JP4414106B2 - 情報入力装置、情報入出力システム、プログラム及び記憶媒体 - Google Patents
情報入力装置、情報入出力システム、プログラム及び記憶媒体 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、情報入力装置、情報入出力システム、プログラム及び記憶媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の情報入力装置としては、ペンで情報入力面を押さえた時、或いはペンが情報入力面に接近した時に、静電又は電磁誘導によって電気的な変化を検出するものがある。
【0003】
また、他の方式として、特開昭61−239322号公報等に示されるような超音波方式のタッチパネル情報入力装置がある。これは簡単にいうと、パネル上に送出された表面弾性波をパネルに触れることにより減衰させ、その位置を検出するものである。
【0004】
しかし、静電又は電磁誘導によって座標位置を検出するものでは、情報入力面に電気的なスイッチ機能を必要とするため製造コストが高く、また、ペンと本体とをつなぐケーブルが必要であるため操作性に難点がある。
【0005】
また、超音波方式のものでは、指入力を前提としているため、パネル上で吸収を伴うような材質(柔らかく弾力性を伴う材質)でペン入力を行わせ直線を描いた場合、押した時点では安定な減衰が得られるが、ペンを移動するとき十分な接触が得られず、直線が切れてしまう。かといって、十分な接触を得るために、ペンを必要以上の力で押し付けてしまうと、ペンの移動に伴い、ペンの持つ弾力性のため応力を受け歪を生じ、移動中に復帰させる力が働く。そのため、一旦、ペン入力時に曲線を描こうとすると、ペンを抑える力が弱くなり歪を元へ戻す力が優るため復帰して安定な減衰が得られず、入力が途絶えたと判断されてしまう。このためにペン入力としては信頼性が確保できないという問題を有する。
【0006】
しかしながら、このような従来技術が有する問題点については、特開平5−173699号公報や特開平9−319501号公報に開示されているもの等に代表される光学式の情報入力装置によって解消され、比較的簡単な構成により、タッチパネル型の情報入力装置が実現できる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
近年、このような光学的な情報入力装置は、パーソナルコンピュータ等の普及に伴い、情報の入力や選択をするための有力なツールとして位置付けられ、上述の出願で提案されたものや公開公報に開示されたもの以外にもさらに検討されているが、まだ、完全とはいえず、本格的な実用化に向けていまだ解決されねばならない課題が多々存在する。
【0008】
例えば、これらの光学的なタッチパネル型情報入力装置の場合、超音波方式等による場合と異なり、情報入力領域面(タッチパネル)自体が検出機能を有さず、情報入力領域面から表面側に少し離れた位置に光学的な検出領域が設定されているため、情報入力領域面上における指などによる実際の描画動作(文字の筆記等)とその描画座標位置の検出動作との間に空間的なずれを生じてしまい、描画する人の意図した描画画像に対してディスプレイ等を通じて再現される描画画像上に尾引き等の不具合が生じてしまう。即ち、「尾引き」とは、光学的なタッチパネルの特徴として、タッチパネルから指などが離れた瞬間にデタッチ(非挿入)が検出されるのではなく、タッチパネルから或る距離以上に離れる時点で検出されるため、この時点までの間は、指などをタッチパネルから離し所望の文字等の描画を終えているにもかかわらず、依然として、タッチパネルに触れていると見倣され(タッチ=挿入状態と見倣され)、再現画像において意図しない部分に線分が描画される現象をいう。
【0009】
例えば、図31に示すように、表面側に検出光による情報入力領域200が設定されたタッチパネル201面に沿って指202などにより描画するとき、P点でその描画が終わり、指202をタッチパネル201面から離そうとする場合、情報入力領域200を抜け出るP′点までは指202が検出光により検出され、指202がタッチパネル201に触れていると見倣され、P′点で初めてデタッチとされる。これによりディスプレイを通じてタッチパネル201面に表示される描画線203はP点で終わらず、P′点まで伸び、このP〜P′点部分が尾引き204として表示されてしまう。この結果、現実的な描画を考えた場合、例えば、図32(a)に示すような漢字「二」の描画において、▲1▼〜▲2▼と描画し、▲2▼部分で指を離し、▲3▼〜▲4▼と描画し、▲4▼で指を離すこととなるが、漢字「二」の「止め」部分205で指を離す際に、上記の尾引き現象が生じ、再現描画像には図32(b)に示すようなひげ状の尾引き204が生じてしまい、見にくくなる。極端な場合には、図32(c)に示すように、▲2▼部分と▲3▼部分とが尾引き204により繋がってしまい、漢字「二」が漢字「乙」のように描画されてしまうこともある。これにより、描画後に消しゴムツールなどを用いてこの尾引き204部分を消す等の面倒な操作が必要となる。
【0010】
結局、指などの指示手段の指示状態、特に、挿入/非挿入(タッチ/デタッチ)の判断ないしは認識が現実の指示状態に対してずれがあり、必ずしも適正に行われていないものである。
【0011】
本発明の目的は、描画の際に発生する尾引き部分を自動的に削除し、文字描画の操作性を大幅に向上させることである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、二次元の情報入力領域を指示した所定物体を検出し、入力情報として出力する情報入力装置において、文字の描画中であるか否かを判定する描画判定手段と、前記描画判定手段が文字の描画中でないと判定している間で、且つ、連続する3点の前記入力情報を取得した時点で、これらの連続する3点の前記入力情報を結んだ描画方向の変化値である描画方向変化値を算出する描画方向変化値算出手段と、前記描画方向変化値算出手段で算出された前記描画方向変化値と、予め定められた尾引きとみなすことが可能な描画方向の変化値である尾引き判定値とを比較する尾引き判定値比較手段と、前記尾引き判定値比較手段による比較の結果、前記描画方向変化値が前記尾引き判定値よりも大きい場合には、その描画は尾引きであるものとして描画方向が変化した前記入力情報を描画情報として出力しない第一尾引き判定手段と、前記描画判定手段が文字の描画中と判定している間、前記入力情報を取得する毎に、連続する2点の前記入力情報間における描画速度を算出する第二描画速度算出手段と、前記第二描画速度算出手段で算出された前記描画速度と、実際に描画情報として出力された2点の前記入力情報間における描画速度である基準描画速度とを比較する基準描画速度比較手段と、前記基準描画速度比較手段による比較の結果、前記描画速度が前記基準描画速度よりも速い場合には、その描画は尾引きであるものとして直近の前記入力情報を描画情報として出力しない第三尾引き判定手段と、前記基準描画速度比較手段による比較の結果、前記描画速度が前記基準描画速度と同等又は遅い場合には、前記第二描画速度算出手段で算出された前記描画速度と、前に検出した連続する2点の前記入力情報間における描画速度である前記描画速度とを比較する前回描画速度比較手段と、前回描画速度比較手段による比較の結果、前回描画速度が前記描画速度よりも早い場合には、その描画は尾引きであるものとして直近の前記入力情報を出力しない第四尾引き判定手段と、を備え、前記描画判定手段は、前記描画情報の出力に応じて、文字の描画中と判定することを特徴とする。
【0013】
ここで、尾引きとは、再現画像において意図しない部分に線分が描画される現象をいう。
【0014】
したがって、所定物体による情報入力領域内の指示をやめた場合であっても次の座標検出周期時において情報入力領域内に所定物体が留まってしまって当該所定物体が検出されてしまい尾引きが発生する場合にはその座標ベクトル長が大きいため、描画開始直後の連続する3点の入力情報を結んだ描画方向の変化値である描画方向変化値と所定の尾引き判定値とを比較することにより、この描画方向変化値が尾引き判定値よりも大きい場合には座標ベクトル長が大きくなっていることから、その描画を尾引きであるものとして排除することが可能になる。これにより、描画の際に発生する尾引き部分が自動的に削除されることになるので、文字描画の操作性を大幅に向上させることが可能になる。
【0015】
また、次画への移動の際に誤って所定物体が情報入力領域内に侵入してしまって当該所定物体が検出されてしまい点状の尾引きが発生する場合には、点状の尾引きが発生する際の描画速度は描画時の描画速度に比べてはるかに速く、大きな速度差が発生するため、描画中の連続する2点の入力情報間における描画速度と実際に描画情報として出力された2点の入力情報間における描画速度である基準描画速度とを比較することにより、この描画速度が基準描画速度よりも速い場合にはその描画を尾引きであるものとして排除することが可能になる。これにより、描画の際に発生する尾引き部分が自動的に削除されることになるので、文字描画の操作性を大幅に向上させることが可能になる。
【0016】
また、文字は左から右、上から下への筆順となっており、1文字の画描画の変更時には左方向に戻り右または下へ、上方向に戻り下か右への描画が続行され、文字描画継続の始点において方向変換が生じることになり、次画描画のため移動中(情報入力領域内に非挿入)状態から文字描画に移る時は停止状態が発生し、文字描画の際の描画速度は移動中の速度に比べ遅くなるため、描画中の連続する2点の入力情報間における描画速度と前に検出した連続する2点の入力情報間における描画速度である前回描画速度とを比較することにより、前回描画速度が描画速度よりも速い場合にはその描画を尾引きであるものとして排除することが可能になる。これにより、描画の際に発生する尾引き部分が自動的に削除されることになるので、文字描画の操作性を大幅に向上させることが可能になる。
【0017】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の情報入力装置において、前記尾引き判定値比較手段による比較の結果、前記描画方向変化値が前記尾引き判定値以下の場合には、前記連続する3点の前記入力情報の中から連続する後半2点の前記入力情報間における描画速度を算出する第一描画速度算出手段と、前記第一描画速度算出手段で算出された前記描画速度と、予め定められた平均的な描画速度である平均描画速度とを比較する平均描画速度比較手段と、前記平均描画速度比較手段による比較の結果、描画速度が前記平均描画速度よりも速い場合には、その描画は尾引きであるものとして3点の前記入力情報を描画情報として出力しない第二尾引き判定手段と、を更に備える。
【0018】
したがって、所定物体による情報入力領域内の指示をやめた場合であって所定物体の移動途中に当該所定物体が情報入力領域内に侵入してしまって当該所定物体が連続して検出されてしまい線状の尾引きが発生する場合には、これらの連続して移動途中に検出された所定物体間における速度は文字描画中における速度に比べてはるかに速いため、描画開始直後の連続する3点の入力情報の中から連続する後半2点の入力情報間における描画速度と平均的な描画速度である平均描画速度とを比較することにより、この描画速度が平均描画速度よりも速い場合にはその描画を尾引きであるものとして排除することが可能になる。これにより、描画の際に発生する尾引き部分が自動的に削除されることになるので、文字描画の操作性を大幅に向上させることが可能になる。
【0024】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2に記載の情報入力装置において、前記情報入力領域は、光源から出射された光を薄膜状に形成して投光することにより形成される。
【0025】
したがって、物体の挿入を受け付ける二次元の情報入力領域が確実に形成され、無視差、完全透明、高い描画感を実現する情報入力装置の提供が可能になる。
【0026】
請求項4記載の発明は、請求項1又は2に記載の情報入力装置において、前記情報入力領域は、光源から出射されたビーム光を順次走査して投光することにより形成される。
【0027】
したがって、物体の挿入を受け付ける二次元の情報入力領域が確実に形成され、無視差、完全透明、高い描画感を実現する情報入力装置の提供が可能になる。
【0028】
請求項5記載の発明は、請求項1又は2に記載の情報入力装置において、前記情報入力領域は、撮像手段による撮像範囲である。
【0029】
したがって、物体の挿入を受け付ける二次元の情報入力領域が確実に形成され、無視差、完全透明、高い描画感を実現する情報入力装置の提供が可能になる。
【0030】
請求項6記載の発明は、請求項1又は2に記載の情報入力装置において、前記情報入力領域は、受光手段とこの受光手段に相対して設けられる発光手段とによる光路をマトリックス状に配することにより形成される。
【0031】
したがって、物体の挿入を受け付ける二次元の情報入力領域が確実に形成され、無視差、完全透明、高い描画感を実現する情報入力装置の提供が可能になる。
【0032】
請求項7記載の発明の情報入出力システムは、表示装置と、この表示装置の表示面に前記情報入力領域を一致させて配設される請求項1ないし6のいずれか一記載の情報入力装置と、前記情報入力装置からの入力に基づいて前記表示装置の表示制御を行う制御装置と、を備える。
【0033】
したがって、座標入力面(タッチパネル面)のような物理的な面を有さず、表示装置の表示面に装着して使用した場合であっても視認性に優れる情報入出力システムを安価で提供することが可能になる。
【0034】
請求項8記載の発明の情報入出力システムは、筆記を受け付けるライティングボードと、このライティングボードの書き込み面に前記情報入力領域を一致させて配設される請求項1ないし6のいずれか一記載の情報入力装置と、前記情報入力装置からの入力に基づいて前記ライティングボードに筆記された情報の制御を行う制御装置と、を備える。
【0035】
したがって、座標入力面(タッチパネル面)のような物理的な面を有さず、表示装置の表示面に装着して使用した場合であっても視認性に優れる情報入出力システムを安価で提供することが可能になる。
【0036】
請求項9記載の発明は、情報入力装置に設けられた二次元の情報入力領域を指示した所定物体を検出し、入力情報として出力させる動作制御をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、前記コンピュータに、文字の描画中であるか否かを判定する描画判定機能と、前記描画判定機能が文字の描画中でないと判定している間で、且つ、連続する3点の前記入力情報を取得した時点で、これらの連続する3点の前記入力情報を結んだ描画方向の変化値である描画方向変化値を算出する描画方向変化値算出機能と、前記描画方向変化値算出機能で算出された前記描画方向変化値と、予め定められた尾引きとみなすことが可能な描画方向の変化値である尾引き判定値とを比較する尾引き判定値比較機能と、前記尾引き判定値比較機能による比較の結果、描画方向変化値が前記尾引き判定値よりも大きい場合には、その描画は尾引きであるものとして描画方向が変化した前記入力情報を描画情報として出力しない第一尾引き判定機能と、前記描画判定機能が文字の描画中と判定している間、前記入力情報を取得する毎に、連続する2点の前記入力情報間における描画速度を算出する第二描画速度算出機能と、前記第二描画速度算出機能で算出された前記描画速度と、実際に描画情報として出力された2点の前記入力情報間における描画速度である基準描画速度とを比較する基準描画速度比較機能と、前記基準描画速度比較機能による比較の結果、前記描画速度が前記基準描画速度よりも速い場合には、その描画は尾引きであるものとして直近の前記入力情報を描画情報として出力しない第三尾引き判定機能と、前記基準描画速度比較機能による比較の結果、前記描画速度が前記基準描画速度と同等又は遅い場合には、前記第二描画速度算出機能で算出された前記描画速度と、前に検出した連続する2点の前記入力情報間における描画速度である前記描画速度とを比較する前回描画速度比較機能と、前回描画速度比較機能により比較の結果、前回描画速度が前記描画速度よりも早い場合には、その描画は尾引きであるものとして直近の前記入力情報を出力しない第四尾引き判定機能と、を実現させ、前記描画判定機能は、前記描画情報の出力に応じて、文字の描画中と判定することを特徴とする。
【0037】
ここで、尾引きとは、再現画像において意図しない部分に線分が描画される現象をいう。
【0038】
したがって、所定物体による情報入力領域内の指示をやめた場合であっても次の座標検出周期時において情報入力領域内に所定物体が留まってしまって当該所定物体が検出されてしまい尾引きが発生する場合にはその座標ベクトル長が大きいため、描画開始直後の連続する3点の入力情報を結んだ描画方向の変化値である描画方向変化値と所定の尾引き判定値とを比較することにより、この描画方向変化値が尾引き判定値よりも大きい場合には座標ベクトル長が大きくなっていることから、その描画を尾引きであるものとして排除することが可能になる。これにより、描画の際に発生する尾引き部分が自動的に削除されることになるので、文字描画の操作性を大幅に向上させることが可能になる。
【0039】
また、次画への移動の際に誤って所定物体が情報入力領域内に侵入してしまって当該所定物体が検出されてしまい点状の尾引きが発生する場合には、点状の尾引きが発生する際の描画速度は描画時の描画速度に比べてはるかに速く、大きな速度差が発生するため、描画中の連続する2点の入力情報間における描画速度と実際に描画情報として出力された2点の入力情報間における描画速度である基準描画速度とを比較することにより、この描画速度が基準描画速度よりも速い場合にはその描画を尾引きであるものとして排除することが可能になる。これにより、描画の際に発生する尾引き部分が自動的に削除されることになるので、文字描画の操作性を大幅に向上させることが可能になる。
【0040】
また、文字は左から右、上から下への筆順となっており、1文字の画描画の変更時には左方向に戻り右または下へ、上方向に戻り下か右への描画が続行され、文字描画継続の始点において方向変換が生じることになり、次画描画のため移動中(情報入力領域内に非挿入)状態から文字描画に移る時は停止状態が発生し、文字描画の際の描画速度は移動中の速度に比べ遅くなるため、描画中の連続する2点の入力情報間における描画速度と前に検出した連続する2点の入力情報間における描画速度である前回描画速度とを比較することにより、前回描画速度が描画速度よりも速い場合にはその描画を尾引きであるものとして排除することが可能になる。これにより、描画の際に発生する尾引き部分が自動的に削除されることになるので、文字描画の操作性を大幅に向上させることが可能になる。
【0041】
請求項10記載の発明は、請求項9記載のプログラムにおいて、前記コンピュータに、前記尾引き判定値比較機能による比較の結果、前記描画方向変化値が前記尾引き判定値以下の場合には、前記連続する3点の前記入力情報の中から連続する後半2点の前記入力情報間における描画速度を算出する第一描画速度算出機能と、前記第一描画速度算出機能で算出された前記描画速度と、予め定められた平均的な描画速度である平均描画速度とを比較する平均描画速度比較機能と、前記平均描画速度比較機能による比較の結果、描画速度が前記平均描画速度よりも速い場合には、その描画は尾引きであるものとして3点の前記入力情報を描画情報として出力しない第二尾引き判定機能と、を更に実現させる。
【0042】
したがって、所定物体による情報入力領域内の指示をやめた場合であって所定物体の移動途中に当該所定物体が情報入力領域内に侵入してしまって当該所定物体が連続して検出されてしまい線状の尾引きが発生する場合には、これらの連続して移動途中に検出された所定物体間における速度は文字描画中における速度に比べてはるかに速いため、描画開始直後の連続する3点の入力情報の中から連続する後半2点の入力情報間における描画速度と平均的な描画速度である平均描画速度とを比較することにより、この描画速度が平均描画速度よりも速い場合にはその描画を尾引きであるものとして排除することが可能になる。これにより、描画の際に発生する尾引き部分が自動的に削除されることになるので、文字描画の操作性を大幅に向上させることが可能になる。
【0048】
請求項11記載の発明のコンピュータに読み取り可能な記憶媒体は、請求項9又は10に記載のプログラムを記憶する。
【0049】
これにより、この記憶媒体をコンピュータにインストールすることにより、請求項9又は10に記載のプログラムと同様の作用を得ることが可能になる。
【0050】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の一形態を図1ないし図30に基づいて説明する。本実施の形態は、情報入出力システムとして、大型の表示装置を装備したいわゆる電子黒板システムを適用した例である。
【0051】
ここで、図1は情報入出力システム1を概略的に示す外観斜視図である。図1に示すように、情報入出力システム1は、表示装置であるプラズマディスプレイパネル(PDP:Plasma Display Panel)2及び情報入力装置3で構成されるパネル部4と、制御装置であるパーソナルコンピュータ等のコンピュータ5,原稿の画像を読み取るためのスキャナ6,画像データを記録紙に出力するプリンタ7,ビデオプレイヤー8(いずれも図2参照)を収納する機器収納部9とを主体に構成されている。
【0052】
PDP2及び情報入力装置3は、PDP2の表示面2a側に情報入力装置3が位置するようにして一体化され、PDP2の表示面2aに情報入力装置3の情報入力領域3aが位置するようにしてパネル部4に収納されている。このように、パネル部4はPDP2及び情報入力装置3を収納して、情報入出力システム1の表示面(PDP2の表示面2a)及び書き込み面(情報入力領域3a)を構成している。なお、PDP2としては、電子黒板として利用可能な40インチや50インチ等の大画面タイプのものが用いられている。また、図示することは省略するが、PDP2にはビデオ入力端子やスピーカーが設けられており、ビデオプレイヤー8をはじめ、その他レーザディスクプレイヤー、DVDプレイヤー、ビデオカメラ等の各種情報機器やAV機器を接続し、PDP2を大画面モニタとして利用することが可能な構成になっている。
【0053】
次に、情報入出力システム1に内蔵される各部の電気的接続について図2を参照して説明する。図2に示すように、情報入出力システム1は、コンピュータ5にPDP2、スキャナ6、プリンタ7、ビデオプレイヤー8をそれぞれ接続し、コンピュータ5によってシステム全体を制御するようにしている。また、コンピュータ5には、指先やペンである指示手段等の所定物体で指示された情報入力領域3a内の位置座標の演算等を行う情報入力装置3用のコントローラ10が接続されており、このコントローラ10を介して情報入力装置3もコンピュータ5に接続されている。また、コンピュータ5を介して情報入出力システム1をネットワーク11に接続することができ、ネットワーク11上に接続された他のコンピュータで作成したデータをPDP2に表示したり、情報入出力システム1で作成したデータを他のコンピュータに転送することも可能になっている。
【0054】
次に、コンピュータ5について説明する。ここで、図3はコンピュータ5に内蔵される各部の電気的接続を示すブロック図である。図3に示すように、コンピュータ5は、システム全体を制御するCPU(Central Processing Unit)12と、起動プログラム等を記憶したROM(Read Only Memory)13と、CPU12のワークエリアとして使用されるRAM(Random Access Memory)14と、文字・数値・各種指示等の入力を行うためのキーボード15と、カーソルの移動や範囲選択等を行うためのマウス16と、ハードディスク17と、PDP2に接続されておりそのPDP2に対する画像の表示を制御するグラフィックス・ボード18と、ネットワーク11に接続するためのネットワーク・カード(またはモデムでも良い。)19と、コントローラ10・スキャナ6・プリンタ7等を接続するためのインタフェース(I/F)20と、上記各部を接続するためのバス21とを備えている。
【0055】
また、ハードディスク17には、オペレーティング・システム(OS:Operating System)22、コントローラ10を介してコンピュータ5上で情報入力装置3を動作させるためのデバイスドライバ23、描画ソフト・ワードプロセッサソフト・表計算ソフト・プレゼンテーションソフト・キャリブレーションソフトウエア等の各種アプリケーションプログラム24等が格納されている。
【0056】
また、コンピュータ5には、OS22、デバイスドライバ23や各種アプリケーションプログラム24等の各種のプログラムコード(制御プログラム)を記憶した記憶媒体26、すなわち、フロッピーディスク、ハードディスク、光ディスク(CD−ROM,CD−R,CD−R/W,DVD−ROM,DVD−RAMなど)、光磁気ディスク(MO)、メモリカードなどに記憶されているプログラムコードを読み取る装置であるフロッピーディスクドライブ装置、CD−ROMドライブ装置、MOドライブ装置等のプログラム読取装置25が搭載されている。
【0057】
各種アプリケーションプログラム24は、コンピュータ5への電源の投入に応じて起動するOS22による制御の下、CPU12によって実行される。例えば、キーボード15やマウス16の所定の操作によって描画ソフトを起動した場合には、PDP2にグラフィックス・ボード18を介して描画ソフトに基づく所定の画像が表示される。また、デバイスドライバ23もOS22とともに起動され、コントローラ10を介した情報入力装置3からのデータ入力が可能な状態になる。このように描画ソフトを起動した状態で情報入力装置3の情報入力領域3aにユーザが指示手段で文字や図形を描いた場合、座標情報が指示手段の記述に基づく画像データとしてコンピュータ5に入力され、例えばPDP2に表示されている画面上の画像に対して上書き画像として重ねて表示される。より詳細には、コンピュータ5のCPU12は、入力された画像データに基づいて線や文字を描画するための描画情報を生成し、入力された座標情報に基づく位置座標に合わせてグラフィックス・ボード18に設けられるビデオメモリ(図示せず)に書き込んでいく。その後、グラフィックス・ボード18が、ビデオメモリに書き込まれた描画情報を画像信号としてPDP2に送信することにより、ユーザが書いた文字と同一の文字が、PDP2に表示されることになる。つまり、コンピュータ5は情報入力装置3をマウス16のようなポインティングデバイスとして認識しているため、コンピュータ5では、描画ソフト上でマウス16を用いて文字を書いた場合と同様な処理が行われることになる。
【0058】
次に、情報入力装置3について詳細に説明する。なお、本実施の形態の情報入出力システム1に適用し得る情報入力装置3としては、検出方式の異なる種々の方式のものが考えられる。そこで、以下においては、情報入力装置3として、検出方式の異なる情報入力装置を数例挙げ、その構成及び原理について説明する。
【0059】
A.第1の情報入力装置
まず、第1の情報入力装置3Aについて図4ないし図8に基づいて説明する。この第1の情報入力装置3Aは、いわゆる再帰光遮蔽方式の情報入力装置である。
【0060】
ここで、図4は第1の情報入力装置3Aの構成を概略的に示す説明図である。図4に示すように、情報入力装置3Aは、PDP2の表示面2aのサイズに対応したサイズで横長の四角形状の情報入力領域3aを備えている。この情報入力領域3aは、手書きにより文字や図形等の入力を可能にする領域である。この情報入力領域3aの下方両端部に位置する角部の近傍には、発光と受光とを行う光学ユニット27(左側光学ユニット27L、右側光学ユニット27R)が所定の取付角度で設けられている。これらの光学ユニット27からは、平面若しくはほぼ平面をなし、例えばL1,L2,L3,・・・,Ln(R1,R2,R3,・・・,Rn)といった光(プローブ光)の束で構成される扇形状で薄膜状の光束膜が、情報入力領域3aの全域に行き渡るようにPDP2の表示面2aの表面に沿って平行に投光される。
【0061】
また、情報入力装置3の情報入力領域3aの下部を除く周辺部には、再帰性反射部材28が設けられている。この再帰性反射部材28は、例えば円錐形状のコーナーキューブを多数配列して形成されており、入射した光をその入射角度によらずに所定の位置に向けて反射する特性を有している。例えば、左側光学ユニット27Lから投光されたプローブ光L3は、再帰性反射部材28によって反射され、再び同一光路を辿る再帰反射光L3´として左側光学ユニット27Lにより受光されることになる。つまり、再帰性反射部材28によっても情報入力領域3aが形成されている。
【0062】
次に、光学ユニット27について説明する。ここで、図5は光学ユニット27の構造を概略的に示す構成図である。なお、図5はx−z方向を主体に示しているが、二点鎖線で示す部分については同一の構成要素を別方向(x−y方向、又はy−z方向)から見た図である。
【0063】
図5に示すように、光学ユニット27は、投光手段29と受光手段30とを備えている。投光手段29は、スポットをある程度絞ることの可能なLD(Laser Diode:半導体レーザ),ピンポイントLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)等の光源31を備えている。この光源31からPDP2の表示面2aに対して垂直に照射された光は、一方向の倍率のみを変更可能なシリンドリカルレンズ32によってx方向にコリメートされる。シリンドリカルレンズ32によってx方向にコリメートされた光は、シリンドリカルレンズ32とは曲率の分布が直交する2枚のシリンドリカルレンズ33,34によりy方向に対して集光される。つまり、これらのシリンドリカルレンズ群(シリンドリカルレンズ32,33,34)の作用により、光源31からの光を線状に集光した領域がシリンドリカルレンズ34の後方に形成されることになる。ここに、y方向に狭くx方向に細長いスリットを有するスリット板35を配置する。したがって、シリンドリカルレンズ群(シリンドリカルレンズ32,33,34)を通過した光は、スリット板35のスリット位置において、線状の二次光源36を形成する。二次光源36から発した光は、ハーフミラー37で折り返され、PDP2の表示面2aの垂直方向には広がらずに表示面2aの表面に沿った平行光で、表示面2aと平行方向には二次光源36を中心にした扇形状の光束膜となって情報入力領域3aを進行する。換言すれば、扇形状の光が情報入力領域3aを形成する。これらのシリンドリカルレンズ群(シリンドリカルレンズ32,33,34)とスリット板35とによって、集光光学系が形成されている。
【0064】
前述したように、扇形状となって情報入力領域3aを進行した光束膜は、再帰性反射部材28で再帰的に反射され、再び同一光路を辿ってハーフミラー37に戻ることになる。したがって、再帰性反射部材28で再帰的に反射された光束膜も情報入力領域3aを形成する。
【0065】
再帰性反射部材28で反射されてハーフミラー37に戻った再帰反射光は、ハーフミラー37を透過して受光手段30に入射する。受光手段30に入射した再帰反射光は、集光レンズであるシリンドリカルレンズ38を通って線状にされた後、このシリンドリカルレンズ38から距離f(fはシリンドリカルレンズ38の焦点距離)の間隔で設けられたCCD(Charge Coupled Device:受光素子)39において、プローブ光毎に異なる位置で受光される。なお、本実施の形態のCCD(受光素子)39は、1次元CCDであって、その画素数は2,048画素とされている。
【0066】
詳細には、再帰性反射部材28で反射された再帰反射光は、z軸方向ではシリンドリカルレンズ38の作用を受けず、コリメートされたままCCD(受光素子)39に到達する。また、再帰反射光は、PDP2の表示面2aと平行方向では、シリンドリカルレンズ38の中心に集光するように伝搬し、その結果、シリンドリカルレンズ38の作用を受けてシリンドリカルレンズ38の焦点面に設置されたCCD(受光素子)39上に結像する。これにより、CCD(受光素子)39上に再帰反射光の有無に応じて光強度の分布が形成される。すなわち、再帰反射光を指示手段Pで遮った場合、CCD(受光素子)39上の遮られた再帰反射光に相当する位置に光強度が弱い点(後述するピーク点)が生じることになる。再帰反射光を受光したCCD(受光素子)39は、再帰反射光(プローブ光)の光強度分布に基づいた電気信号を生成し、前述したコントローラ10に対して出力する。なお、図5に示すように、二次光源36とシリンドリカルレンズ38とは、ハーフミラー37に対して共に距離dの位置に配設されて共役な位置関係にある。
【0067】
ここで、図6は受光素子39から再帰反射光の光強度分布に基づいた電気信号が入力され、情報入力領域3aを進行する光が遮られた位置の座標を特定する処理を実行するコントローラ10のブロック構成図である。このコントローラ10は、光学ユニット27(左側光学ユニット27L、右側光学ユニット27R)の光源(LD)31の発光制御と、光学ユニット27(左側光学ユニット27L、右側光学ユニット27R)のCCD(受光素子)39からの出力の演算を行うものである。図6に示すように、コントローラ10には、各部を集中的に制御するCPU40が設けられており、このCPU40には、プログラム及びデータを記憶するROM41、各種データを書き換え自在に格納してワークエリアとして機能するRAM42、コンピュータ5に接続するためのインタフェース43、A/D(Analog/Digital)コンバータ44及びLDドライバ45がバス接続されている。また、CPU40には、各種のプログラムコード(制御プログラム)を格納するハードディスク46や不揮発性のメモリであるEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)47がバス接続されている。ここに、CPU40、ROM41及びRAM42によりマイクロコンピュータが構成されている。このようなマイクロコンピュータには、各種のプログラムコード(制御プログラム)を記憶した記憶媒体49、すなわち、フロッピーディスク、ハードディスク、光ディスク(CD−ROM,CD−R,CD−R/W,DVD−ROM,DVD−RAMなど)、光磁気ディスク(MO)、メモリカードなどに記憶されているプログラムコードを読み取る装置であるフロッピーディスクドライブ装置、CD−ROMドライブ装置、MOドライブ装置等のプログラム読取装置48が接続されている。
【0068】
CCD(受光素子)39からの出力を演算する回路として、CCD(受光素子)39の出力端子に、アナログ処理回路51が図のように接続される。CCD(受光素子)39に入射した反射光は、CCD(受光素子)39内で光の強度に応じた電圧値を持つアナログの画像データに変換され、アナログ信号として出力される。このアナログ信号は、アナログ処理回路51で処理された後、A/D(Analog/Digital)コンバータ44によってデジタル信号に変換されてCPU40に渡される。この後、CPU40によって指示手段Pの二次元座標の演算が行われる。
【0069】
ハードディスク46に格納された各種のプログラムコード(制御プログラム)または記憶媒体49に記憶された各種のプログラムコード(制御プログラム)は、コントローラ10への電源の投入に応じてRAM42に書き込まれ、各種のプログラムコード(制御プログラム)が実行されることになる。
【0070】
続いて、制御プログラムに基づいてCPU40によって実行される機能について説明する。ここでは、本実施の形態の情報入力装置3の備える特長的な機能である座標検出処理について以下において具体的に説明する。
【0071】
ここで、図7は情報入力装置3の情報入力領域3a内の一点を指示手段Pで指し示した一例を示す正面図である。図7に示すように、例えば、左側光学ユニット27Lから照射されたL1,L2,L3,・・・,Lnといったプローブ光で構成される扇形状の光の中でn番目のプローブ光Lnが指示手段Pによって遮られた場合、そのプローブ光Lnは再帰性反射部材28に到達することはない。
【0072】
このときCCD(受光素子)39上の光強度分布を考える。ここで、図8はCCD(受光素子)39の検出動作を模式的に示す説明図である。指示手段Pが情報入力領域3a内に挿入されていなければ、CCD(受光素子)39上の光強度分布はほぼ一定であるが、図8に示すように指示手段Pが情報入力領域3a内に挿入されてプローブ光Lnが指示手段Pによって遮られた場合、そのプローブ光Lnは光学ユニット27のCCD(受光素子)39によって受光されることはないため、プローブ光Lnに対応する光学ユニット27のCCD(受光素子)39上の所定の位置Xnが光強度の弱い領域(暗点)となる。この光強度の弱い領域(暗点)である位置Xnは、CCD(受光素子)39から出力される光強度の波形にピーク点として出現することになるので、CPU40は、このような光強度の波形におけるピーク点の出現を電圧の変化により認識し、この光強度の波形のピーク点となった暗点の位置Xnを検出する。
【0073】
また、光強度の波形のピーク点となった暗点位置Xnが検出されると、暗点位置XnからCCD(受光素子)39の中心画素までの距離が、例えばCCD(受光素子)39の画素番号(例えば、図8においては、画素番号m)に基づいて検出される。
【0074】
光強度の弱い領域(暗点)である位置Xn(左側光学ユニット27LのCCD(受光素子)39上ではXnL,右側光学ユニット27RのCCD(受光素子)39上ではXnR)は、遮られたプローブ光の出射/入射角θnと対応しており、Xnを検出することによりθnを知ることができる。即ち、暗点位置XnからCCD(受光素子)39の中心画素までの距離をaとすると、θnはaの関数として、
θn=tan−1(a/f) ………………………………(1)
と表すことができる。ただし、fはシリンドリカルレンズ38の焦点距離である。ここで、左側光学ユニット27LにおけるθnをθnL、aをXnLと置き換える。
【0075】
さらに、図7において、左側光学ユニット27Lと情報入力領域3aとの幾何学的な相対位置関係の変換係数gにより、指示手段Pと左側光学ユニット27Lとのなす角度θLは、(1)式で求められるXnLの関数として、
θL=g(θnL) ………………………………(2)
ただし、θnL=tan−1(XnL/f)
と表すことができる。
【0076】
同様に、右側光学ユニット27Rについても、上述の(1)(2)式中の記号Lを記号Rに置き換えて、右側光学ユニット27Rと情報入力領域3aとの幾何学的な相対位置関係の変換係数hにより、
θR=h(θnR) ………………………………(3)
ただし、θnR=tan−1(XnR/f)
と表すことができる。
【0077】
ここで、左側光学ユニット27LのCCD(受光素子)39の中心位置と右側光学ユニット27RのCCD(受光素子)39の中心位置との距離を図7に示すwとすると、情報入力領域3a内の指示手段Pで指示した点の2次元座標(x,y)は、三角測量の原理により、
x=w・tanθR/(tanθL+tanθR) ………………(4)
y=w・tanθL・tanθR/(tanθL+tanθR) ……(5)
として算出することができる。
【0078】
これらの(1)(2)(3)(4)(5)式は制御プログラムの一部として予めハードディスク46や記憶媒体49に格納されており、(1)(2)(3)(4)(5)式により、指示手段Pの位置座標(x,y)は、XnL,XnRの関数として算出される。すなわち、左側光学ユニット27LのCCD(受光素子)39上の暗点の位置と右側光学ユニット27RのCCD(受光素子)39上の暗点の位置とを検出することで、指示手段Pの位置座標(x,y)が算出されることになる。
【0079】
このようにして算出された指示手段Pの位置座標(x,y)は、コントローラ10を介してコンピュータ5へと出力され、所定の処理に用いられることになる。
【0080】
そして、このような情報入力装置3Aによれば、情報入力領域3aにおいて、無視差、完全透明、高い描画感を実現することが可能になっている。
【0081】
B.第2の情報入力装置
次に、第2の情報入力装置3Bについて図9ないし図11に基づいて説明する。なお、第1の情報入力装置3Aで説明した部分と同一部分については同一符号を用い、説明も省略する。
【0082】
この第2の情報入力装置3Bは、いわゆる再帰光反射方式の情報入力装置である。
【0083】
ここで、図9は情報入力装置3Bに用いられる指示手段61を示す斜視図である。また、図10は情報入力装置3Bの情報入力領域3a内の一点を指示手段61で指し示した一例を示す正面図である。図9に示すように、情報入力装置3Bの情報入力領域3a内の一点を指し示すために用いられる指示手段61の先端近傍には、再帰性反射部材62が設けられている。この再帰性反射部材62は、例えば円錐形状のコーナーキューブを多数配列して形成されており、入射した光をその入射角度によらずに所定の位置に向けて反射する特性を有している。例えば、左側光学ユニット27Lから投光されたプローブ光Lnは、図10に示すように、再帰性反射部材62によって反射され、再び同一光路を辿る再帰反射光Ln´として左側光学ユニット27Lにより受光されることになる。そのため、図10に示すように、情報入力装置3Bにおいては、前述した情報入力装置3Aのように情報入力領域3aに再帰性反射部材28を設ける必要はない。なお、指示手段61はペン状の形状をしており、光沢のある金属製よりゴムやプラスチックなどの材質が望ましい。
【0084】
したがって、このような指示手段61の再帰性反射部材62を備えた先端近傍を情報入力装置3Bの情報入力領域3aの適当な位置(x,y)に挿入し、例えば左側光学ユニット27Lから投光された扇形状の光束膜の中のプローブ光Lnが指示手段61の再帰性反射部材62によって反射された場合、その再帰反射光Ln´は左側光学ユニット27LのCCD(受光素子)39によって受光される。このようにしてCCD(受光素子)39が再帰反射光Ln´を受光した場合には、再帰反射光Ln´に対応するCCD(受光素子)39上の所定の位置Dnが光強度の強い領域(明点)となる。つまり、図11に示すように、CCD(受光素子)39上では位置Dnの位置に光強度が強い領域が生じ、CCD(受光素子)39からの光の強度分布の形状にはピークが出現する。このピークが出現する位置Dnは反射されたプローブ光の出射/入射角θnと対応しており、Dnを検出することによりθnを知ることができる。つまり、このような再帰光反射方式の情報入力装置3Bの場合も、前述した再帰光遮蔽方式の情報入力装置3Aと同様に、光強度の波形に出現するピークに基づく三角測量の手法により指示手段61の位置座標(x,y)が算出されることになる。
【0085】
このようにして算出された指示手段61の位置座標(x,y)は、コントローラ10を介してコンピュータ5へと出力され、所定の処理に用いられることになる。
【0086】
そして、このような情報入力装置3Bによれば、情報入力領域3aにおいて、無視差、完全透明、高い描画感を実現することが可能になっている。
【0087】
C.第3の情報入力装置
次に、第3の情報入力装置3Cについて図12ないし図14に基づいて説明する。なお、第1の情報入力装置3Aで説明した部分と同一部分については同一符号を用い、説明も省略する。
【0088】
この第3の情報入力装置3Cは、第1の情報入力装置3Aにおける光学ユニットの変形例である。詳細には、第1の情報入力装置3Aで用いた光学ユニット27においては扇形状の光束膜を投光して情報入力領域を形成したが、情報入力装置3Cにおいては、ポリゴンミラー等の回転走査系を有しており、その回転走査系によって光源から出射された光ビームを放射状に投光して情報入力領域を形成する光学ユニット70を用いるものである。
【0089】
ここで、図12は光学ユニット70を概略的に示す平面図である。図12に示すように、光学ユニット70は、駆動回路(図示せず)を有してレーザ光を出射する光源であるLD(Laser Diode:半導体レーザ)71とハーフミラー72とポリゴンミラー73と集光レンズ74とで構成される投光手段70aと、受光素子75とが備えられている。受光素子75は、集光レンズ74から距離f(fは集光レンズ74の焦点距離)の間隔で設けられたPD(Photo Diode)で構成されている。このような光学ユニット70は、LD71から出射したレーザ光をハーフミラー72で折り返した後、パルスモータ(図示せず)により所定の角速度ωtで回転駆動されるポリゴンミラー73によって放射状に順次反射する。したがって、光学ユニット70は、ビーム光を放射状に繰り返し投光することになる。つまり、2つの光学ユニット70から放射状に投光されるビーム光によって情報入力領域3aが形成されることになる。一方、反射されて光学ユニット70に入射したビーム光は、ポリゴンミラー73によって反射され、ハーフミラー72に到達する。ハーフミラー72に到達した反射ビーム光は、ハーフミラー72を透過して受光素子75に到達し、電気信号に変換される。
【0090】
次に、このような光学ユニット70を第1の情報入力装置3Aで用いた光学ユニット27に代えて適用した情報入力装置3Cについて説明する。図13に示すように、情報入力領域3a中の或る位置に指示手段Pが挿入されてあるビーム光が遮蔽されると、そのビーム光は再帰性反射部材28で反射されることはないことから、受光素子75に到達することはない。このように情報入力領域3a中の或る位置に指示手段Pが挿入されてあるビーム光が遮蔽された場合、受光素子75からの光の強度分布の形状にはディップが出現する。
【0091】
各部の電気的接続等については技術的に公知であるため詳細な説明は省略するが、図14に示すように、情報入力領域3aに指示手段Pが挿入されていない場合には光強度は“I=I1”を示すが、情報入力領域3aに指示手段Pが挿入されて受光素子75に再帰光が戻らない場合には光強度は“I=I0”を示すことになる。このように光強度が“I=I0”である部分が、ディップである。なお、図14中、時間t=t0は、ポリゴンミラー73の回転の基準位置であって、回転走査されるビーム光が所定の角度に達した時点である。
【0092】
したがって、光強度が“I=I0”となった時間tをt1であるとすれば、情報入力領域3aに挿入された指示手段Pにより遮蔽されたビーム光の出射角度θは、
θ=ω(t1−t0)=ω△t
として算出される。つまり、左右それぞれに設けられた光学ユニット70(70L、70R)において情報入力領域3aに挿入された指示手段Pにより遮蔽されたビーム光の出射角度θ(θnL,θnR)が算出され、それらの出射角度θ(θnL,θnR)に基づく三角測量の手法によって指示手段Pを挿入した位置座標(x,y)が算出されることになる。
【0093】
このようにして算出された指示手段Pの位置座標(x,y)は、コントローラ10を介してコンピュータ5へと出力され、所定の処理に用いられることになる。
【0094】
そして、このような情報入力装置3Cによれば、情報入力領域3aにおいて、無視差、完全透明、高い描画感を実現することが可能になっている。
【0095】
D.第4の情報入力装置
次に、第4の情報入力装置3Dについて図15ないし図16に基づいて説明する。なお、第2の情報入力装置3B及び第3の情報入力装置3Cで説明した部分と同一部分については同一符号を用い、説明も省略する。
【0096】
この第4の情報入力装置3Dは、第2の情報入力装置3Bにおける光学ユニットの変形例である。詳細には、第2の情報入力装置3Bで用いた光学ユニット27においては扇形状の光束膜を投光して情報入力領域を形成したが、第4の情報入力装置3Dにおいては、ポリゴンミラー等の回転走査系を有しており、その回転走査系によって光源から出射された光ビームを放射状に投光して情報入力領域を形成する光学ユニット70を用いるものである。なお、光学ユニット70についての説明は、第3の情報入力装置3Cで説明したのでここでは省略する。
【0097】
このような光学ユニット70を第2の情報入力装置3Bで用いた光学ユニット27に代えて適用した情報入力装置3Dについて説明する。図15に示すように、情報入力領域3a中の或る位置に指示手段61が挿入された場合、所定のビーム光が指示手段61の再帰性反射部材62において再帰反射され、そのビーム光は受光素子75に到達する。このように情報入力領域3a中の或る位置に指示手段61が挿入されてあるビーム光が再帰反射された場合、受光素子75からの光の強度分布の形状にはピークが出現する。
【0098】
各部の電気的接続等については技術的に公知であるため詳細な説明は省略するが、図16に示すように、情報入力領域3aに指示手段61が挿入されていない場合には光強度は“I=I0”を示すが、情報入力領域3aに指示手段61が挿入されて受光素子75に再帰光が到達した場合には光強度は“I=I1”を示すことになる。このように光強度が“I=I1”である部分が、ピークである。なお、図16中、時間t=t0は、ポリゴンミラー73の回転の基準位置であって、回転走査されるビーム光が所定の角度に達した時点である。
【0099】
したがって、光強度が“I=I1”となった時間tをt1であるとすれば、情報入力領域63に挿入された指示手段61により再帰反射されたビーム光の出射角度θは、
θ=ω(t1−t0)=ω△t
として算出される。つまり、左右それぞれに設けられた光学ユニット70(70L、70R)において情報入力領域3aに挿入された指示手段61により再帰反射されたビーム光の出射角度θ(θnL,θnR)が算出され、それらの出射角度θ(θnL,θnR)に基づく三角測量の手法によって指示手段61を挿入した位置座標(x,y)が算出されることになる。
【0100】
このようにして算出された指示手段61の位置座標(x,y)は、コントローラ10を介してコンピュータ5へと出力され、所定の処理に用いられることになる。
【0101】
そして、このような情報入力装置3Dによれば、情報入力領域3aにおいて、無視差、完全透明、高い描画感を実現することが可能になっている。
【0102】
E.第5の情報入力装置
次に、第5の情報入力装置3Eについて図17ないし図18に基づいて説明する。この第5の情報入力装置3Eは、情報入力領域内の画像情報を撮像カメラにより取り込んで、その取り込まれた画像情報の内の一部に基づいて位置座標を検出するいわゆるカメラ撮像方式の情報入力装置である。
【0103】
ここで、図17は情報入力装置3Eの構成を概略的に示す正面図である。情報入力装置3Eの情報入力領域3aの上方両端部には、撮像手段である撮像カメラ82が距離wを隔てて設けられている。撮像カメラ82には、CCD(Charge Coupled Device)である受光素子83と結像光学レンズ84とが、距離fを隔てて設けられている。これらの撮像カメラ82の撮像画角は約90度であり、情報入力領域3aを撮影範囲とするようにそれぞれ設置されている。また、撮像カメラ82は情報入力面を形成するPDP2の表示面2aから所定の距離となるように設置されており、その光軸はPDP2の表示面2aに平行である。
【0104】
加えて、情報入力領域3aの上部を除く周縁部であって撮像カメラ82の撮像画角を妨げずに撮影視野全体を覆う位置には、背景板85が設けられている。この背景板85は、情報入力領域3aの中央にその面を向け、PDP2の表示面2aに対して略垂直に設けられる。この背景板85は、例えば一様な黒色とされている。
【0105】
撮像カメラ82の信号と指示手段Pとの関係を図18に示す。図18に示すように、指示手段Pが情報入力領域3aに挿入された場合、その指示手段Pは撮像カメラ82に撮影され、指示手段Pの像が撮像カメラ82の受光素子83上に形成される。情報入力装置3Eのように背景板85が黒色であって、指を指示手段Pとして用いるような場合には、指示手段Pは背景板85に比べて高い反射率を有することになるので、受光素子83の指示手段Pに相当する部分は、光強度の強い領域(明点)となる。
【0106】
各部の電気的接続等については技術的に公知であるため詳細な説明は省略するが、図18に示すように、情報入力領域3aに指示手段Pが挿入された場合には、受光素子83からの光の強度分布の形状にはピークが出現する。このピークが出現する位置Dnは、結像光学レンズ84の主点からの指示手段Pの見かけの角度θnに対応しており、θnはDnの関数として、
θn=arctan (Dn/f)
と表すことができる。つまり、このようなカメラ撮像方式の情報入力装置3Eの場合も、前述した情報入力装置3A等と同様に、光強度の波形に出現するピークに基づく三角測量の手法により指示手段Pの位置座標(x,y)が算出されることになる。
【0107】
このようにして算出された指示手段Pの位置座標(x,y)は、コントローラ10を介してコンピュータ5へと出力され、所定の処理に用いられることになる。
【0108】
なお、指示手段Pとしては、自身が発光する発光素子付きの専用ペン等も適用することができる。
【0109】
そして、このような情報入力装置3Eによれば、情報入力領域3aにおいて、無視差、完全透明、高い描画感を実現することが可能になっている。
【0110】
F.第6の情報入力装置
次に、第6の情報入力装置3Fについて図19ないし図20に基づいて説明する。この第6の情報入力装置3Fは、三角測量によって座標を検出するものではなく、直交する2軸の座標を直接検出するいわゆるLEDアレイ方式の情報入力装置である。
【0111】
ここで、図19は情報入力装置3Fの構成を概略的に示す正面図である。図19に示すように、情報入力装置3Fは、Xm個の発光手段である発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)91を水平方向に一定間隔で配置した発光素子列92と、これに1対1に対応したXm個の受光手段であるフォトトランジスタ93を一定間隔で対向配置した受光素子列94と、Yn個のLED91を垂直方向に一定間隔で配置した発光素子列95と、これに1対1に対応したYn個のフォトトランジスタ93を一定間隔で対向配置した受光素子列96とを備えている。そして、これらの発光素子列92と、受光素子列94と、発光素子列95と、受光素子列96とにより囲まれた空間部分が、情報入力領域3aとされている。つまり、情報入力領域3a内には、水平方向に形成されるm個の光路と垂直方向に形成されるn個の光路とがマトリクス状に交差可能となっている。なお、情報入力領域3aは、PDP2の表示面2aのサイズに対応したサイズであって横長の四角形状に形成されており、手書きにより文字や図形等の入力を可能にする領域である。
【0112】
そして、この情報入力領域3aの或る位置に指等の指示手段Pが挿入された場合には、指示手段Pにより所定の光路が遮られるため、その遮蔽光路にある受光素子列94のフォトトランジスタ93及び受光素子列96のフォトトランジスタ93の受光光量がそれぞれ低下することになる。
【0113】
各部の電気的接続等については技術的に公知であるため詳細な説明は省略するが、図20に示すように、情報入力領域3aに指示手段Pが挿入されていない場合には各フォトトランジスタ93の光強度は“I=i1”を示すが、情報入力領域3aに指示手段Pが挿入されて光路が遮られた場合には、その遮蔽光路にあるフォトトランジスタ93の光強度は“I=i0”を示すことになる。このように光強度が“I=i0”である部分をディップという。なお、図20中、横軸はフォトトランジスタ93の位置に相当し、実際にはフォトトランジスタ93の光出力を逐次読みとる走査時間である。
【0114】
そして、受光光量が低下した受光光量が低下した受光素子列94のフォトトランジスタ93及び受光素子列96のフォトトランジスタ93の位置に相当するディップ位置を検出し、指示手段Pにより指示された位置座標(x,y)を算出する。実際には、基準位置t=t0からのディップ位置が検出されるまでの時間t1や、図20で示した波形をメモリに取り込み、メモリ内のデータに対してディップ位置に相当するメモリ番地としてディップの位置を検出することになる。
【0115】
このようにして算出された指示手段Pの位置座標(x,y)は、コントローラ10を介してコンピュータ5へと出力され、所定の処理に用いられることになる。
【0116】
そして、このような情報入力装置3Fによれば、情報入力領域3aにおいて、無視差、完全透明、高い描画感を実現することが可能になっている。
【0117】
以上、本実施の形態の情報入出力システム1に適用し得る情報入力装置3として、再帰光遮蔽方式の情報入力装置3A、再帰光反射方式の情報入力装置3B、回転走査系を有する再帰光遮蔽方式の情報入力装置3C、回転走査系を有する再帰光反射方式の情報入力装置3D、カメラ撮像方式の情報入力装置3E、LEDアレイ方式の情報入力装置3Fについて、その構成及び原理を説明したが、これらは本実施の形態の情報入出力システム1に適用し得る情報入力装置3の一例であって、本発明はこれらの方式に限定されるものではなく、本発明は、光学式の情報入力装置全般について適用されることは言うまでもない。
【0118】
続いて、本実施の形態の情報入出力システム1において実行される処理の内、従来の情報入出力システムによって行なわれている処理と同様の処理についてはその説明を省略し、情報入出力システム1が備える特長的な機能を実現する処理について以下に概略的に説明する。ここでは、情報入力装置3のCPU40が制御プログラムに基づいて実行する特徴的な機能について説明する。
【0119】
ここで、図21は情報入力処理の流れを概略的に示すフローチャートである。図21に示すように、この処理を起動すると、文字を描画中である旨を示す“文字描画中フラグ”をクリアした後(ステップS1)、情報入力領域3aにおける座標情報入力(タッチ)があるまで(ステップS2のY)、または、デタッチがあるまで(ステップS3のY)、待機する。
【0120】
そして、座標情報入力があった場合には(ステップS2のY)、ステップS4に進み、文字の描画中であるか否かを判断する。起動直後の場合にはステップS1で“文字描画中フラグ”がクリアされた状態であることから、文字の描画中ではないと判断され(ステップS4のN)、ステップS5に進み、入力された座標を保存する。
【0121】
その後、ステップS2〜S5の処理は、3つの座標情報を取得・保存する迄(ステップS6のY)、繰り返される。
【0122】
取得・保存した座標情報が3つになると(ステップS6のY)、ステップS7に進み、描画方向の変化値を算出する。ここに、描画方向変化値算出手段の機能が実行される。
【0123】
ここで、描画方向変化値の算出方法について図22を参照して説明する。図22において、前回検出された位置座標を(X1,Y1)、今回得られた位置座標を(X2,Y2)とする。X座標方向の変化量ΔX=X2−X1、Y座標方向の変化量ΔY=Y2−Y1から、座標ベクトル値をΔY/ΔXにより算出する。この場合の座標ベクトル値は、図23に示すRAM42に格納されるベクトルテーブルTBに、X軸方向から10度間隔で数値化されて予め格納されている。なお、この間隔(10度)は任意に設定すればよい。また、座標ベクトル値は、算出結果の近似値を用いるものとする。例えば、−ΔY,−ΔXでΔY/ΔX=0.900の場合であれば、座標ベクトル値=24となる。なお、図22において示すように、各サンプリングにおける座標間の座標ベクトル値は上述のように算出され、各座標間の座標ベクトル長Lは、例えば、座標(X1,Y1),(X2,Y2)間の座標ベクトル長L1であれば、
L1=√{(Y2−Y1)2+(X2−X1)2}
により算出される。
【0124】
つまり、図24(a)に示す例によれば、座標(X1,Y1)と(X2,Y2)とから算出される座標ベクトル値Aは“(5)”であり、座標(X2,Y2)と(X3,Y3)とから算出される座標ベクトル値Bは“(10)”であることから、その描画方向変化値Cは、
C(+5)=B(10)−A(5)
として算出される。
【0125】
また、図24(b)に示す例によれば、座標(X1,Y1)と(X2,Y2)とから算出される座標ベクトル値Aは“(14)”であり、座標(X2,Y2)と(X3,Y3)とから算出される座標ベクトル値Bは“(10)”であることから、その描画方向変化値Cは、
C(−4)=B(10)−A(14)
として算出される。
【0126】
描画方向変化値が算出されると、ステップS8において、その描画方向変化値が「尾引き判定値」よりも大きいか否かを判定する。ここに、尾引き判定値比較手段の機能が実行される。なお、「尾引き判定値」は、実験値に基づく初期値(X)を有しているが、その値は変更可能である。図25は「尾引き判定値」を示す説明図であって、ステップS7において算出された描画方向変化値Cが「尾引き判定値」(X)よりも大きい時には、“尾引き”と判定する。
【0127】
このように算出された描画方向変化値Cが「尾引き判定値」(X)よりも大きい時に“尾引き”と判定するのは、以下の理由による。例えば図26に示すように、A3でPDP2の表示面2aからペン等の指示手段が離れた場合であって次の座標検出周期時において情報入力領域3a内に指示手段が留まっておりA4の座標が検出されてしまった場合には、A3−A4の座標ベクトル長はPDP2の表示面2aに触れながら移動するA2−A3の座標ベクトル長より大きくなるからである。なお、このA3−A4のベクトルが、文字描画終了時において文字端部に発生する尾引き(文字端尾引き)である。
【0128】
ステップS7において算出された描画方向変化値Cが「尾引き判定値」(X)よりも大きく、“尾引き”と判定された場合には(ステップS8のY)、3つの座標(X1,Y1),(X2,Y2),(X3,Y3)をそれぞれ結ぶベクトルのうち、(X2,Y2)と(X3,Y3)とを結ぶ第2ベクトルは“尾引き”であるので(X3,Y3)は入力情報として出力しないようにし、(X1,Y1)と(X2,Y2)とのみを入力情報として出力して(X1,Y1)と(X2,Y2)とを結ぶ第1ベクトルのみを描画させる(ステップS9:第一尾引き判定手段)。ここで、図27はベクトル描画の一例であって、ベクトルの描画は検出される座標の2点間を予め設定されている色、太さにて直線で順次描画することにより実行される。
【0129】
その後、第1ベクトルである(X1,Y1)と(X2,Y2)との間における描画速度を算出するとともに(ステップS10)、算出した描画速度を「基準描画速度」として記憶した後(ステップS11)、文字を描画中である旨を示す“文字描画中フラグ”を立て(ステップS12)、ステップS2に戻る。
【0130】
一方、ステップS7において算出された描画方向変化値Cが「尾引き判定値」(X)よりも小さいと判定された場合には(ステップS8のN)、文字描画終了時において文字端部に発生する“尾引き”は発生していないものと判断し、第2ベクトルである(X2,Y2)と(X3,Y3)との間における描画速度を算出するとともに(ステップS13:第一描画速度算出手段)、算出した描画速度が「平均描画速度」よりもはるかに速いか否かを判定する(ステップS14:平均描画速度比較手段)。なお、「平均描画速度」は、実際に描画することにより得られた実験値が用いられる。そして、ステップS13において算出された第2ベクトルの描画速度が「平均描画速度」よりもはるかに速い時には、“尾引き”と判定する。
【0131】
このように算出された第2ベクトルの描画速度が「平均描画速度」よりもはるかに速い時に“尾引き”と判定するのは、以下の理由による。例えば図28に示すように、A3でPDP2の表示面2aからペン等の指示手段が離れた場合であって、指示手段の移動途中に当該指示手段が情報入力領域3a内に侵入してしまってA4及びA5の座標が検出されてしまった場合には、A4−A5間における速度はPDP2の表示面2aに触れながら描画する際の速度に比べてはるかに速いからである。なお、このA4−A5のベクトルが、文字描画中において指示手段の移動途中に発生する尾引き(中尾引き)である。
【0132】
ステップS13において算出された第2ベクトルの描画速度が「平均描画速度」よりも速く、“尾引き”と判定された場合には(ステップS14のY)、3つの座標(X1,Y1),(X2,Y2),(X3,Y3)を入力情報として出力せずに、そのままステップS2に戻る。ここに、第二尾引き判定手段の機能が実行される。
【0133】
一方、ステップS13において算出された第2ベクトルの描画速度が「平均描画速度」程度であった場合には(ステップS14のN)、“尾引き”は発生していないので、(X1,Y1)と(X2,Y2)とのみを入力情報として出力して(X1,Y1)と(X2,Y2)とを結ぶ第1ベクトルを描画させるとともに(ステップS15)、(X2,Y2)と(X3,Y3)とのみを入力情報として出力して(X2,Y2)と(X3,Y3)とを結ぶ第2ベクトルも描画させる(ステップS16)。
【0134】
その後、第2ベクトルである(X2,Y2)と(X3,Y3)との間における描画速度を算出し(ステップS17)、算出した描画速度を「基準描画速度」として記憶した後(ステップS18)、文字を描画中である旨を示す“文字描画中フラグ”を立て(ステップS19)、ステップS2に戻る。
【0135】
また、ステップS4において、文字を描画中である旨を示す“文字描画中フラグ”が立っており文字の描画中であると判断された場合には(ステップS4のY)、ステップS2で入力された4つ目以降の座標を保存し(ステップS20)、描画速度を算出するとともに(ステップS21:第二描画速度算出手段)、算出した描画速度が記憶されている「基準描画速度」よりもはるかに速いか否かを判定する(ステップS22:基準描画速度比較手段)。そして、ステップS21において算出された描画速度が「基準描画速度」よりもはるかに速い時には、“尾引き”と判定する。
【0136】
このように算出された描画速度が「基準描画速度」よりもはるかに速い時に“尾引き”と判定するのは、以下の理由による。例えば図29に示すように、描画開始時(A1−A2)は、停止状態から開始するために描画速度は増加する。また、描画終了時(A2−A3)は停止状態となるため描画速度は低減するが、前回(A1−A2)の描画速度と今回(A2−A3)の描画速度差はわずかである。しかしながら、PDP2の表示面2aに接触している描画中(A1−A3)から、次画(A5)への移動の際に誤って指示手段が情報入力領域3a内に侵入してしまってA4の座標が検出されてしまった場合には、PDP2の表示面2aに非接触であることからA3−A4の描画速度はA2−A3の描画速度に比べてはるかに速く、大きな速度差が発生するからである。なお、この座標A4が、文字描画中において指示手段の移動途中に発生する尾引き(点尾引き)である。
【0137】
ステップS21において算出された描画速度が「基準描画速度」よりもはるかに速く、“尾引き”と判定された場合には(ステップS22のY)、ステップS20で保存した座標は出力せず、そのままステップS2に戻る。ここに、第三尾引き判定手段の機能が実行される。
【0138】
また、ステップS21において算出された描画速度が「基準描画速度」程度であった場合には(ステップS22のN)、ステップS23に進み、「前回の描画速度」がステップS21において算出された描画速度よりもはるかに速いか否かを判定する。ここに、前回描画速度比較手段の機能が実行される。そして、「前回の描画速度」がステップS21において算出された描画速度よりもはるかに速い時には、“尾引き”と判定する。
【0139】
このように「前回の描画速度」がステップS21において算出された描画速度よりもはるかに速い時に“尾引き”と判定するのは、以下の理由による。例えば図30に示すように、A4で指示手段が情報入力領域3aから離れ、次画描画の際にA5で最初に検知された場合について考える。ここでは、A5で最初に検知されているが、文字描画はA6から開始されることになる。このような場合には、A5−A6からA6−A7における座標ベクトル値が大きく変化することになる。文字は左から右、上から下への筆順となっており、1文字の画描画の変更時には左方向に戻り右または下へ、上方向に戻り下か右への描画が続行されることになる。つまり、文字描画継続の始点において、描画方向に変化が生じることになる。したがって、次画描画のため移動中(情報入力領域3a内に非挿入)状態から文字描画に移る時は停止状態が発生するため、文字描画の際の描画速度は移動中の速度に比べ遅くなる。このようなA5−A6のベクトルが、文字描画開始時において文字端部に発生する尾引き(文字端尾引き)である。
【0140】
なお、文字の先頭の書き始めにおいてはどの方向から始点に持っていくか不明であるため360度の方向から始点に向かう可能性がある。この場合も大きな方向変換が生じれば“尾引き”と判定できる。また、A5´−A6のように方向変換がない“尾引き”については尾引き部分が文字の中に隠れてしまうため“尾引き”が判定できなくとも問題はない。
【0141】
「前回の描画速度」がステップS21において算出された描画速度よりもはるかに速く、“尾引き”と判定された場合には(ステップS23のN)、ステップS20で保存した座標に係るベクトル描画は実行させず、そのままステップS2に戻る。ここに、第四尾引き判定手段の機能が実行される。
【0142】
また、ステップS21において算出された描画速度が「前回の描画速度」程度であった場合には(ステップS23のY)、“尾引き”は発生していないので、ステップS20で保存した座標に係るベクトル描画を実行させ(ステップS24)、算出した描画速度を「基準描画速度」として記憶した後(ステップS25)、ステップS2に戻る。
【0143】
なお、ステップS3において、デタッチされたと判断した場合には(ステップS3のY)、ステップS1に進み、文字を描画中である旨を示す“文字描画中フラグ”をクリアする。
【0144】
ところで、ここでは、3座標を得てから(つまり、指示手段が少し動いてから)描画が開始されることになるが、座標検出期間が10ms〜40ms程度であれば違和感は感じない。
【0145】
ここに、描画の際に発生する尾引き部分を自動的に削除することにより、描画後に消しゴムツールなどを用いてこの尾引き部分を消す等の面倒な操作を不要とし、文字描画の操作性を大幅に向上させることが可能な情報入出力システム1及び情報入力装置3の提供が可能になる。
【0146】
なお、本実施の形態においては、コントローラ10をコンピュータ5とは別体で設けたが、これに限るものではなく、コントローラ10をコンピュータ5に組み込んで、コンピュータ5をコントローラ10として機能させるようにしても良い。
【0147】
また、本実施の形態においては、各種のプログラムコード(制御プログラム)を記憶した記憶媒体26や記憶媒体49としてフロッピーディスク、ハードディスク、光ディスク(CD−ROM,CD−R,CD−R/W,DVD−ROM,DVD−RAMなど)、光磁気ディスク(MO)、メモリカード等を適用したが、これに限るものではなく、記憶媒体には、コンピュータと独立した媒体に限らず、LANやインターネット等により伝送されたプログラムをダウンロードして記憶または一時記憶した記憶媒体も含まれる。
【0148】
さらに、本実施の形態においては、情報入力装置3を表示装置であるPDP2に備えたが、これに限るものではなく、CRT(Cathode Ray Tube)、LCD(Liquid Crystal Display)、前面投影型プロジェクター、背面投影型プロジェクター等を表示装置として適用しても良い。さらに、これらの表示装置に限るものではなく、特に図示しないが、ライティングボードとして機能する黒板やホワイトボード等に備えるようにしても良い。
【0149】
さらにまた、本実施の形態においては、情報入出力システムとして、大型の表示装置を装備したいわゆる電子黒板システムに適用した例について説明したが、これに限るものではなく、例えばPDA(Personal Digital Assistants)と称される携帯用情報端末等に適用することも可能である。
【0150】
【実施例】
本発明の実施例について説明する。本実施例は、A,B,C,Dの4名の被験者による描画の際における尾引きデータの判定結果を実証するものである。
【0151】
ここでは、70インチでXGA(eXtended Graphics Array)の表示装置を用いた場合について説明する。A,B,C,Dの各被験者に所定の筆記動作を3回に分けて行わせ、測定した結果を表1及び表2に示す。なお、表1は各被験者に「上から下で上に戻る」という筆記動作の測定結果であり、表2は各被験者に「左から右で左に戻る」という筆記動作の測定結果である。
【0152】
【表1】
【0153】
【表2】
【0154】
表1及び表2に示した移動量の単位は表示装置の画素数で表すことができ、70インチでXGAの表示装置の場合の1画素は、
1画素=70×25.4÷1024=1.73mm
であることから、例えば移動量13の場合には、
13×1.73=22.5mm/20ms(20ms:座標検出周期)
として表すことができる。つまり、移動量13の場合には、描画速度は座標検出周期20msで22.5mm動くことになる。
【0155】
また、表1及び表2に示した座標ベクトル値は、図22に示したように、10単位36方向に描画方向を分割したものであって、座標ベクトル値36,座標ベクトル値1,座標ベクトル値2は略同一方向となる。また、タッチ座標が移動しない場合には座標ベクトル値は0となる。
【0156】
そこで、表1及び表2に示す測定結果を見てみると、表1に示すA−1(被験者Aの1回目)では、座標ベクトル値が座標ベクトル値1から座標ベクトル値19に大きく変化している箇所があるが、加速度(移動量13−移動量1)に比べて加速度(移動量9−移動量2)は大きくなっていないため、この箇所は描画と判定されることになる。一方、表1に示すA−2では、座標ベクトル値が座標ベクトル値3から座標ベクトル値18に大きく変化している箇所があり、加速度(移動量11−移動量6)に比べると加速度(移動量19−移動量5)ははるかに大きくなっているため、この箇所は尾引きと判定されることになる。
【0157】
また、表1に示すD−2では、座標ベクトル値が座標ベクトル値36から座標ベクトル値6に大きく変化している箇所があり、この方向変化後の移動量が小さいことから、文字のハネ描画としては短すぎるので、この箇所は尾引きと判定されることになる。
【0158】
【発明の効果】
請求項1、9記載の発明によれば、描画開始直後の連続する3点の入力情報を結んだ描画方向の変化値である描画方向変化値と所定の尾引き判定値とを比較することにより、描画方向変化値が尾引き判定値よりも大きい場合にはその描画を尾引きであるものとして排除することができるので、描画の際に発生する尾引き部分を自動的に削除することができ、文字描画の操作性を大幅に向上させることができる。これは、所定物体による情報入力領域内の指示をやめた場合であっても次の座標検出周期時において情報入力領域内に所定物体が留まってしまって当該所定物体が検出されてしまい尾引きが発生する場合には、その座標ベクトル長が大きくなるためである。
【0159】
また、描画中の連続する2点の入力情報間における描画速度と実際に描画情報として出力された2点の入力情報間における描画速度である基準描画速度とを比較することにより、この描画速度が基準描画速度よりも速い場合にはその描画を尾引きであるものとして排除することができるので、描画の際に発生する尾引き部分を自動的に削除することができ、文字描画の操作性を大幅に向上させることができる。これは、次画への移動の際に誤って所定物体が情報入力領域内に侵入してしまって当該所定物体が検出されてしまい点状の尾引きが発生する場合には、点状の尾引きが発生する際の描画速度は描画時の描画速度に比べてはるかに速く、大きな速度差が発生するためである。
【0160】
また、描画中の連続する2点の入力情報間における描画速度と前に検出した連続する2点の入力情報間における描画速度である前回描画速度とを比較することにより、前回描画速度が描画速度よりも速い場合にはその描画を尾引きであるものとして排除することができるので、描画の際に発生する尾引き部分を自動的に削除することができ、文字描画の操作性を大幅に向上させることができる。これは、文字は左から右、上から下への筆順となっており、1文字の画描画の変更時には左方向に戻り右または下へ、上方向に戻り下か右への描画が続行され、文字描画継続の始点において方向変換が生じることになり、次画描画のため移動中(情報入力領域内に非挿入)状態から文字描画に移る時は停止状態が発生し、文字描画の際の描画速度は移動中の速度に比べ遅くなるためである。
【0161】
請求項2、10記載の発明によれば、描画開始直後の連続する3点の入力情報の中から連続する後半2点の入力情報間における描画速度と平均的な描画速度である平均描画速度とを比較することにより、この描画速度が平均描画速度よりも速い場合にはその描画を尾引きであるものとして排除することができるので、描画の際に発生する尾引き部分を自動的に削除することができ、文字描画の操作性を大幅に向上させることができる。これは、所定物体による情報入力領域内の指示をやめた場合であって所定物体の移動途中に当該所定物体が情報入力領域内に侵入してしまって当該所定物体が連続して検出されてしまい線状の尾引きが発生する場合には、これらの連続して移動途中に検出された所定物体間における速度が文字描画中における速度に比べてはるかに速くなるためである。
【0162】
請求項3記載の発明によれば、請求項1又は2に記載の情報入力装置において、前記情報入力領域は、光源から出射された光を薄膜状に成形して投光することにより形成されることにより、物体の挿入を受け付ける二次元の情報入力領域を確実に形成することができ、無視差、完全透明、高い描画感を実現する情報入力装置を提供することができる。
【0163】
請求項4記載の発明によれば、請求項1又は2に記載の情報入力装置において、前記情報入力領域は、光源から出射されたビーム光を順次走査して投光することにより形成されることにより、物体の挿入を受け付ける二次元の情報入力領域を確実に形成することができ、無視差、完全透明、高い描画感を実現する情報入力装置を提供することができる。
【0164】
請求項5記載の発明によれば、請求項1又は2に記載の情報入力装置において、前記情報入力領域は、撮像手段による撮像範囲であることにより、物体の挿入を受け付ける二次元の情報入力領域を確実に形成することができ、無視差、完全透明、高い描画感を実現する情報入力装置を提供することができる。
【0165】
請求項6記載の発明によれば、請求項1又は2に記載の情報入力装置において、前記情報入力領域は、受光手段とこの受光手段に相対して設けられる発光手段とによる光路をマトリックス状に配することにより形成されることにより、物体の挿入を受け付ける二次元の情報入力領域を確実に形成することができ、無視差、完全透明、高い描画感を実現する情報入力装置を提供することができる。
【0166】
請求項7記載の発明の情報入出力システムによれば、表示装置と、この表示装置の表示面に前記情報入力領域を一致させて配設される請求項1ないし6のいずれか一記載の情報入力装置と、前記情報入力装置からの入力に基づいて前記表示装置の表示制御を行う制御装置と、を備えることにより、座標入力面(タッチパネル面)のような物理的な面を有さず、表示装置の表示面に装着して使用した場合であっても視認性に優れる情報入出力システムを安価で提供することができる。
【0167】
請求項8記載の発明の情報入出力システムによれば、筆記を受け付けるライティングボードと、このライティングボードの書き込み面に前記情報入力領域を一致させて配設される請求項1ないし6のいずれか一記載の情報入力装置と、前記情報入力装置からの入力に基づいて前記ライティングボードに筆記された情報の制御を行う制御装置と、を備えることにより、座標入力面(タッチパネル面)のような物理的な面を有さず、表示装置の表示面に装着して使用した場合であっても視認性に優れる情報入出力システムを安価で提供することができる。
【0168】
請求項11記載の発明のコンピュータに読み取り可能な記憶媒体によれば、請求項9又は10に記載のプログラムを記憶することにより、この記憶媒体をコンピュータにインストールすれば、請求項9又は10に記載のプログラムと同様の作用効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態の情報入出力システムを概略的に示す外観斜視図である。
【図2】情報入出力システムに内蔵される各部の電気的接続を示すブロック図である。
【図3】コンピュータに内蔵される各部の電気的接続を示すブロック図である。
【図4】第1の情報入力装置の構成を概略的に示す説明図である。
【図5】光学ユニットの構造を概略的に示す構成図である。
【図6】コントローラのブロック構成図である。
【図7】第1の情報入力装置の情報入力領域内の一点を指示手段で指し示した一例を示す正面図である。
【図8】CCDの検出動作を模式的に示す説明図である。
【図9】第2の情報入力装置に用いられる指示手段を示す斜視図である。
【図10】第2の情報入力装置の情報入力領域内の一点を指示手段で指し示した一例を示す正面図である。
【図11】CCDの検出動作を模式的に示す説明図である。
【図12】第3の情報入力装置に用いられる光学ユニットを概略的に示す平面図である。
【図13】第3の情報入力装置の情報入力領域内の一点を指示手段で指し示した一例を示す正面図である。
【図14】光強度と時間との関係を示すグラフである。
【図15】第4の情報入力装置の情報入力領域内の一点を指示手段で指し示した一例を示す正面図である。
【図16】光強度と時間との関係を示すグラフである。
【図17】第5の情報入力装置の構成を概略的に示す正面図である。
【図18】その検出動作を説明するための概略正面図である。
【図19】第6の情報入力装置の構成を概略的に示す正面図である。
【図20】光強度と時間との関係を示すグラフである。
【図21】情報入力処理の流れを概略的に示すフローチャートである。
【図22】描画方向変化値の算出方法を説明するためのベクトル図である。
【図23】ベクトルテーブルを示す説明図である。
【図24】描画方向変化値の算出方法を例示的に示す説明図である。
【図25】「尾引き判定値」を示す説明図である。
【図26】算出された描画方向変化値が「尾引き判定値」よりも大きい場合を示す説明図である。
【図27】ベクトル描画の一例を示す説明図である。
【図28】算出された第2ベクトルの描画速度が「平均描画速度」よりもはるかに速い場合を示す説明図である。
【図29】算出された描画速度が「基準描画速度」よりもはるかに速い場合を示す説明図である。
【図30】「前回の描画速度」がステップS21において算出された描画速度よりもはるかに速い場合を示す説明図である。
【図31】指等による描画動作を示す説明図である。
【図32】特徴的な文字の構成例及びその筆記に伴う描画例を誇張して示す説明図である。
【符号の説明】
1 情報入出力システム
2 表示装置
3 情報入力装置
3a 情報入力領域
5 制御装置
26,49 記憶媒体
31 光源
61,P 所定物体
71 光源
82 撮像手段
91 発光手段
93 受光手段
Claims (11)
- 二次元の情報入力領域を指示した所定物体を検出し、入力情報として出力する情報入力装置において、
文字の描画中であるか否かを判定する描画判定手段と、
前記描画判定手段が文字の描画中でないと判定している間で、且つ、連続する3点の前記入力情報を取得した時点で、これらの連続する3点の前記入力情報を結んだ描画方向の変化値である描画方向変化値を算出する描画方向変化値算出手段と、
前記描画方向変化値算出手段で算出された前記描画方向変化値と、予め定められた尾引きとみなすことが可能な描画方向の変化値である尾引き判定値とを比較する尾引き判定値比較手段と、
前記尾引き判定値比較手段による比較の結果、前記描画方向変化値が前記尾引き判定値よりも大きい場合には、その描画は尾引きであるものとして描画方向が変化した前記入力情報を描画情報として出力しない第一尾引き判定手段と、
前記描画判定手段が文字の描画中と判定している間、前記入力情報を取得する毎に、連続する2点の前記入力情報間における描画速度を算出する第二描画速度算出手段と、
前記第二描画速度算出手段で算出された前記描画速度と、実際に描画情報として出力された2点の前記入力情報間における描画速度である基準描画速度とを比較する基準描画速度比較手段と、
前記基準描画速度比較手段による比較の結果、前記描画速度が前記基準描画速度よりも速い場合には、その描画は尾引きであるものとして直近の前記入力情報を描画情報として出力しない第三尾引き判定手段と、
前記基準描画速度比較手段による比較の結果、前記描画速度が前記基準描画速度と同等又は遅い場合には、前記第二描画速度算出手段で算出された前記描画速度と、前に検出した連続する2点の前記入力情報間における描画速度である前記描画速度とを比較する前回描画速度比較手段と、
前回描画速度比較手段による比較の結果、前回描画速度が前記描画速度よりも早い場合には、その描画は尾引きであるものとして直近の前記入力情報を出力しない第四尾引き判定手段と、を備え、
前記描画判定手段は、前記描画情報の出力に応じて、文字の描画中と判定することを特徴とする情報入力装置。 - 前記尾引き判定値比較手段による比較の結果、前記描画方向変化値が前記尾引き判定値以下の場合には、前記連続する3点の前記入力情報の中から連続する後半2点の前記入力情報間における描画速度を算出する第一描画速度算出手段と、
前記第一描画速度算出手段で算出された前記描画速度と、予め定められた平均的な描画速度である平均描画速度とを比較する平均描画速度比較手段と、
前記平均描画速度比較手段による比較の結果、描画速度が前記平均描画速度よりも速い場合には、その描画は尾引きであるものとして3点の前記入力情報を描画情報として出力しない第二尾引き判定手段と、を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の情報入力装置。 - 前記情報入力領域は、光源から出射された光を薄膜状に形成して投光することにより形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の情報入力装置。
- 前記情報入力領域は、光源から出射されたビーム光を順次走査して投光することにより形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の情報入力装置。
- 前記情報入力領域は、撮像手段による撮像範囲であることを特徴とする請求項1又は2に記載の情報入力装置。
- 前記情報入力領域は、受光手段とこの受光手段に相対して設けられる発光手段とによる光路をマトリックス状に配することにより形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の情報入力装置。
- 表示装置と、
この表示装置の表示面に前記情報入力領域を一致させて配設される請求項1ないし6のいずれか一記載の情報入力装置と、
前記情報入力装置からの入力に基づいて前記表示装置の表示制御を行う制御装置と、を備えることを特徴とする情報入出力システム。 - 筆記を受け付けるライティングボードと、
このライティングボードの書き込み面に前記情報入力領域を一致させて配設される請求項1ないし6のいずれか一記載の情報入力装置と、
前記情報入力装置からの入力に基づいて前記ライティングボードに筆記された情報の制御を行う制御装置と、を備えることを特徴とする情報入出力システム。 - 情報入力装置に設けられた二次元の情報入力領域を指示した所定物体を検出し、入力情報として出力させる動作制御をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記コンピュータに、
文字の描画中であるか否かを判定する描画判定機能と、
前記描画判定機能が文字の描画中でないと判定している間で、且つ、連続する3点の前記入力情報を取得した時点で、これらの連続する3点の前記入力情報を結んだ描画方向の変化値である描画方向変化値を算出する描画方向変化値算出機能と、
前記描画方向変化値算出機能で算出された前記描画方向変化値と、予め定められた尾引きとみなすことが可能な描画方向の変化値である尾引き判定値とを比較する尾引き判定値比較機能と、
前記尾引き判定値比較機能による比較の結果、描画方向変化値が前記尾引き判定値よりも大きい場合には、その描画は尾引きであるものとして描画方向が変化した前記入力情報を描画情報として出力しない第一尾引き判定機能と、
前記描画判定機能が文字の描画中と判定している間、前記入力情報を取得する毎に、連続する2点の前記入力情報間における描画速度を算出する第二描画速度算出機能と、
前記第二描画速度算出機能で算出された前記描画速度と、実際に描画情報として出力された2点の前記入力情報間における描画速度である基準描画速度とを比較する基準描画速度比較機能と、
前記基準描画速度比較機能による比較の結果、前記描画速度が前記基準描画速度よりも速い場合には、その描画は尾引きであるものとして直近の前記入力情報を描画情報として出力しない第三尾引き判定機能と、
前記基準描画速度比較機能による比較の結果、前記描画速度が前記基準描画速度と同等又は遅い場合には、前記第二描画速度算出機能で算出された前記描画速度と、前に検出した連続する2点の前記入力情報間における描画速度である前記描画速度とを比較する前回描画速度比較機能と、
前回描画速度比較機能により比較の結果、前回描画速度が前記描画速度よりも早い場合には、その描画は尾引きであるものとして直近の前記入力情報を出力しない第四尾引き判定機能と、を実現させ、
前記描画判定機能は、前記描画情報の出力に応じて、文字の描画中と判定することを特徴とするプログラム。 - 前記コンピュータに、
前記尾引き判定値比較機能による比較の結果、前記描画方向変化値が前記尾引き判定値以下の場合には、前記連続する3点の前記入力情報の中から連続する後半2点の前記入力情報間における描画速度を算出する第一描画速度算出機能と、
前記第一描画速度算出機能で算出された前記描画速度と、予め定められた平均的な描画速度である平均描画速度とを比較する平均描画速度比較機能と、
前記平均描画速度比較機能による比較の結果、描画速度が前記平均描画速度よりも速い場合には、その描画は尾引きであるものとして3点の前記入力情報を描画情報として出力しない第二尾引き判定機能と、
を更に実現させるための請求項9に記載のプログラム。 - 請求項9又は10に記載のプログラムを記憶することを特徴とするコンピュータに読み取り可能な記憶媒体。
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