JP4414579B2 - 吊戸棚の構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、キッチンに設けられたレンジフードに隣接して設置される吊戸棚の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、この種の吊戸棚は、図5に示すように台所に設置されたキャビネット2と対向するように、その上側の天井近傍に、レンジフード3と並べて設置されるようになっている。ここにおいて、この吊戸棚20は、設置スペースに応じてその横方向の長さを調整できるように、複数の吊戸棚20a,20b,20cを組み合わせて構成されている。
【0003】
したがって、このようにして設置された従来の吊戸棚20の裏面側には、図示したように、吊戸棚20a,20b,20c同士の合わせ目21,22が外部に露呈していた。
【0004】
また、この合わせ目21,22を覆い隠すように、それぞれの吊戸棚20a,20b,20cの裏面に、図6に示すようにこの吊戸棚20a,20b,20cを並べた寸法に応じた一枚の化粧合板30をビス31で固定したものもあった。
【0005】
なお、図5並びに図6において符号7は、レンジフード3下方のキャビネット2の上面に設けられたレンジ、8は、同じくこのキャビネット2の上面に設けられたシンクを示す。また、6はキャビネット2と吊戸棚20との間の後側の壁面を示す。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の吊戸棚では、前者のように複数の吊戸棚を並べて設置しただけのものは、その裏面に合わせ目が露呈し、見苦しく、また、一般に吊戸棚の底板は、表面材のように高価な部材で構成されていないので、この面からも見栄えが悪く、かつ、汚れ易く、汚れた時の清掃性にも劣るという問題点があった。
【0007】
また、各吊戸棚の裏面を覆うように化粧合板を取り付けたものは、底板が直接外部に露出した上記のものに比し、防汚性や清掃性に優れ、かつ、隣接した吊戸棚同士間の合わせ目もこの化粧合板で覆われるので、この面での美観は向上するものの、今度はその取り付けのために用いられたビスの頭部が、化粧合板の下側に現れ、かつこの化粧合板が、その厚さ分だけ吊戸棚の下方に突出し、外観を損ねるという新たな問題点が生じた。
【0008】
さらに、上記従来の吊戸棚は、何れもその裏面が、合板などの可燃材で構成されており、しかもこの位置は、レンジを使用した調理の際の油煙に曝され易いことから、油を吸って一層燃え易くなるおそれがあり、調理などの際の不慮の事故により火炎に曝されると、容易に引火するおそれがあった。また、このような木質系の材料で構成されたものは、調理などの際に湯気に曝されると、傷み易く、朽ちるおそれがあり、耐久性に劣るという問題点もあった。
【0009】
本発明は、上記従来の吊戸棚が有していた問題点の解決を課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明のうち、請求項1記載の発明は、天井の近傍に設置されたレンジフードに隣接し、横方向に連続して設置された、底板の裏面が木質材よりなる複数の吊戸棚において、上記各吊戸棚の底板の裏面に、それぞれの吊戸棚にわたって連続するように、幕板のない厚さ1mm内外の平板状の一枚の琺瑯パネルを接合し、各吊戸棚が横方向に長い一つの吊戸棚の形状を呈するようにした構造を特徴とする。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成に、琺瑯パネルの端縁に、この端縁を覆うエッジカバーを付設した構成を加えたことを特徴とする。
請求項3記載の発明は、上面にレンジやシンクが設けられたキャビネットと、このキャビネットと対向するようにその上側の天井近傍に設置されたレンジフードと、このレンジフードに隣接して横方向に連続して設置された、底板の裏面が木質材よりなる複数の吊戸棚とを備えているキッチンユニットにおいて、前記複数の吊戸棚の底板の裏面をこの裏面全体の大きさとほぼ等しい幕板のない厚さ1mm内外の平板状の一枚のパネル材で覆うことにより、その吊戸棚の個々の合わせ目が隠されていることを特徴とする。
また、請求項4記載の発明は、レンジフードに隣接して横方向に連続して設置された、底板の裏面が木質材よりなる複数の吊戸棚の裏面を、この裏面全体の大きさとほぼ等しい幕板のない厚さ1mm内外の平板状の一枚のパネル材で覆うことにより、その吊戸棚の個々の合わせ目を隠すようにしたことを特徴とする吊戸棚の施工方法である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示した実施の形態に基づき詳細に説明する。
なお、図中、従来例において示したものと同一の個所には、同一符号を付している。
【0013】
図1は、本発明の構造を有する吊戸棚を用いたキッチンユニットの簡略全体図である。このキッチンユニットは、従来のものと同様に、台所の床上に設置され、上面にレンジ7やシンク8が設けられたキャビネット2と、このキャビネット2と対向するように、その上側の天井近傍に設置されたレンジフード3、および吊戸棚1とで構成されている。
ここにおいてこの吊戸棚1は、図2に示すように個別の三つの吊戸棚1a,1b,1cを横方向に並べて構成されている。したがって、この吊戸棚1の裏面には、個々の吊戸棚1a,1b,1cの間に合わせ目11,12が現れている。
【0014】
ここにおいて本発明では、この横方向に並べられた吊戸棚1a,1b,1cの裏面全体の大きさとほぼ等しい平板状の琺瑯パネル4を用いて、この琺瑯パネル4を、それぞれの吊戸棚1a,1b,1cにわたって連続するように、その底板の裏面に接着などの手段で取り付けることとしている。
このことで、各吊戸棚1a,1b,1cの間の合わせ目11,12が隠され、かつ、合板などの木質材で構成された各吊戸棚1a,1b,1cの裏面が、この琺瑯パネル4で覆われることとなる。
【0015】
なお、ここにおいて用いられる琺瑯パネル4は、ベースとなる金属板に釉薬を塗布し、これを焼成した従来公知のものであり、必要に応じて、これを切断し、使用することとしている。
また、切断した場合には、その切断端縁に琺瑯で覆われていないベースの金属が露出することとなるが、その場合は、この端縁を含むように琺瑯パネルの前側の端縁4aと、左右の端縁4b,4cに、図2に示すようにモール状のエッジカバー5を取り付け、被覆すれば良い。
なお、このエッジカバー5は、琺瑯パネル4の端縁に、この端縁を覆うように取り付けられるものであれば良く、例えば、可撓性を有する合成樹脂で断面略U字形に形成されたものがあげられる。
【0016】
以上のようにして本発明の構造を有する吊戸棚1が、レンジフード3を有するキッチンユニットの一部として設置されるものである。なお、図1並びに図2において符号6は、キャビネット2と吊戸棚1との間の後側の壁面を示す。
【0017】
次に上記の構造を有する本発明の吊戸棚1の機能について述べる。
【0018】
一般にレンジフードに隣接して設置された吊戸棚の裏面は、調理などの際、油煙に曝されることが多く、油汚れが付着し易いものであるが、本発明の吊戸棚1では、その裏面が防汚性に優れた琺瑯パネル4で覆われているので、油汚れが付着しても容易に払拭することができる。
また、万一、吊戸棚1の下面が火炎に曝されたとしても、琺瑯パネル4は不燃性で、かつ、油がしみこまないものであるので、容易に吊戸棚1に燃え移らないように、阻止する機能がある。
【0019】
また、この琺瑯パネル1は、複数のものを並べて構成された吊戸棚1の合わせ目11,12を隠すと共に、吊戸棚の元々体裁の良くなかった底板材を被覆するので、吊戸棚1自体の外観が良くなり、しかもこの琺瑯パネル4は、薄い(1mm内外)ので吊戸棚1の下方に突出し、目障りになるおそれもない。
さらに琺瑯パネル4は、種々の色彩や模様のものが形成できるので、近傍に設置されるキャビネット2や、キャビネット2との間の壁面6などとの意匠の統一や調和をはかることができ、この吊戸棚1を用いたキッチンユニットの外観も向上するものである。
【0020】
本発明の吊戸棚1は、上記の機能を有する。
【0021】
なお、図示した実施の形態では、三つの吊戸棚1a,1b,1cを並べたものを例示したが、本発明の吊戸棚の構造は、並設された複数の吊戸棚の裏面が、一枚の琺瑯パネルで覆われていれば良く、個々の吊戸棚の大きさ(横幅)やその組み合わせ方は任意である。
なお、吊戸棚をL形に配置する場合は、その接合部分の裏面に、図3に示すように、複数の切起し片9a,9bが設けられた取付金具9を固定し、この取付金具9の切起し片9a,9bを交互に屈曲して図4に示すように直角に配置されるそれぞれの琺瑯パネル4,4の端縁を、係止すれば良い。なお、図3において符号9cは、取付金具9を吊戸棚の裏面にビス止めするためのビス孔を示す。
【0022】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のうち、請求項1,3及び4記載の発明は、レンジフードに隣接して設置された複数の吊戸棚の、木質材よりなる底板の裏面を、幕板のない厚さ1mm内外の平板状の一枚の琺瑯パネルで覆ったので、吊戸棚間の合わせ目が外部から見えなくなり、吊戸棚の外観が良くなると共に、油煙に曝されても汚れが固着せず、付着した汚れは容易に払拭できるので、台所が清潔に使用できるという効果がある。
また、請求項1記載の発明によれば、不慮の事故により、吊戸棚の下面が火炎に曝されることがあったとしても、琺瑯パネルは金属で構成されているので、従来の合板のように引火するおそれがなく、安全に使用することができる。さらにこの琺瑯パネルは、湯気に曝されても腐食しないので、耐久性にも優れる。
さらにまた、この琺瑯パネルは、所望の色彩や模様のものが形成できるので、吊戸棚の前面部分との意匠の統一や調和をはかることができるばかりか、この吊戸棚が設置された周囲のキッチンユニットとの意匠の統一や調和をはかることもできるという効果がある。
【0023】
請求項2記載の発明は、琺瑯パネルの端縁をエッジカバーで覆ったので、請求項1記載の発明の効果に加え、一層の外観の向上がはかられると共に、琺瑯パネルの端縁で手指を切るという不慮の事故も未然防止されるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態による吊戸棚を用いたキッチンユニットの簡略全体図である。
【図2】 図1の要部分解図である。
【図3】 固定金具の正面図である。
【図4】 固定金具を用いた琺瑯パネルの取付例を示す斜視図である。
【図5】 従来の吊戸棚を用いたキッチンユニットの簡略全体図である。
【図6】 従来の他の吊戸棚を用いたキッチンユニットの簡略全体図である。
【符号の説明】
1 吊戸棚
1a,1b,1c 個々の吊戸棚
2 キャビネット
3 レンジフード
4 琺瑯パネル
4a,4b,4c 端縁
5 エッジカバー
6 壁面
7 レンジ
8 シンク
9 取付金具
9a,9b 切起し片
9c ビス孔
Claims (4)
- 天井の近傍に設置されたレンジフードに隣接し、横方向に連続して設置された、底板の裏面が木質材よりなる複数の吊戸棚において、
上記各吊戸棚の底板の裏面に、それぞれの吊戸棚にわたって連続するように、幕板のない厚さ1mm内外の平板状の一枚の琺瑯パネルが接合されることにより、各吊戸棚が横方向に長い一つの吊戸棚の形状を呈するようになされたことを特徴とする吊戸棚の構造。 - 上記琺瑯パネルの端縁に、この端縁を覆うエッジカバーが付設されていることを特徴とする請求項1記載の吊戸棚の構造。
- 上面にレンジやシンクが設けられたキャビネットと、このキャビネットと対向するようにその上側の天井近傍に設置されたレンジフードと、このレンジフードに隣接して横方向に連続して設置された、底板の裏面が木質材よりなる複数の吊戸棚とを備えているキッチンユニットにおいて、
前記複数の吊戸棚の底板の裏面をこの裏面全体の大きさとほぼ等しい幕板のない厚さ1mm内外の平板状の一枚のパネル材で覆うことにより、その吊戸棚の個々の合わせ目が隠されていることを特徴とするキッチンユニット。 - レンジフードに隣接して横方向に連続して設置された、底板の裏面が木質材よりなる複数の吊戸棚の底板の裏面を、この裏面全体の大きさとほぼ等しい幕板のない厚さ1mm内外の平板状の一枚のパネル材で覆うことにより、その吊戸棚の個々の合わせ目を隠すようにしたことを特徴とする吊戸棚の施工方法。
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