JP4420167B2 - 電界発光素子 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電界発光素子、特には電界発光性粉粒体を含有する誘電体を発光層とする、輝度が高く、寿命特性に優れ、しかも均一な発光を与える分散型電界発光素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電界発光素子は、発光層の構成様式により分散型と薄膜型とに分けられる。これらは従来の発光素子とは異なり、少ない消費電力にて平面発光を与えるという特色を有し、近年各種光源及び表示パネルとして急速に注目を集めてきている。特に分散型の電界発光素子においては、製造方法が容易であること、安価であること、任意の形状の素子が製造可能なこと等の有利点を生かして液晶表示バックライト、案内灯及び常夜灯等としての応用が開始されている状況である。
【0003】
従来、このような分散型の電界発光素子は、CdS、ZnS、ZnSe、ZnSiO、BN、SiC等の電界発光性粉粒体を誘電体物質中に分散させたものを一方の電極基板上に薄膜状に塗布し、これに他の電極基板を加熱圧着等の手段で接着させてなるものが知られており、誘電体物質としては誘電率の大きいものほど高輝度を与えることが明らかとなっている。
【0004】
而して、これらの誘電体物質としては、一般にシアノエチルセルロース、シアノエチルスターチ、シアノエチルプルラン等の多糖類のシアノエチル化物、シアノエチルヒドロキシエチルセルロース、シアノエチルグリセロールプルラン等の多糖誘導体のシアノエチル化物、シアノエチルポリビニルアルコール等のポリオール類のシアノエチル化物、及びフッ化ビニリデン等のフッ素樹脂のような誘電率の高い高分子物質が使用されているが、上記に示した物質は、種々の欠点を有しており、電界発光性粉粒体の誘電体としては必ずしも完全に満足できるものではなかった。
【0005】
即ち、多糖類及び多糖誘導体のシアノエチル化物やシアノエチルポリビニルアルコールにおいては、共通する欠点として吸湿率が大きいことがあり、電界発光素子の誘電体として用いた場合、その大きい吸湿量のために発光性粉粒体を劣化させてしまい素子としての寿命を短くする。
【0006】
また、シアノエチルセルロース、シアノエチルスターチは、電極基板との接着性に劣るため、これを使用した場合には、電極と発光層との間に空隙が発生したり、使用中に電極と発光層とが部分的に剥離することがあり、電界発光素子の特性である均一な発光が損なわれてしまう不利がある。接着性を可塑剤の添加により改良することも試みられてはいるが、その場合には、誘電率の低下による輝度の減少や発光体の寿命が短くなる欠点が生じる。
【0007】
なお、シアノエチルヒドロキシセルロース、シアノエチルグリセロールプルラン及びシアノエチルポリビニルアルコールは、誘電率の温度による変化が大きく、それを用いた素子の使用温度範囲が限定される場合がある。
【0008】
一方、フッ化ビニリデン等のフッ素樹脂は、吸湿性も小さく、また誘電率の温度変化も少ない利点を有するが、誘電率が多糖類及び多糖誘導体のシアノエチル化物に比べて約半分しかなく、輝度が低下する欠点を有している。
【0009】
特公平8−6087号公報には、シアノアルキル基含有オルガノポリシロキサンを主成分とする有機高誘電体が提案されているが、これは半固体或いは固体状物質であり、皮膜形成するには取り扱いが面倒である。また、吸湿性の改善が不十分であり、電界発光素子の寿命が短いという欠点を有していた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、電界発光素子に使用する誘電体において、高分子誘電体として、誘電率が高く、誘電正接が小さいという優れた電気特性を示し、かつ吸湿性が小さく、フィルム形成能が良好な高誘電付加型硬化性バインダー組成物の硬化物を用いることにより、輝度の高い、寿命特性に優れた、しかも均一な発光を与える分散型電界発光素子を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記の課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、電界発光性粉粒体を含有する誘電体が発光層として層状に形成された電界発光素子において、該誘電体を、(a)脂肪族不飽和結合を有する一価炭化水素基とシアノアルキル基とを含有するオルガノポリシロキサン、(b)シアノアルキル基を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、及び(c)白金族金属系触媒を含有する高誘電付加型硬化性バインダー組成物の硬化物からなるものとすることにより、誘電率が高く、誘電正接が小さいという優れた電気特性を示し、かつ吸湿性が小さく、フィルム形成能が良好な誘電体となり得ることを知見し、更にこの誘電体を用いることにより、輝度が高く、寿命特性に優れ、しかも均一な発光を与える分散型電界発光素子が得られることを見出し、本発明をなすに至ったものである。
【0012】
従って、本発明は、電界発光性粉粒体を含有する誘電体が発光層として層状に形成された電界発光素子において、該誘電体が、
(a)シアノアルキル基と脂肪族不飽和結合を有する一価炭化水素基とを含有するオルガノポリシロキサン、
(b)シアノアルキル基含有オルガノハイドロジェンポリシロキサン、及び
(c)白金族金属系触媒
を含有する高誘電付加型硬化性バインダー組成物の硬化物からなることを特徴とする電界発光素子を提供する。
【0013】
この場合、上記誘電体が、(a)下記平均組成式(I)
1 a2 b3 cSiO(4-a-b-c)/2 (I)
(式中、R1は炭素数3〜5のシアノアルキル基、R2は炭素数2〜6の脂肪族不飽和結合を有する一価炭化水素基、R3は炭素数1〜10のR1、R2以外の一価炭化水素基、aは0.2〜0.95、bは0.05〜0.7、cは0.05〜1.0、a+b+cは1.05〜1.9である。)
で示されるシアノアルキル基と脂肪族不飽和結合を有する一価炭化水素基とを含有するオルガノポリシロキサン、
(b)下記平均組成式(II)
4 k5 m6 nSiO(4-k-m-n)/2 (II)
(式中、R4は炭素数3〜5のシアノアルキル基、R5は水素原子、R6は炭素数1〜10のR4以外の一価炭化水素基、kは0.2〜0.7、mは0.2〜0.7、nは1.0〜1.6、k+m+nは2.0〜2.3である。)
で示されるシアノアルキル基を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、及び
(c)白金族金属系触媒
を含有する高誘電付加型硬化性バインダー組成物の硬化物からなるものであると、更に好適である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の電界発光素子は、
(a)シアノアルキル基と脂肪族不飽和結合を有する一価炭化水素基とを含有するオルガノポリシロキサン、
(b)シアノアルキル基含有オルガノハイドロジェンポリシロキサン、及び
(c)白金族金属系触媒
を含有する高誘電付加型硬化性バインダー組成物の硬化物からなる誘電体中に電界発光性粉粒体を含有したものが発光層として層状に形成されたものであることを特徴とする。
【0015】
本発明の誘電体となり得る高誘電付加型硬化性バインダー組成物には、ニトリル基の存在が不可欠であり、このバインダー組成物に用いられる(a)成分のオルガノポリシロキサン及び(b)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンには、構造単位中にシアノアルキル基を含有していることが必要である。これは、極性の高いニトリル基が電界中において配向分極することにより、誘電率が向上するためであると考えられる。
【0016】
高誘電付加型硬化性バインダー組成物の(a)成分である脂肪族不飽和結合を有する一価炭化水素基とシアノアルキル基とを含有するオルガノポリシロキサンとしては、下記平均組成式(I)で示されるものであることが好ましい。
【0017】
1 a2 b3 cSiO(4-a-b-c)/2 (I)
(式中、R1は炭素数3〜5のシアノアルキル基、R2は炭素数2〜6の脂肪族不飽和結合を有する一価炭化水素基、R3は炭素数1〜10のR1、R2以外の一価炭化水素基、aは0.2〜0.95、bは0.05〜0.7、cは0.05〜1.0、a+b+cは1.05〜1.9である。)
【0018】
上記式中、R1で示される炭素数3〜5のシアノアルキル基としては、例えばシアノエチル基、シアノプロピル基、シアノブチル基、2−シアノプロピル基、2−シアノブチル基、3−シアノブチル基、2−メチル−2−シアノプロピル基等を挙げることができ、シアノエチル基が好ましい。
【0019】
2で示される炭素数2〜6の脂肪族不飽和結合を有する一価炭化水素基としては、例えばビニル基、アリル基等のアルケニル基などを挙げることができ、ビニル基が好ましい。
【0020】
3はR1、R2以外の炭素数1〜10、好ましくは1〜8の非置換又は置換の一価炭化水素基であり、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等のアルキル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基等のアラルキル基、クロロメチル基、ブロモエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、1,1,1−トリフルオロヘキシル基、3−クロロプロピル基等のハロゲン置換一価炭化水素基などが挙げられ、これらの中でもメチル基が好ましい。
【0021】
前記平均組成式(I)中のシアノアルキル基の含量であるaは、0.2〜0.95、好ましくは0.3〜0.6である。シアノアルキル基含量が少なすぎるとポリマー中のニトリル基の濃度が下がってしまい、それに伴って誘電率も低下してしまうおそれがある。また、シアノアルキル基含量が多すぎると相対的に脂肪族不飽和結合を有する一価炭化水素基の量bが低下することとなり、硬化性が不十分となる場合がある。
【0022】
脂肪族不飽和結合を有する一価炭化水素基の含量であるbは、0.05〜0.7、好ましくは0.3〜0.6である。脂肪族不飽和結合を有する一価炭化水素基含量が少なすぎると硬化性が不十分となる場合がある。また、含量が多すぎると相対的にシアノアルキル基の含量aが低下することとなり、よってポリマー中のニトリル基の濃度が下がってしまい、それに伴って誘電率も低下してしまう場合がある。
【0023】
1、R2を除く非置換又は置換の一価炭化水素基の含量であるcは、あまり大きすぎるとシアノアルキル基含有量或いは脂肪族不飽和結合を有する一価炭化水素基含有量が少なくなるおそれがあるため、0.05〜1.0、好ましくは0.6〜0.9である。
【0024】
前記平均組成式(I)中のシアノアルキル基、脂肪族不飽和結合を有する一価炭化水素基及び上記R1、R2を除く非置換又は置換の一価炭化水素基の総和である(a+b+c)は、1.05〜1.9、好ましくは1.5〜1.8の範囲である。この範囲未満であると、オルガノポリシロキサンは非常に脆い樹脂状となる場合があり、また上記範囲を超えると、バインダー組成物の硬化が不良となり、フィルム成形が困難となってしまうおそれがある。
【0025】
本発明の平均組成式(I)で示される脂肪族不飽和結合を有する一価炭化水素基とシアノアルキル基とを含有するオルガノポリシロキサンを得るには、特殊な方法に限定されるものではなく、一般的なポリシロキサンの合成法によればよく、具体的には、シアノアルキル基を有するシランと脂肪族不飽和結合を有する一価炭化水素基を含有するシランとを加水分解して得られたシロキサンを重合するか、又は脱アルコール反応、脱水反応等の縮合反応により、目的物を得ることができる。
【0026】
ここで、本発明の脂肪族不飽和結合を有する一価炭化水素基とシアノアルキル基とを含有するオルガノポリシロキサンの原料となるシランとしては、更に加水分解可能な官能基が1個以上ケイ素原子に直接結合していることが好ましく、加水分解可能な官能基としては、ハロゲン、OR、OCOR又はNRR’(ここで、R、R’は水素原子又はアルキル基を示す。)等が挙げられる。
【0027】
上記R、R’で示されるアルキル基としては、炭素数1〜8、特に1〜6のものが好ましく、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
【0028】
上記原料となるシランとして具体的には、シアノアルキル基を含有するシラン原料として、シアノエチルジメチルクロロシラン、シアノプロピルジエチルメトキシシラン、シアノエチルジメチルアセトキシシラン、ジシアノエチルメチルメトキシシラン等の1官能性シラン;シアノエチルクロルメチルジクロロシラン、シアノエチルメチルジメトキシシラン、シアノエチルトリフルオロプロピルジエトキシシラン、シアノプロピルフェニルジアミノシラン等の2官能性シラン;シアノエチルトリエトキシシラン、シアノブチルトリメトキシシラン等の3官能性シランが挙げられる。
【0029】
また、脂肪族不飽和結合を有する一価炭化水素基を含有するシラン原料として、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、ビニルメチルジクロロシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン等のシランが挙げられる。
【0030】
更に、シアノアルキル基及び脂肪族不飽和結合を含有する一価炭化水素基を含まないシラン原料として、1官能性としては、トリメチルクロロシラン、トリメチルメトキシシラン、トリエチルアミノシラン、ヘキサメチルジシラザン等が、2官能性としては、ジメチルジクロロシラン、メチルフェニルジクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、トリフルオロプロピルジクロロシラン、ジメチルジメトキシシラン、クロルメチルジエトキシシラン等が、3官能性としては、メチルトリクロロシラン、トリメトキシシラン、クロルメチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン等が、4官能性としては、テトラクロロシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等が例示される。
【0031】
また、出発原料としては、上記に示した単量体の他に、単量体より得られるプレポリマーを使用することも可能である。
【0032】
上記オルガノポリシロキサンの合成においては、必要に応じて各種反応触媒及び溶媒を加えてもよく、これは、従来より周知の方法により行うことができる。
【0033】
なお、(a)成分中にシラノール基が残存していると、(c)成分の白金族金属系触媒の作用により(b)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンとの間で脱水素反応が進行し、発泡することがあるので、(a)成分中のシラノール基をヘキサメチルジシラザン等のシリル化剤であらかじめキャップしておくことが好ましい。
【0034】
上記脂肪族不飽和結合を有する一価炭化水素基とシアノアルキル基とを含有するオルガノポリシロキサンの重合度は、1,000〜60,000であることが好ましく、特に2,000〜20,000であることが好ましい。
【0035】
また、上記脂肪族不飽和結合を有する一価炭化水素基とシアノアルキル基とを含有するオルガノポリシロキサンは、液状であることが好ましい。特に、このオルガノポリシロキサンの25℃における粘度は、500〜40,000cP(センチポイズ)であることが好ましく、特に1,000〜20,000cPであることが好ましい。なお、固体状の場合は溶剤に溶解して使用することができる。
【0036】
次に、高誘電付加型硬化性バインダー組成物の(b)成分であるシアノアルキル基を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、下記平均組成式(II)で示されるものであることが好ましい。
【0037】
4 k5 m6 nSiO(4-k-m-n)/2 (II)
(式中、R4は炭素数3〜5のシアノアルキル基、R5は水素原子、R6は炭素数1〜10のR4以外の一価炭化水素基、kは0.2〜0.7、mは0.2〜0.7、nは1.0〜1.6、k+m+nは2.0〜2.3である。)
【0038】
4で示される炭素数3〜5のシアノアルキル基としては、R1と同様のものが例示され、例えばシアノエチル基、シアノプロピル基、シアノブチル基、2−シアノプロピル基、2−シアノブチル基、3−シアノブチル基、2−メチル−2−シアノプロピル基等を挙げることができ、シアノエチル基が好ましい。
【0039】
6はR4以外の炭素数1〜10、好ましくは1〜8の非置換又は置換の一価炭化水素基であり、好ましくは脂肪族不飽和結合を含有しないもの、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等のアルキル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基等のアラルキル基、クロロメチル基、ブロモエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、1,1,1−トリフルオロヘキシル基、3−クロロプロピル基等のハロゲン置換一価炭化水素基などを挙げることができ、これらの中でも好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基であり、特に好ましくはメチル基である。
【0040】
前記平均組成式(II)中のシアノアルキル基の含量であるkは、0.2〜0.7、好ましくは0.4〜0.6である。シアノアルキル基含量が少なすぎるとポリマー中のニトリル基の濃度が下がってしまい、それに伴って誘電率も低下してしまうおそれがある。また、(a)成分の脂肪族不飽和結合を有する一価炭化水素基とシアノアルキル基とを含有するオルガノポリシロキサンとの相溶性が悪くなり、硬化性が不十分となったり、均一な硬化物が得られなくなったりする場合がある。また、シアノアルキル基含量が多すぎると相対的に水素原子(SiH基)の含量であるmが低下することとなり、硬化性が不十分となるおそれがある。
【0041】
水素原子(SiH基)の含量であるmは、0.2〜0.7、好ましくは0.3〜0.6である。含量がこの範囲未満であると硬化性が不十分となる場合がある。また、含量がこの範囲を超えると相対的にシアノアルキル基の含量kが低下することとなり、よってポリマー中のニトリル基の濃度が下がってしまい、それに伴って誘電率も低下してしまう場合がある。更に、バインダー組成物に水素ガスによる発泡現象が起きてしまう場合がある。
【0042】
4を除く非置換又は置換の一価炭化水素基の含量であるnは、あまり大きすぎるとシアノアルキル基含有量或いは水素原子(SiH基)含有量が少なくなるおそれがあるため、1.0〜1.6、好ましくは1.0〜1.2である。
【0043】
前記平均組成式(II)中のシアノアルキル基、水素原子(SiH基)及びシアノアルキル基以外の一価炭化水素基の総和である(k+m+n)は、2.0〜2.3、好ましくは2.0〜2.1の範囲である。この範囲未満では、オルガノハイドロジェンポリシロキサンの経時安定性が悪くなる場合があり、また硬化物が非常に脆くなるおそれがあり実用的ではなく、上記範囲を超えると、バインダー組成物の硬化が不十分となり、フィルム成形が困難となってしまうおそれがある。
【0044】
本発明の平均組成式(II)で示されるシアノアルキル基を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンを得るには、特殊な方法に限定されるものではなく、一般的なオルガノハイドロジェンポリシロキサンの合成法によればよく、例えば硫酸、トリフルオロメタンスルホン酸等の強酸存在下、シアノアルキル基含有オルガノポリシロキサンとオルガノハイドロジェンポリシロキサンとの平衡化反応によって目的物を得ることができる。なお、平衡化の際、ヘキサメチルジシロキサン等の末端基となる化合物を添加すると、その種類、量により末端官能基の種類や重合度を調節することができる。
【0045】
ここで、シアノアルキル基含有オルガノハイドロジェンポリシロキサンの原料となるシランとしては、更に加水分解可能な官能基が1個以上ケイ素原子に直接結合していることが好ましく、加水分解可能な官能基としては、ハロゲン、OR、OCOR又はNRR’(ここで、R、R’は上記と同様である。)等が挙げられる。
【0046】
原料となるシランとして具体的には、シアノアルキル基を含有するシラン原料として、シアノエチルジメチルクロロシラン、シアノプロピルジエチルメトキシシラン、シアノエチルジメチルアセトキシシラン、ジシアノエチルメチルメトキシシラン等の1官能性シラン;シアノエチルクロルメチルジクロロシラン、シアノエチルメチルジメトキシシラン、シアノエチルトリフルオロプロピルジエトキシシラン、シアノプロピルフェニルジアミノシラン等の2官能性シラン;シアノエチルトリエトキシシラン、シアノブチルトリメトキシシラン等の3官能性シランが挙げられるが、2官能性シランが好ましい。なお、平衡化反応には、上記に示した単量体より得られるプレポリマーを使用することが好ましい。
【0047】
また、SiH基を含有するシラン原料(オルガノハイドロジェンポリシロキサン)として、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、テトラメチルテトラシロキサン等が挙げられる。
【0048】
末端基となる化合物としては、ヘキサメチルジシロキサン、テトラメチルジシロキサン等が挙げられる。更に、必要に応じてオクタメチルテトラシロキサン等のオルガノポリシロキサン環状体を用いてもよい。
【0049】
上記シアノアルキル基を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンの重合度は、1,000〜150,000であることが好ましく、特に10,000〜100,000であることが好ましい。
【0050】
また、上記シアノアルキル基を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンの25℃における粘度は、300〜50,000cP(センチポイズ)であることが好ましく、特に500〜10,000cPであることが好ましい。
【0051】
(b)成分の配合量は、(a)成分中のアルケニル基等の脂肪族不飽和結合1個に対して(b)成分中のケイ素原子に直結した水素原子(SiH基)が0.5〜4個、特に0.7〜1.2個となるようにすることが好ましい。このSiH基が少なすぎると硬化物の硬度が低くなることがあり、多すぎると水素ガスによる発泡現象が起きてしまうことがある。
【0052】
高誘電付加型硬化性バインダー組成物の(c)成分である白金族金属系触媒としては、通常ハイドロサイレーションに使用されている公知のものでよく、具体的には、白金又は白金化合物を用いることができる。ここで白金化合物としては、例えば塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール溶液、塩化白金酸とアルコールとの反応物、塩化白金酸とオレフィン化合物との反応物、塩化白金酸とビニル基含有シロキサンとの反応物などが挙げられる。
【0053】
白金族金属系触媒の使用量は、触媒量であり、所望の硬化速度に応じて適宜調節すればよいが、経済的見地或いは良好な硬化性を得るためには、(a)成分及び(b)成分の合計量に対して白金族金属換算で1〜10,000ppm、特に1,000〜7,000ppmとすることが好ましい。
【0054】
本発明のバインダー組成物には、必要に応じて反応制御剤、補強剤、添加剤(顔料、離型剤、耐熱剤、流動性調節剤、沈降防止剤、接着性向上剤、熱伝導性充填剤、電気導電性充填剤)、希釈剤等を本発明の目的を損なわない範囲で混合することも可能である。
【0055】
本発明のバインダー組成物は、上記した(a)〜(c)成分、及び必要に応じてその他の任意成分を、常温で均一に混合することにより得られ、これは常法により製造することができる。
【0056】
このようにして得られたバインダー組成物は、液状であることが好ましく、25℃における粘度が300〜40,000cP(センチポイズ)、特に500〜20,000cPの範囲であることが好ましい。
【0057】
本発明のバインダー組成物は、好ましくは100℃以上、より好ましくは100〜150℃の温度で、好ましくは10〜90分加熱することにより硬化させることができる。なお、一般には(c)成分の使用量が多いほど速やかに硬化し得る。
【0058】
本発明の高誘電付加型硬化性バインダー組成物は、無溶媒でも液状とすることができ、比較的粘度が低いため取り扱いが容易である点、硬化性を持つ点で優れ、また、この硬化物は高誘電率を有し、誘電損失が小さい点、体積抵抗が低い点、フィルム形成性に優れ、強靭で透明な皮膜を与える点、他のシアノエチル化ポリマーに比べて吸湿量が小さい点、熱分解温度が高く耐熱性に優れる点等の特徴を有している。
【0059】
本発明の電界発光素子を構成する電界発光性粉粒体としては、従来より公知のものを用いることができ、具体的にはCdS、ZnS、ZnSe、ZnSiO、BN、SiC等の蛍光体物質、或いはZnSを母体材料とし、活性剤として銅、マンガン、アルミニウム、臭素、塩素及びヨウ素等を添加して焼成したものなどが例示される。これらは電界発光素子とした場合の発光特性から、平均粒径が50μm以下、特に10〜40μmである粉粒体を用いることが好ましい。また、長寿命化のために、既存の蛍光体の表面を金属酸化物等により被覆防湿処理したものを使用することが好ましい。
【0060】
上記電界発光性粉粒体の添加量は、上記バインダー組成物1重量部に対して0.5重量部未満では発光層中の電界発光性粉粒体の濃度が小さすぎて素子にした場合輝度が低下するおそれがあり、また5重量部より多いと電界発光性粉粒体の分散が困難になるおそれがあることから、上記バインダー組成物1重量部に対して0.5〜5重量部、特に1〜4重量部の範囲が好ましい。
【0061】
本発明の電界発光素子は、誘電体としての上記バインダー組成物中に上記した電界発光性粉粒体を分散配合した発光層用ペーストを発光層として層状に形成させるものである。
【0062】
ここで、発光層用ペーストは、電界発光性粉粒体をバインダー組成物へ分散配合したものであり、上記バインダー組成物に上記電界発光性粉粒体を無溶媒下で添加することにより得ることができる。また、アセトン、4−メチル−2−ペンタノン、N,N’−ジメチルホルムアミド、ニトロメタン、アセトニトリル、N−メチル−2−ピロリドンなどの溶剤の1種、又は2種以上の混合液に上記バインダー組成物を溶解した後、この液中に電界発光性粉粒体を添加することにより、発光層用ペーストを得ることもできる。なお、この発光層用ペースト調製時、各種の高誘電率物質、強誘電体、半導体酸化物などを配合することは任意とされる。
【0063】
上記のようにして得られたバインダー組成物に電界発光性粉粒体が分散された発光層用ペーストは、発光体層形成に供されるものであり、この発光体層としては、例えば、ポリエステルフィルム上に透明導電膜として酸化インジウムを被覆した導電膜の上に、この発光層用ペーストをスクリーン印刷法などで厚さ約10〜70μmに塗布し、加熱硬化させることによって作製することができる。
【0064】
また、この発光体層を用いて電界発光素子を作製する方法としては、例えば、導電膜上に形成した上記発光体層の上に、常法により絶縁反射層を積層した後、更にこの絶縁反射層上にスクリーン印刷法を用いて銀ペーストを印刷、乾燥して背面電極を作製し、次いでこの導電膜と背面電極に電極端子となるリード線を取り付けることにより、電界発光素子を得ることができる。
【0065】
【発明の効果】
本発明の電界発光素子は、誘電率が高く、吸湿量の少ない高誘電付加型硬化性バインダー組成物に電界発光性粉粒体を分散させた発光体層で作られているので、輝度が高い、温度による輝度の変化が少ない、長時間点灯していても輝度の低下が小さい、耐衝撃性に優れる、フレキシビリティに富んでいる、熱分解温度が高い、耐熱性に優れているという有利性が得られる。従ってこの発光体素子は各種液晶ディスプレイのバックライトとしては勿論のこと、面発光体として広く適用し得るという工業的有利性をもつものである。
【0066】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0067】
[実施例1]
(a)成分の合成
撹拌機、還流冷却器、温度計を備えた1リットルのガラス製反応器に水230g及び36%塩酸水0.2gを入れ、撹拌下にシアノエチルトリエトキシシラン119.4g(0.55モル)、シアノエチルメチルジメトキシシラン8.0g(0.05モル)及びビニルメチルジメトキシシラン52.8g(0.4モル)の混合物を投入した。加熱して60〜70℃に保ち、3時間加水分解した後、反応器にエステルアダプターを取り付け、生成したアルコール106gを留去した。冷却した後、メチルイソブチルケトン250gを添加して水層を分液により除去し、水100gで2回水洗して中性にした。有機層から減圧ストリップにより水及びメチルイソブチルケトンを留去した。ここで得られたレジンは、ケイ素原子結合OH(シラノール)を10wt%含んでいた。このレジンをテトラヒドロフラン250gに溶解し、撹拌機、還流冷却器、温度計を備えた1リットルのガラス製反応器に入れ、ヘキサメチルジシラザン56.4g(0.35モル)を投入した後、加熱して60〜70℃で3時間反応させた。テトラヒドロフラン及び未反応のヘキサメチルジシラザンを減圧ストリップにより留去し、オルガノポリシロキサン101gを得た。このオルガノポリシロキサンは下記平均組成式(1)で示されるものであり、各成分の組成及び粘度は表1に示されるものであった。
1 a2 b3 cSiO(4-a-b-c)/2 (1)
(R1はシアノエチル基、R2はビニル基、R3はメチル基である。)
【0068】
(b)成分の合成
1)プレポリマーの合成
撹拌機、還流冷却器、温度計、滴下ロートを備えた1リットルのガラス製反応器にシアノエチルメチルジメトキシシラン640.8g(4.0モル)を入れ、撹拌下、0.1N塩酸水300gを室温で滴下ロートにて0.5時間かけて滴下した。これを加熱して60〜70℃に保ち、3時間加水分解した。冷却した後、メチルイソブチルケトン750gを添加して、水層を分液により除去し、水300gで2回水洗して中性にした。有機層から減圧ストリップにより水及びメチルイソブチルケトンを留去し、プレポリマー448gを得た。
2)(b)成分の合成
撹拌機、還流冷却器、温度計を備えた0.5リットルのガラス製反応器に上記プレポリマー81.4g、メチルハイドロジェンシリコーンオイル34.7g及びヘキサメチルジシロキサン2.9gを入れ、撹拌下でメタンスルホン酸3.6gを添加し、室温で20時間平衡化反応を行った。水1.4gを添加して2時間反応させた後、炭酸水素ナトリウム36gで中和し、更にメチルイソブチルケトン140g及び硫酸ナトリウム36gを添加した後、塩を濾別した。濾液から減圧ストリップによりメチルイソブチルケトンを留去し、オルガノハイドロジェンポリシロキサン104gを得た。このオルガノハイドロジェンポリシロキサンは下記平均組成式(2)で示されるものであり、各成分の組成及び粘度は表1に示されるものであった。
4 k5 m6 nSiO(4-k-m-n)/2 (2)
(R4はシアノエチル基、R5は水素原子、R6はメチル基である。)
【0069】
バインダー組成物の調製
(a)成分中のビニル基1個に対して(b)成分中のケイ素原子に直結した水素原子が0.77個となるように、上記(a)成分15g、(b)成分7.8g及び反応制御剤サーフィノール61(日信化学工業(株)製)0.075gとを混合した後、塩化白金酸の0.5%トルエン溶液0.075gを添加し、均一に混合して組成物を得た。
【0070】
硬化物の作製
このバインダー組成物をポリカーボネート樹脂板に塗布し、100℃で30分付加硬化した後、フィルム及び基板の外観を調べた。また、バインダー組成物を100mm角、深さ2mmの型に流し込んだ後、100℃で30分付加硬化し、厚さ1mmの硬化フィルムを得た。これを用いて、以下の方法で物性を測定した。結果を表1に示す。
【0071】
物性測定法
i)誘電特性
誘電体損自動測定装置TR−1100形、恒温槽TO−19B形(安藤電気(株)製)を用いて、25℃、1MHzの条件にて静電容量及びコンダクタンスを測定した。これから誘電率及び誘電正接を計算により求めた。
ii)体積抵抗
R8340A ULTRA HIGH RESISTANCE METER、SAMPLE AHAMBER MODEL TR42((株)アドバンテスト製)を用いて体積抵抗を測定した。
iii)吸湿量
生成物をあらかじめ120℃、2時間乾燥させ、その試料を25℃、75%RHの恒湿槽に1週間放置し、その重量変化より吸湿量を求めた。
iv)熱分解温度
10℃/minの昇温速度、空気気流下条件で示差熱重量分析を行い、重量減少が開始する温度をもって熱分解温度を求めた。
【0072】
電界発光素子の作製
上記バインダー組成物に平均粒径が30μmの蛍光体粉末(ZnS:Cu)#723(GTEシルバニア社製)をバインダー組成物重量の3.2倍量加え、均一に分散して発光層用ペーストとし、また、バインダー組成物に平均粒径1.4μmのチタン酸バリウム粉末をバインダー組成物重量の4.7倍量加え、均一に分散して絶縁反射用ペーストを調製した。
次に、透明導電性フィルム:エレクリスタ300C(日東電工社製、商品名)の導電面側に給電線として銀ペーストをスクリーン印刷法により印刷、乾燥し、りん青銅よりなるリード電極を取り付けた後、この給電線印刷面にスクリーン印刷法によって上記の発光層用ペーストを印刷し、乾燥させた。その後、同層上に同じくスクリーン印刷法によって絶縁反射層用ペーストを印刷し、乾燥して絶縁反射層を形成した。得られた層の厚さは、発光層が約55μm、絶縁反射層が約24μmであった。更に、絶縁反射層上にスクリーン印刷法により銀ペーストを印刷、乾燥し、背面電極を作製した。この背面電極にリード電極を取り付けた後、積層素子全体にポリクロロトリフルオロエチレンよりなる防湿シート:ELシーラー4810N−R(日東電工社製、商品名)をロールラミネータにより圧着封止し、分散型電界発光素子を得た。この発光素子の特性を表3に示した。
【0073】
[実施例2]
(b)成分の合成
実施例1におけるプレポリマー及びメチルハイドロジェンシリコーンオイルの量をそれぞれ79g、31.4gとし、ヘキサメチルジシロキサンの代わりにテトラメチルテトラシクロシロキサン9.3gを用いた以外は、実施例1と同様にしてオルガノハイドロジェンポリシロキサン113gを得た。このオルガノハイドロジェンポリシロキサンは上記平均組成式(2)で示されるものであり、各成分の組成及び粘度は表1に示されるものであった。
【0074】
バインダー組成物の調製及びこの硬化物の物性測定
実施例1の(a)成分15g、上記(b)成分6.8gを用いた以外は、実施例1と同様にしてバインダー組成物を調製し、硬化フィルムを得、この物性を測定した。結果を表1に併記する。
【0075】
電界発光素子の作製
上記バインダー組成物を用いて、実施例1と同様にして電界発光素子を作製した。この発光素子の特性を表3に示した。
【0076】
[実施例3]
(a)成分の合成
実施例1におけるシアノエチルトリエトキシシラン、シアノエチルメチルジメトキシシラン及びビニルメチルジメトキシシランの量をそれぞれ86.8g(0.4モル)、0g、79.2g(0.6モル)とした以外は、実施例1と同様にしてオルガノポリシロキサン98gを得た。このオルガノポリシロキサンは上記平均組成式(1)で示されるものであり、各成分の組成及び粘度は表1に示されるものであった。
【0077】
バインダー組成物の調製及びこの硬化物の物性測定
上記(a)成分15g、実施例2の(b)成分9.9gを用いた以外は、実施例1と同様にしてバインダー組成物を調製し、硬化フィルムを得、この物性を測定した。結果を表1に併記する。
【0078】
電界発光素子の作製
上記バインダー組成物を用いて、実施例1と同様にして電界発光素子を作製した。この発光素子の特性を表3に示した。
【0079】
[実施例4]
(a)成分の合成
実施例1におけるシアノエチルトリエトキシシラン、シアノエチルメチルジメトキシシラン及びビニルメチルジメトキシシランの量をそれぞれ21.7g(0.1モル)、0g、118.8g(0.9モル)とした以外は、実施例1と同様にしてオルガノポリシロキサン99gを得た。このオルガノポリシロキサンは上記平均組成式(1)で示されるものであり、各成分の組成及び粘度は表2に示されるものであった。
【0080】
バインダー組成物の調製及びこの硬化物の物性測定
上記(a)成分15g、実施例1の(b)成分21.9gを用いた以外は、実施例1と同様にしてバインダー組成物を調製し、硬化フィルムを得、この物性を測定した。結果を表2に併記する。
【0081】
電界発光素子の作製
上記バインダー組成物を用いて、実施例1と同様にして電界発光素子を作製した。この発光素子の特性を表3に示した。
【0082】
[比較例1、2]
特公平8−6087号公報に基づいて合成したシアノエチルオルガノポリシロキサン(比較例1)及びシアノエチルセルロース(TEL SYSTEMS INC製、アクリロセル)(比較例2)は、半固体又は固体のため、アセトンに溶解したものを使用して実施例1と同様にフィルムを作成し、評価を行った。結果を表2に示す。
【0083】
電界発光素子の作製
上記各バインダー組成物を用いて、実施例1と同様にして電界発光素子を作製した。これらの発光素子の特性を表3に示した。
【0084】
【表1】
Figure 0004420167
【0085】
【表2】
Figure 0004420167
【0086】
【表3】
Figure 0004420167
*1:100V、400Hzでの初期輝度
*2:40℃、90%RHでの輝度半減期

Claims (2)

  1. 電界発光性粉粒体を含有する誘電体が発光層として層状に形成された電界発光素子において、該誘電体が、
    (a)シアノアルキル基と脂肪族不飽和結合を有する一価炭化水素基とを含有するオルガノポリシロキサン、
    (b)シアノアルキル基含有オルガノハイドロジェンポリシロキサン、及び
    (c)白金族金属系触媒
    を含有する高誘電付加型硬化性バインダー組成物の硬化物からなることを特徴とする電界発光素子。
  2. 誘電体が、(a)下記平均組成式(I)
    1 a2 b3 cSiO(4-a-b-c)/2 (I)
    (式中、R1は炭素数3〜5のシアノアルキル基、R2は炭素数2〜6の脂肪族不飽和結合を有する一価炭化水素基、R3は炭素数1〜10のR1、R2以外の一価炭化水素基、aは0.2〜0.95、bは0.05〜0.7、cは0.05〜1.0、a+b+cは1.05〜1.9である。)
    で示されるシアノアルキル基と脂肪族不飽和結合を有する一価炭化水素基とを含有するオルガノポリシロキサン、
    (b)下記平均組成式(II)
    4 k5 m6 nSiO(4-k-m-n)/2 (II)
    (式中、R4は炭素数3〜5のシアノアルキル基、R5は水素原子、R6は炭素数1〜10のR4以外の一価炭化水素基、kは0.2〜0.7、mは0.2〜0.7、nは1.0〜1.6、k+m+nは2.0〜2.3である。)
    で示されるシアノアルキル基を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、及び
    (c)白金族金属系触媒
    を含有する高誘電付加型硬化性バインダー組成物の硬化物からなることを特徴とする請求項1記載の電界発光素子。
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