JP4417554B2 - 相当にフッ素化されたイオノマー - Google Patents

相当にフッ素化されたイオノマー Download PDF

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Description

【0001】
(技術分野)
本発明は、相当にフッ素化されているがペルフッ素化されていないイオノマー類を扱い、およびフルオロスルホニルメチドまたはフルオロスルホニルイミド誘導体およびそれらの1価の金属塩を含有するペンダント基を有するイオン性および非イオン性モノマーに関連し、並びに電池、燃料電池、電解セル、イオン交換膜、センサー類、エレクトロクロミックウィンドウ、電気化学キャパシターおよび修飾電極のような電気化学的用途における前記イオノマー類の使用を扱う。本発明の特定の組成物は、強酸触媒としても同様に有用である。
【0002】
(発明の背景)
ビニルアルコキシスルホニルハライドとフッ化ビニリデン(VF2)の共重合体は、当該技術において知られている。
【0003】
Ezzellらの開示(米国特許第4,940,525号)は、1つのエーテル結合を含有するビニルエトキシスルホニルフルオリド類とVF2の共重合体を包含する。開示されているものは、ビニルエトキシコモノマーとテトラフルオロエチレン(TFE)の乳化重合のための方法である。
【0004】
Connollyら(米国特許第3,282,875号)は、ペルフルオロスルホニルフルオリドエトキシプロピルビニルエーテル(PSEPVE)およびヘキサフルオロプロピレン(HFP)とVF2の3元重合体を開示している。彼らは、フッ素化されたモノマー類に対する最大の適用可能性を有する、任意のエチレン性不飽和コモノマーとビニルエーテルの共重合に適用可能であるといわれる乳化重合を広範囲に教示している。
【0005】
DesMarteau(米国特許第5,463,005号、参照により本明細書の一部をなすものとする)は、以下の式を有する置換ペルフルオロオレフィン類を開示している
【0006】
【化1】
Figure 0004417554
【0007】
(式中、XはCまたはNであり、ZはH、K、Na、またはI属もしくはII属金属であり、Rはフルオロカーボンエーテル類および/またはスルホニル基および/またはペルフルオロ非オキシ酸基を含む1つまたは複数のフルオロカーボン基であり、YはペルフルオロアルキルまたはFであり、mは0または1である)。DesMarteauによりさらに開示されているものは、テトラフルオロエチレンと式(I)のナトリウム塩形態の水性乳化重合により形成される共重合体である。さらに開示されているものは、導電性組成物を提供するためにジメチルホルムアミド(以後、DMFと称する)を組み合わせられたDesMarteauのイミド共重合体の酸形態から成る組成物である。その酸イミドポリマーの膜またはフィルムは、溶液から流延される。VF2と置換ペルフルオロオレフィン類の共重合体は、米国特許第5,463,005号中に開示されていない。
【0008】
Armand(米国特許第4,818,644号)は、Rf−SO2−CR−SO2R’f(式中、RfおよびR’fは1から10までの炭素原子を有するペルフッ素化された基であり、およびRは水素または1から30までの炭素原子を有するアルキル基である)の構造を有するアニオン類に基づく金属塩を開示している。これら化合物のリチウム塩は、有機溶媒または高分子溶媒との組合せにおいて、リチウム電池用電解質溶液を作成するのに有用である。Armandらは、欧州特許公開第0 850 921号公報において、マロノニトリルZ−C(CN)2(式中、Zは電子吸引性基を表わし、かつZは重合可能な官能基も含有することができる)から誘導される塩およびイオノマー性ポリマーをさらに開示している。これらの化合物に基づくイオノマー類は、重合のためのスチレン性またはビニル性官能基を有すると開示されている。VF2のような相当にフッ素化されたモノマー類とこれらモノマーの共重合体は開示されていない。
【0009】
XueのPh.D.論文(Clemson University, 1996)は、RSO2N(M)SO2R’(式中、RおよびR’はペルフッ素化された基である)を形成するための、M=Cs,KであるMFの存在下における、X=H,NaおよびY=ClであるR’SO2YとRSO2NHX類との反応を開示している。あるいは、該論文は、式CF2=CF−OCF2CF(CF3)OCF2CF2SO2NMSO2fで表わされるモノマーおよびそれらモノマーのテトラフルオロエチレンとの共重合体を形成するための、X=NaおよびY=Clである場合にNa2CO3の存在下におけるR’SO2YとRSO2NHX類との反応を開示している。
【0010】
Armandらの欧州特許公開第0 850 921号公報および欧州特許公開第0 850 920号公報は、それらを組み込むポリマーを含む、イミド含有イオン性種およびメチド含有イオン性種の巨大なリストを提供している。しかし、これらの組成物を作成するための手段は提供されておらず、かつそれら化合物の中での、用途の観点からの区別もなされていない。本発明の組成物の独特の用途および驚くべき属性の開示はなされていない。
【0011】
(発明の要旨)
本発明は、VF2のモノマーユニットを含み、および下式
-(OCF2CFR)aOCF2(CFR')bSO2X-(M+)(Y)(Z)c (I)
で表わされる基を含むペンダント基を有する2〜50モル%のモノマーユニットをさらに含むイオン性ポリマー(イオノマー)を提供する。
【0012】
式中、RおよびR’は、F、Cl、または1つまたは複数のエーテル酸素によって必要に応じて置換されてもよい1から10炭素原子を有するペルフルオロアルキル基から独立的に選択され;
aは、0、1、または2であり;
bは、0から6であり;
+は、H+または1価の金属カチオンであり;
Xは、XがCのときはcは1であり、およびXがNのときはcは0であることを条件として、CまたはNであり;
cが1であるときには、YおよびZは、CN、SO2f、SO23、P(O)(OR32、CO23、P(O)R3 2、C(O)Rf、C(O)R3、およびそれらを有して形成されるシクロアルケニル基からなる群から選択される電子吸引性基であり(ここで、Rfは、1つまたは複数のエーテル酸素によって必要に応じて置換されてもよい1から10炭素原子を有するペルフルオロアルキル基であり;R3は、1つまたは複数のエーテル酸素によって必要に応じて置換されてもよい1から6炭素原子を有するアルキル基、または必要に応じてさらに置換されてもよいアリール基であり;YおよびZは、同一または異なるものである)、
または、cが0であるときには、Yは、−SO2f’で表わされる電子吸引性基であってもよい(ここで、Rf’は、式−(Rf”SO2-(M+)SO2mf'''(m=0または1)で表わされる基であり、およびRf”は−Cn2n−(n=1〜10)であり、およびRf'''は−Cn2n+1(n=1〜10)であり、必要に応じて1つまたは複数のエーテル酸素によって置換されてもよい)。
【0013】
本発明は下式
CF2=CF(OCF2CFR)aOCF2(CFR')bSO2C-(M+)(Y)(Z) (II)
で表わされるエチレン性不飽和組成物をさらに提供する。
【0014】
式中、RおよびR’は、F、Cl、または1つまたは複数のエーテル酸素によって必要に応じて置換されてもよい1から10炭素原子を有するペルフルオロアルキル基から独立的に選択され;
aは、0、1、または2であり;
bは、0から6であり;
+は、H+または1価の金属カチオンであり;
YおよびZは、CN、SO23、P(O)(OR32、CO23、P(O)R3 2、C(O)Rf、C(O)R3、およびそれらを有して形成されるシクロアルケニル基からなる群から選択される電子吸引性基であり(ここで、Rfは、1つまたは複数のエーテル酸素によって必要に応じて置換されてもよい1から10炭素原子を有するペルフルオロアルキル基であり;R3は、1つまたは複数のエーテル酸素によって必要に応じて置換されてもよい1から6炭素原子を有するアルキル基、または必要に応じてさらに置換されてもよいアリール基であり;YおよびZは、同一または異なるものである)。
【0015】
本発明は、メチドイオノマーを作成するための方法をさらに提供し、および前記方法は、0〜150℃の範囲内の温度の不活性有機液体中で、VF2のモノマーユニットと下式
CF2=CF(OCF2CFR)aOCF2(CFR')bSO2F (III)
(式中、RおよびR’は、F、Cl、または1つまたは複数のエーテル酸素によって必要に応じて置換されてもよい1から10炭素原子を有するペルフルオロアルキル基から独立的に選択され;aは、0、1、または2であり;bは、0から6である)で表わされる2〜50モル%のモノマーユニットとを含む共重合体を、CH2YZで表わされるメチレン化合物から誘導されるカルバニオン(YおよびZは、CN、SO2f、SO23、P(O)(OR32、CO23、P(O)R3 2、C(O)Rf、C(O)R3、およびそれらを有して形成されるシクロアルケニル基からなる群から選択される電子吸引性基であり、Rfは、1つまたは複数のエーテル酸素によって必要に応じて置換されてもよい1から10炭素原子を有するペルフルオロアルキル基であり、R3は、1つまたは複数のエーテル酸素によって必要に応じて置換されてもよい1から6炭素原子を有するアルキル基、または必要に応じてさらに置換されてもよいアリール基であり、YおよびZは、同一または異なるものである)と組み合わせて、反応混合物を形成する工程と;所望される転化率が達成されるまで、前記反応混合物を反応させる工程と;前記有機液体の大部分を除去する工程とを具える。
【0016】
本発明は、メチド組成物を作成するための方法をさらに提供し、および前記方法は、0〜100℃の範囲内の温度の不活性有機液体中で、下式
CF2A-CFA(OCF2CFR)aOCF2(CFR')bSO2F (IV)
(式中、Aは、BrまたはClであり、RおよびR’は、F、Cl、または1から10炭素原子を有するペルフルオロアルキル基から独立的に選択され;aは、0、1、または2であり;bは、0から6である)で表わされる組成物を、CH2YZで表わされるメチレン化合物から誘導されるカルバニオン(YおよびZは、CN、SO2f、SO23、P(O)(OR32、CO23、P(O)R3 2、C(O)Rf、C(O)R3、およびそれらを有して形成されるシクロアルケニル基からなる群から選択される電子吸引性基であり、Rfは、1つまたは複数のエーテル酸素によって必要に応じて置換されてもよい1から10炭素原子を有するペルフルオロアルキル基であり、R3は、1つまたは複数のエーテル酸素によって必要に応じて置換されてもよい1から6炭素原子を有するアルキル基、または必要に応じてさらに置換されてもよいアリール基であり、YおよびZは、同一または異なるものである)と組み合わせて、反応混合物を形成する工程と;所望される転化率が達成されるまで、前記反応混合物を反応させる工程と;前記有機液体の大部分を除去する工程とを具える。
【0017】
本発明は、イオノマーを形成するための方法をさらに提供し、および前記方法は、水性反応媒質中で、VF2を下式
CF2=CF-(OCF2CFR)aOCF2(CFR')bSO2X-(M+)(Y)(Z)c (II)
で表わされるイオン性モノマー(式中、RおよびR’は、F、Cl、または1つまたは複数のエーテル酸素によって必要に応じて置換されてもよい1から10炭素原子を有するペルフルオロアルキル基から独立的に選択され;aは、0、1、または2であり;bは、0から6であり;M+は、H+または1価の金属カチオンであり;Xは、XがCのときはcは1であり、およびXがNのときはcは0であることを条件として、CまたはNであり;cが1であるときには、YおよびZは、CN、SO2f、SO23、P(O)(OR32、CO23、P(O)R3 2、C(O)Rf、C(O)R3、およびそれらを有して形成されるシクロアルケニル基からなる群から選択される電子吸引性基であり(ここで、Rfは、1つまたは複数のエーテル酸素によって必要に応じて置換されてもよい1から10炭素原子を有するペルフルオロアルキル基であり;R3は、メチルまたはエチルであり;YおよびZは、同一または異なるものである)、または、cが0であるときには、Yは、−SO2f’で表わされる電子吸引性基であってもよい(ここで、Rf’は、式−(Rf”SO2-(M+)SO2mf'''(m=0または1)で表わされる基であり、およびRf”は−Cn2n−(n=1〜10)であり、およびRf'''は−Cn2n+1(n=1〜10)であり、必要に応じて1つまたは複数のエーテル酸素によって置換されてもよい))と組み合わせて、反応混合物を形成する工程と;
フリーラジカル開始剤を導入する工程と;
前記反応混合物を反応させて、150℃以上の融点を有するイオノマーを形成する工程とを具える。
【0018】
本発明は、本発明のポリマーと該ポリマー内部に吸収された液体とを含むイオン電導性の組成物をさらに提供する。
【0019】
本発明は、少なくとも1つの電極活性材料、それに混合される本発明のイオノマー性ポリマー、および該ポリマー内部に吸収された液体とを含む電極をさらに提供する。
【0020】
本発明は、電気化学的電池であって、正極、負極、前記正極と前記負極との間に配置されるセパレータ、および前記電池を外部の負荷またはソース(電源)に接続するための手段を含み、前記セパレータ、前記正極、前記負極からなる群から選択される少なくとも1つは、本発明のイオン電導性の組成物を含む電池をさらに含む。
【0021】
(発明の詳細な記載)
本発明の目的に関して、術語「スルホニルメチド」は、イオン的に結合した炭素原子が、少なくとも1つのフルオロアルキルスルホニル基ともまた結合している官能基を意味し、一方術語「スルホニルイミド」は、イオン的に結合した窒素原子が、少なくとも1つのフルオロアルキルスルホニル基ともまた結合している官能基を意味する。
【0022】
驚くべきことには、本発明の導電性組成物は、低コストの連続または半連続製造方法において、電池を組み立てるのに有用な電極またはセパレータへと容易に溶融加工可能である。電気化学的電池における使用に適当ないずれの従来のイオノマーを基盤とする組成物も、溶融加工可能性を示すことは知られていない。
【0023】
本発明のイオノマーは、VF2から誘導されるモノマーユニットと、2〜50モル%の、好ましくは2〜20モル%の、最も好ましくは3〜12モル%の、下式
-(OCF2CFR)aOCF2(CFR')bSO2X-(M+)(Y)(Z)c
で表わされる基を含むペンダント基を有するイオン性モノマーユニットとを含む。
【0024】
式中、RおよびR’は、F、Cl、または1つまたは複数のエーテル酸素によって必要に応じて置換されてもよい1から10炭素原子を有するペルフルオロアルキル基から独立的に選択され;
aは、0、1、または2であり;
bは、0から6であり;
+は、H+または1価の金属カチオンであり;
Xは、XがCのときはcは1であり、およびXがNのときはcは0であることを条件として、CまたはNであり;
cが1であるときには、YおよびZは、CN、SO2f、SO23、P(O)(OR32、CO23、P(O)R3 2、C(O)Rf、C(O)R3、およびそれらを有して形成されるシクロアルケニル基からなる群から選択される電子吸引性基であり(ここで、Rfは、1つまたは複数のエーテル酸素によって必要に応じて置換されてもよい1〜10炭素原子を有するペルフルオロアルキル基であり;R3は、1つまたは複数のエーテル酸素によって必要に応じて置換されてもよい1〜6炭素原子を有するアルキル基、または必要に応じてさらに置換されてもよいアリール基であり;YおよびZは、同一または異なるものである)、
または、cが0であるときには、Yは、−SO2f’で表わされる電子吸引性基であってもよい(ここで、Rf’は、式−(Rf”SO2-(M+)SO2mf'''(m=0または1)で表わされる基であり、およびRf”は−Cn2n−(n=1〜10)であり、およびRf'''は−Cn2n+1(n=1〜10)であり、必要に応じて1つまたは複数のエーテル酸素によって置換されてもよい)。
【0025】
好ましくは、aは0または1であり、RはCF3であり、R’はFであり、bは1であり、およびXがCであるときには、YおよびZはCNまたはCO23(R3はC25である)、一方、XがNであるときには、YはSO2f(RfはCF3またはC25である)、並びにM+はH+またはアルカリ金属イオンである。最も好ましくは、M+はリチウムカチオンである。最も好ましくは、本発明のイオノマーは、示差走査熱分析(ASTM D4591)によって測定される際に、吸熱のピークにより決定される150℃以上の融点を示す。
【0026】
本発明のメチドイオノマーは、前掲のConnollyらの教示にしたがうVF2と(II)の共重合によって形成することができる。しかし、好ましくは、メチドイオノマーは、予備工程がスルホニルフルオリドモノマー(III)とVF2の共重合体を形成する本発明の方法によって作成される。
【0027】
スルホニルフルオリドモノマー(III)とVF2の重合は、前掲のConnollyらの教示にしたがうVF2と(II)の共重合によって形成することができる。好ましくは、重合は、以下に教示されるように反応混合物中にあらかじめ乳化された液体コモノマーを用いて実施される。そのような方法によって重合された非イオン性ポリマーから形成されるイオノマーは、それらのバルクのコモノマーの含有量の観点からは、約150℃以上の驚くべき高い融点(示差走査熱分析(ASTM D4591)における吸熱のピークから決定される)を示す。
【0028】
メチドイオノマーを作成する方法においては、次に、形成されるが非イオン性のスルホニルフルオリド共重合体を、0〜150℃、好ましくは20〜70℃の温度の不活性有機液体中で、CH2YZから誘導されるカルバニオンと接触させる。ここで、YおよびZは、CN、SO2f、SO23、P(O)(OR32、CO23、P(O)R3 2、C(O)Rf、C(O)R3、およびそれらを有して形成されるシクロアルケニル基からなる群から選択される電子吸引性基であり、Rfは、1つまたは複数のエーテル酸素によって必要に応じて置換されてもよい1〜10炭素原子を有するペルフルオロアルキル基であり;
3は、1つまたは複数のエーテル酸素によって必要に応じて置換されてもよい1〜6炭素原子を有するアルキル基、または必要に応じてさらに置換されてもよいアリール基であり;
YおよびZは、同一または異なるものである。
【0029】
好ましくは、YおよびZは、CNまたはCO23(R3はC25である)であり、およびCH2YZから反応性種を生成させるのに用いられる塩基は、好ましくはアルカリ金属水素化物であり、最も好ましくは水素化リチウムである。
【0030】
その組合せは、スルホニルフルオリドが完全に転化されるまで反応させられ、それは20〜70℃の好ましい温度範囲において、典型的には15〜20時間かかる。
【0031】
最も好ましくは、前述のようなCH2YZを、不活性有機液体中で、スルホニルフルオリド1グラム当量あたり1グラム当量のCH2YZおよび2グラム当量の水素化リチウムの比率において、不活性有機液体中で、VF2および(III)の共重合体と水素化リチウムとに組み合わせる。
【0032】
適当な不活性有機液体は、ジアルキルエーテル類、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、スルホラン、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミドおよびアセトニトリルのような酸素含有溶媒を含む。また、好ましい溶媒は、反応完了時に容易に除去される。好ましいものは、ジメトキシエタンである。
【0033】
本発明のメチド化方法において形成される金属フッ素化物の副生成物は、所望されるならば、抽出または水を用いる透析方法によって除去することができる。
【0034】
イオノマーの形成中に、その中でイオン性種が形成される液体媒質が、しばしばそれらイオン性種と高度に安定な溶媒和物を形成し、乾燥または蒸留のような通常の手段によってその液体を完全に除去するのを困難にすることが、本発明の実施において見いだされた。好ましくは、その残留液体は、その残留液体を置換する有機カーボネート、スルホラン、アルキルホスフェート、またはジメトキシエタンのような別の金属イオン配位剤の添加により、典型的にはトルエンのような無水流体中、中程度の高温において除去される。
【0035】
本発明のイオノマーのメチド部分のモノマー形態は、不飽和オレフィン構造(III)から出発し、引き続いて二重結合を保護するために当該技術において知られているような臭素化、類似の共重合体に関して前述したような反応を行い、引き続いてZn粉末による処理を行って、重合可能な二重結合を得ることによって形成することができる。
【0036】
本発明のイミドイオノマーを形成するためには、VF2を下式
CF2=CF(OCF2CFR)aOCF2(CFR')bSO2N(M+)SO2Rf' (V)
で表わされるモノマー組成物と共重合させる。
【0037】
式中、RおよびR’は、F、Cl、または1つまたは複数のエーテル酸素によって必要に応じて置換されてもよい1から10炭素原子を有するペルフルオロアルキル基から独立的に選択され;
aは、0、1、または2であり;
bは、0から6であり;
+は、H+または1価の金属カチオンであり、Rf’は、式−(Rf”SO2-(M+)SO2mf'''(m=0または1)で表わされる基であり、およびRf”は−Cn2n−(n=1〜10)であり、およびRf'''は−Cn2n+1(n=1〜10)であり、必要に応じて1つまたは複数のエーテル酸素によって置換されてもよい。
【0038】
好ましくは、aは0または1であり、RはCF3であり、R’はFであり、bは1であり、RfはCF3またはC25であり、およびM+はアルカリ金属カチオン、最も好ましくはリチウムカチオンである。
【0039】
オレフィン性モノマー(V)は、前掲のXueらの教示にしたがって合成してもよい。重合は、前掲のConnollyらの教示にしたがって実施してもよい。
【0040】
本発明の実施において、それによってイオノマーが形成される方法が、それによって形成されるイオノマーの融解温度に大きな効果を有することができることが見いだされている。融点は重要なものである。なぜなら、より高融点のイオノマーは、リチウム電池のような用途においてより高い使用温度を提供するからである。
【0041】
先行技術は、テトラフルオロエチレン(TFE)と、前掲のDesMarteauまたはXueに従うメチドまたはイミドモノマーを共重合するための水性乳化物の方法を教示する。反応動力学は、DesMarteauの方法は、限定的でほぼランダムなイミドまたはメチドモノマーの組み込みを必然的にもたらすであろうと予測する。当該技術において知られている別の、しかしより不便な方法は、ペルフッ素化された溶媒中で重合することである。
【0042】
反応動力学における非常に著しい差のために、VF2との共重合におけるコモノマーの組み込み速度および分布は、水性重合媒質中のコモノマーの利用可能性に依存する。非常に驚くべきことには、本発明中のメチドおよびイミドイオノマーを、前掲のConnollyらの文献中のような当該技術の水性乳化重合において、VF2と共重合するときに、イオンが豊富な領域とイオンが乏しい領域とが発生することが見いだされた。これは、同一の方法を用いて(III)とVF2を最初に共重合させ、引き続いてイオノマーを形成することによって、同一の全組成のイオノマーが形成されるときに達成されるものよりも、高い融解温度を示すイオノマーをもたらす。
【0043】
所望されるより高融点のイオノマーを提供し、同時にイオン性種を重合することに関連する不必要な副反応の陥穽を避けるための別の手段は、以下に述べるように水、界面活性剤およびモノマーを非常に高いせん断混合条件下であらかじめ乳化する方法のような、液−液界面がConnollyの方法におけるそれを越えて著しく増大させて、水性媒体中で(III)とVF2を共重合することである。
【0044】
本発明の高融点イオノマーを達成するための別の手段は、ペルフッ素化された溶媒中で(III)とVF2を共重合することにより利用可能である。しかし、これは、費用およびそれに固有の取り扱いの困難さのために、より好ましくはない。
【0045】
本発明の実施において、以下に記載するようなあらかじめ乳化された状態において(III)とVF2を共重合し、引き続いて以下に記載するようにメチドを形成することによって、メチドイオノマーを作成することが好ましいことが見いだされている。しかし、イミドは、好ましくは、前掲のXueにしたがってイミドモノマーを最初に形成し、引き続いて前掲のConnollyの方針に沿って水性媒体中で重合することによって形成される。両方のアプローチにおいて、好ましい方法は、150℃以上の融点を有する好ましいイオノマーをもたらす。
【0046】
(II)のイミド類似体は、旭化成工業の英国特許GB2051831号、1980年(K. Kimoto, H. Miyauchi, J. Ohmura, M. Ebisawaら)の教示にしたがって作成される下式
CF2=CF(OCF2CFR)aOCF2(CFR')bSO2F (III)
で表わされる組成物を、米国特許第5,463,005号にしたがってオレフィン結合を保護するために、約0℃の温度において、無水の不活性雰囲気中で臭素または塩素にさらして、それにより(IV)で表わされる組成物を形成することによって合成してもよい。たとえばNaHSO3を用いる過剰のハロゲンを除去する洗浄の後に、前述のように臭素化された出発材料を、乾燥条件において、好ましくは無水非プロトン性有機溶媒中で、無水のMF(MはKまたはCsである)およびRf’SO2NH2(式中、Rf’は、式−(Rf”SO2-(M+)SO2mf'''(m=0または1、あるいは>1の可能性もある)で表わされる基であり、およびRf”は−Cn2n−(n=1〜10)であり、およびRf'''は−Cn2n+1(n=1〜10)である)と組み合わせる。Rf’SO2NH2は、MeuβendoerfferおよびNiederprumの教示(Chemiker Zeitung, 96. Jahrgang(1972) No.10, 583)にしたがって作成される。好ましい溶媒は、アセトニトリル、ジオキサン、およびスルホランを含む。
【0047】
好ましくは、Rf’は、nが1から4である−Cn2n+1である。
【0048】
そのように形成された混合物を、50〜150℃、好ましくは70〜90℃の範囲内の温度に加熱し、そして好ましくは、NMRで決定されるようにRf’SO2NH2が消費されるまで、その反応を進行させる。反応の終了時に、依然として溶液中に残存する生成物を、濾過により分離する。次に、オレフィン結合を再生成するために、反応生成物を、周囲温度において、好ましくはその溶液中にZn粉末を懸濁させることにより金属亜鉛と接触させ、そして米国特許第5,463,005号において教示されるように、数時間にわたって加熱し、好ましくは引き続いて濾過およびアセトニトリルのような無水非プロトン性有機溶媒を用いる洗浄を行う。そのように形成されるものは、下式
CF2=CF(OCF2CFR)aOCF2(CFR')bSO2N(M)SO2Rf' (V)
で表わされる組成物である。
【0049】
次に、構造(V)のリチオ化されたイミド形態を、Connollyらの教示にしたがってVF2と共重合する。VF2と(II)との共重合体を最初に作成し引き続いてメチド化を行うことが好ましいメチドの実施形態とは異なり、イミドの場合にはイミド化されたモノマー(V)を最初に作成し、引き続いてVF2との重合を行うことが高度に好ましい。
【0050】
多くの用途において、イオノマーは、好ましくはフィルムまたはシートへと成形される。フィルムは、当該技術において知られている方法によって形成することができる。1つの実施形態においては、イオノマーをDMACのような溶媒で希釈し、ドクターナイフまたは基板上にフィルムを積層することを補助する当該技術において知られている別の装置を用いて、その混合物をガラス板のような平滑な表面上に流延し、そしてその溶媒を蒸発させる。好ましくは、本発明のイオノマーを、最初に可塑剤と組合せ、そして次に溶融プロセスによってフィルムまたはシートへと成形する。最も好ましくは、その溶融プロセスは、押出しプロセスである。
【0051】
形成されたにもかかわらず、本発明のイオノマーは、乾燥状態において低レベルのイオン電導性、典型的には室温において10-7S/cmを示す可能性がある。イオノマーを液体と組み合わせて、より高レベルのイオン伝導性を達成してもよい。用途の必要条件に依存して、イオノマーは酸形態または金属塩形態にあってもよく、その特定の金属も同様に用途によって決定される。ここで用いられる液体も、同様に用途によって規定される。一般的にいって、本発明の実施において、液体を含有するイオノマーの導電性は、液体の吸収率の増大、液体の誘電率の増大、および液体のルイス塩基性の増大に伴って増大し、一方、用いられる液体の粘度の増大および分子サイズの増大に伴って、導電性が減少するのが観察される。したがって、所定の膜において、低粘度かつ小さい分子サイズであるが低い誘電率を有する高度に塩基性の溶媒が、非常に大きい誘電率を有するより大きく、より粘調で、塩基性の小さい溶媒よりも優れた導電性を提供することができる。もちろん、他の考慮すべき事由も同様に作用してもよい。たとえば、その液体は、目的とする用途において、電気化学的に不安定であってもよい。
【0052】
したがって、導電性組成物は、乾燥したイオノマーフィルム中に溶媒の混合物を吸収させること、または乾燥したフィルムを制御された条件下の溶媒蒸気への暴露、または溶融状態で溶媒とイオノマーを組合せ、そして制御された組成のフィルムを押出すことのような当該技術において知られている種々の技術を用いて、溶媒と本発明のイオノマーを組み合わせることによって形成される。好ましい溶媒は、前述の一般的な考慮すべき事由に従い、水、線状または環状カーボネート類、アルコール類、エステル類、ラクトン類、エーテル類、スルホキシド類、アミド類、スルホンアミド類、およびスルホン類のような非水溶媒を含む。本発明のイオノマーと組み合わせられて導電性組成物を形成する溶媒は、必要に応じて、具体的な用途において好ましい追加の移動性塩類(mobile salts)を含有してもよい。導電性組成物を形成するのに適当な別の溶媒は、1−メチル−3−ブチル−イミダゾリウムのトリフルオロメタンスルホン酸塩のようなイオン性液体を含む。
【0053】
イオノマー性ポリマー内のイオンの解離および移動度に対するそれら化学剤の影響によりイオン電導性を改善する目的のために、これら導電性組成物に対して種々の化学剤を添加することができる。そのような化学剤は、クラウンエーテル類およびアザエーテル類のようなカチオン錯化剤、およびBR3(Rはアリール、フルオロ置換アルキルまたはアリールである)のようなアニオン錯化剤を含むが、それらに限定されるものではない。
【0054】
本発明のイオノマーは、当該技術のイオノマーを越えるいくつかの予測しない利益を提供する。VF2ポリマーおよび共重合体が、それらをリチウム電池における使用のために好ましい構造材料とする電気化学的安定性を示すことは、当該技術において知られている。フルオロスルホン酸塩を含有する当該技術のイオノマーと比較して、本発明のイオノマーは、有機溶媒中でより大きな解離を示すフルオロスルホニルメチドまたはイミド塩を含み、それによって本発明のイオノマーから形成される導電性組成物に、驚くべき高い導電性を与える。本発明のイオノマーのリチウム塩の実施形態と非プロトン性有機溶媒(最も好ましくは有機カーボネート類およびラクトン類)とを含む、本発明の好ましい導電性組成物は、リチウム電池中の使用に特に適合している。
【0055】
それに対する追加の効果において、驚くべきことには、TFEを用いて形成される前掲のDesMarteauのイオノマーに比較して、本発明のイオノマーが、有機溶媒に対する特に高い親和性および相溶性を示すことが見いだされている。有機溶媒に対する本発明のイオノマーのより高い親和性は、一方では膜の溶融加工または流延をその製造に有用な方法とし、および他方においては本発明の好ましい導電性組成物中の好ましい有機カーボネート類のより高い吸収量を与え、それによってより高い導電性をもたらす。
【0056】
本発明の実施において、少なくとも50%、より好ましくは少なくとも80%のVF2を含有する本発明のイオノマーの特定の組成物が、付随する膜の機械的な強度の減少を伴って、その中に吸収される溶媒によって可塑化されるようにすることができることが見いだされている。いくつかの用途においては、それは溶媒で膨潤される膜の特性を強化するのに望ましい。機械的特性を改善するために利用可能な手段は、1)知られている手段による、溶媒感受性ではない非イオン性の第3のモノマーのポリマー中への当該技術で組み込み;2)知られている手段による、溶媒感受性のより少ない非イオン性ポリマーとのポリマーブレンドの形成;3)知られている手段による、不活性充填材と本発明のイオノマーの配合;4)イオン性共重合体の別の組成物を配合することを含む。
【0057】
本発明の好ましい実施形態において、イオノマー形態の前駆体として組成的に不均一な−SO2Fを含有する共重合体の使用を伴う。それによって、増大した導電性および強化された機械的特性を組み合わせた特性が得られる。
【0058】
これらのイオノマー性組成物中に有用に組み込むことができる適当な第3のモノマーは、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、エチレン、ヘキサフルオロプロピレン、トリフルオロエチレン、フッ化ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、式CF2=CFORf(RfはCF3、C25またはC37)を有するペルフルオロアルキルビニルエーテル類を含む。好ましいターモノマーは、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、エチレン、およびペルフルオロアルキルビニルエーテル類を含む。ターモノマーは、好ましくは30モル%までの濃度でポリマー中に存在する。
【0059】
本発明のイオノマーと配合するのに適当なポリマーは、ポリ(テトラフルオロエチレン)およびヘキサフルオロプロピレンまたはペルフルオロアルキルビニルエーテル類とそれの共重合体、ポリフッ化ビニリデンホモポリマーおよびヘキサフルオロプロピレンとそれの共重合体、およびポリエチレンオキシドを含む。好ましい組成物は、本発明のVF2イオノマーと配合された20から50質量%のPVF2ホモポリマーを含む。これらの材料は、DMACまたは炭酸プロピレンのような共通の希釈剤中で混合するような当該技術において一般的な手段により一緒に配合され、そして次に膜を流延する。
【0060】
適当な不活性充填材は、SiO2、Al23、TiO2、またはCaF2を含む。商標名Cab-o-sil(登録商標)TS−530シリカのもとで好ましい等級のSiO2として入手可能であるような、直径1.0ミクロン未満の大表面積の粒子が所望される。50質量%までの充填材の充填が好ましい。
【0061】
本発明の好ましい電極は、微粒子形態の1つまたは複数の電極活性材料と、本発明のイオノマーと、少なくとも1つの電子電導性添加剤と、少なくとも1つの有機カーボネートとを含む。有用な負極(アノード)活性物質の例は、炭素(グラファイト様、コークス型、メソカーボンのマイクロビーズ、カーボンファイバー、ポリアセン類など)およびリチウムが挿入(intercalated)された炭素、Li2.6Co0.4Nのようなリチウム金属窒化物、リチウム金属、およびアルミニウム、スズ、マグネシウム、水銀、マンガン、鉄、アンチモン、カドミウム、および亜鉛とリチウムの合金のようなリチウム合金、スズ−鉄−炭素またはスズ−マンガン−炭素3元化合物のような不活性な金属性骨格とともにアノード化合物を形成する合金、酸化スズ、酸化鉄、酸化チタン、酸化タンタル、酸化ニオブまたは酸化タングステンのような金属酸化物またはリチウム金属酸化物、およびポリアニリンのようなアニオンまたはカチオンをドープする電子電導性ポリマーを含むが、これらに限定されるものではない。Osaka Gas Chemical Co.製のMCMB25のようなグラファイト様炭素を用いるリチウム挿入電極が好ましい。
【0062】
有用な正極(カソード)活性物質は、スピネルのLiMn24、層状のLiMnO2、LiNiO2、LiCoO2、LiNixCoy2のような遷移金属酸化物、LiFeO2のような鉄酸化物またはリチオ化された鉄酸化物、またはLiV25、LiV613、LiNiVO4、LiCoVO4のようなバナジウム酸化物、または非化学量論的形態、無秩序置換形態、非晶質形態、または過剰にリチオ化もしくは不充分にリチオ化された形態(金属の空格子点、酸素の空格子点または欠陥などを有するようなもの)にある前記化合物、Fe2+、Ti2+、Zn2+、Ni2+、Co2+、Cu2+、Cr3+、Fe3+、Al3+、Ni3+、Co3+、Mn3+などのような別の2価または3価の金属カチオンをドープされた前記化合物、固体硫黄、有機ジスルフィド、TiS2またはMoS2のような金属硫化物のような硫黄化合物、ポリアニリンおよびその誘導体、ポリピロール誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、またはそれらの共重合体のような電子電導性ポリマー、あるいは任意の前記化合物の混合物を含むが、これらに限定されるものではない。活性材料の粒度は、約1から100ミクロンまでの範囲内で変動するべきである。好ましいものは、LiMn24、LiNiO2、LiCoO2、LiNixCoy2のような遷移金属酸化物である。高度に好ましい電子電導性補助剤は、カーボンブラックであり、好ましくは1〜10%の濃度範囲内のMMM S. A. Carbon(Brussels, Belgium)から入手可能なSuper Pカーボンブラックである。好ましくは、完成した電極中のリチウムイオノマーの体積分率は、4%と40%との間である。
【0063】
本発明の電極は、共通溶媒に対する全てのポリマー成分の分散または溶解、および電極活性粒子、カーボンブラック粒子と一緒に混合することにより、適宜作成することができる。正極に関しては、好ましい電極活性材料はLiNixCo1-x2(0<x<1)であり、一方負極に関しては、好ましい電極活性材料は、グラファイト様のメソカーボンマイクロビーズである。たとえば、本発明の好ましいリチウム電池電極は、炭酸プロピレンおよびシクロペンタノンの混合物中に本発明のイオノマーを分散または溶解すること、引き続いて電極活性材料およびカーボンブラックの添加を行うこと、引き続いて基板上へのフィルムの堆積を行うこと、および乾燥することによって作成することができる。好ましくは、電極の成分は一緒に混合され、そして押出機に供給され、そこでそれらは混合されて均一な溶融物を形成し、そしてフィルムへと押出される。
【0064】
得られる好ましい電極は、電極活性材料と、導電性カーボンブラックと、本発明のイオノマーとを含み、ここで、好ましくは、電極活性材料に対するイオノマーの質量比は0.05と0.8との間であり、および電極活性材料に対するカーボンブラックの質量比は0.01と0.2との間である。最も好ましくは、電極活性材料に対するイオノマーの質量比は0.1と0.25との間であり、および電極活性材料に対するカーボンブラックの質量比は0.02と0.1との間である。次に、この電極を、当該技術において良く知られている技術を用いて、ガラス板、不活性ポリマーのキャリアウェブまたは電流コレクタの金属箔のような適当な支持体上に、溶液から流延し、そしてフィルムへと形成することができる。次に、このように製造された電極フィルムは、積層により多層電気化学的電池構造物へと組み込むことができる。
【0065】
電池溶媒は、制御された条件下での溶液中への浸漬または溶媒蒸気への暴露により吸収することのような当該技術において知られている種々の方法を用いて、電池構成要素のフィルムに対して個別に添加してもよいし、電池積層電池(battery laminated cells)に対して添加してもよい。本発明のイオノマー性ポリマーとともに導電性組成物を形成するのに好ましい電池溶媒は、線状および環状カーボネート類、エステル類、ラクトン類、アミド類、スルホキシド類、スルホン類、スルホンアミド類、およびエーテル類のような双極性非プロトン性液体を含む。好ましい溶媒は、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸ジプロピル、炭酸エチルメチル、炭酸メチルプロピルおよびフルオロまたはクロロ置換された線状カーボネート類のような線状カーボネート類と、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ブチレン、炭酸ビニレン、γ−ブチロラクトン、フルオロまたはクロロ置換された環状カーボネート類のような環状カーボネート類またはラクトン類の混合物である。特に好ましいものは、炭酸ジエチルおよび/または炭酸エチルメチルのような線状カーボネート類と、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、およびγ−ブチロラクトンの混合物である。こっとも好ましいものは、炭酸エチレン対炭酸プロピレンの50:50から80:20の質量比にある、炭酸プロピレンと炭酸エチレンの混合物である。
【0066】
これらの溶媒を、必要に応じてリチウム塩類のような追加の移動性塩と組み合わせてもよい。該リチウム塩類は、LiPF6、LiPFxRfy[式中、RfはCF3、CF2CF3、または他のペルフッ素化された電子吸引性基である]、LiBF4、LiAsF6、LiClO4、LiSO3Rf[式中、RfはCF3、CF2CF3、または他のペルフッ素化された電子吸引性基である]、LiN(SO2R1)(SO2R2)[式中、R1およびR2はCF3、CF2CF3、または他のペルフッ素化された電子吸引性基であり、およびR1はR2と同一である必要はない]、LiC(SO2R3)(SO2R4)(SO2R5)[式中、R3、R4およびR5はCF3、CF2CF3、または他のペルフッ素化された電子吸引性基であり、およびR3、R4およびR5は同一である必要はない]および前記の塩の混合物のようなものである。好ましいものは、LiPF6またはLiN(SO2CF2CF32である。
【0067】
本発明の電池の好ましい実施形態において、電池は、本発明の負極、正極、およびセパレータ組成物をフィルム形態において一緒に積層することにより形成される電気化学的単電池の1つまたは複数から形成される。該負極、正極、およびセパレータ組成物の全ては、有機カーボネート類およびそれらの混合物から選択される液体(炭酸エチレンと炭酸プロピレンとの混合物が最も好ましい)の添加の前に、厳密に乾燥される。
【0068】
本発明の電池のより好ましい実施形態において、負極、セパレータ、および正極からなる個々のフィルム層は、溶融状態において別個に配合され、そして90から130℃までの温度を用いてフィルム形態へと押出される。炭酸エチレンと炭酸プロピレンとの混合物のような好ましい電池溶媒をすでに含有するこれらの個々の層を一緒に積層して、乾燥または抽出工程のような追加の後処理を必要としない電池用単電池(battery cells)を形成する。
【0069】
それらの成分の結合を改善すること、またはそれらから製造される製品の改善された構造的一体性を提供することのような目的のために、本発明の電極組成物に対して追加のポリマーまたは溶媒を組み込むことが望ましい可能性がある。1つの特に好ましい追加の材料は、PVF2ホモポリマーであり、それは、単純に、電極を形成する同一の溶液中にそのポリマーを溶解させること、または前述したように混合または押出しの間に他の成分中にそのポリマーを溶融配合することにより組み込むことができる。
【0070】
(実施例)
(実施例1)
DesMarteau(米国特許第5,463,005号(1995))およびXue(Ph.D.論文(1996)、Clemson University、Clemson)によって記載されているように、スルホンイミドCF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2SO2NHSO2CF3を調製し、そして室温において1当量の水酸化リチウムを有する水溶液中で攪拌することにより、そのリチウム塩へと変換する。水を蒸発させた後に、500mLの脱イオン水中の乾燥したリチウム塩(29.1g、0.05モル)を1リットルの垂直攪拌されるオートクレーブに装填する。その容器を閉止し、2回にわたり690kPa(100psi)の窒素により加圧しおよびガス抜きをし、約5℃に冷却し、そして減圧する。フッ化ビニリデン(50.0g、0.78モル)を添加し、そして攪拌される(750rpm)内容物を、60℃に加熱する。過硫酸カリウムの溶液(20mLの水中に0.08g)を10分間の間隔にわたって添加する。約8時間の後に、残圧をガス抜きし、そしてその水溶液を乾燥状態まで蒸発させて、CH2CF2およびCF2CF(OCF2CF(CF3)OCF2CF2SO2NLiSO2CF3)のユニットを含有する共重合体を、そのフッ素NMRスペクトルによって同定される白色固体として与える。
【0071】
(実施例2)
DesMarteau(米国特許第5,463,005号(1995))によって記載されているように調製されるスルホニルフルオリドCF2ClCFClOCF2CF(CF3)OCF2CF2SO2Fを、Waddellらによって米国特許第5,514,493号(1996)の実施例4に記載される手順により、リチウムメチド塩CF2ClCFClOCF2CF(CF3)OCF2CF2SO2C(Li)(SO2CF32に変換する。80〜90℃における無水酢酸中の亜鉛末によるこの化合物の処理は、オレフィン性メチドモノマーCF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2SO2C(Li)(SO2CF32を与える。500mLの脱イオン水中のこのモノマー(35.6g、0.05モル)を1リットルの垂直攪拌されるオートクレーブに装填する。この容器を閉止し、2回にわたって690kPa(100psi)の窒素で加圧しそしてガス抜きし、約5℃まで冷却し、そして排気する。フッ化ビニリデン(50.0g、0.78モル)を添加し、そして攪拌される(750rpm)内容物を、60℃に加熱する。過硫酸カリウムの溶液(20mLの水中に0.08g)を10分間の間隔にわたって添加する。約8時間の後に、残圧をガス抜きし、そしてその水溶液を乾燥状態まで蒸発させて、CH2CF2およびCF2CF(OCF2CF(CF3)OCF2CF2SO2C(Li)(SO2CF32)のユニットを含有する共重合体を、そのフッ素NMRスペクトルによって同定される白色固体として与える。
【0072】
(実施例3)
以下の方法に従ってVF2とPSEPVEとの共重合体を合成した。150gのPSEPVEを、Microfluidics, Inc.マイクロフルーダイザー(microfluidizer)を用いて、600mLの蒸留水中のペルフルオロオクタン酸アンモニウム35gの溶液と組み合わせることにより、水性乳化液中に懸濁させた。次に、この懸濁液を、追加の蒸留水を用いて全体積1Lまで希釈した。そのように形成された懸濁液を、追加の1500mLの蒸留水とともに、窒素でパージされる機械式かき混ぜ機を取り付けられた4リットルの水平型オートクレーブに装填した。その反応器を減圧し、次に3回にわたってフッ化ビニリデンを用いて大気圧(0psig)まで加圧し、次に60℃に加熱し、フッ化ビニリデンを用いて大気圧プラス20.7MPa(300psig)まで加圧し、そして200rpmでかき混ぜた。水性過硫酸カリウムの溶液(0.6%、50mL)を、5分間かけて添加した。反応器の圧力を、開始剤添加後220gのVF2が供給されるまで、2070MPa(300psi)に維持した。攪拌を停止し、そして反応器を冷却し、そしてガス抜きした。得られる乳状分散液を凍結させ、そして解凍して生成物を凝固させ、それをナイロン布を通して濾過し、そして繰り返し水で洗浄して界面活性剤を除去した。空気乾燥の後に、ポリマーのくず状物を、24時間にわたり100℃において、窒素パージされる真空オーブン中で乾燥して、364gの生成物を与えた。19F NMRデータ(アセトン):+45.2(s)、−78.0〜−80.0(複数のm)、−90.0〜−95(複数のm)、−108〜−116(一連のm)、−122.0〜−127.5(複数のm)、−143.0(bd s)、9.5%のモル%PSEPVEと一致する。TGA(10゜/分、N2):375℃まで質量損失無し。DSC(20゜/分):162℃にブロードな融解遷移のピーク(23J/g);Tg=−20℃。
【0073】
100mLのフラスコに、マロノニトリル(0.63g、9.5ミリモル)およびジメトキシエタン(10mL)を装填した。水素化ナトリウム(0.228g、9.5ミリモル)を、分割して添加した。気体の発生が終了するまで、約15分間にわたり室温においてその混合物を攪拌した。4.73ミリ当量のSO2Fに相当する5gのVF2/PSEPVE共重合体を、ジメトキシエタン(50mL)中に懸濁させ、前記マロノニトリルアニオン溶液で一度に処理した。その混合物を18時間にわたって攪拌し、その時点において19F NMRスペクトル分析がSO2F基のSO2C(CN)2基への転化が本質的に完了したことを示した:−78.0〜−82.0(m、SO3形態とは明瞭に異なるライン形状、a=7.00)、−92.7のより大きな強度の単一線、−93.1および−96.6により小さい強度の単一線を有する−92.0〜−96.6(合わせてa=16.868)、−109〜−113(m)および−115.0と−117.3とに「欠陥」VF2ピーク、−117.9にCF2SO2−(合わせてa=5.206)、−123〜−128(bd m、a=1.543)、−145.8(m、a=1.011)。積分は、官能性共重合体の9.8モル%Na−ジシアノメチド形態と一致する。反応混合物を、乾燥トルエン(50mL)で処理し、そして濾過して、高真空における残留溶媒の除去の後に5.70gの赤桃色固体を与えた。1H NMR(アセトン−d6)は、1つのジメトキシエタン分子/ポリマーに結合したナトリウムイオンと一致した。
【0074】
以下の手順を用いて、ナトリウムイオンをリチウムイオンに交換した。共重合体のナトリウム形態のサンプル4.0gを、4.5gのLiClを含有する100mLの水中に懸濁させ、そして1時間にわたって攪拌した。水層を傾瀉して除き、次にメタノール(40mL)の添加によりさらに修飾されたもう1つのLiCl水溶液に置換した。18時間後、最上相を傾瀉して除き、そしてもう1つのLiClの水性装填材料で置換し、そしてその混合物を攪拌および濾過した。排出液中の塩化物イオンが検出されなくなるまで、その固形物を蒸留水で洗浄した。その赤色固形物を空気乾燥し、次にトルエンを用いて共沸的に乾燥した。その共重合体のトルエン懸濁液に対して、炭酸エチレン(0.44g、5ミリモル;トルエン(5mL)中に溶解している)を添加し、そして留出物中に水がもはや明らかでなくなるまで蒸留を継続した。得られる固形物は、窒素下での濾過により収集され、次に3時間にわたって高真空ライン上に配置されて、4.0gの固形物を与えた。IR(薄膜)は2205cm-1にCN伸縮に帰属されるバンドを示した。
【0075】
1H NMRは、1つの炭酸エチレン分子/ポリマーに結合したLiイオンと一致した。ICPは、LiのNaとの交換が本質的に完了していることを示した。DSC:ピーク溶融温度=160.6゜(15.8J/g)。
【0076】
(実施例4)
本実施例においては、シアノ置換メチドイオノマーの形成の類似物としてえ低分子反応を提供する。ジメトキシエタン(30mL)、ノナフルオロブタンスルホニルフルオリド(1.43g、4.75ミリモル)および水素化ナトリウム(0.228g、9.5ミリモル)の混合物を、マロノニトリル(0.314g、4.75ミリモル)のジメトキシエタン(4mL)溶液でゆっくりと処理した。気体の発生を伴って、温度は35℃まで上昇した。その混合物を18時間にわたって混合し、ガラス繊維紙を通して濾過し、そして濃縮して1.63gの黄色固形物を与えた。最小量のテトラヒドロフラン中への溶解およびジエチルエーテルを添加して固形物を形成することにより、その粗生成物を再結晶した。混合物は−25゜に冷却され、そして濾過されて、0.59gの固形物を与えた。IR:2219cm-1および2195cm-1にCN伸縮帯に帰属される強いバンド。19F NMR(THF−d8):−80.93(m、a=27.3)、−113.6(m、a=17.6)、−120.7(m、a=18.8)、−125.8(m、a=18.7)、CF3CF2CF2CF2SO2C(CN)2Naに一致する。
【0077】
(実施例5)
本実施例においては、VF2/PSEPVE共重合体を、リチウムジシアノメチド誘導体に変換する。300mLのフラスコに、VF2/PSEPVE共重合体(5.00g、4.73ミリ当量のSO2F)とジメトキシエタン(100mL)とを装填した。水素化リチウム(0.075g、9.5ミリ当量)を添加し、そしてジメトキシエタン(5mL)中の溶液としてマロノニトリル(0.313g、4.75ミリ当量)を添加しながら、その混合物を攪拌した。19F NMR(DMSO−d6)スペクトルは、実施例3に記載されたものと同一であり、およびSO2F基の完全な転化に一致した。
【0078】
バルクのサンプルを沈降させ、そして上澄みを除去した。乾燥トルエン(100mL)を添加し、そして固形物を濾過により収集した。高真空下での残留溶媒の除去が、5.54gの赤色固形物をもたらした。1H NMR(DMSO−d6):3.45および3.25にジメトキシエタンのシグナル、3.15〜2.7および2.4〜2.18にVF2のシグナル。DSC:ピーク溶融温度=163.3℃(14.5J/g)。
【0079】
(実施例6)
窒素でパージされたVacuum Atomospheresグローブボックス中の100℃のホットプレート上で、実施例3のリチウム形態のポリマー1.0グラムを、2.5gの炭酸プロピレン(PC、E. M. Industries (Selectipur))と、透明な深赤色のゲルがもたらされるまで混合した。このゲルを、グローブボックス中、Carver Hydraulic Unit Model #3912プレスを用い、120℃において13.2N(3klbs)の圧力で溶融圧締めして、102マイクロメートル(4.0ミル)厚さの透明な桃色フィルムを与えた。このフィルムの1.0×1.5cm2部分を剃刀で切り出し、そして4点プローブの伝導度セルに組み立てた。イオン電導性を、Doyleら(国際特許公開第WO98/20573号)の方法に従って測定した。周囲条件下におけるフィルムの電導性は、7.75×10-4S/cmに等しかった。
【0080】
この膜の第2のサンプルを、過剰量の炭酸エチレン(EC、E. M. Industries、Selectipur)とγ−ブチロラクトン(GBL、E. M. Industries、Selectipur)との1:1体積比混合物中に、室温において30分間にわたって浸漬した。この期間の終了時に、膜サンプルを取り出し、ぬぐって乾燥し、そしてその重量およびイオン電導性を測定した。そのフィルムは、溶媒を完全に吸収した際に、高度に膨潤するが、しかし依然として強く、かつ弾力性であった。そのフィルムの重量吸収量は766%であり、およびイオン電導性は1.67×10-3S/cmであった。
【0081】
この膜の第3のサンプルを、1:1体積比EC/GBL中の1.0MのLiPF6(E. M. Industries)溶液の過剰量に、30分間にわたって浸漬した。この期間の終了時に、膜サンプルを取り出し、ぬぐって乾燥し、そしてその重量およびイオン電導性を測定した。そのフィルムは、その吸収期間の結果としてわずかに全重量を増加させ、およびその電導性は3.14×10-3S/cmであった。
【0082】
(実施例7〜16)
これらの実施例においては、以下の反応剤を用いた。EM Science(Gibbstown, New Jersey)から購入したアセトニトリルは、少なくとも12時間にわたってP25上で還流させ、乾燥窒素下で収集した;それを、活性化された4Åモレキュラーシーブ上で保存し、乾燥ボックス内でのみ使用した。フッ化カリウムは、Aldrich Chemical Companyから購入し;トーチを用いてPt皿内で溶融し、そして直ちに乾燥ボックス内のチャンバー内に置き;すりつぶし、そしてそれ以後乾燥ボックス内に保存した。TCI America(Portland, Oregon)から購入したCF3SO2NH2は、60℃の油浴温度および水冷昇華フィンガーを使用しながら、10-3トルにおいて2回にわたり昇華させた。Zn末(<10ミクロン、98+%)は、Aldrichから購入し、そして標準の手順に従ってHClを用いて活性化した。
【0083】
PSEPVEは、米国特許第5,463,005号(1995)の教示にしたがって合成した。それは減圧下で蒸留された。TCI (Portland, Oregon)から入手可能なI(CF24Iは、QiuおよびBurtonの教示(J. Fluorine Chem., 60(1993), 93-100)にしたがって、NaSO2(CF24SO2Naに変換され、引き続いて塩素との反応を行い、ClSO2(CF24SO2Clを与えた。TCIから入手可能なC49Iは、HuおよびDesMarteauの教示(Inorg. Chem. 32(1993), 5007)にしたがって、C49SO2Clに変換された。
【0084】
(実施例7)
248.0g(0.556モル)の蒸留されたPSEPVEを、氷浴を用いて0℃まで冷却した。窒素雰囲気下において、30mL(0.582モル)のBr2を、6時間の期間にわたって滴下ロートを用いて滴下した。過剰の臭素のオレンジ色は、30分間にわたって存続した。その反応混合物を、100mLの5%NaHSO3溶液を用いて洗浄した。生成物は乳状になった。100mLの水を用いる洗浄2回の後に、透明な生成物を終夜にわたってNa2SO4を用いて乾燥した。乾燥剤をガラスフリットを通した濾過により除去した。その無色透明な液体を、6.9×10-3kPa(10-3トル)、40〜45℃において蒸留した。1.5gのP25を添加し、そしてその化合物を、6.9×10-3kPa(10-3トル)、40〜45℃における2回目の蒸留にかけた。収量は312.1gであった。
【0085】
窒素を充填された乾燥ボックスの内部において、TCI, Inc.(Portland, Oregon)から得られる15.4g(104ミリモル)のCF3SO2NH2を、500mLの丸底フラスコ内に配置した。200mLの無水アセトニトリルを添加し、引き続いて29.6g(509.7ミリモル)の無水KFを添加した。前述のように調製された69.43g(114.6ミリモル)の乾燥された臭素化PSEPVEを添加した。40時間にわたって、その反応混合物を攪拌し、および中程度の還流までゆっくりと加熱した。その反応混合物を、乾燥ボックス内で濾紙を用いて濾過した。全ての揮発成分を除去し、そして白色の残渣を、減圧下で12時間にわたり115℃において乾燥して、70.9gの生成物を与えた。
【0086】
その材料を、100mLの無水DMF中に溶解させた。その濾液に対して7.05g(108ミリモル)のZn粉末を添加し、そしてその混合物を1時間にわたって室温において攪拌した。その混合物を濾過し、そしてその残渣を、無水DMFの追加の25mLをもちいて洗浄した。
【0087】
そのフラスコを乾燥ボックスの外に出し、そして大部分の揮発成分を減圧下で除去した。その残渣を、減圧下で16時間にわたり115℃に加熱した。その材料は痕跡量のDMFを含有した。CD3CN中での19F NMRは、生成物がCF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2SO2N(K)SO2CF3であることを示した(8F、−77.8〜−79.3ppm;2F、−83.7ppm;1F、−112.65ppm;2F、−116.0ppm;1F、−121.0ppm;1F、−135.7ppm;1F、−144.2ppm)。
【0088】
(実施例8)
実施例7の生成物に対して、150mLの濃塩酸を150mLの脱イオン水とを添加して、褐色の油状混合物を形成し、それを5分間にわたって攪拌し、そして次に4回にわたって、ジエチルエーテルの新たな100mLアリコートを用いて抽出した。そのジエチルエーテル分画を合わせて、そして3回にわたって、脱イオン水の新たな100mLアリコートを用いて洗浄した。そのエーテルを減圧下で蒸発させ、そして残留する褐色油状物を100mL丸底フラスコに移した。その褐色粗製物質に、2回の短経路蒸留(shortpath distillations)を行い、50.6gの酸生成物CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2SO2N(H)SO2CF3を得た。
【0089】
(実施例9)
実施例8におけるように合成した34.08g(59.26ミリモル)の酸生成物を、25mLの脱イオン水中に溶解させた。121.1mLの0.489NのLiOH溶液を添加した。減圧下において全ての水分を除去し、そして残渣を24時間にわたり100℃で乾燥させた。産出物は、34.09gのCF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2SO2N(Li)SO2CF3であった。D2O中での19F NMR:(8F、−77.8〜−79.5ppm;2F、−86.0ppm;1F、−115.5ppm;2F、−117.3ppm;1F、−123.4ppm;1F、−137.7ppm;1F、−146.1ppm);元素分析:N(実測値2.45%、理論値2.41%)、F(実測値49.43%、理論値52.31%)、Li(実測値1.15%、理論値1.19%)、S(実測値10.83%、理論値11.03%)。
【0090】
(実施例10)
250mLの丸底フラスコ中に、30.0g(94.2ミリモル)のC49SO2Clを配置した。125mLの無水アセトニトリルと、55.1g(948ミリモル)の溶融させたKFとを添加した。その反応混合物を42時間にわたって室温において攪拌した。全ての揮発成分を除去し、そして残渣を18時間にわたって80℃に加熱した。収集された揮発性留分に対して、−196℃において78.6g(4.62モル)の無水アンモニアを添加した。その反応混合物を、不活性アルゴン雰囲気において、過剰のアンモニアを蒸発させながら、終夜にわたって、室温まで温めた。全ての揮発成分を減圧下で除去した。残渣を、減圧下において、5時間にわたり45℃に加熱した。
【0091】
次にその残渣を、150mLの無水アセトニトリルを用いて処理し、そして乾燥ボックス内で濾紙を通して濾過し、そして固形分をさらなる100mLの無水アセトニトリルを用いて洗浄した。溶媒を減圧下で除去し、そして残渣を昇華(70℃、6.9×10-3kPa(10-3トル))させて、19.38gを得た。
【0092】
乾燥ボックス内で、実施例7においてと同様に調製した32.9g(54.3ミリモル)の臭素で保護されたPSEPVEを250mLの無水アセトニトリルに溶解させ、そして14.8g(49.5ミリモル)の前述のように調製したC49SO2NH2を添加し、引き続いて15.92g(274ミリモル)の溶融させたKFの添加を行った。その反応混合物を、96時間にわたって80℃に維持した。その反応混合物を室温まで冷却し、そして濾過した。その濾液に対して、5.45g(83.3ミリモル)のZn粉末を添加し、その反応混合物を45分間にわたって室温において攪拌した。その反応混合物を15時間にわたって60℃に加熱した。過剰のZnおよびZnBr2を濾過によって除去し、そして溶媒を減圧下で除去した。黄色残渣を、150mLの6N塩酸によって処理し、そして生成物を、4×150mLのエーテルによって抽出した。合わせた有機層を、100mLの水で洗浄し、そして溶媒を蒸発させ、短経路の蒸留の後に22.3gのCF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2SO2N(H)SO24919F NMRによって確認された)を得た。
【0093】
(実施例11)
乾燥ボックス中で、ClSO2(CF24SO2Cl(23.1g、57.9ミリモル)に対して、無水KF(28.1g、484ミリモル)とともに、200mLの無水アセトニトリルを添加した。その混合物を室温にて攪拌した。フッ素NMRが、17時間後にジスルホニルフルオリドの形成が完了したことを示した。不活性雰囲気下に維持される反応フラスコに、還流冷却器と滴下ロートとを取り付けた。その混合物を80℃に加熱し、そして5.81g(100ミリモル)のKFで処理した。その攪拌される懸濁液に対して、45mL無水アセトニトリル中の溶解させた4.33g(29.1ミリモル)のCF3SO2NH2を、6.5時間かけて滴下ロートから添加した。その反応混合物を、全部で71時間にわたって、攪拌および加熱した。反応混合物を濾過し、そして残渣を無水アセトニトリルで洗浄した。合わせた濾液を減圧下で濃縮し、ベージュ色の残渣を18時間にわたって90℃に加熱した。産出物は、14.95gのCF3SO2N(K)SO2(CF24SO2Fであり、CD3CN中での19F NMRにて確認された:44.9ppm(SO2F、s、1F)、−80.6ppm(CF3SO2、s、3F)、−108.2ppm(CF2SO2、s、2F)、−114.2ppm(CF2SO2、s、2F)、−120.7ppm(CF2CF2SO2、s、4F)。
【0094】
そのように調製した14.95g(28.1ミリモル)のCF3SO2N(K)SO2(CF24SO2Fに対して、約55gの無水アンモニアを凝縮させた。フラスコ内の圧力を、アルゴンを用いて0.1MPa(1気圧)とし、そして5時間の期間をかけて、反応混合物を室温まで昇温させた。過剰のアンモニアは、留出するままにした。ベージュ色の残渣を減圧下で乾燥させ、そして18時間にわたって60℃に加熱した。乾燥ボックス内で、生成物を150mLの無水アセトニトリルに溶解させ、そして濾過した。その濾液から、全ての揮発成分を減圧下で除去して、12.7gの生成物CF3SO2N(K)SO2(CF24SO2NH2を与え、それを12時間にわたって90℃において乾燥した。
【0095】
乾燥ボックス内で、12.7g(24.0ミリモル)の前述のように調製されたCF3SO2N(K)SO2(CF24SO2NH2に対して、125mLの無水アセトニトリルとともに、実施例7においてと同様に調製された20.2g(33.3ミリモル)の臭素で保護されたPSEPVEを添加した。反応は、7.02g(121ミリモル)の溶融させたKFの添加により開始された。反応混合物を76時間にわたって80℃に加熱した。反応混合物を、濾紙を通して濾過して生成物CF3SO2N(K)SO2(CF24SO2N(K)SO2CF2CF2OCF(CF3)CF2OCFBrCF2Brを得た。生成物は、実施例7においてと同様に、容易に脱臭素化することができる。
【0096】
(実施例12)
実施例1の方法に従って、1リットルのオートクレーブに、400mLの脱イオン水中の12.8g(22.0ミリモル)の実施例9のイオン性リチウム組成物の溶液を装填した。その溶液を冷却および脱ガスして、そして反応器に、15g(0.234モル)のフッ化ビニリデンを装填した。その溶液を60℃とし(反応器内圧力:116.1psi;rpm:750)、その後に50gの脱イオン水中に0.201gの過硫酸カリウムを有する溶液の20mLを、10分間の期間をかけて添加した。16時間後に、反応器圧力は0psigまで減少した。共重合体を凍結乾燥により単離した。産出物は、19F NMRにて示されるように、10.8モル%のPSEPVEイミド含有量で特徴づけられる24.9gの共重合体であった。DSCは、Tm=163℃(2回目の加熱)であることを示した。元素分析:H(実測値1.96%、理論値1.49%)、N(実測値1.25%、理論値1.26%)、F(実測値51.04%、理論値55.68%)、S(実測値5.40%、理論値5.78%)。1H NMR(アセトン−d6):3.85ppmにCH219F NMR(アセトン−d6):−77.2〜−79.2ppm(m)、−91.2〜−130.0ppm(一連のm)、−144.6(1F、側鎖のCF)。
【0097】
(実施例13)
0.865gの実施例12のイオノマーと70mLのアセトンとを12時間にわたって室温にて攪拌し、そして10cmのPFA皿へと注いだ。溶媒をゆっくりと蒸発するままにして、共重合体フィルムを与え、それを皿から剥離した。その膜を12時間にわたって100℃の真空オーブン中で加熱し、その後、その膜はいくらか脆くなった。フィルムの厚さは120マイクロメートルであった。
【0098】
(実施例14)
用いられるイオン性コモノマーが、12.801gのCF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2SO2N(Li)SO2CF3(実施例9由来)であり、およびフッ化ビニリデンの量が29gであることを除いて、実施例12の手順に従った。VF2−共重合体は凍結乾燥によって単離された。その材料を22時間にわたって110℃において乾燥させ、19F NMRにて確認されるように、4.7モル%のリチウムイミドを含有する40.7gのイオノマーを与えた。DSC(2回目の加熱)は、Tm=164.5℃であることを示した。
元素分析:H(実測値2.06%、理論値2.16%)、N(実測値1.78%、理論値0.74%)、Li(実測値0.32%、理論値0.37%)。1H NMR(アセトン−d6):3.60ppmにCH219F NMR(アセトン−d6):−77.2〜−79.2ppm(m)、−91.2〜−130.0ppm(一連のm)、−144.6(側鎖のCF)。
【0099】
(実施例15)
1.122gの実施例14のイオノマーを70mLのアセトン中に溶解させ、そして12時間にわたって加熱還流させた。その溶液を室温まで冷却した後に、それをPFA皿に注ぎ、そして溶媒をゆっくりと蒸発するままにした。透明フィルムをPFA皿から容易に剥離し、および12時間にわたって110℃の真空オーブン中で乾燥した。厚さは190マイクロメートルであった。
【0100】
(実施例16)
100mLのフラスコに、4.73ミリモルの実施例7の臭素で保護されたPSEPVE、ジメトキシエタン(20mL)、および水素化リチウム(0.075g、9.5ミリ当量)を装填した。その混合物を、約−20゜に冷却し、そしてマロノニトリルをジメトキシエタンの溶液として添加しながら攪拌した。18時間後に、その混合物を濾過し、そして濃縮した。実施例7の方法に従って、反応混合物にZn粉末を添加して、オレフィン性結合を再生した。
【0101】
(実施例17)
0.50グラムの実施例14のイオノマーを、米国特許第6,025,092号に記載されるように調製されたVF2および9.5モル%のPSEPVEのリチウムスルホン酸塩形態のモノマーユニットを含むイオノマー0.5gおよび炭酸エチレンとγ−ブチロラクトンと(両反応剤ともにEM Industries製のSelectipur等級)の1:1体積比混合物2.0gと、スパチュラを用いて、120℃において粉末形態において混合した。そのように形成された混合物を、透明な混合物が得られるまで、密閉されたガラス瓶中で、窒素下で、数時間にわたって100℃に加熱した。
【0102】
次に、その混合物を冷却して、ゲルを形成した。約0.5gのゲルをガラス瓶から取り出し、2枚のKapton(登録商標)ポリイミドフィルム(DuPont)の間に配置し、そしてその組合せ物を、105℃に予熱されたCarver Hydrauric Unit Model #3912の定盤の間に配置し、そして4400N(1000lbs)のラム圧を用いて圧縮した。得られたフィルムは透明かつ均一であり、および厚さ107〜119マイクロメートル(4.2〜4.7ミル)であった。
【0103】
室温まで冷却したらすぐに、この熱圧縮されたフィルムから1.0cm×1.5cmの膜サンプルを、ナイフを用いて切り出し、そして次に前述の4点プローブ試験を用いて試験した。溶媒吸収量は、フィルムの調整されたままの組成を基盤として、名目上200%であった。導電性は8.27×10-4S/cmであった。
【0104】
前記の溶融圧縮されたフィルムから18mm直径の円形試料を打ち抜いて、以下に記載するように電子用セパレータ膜に供した。
【0105】
正極を形成するために、以下の材料を計量し、そして乾燥窒素雰囲気下のグローブボックス内の50mLガラス製ジャー中で手を用いて混合した:
0.625グラム(2.5質量%)のKynar Flex(登録商標)2801ポリフッ化ビニリデン(Atochem製)
1.75グラム(7.0質量%)の実施例14のイオノマー
15.5グラム(62質量%)のLiCoO2(EM Industries製)
1.625グラム(6.5質量%)のSuper Pカーボンブラック(MMM Carbon製)
5.5グラム(22質量%)の、炭酸エチレンとγ−ブチロラクトンとの1:1体積比混合物(両方ともに、EM Industries製Selectipur等級のもの)。
【0106】
そのように形成した混合物を、CSI-Max押出機、モデルCS-194の供給スロートに供給した。押出し条件は以下の通りである:
ローター温度:110℃
ヘッダー温度:110℃
ローターとヘッダーとの間の空隙:0.13cm
ローター速度:192rpm。
【0107】
そのように溶融配合された材料を、0.32cmの直径を有する円形のダイを通して押出し、および乾燥窒素でパージされたガラス製ジャー中に収集した。
【0108】
そのように溶融配合された材料を、0.32cmの直径を有する円形のダイを通して押出し、および乾燥窒素でパージされたガラス製ジャー中に収集した。
押出物の1.0グラム量を、窒素パージされるグローブボックス中で、Carver圧縮機の定盤の間で、110℃および88N(20klbs)のラム圧にて溶融圧縮し、引き続いて冷却および圧力の解除を行い、それによって厚さ127マイクロメートル(5ミル)のフィルムを形成した。そのように形成したフィルムから直径12mmの円形試料を打ち抜いた。
【0109】
前述のように調製したセパレータおよび正極フィルムを、2時間にわたって密閉されたガラス瓶中の2〜4mLの溶液中への浸漬によって、1:1EC/GBL中の1.0MのLiPF6で構成される電解質溶液に対して、2時間にわたってさらした。
【0110】
前記のように処理した正極およびセパレータフィルムを、負極として厚さ102マイクロメートル(4ミル)のリチウム金属の3つの層とともにサイズ2325のコイン型電池に組み立てた。そのコイン型電池を、4.2Vおよび2.8Vの電圧限界の間で、室温において、C/5速度において、充電および放電を循環させた。LiCoO2正極に対する1回目の充電中の容量は、157.2mAh/gであり、一方、1回目の放電の容量は149.7mAh/gであり、95.2%の可逆性(reversibility)を与えた。10回目の放電における容量は147.1mAh/gであり、およびそのコイン型電池は、その初期容量の80%に達するまでに、ほぼ100サイクルを達成した。

Claims (7)

  1. フッ化ビニリデンのモノマーユニットを含み、および下式
    -(OCF2CFR)aOCF2(CFR')bSO2X-(M+)(Y)(Z)c (I)
    で表わされる基を含むペンダント基を有する2〜50モル%のモノマーユニットをさらに含むイオン性ポリマー(イオノマー)であって、
    RおよびR’は、F、Cl、1から10炭素原子を有するペルフルオロアルキル基、あるいは1つまたは複数のエーテル酸素によって置換されている1から10炭素原子を有するペルフルオロアルキル基から独立的に選択され;
    aは、0、1、または2であり;
    bは、0から6であり;
    +は、H+または1価の金属カチオンであり;
    Xは、XがCのときはcは1であり、およびXがNのときはcは0であることを条件として、CまたはNであり;
    cが1であるときには、YおよびZは、CN、SO2f、SO23、P(O)(OR32、CO23、P(O)R3 2、C(O)Rf、C(O)R3、およびそれらを有して形成されるシクロアルケニル基からなる群から選択される電子吸引性基であり(ここで、Rfは、1から10炭素原子を有するペルフルオロアルキル基、あるいは1つまたは複数のエーテル酸素によって置換されている1から10炭素原子を有するペルフルオロアルキル基であり;R3は、1から6炭素原子を有するアルキル基、1つまたは複数のエーテル酸素によって置換されている1から6炭素原子を有するアルキル基、アリール基、またはさらに置換されているアリール基であり;YおよびZは、同一または異なるものである);
    または、cが0であるときには、Yは、−SO2f’で表わされる電子吸引性基であってもよい(ここで、Rf’は、式−(Rf”SO2-(M+)SO2mf'''(m=0または1)で表わされる基であり、およびRf”は−Cn2n−(n=1〜10)であり、およびRf'''は−Cn2n+1(n=1〜10)、あるいは1つまたは複数のエーテル酸素によって置換されてもいる−C n 2n+1 (n=1〜10)である
    ことを特徴とするイオン性ポリマー(イオノマー)。

  2. CF2=CF-(OCF2CFR)aOCF2(CFR')bSO2C-(M+)YZ (II)
    で表わされるエチレン性不飽和組成物であって、
    RおよびR’は、F、Cl、1から10炭素原子を有するペルフルオロアルキル基、あるいは1つまたは複数のエーテル酸素によって置換されている1から10炭素原子を有するペルフルオロアルキル基から独立的に選択され;
    aは、0、1、または2であり;
    bは、0から6であり;
    +は、H+または1価の金属カチオンであり;
    YはCNであり、およびZは、CN、SO23、P(O)(OR32、CO23、P(O)R3 2、C(O)Rf、C(O)R3、およびそれらを有して形成されるシクロアルケニル基からなる群から選択される電子吸引性基であり(ここで、Rfは、1から10炭素原子を有するペルフルオロアルキル基、あるいは1つまたは複数のエーテル酸素によって置換されている1から10炭素原子を有するペルフルオロアルキル基であり;R3は、1から6炭素原子を有するアルキル基、1つまたは複数のエーテル酸素によって置換されている1から6炭素原子を有するアルキル基、アリール基、またはさらに置換されているアリール基であり;YおよびZは、同一または異なるものである)
    ことを特徴とするエチレン性不飽和組成物。
  3. 0〜150℃の範囲内の温度の不活性有機液体中で、フッ化ビニリデンのモノマーユニットと下式
    CF2=CF(OCF2CFR)aOCF2(CFR')bSO2F (III)
    (式中、RおよびR’は、F、Cl、1から10炭素原子を有するペルフルオロアルキル基、あるいは1つまたは複数のエーテル酸素によって置換されている1から10炭素原子を有するペルフルオロアルキル基から独立的に選択され;aは、0、1、または2であり;bは、0から6である)で表わされる2〜50モル%のモノマーユニットとを含む共重合体を、式CH2YZで表わされるメチレン化合物から誘導されるカルバニオン(YおよびZは、CN、SO2f、SO23、P(O)(OR32、CO23、P(O)R3 2、C(O)Rf、C(O)R3、およびそれらを有して形成されるシクロアルケニル基からなる群から選択される電子吸引性基であり、Rfは、1から10炭素原子を有するペルフルオロアルキル基、あるいは1つまたは複数のエーテル酸素によって置換されている1から10炭素原子を有するペルフルオロアルキル基であり、R3は、1から6炭素原子を有するアルキル基、1つまたは複数のエーテル酸素によって置換されている1から6炭素原子を有するアルキル基、アリール基、またはさらに置換されているアリール基であり、YおよびZは、同一または異なるものである)と組み合わせて、反応混合物を形成する工程と;
    所望される転化率が達成されるまで、前記反応混合物を反応させる工程と;
    前記有機液体の大部分を除去する工程と
    を具えたことを特徴とするメチドイオノマーを作成するための方法。
  4. 0〜100℃の範囲内の温度の不活性有機液体中で、下式
    CF2A-CFA(OCF2CFR)aOCF2(CFR')bSO2F (IV)
    (式中、Aは、BrまたはClであり、RおよびR’は、F、Cl、または1から10炭素原子を有するペルフルオロアルキル基から独立的に選択され;aは、0、1、または2であり;bは、0から6である)で表わされる組成物を、CH2YZで表わされるメチレン化合物から誘導されるカルバニオン(YおよびZは、CN、SO2f、SO23、P(O)(OR32、CO23、P(O)R3 2、C(O)Rf、C(O)R3、およびそれらを有して形成されるシクロアルケニル基からなる群から選択される電子吸引性基であり、Rfは、1から10炭素原子を有するペルフルオロアルキル基、あるいは1つまたは複数のエーテル酸素によって置換されている1から10炭素原子を有するペルフルオロアルキル基であり、R3は、1から6炭素原子を有するアルキル基、1つまたは複数のエーテル酸素によって置換されている1から6炭素原子を有するアルキル基、アリール基、またはさらに置換されているアリール基であり、YおよびZは、同一または異なるものである)と組み合わせて、反応混合物を形成する工程と;
    所望される転化率が達成されるまで、前記反応混合物を反応させる工程と;
    前記有機液体の大部分を除去する工程と
    を具えたことを特徴とするメチド組成物を作成するための方法。
  5. イオノマーを形成するための方法であって、前記方法は、水性反応媒質中で、フッ化ビニリデンを下式
    CF2=CF-(OCF2CFR)aOCF2(CFR')bSO2X-(M+)(Y)(Z)c
    で表わされるイオン性モノマーと組み合わせて、反応混合物を形成する工程と
    (式中、RおよびR’は、F、Cl、1から10炭素原子を有するペルフルオロアルキル基、あるいは1つまたは複数のエーテル酸素によって置換されている1から10炭素原子を有するペルフルオロアルキル基から独立的に選択され;
    aは、0、1、または2であり;
    bは、0から6であり;
    +は、H+または1価の金属カチオンであり;
    Xは、XがCのときはcは1であり、およびXがNのときはcは0であることを条件として、CまたはNであり;
    cが1であるときには、YおよびZは、CN、SO2f、SO23、P(O)(OR32、CO23、P(O)R3 2、C(O)Rf、C(O)R3、およびそれらを有して形成されるシクロアルケニル基からなる群から選択される電子吸引性基であり(ここで、Rfは、1から10炭素原子を有するペルフルオロアルキル基、あるいは1つまたは複数のエーテル酸素によって置換されている1から10炭素原子を有するペルフルオロアルキル基であり;R3は、メチルまたはエチルであり;YおよびZは、同一または異なるものである);
    または、cが0であるときには、Yは、−SO2f’で表わされる電子吸引性基であってもよい(ここで、Rf’は、式−(Rf”SO2-(M+)SO2mf'''(m=0または1)で表わされる基であり、およびRf”は−Cn2n−(n=1〜10)であり、およびRf'''は−Cn2n+1(n=1〜10)、あるいは1つまたは複数のエーテル酸素によって置換されている−C n 2n+1 (n=1〜10)である));
    フリーラジカル開始剤を導入する工程と;
    前記反応混合物を反応させて、150℃以上の融点を有するイオノマーを形成する工程と
    を具えたことを特徴とする方法。
  6. 請求項1に記載のイオノマーと、該イオノマー内部に吸収された液体とを含むことを特徴とする導電性組成物。
  7. 電気化学的電池であって、正極と、負極と、前記正極と前記負極との間に配置されるセパレータと、前記電池を外部の負荷または電源と接続するための手段とを具えた電池であり、ここで前記セパレータ、前記正極、および前記負極からなる群から選択される少なくとも1つは請求項1に記載のイオノマーを含むことを特徴とする電気化学的電池。
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