JP4417022B2 - 燃料電池用灯油燃料気化器及び気化方法 - Google Patents

燃料電池用灯油燃料気化器及び気化方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池発電システムに用いる灯油燃料の気化器及び気化方法に関する。さらに詳しくは、灯油燃料と水蒸気とを同一の気化器内で気化・混合することができる気化器であって、灯油燃料の炭化を防止し、長期にわたる稼動を可能とした燃料電池用灯油燃料気化器に関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池の代表的なものとして、水素と酸素の化学反応により発電を行うものがある。この化学反応による燃料電池は、空気汚染物質を排出しないクリーンな発電システムであり、また、化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換する高効率な発電システムであることから、次世代の発電システムとして積極的な開発が行われている。
【0003】
燃料電池システムの活用の一態様として、燃料電池システムを病院、ホテル等の各施設、工場、家庭などに分散して設置することが検討されている。この活用態様では、現在のように電線による送電が不要となるため送電ロスがなく、また、発電によって発生する排熱も熱源として有効利用できるため、高効率なエネルギーシステムとなる。
【0004】
燃料電池システムでは、天然ガス、アルコール類、灯油燃料などの炭化水素系燃料等から水素を発生させ、燃料電池本体の燃料極に供給して発電する方法が一般的である(たとえば、特許文献1,2参照。)。
これら水素の原料について、LNGや都市ガスを水素の原料とする燃料電池システムでは、その使用地域は、これら原料を供給する配管のある地域内となり、極めて限られたものとなる。
一方、灯油燃料は、全国的な供給網が確立されており、全国各地に燃料電池システムを設置することが可能となるため、その利用が研究されている。
【0005】
灯油燃料から水素を製造する方法には、水蒸気改質法、オートサーマル改質法などの方法がある。これらの方法では、灯油燃料と水蒸気の混合物を改質触媒が充填されている改質器に通すことにより水素を発生させるが、改質器に供給する前に、灯油燃料を気化させる必要がある。
従来、液体燃料を気化する方法としては、以下に示す第1の方法、あるいは、第2の方法などが知られている。
【0006】
(第1の方法)
外容器の底面にバーナを配置し、このバーナの上に気化器を配置する。気化器は、バーナの上に配置された断熱円筒と、この断熱円筒内面にコイル状に配置された燃料管路とから構成されている。この気化器において、気化器の上方から燃料管路に液体燃料を供給し、バーナにより加熱された加熱空気によって燃料管路を加熱することにより液体燃料を気化させる(たとえば、特許文献3参照。)。
【0007】
(第2の方法)
高温の水蒸気を改質器へ供給するのに必要な圧力まで加圧する加圧装置と、改質器との間に気化装置を設け、この気化装置に高温の水蒸気を流通させることにより、液状の炭化水素系燃料を吸引させるとともに、水蒸気の有する熱により灯油燃料を気化させる(たとえば、特許文献4参照。)。
【0008】
しかしながら、上記の方法では、液体燃料として灯油燃料を用いた場合、次のような不具合が考えられる。
第1の方法では、水と灯油燃料を混合する前に、それぞれを単独で気化させていることから、灯油燃料を気化するために、約350℃〜400℃の高温が必要となる。このため、バーナにより燃料管路内で灯油燃料を加熱しているが、加熱温度が高温であり、灯油燃料の沸点の高い成分が管路壁面において炭化するおそれがある。したがって、高温下における燃料管路内での炭化トラブルが予想され、燃料電池に求められている長期連続運転に支障をきたすおそれがある。
【0009】
また、第2の方法では、気化器に高温の水蒸気を供給する必要があるため、水を気化器に供給する前に、ボイラなどの水蒸気発生手段を設ける必要があった。
また、水蒸気の温度は350℃程度が好ましいとしているが、水蒸気と炭化水素系燃料との重量比が明らかではないため、灯油燃料の場合には、重量比によっては、熱分解する不具合が予想される。
【0010】
【特許文献1】
特開平6−333588号公報
【特許文献2】
特開平10−69919号公報
【特許文献3】
特開平7−138001号公報
【特許文献4】
特開平9−190833号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記課題に鑑み、長期にわたって、灯油燃料の炭化トラブルを回避しつつ、灯油燃料を気化させることができるとともに、灯油燃料と水蒸気とを均一に混合させることができる燃料電池用灯油燃料気化器及び気化方法の提供を目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、気化器の内部において、水を灯油燃料より先に気化させることにより、灯油燃料の炭化を防止できることを見出し、さらに、気化器内部に粒状の伝熱体を充填することにより、水と灯油燃料を同一の気化器内で気化できること、及び水蒸気と灯油燃料をエネルギー効率良く、均一に混合できることを見出し、本発明を完成させた。
【0013】
すなわち、請求項1に記載の発明は、灯油燃料(単に、灯油と称することもある)と水蒸気を気化・混合して改質器に供給し、水素を含有する燃料ガスを発生させ、この燃料ガスを燃料電池に供給する燃料電池システムに用いる気化器であって、一端を入口側、他端を出口側とした筒状の本体と、この本体の入口側から本体内部に導入された水供給管と、前記本体の入口側から本体内部に、前記水供給管より深く導入された灯油供給管と、前記本体内部の、前記水供給管及び灯油供給管の供給口付近から出口側にかけて充填された粒状体と、前記本体の外周に配設されたヒータとを備えた構成としてある。
【0014】
このように、本体内部に、水供給管より深く灯油供給管を導入することにより、本体内部において、灯油燃料より先に水を導入して水蒸気とすることができる。したがって、本体内部に水蒸気が拡散し、灯油燃料が未混合状態で本体壁面に接触することを防止できるため、灯油燃料の炭化を抑制することができる。
また、水供給管及び灯油供給管から供給された水及び灯油燃料を、粒状体が充填された層を通過させることにより、灯油燃料を本体内部に拡散させることができるので、水蒸気と均一に混合することができる。
【0015】
この場合、請求項2に記載するように、前記粒状体が伝熱体であることが好ましく、特に、請求項3に記載するように前記粒状体がアルミナ粒子であることが好ましい。
このようにすると、ヒータによって気化器の本体に供給される熱を、効率良く本体内部まで伝導することができるため、灯油燃料の気化をより促進することができる。
【0016】
また、請求項4に記載するように、前記粒状体の粒径は、平均0.5mm〜5.0mmであることが好ましい。
粒状体の粒径をこの範囲とすることで、水蒸気と灯油燃料を均一に混合することができる。
【0017】
また、請求項5に記載するように、前記ヒータの熱源として、前記燃料電池システムの排熱を用いることが好ましい。
このように、燃料電池システムの排熱、たとえば、改質器からの高温の排気ガスを利用して水蒸気を発生させることで、燃料電池システム全体として熱の利用効率を高めることができ、より効率的な運転が可能となる。
【0018】
請求項6に記載の発明は、灯油燃料と水蒸気を気化・混合して改質器に供給し、水素を含有する燃料ガスを発生させ、この燃料ガスを燃料電池に供給する燃料電池システムにおいて、前記気化器に水を供給して水蒸気とし、さらに、この水蒸気の中に灯油燃料を供給して気化・混合させる方法としてある。
このように、前記気化器に水を供給して水蒸気とし、さらに、この水蒸気の中に灯油燃料を供給して気化・混合させると、予め水を水蒸気としてから気化器に供給する必要がなくなる。したがって、従来の気化器、たとえば、エゼクタを使用する場合のように、エゼクタの前に水蒸気発生手段であるボイラなどを設置させる必要がなくなる。
【0019】
請求項7に記載の発明は、水蒸気と灯油燃料を混合するとき、水蒸気で灯油燃料を包み込むように混合している。
このようにすると、灯油燃料が水蒸気と混合する前に、本体の内壁に接することを防止できるため、灯油燃料の炭化トラブルを有効に防止できる。
【0020】
請求項8に記載の発明は、灯油燃料の気化を、水蒸気の熱と気化器に外部から与えられる熱によって行う方法としてある。
このように、水蒸気の熱と、気化器外部からの熱を加えることによって、灯油燃料の気化を促進する。
【0021】
請求項9に記載の発明は、混合される水蒸気と灯油燃料との重量比(水蒸気/灯油燃料)を1.9〜6.5としてある。
水蒸気と灯油燃料との重量比をこの範囲にすることにより、エネルギー効率良く、灯油燃料を気化することができ、また、灯油燃料の気化温度を低下することができるので、灯油燃料の炭化を防止できる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0023】
図1は、本実施形態の気化器の概略断面図である。
気化器1は、筒状の本体10、水供給管11、灯油供給管12、粒状体13、ヒータ14及び接続管15を主な構成要素としている。
水供給管11は、ポンプ(図2の符号24参照)に接続され、本体10の内部に水を供給するものであり、本体10の入口10a側に導入されている。
同様に、灯油供給管12もポンプ(図2の符号22参照)に接続され、気化器内部に灯油燃料を供給するものであり、本体10の入口10a側に導入されている。
ここで、灯油供給管12は、その供給口12aが、水供給管11の供給口11aよりも本体10の奥に位置するよう、水供給管11よりも深く本体10に導入してある。
【0024】
粒状体13は、水蒸気と灯油燃料を気化・混合するものであり、本体内部の、水供給管11及び灯油供給管12の供給口11a,12a付近から本体10の出口にかけて充填してある。
これにより、供給口12aから供給された灯油燃料は、水蒸気と混合しながら粒状体13によって形成される微小な間隙を通過することによって高度に分散される。したがって、水蒸気と均一に混合させることができ、また、燃料自体を気化しやすくできる。このため、灯油燃料の気化に必要な加熱温度を低くできるので、灯油の炭化トラブルを有効に防止でき、また、灯油燃料の気化に必要なエネルギーを低減することができる。
【0025】
粒状体13の形状は、灯油燃料を分散でき、かつ粒状体13どうしの間を水蒸気と灯油燃料が通過できるものであれば、特に制限されない。
本実施形態においては、粒状体13に伝熱材を使用することが、ヒータ14によって気化器に供給された熱を、本体10の内部まで効率良く伝導することができ、灯油燃料の気化をより効率よく行えるため好ましい。
粒状体13としては、たとえば、アルミナ粒子,金属粒子,窒素珪素粒子,炭化珪素粒子等を使用できる。好ましくはアルミナ粒子を使用する。
【0026】
粒状体13の平均粒径は0.5mm〜5.0mmが好ましく、1.0mm〜3.0mmとすることが特に好ましい。平均粒径が0.5mm未満では、粒状体13による圧力損失が大きくなるため好ましくなく、5.0mmより大きいと、灯油燃料を高度に分散できない。
【0027】
本体10の粒状体13を充填してある部分(充填部)の長さ(L)と、本体10の内径(D)との比(L/D)は、使用する粒状体の形状にもよるが、4〜100とすることが好ましく、4〜50がより好ましく、さらには7〜25が特に好ましい。L/Dが4より小さいと、灯油燃料を高分散することができなくなって、水蒸気と均一に混合できないおそれがあり、L/Dが100より大きいと粒状体13による圧力損失が大きくなる。
【0028】
ヒータ14は、本体10を加熱するために設置され、本体10の外周に設けられている。
このヒータ14は、本体10を加熱でき、灯油燃料を気化するのに必要な熱量を供給できるのものであればよく、たとえば、電気ヒータ,バーナ燃焼排ガス,スチームによる加熱等を利用することができる。
また、ヒータ14の熱源として、燃料電池システムから生じる排熱を使用することもでき、このようにすると、システム全体のエネルギー効率を向上させることができるので好ましい。
【0029】
接続管15は、本体10によって形成された、水蒸気・灯油燃料の混合ガスを改質器(図示せず)に供給する配管であり、本体の出口10bに接続されている。
水供給管11の供給口11a及び灯油供給管12の供給口12aの周囲は、粒状体13を封止するための封止部材16によって覆われている。封止部材16には、石英ウール,金属メッシュ(ワイヤー)等が使用できる
【0030】
本実施形態の気化器1においては、供給口11aから本体10内に供給された水は、ヒータ14による加熱によって、ほぼ瞬間的に供給口11a付近で水蒸気となり、本体内部に膨張・拡散する。ここで、灯油供給管12の供給口12aは、水供給管11の供給口11aよりも本体10の奥に位置しているので、供給口12aから供給された灯油燃料は供給口11aで発生した水蒸気によって覆われた状態となる。したがって、灯油供給管12の供給口12aから本体10内に供給される灯油燃料は、供給直後に、水蒸気に包み込まれるようにして本体10内に供給され、かつ混合されることとなり、灯油燃料が本体10の内壁に直接接触することを防止できる。これによって、灯油燃料の炭化を抑制できる。
【0031】
なお、水供給管11の供給口11aと灯油供給管12の供給口12aの距離(X)は、本体10の内径や長さなどに合わせて適宜調整すればよい。たとえば、本体10の内径が20mmのとき、距離(X)は、10mm〜30mmとすることが好ましい。
【0032】
また、本実施形態の気化器は、水及び灯油燃料の両者を気化器の本体内部で気化させることができる。
気化器として一般的に使用されているもの、たとえば、エゼクタでは、高温・高圧の水蒸気をエゼクタに供給することで、灯油燃料を吸引して噴霧状に噴射させ、水蒸気の有する熱によって灯油燃料を気化・混合している。したがって、水を予め水蒸気としてエゼクタに供給する必要があるため、ボイラなどの水蒸気発生手段をエゼクタの前工程に設ける必要がある。
これに対し、本実施形態の気化器においては、粒状体13を設けることによって、灯油燃料を高度に分散させているので、高温・高圧の水蒸気を気化器に供給する必要がない。したがって、気化器の前工程に水蒸気発生手段を設ける必要はなく、同一の気化器内部において、水と灯油燃料を気化させることができる。
【0033】
次に、上記の灯油燃料気化器を使用した気化方法について、燃料電池システムに適用した例として説明する。
図2は、本実施形態の灯油燃料の気化方法を適用した燃料電池システムの構成図である。
燃料電池システム2は、燃料電池に水素を含有する燃料ガスを供給する水素製造システム20、供給された水素と空気(酸素)により発電を行う燃料電池34及び発電により発生した熱を温水として利用する排熱回収装置37を主な構成要素としている。
本実施形態の灯油燃料の気化方法は、水素製造システム20において実施される。
【0034】
水素製造システム20は、灯油燃料を供給する灯油タンク21、定量ポンプ22、脱硫器23、図1に示す気化器1、改質器31、CO変性器32及びCO選択酸化炉33により構成される。
【0035】
灯油タンク21に蓄えられている灯油燃料は、定量ポンプ22により脱硫器23に供給される。
ここで、灯油燃料とは、JISで定められた市販灯油である。
脱硫器23は、改質器31内の改質触媒の硫黄被毒を防止するため、原料中の硫黄成分を除去するものであり、脱硫器23の内部には脱硫剤が充填されている。
脱硫剤としては、たとえば、活性炭,ゼオライト又は金属系の吸着剤などが好ましいが、灯油燃料の場合は、特に、特開2001−279255号公報に示すように、Ni系脱硫剤が好ましい。
【0036】
脱硫器23により脱硫された灯油燃料は、灯油供給管12を通って、気化器1に供給される。
一方、水は、定量ポンプ24により水供給管11を通って気化器1に供給される。
水供給管11の供給口11aから本体10に供給された水は、ヒータ14の熱によって瞬時に気化・膨張し、本体10内部に拡散する。これにより、灯油供給管12の供給口12a周辺は水蒸気で覆われた状態となる。
【0037】
一方、灯油供給管12の供給口12aから供給された灯油燃料は、水と比べて気化温度が高いため、供給口12a周辺では一部を除いて気化しないものの、供給口11a付近で発生した水蒸気に覆われた状態で、粒状体13に供給される。
このように、本体10内に、灯油燃料が水蒸気に覆われた状態で供給されるので、灯油燃料が単独で本体10の内壁に接触することはない。したがって、灯油燃料の炭化トラブルを有効に防止できる。
【0038】
灯油燃料は、粒状体13において分散しながらヒータ14より供給される熱によって気化し、水蒸気との混合ガスとなる。
粒状体13を通過した、水蒸気と灯油燃料の混合ガスは、接続管15を通って、改質器31に供給される。
【0039】
水蒸気と灯油燃料の混合割合は、重量比(水蒸気/灯油燃料)で1.9〜6.5が好ましい。重量比が1.9より小さいと、気化器1内において、混合物中の灯油燃料の割合が高くなるため、気化器1の加熱温度を高くする必要があるが、この温度が高温になりすぎて灯油燃料が炭化するおそれがある。また、重量比が6.5より大きいと、燃料の炭化防止には有効であるものの、灯油燃料の比率が小さくなりすぎるため、燃料電池システムの効率が低下する。水蒸気と灯油燃料の混合割合は、特に、2.6〜5.2とすることが好ましく、さらに、3.2〜4.5とすることが好ましい。
【0040】
気化器1の加熱温度は、水蒸気と灯油燃料の混合割合に合わせて調整するが、200℃〜350℃が好ましく、特に、250℃〜300℃が好ましい。
気化器1の加熱温度は、本体10の外周に設けられたヒータ14(図1参照)によって調整する。
【0041】
以上の条件によって、水蒸気と灯油燃料とを混合させることで、灯油燃料の炭化トラブルを抑制することができ、長期にわたって、灯油燃料の炭化トラブルを回避しつつ、灯油燃料を気化させることができるとともに、灯油燃料と水蒸気とを均一に混合させることができる。
【0042】
本実施形態では、気化器1の加熱をする熱源として、改質器31から発生する高温の排気ガスを利用している。このように、水素製造システム20の内部で発生した排熱を有効利用することで、燃料電池システム全体のエネルギー効率を高めることができる。
なお、水素製造システム20の内部で発生した排熱と電気ヒータなどの加熱手段を併用してもよい。
また、改質器31からの排気ガスを利用して水を加熱したのち、低温になった排気ガスを、灯油燃料の予熱に利用してもよい。これにより燃料電池システム全体のエネルギー効率を、より高めることができる。
【0043】
気化器1によって気化され、水蒸気と混合された灯油燃料ガスは、改質器31へ送られ、ここで水素を主成分とするガスに改質される。
改質器31は、液体原料と水蒸気の混合体から、水素を発生させる装置であり、その内部には改質触媒が設けられている。改質触媒は、たとえば、Ru,Rh,Pt,Pd等の貴金属や、Ni,Co等の金属を、活性金属成分として用いている。
改質器31は、燃料電池34から排出される水素を燃料とするバーナ31Aにより加熱される。改質器31を経た改質ガスは、CO変性器32およびCO選択酸化炉33において改質ガス中のCOが変成、除去されたのち、燃料電池34へ送られる。
【0044】
燃料電池34は、水素と酸素とを反応させて直流電力を発生するもので、負極34Aと正極34Bとの間に高分子電解質膜34Cを備えた固体高分子型燃料電池である。
なお、燃料電池システムとしては、固体高分子型燃料電池を用いたが、この形式に限定されず、他の形式の燃料電池システムでもよい。
【0045】
負極34A側にはCO選択酸化炉33から送り出された水素リッチガスが、また、正極34Bにはブロワ(またはコンプレッサー)35によって送り込まれた空気がそれぞれ供給され、両者の反応により、水と同時に、両極34A,34B間に直流電力が発生する。
負極34A側には、余った水素を燃料とする改質器31のバーナ31Aが接続され、正極34B側には気水分離器36が接続されている。気水分離器36は、正極34B側に供給された空気中の酸素と水素との結合により生じた水と排気ガスとを分離し、水を水蒸気の生成に利用している。
【0046】
燃料電池34では発電に伴って熱が発生するため、本実施形態では、この熱を回収して有効利用するための排熱回収装置37が付設されている。排熱回収装置37は、燃料電池34に付設され反応時に生じた熱を奪う熱交換器37Aと、この熱交換器37Aで奪った熱を水と熱交換するための熱交換器37Bと、冷却器37Cと、これら熱交換器37A,37Bおよび冷却器37Cへ冷媒を循環させるポンプ37Dとを備えている。熱交換器37Bにおいて、熱交換によって得られた温水は、他の設備などで有効利用される。
【0047】
【実施例】
以下、図1に示す気化器を使用して、灯油燃料の気化を行った実施例について説明する。
気化器の本体10には、内径が約19mm、長さが300mmの筒状のものを使用した。
粒状体13を充填した部分の長さ(L)は200mmとし、粒状体13には、平均粒径3mmのアルミナ粒子を使用した。
水供給管の供給口11aは、本体入口10aから本体内部に75mm導入した位置とし、灯油供給管の供給口12aは90mm導入した位置とし、両者間の距離(X)を15mmとした。両供給管としては、内径が2mmのものを使用した。
水及び灯油燃料は、定量ポンプ(図示せず)によって供給した。
気化器の加熱は、シースヒータを本体10の外周に配置することによって行った。
【0048】
実施例1
灯油供給量を300g/h、水供給量を1157g/h(水蒸気/灯油=3.9)、気化器温度を300℃として、水蒸気と灯油燃料とを混合し、灯油の気化を実施した。その結果、気化率は100%で、このときの気化後のガス温度は175℃であった。
気化率は、気化器出口にガラス管を設けて目視観察を行い測定した。凝縮せずに全量気化したことを確認した。気化率は送入量と凝縮量の比から算出した。
【0049】
実施例2
灯油供給量を200g/h、水供給量を640g/h(水蒸気/灯油=3.2)、気化器温度を350℃として、水蒸気と灯油燃料とを混合し、灯油の気化を実施した。その結果、気化率は100%で、このときの気化後のガス温度は185℃であった。
【0050】
実施例3
灯油供給量を250g/h、水供給量を1128g/h(水蒸気/灯油=4.5)、気化器温度を250℃として、水蒸気と灯油燃料とを混合し、灯油の気化を実施した。その結果、気化率は100%で、このときの気化後のガス温度は170℃であった。
【0051】
【発明の効果】
本発明によれば、本体の内部において、水を灯油燃料より先に気化させることにより、灯油燃料の炭化を防止できる燃料電池用灯油燃料気化器及び気化方法を提供できる。
また、気化器内部に粒状の伝熱体を充填することにより、水蒸気と灯油燃料をエネルギー効率良く、均一に混合でき、さらに、水と灯油燃料を同一の気化器内で気化できるので、気化器の前工程に水蒸気供給手段を配置する必要がない燃料電池用灯油燃料気化器及び気化方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態である気化器の概略断面図である。
【図2】本実施形態の灯油燃料の気化方法を適用した燃料電池システムの構成図である。
【符号の説明】
1 気化器
2 燃料電池システム
10 本体
10a 本体入口側
10b 本体出口側
11 水供給管
11a 供給口
12 灯油導入管
12a 供給口
13 粒状体
14 ヒータ
15 接続管
16 封止部材
21 灯油タンク
22 定量ポンプ
23 脱硫器
24 定量ポンプ
31 改質器
32 CO変性器
33 CO選択酸化炉
34 燃料電池
35 ブロワ
36 気水分離器
37 排熱回収装置

Claims (9)

  1. 灯油燃料と水蒸気を気化・混合して改質器に供給し、水素を含有する燃料ガスを発生させ、この燃料ガスを燃料電池に供給する燃料電池システムに用いる気化器であって、
    一端を入口側、他端を出口側とした筒状の本体と、
    この本体の入口側から本体内部に導入された水供給管と、
    前記本体の入口側から本体内部に、前記水供給管より深く導入された灯油供給管と、
    前記本体内部の、前記水供給管及び灯油供給管の供給口付近から出口側にかけて充填された粒状体と、
    前記本体の外周に配設されたヒータとを、備えたことを特徴とする燃料電池用灯油燃料気化器。
  2. 前記粒状体が伝熱体であることを特徴とした請求項1記載の燃料電池用灯油燃料気化器。
  3. 前記粒状体がアルミナ粒子であることを特徴とした請求項2記載の燃料電池用灯油燃料気化器。
  4. 前記粒状体の粒径が、平均0.5mm〜5.0mmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の燃料電池用灯油燃料気化器。
  5. 前記ヒータの熱源として、前記燃料電池システムの排熱を用いたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の燃料電池用灯油燃料気化器。
  6. 灯油燃料と水蒸気を気化・混合して改質器に供給し、水素を含有する燃料ガスを発生させ、この燃料ガスを燃料電池に供給する燃料電池システムにおいて、
    前記気化器に水を供給して水蒸気とし、さらに、この水蒸気の中に灯油燃料を供給して気化・混合させることを特徴とした燃料電池用灯油燃料気化方法。
  7. 水蒸気と灯油燃料を混合するとき、水蒸気で灯油燃料を包み込むように混合することを特徴とした請求項6記載の燃料電池用灯油燃料気化方法。
  8. 灯油燃料の気化を、水蒸気の熱と気化器に外部から与えられる熱によって行うことを特徴とした請求項6又は7に記載の燃料電池用灯油燃料気化方法。
  9. 混合される水蒸気と灯油燃料との重量比(水蒸気/灯油燃料)が1.9〜6.5であることを特徴とした請求項6〜8のいずれかに記載の燃料電池用灯油燃料気化方法。
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