JP4413342B2 - 3次元画像検出装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光伝播時間測定法を用いて被写体の3次元形状等を検出する3次元画像検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、被写体までの距離を画素毎に検出する3次元画像検出装置としては、「Measurement Science and Technology」(S. Christie 他、vol.6, p1301-1308, 1995 年)に記載されたものや、国際公開97/01111号公報に開示されたものなどが知られている。これらの3次元画像検出装置では、パルス変調されたレーザ光が被写体に照射され、その反射光が2次元CCDセンサによって受光され、電気信号に変換される。このとき2次元CCDと組み合わされたメカニカルまたは液晶素子等からなる電気工学的シャッタの1回のシャッタ動作により、被写体までの距離に相関する電気信号をCCDの各画素毎に検出することができる。この電気信号からCCDの各画素毎に対応する被写体までの距離が、画像情報として検出される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、検出された被写体までの画像情報には、検出の目的となる被写体を配置するための台や背景となる壁面など、目的とする被写体以外の物体の画像情報も含まれる。したがって、目的とする被写体の3次元形状に関するデータのみを抽出するには、画像情報から得られる3次元形状に関するデータの中から、これら不要な物体に対応するデータを削除しなければならない。
【0004】
本発明は、画素毎に被写体までの距離情報を検出して得られる撮影画像全体の3次元形状に関する情報の中から、目的とする被写体に関する情報のみを簡単に抽出可能な3次元画像検出装置を得ることを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の3次元画像検出装置は、被写体までの距離情報を画素毎に検出する3次元画像検出手段と、距離情報から各画素に対応する被写体表面上の点の3次元的な位置を表す位置データを生成する3次元データ生成手段と、3次元画像検出手段により撮影された空間内の平面を指定するための平面指定手段と、平面の情報に基づいて位置データの一部を除去するデータ除去手段とを備えることを特徴としている。
【0006】
好ましくは平面指定手段において、平面は3つの画素に対応する被写体表面上の点により指定される。
【0007】
3次元画像検出装置は好ましくは、被写体の視覚情報である2次元画像を検出する2次元画像検出手段と、2次元画像を表示するための画像表示手段と、画像表示手段に表示された画像の任意の画素を指定するための入力手段とを備える。これにより、オペレーターは容易に不要な物体に対応する平面を指定することができる。
【0008】
例えば、平面を指定するための3つの画素の各々は、入力手段により指定される。あるいは、平面を指定するための3つの画素のうち2つの画素が入力手段により指定され、残りの画素は入力手段により指定された2つの画素の一方から所定方向へ所定距離離れた画素であってもよい。更に、平面を指定するための3つの画素のうち1つの画素が入力手段により指定され、残りの2つの画素は入力手段により指定された画素から各々所定方向へ所定距離離れた画素であってもよい。
【0009】
3次元画像検出装置は好ましくは、データ除去手段により一部のデータが除去された位置データを記録媒体に記録可能である。このときより好ましくは、データ除去手段により、一部のデータが除去された位置データに対応する2次元画像を記録媒体に記録可能である。
【0010】
好ましくは、各位置データから平面と各画素に対応する被写体表面上の点の距離を求め、この距離に基づいてデータの除去を行なう。
【0011】
好ましくは位置データは、3次元画像検出装置を基準とした座標系の座標値である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態であるカメラ型の画像検出装置の斜視図である。
【0013】
カメラ本体10の前面において、撮影レンズ11の左上にはファインダ窓12aが設けられ、右上にはストロボ13が設けられている。カメラ本体10の上面において、撮影レンズ11の真上には、測距光であるレーザ光を照射する発光装置14が配設されている。発光装置14の左側にはレリーズスイッチ15、液晶表示パネル16が設けられ、右側にはモード切替ダイヤル17が設けられている。カメラ本体10の側面には、ICメモリカード等の記録媒体を挿入するためのカード挿入口19が形成され、また、ビデオ出力端子20、インターフェースコネクタ21が設けられている。カメラ本体10の背面(図14参照)には画像表示LCDパネル(画像表示部)37が設けられており、LCDパネル37の表面には、透明なタッチパネル(タッチセンサ)23(図2参照)がシート状に重ねて配設されている。またLCDパネル37の上方にはファインダー窓(接眼側)12b(図14参照)が設けられている。
【0014】
図2は図1に示すカメラの回路構成を示すブロック図である。
撮影レンズ11の中には絞り25が設けられている。絞り25の開度はアイリス駆動回路26によって調整される。撮影レンズ11の焦点調節動作およびズーミング動作はレンズ駆動回路27によって制御される。
【0015】
撮影レンズ11の光軸上には撮像素子(CCD)28が配設されている。CCD28の撮像面には、撮影レンズ11によって被写体像が形成され、これによりCCD28において被写体像に対応した電荷が発生する。CCD28における電荷の蓄積動作、電荷の読出動作等の動作はCCD駆動回路30によって制御される。CCD28から読み出された電荷信号すなわち画像信号はアンプ31において増幅され、A/D変換器32においてアナログ信号からデジタル信号に変換される。デジタルの画像信号は撮像信号処理回路33においてガンマ補正等の処理を施され、画像メモリ34に一時的に格納される。アイリス駆動回路26、レンズ駆動回路27、CCD駆動回路30、撮像信号処理回路33はシステムコントロール回路35によって制御される。
【0016】
画像信号は画像メモリ34から読み出され、LCD駆動回路36に供給される。LCD駆動回路36は画像信号に応じて動作し、これにより画像表示LCDパネル37には、画像信号に対応した画像が表示される。また、システムコントロール回路35には、タッチパネル23が接続されており、LCDパネル37の画面の特定の位置をポインティングペン(図14参照)で触れると、触れられた点のタッチパネル23上の位置が検出され、対応するLCDパネル37の画素を検出することができる。
【0017】
カメラをカメラ本体10の外部に設けられたモニタ装置39とケーブルで接続すれば、画像メモリ34から読み出された画像信号はTV信号エンコーダ38、ビデオ出力端子20を介してモニタ装置39に伝送可能である。またシステムコントロール回路35はインターフェース回路40に接続されており、インターフェース回路40はインターフェースコネクタ21に接続されている。したがってカメラをカメラ本体10の外部に設けられたコンピュータ41とインターフェースケーブル41を介して接続すれば、画像メモリ34から読み出された画像信号をコンピュータに伝送可能である。また、システムコントロール回路35は、記録媒体制御回路42を介して画像記録装置43に接続されている。したがって画像メモリ34から読み出された画像信号は、画像記録装置43に装着されたICメモリカード等の記録媒体Mに記録可能である。
【0018】
発光装置14は発光素子14aと照明レンズ14bにより構成され、発光素子14aの発光動作は発光素子制御回路44によって制御される。発光素子14aはレーザダイオード(LD)であり、照射されるレーザ光は被写体の距離を検出するための測距光として用いられる。このレーザ光は照明レンズ14bを介して被写体の全体に照射される。被写体で反射したレーザ光が撮影レンズ11に入射し、CCD28で検出されることにより被写体までの距離情報が検出される。
【0019】
システムコントロール回路35には、レリーズスイッチ15、モード切替ダイヤル17から成るスイッチ群45と、液晶表示パネル(表示素子)16とが接続されている。
【0020】
計測(撮影)の目的となる被写体を配置するための台や、その後方にある壁面など、目的となる被写体の背景と考えられる物体の3次元形状は、通常平面的な形状である。したがって、背景と考えられる平面に関するデータを検出された画像全体に対するデータの中から除去することにより、目的とする被写体に関するデータを抽出することができる。
【0021】
図3は、本実施形態において実行される平面除去処理プログラムのフローチャートである。図3を参照して、本実施形態における平面除去処理について説明する。
【0022】
平面除去処理のプログラムは、レリーズスイッチ15が全押しされることにより起動される。ステップ101では、2次元画像の検出が行われる。すなわちCCD28において通常のビデオ制御が行われ、被写体の視覚情報に対応した画像データが検出される。検出された画像データは、2次元画像データとして画像メモリ34に一時的に記憶される。ステップ102では、被写体の距離情報に対応した3次元画像の検出が行われ、3次元画像データとして画像メモリ34に一時的に記憶される。
【0023】
ステップ103では、ステップ102において検出された3次元画像データに基づいて被写体の3次元座標データが算出され画像メモリ34に一時的に記憶される。すなわち各画素に対応する被写体の3次元座標が、例えばカメラを基準とする座標系で表される。
【0024】
ステップ104では、ステップ101において検出された2次元画像が画像表示LCDパネル37に表示される。ステップ105では、オペレーターがLCDパネル37に表示された2次元画像を参照しながら、LCDパネル37に設けられたタッチパネル23とポインティングペン60等(図14参照)の入力装置を用いて、LCDパネル37上の3点(画素)を指定することにより(図15参照)、削除すべき平面を指定する。ステップ106では、指定された平面から所定の距離内にある3次元座標データが検出され、画像メモリ34から削除される。すなわち、ステップ102において画像メモリ34に一時的に記憶された3次元座標データは、システムコントロール回路35に読み出され、指定された平面から所定の距離内にある3次元座標データを除いたデータのみが再び画像メモリ34に記憶される。
【0025】
ステップ107では、ステップ106において削除された3次元画像データに対応する画素の画素値が0に設定され、LCDパネル37に表示される。これによりLCDパネル37には、指定された平面が削除された2次元画像が表示される。ステップ108では、不要な平面が削除された被写体の3次元座標データが記録媒体Mに保存され、この平面除去処理のプログラムは終了する。なお、このとき3次元画像データの削除に対応してその画素値が0に設定された2次元画像データも同時に記録媒体Mに保存されている。
【0026】
次に図4および図5を参照して、本実施形態において実行される距離測定の原理について説明する。なお図5において横軸は時間tである。
【0027】
距離測定装置Bから出力された測距光は被写体Sにおいて反射し、図示しないCCDによって受光される。測距光は所定のパルス幅Hを有するパルス状の光であり、したがって被写体Sからの反射光も、同じパルス幅Hを有するパルス状の光である。また反射光のパルスの立ち上がりは、測距光のパルスの立ち上がりよりも時間δ・t(δは遅延係数)だけ遅れる。測距光と反射光は距離測定装置Bと被写体Sの間の2倍の距離rを進んだことになるから、その距離rは
r=δ・t・C/2 ・・・(1)
により得られる。ただしCは光速である。
【0028】
例えば測距光のパルスの立ち上がりから反射光を検知可能な状態に定め、反射光のパルスが立ち下がる前に検知不可能な状態に切換えるようにすると、すなわち反射光検知期間Tを設けると、この反射光検知期間Tにおける受光量Aは距離rの関数である。すなわち受光量Aは、距離rが大きくなるほど(時間δ・tが大きくなるほど)小さくなる。
【0029】
本実施形態では上述した原理を利用して、CCD28に設けられ、2次元的に配列された複数のフォトダイオードにおいてそれぞれ受光量Aを検出することにより、カメラ本体10から被写体Sの表面の各点までの距離をそれぞれ検出し、被写体Sの表面形状に関する距離情報を3次元画像データとして一括して入力している。
【0030】
図6は、CCD28に設けられるフォトダイオード51と垂直転送部52の配置を示す図である。図7は、CCD28を基板53に垂直な平面で切断して示す断面図である。このCCD28は従来公知のインターライン型CCDであり、不要電荷の掃出しにVOD(縦型オーバーフロードレイン)方式を用いたものである。
【0031】
フォトダイオード51と垂直転送部52はn型基板53の面に沿って形成されている。フォトダイオード51は2次元的に格子状に配列され、垂直転送部52は所定の方向(図6において上下方向)に1列に並ぶフォトダイオード51に隣接して設けられている。垂直転送部52は、1つのフォトダイオード51に対して4つの垂直転送電極52a,52b,52c,52dを有している。したがって垂直転送部52では、4つのポテンシャルの井戸が形成可能であり、従来公知のように、これらの井戸の深さを制御することによって、信号電荷をCCD28から出力することができる。なお、垂直転送電極の数は目的に応じて自由に変更できる。
【0032】
基板53の表面に形成されたp型井戸の中にフォトダイオード51が形成され、p型井戸とn型基板53の間に印加される逆バイアス電圧によってp型井戸が完全空乏化される。この状態において、入射光(被写体からの反射光)の光量に応じた電荷がフォトダイオード51において蓄積される。基板電圧Vsub を所定値以上に大きくすると、フォトダイオード51に蓄積した電荷は、基板53側に掃出される。これに対し、転送ゲート部54に電荷転送信号(電圧信号)が印加されたとき、フォトダイオード51に蓄積した電荷は垂直転送部52に転送される。すなわち電荷掃出信号によって電荷を基板53側に掃出した後、フォトダイオード51に蓄積した信号電荷が、電荷転送信号によって垂直転送部52側に転送される。このような動作を繰り返すことにより、垂直転送部52において信号電荷が積分され、いわゆる電子シャッタ動作が実現される。
【0033】
図8は、3次元画像データを検出するためにステップ102において実行される3次元画像検出動作のタイミングチャートであり、図1、図2、図6〜図8を参照して本実施形態における3次元画像検出動作について説明する。なお本実施形態の3次元画像検出動作では、図5を参照して行なった距離測定の原理の説明とは異なり、外光の影響による雑音を低減するために測距光のパルスの立ち下がりから反射光を検知可能な状態に定め、反射光のパルスが立ち下がった後に検知不可能な状態に切換えるようにタイミングチャートを構成しているが原理的には何ら異なるものではない。
【0034】
垂直同期信号(図示せず)の出力に同期して電荷掃出し信号(パルス信号)S1が出力され、これによりフォトダイオード51に蓄積していた不要電荷が基板53の方向に掃出され、フォトダイオード51における蓄積電荷量はゼロになる(符号S2)。電荷掃出し信号S1の出力の開始の後、一定のパルス幅を有するパルス状の測距光S3が出力される。測距光S3が出力される期間(パルス幅)は調整可能であり、図示例では、電荷掃出し信号S1の出力と同時に測距光S3がオフするように調整されている。
【0035】
測距光S3は被写体において反射し、CCD28に入射する。すなわちCCD28によって被写体からの反射光S4が受光されるが、電荷掃出し信号S1が出力されている間は、フォトダイオード51において電荷は蓄積されない(符号S2)。電荷掃出し信号S1の出力が停止されると、フォトダイオード51では、反射光S4の受光によって電荷蓄積が開始され、反射光S4と外光とに起因する信号電荷S5が発生する。反射光S4が消滅すると(符号S6)フォトダイオード51では、反射光に基く電荷蓄積は終了するが(符号S7)、外光のみに起因する電荷蓄積が継続する(符号S8)。
【0036】
その後、電荷転送信号S9が出力されると、フォトダイオード51に蓄積された電荷が垂直転送部52に転送される。この電荷転送は、電荷転送信号の出力の終了(符号S10)によって完了する。すなわち、外光が存在するためにフォトダイオード51では電荷蓄積が継続するが、電荷転送信号の出力が終了するまでフォトダイオード51に蓄積されていた信号電荷S11が垂直転送部52へ転送される。電荷転送信号の出力終了後に蓄積している電荷S14は、そのままフォトダイオード51に残留する。
【0037】
このように電荷掃出し信号S1の出力の終了から電荷転送信号S9の出力が終了するまでの期間TU1の間、フォトダイオード51には、被写体までの距離に対応した信号電荷が蓄積される。そして、反射光S4の受光終了(符号S6)までフォトダイオード51に蓄積している電荷が、被写体の距離情報と対応した信号電荷S12(斜線部)として垂直転送部52へ転送され、その他の信号電荷S13は外光のみに起因するものである。
【0038】
電荷転送信号S9の出力から一定時間が経過した後、再び電荷掃出し信号S1が出力され、垂直転送部52への信号電荷の転送後にフォトダイオード51に蓄積された不要電荷が基板53の方向へ掃出される。すなわち、フォトダイオード51において新たに信号電荷の蓄積が開始する。そして、上述したのと同様に、電荷蓄積期間TU1が経過したとき、信号電荷は垂直転送部52へ転送される。
【0039】
このような信号電荷S11の垂直転送部52への転送動作は、次の垂直同期信号が出力されるまで、繰り返し実行される。これにより垂直転送部52において、信号電荷S11が積分され、1フィールドの期間(2つの垂直同期信号によって挟まれる期間)に積分された信号電荷S11は、その期間被写体が静止していると見做せれば、被写体までの距離情報に対応している。なお信号電荷S13は信号電荷S12に比べ微小であるため信号電荷S11は信号電荷S12と等しいと見なすことができる。
【0040】
以上説明した信号電荷S11の検出動作は1つのフォトダイオード51に関するものであり、全てのフォトダイオード51においてこのような検出動作が行なわれる。1フィールドの期間における検出動作の結果、各フォトダイオード51に隣接した垂直転送部52の各部位には、そのフォトダイオード51によって検出された距離情報が保持される。この距離情報は垂直転送部52における垂直転送動作および図示しない水平転送部における水平転送動作によって3次元画像データとしてCCD28から出力される。
【0041】
次に図1、図2、図8及び3次元画像検出動作のフローチャートである図9を参照して本実施形態における3次元画像検出動作について説明する。
【0042】
ステップ201では、垂直同期信号が出力されるとともに測距光制御が開始される。すなわち発光装置14が駆動され、パルス状の測距光S3が断続的に出力される。次いでステップ202が実行され、CCD28による検知制御が開始される。すなわち図8を参照して説明した3次元画像検出動作が開始され、電荷掃出信号S1と電荷転送信号S9が交互に出力されて、距離情報の信号電荷S11が垂直転送部52において積分される。
【0043】
ステップ203では、3次元画像検出動作の開始から1フィールド期間が終了したか否か、すなわち新たに垂直同期信号が出力されたか否かが判定される。1フィールド期間が終了するとステップ204へ進み、垂直転送部52において積分された距離情報の信号電荷がCCD28から出力される。この信号電荷はステップ205において画像メモリ34に一時的に記憶される。
【0044】
ステップ206では測距光制御がオフ状態に切換えられ、発光装置14の発光動作が停止する。ステップ207では、距離データの演算処理が行なわれ、ステップ208において、演算された距離データが3次元画像データとして画像メモリ34に一時的に記憶される。これにより、ステップ102において実行される3次元画像検出動作は終了する。
【0045】
次に3次元画像検出動作のステップ207において実行される演算処理の内容を図8を参照して説明する。
【0046】
反射率Rの被写体が照明され、この被写体が輝度Iの2次光源と見做されてCCDに結像された場合を想定する。このとき、電荷蓄積時間tの間にフォトダイオードに発生した電荷が積分されて得られる出力Snは、
Sn=k・R・I・t ・・・(2)
で表される。ここでkは比例定数で、撮影レンズのFナンバーや倍率等によって変化する。
【0047】
図8に示されるように電荷蓄積時間をTU1、測距光S3のパルス幅をTS 、距離情報の信号電荷S12のパルス幅をTD とし、1フィールド期間中のその電荷蓄積時間がN回繰り返されるとすると、得られる出力SM10は、
Figure 0004413342
となる。なお、パルス幅TD
Figure 0004413342
と表せる。このとき被写体までの距離rは
r=C・SM10/(2・k・N・R・I) ・・・(5)
で表せる。したがって比例定数k、反射率R、輝度Iを予め求めておけば距離rが求められる。
【0048】
次にステップ103において算出される3次元座標データの演算処理について図10〜図13を参照して説明する。
【0049】
図10は、カメラの撮影光学系における焦点Pf を座標原点に取ったカメラ座標系xyzとCCD28上の任意の点P(画素)と、それに対応する被写体表面上の点Qとの関係を模式的に示している。y軸は光軸Lpに一致しており、z軸はCCD28の垂直軸に並行に取られ、その向きは上向きである。またx軸はCCD28の水平軸に並行にとられている。点Pc はCCD28の受光面と光軸Lpの交点であり、受光面の中心に一致する。点QはCCD28上の点Pの画素に対応する被写体上の点であり、その座標は(xQ ,yQ ,zQ )である。平面Πは点Qを含むCCD28に平行な平面である。点QC は光軸Lp(y軸)と平面Πの交点であり、その座標は(0,yQ ,0)である。
【0050】
図11は、CCD28の受光面を正面から見た図である。CCD28の水平、垂直方向の長さはそれぞれ2×H0 、2×V0 である。点PはCCD28の中心PC から左へHP 、上へVP の距離にある。点PH は、点PからCCD28の水平軸LH へ下ろした垂線の足である。また点PV は、点PからCCD28の垂直軸LV へ下ろした垂線の足である。
【0051】
図12は、焦点Pf とCCD28との関係を焦点Pf とCCD28の水平軸LH を含む平面上で表したものであり、角Θ0 は水平画角、fは焦点距離である。線分Pf H が光軸Lpとなす角をΘP とすると、角ΘP は、
ΘP =tan-1(Hp /f) ・・・(6)
によって求められる。
【0052】
図13は、焦点Pf とCCD28との関係を焦点Pf とCCD28の垂直軸LV を含む平面上で表したものであり、角θ0 は垂直画角である。線分Pf V が光軸Lpとなす角をθP とすると、角θP は、
θP =tan-1(Vp /f) ・・・(7)
によって求められる。
【0053】
焦点Pf と点Pを結ぶ線分Pf Pの長さは、線分Pf H と線分PC V の長さから、
f P=(Pf H 2 +PC V 2 1/2 ・・・(8)
によって求められる。ここで、(8)式のPf H 、PC V は、
C V =VP
f H =f/cosΘP
なので、
f P=((f/cosΘP 2 +VP 2 1/2 ・・・(9)
と表すことができる。
【0054】
線分Pf Qの長と、線分Pf Pの長さの比Pf P/Pf Qをμとすると、点Qの座標成分xQ 、yQ 、zQ は、
Q =HP /μ ・・・(10)
Q =VP /μ ・・・(11)
Q =f/μ ・・・(12)
で算出される。焦点距離fおよびCCD28の任意の画素に対応する点Pまでの距離HP 、VP は既知である。また、線分Pf Qの長さは、焦点Pf から点Pに対応する被写体の点Qまでの距離であり、焦点距離fは既知なので、図9のステップ27の演算処理の結果である距離情報に基づいて算出可能である。点Pは、CCD28の1つの画素を代表したものであり、上述の計算はCCD28の全ての画素に対して可能である。したがって、任意の画素(点P)に対応する被写体(点Q)のカメラを基準とした3次元座標(xQ ,yQ ,zQ )が算出可能である。
【0055】
次に図14、図15を参照してステップ105において実行される撮影画像中の背景に対応する平面を指定する方法について説明する。
【0056】
図14は、カメラの背面図であり、LCDパネル37等のカメラ背面での配置を示している。LCDパネル37には目的被写体である樽Oaと、樽Oaを載せた平面状の台Obの2次元画像が表示されている。オペレーターは、ポインティングペン60を用いて画面上の平面(台)Obに対応し、同一直線状にない任意の3点(画素)を指定する。図15は、図14のLCDパネル37の画面を抜き出して描いたものであり、平面Obに対応する3つの画素A、B、Cが順番にポインティングペン60により指定された状態を表している。
【0057】
各画素に対応する被写体の3次元座標はステップ103において算出されているので、画素A、B、Cが指定されると、それぞれ対応する被写体の3次元座標が得られる。画素A、B、Cは、台(平面)Ob上の点に対応しているので、この3点から台Obに対応する平面が決定される。
【0058】
次にステップ106において実行される背景の分離処理、すなわち背景と考えられる平面に対応するデータを目的とする被写体に対応するデータから分離し除去する方法について図10、図15〜図18を参照して説明する。図16はステップ106において実行される背景分離処理プログラムのサブルーチンのフローチャートである。
【0059】
ステップ301では、ステップ105において指定された画素(点)A、B、Cの3次元座標から台Obに対応する平面の式ax+by+cz+d=0が求められる。画素(点)A、B、Cに対応する被写体の3次元座標(位置ベクトル)をそれぞれ(xa ,ya ,za )、(xb ,yb ,zb )、(xc ,yc ,zc )とすると、この3点を含む平面の法線ベクトルS(xs ,ys ,zs )は、点Aから点BへのベクトルM(xm ,ym ,zm )と、点Bから点CへのベクトルN(xn ,yn ,zn )との外積M×Nによって次のように求められる。
(xs ,ys ,zs )=M×N
=(ym n −zm n ,zm n −xm n ,xm n −ym n )・・・(13)
(xm ,ym ,zm )=(xb −xa ,yb −ya ,zb −za )・・・(14)
(xn ,yn ,zn )=(xc −xb ,yc −yb ,zc −zb )・・・(15)
【0060】
このとき、台Obに対応する平面の式は、法線ベクトルSを用いて、
s x+ys y+zs z+d=0 ・・・(16)
のように表すことができる。このとき(a,b,c)=(xs ,ys ,zs )であり、dは、(16)式にA、B、Cの3点のうちの何れかの座標を代入することにより求められる。例えば(16)式の(x,y,z)に点Aの座標を代入すれば、
d=−(xs a +ys a +zs a ) ・・・(17)
と求められる。
【0061】
ステップ302〜ステップ310では、CCD28の各画素に対応する被写体の3次元座標データのうち、ステップ301において求められた平面から所定の距離内にある3次元座標データが削除される。すなわち、画像メモリ34に記憶された3次元座標データがシステムコントロール回路35に読み出され、CCD28の左からI番目、上からJ番目の画素であるP(I,J)に対応する被写体上の点Q(図10参照)の3次元座標(xQ ,yQ ,zQ )が、ステップ301において求められた平面ax+by+cz+d=0から所定の距離内にあるか否かが判定される。各画素P(I,J)のうち平面ax+by+cz+d=0から所定の距離よりも離れているときのみ、データは画像メモリ34に再び記憶される。
【0062】
ステップ302及びステップ303では、J及びIの初期値1がそれぞれ設定される。ステップ304では、画素P(I,J)に対応する点Q(xQ ,yQ ,zQ )と平面ax+by+cz+d=0との間の距離Lが、
【数1】
Figure 0004413342
により求められる。ステップ305ではステップ304で求められた距離Lが所定の距離であるLmax よりも大きいか否かが判定される。大きいと判定されると(例えば図17の点P1 )、ステップ306において画素P(I,J)に対応する3次元座標データが画像メモリ34に記憶され、ステップ307に移る。一方ステップ305において、距離Lが所定の距離Lmax 以下であると判定されると(例えば図17の点P2 )、データが画像メモリ34に記憶されることなくステップ307に移る。ステップ307では、変数Iが水平画素数Iend に等しいか否かが判定され、Iend に達していなければステップ308において、Iに1が加算されステップ304に再び戻る。ステップ307においてI=Iend と判定されれば、ステップ309において変数Jが垂直画素数Jend に等しいか否かが判定される。JがJend に達していなければステップ310においてJに1が加算され、再びステップ303に戻る。ステップ309においてJ=Jend と判定されれば、この背景分離処理のサブルーチンは終了する。これにより画像メモリ34には、図18のように樽Oaに対応する3次元座標データのみが記憶され、台(平面)Obに対応する3次元座標データは除去される。
【0063】
以上のように第1の実施形態によれば、目的とする被写体を配置するための台や背景となる壁面などの平面状の不要物体に関する3次元座標データを、目的とする被写体に関する3次元座標データから分離除去することができる。また、オペレーターは、被写体の視覚的な画像である2次元画像中において、除去しようと考える平面に対応した3つの画素を指定することにより、簡単にこれらの処理を行なうことができる。
【0064】
次に図19を参照して本発明の第2の実施形態であるカメラ型の画像検出装置について説明する。第2の実施形態であるカメラ型の画像検出装置は、除去する平面の指定方法が第1の実施形態と異なるだけで、その他の構成は第1の実施形態と何ら異ならない。
【0065】
第1の実施形態ではLCDパネル37に表示された2次元画像において、除去しようと考える平面の3つの点に対応する3つの画素A、B、Cをオペレーターがポインティングペン60などを用いて指定することにより除去すべき平面を指定した。しかし第2の実施形態では、オペレーターは除去しようと考える平面の2つの点に対応する2つの画素A、Bのみを指定する。その後画素C1、C2が自動的に選択され、これらの画素により選択される平面が決定される。
【0066】
画素C1、C2を自動的に選択する場合、除去しようとする平面以外の物体に対応した画素を選択してしまう可能性がある。第2の実施形態では、自動的に選択された画素が、指定しようとする平面の点に対応しているか否か、次のような方法で判定される。
【0067】
まずオペレーターは、LCDパネル37に表示された2次元画像において画素Aを指定し、その後画素Bを指定する。このとき、画素C1、C2が自動的に選ばれる。C1、C2は例えば3つの線分BA、線分BC1、線分BC2がそれぞれ120度となり、かつ線分BC1、線分BC2が所定の長さとなるように選択される。その後、画素A、B、C1の組と画素A、B、C2の組とによってそれぞれ指定される平面の式が求められる。求められた2つ平面の式が同一であるとき、選択された画素C1、C2は除去しようとする平面内の点に対応する画素であると判定され、これらの画素により決定される平面を除去する平面とする。同一平面でないときには、再び画素A、Bの選択を行なう。
【0068】
求められた平面の式が同一であるか否かは、画素A、B、C1の組と画素A、B、C2の組それぞれにより指定された平面の法線ベクトルが同一方向または反対方向を向いているか否で判定される。この判定は、各組において求められた法線ベクトルに関する単位ベクトルの内積が±1であるか否かで判定することができる。すなわち、内積が+1または−1のとき、選択された画素C1、C2は除去しようとする平面内の点に対応する画素であると判定される。
【0069】
以上のように第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果が得られる。また、平面の指定に2点(画素)のみを指定すればよいのでオペレーター第1の実施形態よりも簡単に平面の指定が行なえる。
【0070】
なお第2の実施形態において、線分BC1、BC2の長さは所定値として与えられていたが、例えば画素Bを指定した後、画素Bを中心とした任意の半径の円をオペレーターが指定することにより、その長さを与えてもよい。
【0071】
次に図20を参照して本発明の第3の実施形態であるカメラ型の画像検出装置について説明する。第3の実施形態であるカメラ型の画像検出装置は、除去する平面の指定方法が第1及び第2の実施形態と異なるだけで、その他の構成は第1及び第2の実施形態と何ら異ならない。
【0072】
第1の実施形態ではLCDパネル37に表示される2次元画像において、除去しようと考える平面の3つの点に対応する3つの画素A、B、Cをオペレーターが指定した。また、第2の実施形態では、オペレーターは除去しようと考える平面の2つの点に対応する2つの画素A、Bのみを指定し、画素C1、C2は自動的に選択された。これに対して第3の実施形態では、オペレーターは除去しようと考える平面の1つの点に対応する画素Aのみを指定する。画素Aが指定された後、画素B1、B2と画素C1、C2とが画素Aを対称軸として点対称となる位置に自動的に選択される。第2の実施形態と同様に、画素A、B1、C1の組と、画素A、B2、C2の組で指定される平面が同一であるか否かで、選択された画素、B1、B2、C1、C2の適否が判定される。2つの平面が同一であるか否かの判定方法は、第2の実施形態と同様であり、それぞれの法線ベクトルに関する単位ベクトルによって行われる。
【0073】
以上により、第3の実施形態においても第1及び第2の実施形態と同様の効果が得られる。また第3の実施形態では、オペレーターはLCDパネル37上の1つの画素を選択すればよいので、第1及び第2の実施形態よりも簡単に平面の指定を行なうことができる。
【0074】
なお、本実施形態では、除去する平面を指定する際にタッチパネルとポインティングペンを用いて画素を指定したが、トラックボールなどの入力装置を用いて画面上のカーソルを操作し画素の指定を行なってもよい。
【0075】
本実施形態では、指定された平面に関するデータを除去するとき、指定された平面からの距離のみに基づいて各画素に対応するデータが除去されるか否かが判定された。しかし、式(18)の分母において絶対値をとらず、Lの正負の符号をも含めて画素P(I,J)に対応するデータを除去するか否かを判定してもよい。すなわち、指定された平面の表裏も考慮して判定を行ない、例えば平面により二分された3次元空間のうち、一方の側に含まれる点に関するデータのみを除去するようにしてもよい。
【0076】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、画素毎に被写体までの距離情報を検出して得られる撮影画像全体の3次元形状に関する情報の中から、目的とする被写体に関する情報のみを簡単に抽出可能な3次元画像検出装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態であるカメラ型の測距装置の斜視図である。
【図2】図1に示すカメラの回路構成を示すブロック図である。
【図3】本実施形態における平面除去処理プログラムのフローチャートである。
【図4】測距光による距離測定の原理を説明するための図である。
【図5】測距光、反射光、ゲートパルス、およびCCDが受光する光量分布を示す図である。
【図6】CCDに設けられるフォトダイオードと垂直転送部の配置を示す図である。
【図7】CCDを基板に垂直な平面で切断して示す断面図である。
【図8】被写体までの距離に関するデータを検出する3次元画像検出動作のタイミングチャートである。
【図9】3次元画像検出動作のフローチャートである。
【図10】座標系xyz、CCD28、CCD28の画素とそれに対応する被写体上の点との関係を模式的に表した図である。
【図11】CCD28の正面図である。
【図12】カメラの撮影光学系における焦点とCCD28との関係を示す水平断面図である。
【図13】カメラの撮影光学系における焦点とCCD28との関係を示す垂直断面図である。
【図14】カメラの背面におけるLCDパネル37の配置とポインティングペン60を示す図である。
【図15】第1の実施形態における平面の指定方法を示した図である。
【図16】指定された平面に対応する3次元座標データを分離、削除するプログラムのフローチャートである。
【図17】樽表面の点に対応する画素P1 と、台平面の点に対応する画素P2 とを示す図である。
【図18】撮影画像から目的被写体である樽を残し、樽が乗せられている台(平面)を除去した状態を示す図である。
【図19】第2の実施形態における平面の指定方法を示した図である。
【図20】第3の実施形態における平面の指定方法を示した図である。
【符号の説明】
14 発光装置
28 CCD

Claims (9)

  1. 被写体までの距離情報を画素毎に検出する3次元画像検出手段と、
    前記距離情報から、前記各画素に対応する前記被写体表面上の点の3次元的な位置を表す位置データを生成する3次元データ生成手段と、
    前記3次元画像検出手段により撮影された空間内の平面を指定するための平面指定手段と、
    前記平面の情報に基づいて、前記位置データの一部を除去するデータ除去手段とを備え
    前記平面指定手段において、前記平面が3つの画素に対応する前記被写体表面上の点により指定される
    ことを特徴とする3次元画像検出装置。
  2. 前記被写体の視覚情報である2次元画像を検出する2次元画像検出手段と、前記2次元画像を表示するための画像表示手段と、前記画像表示手段に表示された画像の任意の画素を指定するための入力手段とを備えることを特徴とする請求項1に記載の3次元画像検出装置。
  3. 前記平面を指定するための3つの画素の各々が、前記入力手段により指定されることを特徴とする請求項2に記載の3次元画像検出装置。
  4. 前記平面を指定するための3つの画素のうち2つの画素が、前記入力手段により指定され、残りの画素は、前記入力手段により指定された前記2つの画素の一方から所定方向へ所定距離離れた画素であることを特徴とする請求項2に記載の3次元画像検出装置。
  5. 前記平面を指定するための3つの画素のうち1つの画素が、前記入力手段により指定され、残りの2つの画素は、前記入力手段により指定された画素から各々所定方向へ所定距離離れた画素であることを特徴とする請求項2に記載の3次元画像検出装置。
  6. 前記データ除去手段により一部のデータが除去された位置データを記録媒体に記録可能であることを特徴とする請求項2に記載の3次元画像検出装置。
  7. 前記データ除去手段により一部のデータが除去された位置データに対応する前記2次元画像を前記記録媒体に記録可能であることを特徴とする請求項6に記載の3次元画像検出装置。
  8. 前記各位置データから前記平面と前記各画素に対応する被写体表面上の点の距離を求め、この距離に基づいて前記位置データの除去を行なうことを特徴とする請求項1に記載の3次元画像検出装置。
  9. 前記位置データが、前記3次元画像検出装置を基準とした座標系の座標値であることを特徴とする請求項1に記載の3次元画像検出装置。
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