JP4416216B2 - スピーカ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、楽音などの低周波の複雑な波形を忠実に再生するためのスピーカ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のスピーカ装置は振動対策のため、スピーカ装置の筐体を固く重い材料で頑丈に作り、そのスピーカ筺体にスピーカユニットを強固に固定していた。しかしながら、この方法ではスピーカユニットが発生する機械振動をスピーカ筺体が完全に吸収抑制することができず、その結果としてスピーカの筐体が振動して不順な音波を発生し、例えば振動板から放射される音に重畳して波形を乱す結果を招いていた。
【0003】
さらに、従来のスピーカ筺体の形状は箱形形状のものがほとんどであり、そのうえバッフル板や側板の形状が平板であるため、振動による材料の変位が大きくなり、しかも音波の放射面積が広いため、相当な量の雑音を発生していた。その結果、原波形を構成する要素波形の相対的な時間関係が大きく乱れ、原波形の忠実な再現性が損なわれていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述の時間関係の乱れ(以下、時間ひずみという。)については、従来のスピーカ技術に対する考え方では解決できず、正弦波の再生では広帯域低ひずみ率を実現していながら、自然界に存在する音や楽音などの再生では真の忠実性を得ることができないという問題点があった。
【0005】
上述のような従来のスピーカの固定方法では、磁気回路を振動の面で完全に止めることができず、振動がフレームを介してスピーカ筐体に伝達され、スピーカ筺体の振動(主に、バッフル面の振動)による音波が再生音に混入して再生音の波形を崩すとともに、スピーカ筺体自体の振動が雑音となり、高忠実度再生の一大阻害要因になっていた。
【0006】
また、スピーカ筐体に伝達された振動は、フレームを介して再びスピーカユニットに伝達され、スピーカユニット全体に不要な振動を発生させ、伝達された振動が結果的に振動板の本来の振動に重畳され、スピーカの音質をさらに劣化させていた。
【0007】
また、一般的にスピーカ筐体が箱形形状をしているために平板振動を起こし易く、さらにその振動が90度前後で折り曲がる角面で反射し複雑な振動モードを発生し波形の乱れを助長するという問題があった。
【0008】
本発明の目的は以上の問題点を解決し、従来技術に比較して時間ひずみが少なく、原波形に忠実な波形を再生することができるスピーカ装置を提供するにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るスピーカ装置は、マグネットと、フレームと、振動板を備え、低周波信号に応答して上記低周波信号を電気機械変換することにより上記振動板を振動させて上記振動板の前面から音波を発生して放射するスピーカユニットを備えたスピーカ装置において、
上記スピーカユニットに第1の緩衝部材を介して固着され、上記振動板の前面を除いて上記スピーカユニットを実質的に覆う構造を有し、連続する曲面を含む面で閉じる中空の筺体形状を有するスピーカ筺体と、
上記スピーカユニットのマグネットの背面に固着された棒状部材と、
上記スピーカ筺体の一部を貫通しかつ第2の緩衝部材を介して固着され、上記棒状部材を支持平面上で支持する支持部材とを備えたことを特徴とする。
【0010】
また、上記スピーカ装置において、好ましくは、上記棒状部材は、上記スピーカ筺体の一部を貫通しかつ第3の緩衝部材を介して上記スピーカ筺体に固着されたことを特徴とする。
【0011】
さらに、上記スピーカ装置において、好ましくは、上記スピーカユニット及び上記スピーカ筺体が固着された棒状部材に固着され、上記棒状部材を支持する支持部材の支持点を中心として、上記棒状部材を静的平衡状態で保持するための錘りをさらに備えたことを特徴とする。
【0013】
また、上記スピーカ装置において、好ましくは、上記スピーカユニットのフレームは、上記スピーカ筺体に対して凹凸無く滑らかな形状で取り付けたことを特徴とする。
【0014】
さらに、上記スピーカ装置において、好ましくは、上記筺体形状は、球形状、楕円球形状、球形の変形形状、又は卵形状であることを特徴とする。
【0015】
またさらに、上記スピーカ装置において、好ましくは、上記スピーカ装置を上記スピーカユニットの前面から見たときに見ることができる上記スピーカユニットの外側に位置するスピーカ筺体の一部分であるバッフル部分は曲面形状であり、上記筺体形状は当該バッフル部分の面積を実質的に零に近づくように軽減する形状であることを特徴とする。
【0016】
さらに、上記スピーカ装置において、好ましくは、上記棒状部材と上記支持部材のうちの少なくとも一方の一部に、機械的インピーダンスを変化させることにより縦波振動を減衰させる緩衝部材を介在させたことを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態について説明する。
【0018】
<実施形態>
図1は、本発明に係る一実施形態であるスピーカ装置の構造を示す縦断面の側面図であり、図2は、図1のスピーカ装置のスピーカユニット1の周辺の詳細構造を示す縦断面の側面図である。
【0019】
この実施形態のスピーカ装置は、図1に示すように、マグネット2と、フレーム3と、振動板4を備え、低周波信号に応答して低周波信号を電気機械変換することにより振動板4を振動させて振動板4の前面から音波を発生して放射するスピーカユニット1を備えたスピーカ装置であって、上述の時間ひずみをできる限り軽減するための構造を有することを特徴としている。具体的には、スピーカ筺体11は、スピーカユニット1のフレーム3に緩衝部材5を介して固着され、振動板4の前面を除いてスピーカユニット1を実質的に覆う構造を有し、平面部分が実質的に無い連続する曲面を含む面で閉じる中空の筺体形状であるいわゆる卵形状を有する。ここで、スピーカユニット1を支持するための棒状部材6は、その一端がスピーカユニット1のマグネット2の背面の重心点2aに固着され、その後部方向に延在し、その他端がスピーカ筺体11の後部に位置する筺体後部12の一部を貫通しかつ緩衝部材16を介してスピーカ筺体11に固着されている。
【0020】
本明細書においては、スピーカユニット1の振動板4の前面方向(図上左側に向かう方向)を当該スピーカ装置の前面方向とし、スピーカユニット1のマグネット2の後部から図上右側に向かう方向を当該スピーカ装置の後面方向という。そして、棒状部材6を、支持棒取付部材10、支持棒15及び固定台20からなる支持部材により鉛直方向で支持し、ここで、支持棒15はスピーカ筺体11の下部の一部を貫通しかつ緩衝部材18を介して固着され、棒状部材6を支持平面上で支持する。また、錘り7は、スピーカユニット1及びスピーカ筺体11が固着された棒状部材6に固着され、棒状部材6を支持する支持部材である支持棒取付部材10の支持点を中心として、棒状部材6を静的平衡状態で保持するために設けられる。
【0021】
以下、図1及び図2を参照して、本実施形態のスピーカ装置の構造について詳述する。
【0022】
スピーカユニット1は、マグネット2と、フレーム3と、振動板4を備え、低周波信号に応答して低周波信号を電気機械変換することにより振動板4を振動させて振動板4の前面から音波を発生して放射する。図1において図示していないボイスコイルはヨークとプレートとの間のギャップ部分に配置され、当該ボイスコイルに低周波信号を印加すると、ギャップの磁束により低周波信号に従ってボイスコイルが振動する。そして、ボイスコイルは振動板に機械的に連結され、ボイスコイルの振動に応じて振動板4が振動して、低周波信号に対応した音波が主として振動板4の前面から図上左方向に放射される。
【0023】
スピーカユニット1のマグネット2の背面の重心点2aに、円筒形状の棒状部材6の一端を接合して固着する一方、棒状部材6は水平方向に当該スピーカ装置の後面方向に延在し、棒状部材6の他端はスピーカ筺体11の筺体後部12の一部を貫通してかつ緩衝部材16を介してスピーカ筺体11の筺体後部12に固着される。ここで、棒状部材6の他端にはネジ溝17aが形成されており、ナット17をネジ溝17aに嵌合させて回転させることにより、ナット17により棒状部材6を緩衝部材16を介して筺体後部12に固定される。棒状部材6の概ね中央部に支持棒取付部材10が、棒状部材6の外周を覆って棒状部材6と連結して固定できるように取り付けられ、支持棒取付部材10には、棒状部材6を鉛直方向で支持するための支持棒15の一端が連結される。支持棒15の他端は、平面のグランドG上に載置された固定台20と連結され、また、支持棒15はその概ね中央部にて、スピーカ筺体11の一部を貫通してかつ緩衝部材18を介して固着されている。
【0024】
さらに、棒状部材6における支持棒取付部材6の位置と筺体後部12を貫通する位置との間に、棒状部材6の外周に所定の長さにわたってネジ溝8が形成される。ネジ溝8には錘り7のネジ部が嵌合し、錘り7を棒状部材6の周りで回転することにより錘り7の水平方向の位置を移動可能にしている。そして、錘り7を移動させて、スピーカユニット1及びスピーカ筺体11が固着された棒状部材6に固着され、棒状部材6を支持する支持部材である支持棒取付部材10の支持点を中心として、棒状部材6を静的平衡状態で保持することにより、バランスをとる。バランスを取った後、錘り7を貫通するネジ9を棒状部材6の方向にねじ込むことにより、錘り7を棒状部材6に固定することができる。以上の構成により、支持棒15及び固定台20は、支持棒取付部材10介して連結された棒状部材6を概ね水平方向となるように支持する。
【0025】
なお、マグネット2の背面の重心点2aと棒状部材6との接合、及び棒状部材6と支持棒取付部材10との接合、支持棒取付部材10と支持棒15との接合方法は、ネジによる固定、圧入、接着、溶接等の種々の方法を用いることができ、いずれも強固に接合できる方法であれば特に限定されない。
【0026】
棒状部材6とバランス用の錘り7との接合は、スピーカユニット1及びスピーカ筺体11などを含めた状態で棒状部材6を静的平衡状態で保持する必要があるため、棒状部材6上のネジ8による接合、又はバランス用錘り7のネジ9による接合、あるいは両者併用による接合などの方法をとることが望ましい。ただし、量産品の場合は設計変更がない限り固着させることも可能であり、すなわち、錘り7のバランス位置が予め設計によりわかっているときは、錘り7を棒状部材6に固着し、又は一体的に形成してもよい。
【0027】
また、支持棒15と固定台20の接合の方法は、ねじ固定、圧入、接着、溶接等の種々の方法を用いることができるが、強固に接合できる方法であれば特に限定されない。しかしながら、移動や輸送などのためには、ねじ固定などの取りはずし可能な方法が望ましい。
【0028】
さらに、支持棒15の一部に、大きさや重量、あるいは材質などの異なる緩衝19を介在させることによって機械的インピーダンスを急変させ、支持棒15の上部から固定台20に伝達される振動を減衰抑制するとともに、固定台20とグランドGで吸収できずに反射する振動を減衰抑制することができる。
【0029】
次に、スピーカ筐体11の材料は、好ましくは、従来技術で使用される木材ではなく、木材に比較して軽量な材料である発泡スチロール、バルサ、又は桐である。このスピーカ筺体11は、中空のいわゆる卵形状を有し、スピーカユニット1のフレーム3の前部で緩衝部材5を介してネジ13で接合され、さらにスピーカ筺体11の下部において支持棒15と緩衝部材18を介して当接して保持される。さらに、棒状部材6の後部先端で緩衝部材16を介してナット17を用いて保持される。しかしながら、スピーカの大きさや形状によっては、この部分での接合を省略してもよい。
【0030】
また、スピーカユニット1や棒状部材6、錘り7等の取付作業の容易性を考慮して、筐体後部12を取りはずし可能な別体とし、ネジ14を用いてスピーカ筺体11に締め付けて固定することが好ましい。
【0031】
以上のように構成されたスピーカ装置においては、スピーカユニット1は従来技術のスピーカシステムのように、スピーカ筺体11にネジ留めされるのではなく、スピーカユニット1のマグネット2の背面の重心点2aに棒状部材6の一端を固着し、棒状部材6上の重心点に固着された支持棒取付部材10によって支持棒6に固着され、支持棒6の最下部に取り付けられた固定台20によってグランドGに設置される。
【0032】
スピーカユニット1に生ずる機械振動は、棒状部材6と錘り7によって静的平衡が保たれた状態で支持棒取付部材10を介して支持棒15に伝達され、固定台20を通してグランドGに吸収される。また、スピーカ筐体11は、その前部をスピーカユニット1の前面フレーム3の取付ネジ13で緩衝部材5を介して柔らかく締め付け固定され、スピーカ筺体11の底部を支持棒15に緩衝部材18を介して柔らかく当接した状態で保持される。
【0033】
また、スピーカ筐体11の大きさや重量が大きい場合には、構造面での強度を保つために、図1に示すように、スピーカ筺体11の後部を棒状部材6の一端に、緩衝部材16を介してナット17によって柔らかく締め付け保持することが望ましい。
【0034】
さらに、スピーカユニット1のフレーム3は、スピーカ筺体11に対して凹凸無く滑らかな形状で取り付けることが好ましい。これにより、スピーカユニット1から放射される音波の反射を大幅に減少させることができ、高品質な再生音を得ることができる。
【0035】
またさらに、スピーカ筺体11及び筺体後部12からなる筺体形状は、平面部分が実質的に無い連続する曲面で閉じる中空の筺体形状であることが好ましく、具体的には、図1に示すように卵形状であるが、本発明は卵形状に限定されず、球形状、楕円球形状、又は球形の変形形状であってもよい。また、連続する曲面を含む面で閉じる中空の筺体形状であってもよい。さらに、スピーカ装置をスピーカユニット1の前面から見たときに見ることができるスピーカユニットの外側に位置するスピーカ筺体の一部分であるバッフル部分は曲面形状を有し、上記筺体形状はそのバッフル部分の面積を実質的に零に近づくように軽減する形状であることが好ましい。これにより、スピーカ筺体11の前面が輻射する雑音を大幅に減少させることができ、振動板4が発生する再生音の忠実性を高めることができる。
【0036】
すなわち、筐体形状を、連続する曲面を含む面で閉じる中空の筺体形状又は、より好ましくは、平面部分が実質的に無い連続する曲面で閉じる筺体形状にすることによって物理的剛性を高めることができ、振動の発生を抑制することができる。例えば、筐体形状を、平面部分が実質的に無い連続する曲面で閉じる筺体形状である卵形状にすることによって、スピーカ筺体11内部の音波の振動に影響を与える内面間の距離は一定ではなく、同一の距離の対向面を少なくすることができ、筐体内部における定在波の発生を大幅に減少させることができる。特に、連続する曲面で閉じる形状の筐体にすることによって、筐体表面での振動波、主に縦波の反射による振動モードの単純化を実現することができる。そして、振動モードの単純化によって筐体表面から放射される雑音的音波は、一般的な箱型筐体から放射される音波に比較して、放射量を大幅に減少させることができるうえ、放射音波の高次成分も抑制され、再生音の品質低下を抑制することができる。
【0037】
本実施形態に係るスピーカ筺体11及び後部筺体12からなる筺体形状は、球体形状や卵形状を問わずいずれも平板状の面を持たない滑らかに連続した曲面で閉じる形状であることが好ましい。これは縦波を主とする振動が形状の急変する部分で反射するのを防ぐためであるが、高い周波数では表面の小さな変化でも無視できなくなる。このため、スピーカ筺体11及び後部筐体12の外面及び内面は、極微な凹凸も存在しない平滑な面に仕上げることが望ましい。
【0038】
<実施形態の効果>
以上説明したように本実施形態のスピーカ装置によれば、スピーカユニット1に生ずる機械振動は、棒状部材6から支持棒取付部材10を介して支持棒15に伝達され、固定台20を通してグランドGに吸収される。従って、スピーカユニット1が発生する機械振動のスピーカ筐体11への伝達が減衰抑制されるとともに、スピーカユニット1の背面音圧によって振動する筐体11からのスピーカユニット1に伝達される機械振動も減衰抑制することができる。また、スピーカユニット1は緩衝部材5を介してスピーカ筺体11に固着される一方、支持棒15は緩衝部材18を介して筺体後部12に固着されるので、筐体内部の気密性を高めることができ、その結果共振的な低音部の音圧上昇が抑制され、高品質な再生音を得ることができる。
【0039】
また、棒状部材6は緩衝部材16を介して筺体後部12に固着されるので、筐体内部の気密性を高めることができ、その結果共振的な低音部の音圧上昇が抑制され、高品質な再生音を得ることができる。
【0040】
さらに、錘り7は、スピーカユニット1及びスピーカ筺体11が固着された棒状部材6に固着され、棒状部材6を支持する支持部材である支持棒取付部材10の支持点を中心として、棒状部材6を静的平衡状態で保持するために設けられているので、スピーカユニット1及びスピーカ筺体11を静的平衡状態で安定に保持して支持することができる。
【0041】
またさらに、スピーカ筺体11及び筺体後部12の材料として、例えば発泡スチロールなどの軽量材料を用いているので、筺体内部での振動の減衰速度を速くすることができ、振動雑音が少ない音響的に優れた特性を得ることができる。
【0042】
また、スピーカユニット1のフレーム3をスピーカ筺体11に対して凹凸無く滑らかな形状で取り付けることにより、スピーカユニット1から放射される音波の反射を大幅に減少させることができ、高品質な再生音を得ることができる。
【0043】
さらに、スピーカ筺体11及び筺体後部12の筺体形状は、例えば球形状、楕円球形状、球形の変形形状又は卵形状などの平面部分が実質的に無い連続する曲面を含む面で閉じる中空の筺体形状であるので、板振動のような変位振動を少なくでき、かつ形状による剛性が高いので軽く薄い材料が使用可能となり、振動の減衰速度を速くすることができるなどの音響的に勝れた特性を得ることができる。また、定在波の発生を箱形に比較して少なくすることができ、特に卵形状では同一距離の対向面が少ないため、定在波の発生が極めて低く抑えられるので、音響的に勝れた性能を得ることが可能になる。
【0044】
またさらに、スピーカユニット1の前面部分にネジ13で接合される筐体の前面であるバッフル部分が曲面形状をしているうえに、スピーカ筺体11の筺体形状がバッフル部分の面積を実質的に零に近づけるように軽減する形状であってその面積が小さいために、筐体前面が輻射する雑音を減少させることができ、振動板4が発生する再生音の忠実性を高めることができる。
【0045】
さらに、支持棒15の一部に、大きさや重量、あるいは材質などの異なる緩衝部材19を介在させることによって機械的インピーダンスを急変させ、縦波振動を減衰させることができ、再生音の品質を向上させることができる。
【0046】
<変形例>
本実施形態に係るスピーカ装置は、図1に示すように、固定台20を水平な接地面であるグランドGに置いて使用するほか、構造上壁面や天井に取り付けて使用することも可能である。そのため、固定台20はネジ止めなどが可能な構造としておくことが望ましい。また、水平設置や壁面取り付けときのスピーカ装置の位置を自由に調節できるよう、支持棒15の長さが変えられる構造にしてくことが望ましい。
【0047】
また、棒状部材6の一部に、大きさや重量、あるいは材質などの異なる緩衝部材(緩衝部材19と同様の部材)を介在させてもよい。これにより、機械的インピーダンスを急変させ、縦波振動を減衰させることができ、再生音の品質を向上させることができる。
【0048】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明に係るスピーカ装置によれば、マグネットと、フレームと、振動板を備え、低周波信号に応答して上記低周波信号を電気機械変換することにより上記振動板を振動させて上記振動板の前面から音波を発生して放射するスピーカユニットを備えたスピーカ装置において、
上記スピーカユニットに第1の緩衝部材を介して固着され、上記振動板の前面を除いて上記スピーカユニットを実質的に覆う構造を有し、連続する曲面を含む面で閉じる中空の筺体形状を有するスピーカ筺体と、
上記スピーカユニットのマグネットの背面に固着された棒状部材と、
上記スピーカ筺体の一部を貫通しかつ第2の緩衝部材を介して固着され、上記棒状部材を支持平面上で支持する支持部材とを備える。
従って、本発明によれば、スピーカユニットが発生する機械振動のスピーカ筐体への伝達が減衰抑制されるとともに、スピーカユニットの背面音圧によって振動するスピーカ筐体からのスピーカユニットに伝達される機械振動も減衰抑制することができる。また、スピーカユニットは第1の緩衝部材を介してスピーカ筺体に固着される一方、支持棒は第2の緩衝部材を介してスピーカ筺体に固着されるので、筐体内部の気密性を高めることができ、その結果共振的な低音部の音圧上昇が抑制され、高品質な再生音を得ることができる。
【0049】
また、上記スピーカ装置において、好ましくは、上記棒状部材は、上記スピーカ筺体の一部を貫通しかつ第3の緩衝部材を介して上記スピーカ筺体に固着される。従って、筐体内部の気密性を高めることができ、その結果共振的な低音部の音圧上昇が抑制され、高品質な再生音を得ることができる。
【0050】
さらに、上記スピーカ装置において、好ましくは、上記スピーカユニット及び上記スピーカ筺体が固着された棒状部材に固着され、上記棒状部材を支持する支持部材の支持点を中心として、上記棒状部材を静的平衡状態で保持するための錘りをさらに備える。従って、上記スピーカユニット及び上記スピーカ筺体を静的平衡状態で安定に保持して支持することができる。
【0052】
また、上記スピーカ装置において、好ましくは、上記スピーカユニットのフレームは、上記スピーカ筺体に対して凹凸無く滑らかな形状で取り付ける。従って、スピーカユニットから放射される音波の反射を大幅に減少させることができ、高品質な再生音を得ることができる。
【0053】
さらに、上記スピーカ装置において、好ましくは、上記筺体形状は、球形状、楕円球形状、球形の変形形状、又は卵形状である。従って、板振動のような変位振動を少なくでき、かつ形状による剛性が高いので軽く薄い材料が使用可能となり、振動の減衰速度を速くすることができるなどの音響的に勝れた特性を得ることができる。また、定在波の発生を箱形に比較して少なくすることができ、特に卵形状では同一距離の対向面が少ないため、定在波の発生が極めて低く抑えられるので、音響的に勝れた性能を得ることが可能になる。
【0054】
またさらに、上記スピーカ装置において、好ましくは、上記スピーカ装置を上記スピーカユニットの前面から見たときに見ることができる上記スピーカユニットの外側に位置するスピーカ筺体の一部分であるバッフル部分は曲面形状であり、上記筺体形状は当該バッフル部分の面積を実質的に零に近づくように軽減する形状である。従って、筐体前面が輻射する雑音を減少させることができ、振動板が発生する再生音の忠実性を高めることができる。
【0055】
さらに、上記スピーカ装置において、好ましくは、上記棒状部材と上記支持部材のうちの少なくとも一方の一部に、機械的インピーダンスを変化させることにより縦波振動を減衰させる緩衝部材を介在させる。従って、機械的インピーダンスを急変させ、縦波振動を減衰させることができ、再生音の品質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る一実施形態であるスピーカ装置の構造を示す縦断面の側面図である。
【図2】 図1のスピーカ装置のスピーカユニット1の周辺の詳細構造を示す縦断面の側面図である。
【符号の説明】
1…スピーカユニット、
2…マグネット、
2m…マグネット背面の重心点、
3…フレーム、
4…振動板、
5…緩衝部材、
6…棒状部材、
7…錘り、
8…ネジ溝、
9…ネジ、
11…スピーカ筺体、
12…筺体後部、
13,14…ネジ、
15…支持棒、
16…緩衝部材、
17…ナット、
17…ネジ溝、
18,19…緩衝部材、
20…固定台、
G…グランド。
Claims (6)
- マグネットと、フレームと、振動板を備え、低周波信号に応答して上記低周波信号を電気機械変換することにより上記振動板を振動させて上記振動板の前面から音波を発生して放射するスピーカユニットを備えたスピーカ装置において、
上記スピーカユニットに第1の緩衝部材を介して固着され、上記振動板の前面を除いて上記スピーカユニットを実質的に覆う構造を有し、連続する曲面を含む面で閉じる中空の筺体形状を有するスピーカ筺体と、
上記スピーカユニットのマグネットの背面に固着された棒状部材と、
上記スピーカ筺体の一部を貫通しかつ第2の緩衝部材を介して固着され、上記棒状部材を支持平面上で支持する支持部材とを備え、
上記棒状部材は、上記スピーカ筺体の一部を貫通しかつ第3の緩衝部材を介して上記スピーカ筺体に固着されたことを特徴とするスピーカ装置。 - 請求項1記載のスピーカ装置において、
上記スピーカユニット及び上記スピーカ筺体が固着された棒状部材に固着され、上記棒状部材を支持する支持部材の支持点を中心として、上記棒状部材を静的平衡状態で保持するための錘りをさらに備えたことを特徴とするスピーカ装置。 - 請求項1又は2記載のスピーカ装置において、
上記スピーカユニットのフレームは、上記スピーカ筺体に対して凹凸無く滑らかな形状で取り付けたことを特徴とするスピーカ装置。 - 請求項1乃至3のうちの1つに記載のスピーカ装置において、
上記筺体形状は、球形状、楕円球形状、球形の変形形状、又は卵形状であることを特徴とするスピーカ装置。 - 請求項1乃至4のうちの1つに記載のスピーカ装置において、
上記スピーカ装置を上記スピーカユニットの前面から見たときに見ることができる上記スピーカユニットの外側に位置するスピーカ筺体の一部分であるバッフル部分は曲面形状であり、上記筺体形状は当該バッフル部分の面積を実質的に零に近づくように軽減する形状であることを特徴とするスピーカ装置。 - 請求項1乃至5のうちの1つに記載のスピーカ装置において、
上記棒状部材と上記支持部材のうちの少なくとも一方の一部に、機械的インピーダンスを変化させることにより縦波振動を減衰させる緩衝部材を介在させたことを特徴とするスピーカ装置。
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