JP4414931B2 - 仮想診察機能を用いる遠隔地の患者の直接触診診察 - Google Patents

仮想診察機能を用いる遠隔地の患者の直接触診診察 Download PDF

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Description

(関連出願の相互参照)
本出願は、2000年10月6日に出願された米国出願第685,327号の一部継続出願であり、その出願日からの優先権を米国特許法120条に基づいて主張し、その開示は参考として本明細書中に援用される。
(発明の属する分野)
本発明は、一般に触覚情報を処理及び/又は取得する装置に関連し、さらに詳しくは、離れた場所で又は離れた時間に取得した触覚情報を送信、記録、再生、及び再現する装置に関連する。
(発明の背景)
1980年代、農村部における医師不足を切り抜ける努力として、遠く離れた専門医と患者との間での医療情報交換のため、通信及びコンピュータ・システムを使うという発想が生まれ、「テレメディシン」の発展を促した。インターネット及び廉価な音声、映像システムの出現とともに、テレメディシンの応用範囲は拡大し続けている。多くの患者がインターネットを使用して一般医療情報を捜し求めている一方、現在、多くの医師がeメールを使って、患者と連絡している。しかしながら、現在の形のテレメディシン・システムでは、適切な身体診察が実施できず、限定されたものになっている。
医師は、基本的な身体診察プロセスとして、多様な情報源(病歴、直接身体診察、臨床試験及び画像診断)から、患者の状態についての情報を集め、それらのデータを解析して治療に反映させる必要がある。最も重要な情報源は、実際の患者の身体診察から来るものである。専門的に実施された身体診察だけを使っても、90%を超える精度で正しい診断を下すことができる。ある種の治療情報は、電話、ファックス又はインターネット経由で送信することができるが、手を使った診察プロセスにおける医師及び患者間の実際の物理的接触から得られた情報はそれができない、だが、これはテレメディシン全体の診察プロセスの中の数少ない主要ステップに当たる。リモートで身体データを取得し、その情報を離れた場所の医師に確実に転送することができないので、ほとんどの重篤な医療問題に対するテレメディシンの信頼性は限られたものになっている。
このため、離れた場所にいる患者の直接身体診察を可能にするコンピュータ・ハードウエア及びソフトウエア・システムであって、患者と医師との間に実際の直接的な物理的接触をいっさいすることなく、医師が患者の身体の手による直接診察を行えるシステムが求められている。さらに、触覚及び「物理的接触」データを収集し、既存の世界的通信システムを通して送信するシステムが求められている。このようなシステムは、世界中のどの医師にも、農村部又は遠隔地域、緊急事態又は戦争又はいっさいの劣悪な環境の「野外」を含め、どのような場所のどのような患者をも診察する手段を提供するであろう。また、加えた/又は受けた触覚圧力をデジタルに変換し、これをインターネット、又はこのような信号を送受信できる他のいっさいのタイプの通信プラットフォーム経由で送信し、最後には、相手方の端末に送信して、そのデジタル信号を適切な出力(加圧)触覚圧力に変換できるようにすることが求められている。さらに、このデジタル触覚データを記録し、これにより、診察(問診)を受けた元の人又は物体に内在する身体的特徴の再現又はモデリングのため、システムによってこのデジタル触覚データを再生することができるようにすることが求められている。
さらに、身体内部の2−D又は3−D画像データと同時に、触覚データを取得できるイメージング診断アセンブリが求められている。身体内部画像を含めることで、医師ユーザは、診察中に触診している内側の組織及び器官の場所及び内部特徴につながる、より充実した局所解剖的情報を得ることができる。現在、2−D又は3−D診断画像を得るために、患者は、診断プロセスで追加の検査項目又は検査ステップを受ける必要がある。現在利用可能な非侵襲性画像システムには、超音波、コンピュータ断層撮影(CT)スキャン、磁気共鳴影像法(MRI)、核スキャン、及び陽電子放出断層撮影(PET)スキャンが含まれる。CTスキャン、PETスキャン、及びMRIでは、患者は、検査データを作成するために、大きな囲いの中に体を横たえる必要がある。だが、超音波システムは、2−D又は3−Dの身体画像に変換できる音響情報を生成するため音波を使用する非常に持ち運び易く安全なシステムである。現在の超音波システムは、超音波装置使用に精通している技術者又は医師のいずれかを必要とし、手を使って患者の身体の関心のある箇所に超音波プローブを当てる。このプローブは、電力及び画像処理システムを備えた超音波機器に物理的に接続される。
超音波装置は、特定の周波数で超音波エネルギーのパルスを放出し、身体組織に向け送り出す。組織からは反響が返され、これをトランスジューサが収集する。静止した組織から戻って来る反響が検出され、グレースケールの画像として表示される。深さ及び明度は、戻って来る反響特性の到着時間及び信号強度により決めることができる。戻って来る反響の周波数の変化は、下部の構造の内部での動きを示す。これらの情報は、検診している構造の内部画像を生成するため、画像システム・ソフトウエアによって処理される。医師は、映像及びスペクトル・データを使って、診断及び治療の決定をすることができる。超音波診断では、検診している内在構造のさらなる特性を検出するために、技術者又は医師ユーザがトランスジューサ・スキャン・ヘッドを身体表面に押し当てなければならない場合が多い。
上記のように、離れた場所にいる二人の人の間で、2−D及び3−D超音波情報をはじめ、触覚情報をリアルタイムで検出し送信するため使えるシステムが求められている。さらに、同時リアルタイム2−D又は3−Dの内部又は外部身体画像をユーザに提供するような画像データをはじめ、離れた場所にいる二人の人の間でリアルタイム触覚情報データを同時に送信、受信及び交換できる装置が必要である。また、他端のユーザが、問題の身体構造組織を感じ取る又は触診することを可能にし、加えた触覚圧力の体内への影響を観察する能力を持つ機能強化された医療診断機器が求められている。
(発明の要約)
本発明に従って、物体の触覚感応をシミュレートするためのシミュレータ・アセンブリを提供する。このシミュレータ・アセンブリは、シミュレートされる物体の少なくとも一部の形状にほぼ形作られた再生モジュールを含み、この再生モジュールの本体(再生モジュール体)は外部表皮を含む。シミュレータ・アセンブリは再生モジュール体の中で外部表皮下部に配置された複数のキャビティをさらに含む。このシミュレータ・アセンブリは、複数の感覚変調サブユニットを含み、それぞれの感覚変調サブユニットは、少なくとも部分的に複数キャビティの一つの内部に配置されている。また、各感覚変調サブユニットは、入力信号に応じて外部表皮に対する力を発生させる構成になっている。
シミュレータ・アセンブリに、加えられた力に応じて出力信号を発生させるようになっている圧力トランスジューサを含めることができる。シミュレータ・アセンブリに、コンピュータ・システムを組み入れて感覚変調サブユニットに機能的に接続し、そのコンピュータ・システムに、感覚変調サブユニットが出す力を動的に制御するための入力信号を送信させることができる。コンピュータ・システムは、感覚変調サブユニットが発生した出力信号を受信し、受信した出力信号を使って感覚変調サブユニットへの入力信号を決定することができる。コンピュータ・システムに、シミュレートされた物体の硬さを判定するデータを格納したメモリ・モジュールを組み込んで、そのデータを使って感覚変調サブユニットへの入力信号を決定することができる。
本発明に従って、プレーヤーから受信した入力信号をユーザの触感に変換する触覚再生アセンブリを提供する。この触覚再生アセンブリは、ユーザが取外し可能な双方型圧力再生着衣を含む。触覚再生アセンブリは、着衣中に配置された複数のセル、及び、それぞれがセルの一つの中に配置された複数の感覚変調サブユニットをさらに含む。感覚変調サブユニットは、入力信号に応じてユーザに加わる力を発生するように構成される。
触覚再生アセンブリに、プレーヤーから受信した入力信号に応じて、ユーザの身体上への力を発生させるための可変圧力生成装置を持つ感覚変調サブユニットを含めることができ、これによって力の大きさが可変となり、プレーヤーから受信した入力信号によって力を決めることができる。触覚再生アセンブリの中に、感覚変調サブユニットに入力信号を供給するため感覚変調サブユニットに機能的に結合された再生装置を含めることができる。触覚再生アセンブリに、映像出力を発生する再生装置を取り入れて、感覚変調サブユニットの信号とこの映像信号とを相関させることができる。
本発明に従って、触覚データ記録アセンブリを提供する。触覚データ記録アセンブリは、ユーザの身体の少なくとも部分に脱着可能な双方型圧力記録着衣を含む。また、触覚データ記録アセンブリは、着衣内に配置された複数のセルも含む。触覚データ記録アセンブリは、複数の感覚変調サブユニットも含んでおり、各感覚変調サブユニットは、少なくとも部分的にセルの一つの中に収納され、感覚変調サブユニットに加えられた触覚圧力に応じて、出力信号を発生するよう構成される。触覚データ記録アセンブリは、出力信号記録装置をさらに含み、その出力信号記録装置は、感覚変調サブユニットが発生した出力信号を記録するために、機能的に複数の感覚変調サブユニットに連結されている。
出力信号の大きさが感覚変調サブユニットに加わった触覚圧力の大きさと相関するように、感覚変調サブユニットが大きさを変えて出力信号を発生できるようにすることができる。触覚データ記録アセンブリに、圧力トランスジューサを内蔵した弾力性の厚板片を含む感覚変調サブユニットを含めることができ、この圧力トランスジューサは、感覚変調サブユニットに加えられた触覚圧力に直接的に関連する信号を発生するように構成される。
本発明に従って、身体を触診し、かつその身体画像を取得するためのイメージング診断アセンブリを開示する。このイメージング診断アセンブリは、筐体及び少なくとも部分的に筐体内に配置された画像化装置含み、その画像化装置を身体画像の取得のために使用する。また、イメージング診断アセンブリは、少なくとも部分的に筐体内に配置され、可変圧力生成装置を内蔵する感覚変調サブユニットを含み、この可変圧力生成装置は身体への触覚圧力を発生するために使われる。感覚変調サブユニットは、圧力トランスジューサをさらに含み、この圧力トランスジューサは、感覚変調サブユニットと身体との間の接触面圧力に直接相関する信号を発生するように構成される。
可変圧力生成装置に、膨張チャンバをさらに含めることができ、加圧流体を選択的に導き入れて膨張チャンバを膨張させ、所望の触覚圧力を身体に加えることができる。イメージング診断アセンブリに、バルブをさらに含めることができ、バルブを膨張チャンバと加圧媒体流のタンクの間に設置して、そのバルブを膨張チャンバへの媒体流の出入りの制御に使うことができる。イメージング診断アセンブリに、筐体内に配置した超音波トランスジューサをさらに含め、このトランスジューサが超音波を身体内に送り出すように構成することができる。超音波を検出するように構成することもできる。イメージング診断アセンブリに、筐体内に配置した二番目の超音波トランスジューサをさらに含め、この二番目の超音波トランスジューサを、超音波を検出するように構成することもできる。イメージング診断アセンブリを、身体の内部画像を取得するために使うことができる。
本発明に従って、超音波画像システムを提供する。この超音波画像システムは、第一場所に配備された超音波パルス発生器及び超音波画像ディスプレー・システムを含む。また、超音波画像システムには、超音波を放出及び検出する超音波トランスジューサ・アセンブリが含まれ、この超音波トランスジューサ・アセンブリは第二場所に配備される。これら超音波トランスジューサ・アセンブリは、コンピュータ・システムを通して、超音波パルス発生器及び超音波画像ディスプレー・システムと結合される。
本発明に従って、手を使った患者の直接診察をリモートで行う装置を提供する。この装置は、少なくとも一つの第一感覚変調サブユニットを備える手動制御ユニットを含み、この第一場所の感覚変調サブユニットは、これに加えられた力を検出し、検出された力に応じて第一信号を発生し、また、第二場所から受信した信号に応じて力を生成する。また、この装置は、患者検診モジュールを含み、この患者検診モジュールは、第一感覚変調サブユニットと選択的に接続可能な、複数の第二感覚変調サブユニットを有する。第二の感覚変調サブユニットは、第一からの信号を受信し、受信した第一の信号に応じて力を発生させることができる。また、第二の感覚変調サブユニットは、加えられた力に対する抵抗力を検出し、検出した抵抗力に基づいて第二信号を発生し、第一感覚変調サブユニットがこの第二信号を受信する。この装置は、第一及び第二感覚変調サブユニットと信号通信しており、第一及び第二の信号を記録する記録装置をさらに含む。
この装置は、第一感覚変調サブユニットを第一のコンピュータに信号通信結合させ、第二感覚変調サブユニットを第二のコンピュータに信号通信結合させるように構成することができる。通信ネットワークを通して、第一コンピュータと第二コンピュータとを動作可能なように接続する。また、手動制御ユニットと患者検診モジュールとを離れた場所に置くようにこの装置を構成することもできる。
本発明に従って、身体への触感をユーザに伝える方法を提供する。この方法は、双方型圧力再生着衣でユーザの身体部分を包むことを含み、この双方型圧力再生着衣は、入力信号に応じてユーザの身体上に触覚圧力を発生させることのできるリニア・アクチュエータの配列を有する。また、この方法は、双方型圧力再生着衣と、ユーザの身体上の触覚圧力を選択的に伝えるリニア・アクチベータの配列に伝達する一連の入力信号を発生することのできるデータ出力装置とを、信号通信接続することも含む。
本発明に従って、触覚データを記録する方法を開示する。この方法は、圧力検知パッドでユーザの身体部分を包むことを含み、この圧力検知パッドは、圧力検知パッド上に受けた触覚圧力に応じて出力信号を発生する能力を持つ複数の感覚セルを有する。また、この方法は、圧力検知パッドと出力信号記録装置とを信号通信接続することも含む。この方法は、圧力検知パッドを少なくとも一つの力にさらすこと、及び接触力受圧パッドが発生する出力信号を出力信号記録装置に記録することをさらに含む。
より特定すれば、本発明は以下に関する。
(1)身体を触診し、かつ該身体のイメージを得るためのイメージング診断アセンブリであって:(a)筐体;(b)該筐体内に少なくとも部分的に配置された可変圧力生成装置であって、該身体に対して触診圧力を発生するように動作可能な可変圧力生成装置;および(c)該筐体内に少なくとも部分的に配置された画像化装置であって、該身体のイメージを得るように動作可能であり、該身体に対する触診圧力の衝撃を決定する画像化装置を備えるイメージング診断アセンブリ。
(2)前記筐体内に少なくとも部分的に配置された圧力トランスジューサをさらに備え、該圧力トランスジューサが、前記可変圧力生成装置と前記身体との間に存在する境界面圧力に直接関連する信号を生成するようになっている、上記(1)に記載のイメージング診断アセンブリ。
(3)前記可変圧力生成装置が、膨張チャンバをさらに備え、ここで、加圧流体が、該膨張チャンバを膨張し、前記身体に対して触診圧力を発生するために該膨張チャンバに選択的に向けられ得る、上記(1)に記載のイメージング診断アセンブリ。
(4)前記可変圧力生成装置が、前記身体に対して触診圧力を発生するリニア・アクチュエータをさらに備える、上記(1)に記載のイメージング診断アセンブリ。
(5)前記可変圧力生成装置が、前記身体に対して触診圧力を発生するピストン・タイプ可変抵抗体をさらに備える、上記(1)に記載のイメージング診断アセンブリ。
(6)前記画像化装置が、超音波トランスジューサを備え、該超音波トランスジューサが前記身体中に超音波を伝達するようになっている、上記(1)に記載のイメージング診断アセンブリ。
(7)前記筐体内に少なくとも部分的に配置された第2の超音波トランスジューサをさらに備え、該第2の超音波トランスジューサが超音波を検出するようになっている、上記(6)に記載のイメージング診断アセンブリ。
(8)前記超音波トランスジューサがまた、前記身体から反射された超音波を検出するようになっている、上記(6)に記載のイメージング診断アセンブリ。
(9)前記超音波トランスジューサが、リニア・アレイ・トランスジューサである、上記(6)に記載のイメージング診断アセンブリ。
(10)前記画像化デバイスが、前記身体の内部画像を得るように動作可能である、上記(1)に記載のイメージング診断アセンブリ。
(11)調べる物体を検査かつ画像化する方法であって:(a)該物体に、該物体を照射し得るように配置された照射源を用いて照射する工程;(b)照射検出器を用いて、該物体により散乱された照射を受け、かつ該受けた照射に対応するデータを提供する工程;
(c)該照射検出器により提供されたデータを用いて、該目的物を与える多次元場を構築する工程;および(d)該目的物に対する触診を生成するために可変圧力発生装置で該目的物を触診する工程を包含する方法。
(12)前記照射源が複数の照射源を備える、上記(11)に記載の方法。
(13)前記照射検出器が、前記目的物の少なくとも一部分を取り囲むように配置された複数の照射検出器を備える、上記(11)に記載の方法。
(14)前記照射源が超音波源であり、そして前記照射検出器が超音波検出器である、上記(11)に記載の方法。
(15)前記照射源が磁気照射源であり、そして前記照射検出器が磁気照射検出器である、上記(11)に記載の方法。
(16)前記照射源が電気機械的照射源であり、そして前記照射検出器が電気機械的照射検出器である、上記(11)に記載の方法。
(17)前記照射源が電磁照射源であり、そして前記照射検出器が電磁照射検出器である、上記(11)に記載の方法。
(18)前記照射源が光照射源であり、そして前記照射検出器が光照射検出器である、上記(11)に記載の方法。
(19)前記照射源が核照射源であり、そして前記照射検出器が核照射検出器である、上記(11)に記載の方法。
(20)前記照射源および照射検出器が、照射源および照射検出器の両方として用いられる1つのデバイスを含む、上記(11)に記載の方法。
(21)前記調べる物体が、複数の生物学的組織を含む、上記(11)に記載の方法。
(22)前記目的物を同時に照射および触診する工程をさらに包含し、該目的物に対する触診圧力の影響が、該目的物を与える多次元場で示される、上記(11)に記載の方法。
物体の触覚応答をシミュレートするためのシミュレーター・アセンブリ、プレーヤーから受信した入力信号をユーザの触覚に変換する触覚再生アセンブリ、身体を触診し、かつその身体画像を取得するためのイメージング診断アセンブリ、超音波画像システム、手を使った患者の直接診察を遠隔から行う装置、身体への触感をユーザに伝える方法、および触覚データを記録する方法が提供されるので、遠く離れた専門医と患者との間における医療情報交換が可能な「テレメディシン」の応用範囲が拡大される。
添付の図面と関連付けて以下の詳細説明を参照すれば、前記の本発明の特徴及び付随する多くの利点がより分かりやすくなり、その十分な理解がより容易に得られ得る。
(好適な実施形態の詳細な説明)
本明細書で開示する装置は、患者と医師との間で実際の直接接触又は接近なしに、医師が患者の身体の直接的身体診察ができるようにする。これは、通常は、患者と医師との間の手による直接の接触によって取得されるタイプのデータを、既存の世界的通信システムを経由して収集し、送信することを可能にする。現在のところ、「テレメディシン」、すなわち診断及び治療計画の提供を目的とした患者と医師との間の医療情報の交換はある程度までしか進展することができず、身体診察所見が意思決定プロセスの中で重要になると、患者は、かかりつけの医師に診てもらうように勧められるか、医師が身体診察を行える救急処置室に来るように勧められる。リモートで身体データを取得しそれを他の場所にいる医師に確実に送信することができないことは、他の産業が世界通信プラットフォームの進展及び世界中の潜在的な消費者から享受する効果性及び効率性を利用し医療行為及び医学の力を発展させるうえで障害となっている。
本明細書に使用されている次の用語は、次に示す意味を持つものとする。
感覚変調サブユニットとは、(1)その装置に加えられた力を検知し、検知された力と関連する出力信号発生させる能力、及び/又は(2)入力信号を受信し、その受信信号に関連する力及び/又は変位を発生させる能力を持ついっさいの装置をいう。
手動制御ユニットすなわちHCUは、ユーザの手のようなユーザの身体の一部と接触するか、又はそれを受けるように構成されるいっさいの装置をいい、この装置が受け取ったユーザの手によってアクセスできる感覚変調サブユニットを備えるいっさいの装置をいう。
患者検診モジュールすなわちPEMとは、人(又は他の生命体)の生体組織の部分を受けるよう構成され、受けた生体組織に隣接する感覚変調サブユニットを備えるいっさいの装置をいう。本発明に従って、PEMを患者の検診に使用できるが、PEMという用語は、他の目的による生体組織への触感用になっている、又は他の物体や物質の触感用になっているいっさいの装置を包含すると理解されるべきものである。
図1を参照しながら説明する。本発明は、実際に得られた医療データのリモート採取及び送信のために、三つの一般的部分を含む、すなわち、手動制御ユニット100(HCU)、患者検診モジュール200(PEM)、及び医師(HCUを通して)と患者(PEMを通して)との間での身体データの取得、校正、転送、及び変換を制御するためのコンピュータ・ソフトウエアの三つの部分である。本発明は、医師が、HCUに手で圧力を加え、それを離れた場所にいる患者に送信し、PEM200を通して患者の身体の選定された部分に加えることができるようにする。患者の身体からの圧力反応は、医師に返信され、これにより、医師と患者との間の直接接触をシミュレートする。
(手動制御ユニット(HCU))
図2に示したHCU100は、実際の手の形状に形作られた成型プラスチック外部構造101を持つ。このタイプの構造の利点は、軽量で、製造が容易で、耐久性があり、耐衝撃性があることである。木材、紙、アルミニウム、石、プレキシグラス(商標)、又は今後開発される材料のような他の材料もこの装置の製作に使えよう。HCU100は人間の手首先の内側の部分、望ましくはその全体に合わせて形作られており、近位掌部分108及び遠位掌部分107、指先106、及び親指部分105を含む掌表面102を保有する。これらいっさいの設計配置構成の目的は、ユーザの手の感覚部分及び運動部分とHCU100との間になじめる接触面を提供することである。この好適実施形態において、HCU100は、掌表面102中の中央にわずかな盛上がりがある。掌表面102の周辺部はHCU100上の輪郭104に比べてわずかな下降があって、掌表面102上のユーザ手の落ち着きがよくなるよう調整されている。指先106及び近位掌部分108の位置と比べてのわずかな掌の盛上がり(ユーザの指関節のレベルが指及び手の他の部分より高くなることになる)により、ベースの広いピラミッドの形を形成する。このデザインにより、指先、遠位側掌及び近位側掌による加圧、受圧、装置の制御及びこれらの機能性に関して最大の柔軟性が得られる。HCU100は、ユーザの掌及び指の表面のすべての内側部分が、HCU100の掌表面102と完全に接触できるようにする。この好適実施形態において、HCU100の外部構造101は、一般に中央手掌線ひだの箇所に位置する横方向の割れ目110によって分離され、側面にそって配置された2つの部分101a、101bで形成されている。この2つの部分101a、101bは、スライドするように接続されていて、いろいろな手のサイズに合わせるためにその長さに対する調整ができるように、縦方向への相対的な動きができるように構成されている。オプションとしてHCU100に「手袋」型部品(図示せず)を含めることが可能で、手首から先全体を手動制御ユニットに挿入する。これによって、手の最高部(背面部)表面と接触ができるようになり、操作者の手の最高部表面から得られる診断動作及び感覚入力に関する機能が実施可能になる。
凹部すなわちキャビティ112、114、116は、指先106、遠位掌部分107、及び近位掌部分108にそれぞれ設けられている。それぞれの凹部112、114、116の中には、図3で最も明瞭に見られるように、圧力リレー及び受圧感覚変調サブユニット140が収納されている。感覚変調サブユニット140の頂上部は、模擬皮膚面を形成するシリコーンゴム又は柔らかなプラスチック基材のような柔軟な材料の厚板片142で構成されている。この「皮膚」接触面として適当な他の材料には、他の自然又は人工的生体適合物質(人工、模擬、培養、又は加工皮膚細胞又は代替材料)が含まれよう。各厚板片のサイズは、HCU100中のそれぞれの凹部112、114、116のサイズによって異なる。一般に、装置の指先106区域のそれぞれに対しては、指先サイズの感覚変調サブユニット140、近位掌部分108及び遠位掌部分107に対しては、それぞれ、近位掌サイズのサブユニット140及び遠位掌サイズのサブユニット140がある。HCU100の感度と機能性とを増加させるために、各モジュールを複数に分割することができ、下記のサブユニット概要に基づいて、それぞれの凹部に、より小型のサブユニットの集合を含めることができよう。
図4を参照しながら説明する。感覚変調サブユニット140は、模擬表皮厚板片142に内蔵されている一方向単一チャンネル圧力トランスジューサ144を含む。圧力トランスジューサ144の作用面すなわち受圧面145は上方向を向いている、すなわちユーザの手の掌面に向き合う方向になっている。この圧力トランスジューサ144は、ユーザが加えた圧力が圧力トランスジューサ144の作用面145にかかるように方向付けされており、圧力トランスジューサ144の背面から加えられた圧力又は力は直接感知しない。この好適実施形態において、それぞれの指先106には一個の圧力トランスジューサ144が設置され、掌部分107、108はそれぞれ2つの圧力ゾーンにさらに分割されている。配線又は他の適切な接続メカニズム(図示せず)が圧力トランスジューサ144への出入り信号にアクセスを提供する。
単一チャンネル圧力トランスジューサ144を内蔵する模擬皮膚の厚板片142は、望ましくは金属又はプラスチック製の薄い支持プラットフォーム136上に装着される。支持プラットフォーム136下側面に取り付けられているのはリニア・アクチュエータ、単一チャンネル・ピストン・タイプ可変圧力抵抗体のような可変圧力生成装置、又は他の可変圧力生成装置148である。リニア・アクチュエータ又は可変圧力生成装置、ここでは「ピストン抵抗体」という、は、電気的、機械的、気圧的又は液圧的プロセスによって可変圧力を生成する装置を含め、技術的に知られたいくつかのやり方で具現することができる。このような装置の代表的な見本は、例えば、クラマー(Kramer)の米国特許第5,631,861号中の図8a−mに図示され、その中では「指先組織シミュレータ」と呼ばれている。本発明のこの好適実施形態においては、磁気的に駆動される装置が使われている。ピストン抵抗体148は、患者検診モジュール200(後記)に由来する反応信号に従って、模擬皮膚厚板片142の下側面に対し逆圧又は抵抗圧力を加える。厚板片142、トランスジューサ144、支持プラットフォーム146及びピストン抵抗体148は、HCU100の凹部112、114、116の中に配置される。各凹部112、114、116の中には、穴150が設けられ、ピストン抵抗体148の開放端を挿入するように調整されている。穴150の深さは、支持プラットフォーム146が凹部の底面からやや持ち上がり、これによってユーザが感じる反発抵抗が模擬皮膚厚板片142自体によるものだけになるように選定される。
本発明の使用に適している様々の種類の圧力トランスジューサが技術的に知られている。例えば、以下の例示は本発明の範囲を制限するものでないが、ラインボルド(Reinbold)その他に発行された米国特許第6,033,370号は、2つの導電層の間にサンドイッチされたポリウレタン発泡材誘電体を持つ容量性圧力トランスジューサを開示している。ダンカン(Duncan)その他が米国特許第4,852,443号で類似の装置を開示しており、これはコンデンサ電極上に載せた圧縮性突起を絶縁シートの両側に配置している。可変抵抗力部品に基づく圧力トランスジューサが、米国特許第5,060,527号の中でバージェス(Burgess)によって開示されている。
図2を再度参照しながら説明する。HCU100の親指に対応する部分105は、コンピュータ・ソフトウエアに関する機能及び選択肢を制御し、選択するためのボタン152を格納する(マウス・クリック制御又は他の入力デバイス)。HCU100の下側面は、追跡ボール154を支え、コンピュータの選択機能、及びPEM200を通して、患者にかかわる空間におけるHCU100の二次元座標軸の位置確認を可能にしている。当業者には、ボタン152及び追跡ボール154がコンピュータ・マウスの基本的機能を提供し、おなじみのよく知られたやり方でコンピュータと選択的にやり取りできることは明らかであろう。タッチ・パッド及び光システムを含め、他の種類の選択メカニズムの使用が可能なことも明らかであろう。また、HCU100は、信号プロセッサ130及びアナログ・デジタル/デジタル・アナログ信号コンバータ132にも連結されている。
HCU100は、医師と離れた場所の患者との間のインタフェース又は接触ポイントの機能を果たしている。HCU100は、医師の手が発生させた機械的に加えられた圧力信号を受けて、それを圧力トランスジューサ144を通して電気信号に変換し、同時に、患者検診モジュール200での圧力反応から得られた着信電気信号を抵抗力信号に変換し、それが、支持プラットフォームに対し装着されたピストン抵抗体148に加えられる。この感覚変調サブユニット140の、ユーザが加えた入力圧力を「感知」し、同時にユーザに対して直接の抵抗フィードバック反応を提供する能力は、人がその手を他の物体に押し付けたときに起こる実際の事象をシミュレートする。患者に加えられた直接の圧力(HCU100からの入力圧力により決まる)に応じて、PEM200を通して感知された高いレベルの抵抗力(実際の患者の反応)は、HCU100にリレー返信され、ピストン抵抗体148を通して医師にフィードバックされる。PEM200が抵抗力の増大を感知すると、それに応じて、支持プラットフォーム146の下側面に加わる力が増大することになる。これは、模擬皮膚厚板片142に対するより大きな抵抗力の感覚、又はその「弾力性の欠如」に変換される。このフィードバック抵抗は、医師が加えた力に対する患者からの直接反応としてユーザに知覚される。
オプションとして単一又は複数の多重チャンネル圧力トランスジューサ/抵抗体デバイスをHCU100に組み入れることができ、及び/又は、抵抗力の絶対変化を変換し、手動制御ユニットを通して医師の手に加えることができよう。現在ソフトウエア命令機能に使用している親指部分105に、前記に代えて感覚変調サブユニット140を収納することができる。親指の動きを診察プロセスに組み入れ、手のこの箇所に戻り感知入力を保持することにより、HCU100の機能的能力及び感度を拡張することができよう。HCUの最も複雑な実施形態には、操作者の手のあらゆる箇所との全面的な接触、及び、HCU全体に多数の感覚変調サブユニット140を取り付けることが含まれよう。サブユニット140の数を制限するのは、これらの双方型圧力変換デバイスを小型化する能力だけである。数多くの感覚変調サブユニット140は、操作者の手のあらゆる部分で、機械的及び感覚的入力を生成し感受する能力をユーザに提供するであろう。
(患者検診モジュール(PEM))
図5及び6を参照しながら説明する。PEM200は、ナイロン、ゴム、シリコン又は軟プラスチック・サブストレートのような柔らかく、半軟弱材料でできたパッド又はパッド様の構造202で構成される。全体のパッド202は、望ましくは、HCU100の擬似皮膚厚板片142に類似した粘弾性的な性質を持つ固形物である。パッド202は、セル又はセル域と呼ばれる基本構造に分割される。パッド202の全体サイズも、パッド202内のセル204の数も特定の用途によって変わることになる。各セル域204は、パッド202内の区域に対応し、望ましくは、対応するHCU100の感覚変調サブユニット140と同じようなサイズである。図6に示すように、単一チャンネル圧力トランスジューサ244は、各セル204内に装着されており、その作用/受圧面245が患者の方に向くよう方向付けされている。望ましいパッド202は、多数の圧力トランスジューサ244を内蔵する連続したゲル・タイプ構造242である。パッド202の背面206は、フレキシブルで、半硬質のシーティングを含む。現時点でこの背面206に好ましい材料は、セル域204に対ししっかりした支持を維持しながら、多様な身体サイズへの応用に合わせてある程度の屈曲が可能なプラスチック又はポリマー・サブストレートである。金属、木材又は合成材料のようなもっと硬い材料も、しっかりした支持構造を備え、身体の多様な輪郭を持つ表面のそった屈曲が可能ならば使用することができよう。単一チャンネル・ピストン・タイプ可変圧力生成感覚変調サブユニット240を含むリニア・アクチュエータは、望ましくは金属又はプラスチック製の薄い支持プラットフォーム246の下側面に取り付けられている。支持プラットフォーム246は、望ましくは、HCU100中の指先106と同じ様なサイズである。ピストン・タイプ可変圧力生成デバイス248、又は同様なリニア・アクチュエータは、一般にセル204と支持体206との間の境界面に所在する各圧力トランスジューサ244の直接真下に位置決めされ、支持体206内に収納されて圧力トランスジューサ244下部の支持プラットフォーム246の下側に配置されている。
診察パッド202は、診察する患者の身体表面部分に直接にあてがわれ、例えば、貼り付けチャック・タイプの固定具250でそこに固定される。貼り付けチャック固定具250は、融通が利き、多様な身体形状及びサイズへの使用が可能であろう。また、パッド202を、胸への使用にはベストに、腹部への使用には帯に、袖に、長手袋に、又は手腕上部には手袋に、ズボンの脚、又は足下部にはブーツに、また、手指や足指のような小さな用途には、小さな布片に仕立てることもできよう。このPEMの好適実施形態は、位置を固定したパッド構造になっているが、患者、他の人員又はロボット・ガイドが、患者の表皮面又は身体内の空洞を動かす移動式感知ユニットも本発明の範囲内である。
一つの好適実施形態では、PEM200は、電気接続コード302を介してコマンド制御ボックス300につながれている。この好適実施形態では、コマンド制御ボックス300は、電源304、小型中央演算装置(CPU)306、信号プロセッサ308、デジタル・アナログ・コンバータ310、及び通信システム312を含む。コマンド制御ボックス300は、PEM200からデータを受信及びこれに送信することによりPEM200を医師のHCU100に連結している。電源304は、望ましくは、交流(家庭用又は産業用)又は直流(バッテリ使用作業)双方での稼動能力を備える。接続コード302が図示されているが、無線データ・リンクのような他のデータ・リンクも、本発明の範囲である。
この好適実施形態の通信システム312は、内蔵モデム(図示せず)を含み、HCU100の近くに置かれた医師のコンピュータ160がPEM200の近くに置かれたリモートコンピュータ260と接続できるようにしている。下記の通信方式に基づくシステムを含め、他の通信システムも可能である。(1)光ファイバー・ケーブル・チャンネル及び非ファイバー光ベースのデータ/音声/映像信号送信方法を含め、光ベースの通信;(2)以下に限定はされないが、ラジオ周波数、極超短波周波数、マイクロ波又は衛星システムを含め、音声及び/又はデータ情報を送受信できる無線通信;及び(3)赤外光、磁気、他の波長の可視又は非可視放射、生体材料(生体ロボット又はウイルス生命体を含む)、原子/素粒子、のような現在まだ使用されていないいっさいのメディアを使った将来のいっさいの音声又はデータ送信方法。好ましくは、直接患者に加わる重量の軽減、サイズ上の制限及びおそらくは安全性(通信/データ送信からのRF又はマイクロ波放射への曝露の低減)を考慮して、フレキシブルな接続コード302を通してパッド202をコマンド制御ボックス300に接続する。また、接続コード302は、感覚変調サブユニット240内の圧力トランスジューサ244及び可変圧力生成装置248を電源304に接続する。
他のデバイス構成に、単一又は複数の多重チャンネル圧力トランスジューサ/抵抗体デバイスを組み込んで、HCU100を通して、ユーザの手に抵抗力の絶対変化を変換伝達することができよう。PEM200の感度及び機能性を増大させる試みとして、各セル域204をさらに分割し、PEM200全体に多数の感覚変調サブユニット140を取り付けることができよう。機能サブユニットの数を制限するのは、これらの双方型圧力変換デバイスを小型化する能力だけである。数多くの感覚変調サブユニット140は、ユーザに、操作者の手のあらゆる部分で、機械的及び感覚的入力を生成し感受する能力を提供するであろう。
PEM400の二番目の実施形態は、図7及び図8に示すように、前記の電気機械的構造でなく、気圧媒体流又は液圧媒体流を使う。この二番目の実施形態では、PEM400は、ナイロン、ゴム、シリコン又は軟プラスチック・サブストレートのような柔らかく、半軟弱材料でできたパッド402又はパッド様の構造で構成される。パッド402は複数のセル404に再分割される。パッド402の全体サイズも、パッド402内のセル404の数も装置のモデルと用途によって変わることになる。それぞれのセル404は、一つの流入/流出二重機能ライン410、及び空気、水、油圧液、又は電気化学ゲルのような加圧媒体流の流入及び流出を可能にする一つのバルブ414、及び単一圧力トランスジューサ444を伴った、気密性又は水密性の空洞チャンバ416として設計されている。圧力トランスジューサ444は、HCU100について前記した圧力トランスジューサ144と同様な単一チャネルのトランスジューサである。圧力トランスジューサ444は、患者の身体の表面に直接あてがうシート材料の中に装着されている。したがって、セル構造のオープン部分は圧力トランスジューサ444の後ろ側にくることになる。トランスジューサの受圧面445は患者の方向に向くことになる。
パッド402は、診察する患者の身体表面部分に直接にあてがわれ、例えば、貼り付けチャック・タイプの固定具250でそこに固定される。貼り付けチャック固定具250は、融通が利き、多様な身体形状及びサイズへの使用が可能であろう。また、パッド402を、胸への使用にはベストに、腹部への使用には帯に、袖に、長手袋に、又は手腕上部には手袋に、ズボンの脚、又は足下部にはブーツに、また、手指や足指のような小さな用途には、小さな布片に仕立てることもできよう。また、必要に応じ、パッド402の外部表面に重量のある強化層(鉛、金属又はプラスチック)を取り付けて安定性又は逆圧を増すこともできよう。各セル404の流入/流出ライン410は、ポンプ(図示せず)及び加圧した媒体流を収納するための加圧タンク418を含むポンプ機構に接続されている。介在バルブ414は、流入/流出ライン410にそって加圧タンク418とそれぞれのセル404の間に設置される。PEM400は、前記したように、接続コード302を介してコマンド制御ボックス300につながれる。
望ましくは、PEM400のこの制御部分は、直接患者に加わる重量の軽減、パックを手足や指のような身体の小さな部分に置く場合のサイズ上の制限、又はおそらくは安全性(通信/データ送信からのRF又はマイクロ波放射への曝露の低減)への考慮から、患者から離れた所に設置する。このコマンド制御ボックス300の仕様及び機能は前記されている。また、接続コード302は、加圧媒体流の流入/流出ライン410及びバルブ414をはじめ圧力トランスジューサ444を電源304に接続している。
特定のHCU100の設計によっては、ポンプ及び加圧タンク418双方ともにコマンド制御ボックス300部分に、又はともにPEM400自体に、又は相互にかかわり無くどちらかの区域に含めることができよう
加圧媒体流として空気を使っているPEM400は、半閉鎖式回路を使うことになろう。この好適実施形態において、ポンプ機構は、ユニットの外部からパッド402の背面に取り付けられた単一の加圧流体タンク418に空気を吸引する。一般に、加圧タンク418は、パッド402と同じサイズである。バルブ414は、加圧タンク418内の下側にあるセル404に対応する複数の場所に設置される。したがって、加圧タンク428は、介在バルブ414を通してそれぞれの圧力セル404と直接連絡する。適切なチャンバ圧力を確実にするため、チャンバ内部の圧力を感知しその情報をコマンド制御ボックス300に送り返すために、加圧タンク418内に圧力調整回路(図示せず)が組み込まれる。適切なセル404が駆動され、所望のポンプ・チャンバ圧力が実現され(HCU100からの対応加圧信号に応じて)、その結果生じた患者の反応信号がコマンド制御ボックス300を介してHCU100に返信された後、ポンプが排気して、加圧チャンバ416の内部を大気圧に戻す。液圧流体を使用しているPEM400は、内蔵型の閉鎖流体システムで構成される。
PEM400の機能は、ユーザがHCU100に加えた圧力を患者へ直接「送信」し、その結果生ずる患者からの抵抗反応信号を医師のHCU100に送信することである。ソフトウエア及び医師のHCU100を使って、PEM400のカバー範囲内にある身体のいろいろな部分を、その上に乗った適切な加圧セルを「選定」することによって診断することができる。ソフトウエアが、選定されたセル404に対応するバルブ414を開くための適切なコマンドを送信する。選定されるセル404の数は、加えた「手」の圧力に対する患者の反応を引き出すため、医師が「押す」ことを望む患者の身体区域に対応している。さらに、医師はその戻り圧力データがユーザに返信されてくるセル、すなわち身体の区域を無差別に選定することができる。多くの状況では、圧力を加えるセルが、その戻り圧力データ信号を医師のHCU100に返信することになるが、いくつかの診察機能のために、あるセルのセットで圧力を加え、違ったセルのセットから圧力を受ける選択肢もある。
二番目のHCUを組み入れて、一番目のHCUと反対側の手に合わせ、医師が片側の手を使って患者のある部位に(一番目のHCUとPEMを通して)圧力を加え、患者の違った部位からの圧力反応を(二番目のHCUを通して)反対側の手に受けられるようにすることも考えられる。
コンピュータ・ソフトウエアは、医師のHCU100、PEM200又は400、システム・ダイナミクス、及び通信プロトコルの様々な機能に対するコマンドを制御する。HCU100の機能は、アクチブにする特定のセル又はセルのグループ、及びその結果の戻り信号を伝えるセルを駆動するためのセル選定機能を含む。また、このソフトウエアは、医師の特定のHCU100圧力反応パッドを、医師が圧力信号を送信するための送りパッチ、及び患者のデータを医師に戻すための受信パッドに指定する割り当てができる。
患者の身体上における医師のHCU100の位置関係もコンピュータ・ソフトウエアが追跡する。HCU100の動きを変換し、PEM200又は400に送信して、患者の身体のあらゆる箇所で手の動きをシミュレートすることができる。加えて、解剖学的データベースを組み入れて、診断する特定身体区域の生体組織横断面及び三次元レンダリングを提供することができる。
このソフトウエアは、医師がHCU100に加えた物理的圧力反応を電気信号に転換する。信号及び信号強度の標準化、校正及びリアルタイム監視は、典型的なプログラム機能である。このソフトウエアは、HCU100からPEM200又は400への、及びその反対方向への電気信号変換及び送信のための送信プロトコルも担っている。送信プロトコルは、地上ベース及び非地上ベースの通信プラットフォームを含む。ポンプ・チャンバ昇圧、校正、及び送信されてきた電気信号を、手動制御ユニットに加えられた実際の圧力と等しい大きさに相関を取って適切な昇圧コマンドに変換すること、ならびに、選定されたバルブの開閉状態を含め、ポンプ及びバルブに対するすべてのコマンドは、装置のソフトウエアにより制御される。
図9は、本発明の電気機械的及び気圧/液圧機構的双方の実施形態に対する装置機能の一般的プロセス流れを表す。医師は、関心のある身体区域を選定し、HCU100を使ってこれを触診を行う範囲に対応する駆動セル204又は404の下側にあわせる。感覚変調サブユニット140を介してHCU100に圧力を加えることにより信号が発生し、それが信号プロセッサ130及びアナログ・デジタル・コンバータ132を通して医師のコンピュータ160に送られ、今度はこれが、HCU100からの圧力信号を向けることになる、PEM200又は400上の関心範囲の感覚変調サブユニット240又は440を駆動するためのコンピュータ・コマンドを送信する。そこで、ユーザが、圧力刺激を加えた後で「感じ取り」たい患者の身体域に対応する圧力トランスジューサ244又は444が駆動される。このコマンドは、出力信号を医師のHCU100に返信できるように、受信セルの圧力トランスジューサ244又は444を駆動する。
医師は、指先、近位側掌、及び遠位側掌の手表面のどんな組み合わせでも使って(一本指から掌表面全体までにわたって)HCU100の感覚変調サブユニット140上を直接押して、通常、自分が手で患者の診察を行うときに加えると同等な力の所望入力圧力刺激を発生させる。この加圧力は、人、環境及び患者の診断部位によって異なることになろう。医師がHCU100の感覚変調サブユニット140に加えた圧力は、圧力トランスジューサ144により感知され、電気出力信号に変換される。この電気信号は信号プロセッサ130に送信され、処理されたアナログ電気信号はデジタル信号132に変換される。次に、このデジタル信号は医師のコンピュータ160に入力される。
医師のコンピュータ160では、ソフトウエア・プログラムは、HCU100及びPEM200又は400の様々な送信及び受信部分の間にリンクされたシステム経路;ユーザ側及び患者側双方設備の信号プロセッサ130、308、圧力トランスジューサ144、244、444、ピストン抵抗体148及び可変圧力生成装置248の校正、ならびに、HCU100からの入力電気信号を対応するPEM200、400への電気出力信号へ変換することについての責任を担っている。PEM400にポンプ・システムを使う場合には、メディア加圧タンク418内部の圧力センサー(図示せず)が校正されることになる。医師のコンピュータ160は、通信システム312を介してリモートコンピュータ260にPEM200、400への電気信号及び関連するソフトウエア・コマンドを送信する。前記に代えて、患者側すなわちリモート側で、独立のコマンド制御ボックス300を使用し、PEM200又は400の近くに配置することができる。デジタル圧力発生信号は、デジタル・アナログ・コンバータによってアナログ電気信号310に再変換され、後処理308され、次にPEM200又は400の、前もって選定された適切な圧力発生装置に送られる。そこで、PEM200又は400が、ユーザすなわち医師がHCU100に加えた力に基づいて、直接、患者へ力を加える。
ソフトウエアは、PEM400のために、HCU100のアクチブな各区域から入ってくる電気信号の受信、HCU100の様々な部分に加えられた入力圧力のそれぞれに対応する大きさの算定、及びこれらの情報を特定のポンプ・コマンドへ変換する役割を担う。この圧力コマンドは、次に患者のいる離れた場所のリモートコンピュータ260、もしくは、前記のPEM400のコマンド制御ボックス300部分のいずれかに直接送信される。そこで、医師がHCU100に直接加えた圧力と等しい出力圧力を実現するために、PEM400がポンプ機構を駆動させ、加圧チャンバ418を昇圧することになる。圧力センサーがチャンバ418の内部圧力を監視し、所望の入力圧力が得られるまで、ポンプ稼動の継続、停止の必要性に関する連続したフィードバックを提供する。次に、加圧チャンバ418の中の加圧されたメディアが、流入/流出ライン410経由で、選定され圧力バルブ414が開かれたそれぞれのセル404に送り込まれる。加圧されたメディアは選定されたセル404に流入し、医師がHCU100に加えた力に応じてセルの容積及び内部セル圧力を増大させる。
PEM200もしくは400によって患者に加えられた下向きの力は、患者から、まったくの無抵抗で診断した区域がさらにへこむ程度から、大きな抵抗又は「防御」に至る範囲の反応を引き出す。駆動されたセルが加えた力に対抗する患者からのこの抵抗力は、セルの圧力トランスジューサ244又は444により検出されることになる。
PEM200又は400の作動された圧力トランスジューサ244に検出された機械的抵抗反応は電気信号に変換され、患者所在地のコマンド制御ボックス300又はリモートコンピュータ260に返信される。入力コマンド・セットについて前記したように、このアナログ電気信号は、308で処理されデジタル信号310に変換されることになる。このデジタル信号は、通信システム312経由で医師のコンピュータ160に返信される。HCU100出力信号について前記したように、ソフトウエア・プログラムは、PEM200、400上のアクチブな各区域から着信するデジタル電気信号を受信すること、PEM200、400出力圧力それぞれに対応する大きさを算定すること、及びこれらと同等なデジタルHCU100抵抗力信号へ変換することについての役割を担う。このデジタル信号は同等なアナログ電気信号132に変換され、後処理130され、そこで前もって選定された適切なHCU100のピストン抵抗体に向けられる。HCU100のピストン抵抗体148によって生成される抵抗出力は、患者がHCU100の入力圧力刺激に応じて生成した抵抗出力と等しい。
ピストン抵抗体148が与える反応抵抗は、患者生体組織の選定された区域に加えられた圧力に対する患者の反応の触覚シミュレーションを医師に提供するものである。このシステムはリアルタイムかつ動的あり、医師は、前もって選定されたセル区域内に対し、連続して、押す−放す又は押す−部分的に放す、の操作による刺激を行うことができる。この装置の3つの主要構成要素、すなわち医師の手動制御ユニット、コンピュータ・ソフトウエア、及び患者検診モジュールは、連続的、リアルタイム、作用・反作用フィードバック・ループのためのシステムを提供する。医師は、医師が加えた圧力と、医師の手が手動制御ユニットに対して感知した患者の抵抗反応との抵抗力の差異を解釈し、医療上の意思決定に使うのである。
好適実施形態において、ソフトウエアが制御することになる全体的プロセスを示すフローチャートを図10A−10Cに図示する。ユーザは一般的に医師であるが、まずシステム500にログインする。ログインするための仕組みは、例えば、HCU中のバイオメトリック・スキャナ(指紋読取り装置、図示せず)を含め、何らかの既存の手段を備えるか、あるいは、もっと従来型のユーザ識別要求の仕組み及びパスワードを医師のコンピュータ160に備えることができる。次に、ソフトウエアはシステム日付及び時間502を問い合わせ、PEMとの接続を設定し、HCU及びPEM504のステータスを点検し、次にそれらの間に必要な通信リンクを設定する。この好適実施形態において、医師のコンピュータ160が第一データベースにアクセスして508、圧力トランスジューサ及び圧力生成デバイス(リニア・アクチュエータ)のようなHCU及びPEMの部品についての様々の校正ファクタを取得する。そこで、ソフトウエアが他の様々の初期化機能を実施するが510、この機能に圧力トランスジューサのサンプリング・レートの設定、部品類の初期化と校正を含めることができる(例えば、圧力トランスジューサに対して「ゼロ圧力」を設定する)。
次に、医療記録について患者の身元を検証すること、及び患者の一般的なサイズ及び年齢のような診察の助力となることのある基本パラメータを設定することの双方のために、患者の識別及びバイオメトリック情報が入力される512。次に、医師は診察する解剖学的部位を選定する514。この好適実施形態では、解剖学的データのデータベースへのアクセスが行われ516、これには診察する生体組織部分の包括的な静止画又は動画が含めることができる。本発明の実施形態において、診察する生体組織部分に関する包括的情報に加え、患者の治療及びバイオメトリック情報を使って、圧力トランスジューサ及びリニア・アクチュエータの感度のような各種のシステム・パラメータを調整することが考えられる。次に、医師は、PEMに出力信号を提供するHCUの部分518、PEMからフィードバック圧力を受け取るHCUの部分520、HCUから圧力信号を受信するPEMのセル522、及びHCUに圧力信号を返信するPEMのセル524を選定する。ほとんどの応用において、アクチブなHCUの部分と駆動されたPEMセルとの間で、例えば、HCUの感覚変調サブユニットが、PEMの同一セルとの間で圧力信号の送受信をするといった一対一の対応があると予期される。しかしながら、送信と受信信号を切り離せる能力は、システムにさらなる機能性を提供すると考えられている。本発明は、HCUの入力及び出力圧力信号を切り離すことができないシステムを意図している。
また、このソフトウエアは、マウスを動かすのと同様な方法で、システムがHCUの動きを追跡し、それに対応して駆動するPEMセルを変更するといったように、HCUの駆動部分の位置をPEMのものと連係させることができる526。システムにいっさいの圧力を加える前に、HCU及びPEM出力信号の圧力増幅/拡大又は低減/最小化といった、前もって定めた力の修正機能を適用することができる528。ユーザがHCUに力を加え530、その圧力信号が圧力トランスジューサ144の中に低電流の信号(HCU−P1)を発生させ532、それが信号プロセッサに送られ、これに対応する、より高い電流の信号が生成され534、次にデジタル信号(D−HCU−P1)に変換される536。D−HCU−P1圧力信号を使って、PEMに対するデジタル圧力信号(D−PEM−P1)が生成され538、それが医師のコンピュータ160からリモートコンピュータ260に送信される540。そこで、D−PEM−P1圧力信号は低電流アナログ信号(PEM−P1)に変換され542、PEMの可変圧力生成装置248に印加され、それに対応する力が患者に加えられる546。
選定されたPEMセルが、患者の抵抗反応を検知して548、圧力反応信号(PEM−P2)を発生し550、それが処理されてより高い電流の信号を生成し552、デジタル化(D−PEM−P2)される554。D−PEM−P2圧力信号を使って、HCUのための対応デジタル圧力信号(D−PEM−P1)が生成され556、それがリモートコンピュータから医師のコンピュータに送信され558、アナログ信号に変換され560、それが適切なHCUピストン・タイプ可変圧抵抗体148に印加されて562HCU上に反応力を生成する。診察が完了した場合には556、システムはリセットされ、医師が、患者の身体組織の異なる部分の別の診察を開始することができるようにする。そうでなければ、医師は、引き続き力を加え、患者からのさらなる反応を検知することができる。
このプロセスは、好適実施形態に関連して記載されているが、当業者には、前記のプロセスの変形応用が可能なことは明白であろう。例えば、圧力トランスジューサからの圧力信号を、より高い電流の信号へ前処理しないで使うことができるようにする、あるいは、内蔵A−Dコンバータとともに使用して、デジタル信号を直接生成することができるようにする実施形態が可能であろう。オプションとして、患者と医師とが近接している場合には、HCU及びPEMを直接共通のコンピュータ又はこの用途専用のデータ処理システムに接続することもできる。本発明は、解剖学的データベースにより提供される付加的な機能なしでも、明らかに実施可能である。さらに、当業者には、上記のPEMを液圧又は気圧による実施形態に合わせるため、図10A−10Cに示したプロセスをどのように変更したらよいかは明白であろう。
このHCU100は、離れた場所にいる患者の身体診察のシミュレーションを可能にすることを意図したものである。医学分野における応用には、深海、宇宙、戦場状態、遠隔地、及び/又は山岳/ジャングル探検のような劣悪な環境の中で患者を診察する能力も含まれよう。また、本発明は、非医療及び/又はレクレーション用途にも合わせることができ、人が離れた場所に所在する他の人、身体又は物体からの触覚反応を調べたり、感じたり、又は他の方法で引き出すことを望むような場合に使えよう。
携帯バージョンを、例えば、患者が実際に職場を離れて医師の診察室に出かける必要性をなくすため、職場内の医療室で応用することもできよう。
また、手術を実施するためのロボット用具使用の増加に伴い、医師がロボット・システムを使って手術を実施しているときに、触覚フィードバックを提供するように、上記の発明を直接的なやり方で改造することも考えられる。
携帯バージョンを、例えば、家庭で応用し、家庭への来診、診察室訪問又は時間外の救急医療室への訪問を避けることもできよう。この効率性は、全体的な医療コストに大きな影響を与えよう。
近接していない場所にいる人が必要とする身体構造の触覚情報又は三次元触覚モデリングを必要とするいっさいの応用は、本発明の範囲内である。
また、本発明を、物体と視覚障害者との間に実際の直接的な物理的接触なしに、その物体の感じを伝え又はシミュレートする視覚障害者の能力を高めるために適合させることもできよう
(第一の代替実施形態)
図11を参照しながら、本発明に従ったシミュレータ・アセンブリ600の一番目の代替実施形態を図示する。この代替実施形態は、身体診察の触診部分を記録し、再生する能力を提供する。下記で論じるように、シミュレータ・アセンブリ600は、身体診察の触診部分を医療記録に記録し、例えば、コンサルタント、予備の医師、患者、法医学の場、研究、教育、患者情報などに転送できるようにすることを意図している。シミュレータ・アセンブリ600は、身体形再生モジュール602と連結しているデータ操作システム628を含む。このデータ操作システム628は、その中にデジタル・データファイル622を格納しているコンパクトディスク626(以下「CD」)を含み、デジタル・データファイル622は、前記のHCU100及びPEM200を使って実施した検診のような、身体診察の触診部分をデジタル的に表現する。また、データ操作システム628は、周知のコンピュータ606のような、校正、変換、モデリング及び/又はデジタル・データファイル622の転送を制御するよう動作可能なコンピュータ・ソフトウエアを備えたコントローラを含む。周知のケーブル612が上記構成要素間の信号通信を結合する。
運用において、図解したシミュレータ・アセンブリ600の実施形態では、前回の診断で得られ、デジタル・データファイル622として保存され、事前記録又は格納された触覚データを、身体形再生モジュール602上で再生することができる。このように、身体形再生モジュール602を、離れた時間又は場所において以前に診察した人又は物体の実際の物理的特徴を表現又は再現するために使うことができる。
デジタル・データファイル622は身体診察のデジタル表現である。もっと具体的には、デジタル・データファイル622は、望ましくは、前記した実施形態の中で、HCU及びPEMを助力として行った身体診察の実施中に作動された圧力センサー、光エンコーダ、モータ・コマンド、ピストン・タイプ可変圧抵抗体、空気圧技術装置、マイクロコントローラなどの間の相互作用の複雑なシリーズを表現する。さらに、元の診察を行う際には、技術的に既知の方法を使って、前記のHCU及びPEMの圧力センサー、光エンコーダ、モータ、ピストン・タイプ可変圧抵抗体、空気圧技術装置、マイクロコントローラなどの間の相互作用を表現するデジタル・データを記録し、デジタル・データファイル622を作成する。
このデジタル・データは、CD626、デジタル・ビデオ・ディスク(以下「DVD」)、光ディスク、フロッピー(登録商標)ディスク、テープ又は他の現在知られている、あるいは開発中の様々な記憶メディアいっさいのような、どのような既知のデジタル・データ記憶メディアにこれを記録又は格納し、これによりデジタル・データファイル622を形成してもよい。格納されたデジタル・データファイル622を持つことにより、医師ユーザは、医学論文作成、オンコール医師に引き渡す際の治療の継続、又は医学生、レジデント、患者に対する教育ツール及び研究のような目的に動作可能な診察所見及び患者の特徴を再現するための使用に適した情報を有することになろう。
注記として、身体診察を行う中で実施される事柄及び処置の精密な順序は当業者にはよく知られており、したがって、本明細書には詳記しない。また、図解した実施形態においては、実際の診察中に得られたデジタル・データを記録することにより、デジタル・データの実施手順を得るのが望ましいが、当業者には、例えば、虫垂炎からくる腹部のこわばりのような、特定の疾病に対し身体の様々な部分に触れたときに予期される抵抗力をコンピュータ・モデリングするといった、技術的に周知の何らかの適当な方法で、格納デジタル・データファイル622を作成できることは明白であろう。
図解した実施形態において、コンピュータ・ソフトウエアは、格納されたデジタル・データファイル622を取り出し、石のHCU100の様々の部分及びそれに対応するPEM200からの反応から加圧値の実施手順を再設定することができる。診察対象の身体の特定部分について、時間及び場所双方の面から、この作用・反作用の一連のパターンをソフトウエア・システムがマップすることになる。解剖学的場所の特定は、元の診察のときの元のPEMデータ要素の特徴を読むことによって決定される。
考え方としては、このプロセスには、患者の動的3−Dモデルを展開することが関わる。最初に、ソフトウエアは、格納されたデジタル・データファイル622からHCUとともに使用されたPEMユニットのデータを明確化する。次に、ソフトウエアは、(使用された特定の区域PEMに基づいて)診察された身体部分のグラフィック表現を設定し、デジタル・データファイル622内に格納されたデジタル・データを順番に再生する。入力圧力値、時間関数としての圧力(圧力プロフィール)、ストロークの動きの値、及び元の加圧から記録されたHCUの触覚表面の部品の動きの度合いが、それらのデータが指向した、すなわち加わえられた力で作動された元のPEMの特定区域について、詳細に描写されることになる。HCU100に加えられた力によりもたらされ、PEMが検知した引き続く反応力も、上記の各パラメータに関して変換されることになる。
各PEMユニットはより小さなサブユニットのシリーズで構成されているので、その上に力と圧力データがマップできるます目パターンはすでに設定されている。そこで、このHCUに加えられた力とPEM反作用反応とは、問題のある生体組織の特定の区域に沿ってマップされることになる。診察の手順を再生して、診察時の力と圧力プロフィールのマップを判定し、診察された人又は物体に内在する特徴のモデルを生成することができる。このデータを、身体形再生モジュール602に直接接続されたコンピュータ606から身体形再生モジュール602にダウンロード、あるいは、通信ネットワークを通して送信し、離れた場所のコンピュータ又は身体形再生モジュール602にダウンロードすることができる。
コンピュータ通信分野における通信ネットワークは周知のものである。定義としては、ネットワークは通信施設又は連結体によって接続されているコンピュータ及び関連装置のグループである。ネットワーク通信は、専用ケーブル経由のような恒久的性質のものであることもあり、電話回線又は無線連結を通して行われる通信のような一時的性質のこともある。ネットワークには、数台のコンピュータ又はワークステーション及び関連装置で構成されるローカル・エリア・ネットワーク(「LAN」)から、地理的に分散されたコンピュータ及びLANを相互接続する広域ネットワーク(「WAN」)や一時的通信リンク経由で離れた場所のコンピュータを相互接続する遠隔接続サービス(「RAS」)まで、いろいろなサイズのものがある。次に、インターネット・ワークは、データの転送及び様々のネットワークからの変換を容易にするゲートウエイ及びルータを使った類似の及び異なった種類の多数のコンピュータ・ネットワークの共同体である。
図11〜13を参照し、身体形再生モジュール602に焦点を合わせながら説明するが、身体形再生モジュール602は、PEMを使用して診察される身体組織に対応する三次元(3−D)身体モデルとして形作られている。例えば、身体形再生モジュール602を全身にも、又は、胸部、腹部、頭部、首、腕、手、脚、足、骨盤や指のような、身体のどこかの関心部分にも形作ることができる。図解した実施形態の身体形再生モジュール602は、人体の腹部を模倣して形成されている。望ましくは、元の診察で使われたPEMの身体構造に対応した身体形再生モジュール602を使用するが、それに代えて、一般的な身体形再生モジュールを使用することができる。
図解した実施形態において、身体形再生モジュール602は、ゲル、ナイロン、ゴム、シリコン又は軟プラスチック・サブストレートのような、柔らかで、半軟弱な材料で成型される。各身体形再生モジュール602は、望ましくは、皮膚表面618をシミュレートするために弾力性のある外部接触表面を含む。
身体形再生モジュール602は、セル632の配列630を含む。セル632は、前記したHCU100及びPEM200のセル204と同様である。前に記した感覚変調サブユニット506は、力の検知及び発生の双方を行うが、当業者には、この実施形態のセル632は、前記に換えて、力を検出する能力なしに、加圧だけを行うように構成することができるのは明らかであろう。このような構成は、肋骨骨折による腹腔変形のような身体の形状又は状態を静的に表現するために使用することができる。
身体形再生モジュール602の全体サイズ、及び各身体形再生モジュール602中のセル632の数は、所望の用途に合わせて選定することができる。望ましくは、それぞれのセル632のサイズと場所は、対応するPEM200内のセル204のものと相関している。もちろん、セル602は、一般的には、対応するPEMのセルと反対に機能することになる。概念として、写真フィルムの処理を例えに使うと、PEMはネガを表し、身体形再生モジュール602は(ポジ)プリントを表すことになろう。
図13を参照しながら説明する。各セル632は、対応するPEM中の感覚変調サブユニットのサイズと寸法に対応した、数ミリメータ深さのキャビティ634を含む。各キャビティ634内には、感覚変調サブユニット636が収納される。感覚変調サブユニット636の最上部は、例えば、天然、人工又は生体適合材料(人工、模擬、培養又は加工皮膚細胞又はその代替品)を含め、擬似皮膚材料シリコーンゴム、軟プラスチック基材、又は、他の適切な材料で形成された厚板片638を含む。それぞれの厚板片638は、のぞましくは、おおよそ指先サイズの大きさである。装置の感度と機能性を増大するために。各セル632をさらに分割し、各キャビティ634がより小型の機能感覚変調サブユニットの集合体を代表するようにすることができる。
代表的な感覚変調サブユニット636の詳細を説明する。サブユニット636は、模擬皮膚の厚板片638中に内蔵された一方向圧力トランスジューサ640を含む。圧力トランスジューサ640の作用面642すなわち受圧面は上方向、すなわち、ユーザの手に面する方向を向いている。圧力トランスジューサ640の向きは、ユーザから入ってくる圧力が、圧力トランスジューサ640の作用面642と向き合うようになっている。
内蔵圧力トランスジューサ640を持つ模擬皮膚である厚板片642は、金属又はプラスチックのような硬い材料で形成された支持プラットフォーム644上に搭載される。支持プラットフォーム644の下側面には可変圧力生成抵抗体646が取り付けられ、これは、図解した実施形態では、単一チャンネルのピストン・タイプ可変圧抵抗体646である。ピストン抵抗体646は、データ操作システム628から受信した反応信号に応じて、擬似皮膚である厚板片638の下側面に対し逆圧又は反応力を与える。厚板片638、圧力トランスジューサ640支持プラットフォーム644及びピストン抵抗体646を含め、各セル632の部品類は、各セルのキャビティ634内に配置され、これに支持されている。各キャビティ634内には穴648が設けられ、ピストン抵抗体646の開放端を挿入するように合わされている。開始した実施形態では、この穴648のサイズは、支持プラットフォーム644が、キャビティ634の底面からわずかに上昇するように設定され、したがって、ユーザが感じる抵抗は模擬皮膚厚板片638自体によるものだけである。
望ましくは、それぞれのセル632は、支持プラットフォーム644と擬似皮膚厚板片638の底面との境界面に配置された二番目の圧力トランスジューサ650を含む。この二番目の圧力トランスジューサ650は、望ましくは、その作用面652が、擬似皮膚厚板片638の底面654と反対側になるような方向にする。二番目の圧力トランスジューサ650の機能は、内部抵抗を監視し、各セル632内で適当な大きさの駆動力が維持されているかどうかを判定することである。このデータは、例えば、ユーザの手605が、身体形再生モジュールの表面に触れたり、動かしたりしたときに、適切な抵抗パターンが再現されることを確実にするために使われる。
前記に代えて、ピストン抵抗体システムを使うのでなく、リニア・アクチュエータ、モータ、及び/又は光エンコーダのシステムを使って、各セル632内に選定された力及び圧力のプロフィールを発生させ、維持するように各セル632を構築することができる。図14を参照しながら説明すると、例えば、図13のピストン抵抗体646を機械的作動システム680で置き換えることができる。機械的作動システム680は、リニア・ギア・ラック688を駆動できるステッパ・モータ684で構成されるリニア・アクチュエータ656を含む。ステッパ・モータ684は、ギア・ラック688とかみ合って、それを長さ方向に選択的に駆動するギア686を含む。ギア・ラックの先端部には支持プラットフォーム644が取り付けられている。このように、当業者には明白なように、ステップ・モータを選択的に制御して、ギア・ラック688及び取り付けられた支持プラットフォーム644をリニアに駆動し、厚板片683の下側面に対して加える圧力及び抵抗力を調整することができる。加える圧力及び抵抗力は、データ操作システムから受信する反応信号により決まる。図解した実施形態には、特定のリニア・アクチュエータ656の実施形態が描かれているが、当業者には、支持プラットフォーム644をリニアに駆動できる、技術的によく知られた他のリニア・アクチュエータが、本発明への使用に適していることは明らかであろう。
機械的作動システム680は、望ましくは光エンコーダ682を含む。光エンコーダ682は、ギア・ラック688のいっさいのリニアな動きが、関連するギア690の回転を引き起こすような形で、ギア・ラック688とかみ合わせ配置されているギア690を含む。そこで、光エンコーダ682をギア・ラック688の位置を監視するのに使って、これにより、厚板片638の外部表面の境界面における力を間接的に監視することができる。
図13−15を参照しながら説明する。本発明では、他の感覚変調サブユニット構成も考慮している。例えば、各セル中の単一又は複数の多重チャンネル圧力トランスジューサ又は抵抗体を組み込んだ感覚変調サブユニットは、本発明での使用に適している。このような構成においては、圧力又は抵抗の絶対的変化は、単一又は複数の多重チャンネル圧力トランスジューサ又は抵抗体に負荷された力の集合を取って算定される。
図11を参照しながら説明する。図解した実施形態の身体形再生モジュール602は従来型のケーブル612を通してエンド・ユーザのコンピュータ606につながっている。
図15を参照しながら説明する。前記のシミュレータ・アセンブリへの使用に適したセル700の他の実施形態を示す。この代替実施形態では、セル700は、空気、水、電気化学ゲル、又は油圧流体のような加圧媒体流を用いて、支持プラットフォーム722をリニアに変位させている。
それぞれのセル700は、加圧媒体流の流入と流出とを受け持つ一つの取入れ/排出二重機能ライン704とともに、膨張チャンバ702を含む。バルブ706は、膨張チャンバ702への加圧媒体流の出入り流入及び流出を調整する。また、各セル700は、一番目の単一チャンネル圧力トランスジューサ708及び二番目の単一チャンネル圧力トランスジューサ710を含む。一番目の圧力トランスジューサ708は、その作用面が外側に面する方向、二番目の圧力トランスジューサ710は、その作用面が内側の膨張チャンバに面する方向に設置されている。圧力トランスジューサ708及び710は、ユーザが加えた触覚圧力の監視及び記録はもとより、診察中に身体区域の特定の部分に検知された抵抗をシミュレートするため必要な膨張チャンバ702圧力を維持するため機能する。
各セル700の取り入れ/排出ライン704は、望ましくは、加圧媒体流を収納するための貯蔵チャンバ716とつながれている。バルブ706は、各セルの膨張チャンバと貯蔵チャンバ716との間の加圧媒体流の流れを調整する。膨張チャンバ702への流入は、膨張チャンバ702の膨張をもたらし、これによりシミュレートされた抵抗力を増大させる。同様に、膨張チャンバ702からの流出は、膨張チャンバ702の縮小をもたらし、これによりシミュレート抵抗を低減させる。
加圧アセンブリ712は、貯蔵チャンバ716に加圧媒体流を供給するために貯蔵チャンバ716と連結されたポンプ714のような、従来型の加圧装置を含む。望ましくは、加圧アセンブリ712及び関連する制御ハードウエアは、身体形再生モジュールの中に直接組み入れられるが、これを外部に設置することもできる。
加圧媒体流として空気を使用している身体形再生モジュールには、例えば、ポンプ714が、身体形再生モジュールの外部から、セル700配列の下部に配置された貯蔵チャンバ716の中に空気を吸引するといった半閉鎖型の回路設計を使うことができる。この好適実施形態においては、複数のバルブ706が貯蔵チャンバ716内に配置され、それぞれのセル700が、その中の、各セル700の膨張チャンバ702と連結された一つのバルブ706を有する。そこで、バルブ706を選択的に作動させて、貯蔵チャンバ716と各セルの膨張チャンバ702との間の加圧媒体流の流れを制御することができる。したがって、この単一の貯蔵チャンバは、介在バルブ706を通して、各膨張チャンバ702と直接に連絡している。
圧力調整回路718は、望ましくは、チャンバ内部圧力を感知してその情報をコントローラ720に送信し、所望の貯蔵チャンバ圧力を維持する。適切な膨張チャンバ702が加圧された後、貯蔵チャンバ716に所望の圧力が達成され(HCUから伝達されたしかるべき圧力信号に応じて)、これにより引き起こされた患者の反応信号が、コントローラ720を介してHCUへ返信される。必要ならば、貯蔵チャンバ716は、大気圧まで排出して、貯蔵チャンバ716内に収納されている加圧メディアの圧力を低減する。液圧加圧媒体流を使用している身体形再生モジュールは、内蔵型の、密閉流体システム回路で構成されることになろうが、当業者には、前記の開示に照らしてその構造は明白であろう。
図11を参照しながら説明する。身体形再生モジュール602は、前記のHCU及びPEMユニットの使用により得られ記録された内部抵抗及び圧力を再現し、ユーザに、離れた時間又は場所で感じられた患者の身体部分の触感の臨場感ある表現を提供するものである。身体形再生モジュール602は、事後においても、例えば他のユーザが、元の診察時に診察者が感じたシミュレート触感を感じるために、これを物理的に操作することができる。
上記に図解した本発明の実施形態は、説明目的のため、特定の医学上の応用に関して記載しているが、当業者は、開示された第一の実施形態が説明的性質のものであって、身体診察における実際の身体所見の再現への応用に限定されると解釈すべきでないことは十分理解するであろう。したがって、当業者には、この代替実施形態が広い応用分野を持ち、離れた場所にいる人が触覚情報又は身体構造の三次元モデリングを必要とするいっさいの状況下において使用できることは明白であろう。例えば、本発明に従って形成された実施形態は、科学的応用(考古学又は生物学のような)の中で、現場の科学者が自分たちの発見/作業成果の触覚的特性を所属する組織の同僚に送信する必要がある、又はそうすることを望むことがある場合のような、非医療面での応用に適している。このように、本発明に従って形成された実施形態は、非生物体のような、人体以外の物体にも適している。
(第二の代替実施形態)
本発明の、エンターテイメント産業での使用に適したもう一つの実施形態において、触覚データは、DVD、CD、コンピュータ・ゲーム及びTV放送のようなエンタテインメント・メディアに組み入れられ、事前にレコードされた映画、オーディオ及びビデオ様式の中に触れ感覚を持ち込む。図16を参照しながら、触覚再生アセンブリ800を示す。触覚再生アセンブリ800は、再生装置802、多重チャンネル・コントローラ804及び双方向型圧力再生着衣806を含む。
図解した実施形態の再生装置802は、外観及び機能においてDVDプレイヤーに類似している。しかしながら、当業者には、再生装置802が、格納されたデータ、例えばデジタル・データ、を双方向型圧力再生着衣806が使用可能な制御信号に変換することができる、どのような適切な形をも取ることができるのは明白であろう。例えば、CD、デジタル・テープDAT、MP3ファイル、バードドライブ装置等のようなメディア記憶装置を使うことができ、これらにデジタル・エンコードされた触覚データを変換して、消費者/ユーザが着用している双方向型圧力再生着衣806に送信できるどのような再生装置も本発明での使用に適している。双方向型圧力再生着衣806は、前記の実施形態ですでに説明したPEM装置の構造及び動作と実質的に同様となろう。また、双方向型圧力再生着衣806は、図示するようにユーザの全身、あるいは胸部、腹部、腕、手、脚、足、などのようなユーザの一部だけを覆うことができる。
運用において、双方向型圧力再生着衣806は、再生装置801から送信されてくるデジタル・エンコード触覚データを受信し、そのデータを、双方向型圧力再生着衣806内に配置されたセル808配列の中に内蔵された複数の可変圧力生成装置を駆動するための入力信号に変換する。この圧力生成装置は選択的に作動され、双方向型圧力再生着衣806を着用したユーザに所望の力又は触感を加える。この圧力生成装置は前に説明しているので、ここでは説明しない。しかしながら、双方向型圧力再生着衣806を、着衣806が力を加えることだけができ、力の検知能力がないように簡素化することが可能なことは、十分理解できるであろう。したがって、簡素化した双方向型圧力再生着衣806を所望する場合には、前に説明した圧力トランスジューサのうちの一つを除去できる。
触覚再生アセンブリ800は、触覚情報をエンコードし、現行のオーディオ及びビデオ情報と一緒に組み込み、これを、コンピュータ・ゲーム、映画及びインターネット・ベースのオーディオ/ビデオ通信を含む娯楽メディアのすべての形態に応用することを可能にする。例えば、DVDフィルム・トラックへ触覚イベント・データを組み込むことにより、消費者は、映写されているアクションの触覚感の一部を経験することができるであろう。このような例には、ホラーものやミステリーものを見ているときに、登場人物の後ろからその肩に置いた手を感じられること、また、アクション映画の中で登場人物が耐えるパンチやキックを感じる能力が含まれる。当業者には明らかなように、同様な応用を、コンピュータ・ゲーム、及び他の形態の娯楽メディアにも組み込むことができる。以下も当業者には明らかなことであるが、再生装置を使って、通信ネットワークを介し、離れた場所に設置された再生着衣806にデータを送信することができる。
(第三の代替実施形態)
図17を参照しながら、本発明に従って形成された第三の実施形態を、触覚記録アセンブリ850として説明する。この触覚記録アセンブリ850は、記録装置852、多重チャンネル・コントローラ854、及び双方向型圧力記録着衣856を含む。
記録装置852は、双方向型圧力記録着衣856から受信したデジタル・エンコード触覚データをメディア記録装置に格納する。図解した実施形態の記録装置852は、その外観及び機能がDVDレコーダに類似している。望ましい使用において、例えば、俳優又はスタントパーソンといったユーザが、双方向型圧力記録着衣856を着用する。次に、双方向型圧力記録着衣856は、例えば、他の俳優又はスタントパーソンのような外部からの衝撃を受ける。双方向型圧力記録着衣856に加えられた触覚圧力は、双方向型圧力記録着衣856と信号通信結合された記録装置852によって記録される。このようにして、デジタル・ファイルデータを作成することができ、図16に描いたこの代替実施形態中の再生装置802が、双方向型圧力再生着衣806上にそれを再生することができる。
運用において、双方向型圧力再生着衣806は、セル858の配列中に内蔵された複数の感覚変調サブユニット上に触覚圧力を受け、受けた触覚圧力を出力信号に変換し、その出力信号を多重チャンネル・コントローラ854に送信する。感覚変調サブユニットは、大きさが可変の出力信号を発生させる能力を持ち、この出力信号の大きさが感覚変調サブユニットに加えられる触覚圧力の大きさと相関する。多重チャンネル・コントローラ854は、双方向型圧力記録着衣856から受信した信号を処理し、処理した信号を記録装置852に送信して格納する。双方向型圧力記録着衣856の感覚変調サブユニットは、その構造と機能において、前記の実施形態の中で説明したPEM装置の感覚変調サブユニットと実質的に同様なので、さらなる詳細はここでは説明しない。双方向型圧力記録着衣856は、ユーザの全体の身体を覆うように描かれているが、当業者には、前記に代えてこの双方向型圧力記録着衣856を、胸部、腹部、腕、手、脚、足など、ユーザの身体のどこかの部分を覆うようにすることもできるのは明らかであろう。
図16及び17を参照しながら説明する。この好適実施形態において、デジタル・データファイルは、双方向型圧力記録着衣856の着用を通して作成されるが、当業者には、このデータファイルを、双方向型圧力記録着衣856による助力なしで、コンピュータ生成デジタル・データファイルのような、他の手段によって生成することができるのは明らかであろう。まださらに、双方向型圧力再生着衣806を近接した場所にある双方向型圧力記録着衣856に直接結合すること、又は、着衣806と856とが離れた場所に所在する場合には、世界的コンピュータ・ネットワークのような通信ネットワークを通して結合することができるのは明白であろう。このようにして、双方向型圧力再生着衣806を着用した一番目のユーザは、双方向型圧力記録着衣856を着用した二番目のユーザから受信した触覚圧力を感じることができる。
(第四の代替実施形態)
図18−21に図示されているのは、本発明に従って形成された第四の実施形態であり、一般にイメージング診断アセンブリ900と呼ばれる。このイメージング診断アセンブリ900は、患者と医師との間に実際の直接的な物理的接触なしに、患者の体の身体診察を可能にする。イメージング診断アセンブリ900は、2−D又は3−Dの内部又は外部身体画像を同時に生成するよう動作可能な画像化装置936を含む。イメージング診断アセンブリ900は、身体画像データと同時並行して触覚データをも取得する。これにより、医師/ユーザは、問題の組織又は身体をリモートで触覚的に感じ又は動かしながら、同時に加えた触覚圧力の体内及び/又は体外への影響を視ることができよう。この能力は、医療診断機器としてのこの装置の機能性を高める。
イメージング診断アセンブリ900は、一般に3つの構成部分からなる、すなわち、HCU(図示せず)、患者診察−イメージング・モジュール904(以下、「PEIM」)、及び、離れた場所にいる医師と患者との間での、身体触覚情報及び画像処理データ双方の、取得、校正、転送、及び変換の制御に使えるコンピュータ・ソフトウエアの3つである。このHCUは、図1−4に図示した実施形態について前記したHCUと実質的に同じなので、簡潔化のためにここでは説明しない。
PEIM904は、望ましくは、人の手のサイズに似せて、一般には直方体形状に形作られた成型プラスチック・デバイスである。このタイプの構造の利点は、その軽量さ、動かし易さ、デバイスの成形、耐久性、及び耐衝撃性の点からの製造の容易さにある。図示したPEIM904の実施形態は長方形であるが、当業者には、PEIM904をどのような適当な形状に形作ることもできることは明白であろう。ただし、望ましくは、PEIM904は、装置の重要な感知、運動及びイメージング部分と、診断される人又は物体との間になじみやすい接触面を備えるように形作られる。
図解した実施形態において、PEIM904は、PEIM904の上面910に、周辺部と比べてわずかな盛り上がりを有し、動作底面912には、わずかな凹部又は陥没部を有する。上面910のわずかな盛り上がりにより、患者は、PEIM904の上部に手を置いて、離れた場所に所在する診察医師の指示に従って、自分の身体の各部分にこれを固定したり、身体部分に沿って動かしたりできる。前記に代えて、PEIM904を「手袋」形状にデザインし、患者の手全体をPEIM904の中に挿入することもできる。
PEIM904の動作底面912は、触感プロセッサとして機能するセル914に分割されている。PEIM904の触感処理の方式は、前記の実施形態の触感処理方式と実質的に同様なので、ここでは簡潔に述べる。手短には、セル914は、成型プラスチックのPEIM904上に、複数のキャビティ916(一般には深さ数ミリメータ)をくり抜いてこれを形成する。それぞれのキャビティ916内に、感覚変調サブユニット918を収納する。感覚変調サブユニット918の電気機械的及び/又は空気圧システム構造は、前記の実施形態で説明した感覚変調サブユニット918と変わりがないので、ここでは繰り返さない。
それぞれの感覚変調サブユニット918のサイズは、PEIM904中のそれぞれのキャビティ916によって異なることになる。一般に、各感覚変調サブユニット918の底面積は、指先の寸法に近いものにする。図の実施形態では、8つの感覚変調サブユニット918を収納する2×4行列のセル914が示されている。感覚変調サブユニット918のサイズ、形状及び数を変えて、装置の感度と機能性とを増大(望ましくはないが、減少)させることができる。例えば、ある好適実施形態においては、感覚変調サブユニットは、4×4行列で、16個の感覚変調サブユニット918が収納されるように形成される。それぞれの感覚変調サブユニット918をさらに分割して、各キャビティ916が、より小型の感覚変調サブユニット918の集合となるようにすることができる。
PEIM904のイメージング・システム機能は、望ましくは、超音波画像化技術プラットフォームを通して提供される。図解したPEIM904の実施形態において、画像化装置936は、PEIM904の底面912の中央部分にそって配置される。画像化装置936は、超音波信号発生及び受信能力を備えるリニア・アレイ・トランスジューサ908を含む。リニア・アレイ・トランスジューサ908は、標準の信号ゲート技術を使って信号の送信及び受信双方を行う多機能トランスジューサ920を含む。ゲル・マトリクス材のような非干渉材料で構成される模擬皮膚表面922が、リニア・アレイ・トランスジューサ908の上に被せられる。空気が、望ましい超音波伝導に干渉するので、リニア・アレイ・トランスジューサ908と患者の皮膚との間の境界面にゲル・マトリクス材が置かれる。リニア・アレイ・トランスジューサ908は、所望するPEIM904の機能及び必要な超音波の浸透深さにより、その構成及び周波数双方の面で異なってこよう。一般に、深部の組織構造を画像化するための装置は、より低い放出周波数のリニア・アレイ・トランスジューサ908を使用し、もっと表面に近い身体構造のためには、より高い周波数能力を持つリニア・アレイ・トランスジューサ908を使用することになる。
PEIM904は、前記の実施形態において説明したシステム・ソフトウエア及びHCUとともに使うように意図されている。PEIM904は、患者側端にあるコンピュータ又は通信装置(図示せず)に接続されることになる。患者は、PEIM904を保持し、医師の指示に従ってそれを自分の身体にそって動かすことになろう。そこで、医師は、HCUを使って通信ネットワークを通してPEIM904に圧力信号を送信することができる。次に、PEIM904は、患者の対抗圧力反応を検知し、これによる逆圧信号をHCUに送信することができる。
これに加えて、PEIM904は、超音波パルス情報を送受信できる。この好適実施形態において、医師側のコンピュータ上の処理ソフトウエアから通信ネットワーク経由で放出信号が送信され、PEIM904内のリニア・アレイ・トランスジューサ908を駆動し、患者に超音波信号が放出される。次に、ゲート機能が実行され、同じリニア・アレイ・トランスジューサ908が、帰ってくる反響を受信する。その情報は医師のホスト・コンピュータに返信される。
図解した実施形態において、よく知られた画像処理方法を使って、Bモード、スペクトル、デュープレクス、及び/又は色情報を提供できる。これら情報を、望ましくは、通信ネットワークを介して診察を行っている医師が、リアルタイムで利用できる。イメージング診断アセンブリ900の他の機能と同様に、これらのデジタル情報を、触覚イベント・データを画像データに組み入れて保存し、再生することができる。
前記のPEIMに対し、PEIMを、診察する患者の身体上に直接あてがい貼り付けチャック固定具のような取り外し可能固定具によって支える診察パッドを備えた、身に付けられる着衣として構成するといった、別途のデバイス構成を用いることができる。貼り付けチャック固定具は、融通が利き、多様な身体形状及びサイズへの使用を可能にしてくれよう。PEIMを、胸部用のベスト、腹部用の帯、袖、長手袋、又は上肢用の手袋、脚用のズボン又は下肢用のブーツ、あるいは手指や足指のような小さな箇所用に小バンドに仕立てることがでる。別途バージョンには、前記のような液圧及び気圧システムをベースにした感覚変調サブユニットも含まれる。
PEIM904を、電気接続コード938経由でコマンド制御ボックス(図示せず)又は直接に患者側端末コンピュータ、又は通信装置に取り付けることができる。コマンド制御ボックスには、周知の電源、小型中央演算ユニット、信号プロセッサ、デジタル・アナログ・コンバータ、及び、PEIM904がデータを受信及び送信しこれを医師のHCUの機能に連結するための通信システムが組み入れられよう。
この通信システムには、通信ネットワークへの接続、地上ベース又は直接有線電話ライン、もしくは以下を可能にする他のいっさいの現行又は将来の装置へのコンピュータ接続又は直接接続を可能にする内蔵モデムが含まれよう;(1)光ファイバー・ケーブル・チャンネル及び非ファイバー光ベースのデータ/音声/映像信号送信方法を含め、光ベースの通信、(2)以下に限定はされないが、ラジオ周波数、極超短波周波数、マイクロ波又は衛星システムを含め、音声及び/又はデータ情報を送受信できる無線通信、及び(3)赤外光、磁気、他の波長の可視又は非可視放射、生体材料(生体ロボット又はウイルス生命体を含む)、原子/素粒子、のような現在まだ使用されていないいっさいのメディアを使った将来のいっさいの音声又はデータ送信。
望ましくは、PEIM904のこの制御部分は、直接患者に加わる重量の軽減、特にPEIM904を手足や指のような身体の小さな部分に置く場合のPEIMサイズの低減、及び/又はユニットの安全性の向上(通信/データ送信からのRF又はマイクロ波放射への曝露の低減)のため、患者から離れた所に置かれることになろう。当業者には明らかなように、電気接続コード938に、感覚変調サブユニットの圧力トランスジューサ及び可変圧力生成装置、画像化装置908と、電源との間に配置された接続線を含めることができる。
当業者には明らかなように、PEIM904を単一又は複数の多重チャンネル圧力トランスジューサ/抵抗体デバイスで構成して、HCU(図示せず)を通してユーザの手に抵抗力の絶対変化を変換、伝達することもできる。PEIM904の感度及び機能性を増大させるために、それぞれのセル914をさらに分割し、PEIM904全体に多数の感覚変調サブユニットを取り付けることができる。
前記の実施形態では、リニア・アレイ・トランスジューサ908は、感覚変調サブユニット918を内蔵するセル914とは離されて、PEIM904内に配置されているが、当業者には、本発明の範囲において、他の構成が可能なことは明らかであろう。例えば、図21に示すように、超音波トランスジューサ908をそれぞれのセル914内に配置し、各セル914が感覚変調サブユニット及び超音波トランスジューサ908の両方を包含することができる。
図22は、イメージング診断アセンブリ900に関連する全体的なプロセスを示すフローチャートである。ソフトウエアは、HCU、PEIM、システム・ダイナミクス、及び通信プロトコルの様々の機能を制御する。ソフトウエア1000の個別機能は、本発明のイメージング側面に関する追加特性を除いて、前記の実施形態で説明したものと同様である。したがって、以下の説明は、PEIM904のイメージング側面を制御するため用いられる特徴に焦点を合わせ、簡潔化のため、前に記載したソフトウエアの機能の詳細については説明しない。
この追加のソフトウエア機能は、特定の信号処理機能、信号解析、及びBモード、スペクトル解析、色、及び/又は複式ドップラー画像を提供するための処理コマンドをはじめ、超音波信号放出、ゲート切替え、及び通信プロトコルのすべてを含む。このソフトウエアは、リニア・アレイ・トランスジューサ908の作動部分と、触覚データを提供するPEIM904の残りの部分との間に配置された通信ネットワークを使って、放出源及び帰還データのためのデバイス送信プロトコルを制御する。
図22を参照しながら説明する。コンピュータ1014は、パルス発生器1024からのパルス受信に基づいて放出信号を発生させる。この放出信号は、コンピュータ1016と一体的に形成されたマイクロプロセッサ1016によって受信される。放出信号はソフトウエアによって処理され、放出信号がデジタル・ゲート1006もしくはデジタル・アナログ変換ゲート1004のいずれを通過したかによって、デジタル信号又はアナログ信号のいずれかの形で、例えば世界的コンピュータ・ネットワークのようなコンピュータ・ネットワーク1012を介してリニア・アレイ・トランスジューサ1002に送信される。リニア・アレイ・トランスジューサ1002は、この放出信号を受信、処理して、受信放出信号に応じた超音波を発生させる。超音波は患者の身体内に向けられる。リニア・アレイ・トランスジューサ1002によって受信された戻り超音波は、適宜デジタル・ゲート又はアナログ・デジタル変換ゲートを経由して、マイクロプロセッサ1008に送信される。マイクロプロセッサ1008は、受信した信号を処理し、その信号をコンピュータ1010に送信する。コンピュータ1010は受信した信号を処理し、超音波画像を表現する処理データを、通信ネットワーク1012を介して、第二のコンピュータ1014に送信する。
コンピュータ1014は受信したデータを処理し、データをマイクロプロセッサ1016に送信し、次にデジタル・ゲート1018又はデジタル・アナログ変換ゲート1020を通して受信器1026に送る。受信器1026は、受信したデータを、グレースケール・ディスプレー装置又はカラー・ディスプレー装置で動作可能なように処理し、そのデータをメモリ・ユニット1020及び、望ましくは、ディスプレー装置1030に送信する。ディスプレー装置1030は、そのデータをユーザ/医師の使用のため視像様式で表示する。
パルス発生器1024は、図示したシステムの各種構成要素を同期させる。具体的には、技術的によく知られているように、超音波画像装置は、超音波を短時間放出する。次に、超音波トランスジューサは放出機能を停止し、戻り反響を短時間聴取する。パルス発生器1024は、超音波画像化プロセス中に実行される各種のイベントをトリガーし、同期するためのタイミング・パルスを発信する。
図解した本発明の実施形態のパルス発生器1024は、メモリ・ユニット1028、受信器1024、及び増幅器1022と、信号通信結合されている。増幅器1022がパルス発生器1024からパルスを受信すると、増幅器1022は電圧の形で出力信号を発生させ、その信号は、マイクロプロセッサ1016への送信のため、デジタル・ゲート1018又はアナログ・デジタル変換ゲート1020のいずれかに向けられる。信号は、マイクロプロセッサ1016内で処理され、コンピュータ1014に送信される。コンピュータは信号をさらに処理し、その信号を、インターネット1012のような通信ネットワークにより、もう一つのコンピュータ1010に送信する。コンピュータ1010は、信号を処理し、その信号を、さらなる処理のためマイクロプロセッサ1008に送信する。次にマイクロプロセッサ1008は、望ましくは、信号増幅器1003を通して、トランスジューサ・アレイ1002に送信するために、信号をデジタル・ゲート1006又はアナログ・デジタル・ゲート1020のいずれかに伝送する。トランスジューサ・アレイ1002が受信した信号いかんによって、トランスジューサ・アレイ1002は、放出又は受信いずれかの構成をとる。
説明目的のため、本発明の実施形態を、特定の医療応用に関連させて延べているが、当業者は、開示された各種の実施形態が説明的な性質のものであって、身体診察に関する実際身体所見の再現に限定されると解釈すべきでないことを十分理解していよう。したがって、代替の実施形態は、幅広い応用範囲を持ち、離れた場所にいる人が、触覚情報や身体構造の三次元モデリング必要とするいっさいの状況において使用できることは明らかであろう。
例えば、例示した本発明の実施形態は、離れた場所にいる患者の身体診察をシミュレートするのに使えるものとして説明されているが、医学分野内におけるさらなる応用には、深海、宇宙、戦場状態、遠隔地、山岳/ジャングル探検のような劣悪な環境の中で、触診の他にリアルタイムの体内画像化能力も組み入れて患者を診察する能力も含まれよう。さらに、携帯バージョンを、患者が実際に職場を離れて医師の診察室に出かける必要性をなくすため、職場内の医療室で使うこともできよう。これは、患者及び医師の双方にとって非常に非効率的である。また、携帯バージョンを、家庭に応用し、いくつかの診断については、時間外の救急医療室への訪問を省くこともできよう。この効率性は、全体的な医療コストに大きな影響を与えるであろう。さらに、例示した実施形態を、他の科学的応用(考古学、生物学、深海のような)の中で、現場の科学者が自分たちの発見/作業成果の触覚的及び内部画像特性を所属する組織の同僚に送信する必要がある、又はそうすることを望むことがある場合に応用できる。
本発明の実施形態を例示して説明したが、本発明の精神と範囲から離れることなく、これに対し様々な変更を加えることができることが十分理解されよう。
触覚情報を処理および/または取得する装置、離れた場所または離れた時間に取得した触覚情報を送信、記録、再生、及び再現する装置が提供されるので、遠隔医療「テレメディシン」の分野に利用可能である。
図1は、本発明を使用したシステムの好適実施形態の図示で、医師が、離れた場所にいる患者を診察しているところを示す。 図2は、本発明に従った手動制御ユニットの平面図である。 図3は、図2の手動制御ユニットの略断面図である。 図4は、本発明に従った、図3に示した手動制御ユニットのための感覚変調サブユニットの断面の略図である。 図5は、本発明に従った、患者の胴体診察のための患者検診モジュールの好適実施形態の前面図である。 図6は、図5に示した患者検診モジュールのセルの断面図である。 図7は、本発明に従った、患者の胴体診察のための患者検診モジュールの第2の好適実施形態の前面図である。 図8は、図7に示す患者検診モジュールのセルの断面図である。 図9は、本発明の好適実施形態の一般的プロセス・フロー図である。 図10A−10Cは、図1に示した好適実施形態を制御するソフトウエアの機能を詳記した流れ図を示す。 図10A−10Cは、図1に示した好適実施形態を制御するソフトウエアの機能を詳記した流れ図を示す。 図10A−10Cは、図1に示した好適実施形態を制御するソフトウエアの機能を詳記した流れ図を示す。 図11は、本発明に従って形成した第一の代替実施形態で、一般的にシミュレータ・アセンブリと称するものの斜視図であり、このシミュレータ・アセンブリは、データ操作システムとケーブルで連結された身体形状の再生モジュールを含む。 図12は、図11に図示した身体形再生モジュールの組立分解図であり、シミュレートされた表皮部を除去した内部のセル配列を示している。 図13は、図12に図示した身体形再生モジュールのセルの断面図であり、この断面図は、図12の「13−13」のほぼ断面を取ったものであり、セル内部に配置された感覚変調サブユニットとともに図示されている。 図14は、本発明に従って形成された感覚変調サブユニットの代替実施形態で、図11及び12に図示した身体形再生モジュールへの使用に適したものの立面図である。 図15は、本発明に従って形成された感覚変調サブユニットのペアの代替実施形態で、図11及び12に図示した身体形再生モジュールへの使用に適したものの立面図である。 図16は、本発明に従って形成された、第2の代替実施形態の立面図で、この代替実施形態を一般に触覚再生アセンブリと称し、この触覚再生アセンブリは、再生装置、多重チャンネル・コントローラ、及び双方型圧力再生着衣を含む。 図17は、本発明に従って形成された、第3の代替実施形態の立面図で、この代替実施形態を一般的にエンターティンメント記録アセンブリと称し、このエンターティンメント記録アセンブリは、記録装置、多重チャンネル・コントローラ、及び双方型圧力記録着衣を含む。 図18は、本発明に従って形成された、第4の代替実施形態の斜視図で、この代替実施形態を一般にイメージング診断アセンブリと称する。 図19は、図18に図示したイメージング診断アセンブリの斜視図で、イメージング診断アセンブリの底面を示している。 図20は、図19に図示したイメージング診断アセンブリの断面図で、図19のほぼ「20−20」を通る断面を取ったものである。 図21は、図18−20に図示したイメージング診断アセンブリの代替実施形態の斜視図である。 図22は、本発明に従って形成され、図18−20に図示した第4の代替実施形態の一般的プロセス・フロー図である。
符号の説明
100 手動制御ユニット
101 成型プラスチック外部構造
106 指先
107 遠位掌部分
108 近位掌部分
140 受圧感覚変調サブユニット
144 圧力トランスジューサ
145 受圧面
146 支持プラットフォーム
148 ピストン抵抗体
154 追跡ボール
160 コンピュータ160
200 患者検診モジュール
202 パッド
204 セル
240 可変圧力生成感覚変調サブユニット
250 チャック固定具
260 リモートコンピュータ
302 電気接続コード302
400 患者検診モジュール(PEM)
402 パッド
404 セル
600 シミュレータ・アセンブリ
602 身体形再生モジュール
605 ユーザの手
612 ケーブル
618 皮膚表面
632 セル
680 機械的作動システム
708 圧力トランスジューサ708
712 加圧アセンブリ
714 ポンプ
800 触覚再生アセンブリ
850 触覚記録アセンブリ
900 イメージング診断アセンブリ
904 患者診察−イメージング・モジュール(PEIM)
908 リニア・アレイ・トランスジューサ
914 セル
920 多機能トランスジューサ

Claims (17)

  1. 身体を触診し、該身体のイメージを得るためのイメージング診断アセンブリであって
    該イメージング診断アセンブリは、
    (a)筐体であって、該筐体のサイズは、人の手のサイズに近く、該筐体は、手で持つように適合されている、筐体と、
    (b)該筐体内に少なくとも部分的に配置された複数の可変圧力生成装置であって、該複数の可変圧力生成装置は、入力信号を受信し、該身体に対して触診圧力を生成するために該受信された入力信号に関連する変位を生成するように動作可能であり、該複数の可変圧力生成装置に加えられた力を検出するように適合された力検出器であって、対応する出力信号を生成する力検出器をさらに備える、複数の可変圧力生成装置と、
    (c)該筐体内に少なくとも部分的に配置された画像化装置であって、該身体に対する触診圧力の衝撃を決定するために該身体のイメージを得るように動作可能画像化装置
    を備え
    該イメージング診断アセンブリは、通信ネットワークと動作可能に接続されており、該受信された入力信号および該生成された出力信号は、該イメージング診断アセンブリとリモート位置との間で該通信ネットワークを介して伝達される、イメージング診断アセンブリ。
  2. 前記筐体内に少なくとも部分的に配置された圧力トランスジューサをさらに備え、該圧力トランスジューサが、前記可変圧力生成装置と前記身体との間に存在する境界面圧力に直接関連する信号を生成するように適合されている、請求項1に記載のイメージング診断アセンブリ。
  3. 前記可変圧力生成装置が、膨張チャンバをさらに備え、加圧流体が、該膨張チャンバを膨張し前記身体に対して触診圧力を生成するために該膨張チャンバに選択的に向けられ得る、請求項1に記載のイメージング診断アセンブリ。
  4. 前記可変圧力生成装置が、前記身体に対して触診圧力を生成するように作動可能なリニア・アクチュエータをさらに備える、請求項1に記載のイメージング診断アセンブリ。
  5. 前記可変圧力生成装置が、前記身体に対して触診圧力を生成するピストン・タイプ可変抵抗体をさらに備える、請求項1に記載のイメージング診断アセンブリ。
  6. 前記画像化装置が、超音波トランスジューサを備え、該超音波トランスジューサが前記身体中に超音波を伝達するように適合されている、請求項1に記載のイメージング診断アセンブリ。
  7. 前記筐体内に少なくとも部分的に配置された第2の超音波トランスジューサをさらに備え、該第2の超音波トランスジューサが超音波を検出するように適合されている、請求項6に記載のイメージング診断アセンブリ。
  8. 前記超音波トランスジューサがまた、前記身体から反射された超音波を検出するように適合されている、請求項6に記載のイメージング診断アセンブリ。
  9. 前記超音波トランスジューサが、リニア・アレイ・トランスジューサである、請求項6に記載のイメージング診断アセンブリ。
  10. 前記画像化装置が、前記身体の内部画像を得るように動作可能である、請求項1に記載のイメージング診断アセンブリ。
  11. 身体を触診し、該身体のイメージを得るための患者診断イメージングモジュールであって、
    該患者診断イメージングモジュールは、
    (a)筐体であって、該筐体のサイズは、人の手のサイズに近く、該筐体は、手で持つように適合されており、該筐体は、複数のセルを有する、筐体と、
    (b)該セル内に少なくとも部分的に配置された複数のアクチュエータであって、該複数のアクチュエータの各々は、入力信号を受信し、該受信された入力信号に関連する該身体に対する触診圧力を生成するように動作可能であり、該複数のアクチュエータは、力検出器をさらに備え、該力検出器は、該複数のアクチュエータに加えられた力を検出し、対応する出力信号を生成するように適合されている、複数のアクチュエータと、
    (c)該筐体に結合された画像化装置であって、該身体に対する触診圧力の衝撃を決定するために該身体のイメージを得るように動作可能な画像化装置と
    を備え、
    該患者診断イメージングモジュールは、通信ネットワークと動作可能に接続されており、さらに、該受信された入力信号は、リモート位置から該通信ネットワークを介して受信され、該生成された出力信号は、該通信ネットワークを介して該リモート位置へと伝達される、患者診断イメージングモジュール
  12. 前記画像化装置が、超音波照射、磁気照射、電気機械照射、電磁気照射、光照射および核照射からなる群より選択された照射を用いることにより、前記身体のイメージを生成する、請求項11に記載の患者診断イメージングモジュール。
  13. 前記複数のセル内に少なくとも部分的に配置された複数のセンサーをさらに備え、該複数のセンサーの各々は、前記身体によって該センサーに及ぼされる抵抗圧力を検知するように適合されている、請求項11に記載の患者診断イメージングモジュール。
  14. 前記複数のアクチュエータの各々が、膨張チャンバをさらに備え、加圧流体が、該膨張チャンバを膨張して前記身体に対して触診圧力を生成するために、該膨張チャンバに選択的に向けられ得る、請求項11に記載の患者診断イメージングモジュール。
  15. 前記複数のアクチュエータの各々が、前記身体に対して触診圧力を生成するように作動可能なリニア・アクチュエータをさらに備える、請求項11に記載の患者診断イメージングモジュール。
  16. 前記複数のアクチュエータの各々が、前記身体に対して触診圧力を生成するピストン・タイプ可変抵抗体をさらに備える、請求項11に記載の患者診断イメージングモジュール。
  17. 前記画像化装置が、超音波リニア・アレイ・トランスジューサである、請求項11に記載の患者診断イメージングモジュール。
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