JP4414692B2 - 温感セラミックス製品 - Google Patents

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Description

本発明は、人が表面に触れて冷たさや熱さを感じない温感セラミックス製品に関する。
一般的なタイル等のセラミックス製品は、セラミックス製の基部と、この基部の表面側に形成され、加飾剤を有する加飾用釉薬が溶融することによって形成された加飾層とからなる。このセラミックス製品はおよそ以下の製造方法によって製造される。まず、粘土等のセラミックス原料によって素地を得る。そして、この素地の表面側に加飾用釉薬によって焼成前加飾層を施釉し、施釉品とする。この後、この施釉品を焼成する。こうして得られるセラミックス製品は、基部がセラミックス製であり、加飾層が非晶質又は結晶質のガラス質からなるため、内装材等の建材等として、優れた耐熱性、耐薬品性等による優れた耐久性を発揮する。また、このセラミックス製品は加飾層によって優れた意匠性も発揮する。
しかし、この種の一般的なセラミックス製品は、冬場にそれが日陰にあり、人がその表面に触れた場合には冷たさを感じ、夏場にそれが日なたにあり、人がその表面に触れた場合には熱さを感じるという不具合がある。
このため、上記加飾層を多孔質にした温感セラミックス製品が特許文献1に提案されている。この温感セラミックス製品は、多孔質の加飾層が熱伝導率を低下させることから、冬場にそれが日陰にあり、人がその表面に触れた場合にも冷たさを感じ難く、夏場にそれが日なたにあり、人がその表面に触れた場合にも熱さを感じ難いという温感効果を生じる。
また、焼成時に素地を発泡させつつ焼結させた温感セラミックス製品も特許文献2に提案されている。同様に、素地に多孔質粒を混合して焼結させた温感セラミックス製品も特許文献3に提案されている。これらの温感セラミックス製品は、素地が多孔質の状態でセラミックス製の基部となるため、その多孔質の基部が熱伝導率を低下させ、上記と同様の温感効果を生じる。
特開平5−17271号公報 特開平4−2675号公報 特開2002−285695号公報
しかし、上記特許文献1開示の温感セラミックス製品は、炭化珪素等のガス発生成分を含む加飾用釉薬を採用することにより加飾層全体を多孔質にしている。このため、この温感セラミックス製品は、多孔質を構成する気孔が閉気孔でない場合もあり得、表面からの含水による汚れを生じるおそれがある。また、この温感セラミックス製品は、加飾層全体が多孔質であることから、加飾層による意匠性が損なわれ易い。
一方、上記特許文献2開示の温感セラミックス製品は、基部を多孔質にしているに過ぎず、意匠性を発揮させたり、表面からの吸水性を小さくしたりする等のために、基部の表面側に通常の釉薬からなるガラス質を形成する必要がある。こうして、通常のガラス質を形成した温感セラミックス製品は、人は直接にはそのガラス質に触れることになるため、効果的な温感効果が得られ難い。
なお、特開2000−153570号公報や実用新案登録第3028852号公報には、骨材を含む樹脂製の基部と、この基部の表面側に形成され、中空粒子が有機バインダ中に含まれてなる断熱部とからなる装飾シートや不燃タイルが開示されている。これらの装飾シートや不燃タイルも、表面側の断熱部に含まれる中空粒子の中空部が熱の移動を阻害するため、温感効果が得られると考えられる。しかしながら、これらの装飾シートや不燃タイルは、基部及び断熱部の両マトリックスが有機物であるため、建材等としての耐久性に懸念がある。
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、効果的な温感効果を発揮するとともに、汚れ難く、優れた意匠性を発揮し、かつ優れた耐久性を維持できる温感セラミックス製品を得ることを解決すべき課題としている。
本発明の温感セラミックス製品は、セラミックス製の基部と、該基部の表面側にベース釉薬と中空粒子とを含む断熱用釉薬によって形成され、前記中空粒子が前記ベース釉薬から構成される無機バインダの表面側に浮く方向に移動して集合して含まれてなる断熱部とを有することを特徴とする。
この温感セラミックス製品は、人が直接触れる表面側の断熱部に中空粒子が含まれており、この中空粒子の中空部が熱の移動を阻害する。このため、例えば、冬において人が表面に触れて冷たさを感じにくい。また、夏において、人が表面に触れて熱さを感じにくい。すなわち、この温感セラミックス製品は効果的な温感効果を発揮する。特に、中空粒子が断熱部の表面側に集合して含まれているため、中空粒子を大量に使用しなくても、効果的な温感効果が得られる。なお、発明者らの知見によれば、体感される温感効果は、温感セラミックス製品の熱流速と相関関係がある。
また、この温感セラミックス製品は、熱の移動を阻害する断熱部が多孔質による作用でなく、中空粒子の中空部の作用であり、中空部は常に閉気孔であるため、表面からの含水をより確実に防止することができ、汚れにくい。また、断熱部を構成する無機バインダとして不透明なものを採用することも可能であり、優れた意匠性を発揮する。また、この温感セラミックス製品は、基部と断熱部との間に加飾層を有することも可能であり、この場合にはさらに優れた意匠性を発揮する。
さらに、この温感セラミックス製品は、基部がセラミックス製であり、基部の表面側に形成された断熱部が主として無機バインダからなるため、樹脂製の基部及び断熱部をもつものよりも、優れた耐熱性、耐薬品性等による優れた耐久性を発揮する。
したがって、発明の温感セラミックス製品は、効果的な温感効果を発揮するとともに、汚れ難く、優れた意匠性を発揮し、かつ優れた耐久性を維持できるものである。
発明の温感セラミックス製品は、基部をなすセラミックスが非多孔質のものの他、多孔質のものでもよい。多孔質のセラミックスによって基部を構成する場合、焼成時に素地を発泡させつつ焼結させてもよく、素地に多孔質粒を混合して焼結させてもよい。多孔質セラミックス製の基部を採用すれば、基部によっても熱伝導率が低下し、より高い温感効果が得られる。断熱部は基部の表面側に形成される。断熱部は、中空粒子が無機バインダの表面側に集合して含まれることによって構成される。
また、この温感セラミックス製品は、断熱部の表面側に集合して存在する中空粒子が凸状に表面側に突出しやすく、これによって表面が滑り難いものとなっている。この効果はこの温感セラミックス製品を浴室等の床タイルに用いた場合に特に有効である。
無機バインダは釉薬によって構成され得る他、珪酸ソーダ等の水ガラス、金属アルコキシド、コロイド状シリカ等によっても構成され得る。発明の温感セラミックス製品は、無機バインダが不透光性のものでよい。断熱部は、無機バインダを構成するベース釉薬と、ベース釉薬中に含まれた中空粒子とを有する断熱用釉薬が溶融することによって形成されていることが好ましい。この場合、基部の焼成と同時に断熱部を形成することができ、製造コストの低廉化を実現できる。
発明の温感セラミックス製品では、断熱部は、無機バインダに中空粒子の個々又は群を点在させていることが好ましい。中空粒子の個々又は群の点在によって、温感セラミックス製品の意匠性が向上する。
発明の温感セラミックス製品において、中空粒子とは、内部に中空部をもつ粒子である。中空部内は、空気等の気体が充満していてもよく、真空であてもよい。この中空粒子としては、粒径が数10μm程度のガラスバルーン、シリカバルーン、石英ガラスバルーン、フライアッシュ等を採用することができる。これらのうち、中空粒子はベース釉薬よりも融点が高いものであることが好ましい。この場合、断熱部の焼成時に中空粒子が中空部を崩さず、得られる温感セラミックス製品が温感効果を確実に発揮する。また、中空粒子は基部の焼成温度よりも融点が高いものであることが好ましい。この場合、基部の焼成と同時に断熱部を形成する際、中空粒子が中空部を崩さず、得られる温感セラミックス製品が温感効果を確実に発揮する。このため、一般的な陶磁器質のタイルを製造する場合、その焼成温度(1100〜1200°C)から、中空粒子としては、融点が700〜800°C程度のガラスバルーンよりは、融点が1100〜1300°C程度のフライアッシュ、融点が1500°C程度のシリカバルーン、融点が1100〜1700°C程度の石英ガラスバルーン等を採用することが好ましい。
発明者らの試験結果によれば、中空粒子を釉薬中に含ませる場合には、その釉薬の固形分100重量部に対し、中空粒子が10質量部以上含まれることにより温感効果が顕著である。釉薬の固形分100重量部に対し、中空粒子が30質量%以上含まれることが特に好ましい。
無機バインダは釉薬によって構成され得るのであるが、硼珪酸ガラスであることが好ましい。硼珪酸ガラスは融点が低く、発明の温感セラミックス製品を比較的容易に製造することが可能になる。この硼珪酸ガラスを構成するため、釉薬は硼珪酸フリットを含むことができる。
発明の温感セラミックス製品は、床タイル、壁タイル、衛生陶器、食器等に具体化可能である。特に、温感セラミックス製品を床タイルに具体化することが好ましい。室内のリビング、キッチン、浴室等にこの床タイルを施工すれば、人が裸足でその上に居るとしても、温感効果によってここちよく過ごすことが可能になる。
発明の温感セラミックス製品は以下の製造方法によって製造可能である。この製造方法は、セラミックス原料によって素地を得る第1工程と、該素地の表面側に、ベース釉薬と中空粒子とを有する断熱用釉薬によって焼成前断熱部を施釉し、施釉品を得る第2工程と、該焼成前断熱部を上方にして該施釉品を焼成し、温感セラミックス製品を得る第3工程とを備えていることを特徴とする。
この製造方法では、まず第1工程において、セラミックス原料によって素地を得る。この後、第2工程において、素地の表面側に、ベース釉薬と中空粒子とを有する断熱用釉薬によって焼成前断熱部を施釉し、施釉品を得る。そして、第3工程において、焼成前断熱部を上方にして施釉品を焼成し、発明の温感セラミックス製品を得る。この製造方法によれば、第3工程において、基部の焼成と同時に断熱部を形成することができ、製造コストの低廉化を実現できる。また、この製造方法によれば、中空粒子が中空部に空気を有し、ベース釉薬よりも融点が高いものであれば、第3工程時に焼成前断熱部を上方にしていることから、断熱部の形成時に中空粒子が溶融することなく、溶融状態の断熱用釉薬内を浮く方向に移動し、人が触れる表面側に中空粒子が存在する温感セラミックス製品を確実に製造することができる。
また、発明の温感セラミックス製品は以下の製造方法によっても製造可能である。この製造方法は、セラミックス製の基部を有する非温感セラミックス製品を得る第1工程と、該非温感セラミックス製品の表面側に、ベース釉薬と中空粒子とを有する断熱用釉薬によって焼成前断熱部を施釉し、施釉品を得る第2工程と、該焼成前断熱部を上方にして該施釉品を焼成し、温感セラミックス製品を得る第3工程とを備えていることを特徴とする。
この製造方法では、まず第1工程において、非温感セラミックス製品を得る。この非温感セラミックス製品はセラミックス製の基部を有する。つまり、一旦一般的なセラミックス製品を得る。この非温感セラミックス製品は基部の表面側に形成された加飾層を有することもできる。この後、第2工程において、非温感セラミックス製品の表面側に、ベース釉薬と中空粒子とを有する断熱用釉薬によって焼成前断熱部を施釉し、施釉品を得る。そして、第3工程において、焼成前断熱部を上方にして施釉品を焼成し、発明の温感セラミックス製品を得る。この製造方法によれば、非温感セラミックス製品を温感セラミックス製品にすることができる。また、この製造方法によれば、中空粒子が中空部に空気を有し、ベース釉薬よりも融点が高いものであれば、第3工程時に焼成前断熱部を上方にしていることから、断熱部の形成時に中空粒子が溶融することなく、溶融状態の焼成前断熱部内を浮く方向に移動し、人が触れる表面側に中空粒子が存在する温感セラミックス製品を確実に製造することができる。
発明の温感セラミックス製品は断熱用釉薬を用いることによって製造する。断熱用釉薬は、無機バインダを構成するベース釉薬と、該ベース釉薬中に含まれた中空粒子とを有することを特徴とする。無機バインダは、溶融後に透光性のあるものでもよく、溶融後に透光性のないものでもよい。
なお、焼成前断熱部の施釉の方法としては、公知のスプレー式、スクリーン式、どぼづけ式等を採用することができる。断熱部を点在させる場合には、スプレーによって焼成前断熱部を細かく点在させる方法、滴下によって焼成前断熱部を粗く点在させる方法、マスキングして焼成前断熱部を点在させる方法等を採用することができる。また、中空粒子を散在させる方法としては、振り掛け式等の方法を採用することができる。
以下、本発明を具体化した実施例1〜8を図面を参照しつつ説明する。
実施例1では、温感セラミックス製品として、以下の製造方法により、床タイルを製造する。まず、図1(A)に示すように、第1工程において、セラミックス原料を用いた公知の方法によって素地1aを得る。セラミック原料は、粘土12質量%、滑石49質量%、長石28質量%及び陶磁器くず12質量%の公知のものである。
そして、図1(B)に示すように、第2工程において、素地1aの表面側に加飾用釉薬によって焼成前加飾層2aを施釉する。加飾用釉薬は、長石35質量%、炭酸カルシウム25質量%、カレット10質量%、アルミナ10質量%、粘土10質量%、加飾剤としての無機顔料0.5〜5質量%及び水40〜60質量%の公知のものである。
一方、表1に組成を示す示す中空粒子B1〜4を用意する。これらの中空粒子B1〜4は、粒径が数10μm程度、融点が1300°C程度の中空部に空気が充填されたフライアッシュバルーンである。また、表2に組成を示す示す硼珪酸フリットF1、F2の他、粘土、長石、珪砂、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム及び分散剤も用意する。
そして、これら硼珪酸フリットF1、F2及び粘土、長石、珪砂、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム並びに分散剤を表3に示す調合で配合し、ベース釉薬用固形分1、2を得る。ベース釉薬用固形分1、2の組成を表4に示す。ベース釉薬用固形分1の融点は約900°Cであり、ベース釉薬用固形分2の融点は約1000°Cである。
ベース釉薬用固形分1の100重量部に対し、中空粒子B1を10質量部添加し、断熱用釉薬1を得る。また、ベース釉薬用固形分1の100重量部に対し、中空粒子B1を30質量部添加し、断熱用釉薬2を得る。さらに、ベース釉薬用固形分1の100重量部に対し、中空粒子B1を100質量部添加し、断熱用釉薬3を得る。
この後、図1(C)に示すように、第3工程において、焼成前加飾層2aの表面側全体に断熱用釉薬1〜3によって焼成前断熱部3aを施釉し、施釉品を得る。この際、公知のスプレー式、スクリーン式、どぼづけ式等を採用することができる。
そして、第4工程において、焼成前断熱部3aを上方にして施釉品を1220°Cで40分間焼成し、図1(D)に示す温感セラミックス製品としての床タイルを得る。
こうして得られた床タイルは、素地1aが焼結してなる非多孔質セラミックス製の基部1bと、この基部1bの表面側に形成された加飾層2bと、この加飾層2bの表面側に形成された断熱部3bとからなる。加飾層2bは加飾用釉薬からなる焼成前加飾層2aが溶融、冷却してなるものである。また、断熱部3bは、断熱用釉薬1〜3からなる焼成前断熱部3aが溶融、冷却してなるものである。
特に、この床タイルでは、断熱部3bは、図2に示すように、ベース釉薬用固形分1が溶融、冷却してなる透明な無機バインダ31中に中空粒子B1が含まれている。より詳細には、断熱部3bが加飾層2b全体を覆いつつ、断熱部3bに中空粒子B1の個々又は群が点在している。また、中空粒子B1が中空部に空気が充填され、ベース釉薬用固形分1よりも融点が高いものであり、第4工程時に焼成前断熱部3aを上方にしていることから、断熱部3bの形成時に中空粒子B1が溶融状態の断熱用釉薬1〜3内を浮く方向に移動し、断熱部3bの表面側に集合して中空粒子B1が存在する。
断熱用釉薬1によって断熱部3bを形成した床タイルの断面写真を図3に示し、断熱用釉薬2によって断熱部3bを形成した床タイルの断面写真を図4に示し、断熱用釉薬3によって断熱部3bを形成した床タイルの断面写真を図5に示す。また、断熱用釉薬1によって断熱部3bを形成した床タイルの拡大表面写真を図6に示し、図6のc部の拡大写真を図7に示し、図6のd部の拡大写真を図8に示す。さらに、断熱用釉薬3によって断熱部3bを形成した床タイルの拡大表面写真を図9に示し、図9のa部の拡大写真を図10に示し、図9のb部の拡大写真を図11に示す。
この床タイルは、人が直接触れる表面側の断熱部3bに中空粒子B1が含まれており、この中空粒子B1の中空部が熱の移動を阻害する。このため、例えば、冬において人が表面に触れて冷たさを感じにくい。また、夏において、人が表面に触れて熱さを感じにくい。すなわち、この床タイルは効果的な温感効果を発揮する。特に、中空粒子B1が断熱部3bの表面側に集合して含まれているため、中空粒子B1を大量に使用しなくても、効果的な温感効果が得られる。
発明者らの体感試験の結果、断熱用釉薬2、3により断熱部3bを形成した床タイルにおいて、温感効果が顕著であった。特に、断熱用釉薬3により断熱部3bを形成した床タイルにおいて、温感効果が顕著であった。
また、この床タイルは、熱の移動を阻害する断熱部3bが多孔質による作用でなく、中空粒子B1の中空部の作用であり、中空部は常に閉気孔であるため、表面からの含水をより確実に防止することができ、汚れにくい。また、断熱部3bを構成する無機バインダ31が透明なものであるため、下の加飾層2bの意匠性が阻害されず、優れた意匠性を発揮する。さらに、中空粒子b1の個々又は群の点在によって、床タイルの意匠性が向上している。
さらに、この床タイルは、基部1bがセラミックス製であり、基部1bの表面側に加飾層2bを介して形成された断熱部3bが主として無機バインダ31からなるため、樹脂製の基部及び断熱部をもつものよりも、優れた耐熱性、耐薬品性等による優れた耐久性を発揮する。
したがって、この床タイルは、効果的な温感効果を発揮するとともに、汚れ難く、優れた意匠性を発揮し、かつ優れた耐久性を維持できるものである。また、この床タイルは、断熱部3bの表面側に集合して存在する中空粒子B1が凸状に表面側に突出しやすく、これによって表面が滑り難いものとなっている。このため、この床タイルは浴室用に用いて極めて有効である。中空粒子B2〜4やベース釉薬用固形分2を用いた場合も同様であった。
また、こうして床タイルを製造すれば、第4工程において、基部1bの焼成と同時に加飾層2b及び断熱部3bを形成することができ、製造コストの低廉化を実現できる。
なお、断熱用釉薬3からなる焼成前断熱部3aをもつ施釉品を第4工程において1220°Cで40分間焼成した場合、得られた床タイルは、図12の拡大平面写真に示すように、無機バインダ31の表面が滑らかでなく、尖った形状になった。このため、この床タイルに布を擦り付けたところ、図13又は図14に示すように、繊維がその突起に引っかかってしまった。この床タイルは滑り防止の面では優れていると言える。
実施例2では、図15(C)に示すように、第3工程において、焼成前加飾層2aの表面側に断熱用釉薬1〜3によって焼成前断熱部3aを点在させ、施釉品を得る。この際、スプレーによって焼成前断熱部3aを細かく点在させる方法、滴下によって焼成前断熱部3aを粗く点在させる方法、マスキングして焼成前断熱部3aを点在させる方法等を採用する。他の構成及び条件は実施例1と同様である。
こうして得られた床タイルでは、図15(D)に示すように、断熱部3bが加飾層2b上に点在しているものとなる。断熱部3bでは、図16に示すように、無機バインダ31に中空粒子B1〜4の個々又は群が点在している。
この床タイルは、断熱部3bと加飾層2bとの境界がベース釉薬用固形分1、2の溶融によって滑らかであり、汚れがその境界に付着しにくい。また、断熱部3bが凸となるため、凹となる加飾層2bと人の肌との間に空気が存在しやすく、温感効果が高まる。また、断熱部3bの点在によって、床タイルの意匠性がより高まる。他の作用効果は実施例1と同様である。
実施例3では、図17(A)に示すように、まず第1工程において、セラミックス原料によって素地1aを得る。この後、図17(B)に示すように、第2工程において、素地1aの表面側に加飾用釉薬によって焼成前加飾層2aを施釉する。そして、図17(C)に示すように、第3工程において、焼成前加飾層2aの表面側に中空粒子B1〜4を散在し、施釉品を得る。この際、振り掛け式等の方法を採用することができる。次いで、図17(D)に示すように、第4工程において、中空粒子B1〜4を上方にして施釉品を焼成し、床タイルを得る。この際、中空粒子B1〜4が中空部に空気を有し、ベース釉薬用固形分1、2よりも融点が高いものであり、第4工程時に中空粒子B1〜4を上方にしていることから、断熱部3bの形成時に中空粒子B1〜4が溶融することなく、溶融状態の加飾用釉薬内を浮く方向に移動し、人が触れる表面側に中空粒子B1〜4が存在する床タイルを確実に製造することができる。
こうして得られる床タイルは、図18に示すように、セラミックス製の基部1bと、基部1bの表面側に形成され、中空粒子B1〜4が無機バインダ21の表面側に集合して含まれてなる断熱部3bとからなる。無機バインダ21は、加飾用釉薬が溶融、冷却してなる加飾層2bである。
したがって、この床タイルも実施例1と同様の作用効果を奏することができる。また、この製造方法によれば、第4工程において、基部1bの焼成と同時に加飾層2bを形成し、その加飾層2bの一部が断熱部3bになる。また、断熱用釉薬を特別に調製する必要もない。このため、製造コストの低廉化をより一層実現できる。
実施例4では、図19(A)に示すように、まず第1工程において、セラミックス原料によって素地1aを得る。この後、図19(B)に示すように、素地1aの表面側に加飾用釉薬によって焼成前加飾層2aを施釉し、第1施釉品を得る。次いで、図19(C)に示すように、第1施釉品を焼成し、非温感床タイルを得る。この非温感床タイルは、セラミックス製の基部1bと、この基部1bの表面側に形成された加飾層2bとからなる。つまり、一旦一般的な床タイルを得る。
この後、図19(D)に示すように、第2工程において、非温感床タイルの表面側全体に断熱用釉薬1〜3によって焼成前断熱部3aを施釉し、第2施釉品を得る。そして、図19(E)に示すように、第3工程において、焼成前断熱部3aを上方にして第2施釉品を焼成し、床タイルを得る。この際、中空粒子B1〜4が中空部に空気を有し、ベース釉薬用固形分1、2よりも融点が高いものであり、第3工程時に焼成前断熱部3aを上方にしていることから、断熱部3bの形成時に中空粒子B1〜4が溶融することなく、溶融状態の焼成前断熱部3a内を浮く方向に移動し、人が触れる表面側に中空粒子B1〜4が存在する床タイルを確実に製造することができる。
この製造方法によっても、実施例1と同様の床タイルを製造することができる。特に、この製造方法によれば、非温感床タイルを温感のある床タイルにすることができる。
実施例5では、図20(D)に示すように、第2工程において、加飾層2bの表面側に断熱用釉薬1〜3によって焼成前断熱部3aを点在させ、第2施釉品を得る。他の構成及び条件は実施例4と同様である。
この製造方法によって、実施例2と同様の床タイルを製造することができる。他の作用効果は実施例4と同様である。
実施例6では、図21(A)に示すように、まず第1工程において、セラミックス原料によって素地1aを得る。この後、図21(B)に示すように、素地1aの表面側に加飾用釉薬によって焼成前加飾層2aを施釉し、第1施釉品を得る。次いで、図21(C)に示すように、第1施釉品を焼成し、非温感床タイルを得る。この非温感床タイルは、セラミックス製の基部1bと、この基部1bの表面側に形成された加飾層2bとからなる。つまり、一旦一般的な床タイルを得る。
そして、図21(D)に示すように、第2工程において、加飾層2bの表面側に中空粒子B1〜4を散在し、第2施釉品を得る。次いで、図21(E)に示すように、第3工程において、中空粒子B1〜4を上方にして第2施釉品を焼成し、床タイルを得る。
この製造方法によっても、実施例3と同様の床タイルを製造することができる。他の作用効果は実施例3と同様である。
実施例7では、図22(A)に示すように、まず第1工程において、セラミックス原料によって素地1aを得る。そして、図22(B)に示すように、第2工程において、素地1aの表面側に断熱用釉薬によって焼成前断熱部3aを施釉し、施釉品を得る。断熱用釉薬は、上記断熱用釉薬1〜3に中空粒子B1〜4及び無機顔料を添加したものである。この後、図22(C)に示すように、第3工程において、焼成前断熱部3aを上方にして施釉品を焼成し、床タイルを得る。
この製造方法によれば、断熱部3b自体が加飾層となった床タイルを製造することができる。他の作用効果は実施例3と同様である。
実施例8では、図24(A)に示すように、まず第1工程において、セラミックス原料によって素地1aを得る。この後、図24(B)に示すように、素地1aを焼成し、セラミックス製の基部1bからなる非温感床タイルを得る。そして、図24(C)に示すように、第2工程において、非温感床タイルの表面側に断熱用釉薬によって焼成前断熱部3aを施釉し、施釉品を得る。この断熱用釉薬も、上記断熱用釉薬1〜3に中空粒子B1〜4及び無機顔料を添加したものである。この後、図24(D)に示すように、焼成前断熱部3aを上方にして施釉品を焼成し、床タイルを得る。
この製造方法によっても、断熱部3b自体が加飾層となった床タイルを製造することができる。他の作用効果は実施例8と同様である。
本発明は床タイル、壁タイル、衛生陶器等に利用可能である。
実施例1に係る床タイルの製造方法を示す工程図である。 実施例1に係る床タイルの要部拡大断面図である。 実施例1に係り、ベース釉薬用固形分の100重量部に対し、中空粒子を10質量部添加した断熱用釉薬によって断熱部を形成し、1220°Cで40分間焼成した床タイルの断面を示す100倍の顕微鏡写真である。 実施例1に係り、ベース釉薬用固形分の100重量部に対し、中空粒子を30質量部添加した断熱用釉薬によって断熱部を形成し、1220°Cで40分間焼成した床タイルの断面を示す100倍の顕微鏡写真である。 実施例1に係り、ベース釉薬用固形分の100重量部に対し、中空粒子を100質量部添加した断熱用釉薬によって断熱部を形成し、1220°Cで40分間焼成した床タイルの断面を示す100倍の顕微鏡写真である。 実施例1に係り、ベース釉薬用固形分の100重量部に対し、中空粒子を10質量部添加した断熱用釉薬によって断熱部を形成し、1220°Cで40分間焼成した床タイルの表面を示す75倍の顕微鏡写真である。 実施例1に係り、図6のc部を示す750倍の顕微鏡写真である。 実施例1に係り、図6のd部を示す350倍の顕微鏡写真である。 実施例1に係り、ベース釉薬用固形分の100重量部に対し、中空粒子を100質量部添加した断熱用釉薬によって断熱部を形成し、1220°Cで40分間焼成した床タイルの表面を示す75倍の顕微鏡写真である。 実施例1に係り、図9のa部を示す500倍の顕微鏡写真である。 実施例1に係り、図9のb部を示す350倍の顕微鏡写真である。 実施例1に係り、ベース釉薬用固形分の100重量部に対し、中空粒子を100質量部添加した断熱用釉薬によって断熱部を形成し、1220°Cで40分間焼成した床タイルの断面を示す100倍の顕微鏡写真である。 実施例1に係り、図12の床タイルに布を擦り付けた後の表面を示す350倍の顕微鏡写真である。 実施例1に係り、図12の床タイルに布を擦り付けた後の表面を示す350倍の顕微鏡写真である。 実施例2に係る床タイルの製造方法を示す工程図である。 実施例2に係る床タイルの要部拡大断面図である。 実施例3に係る床タイルの製造方法を示す工程図である。 実施例3に係る床タイルの要部拡大断面図である。 実施例4に係る床タイルの製造方法を示す工程図である。 実施例5に係る床タイルの製造方法を示す工程図である。 実施例6に係る床タイルの製造方法を示す工程図である。 実施例7に係る床タイルの製造方法を示す工程図である。 実施例7に係る床タイルの要部拡大断面図である。 実施例8に係る床タイルの製造方法を示す工程図である。
符号の説明
1b…基部
2b…加飾層
B1〜4…中空粒子
31、21…無機バインダ
3b…断熱部
1a…素地
2a…焼成前加飾層
3a…焼成前断熱部

Claims (2)

  1. セラミックス製の基部と、該基部の表面側にベース釉薬と中空粒子とを有する断熱用釉薬によって形成され、前記中空粒子が前記ベース釉薬から構成される無機バインダの表面側に浮く方向に移動して集合して含まれてなる断熱部とを有することを特徴とする温感セラミックス製品。
  2. 前記断熱部は、前記無機バインダに前記中空粒子の個々又は群を点在させており、前記中空粒子は凸状に表面側に突出していることを特徴とする請求項1記載の温感セラミックス製品。
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