面保持型光ファイバ、2…第1の長周期型光ファイバグレーティング、3…第2の長周期型光ファイバグレーティング、4…パッケージ、
5…クラッドモードの干渉を抑制するための物質をクラッドに添加した光ファイバ、6…第1の短周期型光ファイバグレーティング、7…第2の短周期型光ファイバグレーティグ
Claims (9)
- 偏波面保持型光ファイバの長手方向に周期的に屈折率変化を持たせてなる偏波面保持型光ファイバグレーティングにおいて、
略同一の損失波長特性を有する2つの該偏波面保持型光ファイバグレーティングが、その偏波面を90°異なるようにして縦列接続されてなることを特徴とする偏波面保持型光ファイバグレーティング。 - 前記2つの偏波面保持型光ファイバグレーティングを各々別のパッケージとし、このパッケージ間を偏波面保持型光ファイバで接続したことを特徴とする請求項1記載の偏波面保持型光ファイバグレーティング。
- 前記2つの偏波面保持型光ファイバグレーティングを接続したものを1つのパッケージに収納したことを特徴とする請求項1記載の偏波面保持型光ファイバグレーティング。
- 前記2つの偏波面保持型光ファイバグレーティングは長周期型光ファイバグレーティングであることを特徴とする請求項1、2又は3記載の偏波面保持型光ファイバグレーティング。
- 前記2つの偏波面保持型光ファイバグレーティングのクラッドモードの次数をずらすことにより、偏波面保持型光ファイバグレーティング間のクラッドモード干渉を抑制することを特徴とする請求項4記載の偏波面保持型光ファイバグレーティング。
- 前記2つの偏波面保持型光ファイバグレーティング間に、クラッドモードを消衰させる物質を添加したクラッドを有する光ファイバが挟まれていることを特徴とする請求項4記載の偏波面保持型光ファイバグレーティング。
- 前記2つの偏波面保持型光ファイバグレーティングは短周期型光ファイバグレーティングであることを特徴とする請求項1、2又は3記載の偏波面保持型光ファイバグレーティング。
- 請求項1から7のいずれか1項に記載の偏波面保持型光ファイバグレーティングを有することを特徴とする光モジュール。
- 請求項8記載の光モジュールを組み込んだことを特徴とする光通信システムである。
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