JP4415824B2 - 内燃機関の始動制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は内燃機関の始動制御装置に関し、詳しくは、吸入空気量の制御によって始動時の燃焼状態の安定化を図るようにした内燃機関の始動制御装置に関する。
内燃機関の始動時における燃焼状態は不安定であり、トルク変動が生じやすく、また、不完全燃焼に伴う未燃HCも発生しやすい。このため、始動時の燃焼状態を安定させるための種々の技術が提案されている。特許文献1に記載された技術では、内燃機関の始動から所定期間経過後の機関回転数を所定の基準値と比較し、機関回転数が基準値以上であれば燃焼状態が安定していると判定し、機関回転数が基準値よりも低い場合には燃焼状態は安定していないと判定している。そして、燃焼状態が安定していないと判定された場合には、吸気流制御弁を閉じることで燃焼室に流入する混合気の流速を加速させ、燃料の微粒化を促進することで燃焼の改善を図るようにしている。
特開2002−285853号公報 特開2004−68621号公報
特許文献1に記載された技術では、始動から所定時間が経過してから、具体的には、機関回転数が低下するのを待ってから燃焼状態を安定させるための制御が開始されることになる。しかし、始動時に排出される未燃HCの量をより低減するためには、内燃機関の始動直後のより早い段階から燃焼状態の安定化を図ることが望まれる。
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、内燃機関の始動時、より速やかに燃焼状態の安定化を図れるようにした内燃機関の始動制御装置を提供することを目的とする。
第1の発明は、上記の目的を達成するため、内燃機関の始動時、吸気バルブが閉じた後に始動時燃料を前記内燃機関の吸気ポートに噴射する内燃機関の始動制御装置において、
前記内燃機関の吸入空気量を調整する空気量調整手段と、
前記内燃機関の初燃後、各気筒の膨張行程の期間におけるクランク軸の平均角加速度、或いは前記平均角加速度に相関するパラメータを膨張行程後に算出する計算手段と、
前記計算手段の算出値と所定の目標値とを気筒毎に比較し、比較結果を前記算出値の算出時点において吸気行程にある気筒の吸入空気量に反映させるよう前記空気量調整手段の作動を制御する制御手段と、
を備えることを特徴としている。
第2の発明は、上記の目的を達成するため、内燃機関の始動時、少なくとも各気筒の排気行程中に始動時燃料を前記内燃機関の吸気ポートに噴射する内燃機関の始動制御装置において、
前記内燃機関の吸入空気量を調整する空気量調整手段と、
前記内燃機関の初燃後、各気筒の膨張行程の期間におけるクランク軸の平均角加速度、或いは前記平均角加速度に相関するパラメータを膨張行程後に算出する計算手段と、
前記計算手段の算出値と所定の目標値とを気筒毎に比較し、比較結果を同一気筒の次の吸気行程における吸入空気量に反映させるよう前記空気量調整手段の作動を制御する制御手段と、
を備えることを特徴としている。
第1の発明によれば、内燃機関の初燃後の各気筒の膨張行程の期間におけるクランク軸の平均角加速度、或いは平均角加速度に相関するパラメータ(以下、平均角加速度)を計算しているが、膨張行程の期間における平均角加速度は、その気筒の燃焼状態を代表している。したがって、平均角加速度を所定の目標値と比較することで燃焼状態について判断することができ、比較結果に基づいて吸入空気量を調整することで、燃焼状態を安定化させることができる。第1の発明によれば、比較結果はその時点において吸気行程にある気筒の吸入空気量に反映されるので、初燃後の最初の膨張行程の期間における平均角加速度を計算することで、初燃を含めて4点火目から燃焼状態の安定化を図ることが可能になる。
一方、第2の発明によれば、上記比較結果は同一気筒の次の吸気行程における吸入空気量に反映されるので、初燃後の最初の膨張行程の期間における平均角加速度を計算することで、初燃を含めて5点火目から燃焼状態の安定化を図ることが可能になる。また、燃焼状態を気筒毎に安定化させることができるので、気筒間の燃焼状態のばらつきの影響を受けることなく、内燃機関全体の燃焼状態の安定化を図ることが可能になる。
実施の形態1.
以下、図1乃至図5を参照して、本発明の実施の形態1について説明する。
図1は本発明の実施の形態1としての制御装置が適用された内燃機関の概略構成を示す図である。本実施形態にかかる内燃機関は火花点火式の4気筒エンジンである。内燃機関は内部にピストン8が配置されたシリンダブロック6と、シリンダブロック6に組み付けられたシリンダヘッド4を備えている。ピストン8の上面からシリンダヘッド4までの空間は燃焼室10を形成しており、この燃焼室10に連通するように吸気ポート18と排気ポート20がシリンダヘッド4に形成されている。吸気ポート18と燃焼室10との接続部には、吸気ポート18と燃焼室10との連通状態を制御する吸気バルブ12が設けられ、排気ポート20と燃焼室10との接続部には、排気ポート20と燃焼室10との連通状態を制御する排気バルブ14が設けられている。また、シリンダヘッド4には、燃焼室10の頂部から燃焼室10内に突出するように点火プラグ16が取り付けられている。
シリンダヘッド4の吸気ポート18には、新気を燃焼室10内に導入するための吸気通路30が接続されている。吸気通路30の上流端にはエアクリーナ32が設けられ、新気はエアクリーナ32を介して吸気通路30内に取り込まれる。エアクリーナ32の下流には、新気の吸入量を検出するためのエアフローメータ56が配置されている。吸気通路30の下流部は気筒毎(吸気ポート18毎)に分岐しており、その分岐部にはサージタンク34が設けられている。吸気通路30のサージタンク34の上流には電子制御式のスロットルバルブ36が配置されている。スロットルバルブ36には、その開度を検出するためのスロットルセンサ54が付設されている。また、吸気通路30の吸気ポート18の近傍には、燃料を噴射するためのインジェクタ38が気筒毎に設けられている。インジェクタ38からは、対応する気筒の吸気バルブが閉じた後に(本実施形態では少なくとも排気行程にあるときに)燃料が噴射される。
一方、シリンダヘッド4の排気ポート20には、燃焼室10内での燃焼により生成された燃焼ガスを排気ガスとして排出するための排気通路40が接続されている。排気通路40には、排気ガスを浄化するための三元触媒42が設けられている。
また、内燃機関は、その制御装置としてECU(Electronic Control Unit)50を備えている。ECU50の出力側には前述のインジェクタ38,スロットルバルブ36,点火プラグ16等の種々の機器が接続されている。ECU50の入力側には、前述のエアフローメータ56やスロットルセンサ54の他、クランク軸24の回転角度を検出するクランク角センサ52等の種々のセンサ類が接続されている。ECU50は、各センサの出力に基づき、所定の制御プログラムにしたがって各機器を駆動するようになっている。
図2は、本実施形態においてECU50により実行される内燃機関の始動制御の内容をフローチャートで示したものである。図2に示す始動制御ルーチンは、イグニッションスイッチのオン後、内燃機関の1サイクル(180°CA)毎に周期的に実行される。本ルーチンの最初のステップ100では、現在が内燃機関の始動時か否か判定される。ステップ100の判定にかかる始動時とは、イグニッションスイッチがオンとなって内燃機関が始動されてから、具体的には、初燃が検出されてから、所定期間(例えば、数秒の期間)が経過するまでの期間内を意味している。
現在が内燃機関の始動時にある場合には、ステップ102において各気筒の膨張行程の期間におけるクランク角の平均角加速度が算出される。以下、図3及び図4を参照しながら、ステップ102での処理内容について詳しく説明する。
図3は、クランク角センサ52からのクランク角信号と、ECU50による角加速度の算出タイミングを示す図である。本実施形態では、クランク軸24の回転の10°毎にクランク角センサ52からクランク角信号が供給される。ECU50は、膨張行程の開始時点であるTDCと、膨張行程の終了時点であるBDCの2ヶ所のクランク角位置で角速度ω0(k),ω0(k+1)をそれぞれ求め、同時にクランク軸24がTDCからBDCまで回転する時間Δt(k)を求める。
先ず、ECU50は、例えば図3に示すように、クランク角がTDCの位置から前後10°ずつ回転している間の時間Δt0(k),Δt10(k)をクランク角信号の入力タイミングから測定する。そして、時間Δt0(k)+Δt10(k)の間にクランク軸は20°回転していることから、以下の式(1)を演算することによってTDCにおける角速度ω0(k)[rad/s]を算出する。
ω0(k)=(20/(Δt0(k)+Δt10(k))×(π/180) ・・・(1)
次に、ECU50は、クランク角がBDCの位置から前後10°ずつ回転している間の時間Δt0(k+1),Δt10(k+1)を測定する。そして、以下の式(2)を演算することによってBDCにおける角速度ω0(k+1)[rad/s]を算出する。
ω0(k+1)=(20/(Δt0(k+1)+Δt10(k+1)))×(π/180) ・・・(2)
TDC、BDCのそれぞれで角速度ω0(k),ω0(k+1)を求めた後は、以下の式(3)を演算し、TDCからBDCまでクランク軸24が回転する間の平均角加速度ω’ave(k)を算出する。
ω’ave(k)=(ω0(k+1)−ω0(k))/Δt(k) ・・・(3)
このようにして算出された平均角加速度ω’ave(k)は、以下に説明するように内燃機関の燃焼状態を正確に表している。
次の(4)式は、各気筒での燃焼によってクランク軸24に発生する図示トルクTiとクランク軸24の角加速度dω/dtとの関係を示している。
Ti=J×(dω/dt)+Tf+Tl ・・・(4)
上記の(4)式において、Jは混合気の燃焼によって駆動される駆動部材の慣性モーメント、Tfは駆動部のフリクショントルク、Tlは走行時に路面から受ける負荷トルクを示している。フリクショントルクTfは、ピストン8とシリンダ内壁の摩擦等の機械的な摩擦によるトルクであって、補機類の機械的な摩擦によるトルクも含んでいる。負荷トルクTlは、走行時の路面状態などの外乱によるトルクである。ただし、フリクショントルクTfは、角加速度に起因する動的な損失トルクTac=J×(dω/dt)に比較して十分に小さいので、以下の説明ではTf=0とする。また、始動時はシフトギヤはニュートラル状態であるので、以下の説明ではTl=0とする。
一方、図示トルクTiをそれを発生させるトルクとの関係で表すと以下の(5)式に示すようになる。
Ti=Tgas+Tinertia ・・・(5)
上記の(5)式において、Tgasはシリンダの筒内ガス圧によるトルク、Tinertiaはピストンなどの往復慣性質量による慣性トルクを示している。筒内ガス圧によるトルクTgasは、各気筒での混合気の燃焼によって発生するトルクである。したがって、内燃機関の燃焼状態は、筒内ガス圧によるトルクTgasを求めることで正確に推定することができる。
上記の(4)式及び(5)式によれば、クランク軸24の角加速度dω/dtは以下の(6)式によって表すことができる。
J×(dω/dt)=Tgas+Tinertia ・・・(6)
上記の(6)式において、往復慣性質量による慣性トルクTinertiaは、ピストン8など往復運動する部材の慣性質量によって発生する慣性トルクであるので、クランク軸24が回転していれば角速度一定の場合であっても常に発生する。図4は、各トルクTgas、Tinertiaとクランク角との関係を示す特性図である。図4において、縦軸は各トルクの大きさを、横軸はクランク角を示しており、図4中の実線は筒内ガス圧によるトルクTgasを、破線は往復慣性質量による慣性トルクTinertiaをそれぞれ示している。図4中のTDC、BDCは、4気筒のうち1気筒のピストン8がTDC、又はBDCの位置にある場合のクランク角(0°,180°)を示している。本実施形態にかかる内燃機関は4気筒であるので、クランク軸24が180°回転する度に1気筒づつ膨張行程が行われ、膨張行程毎に図4中のTDCからBDCまでのトルク特性が繰り返し現れる。
図4中の破線に示すように、往復慣性質量による慣性トルクTinertiaはクランク角に応じて大きく変化する。しかし、TDCからBDCまでのクランク角180°の区間に着目すると、この区間での往復慣性質量による慣性トルクTinertiaの平均値は0となる。これは、往復慣性質量を有する部材がクランク角0°〜90°とクランク角90°〜180°で反対の動きをするためである。したがって、クランク軸24の角加速度dω/dtをTDCからBDCまでの平均値として求めることで、往復慣性質量による慣性トルクTinertia=0として計算することができる。
以上のように、TDCからBDCまでの区間でクランク軸24の角加速度の平均値を求めると、この区間でのTinertiaの平均値は0であるため、往復慣性質量が角加速度に与える影響を排除して角加速度を求めることができる。したがって、筒内ガス圧によるトルクTgasのみに起因する角加速度を算出することができ、角加速度に基づいて正確に燃焼状態を推定することが可能となる。
次のステップ104では、ステップ102で算出されたクランク軸24の平均角加速度と所定の目標値との比較が行われる。目標値は、良好な燃焼状態が得られる場合に実現される膨張行程の期間の平均角加速度に設定されている。平均角加速度と目標値との差が基準値内に収まっていれば、その気筒の燃焼状態は安定していると判断することができ、平均角加速度が目標値から基準値を超えて乖離している場合には、その気筒の燃焼状態は不安定になっていると判断することができる。なお、前述のフリクショントルクTfは機関回転数や冷却水温度によって変化するので、目標値は機関回転数や冷却水温度をパラメータとして可変に設定してもよい。
ステップ104の判定の結果、平均角加速度が目標値から基準値を超えて乖離していると判定された場合には、ステップ106において角加速度のずれを補償するのに必要なスロットル開度の補正量が算出される。そして、ステップ108では、ステップ106で算出されたスロットル開度の補正量に基づいてスロットルバルブ36の作動が制御される。これにより、現在吸気行程にある気筒の吸入空気量が補正されることになり、その気筒における燃焼の改善により角加速度のずれは補償される。
なお、角加速度のずれを補償するための手段としては、点火時期の制御、燃料噴射量の制御、或いは、空気量の制御が考えられる。しかし、点火時期の制御は排気エミッションに与える影響が大きいため、未燃HCの排出を抑制するという観点からは燃料噴射量或いは吸入空気量の制御が望ましい。本発明では、以下に説明する理由により、角加速度のずれを補償するための手段として吸入空気量の制御を行っている。
図5は各気筒の燃料噴射時期、吸気時期、及び点火時期とクランク角(CA)との関係を示すタイムチャートである。図5では、#0気筒において最初の点火(初燃)が起こり、その後、#1気筒→#2気筒→#3気筒の順に点火時期を迎えるようになっている。初燃が起きることで、ステップ102では#0気筒の膨張行程の期間における平均角加速度が最初に算出される。そして、算出された平均角加速度と目標値との比較結果がその後の空燃比の制御に反映されることになるが、平均角加速度が算出されるのは早くとも膨張行程後、上記の例によれば、BDC後10°以後となる。このため、比較結果を燃料噴射量に反映させる場合には、現在、排気行程にある#0気筒の燃料噴射制御には間に合わず、次のサイクルで排気行程になる#1気筒の燃料噴射量に反映させることになる。燃料噴射制御では燃料噴射量に応じて燃料噴射の開始時期が決まるが、平均角加速度の算出時点において既に#0気筒の燃料噴射は開始されているからである。したがって、この場合、燃焼状態の安定化を図ることが可能になるのは初燃を含めて6点火目以降となる。
これに対し、本実施形態のように比較結果を吸入空気量に反映させる場合には、現在、吸気行程にある#3気筒の吸気制御に間に合わせることができる。燃焼室10内に吸入される空気量はスロットルバルブ36の開度によって応答良く変化するからである。したがって、この場合、燃焼状態の安定化を図ることが可能になるのは、初燃を含めて4点火目以降となる。つまり、本実施形態のように吸入空気量の制御により角加速度のずれを補償することで、燃料噴射量を制御する場合に比較して2点火早く燃焼状態の安定化を図ることができる。
以上のように、本実施形態にかかる内燃機関の始動制御によれば、内燃機関の始動時、速やかに燃焼状態の安定化を図ることができる。これにより、トルクの変動に伴う振動を抑制できるともに、三元触媒42が暖機されていない状況で多量の未燃HCが発生してしまうことを防止できる。また、内燃機関の始動時、機関回転数はスタータにより駆動されて急上昇し、その後、アイドル回転数まで低下する。本実施形態にかかる内燃機関の始動制御は、始動後の機関回転数が急激に低下している状況で行われることになるが、このとき、吸気通路30内の吸気管圧は機関回転数の低下に応じて大きく変化している。したがって、スロットル開度の調整量に対する吸入空気量の変化量は大きく、スロットル開度の僅かな調整で大きな効果を得ることができるという利点もある。
なお、ステップ100で判定される始動期間の経過後は、吸入空気量による制御から燃料噴射量による制御に切り替えるのが望ましい。
実施の形態2.
次に、図6を参照して、本発明の実施の形態2について説明する。
本実施形態にかかる内燃機関の始動制御は、実施の形態1のそれとは、図2に示すルーチンの実行方法に違いがある。実施の形態1では、180°CA毎に上記ルーチンを実行しているが、本実施形態では、上記ルーチンを気筒毎に740°CA周期で実行する。これにより、実施の形態1では、膨張行程の期間におけるクランク軸24の平均角加速度と目標値との比較結果は、平均角加速度の算出時点において吸気行程にある気筒の吸入空気量に反映されるが、本実施の形態では、上記比較結果は同一気筒の次の吸気行程における吸入空気量に反映される。
図6は各気筒の燃料噴射時期、吸気時期、及び点火時期とクランク角(CA)との関係を示すタイムチャートである。図6では、#0気筒において最初の点火(初燃)が起こり、その後、#1気筒→#2気筒→#3気筒の順に点火時期を迎えるようになっている。#0気筒での初燃後、その膨張行程の期間における平均角加速度が膨張行程後に算出される。算出された平均角加速度は目標値と比較され、比較結果は#0気筒の次回の吸気行程における吸入空気量に反映される。したがって、この場合は、初燃を含めて5点火目以降から燃焼状態の安定化を図ることが可能になる。
なお、比較結果を吸入空気量ではなく燃料噴射量に反映させる場合、#0気筒の次回の燃料噴射制御には間に合わない。次回の燃料噴射制御にかかる燃料は今回の排気行程で吸気ポート18に噴射されるようになっており、平均角加速度の算出時点では既に燃料噴射が開始されているからである。燃料噴射制御では燃料噴射量に応じて燃料噴射の開始時期が決まるため、既に燃料噴射が開始されている場合には燃料噴射量を変更することができない。このため、平均角加速度と目標値との比較結果は#0気筒の次回の排気行程で噴射される燃料噴射量に反映されることになる。したがって、この場合、燃焼状態の安定化を図ることが可能になるのは初燃を含めて9点火目以降となる。
本実施形態にかかる内燃機関の始動制御によれば、膨張行程の期間におけるクランク軸24の平均角加速度と目標値との比較結果を同一気筒の次回吸気行程における吸入空気量に反映させるので、燃焼状態を気筒毎に安定化させることができる。したがって、気筒間の燃焼状態にばらつきがある場合でもその影響を受けることなく、内燃機関全体の燃焼状態の安定化を図ることが可能になる。しかも、本実施形態にかかる内燃機関の始動制御によれば、吸入空気量の制御により角加速度のずれを補償することで、燃料噴射量を制御する場合に比較して4点火早く燃焼状態の安定化を図ることができる。つまり、実施の形態1と同様、内燃機関の始動時、速やかに燃焼状態の安定化を図れることができる。
その他.
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において変形して実施することもできる。例えば、次のように変形して実施してもよい。
上記実施の形態ではスロットルバルブ36の開度によって吸入空気量を制御しているが、吸入空気量を調整する手段はスロットルバルブ36に限定されない。気筒毎に吸気流制御弁を備える内燃機関であれば、吸気流制御弁の開度によって吸入空気量を気筒毎に制御してもよい。また、吸気バルブ12の開弁特性(バルブタイミング、作用角、リフト量等)を可変制御可能な可変動弁装置を備える内燃機関であれば、吸気バルブ12の開弁特性によって吸入空気量を気筒毎に制御してもよい。
また、上記実施の形態では膨張行程の期間における平均角加速度を算出しているが、(4)式に示す図示トルクTiの膨張行程の期間における平均値を算出してもよい。膨張行程の期間において図示トルクTiの平均値を求めると、膨張行程の期間におけるTinertiaの平均値は0となるため、(5)式から、図示トルクTiの平均値と筒内ガス圧によるトルクTgasの平均値とが等しくなる。このため、図示トルクTiに基づいても正確に燃焼状態を推定することができる。
本発明の実施の形態1としての内燃機関の始動制御装置が適用されたエンジンシステムの概略構成図である。 本発明の実施の形態1において実行される始動制御ルーチンのフローチャートである。 クランク角信号と角加速度算出タイミングを示す模式図である。 筒内ガス圧によるトルク及び往復慣性質量による慣性トルクと、クランク角との関係を示す特性図である。 本発明の実施の形態1における角加速度の算出タイミングと算出された角加速度が制御に反映される時期との関係を示すタイムチャートである。 本発明の実施の形態2における角加速度の算出タイミングと算出された角加速度が制御に反映される時期との関係を示すタイムチャートである。
符号の説明
10 燃焼室
12 吸気弁
14 排気弁
16 点火プラグ
18 吸気ポート
20 排気ポート
24 クランク軸
30 吸気通路
36 スロットルバルブ
38 インジェクタ
40 排気通路
42 三元触媒
50 ECU
52 クランク角センサ

Claims (2)

  1. 内燃機関の始動時、吸気バルブが閉じた後に始動時燃料を前記内燃機関の吸気ポートに噴射する内燃機関の始動制御装置において、
    前記内燃機関の吸入空気量を調整する空気量調整手段と、
    前記内燃機関の初燃後、各気筒の膨張行程の期間におけるクランク軸の平均角加速度、或いは前記平均角加速度に相関するパラメータを膨張行程後に算出する計算手段と、
    前記計算手段の算出値と所定の目標値とを気筒毎に比較し、前記算出値と前記目標値とのずれに応じて前記算出値の算出時点において吸気行程にある気筒の吸入空気量を調整するよう前記空気量調整手段の作動を制御する制御手段と、
    を備えることを特徴とする内燃機関の始動制御装置。
  2. 内燃機関の始動時、少なくとも各気筒の排気行程中に始動時燃料を前記内燃機関の吸気ポートに噴射する内燃機関の始動制御装置において、
    前記内燃機関の吸入空気量を調整する空気量調整手段と、
    前記内燃機関の初燃後、各気筒の膨張行程の期間におけるクランク軸の平均角加速度、或いは前記平均角加速度に相関するパラメータを膨張行程後に算出する計算手段と、
    前記計算手段の算出値と所定の目標値とを気筒毎に比較し、前記算出値と前記目標値とのずれに応じて同一気筒の次の吸気行程における吸入空気量を調整するよう前記空気量調整手段の作動を制御する制御手段と、
    を備えることを特徴とする内燃機関の始動制御装置。
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