JP4419250B2 - 欠陥検査装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板の欠陥検査装置に関し、特に、基板上のむらや傷などを検査する欠陥検査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ICウエハや液晶基板(総じて「基板」という)の表面に形成された繰り返しパターンからの回折光を利用し、表面のむらや傷などの欠陥を自動検査する装置が提案されている。
【0003】
基板表面の欠陥箇所と正常箇所とでは回折効率が異なるため、繰り返しパターンからの回折光に基づく画像には明るさの相違が現れ、画像の明暗により欠陥箇所を特定できる。
欠陥箇所は、例えば、露光機のディフォーカスによって繰り返しパターンの断面形状が変化した箇所や、レジストの膜厚が変化した箇所である。
【0004】
図12(a)の側面図に示すように、検査対象の基板101は、検査時、ステージ102上に載置され、平行な照明光L11によって照明される。このとき、照明光L11は、図12(b)の上面図に示すように、基板101上の繰り返しパターン101aの直線方向(X方向)に対して90°方向から入射する。
そして、照明光L11によって照明された基板101からの回折光L12(図12(a))は、繰り返しパターン101aの箇所が欠陥か正常かに応じた回折効率で発生する。
【0005】
このような装置では、通常、回折光L12を受光する受光光学系が固定されているため、ステージ102をX方向に沿った軸まわりにチルトさせることで、回折光L12を受光光学系に導く。ステージ102をチルトさせる際の設定角度(チルト角)は、回折の条件にしたがって予め求められている。
理想的な場合の回折の条件は、照明光L11の波長λおよび入射角θi、回折光L12の回折角θdおよび回折次数m、ステージ102のチルト角θt、繰り返しパターン101aのピッチpを用いると、次式(11)で表すことができる。
【数1】
Figure 0004419250
この式(11)において、入射角θi,回折角θd,チルト角θtの基準は、図13に示すように、基板101が水平に保たれた状態での法線(基準法線)である。入射角θiの符号は、入射側に見込む角度方向がプラス、反射側に見込む角度方向がマイナスである。入射角θiの範囲は、0°<θi<90°である。
【0006】
また、回折角θdおよびチルト角θtの符号は、入射側に見込む角度方向がマイナス、反射側に見込む角度方向がプラスである。さらに、回折次数mは、m=0の0次回折光(正反射光)を基準として、入射側に見込む角度方向をマイナス、反射側に見込む角度方向をプラスとしている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、基板101をチルト角θt方向に精密に位置決めすることや、基板101の繰り返しパターン101aの直線方向と照明光L11による照明方向とを精密に90°に位置決めすることには限界があり、繰り返しパターン101aから発生する回折光L12の進行方向(図12のYZ面内での角度すなわち回折角θdや、XZ面内の角度)と受光光学系の光軸方向との間に角度ずれが生じるという問題があった。
【0008】
また、この角度ずれは、照明光L11を基板101に導く照明光学系や回折光L12を受光する受光光学系に収差がある場合にも、その収差に応じて生じる。さらに、収差による角度ずれには、回折光L12の発生箇所(基板101上での位置)によって、ずれ量が異なるという問題もある。
このような角度ずれの結果、回折光L12の一部が受光光学系の瞳から外れてしまうと、回折光L12に基づく画像のコントラストが全体的または部分的に低下し、信頼性の高い検査を行うことができない。
【0009】
本発明の目的は、基板からの回折光の進行方向と受光光学系の光軸方向との間に角度ずれが存在する場合でも、回折光に基づく基板の像の全体的または部分的なコントラスト低下を防ぎ、信頼性の高い検査結果が得られる欠陥検査装置を提供することにある。
【0010】
本発明は、繰り返しパターンが形成された被検基板を照明する照明光学系と、被検基板から発生する特定次数の回折光を受光する受光光学系と受光光学系により得られた被検基板の像に基づいて被検基板の欠陥の有無を判断する画像処理部とを備え照明光学系と受光光学系との少なくとも一方は、偏心光学系を含み、偏心光学系の収差に起因して、回折光の進行方向と受光光学系の光軸との間に所定の第1の角度ずれが生じる欠陥検査装置であって、照明光学系と受光光学系とを開口数が異なる光学系とし、照明光学系と受光光学系との開口数の差の絶対値は、前記第1の角度ずれの量以上の値であるものである。
【0011】
このため、回折光の進行方向と受光光学系の光軸方向との間に角度ずれが存在する場合でも、受光光学系の瞳を通過する回折光の光量を一定に保つことができる。このため、受光光学系の瞳を通過した回折光に基づく基板の像のコントラストが、全体的または部分的に低下することはない。すなわち、基板の像は、欠陥か正常かに応じたコントラストを有することになる。したがって、得られた基板の像に基づいて、基板の欠陥の有無を高い信頼性で検査することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて本発明の実施形態を詳細に説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態は、請求項1〜請求項6に対応する。
第1実施形態の欠陥検査装置10は、図1に示すように、ウエハ11を載置する検査ステージ12と、検査ステージ12上のウエハ11を照明する照明光学系13と、照明光学系13によって照明されたウエハ11からの回折光を受光する受光光学系14と、受光光学系14により得られたウエハ11の像に基づいて欠陥の有無を検出する画像処理装置15とで構成されている。
【0013】
さらに、検査ステージ12には、不図示のチルト機構が設けられている。この検査ステージ12は、チルト軸12aを中心に、所定の角度範囲内でチルト可能である。
ここで、検査ステージ12のチルト軸12aに平行な方向をX方向とする。また、検査ステージ12(ウエハ11)が水平に保たれた状態での法線(基準法線)に平行な方向をZ方向とする。さらに、X方向およびZ方向に直交する方向をY方向とする。
【0014】
また、欠陥検査装置10の照明光学系13は、ランプハウス21と、ライトガイド22と、凹面反射鏡23とで構成されている。
凹面反射鏡23は、球面の内側を反射面とした反射鏡であり、検査ステージ12の斜め上方に配置されている。具体的には、凹面反射鏡23の中心10bと検査ステージ12の中心10cを通る軸(光軸O2)がYZ面に平行で、光軸O2がZ方向に対して所定角度(図13の入射角θi)だけ傾くように配置されている。このため、光軸O2と検査ステージ12の法線とを含む面(入射面)は、YZ面に平行となる。
【0015】
ランプハウス21は、ハロゲンランプやメタルハライドランプなどの光源と、波長選択フィルタと、レンズとが内蔵されたものである(いずれも不図示)。ライトガイド22の端面22aは、ほぼ矩形状である(図2(a))。このライトガイド22の端面22aが、照明光学系13の瞳となる。
また、ライトガイド22(端面22a)と凹面反射鏡23とは、各々の中心10a,10bを通る軸(光軸O1)が、光軸O2と共に、入射面(YZ面)に垂直な面内に含まれるよう配置されている。このように、光軸O1,O2を含み入射面(YZ面)に垂直な面を「凹面反射鏡23の軸外し面」という。ちなみに、この軸外し面内には、凹面反射鏡23の回転中心軸L23および検査ステージ112のチルト軸12aも含まれる。ここで、光軸O1,O2と回転中心軸L23との成す角を「軸外し角φ」という。照明光学系13は、光軸O1と光軸O2とが同一線上にない偏心光学系である。
【0016】
さらに、上記したライトガイド22(端面22a),凹面反射鏡23,検査ステージ12は、中心10a,10b間の距離、および中心10b,10c間の距離が、凹面反射鏡23の焦点距離fに等しくなるように配置されている(テレセントリック系)。
また、ライトガイド22の端面22a(矩形状)は、図2(a)に示すように、各辺が入射面(YZ面)に平行または垂直となる向きで配置されている。ライトガイド22の端面22a(照明光学系13の瞳)の入射面方向の半径をD1、入射面に垂直な方向の半径をD2とする。このとき、照明光学系13のウエハ11上での開口数は、入射面に平行な方向(開口数NAi1)が次式(12)、入射面に垂直な方向(開口数NAi2)が次式(13)で表される。
【数2】
Figure 0004419250
上記の照明光学系13において、ランプハウス21からの特定波長域λの光は、ライトガイド22の端面22aから凹面反射鏡23に向けて射出される(光束L1)。ライトガイド22の端面22aは凹面反射鏡23の焦点面上に配置されているため、端面22aからの光束L1は、凹面反射鏡23で反射したのち略平行な光束(照明光L2)となって検査ステージ12上のウエハ11に照射される。この照明光L2によって、ウエハ11の全面が照明される。
【0017】
一方、受光光学系14は、凹面反射鏡24と、レンズ25と、撮像素子26とで構成されている。この受光光学系14において、レンズ25の絞り25a(図2(b))が、受光光学系14の瞳となる。レンズ25の絞り25aは、円形状である。なお、レンズ25の絞り25aの位置は、ライトガイド22の端面22aと共役である。
【0018】
受光光学系14の凹面反射鏡24は、上記の凹面反射鏡23と同様の反射鏡であり、検査ステージ12の上方に配置されている。具体的には、凹面反射鏡24の中心10dと検査ステージ12の中心10cとを通る軸(光軸O3)が、Z方向(基準法線)に平行で、かつ入射面内に含まれるように配置されている。
また、凹面反射鏡24とレンズ25(絞り25a)とは、各々の中心10d,10eを通る軸(光軸O4)が、光軸O3と共に、入射面内に含まれるように配置されている。このため、光軸O3,O4を含む面(凹面反射鏡24の軸外し面)は、入射面と一致する。
【0019】
ちなみに、この軸外し面内には、凹面反射鏡24の回転中心軸L24も含まれる。ここで、光軸O3,O4と回転中心軸L24との成す角を「軸外し角ψ」という。受光光学系14は、光軸O3と光軸O4とが同一線上にない偏心光学系である。
【0020】
さらに、上記した検査ステージ12,凹面反射鏡24,レンズ25(絞り25a)は、中心10c,10d間の距離、および中心10d,10e間の距離が、凹面反射鏡24の焦点距離fに等しくなるように配置されている(テレセントリック系)。なお、凹面反射鏡24の焦点距離fは、上記の凹面反射鏡23の焦点距離fと等しい。
【0021】
受光光学系14のウエハ11上での開口数は、入射面に平行な方向(開口数NAo1)と入射面に垂直な方向(開口数NAo2)とが等しく、レンズ25の絞り25a(受光光学系14の瞳)の半径Doとするとき、次式(14)で表される。
【数3】
Figure 0004419250
上記の受光光学系14において、ウエハ11からの回折光L3は、凹面反射鏡24で反射したのち収束する光束L4となってレンズ25の絞り25a(受光光学系14の瞳)に到達する。そして、レンズ25の絞り25a(受光光学系14の瞳)を通過した回折光L5が、レンズ25により、撮像素子26の撮像面上に集光される。撮像素子26の撮像面上には、回折光L5によるウエハ11の像が形成される。
【0022】
なお、レンズ25の絞り25aの半径Doは、ウエハ11の表面で必要となる焦点深度に応じて定められている。検査ステージ12を所定の角度範囲内でチルトさせると、ウエハ11の表面がZ方向に移動するため、この移動範囲を含む焦点深度が必要である。
また、上記の撮像素子26に接続された画像処理装置15は、撮像素子26で取り込んだ画像の画像処理を行う他に、画像の光量をモニタする。また、画像処理装置15は、検査中のウエハ11のパターンの特徴抽出を行ったり、予め記憶させておいた良品ウエハの像とのパターンマッチングを行い、良品ウエハの像の特徴と異なる部分があるかどうかを判断する。回折画像に明暗のムラがある場合は、その部分の明暗差や特徴の違いから、そこの部分を欠陥として出力する。
【0023】
さて、本実施形態の欠陥検査装置10において、照明光学系13と受光光学系14とは開口数が異なり、照明光学系13の開口数NAi1,NAi2(上記式(12),(13))の方が受光光学系14の開口数NAo1,NAo2(上記式(14))よりも大きい構成となっている。
照明光学系13と受光光学系14との開口数の差(NAi1−NAo1,NAi2−NAo2)は、ウエハ11からの回折光L3の進行方向と受光光学系14の光軸O3との角度ずれ量に応じて設定される。
【0024】
欠陥検査装置10では、受光光学系14の光軸O3が固定されているため、上記の角度ずれ量は、回折光L3の進行方向のずれ量と考えることができる。以下、回折光L3の進行方向のずれ量を「回折角ずれ量dθd」という。
次に、上記のように構成された欠陥検査装置10における回折角ずれ量dθdについて検討する。
【0025】
回折角ずれの原因は3つ考えられる。第1に、ウエハ11の法線まわりの回転角ずれである。第2に、ウエハ11のチルト軸12aまわりの回転角ずれである。第3に、凹面反射鏡23,24の収差である。これら3つの場合を個別に検討する。
(1)ウエハ11が法線まわりの回転角ずれを起こしているときの回折角ずれについて検討する。
【0026】
一般に、検査対象のウエハ11は、検査ステージ12に載置される前、外部のアライメントステージ(不図示)でのアライメントにより、ウエハ11上の繰り返しパターンの直線方向がX方向に平行(光軸O2に垂直)となるように、法線まわりの回転角が調整される。そして、アライメントが終了すると、ウエハ11は、調整された回転角を維持しつつ検査ステージ12に載せ換えられる。
【0027】
しかし、検査ステージ12への載せ換えの際、機械誤差により、ウエハ11が法線まわりに微少量回転してしまうことがある。ウエハ11が法線まわりに微少量回転すると、図3(a)に示すように、繰り返しパターン11aの直線方向がX方向からずれてしまう(回転角ずれ量dθr)。
さらに、上記のアライメントは、繰り返しパターン11aの直線方向がウエハ11の外形基準(所謂オリフラやノッチなど)に平行または垂直であることを前提に、外形基準を使って行われる。しかし、外形基準で決まる座標系と露光されたショットの座標系とは、露光装置の誤差などによって、ウエハ11の法線まわりにずれていることがある。この場合には、図3(a)に示す回転角ずれ量dθrがさらに増大してしまう。
【0028】
このように、ウエハ11が法線まわりの回転角ずれを起こし(回転角ずれ量dθr)、繰り返しパターン11aの直線方向がX方向からずれているとき、照明光L2の照明方向が繰り返しパターン11aの直線方向に対して90°からずれることになる。
その結果、ウエハ11の繰り返しパターン11aから発生する回折光L3の進行方向は、図3(b)に実線で示すように、入射面に垂直で光軸O3を含む面(XZ面)内で、受光光学系14の光軸O3からずれる(回折角ずれ量dθdr)。なお、図3(b)では、簡単のため、凹面反射鏡24を凸レンズで図示した。
【0029】
このときの回転角ずれ量dθrと回折角ずれ量dθdrとの関係は、dθr,dθdrが微少量であれば、特開平11-6803号公報に記載されているように、次の近似式(15)で表すことができる。ただし、mは回折光L3の回折次数、λは照明光L11の波長、pは繰り返しパターン11aのピッチである。dθr,dθdrの単位はラジアンである。
【数4】
Figure 0004419250
本実施形態の欠陥検査装置10における回折角ずれ量dθdrの最大値(dθdrm)について検討するため、上記の式(11)を積の形に変形すると、次式(16)が得られる。
【数5】
Figure 0004419250
この式(16)において、例えば、回折次数m=−1,回折角θd=0°,照明光L2の入射角θi=40°,−20°<(チルト角θt)<35°とすると、次式(17)が得られる。
【数6】
Figure 0004419250
したがって、上記の式(15)と式(17)とから、回折光L3のXZ面内での回折角ずれ量dθdrは、ウエハ11の回転角ずれ量dθrの約1.54倍が最大値(dθdrm)となることが分かる。
【0030】
回転角ずれ量dθrは、検査ステージ12への載せ換え時に発生する誤差と、ウエハ11の外形基準に対するショット座標の誤差とを合計した量であり、予測することができる。このため、予測した回転角ずれ量dθrの値を用いることで、回折光L3のXZ面内での回折角ずれ量dθdrの最大値(dθdrm=1.54dθr)も予測できる。
【0031】
例えば、回転角ずれ量dθrを0.0015radとすれば、回折角ずれ量dθdrの最大値(dθdrm)は0.0023radとなる。
(2)ウエハ11がチルト軸12aまわりの回転角ずれを起こしているときの回折角ずれについて検討する。
検査ステージ12(ウエハ11)のチルトは、ウエハ11から発生する所望の回折次数mの回折光L3を受光光学系14に導くために行われるが、機械誤差により、設定したチルト角θtから微少量ずれることがある。
【0032】
このように、ウエハ11がチルト軸12aまわりの回転角ずれを起こしていると(チルト角ずれ量dθt)、ウエハ11から発生する回折光L3の進行方向(回折角θd)は、図4に実線で示すように、入射面(YZ面に平行)内で、受光光学系14の光軸O3からずれる(回折角ずれ量dθdt)。なお、図4でも、簡単のため、凹面反射鏡24を凸レンズで図示した。
【0033】
このときのチルト角ずれ量dθtと回折角ずれ量dθdtとの関係を調べるために、上記した回折の条件を表す式(11)の全微分をとると、式(18)が得られる。
【数7】
Figure 0004419250
簡単のために、照明光L2が単色光(dλ=0)で、かつ入射角θiの誤差無し(dθi=0)とする。さらに、受光光学系14の光軸O3はZ方向(基準法線)に平行なため、回折光L3の回折角θd=0とする。この場合、上記の式(18)は、次式(19)のようになる。
【数8】
Figure 0004419250
本実施形態の欠陥検査装置10における回折角ずれ量dθdtの最大値(dθdtm)について検討するため、上記の式(19)において、照明光L2の入射角θi=40°,−20°<(チルト角θt)<35°とすると、回折角ずれ量dθdtは、チルト角ずれ量dθtの1.32倍〜2.0倍の間で変化することが分かる。
したがって、回折光L3の入射面内での回折角ずれ量dθdtは、ウエハ11のチルト角ずれ量dθtの約2.0倍が最大値(dθdtm)となる。ちなみに、回折角ずれ量dθdtが最大値(dθdtm)となるチルト角θtは、上記の範囲内において−20°である。
【0034】
チルト角ずれ量dθtは予測可能なため、予測したチルト角ずれ量dθtの値を用いることで、回折光L3の入射面内での回折角ずれ量dθdtの最大値(dθdtm=2.0dθt)も予測できる。
例えば、チルト角ずれ量dθtを0.001radとすれば、回折角ずれ量dθdtの最大値(dθdtm)は0.002radとなる。
【0035】
(3)凹面反射鏡23,24の収差による回折角ずれについて検討する。ここでは、照明光学系13の凹面反射鏡23を例に検討する。
上述したように、照明光学系13は光軸O1と光軸O2とが同一線上にない偏心光学系であるため、凹面反射鏡23の収差の影響により、凹面反射鏡23の軸外し面(入射面に垂直な面)内で、照明光L2の進行方向が光軸O2から微少量ずれてしまう(入射角ずれ量dθi)。
【0036】
このように、照明光L2の進行方向が光軸O2からずれると、ウエハ11からの回折光L3の進行方向も受光光学系14の光軸O3からずれてしまう(回折角ずれ量dθdi)。照明光L2のずれが入射面に垂直な面(軸外し面)内で生じるため、回折光L3のずれも入射面に垂直な面(光軸O3を含むXZ面)内で生じる。
【0037】
このときの回折角ずれ量dθdiは、照明光L2の入射角ずれ量dθiに等しいため、次に、入射角ずれ量dθiについて検討する。
表1は、凹面反射鏡23の軸外し角φが10°の場合の入射角ずれ量dθiに関するシミュレーション結果である。
【表1】
Figure 0004419250
表1から分かるように、入射角ずれ量dθiは、照明光L2のウエハ11への到達点(X位置)Xp(mm)ごとに異なる。ウエハ11への到達点Xpは、ウエハ11の中心10cからの距離Xp(mm)を表している(図5)。上記のシミュレーションは、|Xp|≦0.5fの範囲内で行った。
【0038】
なお、図5に示すように、入射角ずれ量dθiの符号は、紙面において反時計方向をプラス、時計方向をマイナスとする。また、ウエハ11への到達点Xpは、紙面において右方向をプラス、左方向をマイナスとする。凹面反射鏡23の軸外しの方向は、ライトガイド22がXpのマイナス側に配置される方向である。この表1において、照明光L2の入射角ずれ量dθiの最大値(dθia)は、ウエハ11への到達点Xpが−0.1fの地点で0.0003radとなる。最小値(dθib)は、到達点Xpが0.5fの地点で−0.0643radとなる。また、入射角ずれ量dθiの最大値(dθia)と最小値(dθib)との角度幅は、0.0646radとなる。
【0039】
さらに、凹面反射鏡23の軸外し角φが10°以外の場合についても、入射角ずれ量dθiに関するシミュレーションを行った。なお、凹面反射鏡23の軸外し角φの範囲は、光学設計の経験上15°以下が好ましく、また、ウエハ11とライトガイド22とが干渉しないように配置するため、R/f<sin2φを満足することが好ましい。シミュレーションは、この軸外し角φの範囲内において行った。
【0040】
様々な軸外し角φでのシミュレーション結果は、何れも、図6に示すように、ウエハ11への到達点Xpのマイナス側に極大値を有し、ウエハ11の中心10c(到達点Xp=0)で零となり、到達点Xpのプラス側で単調減少する。
ここで、上記の様々な軸外し角φでのシミュレーションの結果を満足するように、入射角ずれ量dθiを、ウエハ11への到達点Xpに関する3次式(次式(21))として近似する。
【0041】
dθi=−k1(Xp/f)3−k2(Xp/f)2−k3(Xp/f)…(21)
また、上記式(21)の各係数k1,k2,k3は、軸外し角φの関数(次式(22),(23),(24))として表す。なお、軸外し角φの単位はradである。
k1=0.8942φ2−0.0317φ+0.1312……(22)
k2=0.4611φ2+0.7738φ……(23)
k3=0.5768φ2−0.0075φ+0.0007……(24)
また、入射角ずれ量dθiが極大値(極値)となる到達点Xoと、そのときの入射角ずれ量k4は各々、次式(25),(26)で表される。
【0042】
Xo/f=−0.3438φ−0.0025……(25)
k4=0.0903φ3……(26)
ところで、ウエハ11の中心10c(Xp=0)から最外周部までの距離は、プラス側とマイナス側とで対称なので、入射角ずれ量dθiの最小値(dθib)を決定する到達点Xpは、常に、プラス側の最外周部である。このときの入射角ずれ量dθiの最小値(dθib)は、上記式(21)に、Xp=Rを代入することで、次式(27)で表される。
【0043】
dθib=−k1(R/f)3−k2(R/f)2−k3(R/f)…(27)
一方、入射角ずれ量dθiの最大値(dθia)は、到達点Xpのマイナス側にある。
ここで、ウエハ11の中心10c(Xp=0)からマイナス側の最外周部(Xp=−R)までの範囲内に、入射角ずれ量dθiの極大値k4(式(26))が存在する場合(−R<Xo)には、この極大値k4が入射角ずれ量dθiの最大値(dθia)となる。この場合、入射角ずれ量dθiの最大値(dθia)と最小値(dθib)との角度幅kは、上記式(26)と式(27)とに基づいて、次式(28)で表される。
【0044】
k=dθia+│dθib│
=k1(R/f)3+k2(R/f)2+k3(R/f)+k4……(28)
(ただし、−R/f<−0.3438φ−0.0025)
一方、ウエハ11の中心10c(Xp=0)からマイナス側の最外周部(Xp=−R)までの範囲内に、入射角ずれ量dθiの極大値k4(式(26))が存在しない場合(−R≧Xo)には、マイナス側の最外周部(Xp=−R)での入射角ずれ量dθiが最大値(dθia)となる。このときの最大値(dθia)は、上記式(21)に、Xp=−Rを代入することで、次式(29)で表される。
【0045】
dθia=k1(R/f)3−k2(R/f)2+k3(R/f)…(29)
この場合、入射角ずれ量dθiの最大値(dθia)と最小値(dθib)との角度幅kは、上記式(27)と式(29)とに基づいて、次式(31)で表される。
k=dθia+│dθib│
=2(k1(R/f)3+k3(R/f))……(31)
(ただし、−R/f≧−0.3438φ−0.0025)
上記のように、凹面反射鏡23の収差による照明光L2の入射角ずれ量dθiが角度幅k(式(28)または式(31))を持つため、ウエハ11からの回折光L3の回折角ずれ量dθdiも同じ角度幅kを有することになる。
【0046】
例えば、軸外し角度φが10°(0.174rad)、ウエハ11の半径Rが100mm、凹面反射鏡23の焦点距離fが600mmのとき、入射角ずれ量dθi(回折角ずれ量dθdi)の角度幅kは、上記式(28)に基づいて、0.0082radとなる。なお、各係数は、k1=0.1529,k2=0.1491,k3=0.0170,k4=0.00048である。
【0047】
上記の検討は、受光光学系14の凹面反射鏡24にそのまま当てはめることができる。凹面反射鏡24の場合には、凹面反射鏡24の軸外し面が入射面と一致しているため、入射面内で、照明光L2が光軸O2からずれ、回折光L3が光軸O3からずれる。つまり、上記の凹面反射鏡23の場合と、ずれの方向が異なる。これは、軸外し面の方向が異なるからである。ただし、軸外し角ψが同じであれば、入射角ずれ量dθi(回折角ずれ量dθdi)の角度幅kは同じとなる(式(28)または式(31))。
【0048】
以上の検討結果から分かるように、本実施形態の欠陥検査装置10では、入射面(YZ面)に水平な方向の回折角ずれが、ウエハ11のチルト角ずれ(図4)と、凹面反射鏡24の収差とに起因して生じる。このため、入射面に水平な方向の回折角ずれ量dθd1は、ウエハ11のチルト角ずれ(図4)に起因する回折角ずれ量dθdt(式(19))と、凹面反射鏡24の収差に起因する回折角ずれ量dθdiとを加算したものとなる。
【0049】
そこで、本実施形態の欠陥検査装置10では、入射面(YZ面)に平行な方向に関して、照明光学系13の開口数NAi1と受光光学系14の開口数NAo1との差を、次式(33)で示すように、回折角ずれ量dθdtの最大値(dθdtm=2.0dθt)と回折角ずれ量dθdiの角度幅k(式(28)または(31))との和に等しく設定した。
【0050】
NAi1−NAo1=dθdtm+k……(33)
したがって、図7(a)に示すように、ウエハ11の各点から発生する回折光L3の瞳面25b(レンズ25の絞り25aの配置面)におけるスポット22bの半径Ds1は、次式(34)で表される。
【0051】
Ds1=(照明光学系13の開口数NAi1)×(受光光学系14の焦点距離f)
=(NAo1・f)+((dθdtm+k)・f)……(34)
式(34)において、右辺の第1項(NAo1・f)は、受光光学系14の瞳(レンズ25の絞り25a)の半径Doを表している(上記式(14)参照)。また、右辺の第2項((dθdtm+k)・f)は、受光光学系14の瞳(レンズ25の絞り25a)面25bにおける回折光L3のスポット22bの最大位置ずれ量と考えることができる。
【0052】
つまり、瞳面25bにおける回折光L3のスポット22bの半径Ds1は、受光光学系14の瞳(レンズ25の絞り25a)の半径Doに、最大位置ずれ量((dθdtm+k)・f)を加算した大きさとなる。
したがって、図7(b)に示すように、ウエハ11からの回折光L3に回折角ずれ(チルト角ずれ,凹面反射鏡24の収差)が存在し(回折角ずれ量dθd1≦dθdtm+k)、受光光学系14の瞳(レンズ25の絞り25a)面25bにおいて入射面方向に回折光L3が位置ずれを起こしても、受光光学系14の瞳(レンズ25の絞り25a)を通過する回折光L5(図1)の光量は一定となる。
【0053】
一方、入射面に垂直な方向の回折角ずれは、ウエハ11の回転角ずれ(図3)と、凹面反射鏡23の収差とに起因して生じる。このため、入射面に垂直な方向の回折角ずれ量dθd2は、ウエハ11の回転角ずれ(図3)に起因する回折角ずれ量dθdr(式(15))と、凹面反射鏡23の収差に起因する回折角ずれ量dθdiとを加算したものとなる。
【0054】
そこで、本実施形態の欠陥検査装置10では、入射面(YZ面)に垂直な方向に関して、照明光学系13の開口数NAi2と受光光学系14の開口数NAo2との差を、次式(34)に示すように、回折角ずれ量dθdrの最大値(dθdrm=1.54dθdr)と回折角ずれ量dθdiの角度幅k(式(28)または(31))との和に等しく設定した。
【0055】
NAi2−NAo2=dθdrm+k……(35)
したがって、ウエハ11からの回折光L3の瞳面25bにおけるスポット22b(図7(a))の半径Ds2は、次式(36)で表される。
Ds2=(照明光学系13の開口数NAi2)×(受光光学系14の焦点距離f)
=NAo2・f+((dθdrm+k)+k)・f……(36)
式(36)において、右辺の第1項(NAo2・f)は、受光光学系14の瞳(レンズ25の絞り25a)の半径Doを表している(上記式(14)参照)。また、右辺の第2項((dθdrm+k)・f)は、瞳面25bにおける回折光L3のスポット22bの最大位置ずれ量と考えることができる。
【0056】
つまり、回折光L3のスポット22bの半径Ds2は、受光光学系14の瞳(レンズ25の絞り25a)の半径Doに、最大位置ずれ量((dθdrm+k)・f)を加算した大きさとなる。
したがって、回折光L3に回折角ずれ(回転角ずれ,凹面反射鏡23の収差)が存在し(回折角ずれ量dθd2≦dθdrm+k)、瞳面25bにおいて入射面に垂直な方向に回折光L3が位置ずれを起こしても、受光光学系14の瞳(レンズ25の絞り25a)を通過する回折光L5(図1)の光量は一定となる。
【0057】
ちなみに、欠陥検査装置10では、照明光学系13の凹面反射鏡23と受光光学系14の凹面反射鏡24とは焦点距離fが等しいため、上記のような開口数の差を付けるには、照明光学系13の瞳(ライトガイド22の端面22a)と受光光学系14の瞳(レンズ25の絞り25a)との大きさに差を付けることで達成できる。照明光学系13の瞳(ライトガイド22の端面22a)の半径D1,D2は、上記の式(12),(13)と(33),(35)とから、(37),(38)となる。
【0058】
D1=NAi1・f=NAo1・f+(dθdtm+k)・f……(37)
D2=NAi2・f=NAo2・f+(dθdrm+k)・f……(38)
以上説明したように、照明光学系13の開口数を受光光学系14の開口数よりも大きくした欠陥検査装置10では、ウエハ11からの回折光L3に回折角ずれが存在していても、受光光学系14の瞳(レンズ25の絞り25a)を通過する回折光L5(図1)の光量を一定に保つことができる。このため、回折光L5に基づくウエハ11の像のコントラストが全体的または部分的に低下することはない。回折光L5に基づくウエハ11の像は、欠陥か正常かに応じたコントラストを有するため、ウエハ11に対する欠陥検査の結果を高い信頼性で得ることができる。
【0059】
また、上記した第1実施形態では、受光光学系14のレンズ25の絞り25aをライトガイド22の端面22aよりも小さく設定したので、受光光学系14の焦点深度が深く、ウエハ11をチルトさせた場合でも、ウエハ11の各点において焦点の合った検出を行える。
なお、受光光学系14のレンズ25の絞り25aの大きさを小さくした分、撮像素子26に導かれる回折光L5の光量が減少するが、撮像素子26の検出感度およびランプハウス21内の光源の輝度を上げることで所望のSN比を維持することができる。
【0060】
上記した第1実施形態では、照明光学系13の開口数を受光光学系14の開口数よりも大きく設定する例(加算)を説明したが、逆に、受光光学系14の開口数を照明光学系13の開口数よりも大きく設定してもよい(減算)。この場合でも、上記と同様に、受光光学系14の瞳(レンズ25の絞り25a)を通過する回折光L5(図1)の光量を一定に保つことができ、ウエハ11に対する欠陥検査の結果を高い信頼性で得ることができる。
【0061】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態は、請求項1〜請求項7に対応する。
第2実施形態の欠陥検査装置30は、図8に示すように、照明光学系13のライトガイド22と凹面反射鏡23との間にアフォーカル走査系31(走査手段)を配置したものである。このアフォーカル走査系31を介して、ライトガイド22の端面22aと凹面反射鏡23の焦点面31aとは共役の関係にある。
【0062】
アフォーカル走査系31は、レンズ32と、振動ミラー33と、レンズ34とで構成されている。振動ミラー33は、Y方向に平行な回転軸33aのまわりに所定の振れ角範囲内で回転可能である。振動ミラー33の振れ角θmについては後述する。振動ミラー33の振動数は、受光光学系14の撮像素子26の1画面の取込時間(シャッター時間)に応じて設定される。
【0063】
このアフォーカル走査系31の振動ミラー33により一次元方向に偏向走査されるライトガイド22の端面22aは、図9に示すように、矩形状であり、走査方向の半径D3が、走査方向に垂直な方向の半径D4よりも小さい。
アフォーカル走査系31の振動ミラー33によりライトガイド22の端面22aを一次元走査すると、図10(a),(b)に示すように、ライトガイド22の端面22aの像22cが、振動ミラー33の動きに応じて、凹面反射鏡23の焦点面31a内を1次元方向に往復移動する。
【0064】
凹面反射鏡23の焦点面31aにおける像22cの移動方向(走査方向)は、入射面(YZ面)に垂直な方向である。これにより、凹面反射鏡23の焦点面31a上には、二次光源31bが形成される。
この欠陥検査装置30では、凹面反射鏡23の焦点面31a上に形成された二次光源31bが、照明光学系13の瞳となる。二次光源31bは、受光光学系1のレンズ25の絞り25aと共役である。
【0065】
そして、二次光源31bの光束L7は、凹面反射鏡23に入射し、そこでの反射により略平行な光束(照明光L8)となってウエハ11を照明する(図8)。
アフォーカル走査系31での一次元走査によって、照明光学系13のウエハ11上での開口数は、入射面に垂直な方向(開口数NAi3)に関し、図11に示されるように、端面22aの大きさD3のみで決まる開口数NA1よりも大きくなる。開口数NAi3は、振動ミラー33の振れ角θmに応じて変わる。
【0066】
ここで、照明光学系13の入射面に垂直な方向の開口数NAi3を式で表すと、振動ミラー33が振動していないときの開口数NA1(次式(41))と、振動ミラー33の振動による開口数の増加分NA2(次式(42))との合計となる(次式(43))。
【数9】
Figure 0004419250
式(42)において、D3はライトガイド22の端面22aの走査方向の半径、f3はレンズ32の焦点距離、f5はレンズ34の焦点距離、f6は凹面反射鏡23の焦点距離、θmは振動ミラー33の振れ角(光軸Oに対して片側)である。
【0067】
一方、照明光学系13の入射面に平行な方向(非走査方向)の開口数NAi4は、ライトガイド22の端面22aの非走査方向の半径をD4とするとき、上記の開口数NA1(次式(41))と同様に、式(44)で表される。
【数10】
Figure 0004419250
第2実施形態において受光光学系14の構成は欠陥検査装置10(図1,図2(b)と同じであるため)、受光光学系14の開口数は上記した式(14)で表せる。このため、照明光学系13の開口数NAi3,NAi4が次式(45),(46)を満足するとき、回折光L3に回折角ずれが存在する場合でも、受光光学系14の瞳(レンズ25の絞り25a)を通過する回折光L5(図8)の光量を一定に保つことができる。
【0068】
NAi3−NAo2=dθdrm+k……(45)
NAi4−NAo1=dθdtm+k……(46)
なお、回転角ずれ量dθrとチルト角ずれ量dθtとを比較すると、通常、回転角ずれ量dθrの方が大きい。回転角ずれ量dθrは、ウエハ11を検査ステージ12に載せ換える際の誤差と、ウエハ11の外形基準に対するショット座標の誤差との合計だからである。
【0069】
また、回転角ずれに起因する回折角ずれ量dθdrの最大値(dθdrm)は回転角ずれ量dθrの1.54倍であり、チルト角ずれに起因する回折角ずれ量dθdtの最大値(dθdtm)は回転角ずれ量dθtの2.0倍であり、係数には大きな差がない。なお、回折角ずれ量dθdrは入射面に垂直方向、回折角ずれ量dθdtは入射面方向である。
【0070】
これらのことから、照明光学系13と受光光学系14との開口数の差は、通常、入射面に垂直な方向(式(35),(45))の方が、入射面に平行な方向(式(33),(46))よりも大きく設定される。
第2実施形態の欠陥検査装置30では、開口数の差が大きく設定される入射面に垂直な方向(式(45))に沿って1次元走査するので、入射面方向を走査する場合と比べて、ライトガイド22の端面22aを小さく構成することができ、コスト上昇が抑えられる。
【0071】
上記した第2実施形態では、ライトガイド22の端面22aを一次元走査する例を説明したが、ライトガイド22の径を小さくし、その端面を2次元走査することも可能である。
また、照明光学系13と受光光学系14との開口数の差は、回折角ずれ量dθdt(,dθdr)の最大値dθdtm(,dθdrm)と回折角ずれ量dθdiの角度幅kとの和dθdtm+k(,dθdrm+k)以上に設定しても良い。
【0072】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、回折光の進行方向と受光光学系の光軸方向との間に角度ずれが存在する場合でも、受光光学系の瞳を通過する回折光の光量を一定に保つことができるため、受光光学系の瞳を通過した回折光に基づく基板の像のコントラストが全体的または部分的に低下することはなく、得られた基板の像のコントラストに基づいて、基板の欠陥の有無を高い信頼性で検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態の欠陥検査装置10の全体構成図である。
【図2】照明光学系13の瞳および受光光学系14の瞳の大きさを示す図である。
【図3】ウエハ11の回転角ずれに起因する回折角ずれを説明する図である。
【図4】ウエハ11のチルト角ずれに起因する回折角ずれを説明する図である。
【図5】凹面反射鏡23の収差による入射角ずれを説明する図である。
【図6】凹面反射鏡23の収差による入射角ずれ量dθiを説明するグラフである。
【図7】受光光学系14の瞳を通過可能な光束を説明する図である。
【図8】第2実施形態の欠陥検査装置30の全体構成図である。
【図9】照明光学系13の瞳の大きさを示す図である。
【図10】アフォーカル走査系による一次元走査を説明する図である。
【図11】アフォーカル走査系による開口数の増大を説明する図である。
【図12】従来の欠陥検査を説明する図である。
【図13】回折の条件におけるパラメータを示す図である。
【符号の説明】
10,30 欠陥検査装置
11 ウエハ
12 検査ステージ
13 照明光学系
14 受光光学系
15 画像処理装置
21 ランプハウス
22 ライトガイド
23,24 凹面反射鏡
25,32,34 レンズ
26 撮像素子
33 振動ミラー

Claims (7)

  1. 繰り返しパターンが形成された被検基板を照明する照明光学系と、
    前記被検基板から発生する特定次数の回折光を受光する受光光学系と
    前記受光光学系により得られた前記被検基板の像に基づいて前記被検基板の欠陥の有無を判断する画像処理部とを備え
    前記照明光学系と前記受光光学系との少なくとも一方は、偏心光学系を含み、前記偏心光学系の収差に起因して、前記回折光の進行方向と前記受光光学系の光軸との間に所定の第1の角度ずれが生じる欠陥検査装置であって、
    前記照明光学系と前記受光光学系とは開口数が異なり、
    前記照明光学系と前記受光光学系との開口数の差の絶対値は、前記第1の角度ずれの量以上の値である
    ことを特徴とする欠陥検査装置。
  2. 請求項1に記載の欠陥検査装置において、
    前記照明光学系の光軸と前記被検基板の法線とを含む入射面に垂直な方向に関し、前記開口数の差の絶対値は、前記第1の角度ずれの量と前記法線を中心とする前記被検基板の回転角ずれに起因する角度ずれ量との和以上の値である
    ことを特徴とする欠陥検査装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の欠陥検査装置において、
    前記照明光学系の光軸と前記被検基板の法線とを含む入射面に平行な方向に関し、前記開口数の差の絶対値は、前記第1の角度ずれの量と前記入射面に垂直な軸を中心とする前記被検基板の回転角ずれに起因する角度ずれ量との和以上の値である
    ことを特徴とする欠陥検査装置。
  4. 請求項1から請求項3の何れか1項に記載の欠陥検査装置において、
    前記偏心光学系は、1以上の軸外し反射光学系を含み、
    前記軸外し反射光学系の軸外し面に平行な方向に関し、前記開口数の差の絶対値は、請求項2または請求項3に記載の角度ずれ量と前記軸外し反射光学系の収差に起因する前記角度ずれ量との和以上の値である
    ことを特徴とする欠陥検査装置。
  5. 請求項4に記載の欠陥検査装置において、
    前記軸外し反射光学系の収差に起因する前記角度ずれ量kは、前記軸外し反射光学系の軸外し角φ(rad)および焦点距離f(mm)と前記被検基板の半径R(mm)とが、
    −R/f<−0.3438φ−0.0025の条件を満足するとき次式(1)で表され、
    k=k1(R/f)3+k2(R/f)2+k3(R/f)+k4 ……(1)
    −R/f≧−0.3438φ−0.0025の条件を満足するとき次式(2)で表され、
    k=2(k1(R/f)3+k3(R/f)) ……(2)
    前記角度ずれ量kの式(1)および式(2)における係数k1、k2、k3、k4は、次式(3)、(4)、(5)、(6)で表される
    k1=0.8942φ2−0.0317φ+0.1312 ……(3)
    k2=0.4611φ2+0.7738φ ……(4)
    k3=0.5768φ2−0.0075φ+0.0007 ……(5)
    k4=0.0903φ3 ……(6)
    ことを特徴とする欠陥検査装置。
  6. 請求項1から請求項5の何れか1項に記載の欠陥検査装置において、
    前記照明光学系の開口数は、前記受光光学系の開口数より大きい
    ことを特徴とする欠陥検査装置。
  7. 請求項6に記載の欠陥検査装置において、
    前記照明光学系は、該照明光学系の瞳に共役な面を少なくとも1次元方向に走査する走査手段を備えた
    ことを特徴とする欠陥検査装置。
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