JP4416161B2 - 光回折構造体 - Google Patents

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Description

本発明は、光回折構造体に関し、特に、ホログラムや回折格子等の光回折構造体に万線パターン又は網点パターンを形成して、従来の光回折構造体にない独特の視認性を容易に付与することができるものに関する。
従来より、ホログラムは偽造防止の手法として用いられてきたが、近年ホログラム自体の「一見似たものレベル」の偽造品が横行するにつれ、従来型のホログラムにさらに偽造防止効果を付与する加工が求められてきている。
例えば、ホログラムに肉眼では視認不能なインキを付与し、真偽確認時には専用の光源を用いてインキの有無を確認するものや、ホログラム自体にコヒーレント光照射により像を再生する効果を持たせ、真偽判定時にはコヒーレント光を照射し、再生された像を確認する手法等が考案されている。
本出願人は、特許文献1において、ホログラムと隠しパターン形成層を具備する光回折構造体について提案しており、この場合、隠しパターンは専用の確認パターンを使用して確認することができるものである。
特開平11−277962号公報 特開平5−35173号公報
特許文献1で開示した発明によれば、従来のホログラムにさらに偽造防止効果は加えられるものの、その真偽の確認の際に専用の用具(確認パターン形成体)が必要であり、一般的なユーザーよりはむしろ限られた管理者が真偽を確認するためのものであった。
本発明は従来技術のこのような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、専用の用具や読取装置を必要とせずに、また、一般のユーザーが従来型のホログラムや回折格子表示体との差異を容易かつ明確に認識できる高い偽造防止効果を有する光回折構造体を提供することである。
上記目的を達成する本発明の光回折構造体は、ホログラムの干渉縞又は回折格子パターンの格子がレリーフパターンとして記録された透明樹脂層表面において、方向性のある万線又は網点からなるパターンの万線又は網点に対応する位置のレリーフパターンが省かれ、その代わりに一定高さあるいは深さの突起あるいは溝が前記透明樹脂層表面に設けられて凹凸レリーフ構造を構成していることを特徴とするものである。
この場合、透明樹脂層表面に設けられた凹凸レリーフ構造上に反射層を設けて反射型に構成することが望ましい。
また、レリーフパターンの面と突起あるいは溝の面との間の高さの差が50nm以上に設定されていることが望ましい。
また、方向性のある万線又は網点からなるパターンが、2つ以上の方向性が異なる万線又は網点からなる領域が並列されたパターンからなることが望ましい。
その場合に、方向性のある万線又は網点からなるパターン中の少なくとも1つ領域の周囲に縁取り領域が設定され、その縁取り領域における万線又は網点が、その縁取り領域を挟む両側の領域の万線又は網点と方向性が異なるものであるように構成することができる。
本発明においては、ホログラムの干渉縞又は回折格子パターンの格子がレリーフパターンとして記録された透明樹脂層表面において、方向性のある万線又は網点からなるパターンの万線又は網点に対応する位置のレリーフパターンが省かれ、その代わりに一定高さあるいは深さの突起あるいは溝がその透明樹脂層表面に設けられて凹凸レリーフ構造を構成しているので、レリーフパターンによる回折光が入射しない斜め方向からこの光回折構造体を観察することにより、方向性のある万線又は網点からなるパターンを何らの用具や読取装置を用いずに明確に認識できる。それに対して、レリーフパターンによる回折光が入射する方向からこの光回折構造体を観察する場合は、レリーフパターンとして記録されたホログラムの再生像あるいは回折格子パターンからの回折光を観察することができ、方向性のある万線又は網点からなるパターンは何ら見えない。そのため、レリーフパターンのみを持つ通常のホログラムあるいは回折格子パターンとの差異が容易に確認でき、偽造防止媒体として活用できる。そして、ホログラム又は回折格子パターンの視認性と万線又は網点からなるパターンの情報との双方を持ち、高い偽造防止媒体として活用できる。
本発明の光回折構造体は、既存の方法でホログラムシール、ホログラム転写箔、ホログラムフィルム等の形態に加工し、それを適宜パッケージ・容器類、金券・商品券類、物品類等の偽造防止加工を施したい媒体に適用して高い偽造防止効果を得ることができる。
以下に、本発明の光回折構造体を実施例に基づいて説明する。
図1は、反射型レリーフホログラムに本発明に基づいて万線パターンを重畳的に形成して構成された光回折構造体の1実施例の概略の構成を示す断面図である。ホログラムの干渉縞を表すレリーフパターン1が透明のホログラム形成層2の裏面に飛び飛びに形成されており、その間に万線パターンを表現する一定の深さで一定周期の断面略矩形状の凹溝3が形成されている。このホログラムの干渉縞を表すレリーフパターン1と万線パターンを表現する凹溝3とが交互に複合されて凹凸レリーフ構造としてホログラム形成層2の裏面全体に形成されている。ここで、飛び飛びのホログラムの干渉縞を表すレリーフパターン1は、破線でつながれて図示されているように、本来は連続したものであるが、万線パターンを表現する凹溝3によって周期的に取り除かれ、その代わりにその凹溝3で置き換えられている。
ホログラム形成層2の裏面のホログラムの干渉縞を表すレリーフパターン1と万線パターンを表現する凹溝3との複合凹凸レリーフ構造全体の上に反射層4が形成されて、本発明の光回折構造体の1実施例の基本形態が構成されている。
ここで、レリーフパターン1の凹凸のピッチは、ホログラム記録像にも依存するが、概ね1μm程度である。これに対して、万線パターンの凹溝3(観察側から見ると線状突起となるため、線状突起3とも表現する。)のピッチSは100μm程度に設定されている。また、凹溝3の深さ(線状突起3の高さ)Gはレリーフパターン1の面に対して50nm以上に設定されている。
このような光回折構造体のホログラム形成層2のレリーフパターン1とは反対側の表面に、所定方向から白色光又は単色光が入射すると、ホログラム形成層2を介して線状突起3間に位置するレリーフパターン1に入射した光は、その位置でのレリーフパターン1に沿った反射層4で反射回折されて、所定の再生像を所定位置に再生するので、光回折構造体の略正面方向に位置する観察者には、レリーフパターン1として記録されたホログラム再生像が観察される。
一方、万線パターンの線状突起3の頂部に入射した光はそこでの反射層4で略正反射方向に反射され、その正反射方向に位置する観察者にその反射光が入射するが、万線のピッチSが眼で分解できる大きさ以下であるので、万線パターンは分解しては見えない。
これに対して、万線パターンの線状突起3のエッジ(凹溝3の底部のエッジ)5に入射した光はそのエッジ5で散乱される。その散乱光の角度分布は、エッジ5に直交する方向には最も強く、エッジ5に平行な方向には最も弱く散乱される。
そのため、レリーフパターン1による回折光が入射しない斜め前方からこの光回折構造体を観察すると、その方向に線状突起3が略直交している万線パターン部分はより明るく見え、その方向を光回折構造体に投影した方向に略平行に線状突起3が伸びている万線パターン部分はより暗く見える。
したがって、ホログラムの干渉縞を表すレリーフパターン1上に重畳された万線パターンを異なる方向に向いている万線の組み合わせにより構成すると、レリーフパターン1による回折光が入射しない斜め前方からこの光回折構造体を観察することにより、その重畳された万線パターンを何らの用具や読取装置を用いずに明確に認識できることになる。そのため、レリーフパターン1のみを有する光回折構造体との差異が容易に確認でき、偽造防止媒体として活用できる。
図2は、このようにしてホログラム形成層2のレリーフパターン1上に重畳される万線パターン10の1例を示す図であり、レリーフパターン1によって形成される画面が、例えば文字“A”からなる確認パターン領域11と、その背景を構成する背景領域12とからなる。画面の内部領域を構成する確認パターン領域11には、画面の下辺を基準線Lとして、例えば45°方向を向く万線13が配置され、画面の外部領域を構成する背景領域12には、基準線Lに対して135°方向を向く万線14が配置されて構成される。万線13と万線14のピッチは何れも100μmで、線部と非線部の幅の比は50μm:50μmとしてある。
このような万線パターン10が反射型レリーフホログラムに重畳されて形成された反射型光回折構造体においては、略正面方向から観察者が見ると、万線13、14の間に位置するホログラムの干渉縞を表すレリーフパターン1からの回折光によってレリーフパターン1に記録されたホログラムの再生像が観察される。しかし、万線13、14は幅及び間隔が50μmと人間の眼で分解できる寸法より小さいので、確認パターン領域11と背景領域12とからなる万線パターン10は見ることができない。しかし、レリーフパターン1による回折光が入射しない斜め前方からこの光回折構造体を観察すると、万線パターン10の周囲の観察方向に応じて確認パターン領域11と背景領域12との間にコントラストがついて、確認パターン領域11の文字“A”が観察できるようになる。
上記実施例では、確認パターン領域11の万線13は基準線Lに対して45°方向でピッチが100μm、背景領域12が基準線Lに対して135°方向でピッチが100μmで形成されているが、この条件に限らず、確認パターン領域11と背景領域12が差が出るように適宜角度、ピッチを選択して作製することができる。万線のピッチは、100μmに限らず、記録されているホログラムの絵柄によって50μm〜300μmの範囲で適宜選択することができる。また、線部と非線部の幅の比についても、同様に、1:1に限らず、記録されているホログラムの絵柄によって適宜選択することができる。
ホログラム形成層2のレリーフパターン1上に重畳される万線パターン10としては、図2に示すように、方向の異なる2つの万線領域からなるものに限らず、方向の異なる3つ以上の万線領域から構成することもできる。図3に、図2の万線パターン10において、文字“A”からなる確認パターン領域11の周辺に、万線13、14と異なる方向を向く万線16からなる縁取り領域15を設け、その縁取り領域15中の万線16として、基準線Lに対して90°方向を向く万線とした万線パターン10の例を示す。この場合に、万線13と万線14と万線16のピッチは何れも例えば100μmで、線部と非線部の幅の比は50μm:50μmとすることが望ましい。
図3の万線パターン10が反射型レリーフホログラムに重畳されて形成された反射型光回折構造体においては、同様に、略正面方向から観察者が見ると、万線13、14、16の間に位置するホログラムの干渉縞を表すレリーフパターン1からの回折光によってレリーフパターン1に記録されたホログラムの再生像が観察される。しかし、万線13、14、16は幅及び間隔が50μmと人間の眼で分解できる寸法より小さいので、確認パターン領域11とその周辺の縁取り領域15と背景領域12とからなる万線パターン10は見ることができない。しかし、レリーフパターン1による回折光が入射しない斜め前方からこの光回折構造体を観察すると、万線パターン10の周囲の観察方向に応じて確認パターン領域11と縁取り領域15と背景領域12との間にコントラストがついて、確認パターン領域11及び縁取り領域15とからなる文字“A”が観察できるようになる。
ところで、このような本発明の光回折構造体を作製するには、公知の種々の方法が利用可能である。以下に、例えば特許文献2に示されている、フォトレジスト上にレリーフパターンとして記録されたホログラムの干渉縞を紫外線硬化樹脂に複製して樹脂マスター版を作製する方法を利用して、その作製された樹脂マスター版上に万線パターンを重畳して形成し、その樹脂マスター版からエンボス用の金型を作製し、その金型を用いて本発明の光回折構造体を作製する例を示す。
図4(a)において、樹脂マスター版21の表面には、反射型レリーフホログラムの干渉縞を表すレリーフパターンが紫外線硬化樹脂を用いた複製により形成されている。その樹脂マスター版21の上に同様の未硬化の紫外線硬化樹脂22を塗布し、その上に近接して、図2に示されたような確認パターン領域11と背景領域12とからなる万線パターン10又は図3に示されたような確認パターン領域11と縁取り領域15と背景領域12とからなる万線パターン10が高精度で描かれてなる万線マスクフィルム23を配置し、光源24から紫外線25をその万線マスクフィルム23を介して照射し、万線パターン10の透明な万線に対応する部分26の紫外線硬化樹脂22を硬化させる。
その後、紫外線硬化樹脂22の現像を行うと、紫外線硬化樹脂22の硬化部26が残って樹脂マスター版21と一体になり、図4(b)に示すような、ホログラムの干渉縞を表すレリーフパターン32と万線パターンを表現する線状突起33とが表面に交互に形成された樹脂マスター版31が完成する。
このような樹脂マスター版31の交互に並列しているレリーフパターン32と線状突起33との凹凸レリーフ構造をホログラム形成層にエンボスして複製することにより、本発明による光回折構造体を、転写箔、ラベル、フィルム等種々の形態に構成することができる。転写箔形態の場合には、例えば商品券、クレジットカード、パッケージ等に適用でき、ラベル形態の場合には、例えばソフトウエア、カートリッジ、医薬品等のパッケージ等に適用でき、フィルム形態の場合には、例えばそのフィルムを1〜2mm程度の幅にマイクロスリットし、用紙の抄造時に紙中に共に抄き込んで偽造防止を図ることができる。また、ラベル形態の場合には、脆質層を層構成中に介在させて、偽造のためにラベルを剥離しようとしたときにその脆質層から剥がれるようにして偽造のために表示体を剥がすことを困難にすることができる(脆質ラベル)。以下、本発明の光回折構造体を、転写箔、ラベル、脆質ラベル、フィルムの各形態に構成する場合の、層構成とその作製工程の例を説明する。
図5は、本発明の光回折構造体を転写箔51として構成する場合の層構成を示す断面図であり、その作製方法に従ってその構成を説明すると、PET等の透明樹脂フィルムからなる基材44上に剥離層45を塗布し、その剥離層45上にホログラム形成層41を塗布し、ホログラム形成層41に図4(b)に示したような凹凸レリーフ構造の樹脂マスター版31から形成した金型をエンボスしてその凹凸レリーフ構造の交互に並列しているレリーフパターン32と線状突起33とを複製し、その複製された凹凸レリーフ構造面上に反射層42を蒸着することにより反射型の光回折構造体43を形成し、その光回折構造体43の反射層42側にヒートシール層46を塗布して、図5のような層構成の転写箔51を完成する。
ここで、基材44を構成する樹脂フィルムとしては、ポリプロピレン樹脂フィルム、ポリカーボネート樹脂フィルム、若しくは、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム等が好ましく、中でも、これらに加え、機械的強度の優れた2軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムが適している。
また、剥離層45を構成する樹脂は、基材44の素材や、剥離層45と接着するホログラム形成層41の材質にもよるが、ポリエステル樹脂、アクリル骨格樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、酢酸セルロースと熱硬化型アクリル樹脂との2成分のブレンド樹脂、メラミン樹脂、若しくは、ニトロセルロース樹脂を使用することができる。例えば、基材44がポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)フィルムであるときは、剥離層45と基材44との密着力の点で、ポリエステル樹脂が好ましい。これらの樹脂には、さらにポリエチレンワックス等のワックス、若しくは、シリコーン樹脂を添加して剥離性を向上させてもよい。剥離層45は、上記の樹脂を適宜な溶剤若しくは分散剤を用いて溶解若しくは分散させて、塗布若しくは印刷に適した組成物を調製したものを、公知の塗布方法若しくは印刷方法により、基材44に積層形成することができる。
また、ホログラム形成層41を構成する合成樹脂としては、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂(例、PMMA)、ポリスチレン、ポリカーボネート等の熱可塑性樹脂、不飽和ポリエステル、メラミン、エポキシ、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、トリアジン系アクリレート等の熱硬化性樹脂をそれぞれ単独、あるいは、上記熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とを混合して使用することができ、さらには、ラジカル重合性不飽和基を有する熱成形性物質、あるいは、これらにラジカル重合性不飽和単量体を加え電離放射線硬化性としたもの等を使用することができる。この他、銀塩、重クロム酸ゼラチン、サーモプラスチック、ジアゾ系感光材料、フォトレジスト、強誘電体、フォトクロミックス材料、サーモクロミックス材料、カルコゲンガラスなどの感光材料なども使用できる。
上記の合成樹脂からなる層への凹凸レリーフ構造の形成は、上記の材料を用いて、従来既知の方法によって形成することができる。例えば、凹凸レリーフ構造が記録された原版をプレス型として用い、上記樹脂層上にその原版を重ねて加熱ロール等の適宜手段により、両者を加熱圧着することにより、原版の凹凸レリーフ構造を複製することができる。あるいは、紫外線硬化性とした樹脂層上にその原版を重ねて、紫外線を照射してその樹脂層を硬化させて原版の凹凸レリーフ構造を複製することができる。
反射層42を構成する材質としては、Mg、Al、Ti、Cr、Cu、Zn、Ga、Ge、Se、Rb、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Te、Au、Pb、若しくは、Bi等の金属、又は、それらの酸化物、若しくは、それらの窒化物を単独で、若しくは、組み合わせ、薄膜として形成する。金属薄膜層を反射層42として用いるときには、これらの中でも、Al、Cr、Ni、Ag、若しくは、Au等が特に好ましい。
反射層42を形成するには、真空蒸着法、スパッタリング法、若しくは、イオンプレーティング法等の公知の薄膜形成法によって行う。
ヒートシール層46を構成する材質としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、エチレン−イソブチルアクリレート共重合体樹脂、ブチラール樹脂、ポリ酢酸ビニル及びその共重合体樹脂、セルロース誘導体、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリビニルエーテル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリプロピレン樹脂、エポキシ樹脂、又は、フェノール樹脂が使用できる。あるいは、SBS(スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー)、SIS(スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー)、SEBS(スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマー)等の熱可塑性エラストマー、又は、反応ホットメルト性樹脂等を使用してもよい。
図6は、本発明の光回折構造体をラベル52として構成する場合の層構成を示す断面図であり、その作製方法に従ってその構成を説明すると、PET等の透明樹脂フィルムからなる基材44上にホログラム形成層41を塗布し、ホログラム形成層41に図4(b)に示したような凹凸レリーフ構造の樹脂マスター版31から形成した金型をエンボスしてその凹凸レリーフ構造の交互に並列しているレリーフパターン32と線状突起33とを複製し、その複製された凹凸レリーフ構造面上に反射層42を蒸着することにより反射型の光回折構造体43を形成し、その光回折構造体43の反射層42側に粘着層47を塗布し、その粘着層47上にその保護用としてセパレータ(剥離紙)48をラミネートして、図6のような層構成のラベル52を完成する。
ここで、基材44、ホログラム形成層41、反射層42を構成する材質としては、図5の場合と同様である。
粘着層47を構成する接着剤としては、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール(ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール等)、シアノアクリレート、ポリビニルアルキルエーテル、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリメタクリル酸メチル、ニトロセルロース、酢酸セルロース、熱可塑性エポキシ、ポリスチレン、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、エチレン−アクリル酸エチルコポリマー等、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、レゾルシノール樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリベンツイミダゾール、ポリベンゾチアゾール等、あるいは、ゴム系の天然ゴム、再生ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ポリスルフィドゴム、シリコーンゴム、ポリウレタンゴム、ステレオゴム(合成天然ゴム)、エチレンプロピレンゴム、ブロックコポリマーゴム(SBS,SIS,SEBS等)が使用できる。
また、セパレータ(剥離紙)48としては、従来公知の紙やフィルム基材に剥離処理を施したものが使用できる。
図7は、本発明の光回折構造体を脆質ラベル53として構成する場合の層構成を示す断面図であり、その作製方法に従ってその構成を説明すると、PET等の透明樹脂フィルムからなる基材44上に脆質層49を塗布し、その脆質層49上にホログラム形成層41を塗布し、ホログラム形成層41に図4(b)に示したような凹凸レリーフ構造の樹脂マスター版31から形成した金型をエンボスしてその凹凸レリーフ構造の交互に並列しているレリーフパターン32と線状突起33とを複製し、その複製された凹凸レリーフ構造面上に反射層42を蒸着することにより反射型の光回折構造体43を形成し、その光回折構造体43の反射層42側に粘着層47を塗布し、その粘着層47上にセパレータ(剥離紙)48をラミネートして、図7のような層構成の脆質ラベル53を完成する。
ここで、基材44、ホログラム形成層41、反射層42、粘着層47、セパレータ(剥離紙)48を構成する材質としては、図6の場合と同様である。
脆質層49を構成する材料としては、図5の場合の剥離層45を構成する樹脂と同じ系列のものが用いられる。
図8は、本発明の光回折構造体をフィルム54として構成する場合の層構成を示す断面図であり、その作製方法に従ってその構成を説明すると、PET等の透明樹脂フィルムからなる基材44上にホログラム形成層41を塗布し、ホログラム形成層41に図4(b)に示したような凹凸レリーフ構造の樹脂マスター版31から形成した金型をエンボスしてその凹凸レリーフ構造の交互に並列しているレリーフパターン32と線状突起33とを複製し、その複製された凹凸レリーフ構造面上に反射層42を蒸着することにより反射型の光回折構造体43を形成して、図8のような層構成のフィルム54が完成する。
ここで、基材44、ホログラム形成層41、反射層42を構成する材質としては、図5〜図7の場合と同様である。
ここで、図5〜図8において、ホログラム形成層41に光回折構造体の凹凸レリーフ構造をエンボスするための金型の作製方法の例を簡単に説明しておく。図4(b)に示すような樹脂マスター版31をネガ版とし、そのネガ版から紫外線硬化樹脂を用いて同様に複製してポジ版を得るか、あるいは、このような複製を偶数回繰り返すことにより得られたポジ版を、上記のホログラム形成層41に光回折構造体の凹凸レリーフ構造をエンボスするための金型として用いることができる。
あるいは、図4のようにして得られた樹脂マスター版31のレリーフ面に金等を蒸着して導電化処理を施し、その上にニッケルメッキ(電鋳)を行い、ある程度の厚さのニッケルメッキ後、樹脂マスター版31を剥離して、金属マスターを作製する。これ以降は、従来の方法と同様で、金属マスターの複製面に離型処理を行い、再度上記と同様なニッケルメッキを行い、マザーを複製し、このマザーをエンボス用の金型として用いるか、さらに同様にして、第3の金属複製(スタンパー)を作製してこれを金型として用いることができる。
ところで、以上において、ホログラム形成層の裏面に設けられるレリーフパターンがホログラムの干渉縞を表すものとしていたが、その代わりに回折格子パターンの格子をレリーフパターンとして設けるようにしてもよい。
さらに、このようなレリーフパターン上に重畳されるパターンを万線パターンとして説明したが、その代わりに方向性あるいは指向性を有する網点パターンを設けるようにしてもよい。方向性あるいは指向性を有する網点パターンの例としては、網点が所定の方向へ整列された網点パターンや、さらには、その場合に各網点が偏平な形状でその長手方向がその整列方向へ揃って向いている網点パターンがあり、その場合に、その整列方向が相互に異なる2つ以上の網点領域を組み合わせて網点パターンを構成するようにする。
また、本発明の光回折構造体において、ホログラムの干渉縞あるいは回折格子パターンの格子を表すレリーフパターンの面と万線パターンを表現する溝又は突起の面との間に高低差があることにより、溝又は突起のエッジで光が散乱して万線パターン又は網点パターンの存在が明確になるため、偽造防止媒体として本発明の光回折構造体を作製した際に従来型のホログラムや回折格子表示体との差異がより明確となる。特に、その高低差が50nm以上あることがより望ましい。
以上、本発明の光回折構造体を実施例に基づいて説明したが、これら実施例に限定されず種々の変形が可能である。
反射型レリーフホログラムに本発明に基づいて万線パターンを重畳的に形成して構成された光回折構造体の1実施例の概略の構成を示す断面図である。 ホログラム形成層のレリーフパターン上に重畳される万線パターンの1例を示す図である。 図2の万線パターンにおいて確認パターン領域の周辺に縁取り領域を設けた例を示す図である。 本発明の光回折構造体を作製するための樹脂マスター版を作製する例を説明するための図である。 本発明の光回折構造体を転写箔として構成する場合の層構成を示す断面図である。 本発明の光回折構造体をラベルとして構成する場合の層構成を示す断面図である。 本発明の光回折構造体を脆質ラベルとして構成する場合の層構成を示す断面図である。 本発明の光回折構造体をフィルムとして構成する場合の層構成を示す断面図である。
符号の説明
1…レリーフパターン
2…ホログラム形成層
3…凹溝(線状突起)
4…反射層
5…エッジ
10…万線パターン
11…確認パターン領域
12…背景領域
13、14、16…万線
15…縁取り領域
21…樹脂マスター版(レリーフホログラム用)
22…紫外線硬化樹脂
23…万線マスクフィルム
24…光源
25…紫外線
26…万線に対応する硬化部
31…樹脂マスター版(本発明)
32…レリーフパターン
33…線状突起
41…ホログラム形成層
42…反射層
43…光回折構造体
44…基材
45…剥離層
46…ヒートシール層
47…粘着層
48…セパレータ(剥離紙)
49…脆質層
51…転写箔
52…ラベル
53…脆質ラベル
54…フィルム
L…基準線

Claims (5)

  1. ホログラムの干渉縞又は回折格子パターンの格子がレリーフパターンとして記録された透明樹脂層表面において、方向性のある万線又は網点からなるパターンの万線又は網点に対応する位置のレリーフパターンが省かれ、その代わりに一定高さあるいは深さの突起あるいは溝が前記透明樹脂層表面に設けられて凹凸レリーフ構造を構成していることを特徴とする光回折構造体。
  2. 前記透明樹脂層表面に設けられた凹凸レリーフ構造上に反射層が設けられていることを特徴とする請求項1記載の光回折構造体。
  3. 前記レリーフパターンの面と前記突起あるいは溝の面との間の高さの差が50nm以上に設定されていることを特徴とする請求項1又は2記載の光回折構造体。
  4. 前記方向性のある万線又は網点からなるパターンが、2つ以上の方向性が異なる万線又は網点からなる領域が並列されたパターンからなることを特徴とする請求項1から3の何れか1項記載の光回折構造体。
  5. 前記方向性のある万線又は網点からなるパターン中の少なくとも1つ領域の周囲に縁取り領域が設定され、その縁取り領域における万線又は網点が、その縁取り領域を挟む両側の領域の万線又は網点と方向性が異なるものであることを特徴とする請求項4記載の光回折構造体。
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