JP4419474B2 - 異方導電性シートおよびインピーダンス測定用プローブ - Google Patents
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Description
このように動作クロック周波数が上昇していることにより、CPUと外部装置との間でデータ信号を伝送するためのプリント配線基板の性能に対する要求が厳しいものとなってきている。
従来より、プリント配線基板におけるプリント配線回路のインピーダンス測定には、TDR(Time Domain Refrectrometry)法が用いられている。
このようなインピーダンス測定用プローブとしては、被測定回路に接触させるための被測定回路用コンタクトピンと、グランド回路に接触させるためのグランド回路用コンタクトピンとを別々に備え、被測定回路用コンタクトピンとグランド回路用コンタクトピンとの間に板状の誘電体層を挟むことによって形成されるマクロストリップ構造のものと、内部導体と外部導体とを同軸線路形状に配置し、内部導体から被測定回路用コンタクトピンを引き出すと共に外部導体からグランド回路用コンタクトピンを引き出すことによって形成される同軸線構造のものとの二つに大別される。
また、コンピュータに接続するための機器の動作クロック周波数は今後も更に高くなっていくことが予想され、また、電子部品の微細化、高密度化は更に進むと考えられる。それに伴ってプリント配線基板の品質を確保するために、特性インピーダンスを正確に測定することの重要性が更に増すものと考えられるが、従来のインピーダンス測定用プローブによってはこのような要請に十分に対応することができないおそれがある。
本発明の第2の目的は、1GHz以上の高周波領域、特に10GHz以上の高周波領域において、インピーダンス測定時において被測定基板に損傷が生じることが抑制されると共に、高い測定信頼性の得られるインピーダンス測定用プローブを提供することにある。
その厚みが10〜100μmであり、磁性を示す導電性粒子の数平均粒子径が5〜50μmであると共に、厚みW1 と磁性を示す導電性粒子の数平均粒子径Dとの比率W1 /Dが1.1〜10であり、磁性を示す導電性粒子の含有割合が重量分率で10〜40%であって、磁性を示さない導電性物質が均一に分散した状態で含有されてなり、
磁性を示す導電性粒子が、芯粒子の表面に金が被覆されてなる複合粒子であってその被覆量が芯粒子の重量の2.5〜20質量%であり、
高周波領域のインピーダンス測定に用いられることを特徴とする。
導電部の厚みが10〜100μmであり、磁性を示す導電性粒子の数平均粒子径が5〜50μmであると共に、導電部の厚みW2 と磁性を示す導電性粒子の数平均粒子径Dとの比率W2 /Dが1.1〜10であり、導電部における磁性を示す導電性粒子の含有割合が重量分率で10〜40%であって、磁性を示さない導電性物質が、導電部と絶縁部とに均一に分散した状態で含有されてなり、
磁性を示す導電性粒子が、芯粒子の表面に金が被覆されてなる複合粒子であってその被覆量が芯粒子の重量の2.5〜20質量%であり、
高周波領域のインピーダンス測定に用いられることを特徴とする。
インピーダンス測定用プローブ本体は、円柱状の測定回路と、この測定回路よりも大きい内径を有すると共に当該測定回路と同軸の円筒状のグランド回路接続用回路とを有し、 異方導電性シートを介して、被測定基板の被測定回路とインピーダンス測定用プローブ本体の測定回路とが接続されると共に、被測定基板のグランド回路とインピーダンス測定用プローブ本体のグランド回路接続用回路とが接続されることによって導通が達成され、高周波領域においてインピーダンスの測定に使用されることを特徴とする。
従って、本発明の異方導電性シートは、1GHz以上の高周波領域、特に10GHz以上の高周波領域のインピーダンス測定に好適に使用することができ、微細なピッチのプリント配線基板や電子部品などを測定対象とすることができる。
従って、本発明のインピーダンス測定用プローブによれば、1GHz以上の高周波領域、特に10GHz以上の高周波領域において、インピーダンス測定時において被測定基板に損傷が生じることが抑制されると共に、高い測定信頼性を得ることができる。
本発明の異方導電性シートは、高周波領域のインピーダンス測定に用いられる異方導電性シートであって、磁性を示す導電性粒子(以下、「磁性導電性粒子」ともいう。)と、弾性高分子物質よりなる基体とにより構成されるものである。
具体的には、下記の(1)および(2)の構成を有する異方導電性シートである。
(2)弾性高分子物質よりなるシート基体中に、磁性導電性粒子が密に含有されてなる厚み方向に伸びる複数の導電部と、この導電部を相互に絶縁する絶縁部とが形成されているもの(以下、「第2の異方導電性シート」ともいう。)
この磁性導電性粒子の数平均粒子径は、6〜30μmであることが好ましく、8〜20μmであることが特に好ましい。
ここで、「磁性導電性粒子の数平均粒子径」とは、レーザー回折散乱法によって測定されたものをいう。
飽和磁化が0.1Wb/m2 以上であることにより、その製造工程において磁性導電性粒子を磁場の作用によって確実に移動させて所望の配向状態とすることができるため、異方導電性シートを使用する際に磁性導電性粒子の連鎖を形成することができる。
ここで、「高導電性金属」とは、0℃における導電率が5×106 Ω-1m-1以上の金属をいう。
このような高導電性金属としては、具体的に、金、銀、ロジウム、白金、クロムなどを用いることができ、これらの中では、化学的に安定でかつ高い導電率を有する点で金を用いることが好ましい。
芯粒子の表面に高導電性金属を被覆する手段としては、特に限定されるものではないが、例えば無電解メッキ法を用いることができる。
ここで、「数平均粒子径の変動係数」とは、式:(σ/Dn)×100(但し、σは、粒子径の標準偏差の値を示し、Dnは、粒子の数平均粒子径を示す。)によって求められるものである。
磁性導電性粒子の数平均粒子径の変動係数が50%以下であることにより、粒子径の不揃いの程度が小さくなるため、得られる異方導電性シートにおける磁性導電性粒子が含有されている部分の導電性のバラツキを小さくすることができる。
粒子の分級処理は、例えば空気分級装置、音波ふるい装置などの分級装置によって行うことができる。
また、分級処理の具体的な条件は、目的とする導電性金属粒子の数平均粒子径、分級装置の種類などに応じて適宜設定される。
また、高導電性金属の被覆量は、芯粒子の重量の2.5〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは3〜45質量%、更に好ましくは3.5〜40質量%、特に好ましくは5〜30質量%である。
導電性複合金属粒子の表面がカップリング剤で処理されることにより、当該導電性複合金属粒子と弾性高分子物質との接着性が高くなり、その結果、得られる異方導電性シートが高い耐久性を有するものとなる。
カップリング剤の使用量は、導電性複合金属粒子本体の導電性に影響を与えない範囲で適宜選択されるが、導電性複合金属粒子の表面におけるカップリング剤の被覆割合(導電性複合金属粒子本体の表面積に対するカップリング剤の被覆面積の割合)が5%以上となる量であることが好ましく、より好ましくは7〜100%、更に好ましくは10〜100%、特に好ましくは20〜100%となる量である。
磁性導電性粒子の含有割合が10%未満である場合には、異方導電性シートはインピーダンス測定において、その測定系に低インダクタンス性が得られにくく、特に1GHz以上の高周波領域のインピーダンス測定において伝送損失が低くなりにくい。
一方、磁性導電性粒子の含有割合が40%を超える場合には、異方導電性シートはその弾性が小さくなって脆弱なものとなりやすく、インピーダンス測定時にプリント配線基板などの被測定基板を傷つけやすくなる。
磁性導電性粒子の含有割合が10%未満である場合には、異方導電性シートはインピーダンス測定において、その測定系に低インダクタンス性が得られにくく、特に1GHz以上の高周波領域のインピーダンス測定において伝送損失が低くなりにくい。
一方、磁性導電性粒子の含有割合が40%を超える場合には、異方導電性シートの導電部は弾性が小さくなって脆弱なものとなりやすく、インピーダンス測定時にプリント配線基板などの被測定基板を傷つけやすくなる。
具体的には、ジメチルシリコーン生ゴム、メチルビニルシリコーン生ゴム、メチルフェニルビニルシリコーン生ゴムなどを挙げることができる。
また、ビニル基を両末端に含有する液状シリコーンゴムは、オクタメチルシクロテトラシロキサンのような環状シロキサンを触媒の存在下においてアニオン重合し、重合停止剤として例えばジメチルジビニルシロキサンを用い、その他の反応条件(例えば、環状シロキサンの量および重合停止剤の量)を適宜選択することにより得られる。ここで、アニオン重合の触媒としては、水酸化テトラメチルアンモニウムおよび水酸化n−ブチルホスホニウムなどのアルカリまたはこれらのシラノレート溶液などを用いることができ、反応温度は、例えば80〜130℃である。
また、ヒドロキシル基を含有する液状シリコーンゴムは、環状シロキサンを触媒の存在下においてアニオン重合し、重合停止剤として、例えばジメチルヒドロクロロシラン、メチルジヒドロクロロシランまたはジメチルヒドロアルコキシシランなどを用い、その他の反応条件(例えば、環状シロキサンの量および重合停止剤の量)を適宜選択することによっても得られる。ここで、アニオン重合の触媒としては、水酸化テトラメチルアンモニウムおよび水酸化n−ブチルホスホニウムなどのアルカリまたはこれらのシラノレート溶液などを用いることができ、反応温度は、例えば80〜130℃である。
また、得られる第1の異方導電性シートの耐熱性の観点から、分子量分布指数(標準ポリスチレン換算重量平均分子量Mwと標準ポリスチレン換算数平均分子量Mnとの比Mw/Mnの値をいう。)が2以下のものが好ましい。
このような硬化触媒としては、有機過酸化物、脂肪酸アゾ化合物、ヒドロシリル化触媒などを用いることができる。
硬化触媒として用いられる有機過酸化物の具体例としては、過酸化ベンゾイル、過酸化ビスジシクロベンゾイル、過酸化ジクミル、過酸化ジターシャリーブチルなどが挙げられる。
硬化触媒として用いられる脂肪酸アゾ化合物の具体例としては、アゾビスイソブチロニトリルなどが挙げられる。
硬化触媒として用いることのできるヒドロシリル化反応の触媒の具体例としては、塩化白金酸およびその塩、白金−不飽和基含有シロキサンコンプレックス、ビニルシロキサンと白金とのコンプレックス、白金と1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサンとのコンプレックス、トリオルガノホスフィンあるいはホスファイトと白金とのコンプレックス、アセチルアセテート白金キレート、環状ジエンと白金とのコンプレックスなどの公知のものが挙げられる。
硬化触媒の使用量は、高分子物質形成材料の種類、硬化触媒の種類、その他の硬化処理条件を考慮して適宜選択されるが、通常、高分子物質形成材料100質量部に対して3〜15質量部である。
具体的には、第1の異方導電性シートにおいては、非磁性導電性物質は均一に分散された状態で含有され、また、第2の異方導電性シートにおいては、当該第2の異方導電性シートを構成する導電部と絶縁部とに均一に分散された状態で含有される。
非磁性導電性物質は、硬化処理前の高分子物質形成材料に添加することにより、成形されて得られる異方導電性シートにおいて、面方向および厚み方向ともに均一に分散する状態で含有させることができる。
このような非磁性導電性物質は、適量の添加により、得られる異方導電性シートにおいてその異方導電性を損なうことなく、当該異方導電性シートが帯電することを防止する効果を示す。
異方導電性シートが非磁性導電性物質の効果によって帯電することが防止されてなるものである場合には、当該異方導電性シートを用いたインピーダンス測定の繰り返し実施時において、当該異方導電性シートが帯電することに起因して測定結果に悪影響が生じることを防止することができる。
具体的には、白金、金、銀、銅、ニッケル、コバルト、鉄、アルミウニム、マンガン、亜鉛、錫、鉛、インジウム、モリブデン、ニオブ、タンタル、クロムなどを含む金属粒子;二酸化銅、酸化亜鉛、酸化錫などの導電性金属酸化物;チタン酸カリウムなどのウィスカー;ゲルマニウム、珪素、インジウム燐、硫化亜鉛などの半導電性物質;カーボンブラック、グラファイトなどの炭素系の物質;第4級アンモニウム塩、アミン系化合物などの陽イオンを生成する物質;脂肪族スルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルコールエチレンオキサイド付加硫酸エステル塩、高級アルコール燐酸エステル塩、高級アルコールエチレンオキサイド付加燐酸エステル塩などの陰イオンを生成する物質;ベタインなどの陽イオンおよび陰イオンの両方を生成する物質;ポリアセチレン系ポリマー、アクリル系ポリマー、ポリフェニレン系ポリマー、複素環ポリマー、ラダーポリマー、ネットワークポリマー、イオン性ポリマーなどの導電性高分子物質などを用いることができる。
また、ポリアセチレン系ポリマー、アクリル系ポリマー、ポリフェニレン系ポリマー、ラダーポリマー、ネットワークポリマーなどのポリマーにおいては、金属イオンなどをドープすることによって導電性をコントロールすることも可能である。
吸湿導電性物質は、一般的には、吸湿性の大きい物質であることが好ましく、極性の大きい基である、水酸基やエステル基などを有する物質であることが好ましい。
具体的には、クロルポリシロキサン、アルコキシシラン、アルコキシポリシラン、アルコキシポリシロキサンなどの珪素化合物;導電性ウレタン、ポリビニルアルコールまたはその共重合体などの高分子物質、高級アルコールエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、多価アルコール脂肪酸エステルなどのアルコール系界面活性剤、多糖類などを用いることができる。
また、脂肪族スルホン酸塩のうち、特にアルキルスルホン酸の金属塩を用いることが好ましく、この場合には、得られる異方導電性シートに適度の導電性が付与されて良好な帯電防止効果が得られると共に、アルキルスルホン酸の金属塩が優れた熱安定性を有するために、当該異方導電性シートを高周波領域でのインピーダンス測定に繰り返し用いた場合にも安定した帯電防止効果が得られる。
アルカリ金属の塩の具体例としては、1−デカンスルホン酸ナトリウム、1−ウンデカンスルホン酸ナトリウム、1−ドデカンスルホン酸ナトリウム、1−トリデカンスルホン酸ナトリウム、1−テトラデカンスルホン酸ナトリウム、1−ペンタデカンスルホン酸ナトリウム、1−ヘキサデカンスルホン酸ナトリウム、1−ヘプタデカンスルホン酸ナトリウム、1−オクタデカンスルホン酸ナトリウム、1−ノナデカンスルホン酸ナトリウム、1−エイコサンデカンスルホン酸ナトリウム、1−デカンスルホン酸カリウム、1−ウンデカンスルホン酸カリウム、1−ドデカンスルホン酸カリウム、1−トリデカンスルホン酸カリウム、1−テトラデカンスルホン酸カリウム、1−ペンタデカンスルホン酸カリウム、1−ヘキサデカンスルホン酸カリウム、1−ヘプタデカンスルホン酸カリウム、1−オクタデカンスルホン酸カリウム、1−ノナデカンスルホン酸カリウム、1−エイコサンデカンスルホン酸カリウム、1−デカンスルホン酸リチウム、1−ウンデカンスルホン酸リチウム、1−ドデカンスルホン酸リチウム、1−トリデカンスルホン酸リチウム、1−テトラデカンスルホン酸リチウム、1−ペンタデカンスルホン酸リチウム、1−ヘキサデカンスルホン酸リチウム、1−ヘプタデカンスルホン酸リチウム、1−オクタデカンスルホン酸リチウム、1−ノナデカンスルホン酸リチウム、1−エイコサンデカンスルホン酸リチウムおよびこれらの異性体を挙げることができる。
また、これらの化合物は、複数種を混合して使用しても差し支えない。
アルキルスルホン酸の金属塩の含有割合は、シート基材を構成する高分子物質における0.1〜30質量%の範囲内とすることが好ましい。
その理由は、アルキルスルホン酸の金属塩の含有割合が0.1質量%未満である場合には、得られる異方導電性シートにおける帯電防止効果が低くなる場合があり、一方、30質量%を超える場合には、得られる異方導電性シートの機械的強度が低下したり、また、特に第2の異方導電性シートにおいては、互いに隣り合う導電部間に位置する絶縁部の電気伝導度が高くなって両導電部間の絶縁性が不十分となる場合があるので好ましくない。
このような無機充填材を適度に含有させることにより、当該シート成形材料のチクソトロピー性が確保され、その粘度が高くなり、しかも、磁性導電性粒子の分散安定性が向上すると共に、得られる異方導電性シートの強度が高くなる。また、異方導電性シートの表面の硬度が適度に改善されることにより、当該異方導電性シートは、インピーダンス測定に繰り返し使用に対する耐久性が向上するという効果を得ることができる。
このような無機充填材の使用量は、特に限定されるものではないが、多量に使用した場合には、磁場による磁性導電性粒子の配向状態を所望の状態とすることができなくなるため、好ましくない。
また、シート成形材料の粘度は、温度25℃において100000〜1000000cpの範囲内であることが好ましい。
この第1の異方導電性シート10は、弾性高分子物質よりなるシート基材中に、磁性導電性粒子Pが、面方向には均一に分散し、厚み方向には配向した状態で含有されてなるものである。
先ず、硬化処理によりシート基体となる高分子物質形成材料中に、磁性導電性粒子Pおよび必要に応じて用いられる非磁性導電性物質が分散されてなる流動性のシート成形材料を調製し、図2に示すように、このシート成形材料を金型20内に注入してシート成形材料層10Aを形成する。
また、シート成形材料層10A中に、非磁性導電性物質が含有されている場合には、当該非磁性導電性物質は、平行磁場が作用しても当該シート成形材料層10A中に分散されたままの状態である。
そして、この状態において、シート成形材料層10Aを硬化処理することにより、絶縁性の弾性高分子物質よりなるシート基体中に、磁性導電性粒子Pが厚み方向に並ぶよう配向した状態で含有されてなる第1の異方導電性シート10が得られる。
永久磁石によってシート成形材料層10Aの厚み方向に平行磁場を作用させる場合において、当該永久磁石としては、上記の範囲の平行磁場の強度が得られる点で、アルニコ(Fe−Al−Ni−Co系合金)、フェライトなどよりなるものを用いることが好ましい。
シート成形材料層10Aの硬化処理は、平行磁場を作用させたままの状態で行うこともできるが、平行磁場の作用を停止させた後に行うこともできる。
シート成形材料層10Aの硬化処理は、使用される材料によって適宜選定されるが、通常、加熱処理によって行われる。具体的な加熱温度および加熱時間は、シート成形材料層10Aを構成する高分子物質形成用材料などの種類、磁性導電性粒子Pの移動に要する時間などを考慮して適宜設定される。
厚みが10μm未満である場合には、異方導電性シートはその弾性が低いものとなり、そのため、この異方導電性シートをプリント配線基板などの被検査物と検査電極との間に配置して加圧を行い接触導通状態を達成する際に、被検査物が傷つきやすくなる。
一方、厚みが100μmを超える場合には、異方導電性シートをプリント配線基板などの被検査物と検査電極との間に配置して加圧を行い接触導通状態を達成する際に、被検査物と検査電極との間の距離が大きくなり、高周波領域、具体的には1GHz以上の高周波領域のインピーダンス測定において伝送損失が低くなりにくい。
比率W1 /Dが1.1未満である場合には、異方導電性シートの厚みに対して磁性導電性粒子の直径が同等あるいは大きいものとなるため、この異方導電性シートはその弾性が低いものとなり、そのため、この異方導電性シートをプリント配線基板などの被検査物と検査電極との間に配置して加圧を行い接触導通状態を達成する際に、被検査物が傷つきやすくなる。
一方、比率W1 /Dが10を超える場合には、異方導電性シートをプリント配線基板などの被検査物と検査電極との間に配置して加圧を行い接触導通状態を達成する際に、被検査物と検査電極との間に多数の導電性粒子が配列して連鎖を形成することとなり、そのため、多数の導電性粒子同士の接点が存在することから、高周波領域、具体的には1GHz以上の高周波領域のインピーダンス測定において伝送損失が低くなりにくい。
この第2の異方導電性シート40は、弾性高分子物質よりなるシート基材中に磁性導電性粒子が密に含有されてなる厚み方向に伸びる複数の導電部11と、この導電部11を相互に絶縁する、弾性高分子物質よりなるシート基材によって構成される絶縁部12とよりなるものである。
この図の例においては、導電部11は、絶縁部12の両表面から突出した状態に形成されている。
図5は、第2の異方導電性シート40を製造するために用いられる金型の一例における構成を示す説明用断面図である。
この金型は、上型50およびこれと対となる下型55が、枠状のスペーサー54を介して互いに対向するよう配置されて構成され、上型50の下面と下型55の上面との間にキャビティが形成されるものである。
上型50においては、基板51の下面に、目的とする異方導電性シート40の導電部11の配置パターンに対掌なパターンに従って強磁性体層52が形成され、この強磁性体層52以外の個所には、当該強磁性体層52の厚みより大きい厚みを有する非磁性体層53が形成されている。
一方、下型55においては、基板56の上面に、目的とする異方導電性シート40の導電部11の配置パターンと同一のパターンに従って強磁性体層57が形成され、この強磁性体層57以外の個所には、当該強磁性体層57の厚みより大きい厚みを有する非磁性体層58が形成されている。
導電部11の厚みが10μm未満である場合には、異方導電性シートはその弾性が低いものとなり、そのため、この異方導電性シートをプリント配線基板などの被検査物と検査電極との間に配置して加圧を行い接触導通状態を達成する際に、被検査物が傷つきやすくなる。
一方、導電部11の厚みが100μmを超える場合には、異方導電性シートをプリント配線基板などの被検査物と検査電極との間に配置して加圧を行い接触導通状態を達成する際に、被検査物と検査電極との間の距離が大きくなり、高周波領域、具体的には1GHz以上の高周波領域のインピーダンス測定において伝送損失が低くなりにくい。
比率W2 /Dが1.1未満である場合には、異方導電性シートの導電部の厚みに対して磁性導電性粒子の直径が同等あるいは大きいものとなるため、この異方導電性シートの導電部はその弾性が低いものとなり、そのため、この異方導電性シートをプリント配線基板などの被検査物と検査電極との間に配置して加圧を行い接触導通状態を達成する際に、被検査物が傷つきやすくなる。
一方、比率W2 /Dが10を超える場合には、異方導電性シートをプリント配線基板などの被検査物と検査電極との間に配置して加圧を行い接触導通状態を達成する際に、被検査物と検査電極との間に多数の導電性粒子が配列して連鎖を形成することとなり、そのため、多数の導電性粒子同士の接点が存在することから、高周波領域、具体的には1GHz以上の高周波領域のインピーダンス測定において伝送損失が低くなりにくい。
例えば第2の異方導電性シートは、図8および図9に示すように、円柱状の導電部Kと、当該導電部Kよりも大きい内径を有すると共に、この導電部Kと同軸を有する円筒状の導電部Gとの2つの導電部を備えてなるものであってもよい。 この異方導電性シート80においては、導電部Kはインピーダンス測定用プローブ本体の測定回路に接続される導電部であり、また、導電部Gはインピーダンス測定用プローブ本体のグランド回路接続用回路に接続される導電部である。
異方導電性シート80を構成するこれらの導電部Kおよび導電部Gには、磁性導電性粒子が密に含有されており、また、導電部Kと導電部Gとは絶縁部Nにより電気的に絶縁されている。
このインピーダンス測定用プローブ120は、円柱状の測定回路121と、当該測定回路121よりも大きい内径を有すると共に、この測定回路121と同軸を有する円筒状のグランド回路接続用回路122と有する、その全体形状が円柱状のインピーダンス測定用プローブ本体120Aと、異方導電性シート80とよりなるものである。
このインピーダンス測定用プローブ120において、異方導電性シート80の片面(図10において下面)側の導電部Kの端面は、インピーダンス測定用プローブ本体120Aの測定回路121に接続され、また、当該片面側の導電部Gの端面は、インピーダンス測定用プローブ本体120Aのグランド回路接続用回路122に接続されている。
この図の例において、異方導電性シート80は、導電部Kが測定回路121に適合した径を有し、導電部Gがグランド回路接続用回路122に適合した径を有している。
この異方導電性シート80が備えられてなるインピーダンス測定用プローブ120は、当該異方導電性シート80のインピーダンス測定用プローブ本体120Aと接続されている片面と反対側の面(図10において上面)を、被測定基板であるプリント配線基板に接触させ加圧することにより、異方導電性シート80の各導電部(導電部Kおよび導電部G)を介して、プリント配線基板の被測定回路とインピーダンス測定用プローブ本体120Aの測定回路121とが接続されると共に、プリント配線基板の基準のグランド回路とインピーダンス測定用プローブ本体120Aのグランド回路接続用回路122とが接続されることによって導通が達成され、インピーダンス測定が実施される。
以下、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
信越化学工業株式会社製の付加型液状シリコーンゴム「KE2000−60」100質量部中に、数平均粒子径が8μmの磁性導電性粒子22.5質量部と、ナトリウムアルキルスルホネート(Cn H2n+1SO3 Na(n=12〜20))2.5質量部とを添加して混合することにより、シート成形材料を調製した。
以上において、磁性導電性粒子としては、ニッケルよりなる芯粒子に金メッキが施されてなる複合粒子(平均被覆量:芯粒子の重量の7質量%)を用いた。
図2に示した構成を有する厚さ30μmのスペーサーを備えてなる金型内に、調製したシート成形材料を注入してシート成形材料層を形成した。
そして、強磁性体板よりなる上型および下型の間に形成されたシート成形材料層に対し、電磁石によってその厚み方向に2Tの磁場を作用させながら、100℃、1時間の条件で硬化処理を施すことにより、図1に示した構成を有する異方導電性シートを製造した。 以下、この異方導電性シートを「異方導電性シートC1」という。
製造した異方導電性シートC1について、インピーダンス測定に用いた場合のその測定系のインダクタンスや異方導電性シートを構成する磁性導電性粒子の粒子界面の抵抗損失などを複合して表される値である伝送損失を指標として異方導電性シートの高周波領域における使用の適否を判断した。
具体的には、ネットワークアナライザーを使用して、周波数10GHz〜60GHzでの伝送損失(Sパラメータ)を測定し、測定された伝送損失の値(Sパラメータ)が−2dB〜0dBの範囲内である場合を合格と評価した。
ここに、伝送損失の値(Sパラメータ)が−2dB〜0dBの範囲内である場合には、良好な状態でプリント配線基板等のインピーダンス測定を行うことができ、特に−1dB〜0dBの範囲内である場合には、更に良好な状態でインピーダンス測定を行うことができる。
一方、伝送損失の値(Sパラメータ)が絶対値で−2dBより大きくなるような場合には、インピーダンス測定は困難となる。
結果を表1に示す。表1において、測定された伝送損失の値(Sパラメータ)が−1dB〜0dBの範囲内であった場合を「○」で示し、測定された伝送損失の値(Sパラメータ)が−2dB〜−1dBの範囲内であった場合を「△」で示し、測定された伝送損失の値(Sパラメータ)が−2dBよりも絶対値で大きくなった場合を「×」で示した。
実施例1において、表1に示すように、使用する磁性導電性粒子の数平均粒子径、添加する磁性導電性粒子の質量、磁性導電性粒子の金メッキ量、金型を構成するスペーサーの厚みを各々変化させたこと以外は実施例1と同様の手法によって異方導電性シートC2〜C18製造した。
製造した製造した異方導電性シートC2〜C18について、実施例1と同様の手法によって伝送損失(Sパラメータ)を測定し、異方導電性シートの高周波特性を評価した。結果を表1に示す。
10A シート成形材料層
11 導電部
11A 大きい強度の磁場が作用されている部分
12 絶縁部
20 金型
21 上型
22 下型
23 スペーサー
P 磁性導電性粒子
40 異方導電性シート
40A シート成形材料層
50 上型
51 基板
52 強磁性体層
53 非磁性体層
54 スペーサー
55 下型
56 基板
57 強磁性体層
58 非磁性体層
80 異方導電性シート
120 インピーダンス測定用プローブ
120A インピーダンス測定用プローブ本体
121 測定回路
122 グランド回路接続用回路
K 導電部
G 導電部
N 絶縁部
Claims (4)
- 弾性高分子物質よりなるシート基体中に、磁性を示す導電性粒子が面方向に分散し、厚み方向に並ぶように配向した状態で含有されてなる異方導電性シートであって、
その厚みが10〜100μmであり、磁性を示す導電性粒子の数平均粒子径が5〜50μmであると共に、厚みW1 と磁性を示す導電性粒子の数平均粒子径Dとの比率W1 /Dが1.1〜10であり、磁性を示す導電性粒子の含有割合が重量分率で10〜40%であって、磁性を示さない導電性物質が均一に分散した状態で含有されてなり、
磁性を示す導電性粒子が、芯粒子の表面に金が被覆されてなる複合粒子であってその被覆量が芯粒子の重量の2.5〜20質量%であり、
高周波領域のインピーダンス測定に用いられることを特徴とする異方導電性シート。 - 弾性高分子物質よりなるシート基体中に、磁性を示す導電性粒子が密に含有されてなる厚み方向に伸びる複数の導電部と、この導電部を相互に絶縁する絶縁部とが形成されてなる異方導電性シートであって、
導電部の厚みが10〜100μmであり、磁性を示す導電性粒子の数平均粒子径が5〜50μmであると共に、導電部の厚みW2 と磁性を示す導電性粒子の数平均粒子径Dとの比率W2 /Dが1.1〜10であり、導電部における磁性を示す導電性粒子の含有割合が重量分率で10〜40%であって、磁性を示さない導電性物質が、導電部と絶縁部とに均一に分散した状態で含有されてなり、
磁性を示す導電性粒子が、芯粒子の表面に金が被覆されてなる複合粒子であってその被覆量が芯粒子の重量の2.5〜20質量%であり、
高周波領域のインピーダンス測定に用いられることを特徴とする異方導電性シート。 - インピーダンス測定用のプローブの被測定基板の被測定回路に接続される導電部と、当該被測定基板のグランド回路に接続される導電部とが絶縁部により離間されていることを特徴とする請求項2に記載の異方導電性シート。
- 全体形状が円柱状のインピーダンス測定用プローブ本体と、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の異方導電性シートとを備えてなり、
インピーダンス測定用プローブ本体は、円柱状の測定回路と、この測定回路よりも大きい内径を有すると共に当該測定回路と同軸の円筒状のグランド回路接続用回路とを有し、 異方導電性シートを介して、被測定基板の被測定回路とインピーダンス測定用プローブ本体の測定回路とが接続されると共に、被測定基板のグランド回路とインピーダンス測定用プローブ本体のグランド回路接続用回路とが接続されることによって導通が達成され、高周波領域においてインピーダンスの測定に使用されることを特徴とするインピーダンス測定用プローブ。
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