JP3892632B2 - 静止物体画像検出装置と静止物体画像検出方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、デジタルカメラ等の静止画像を撮影する画像検出装置とその画像検出方法および、光伝播時間測定法を用いて被写体の3次元形状等を検出する3次元画像検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
カメラ等を用いて、風景や建物などを撮影する際、目的とする被写体の前後を往来する人や車両が撮影されないようにするには、通常往来が途切れるのを待たなければならず撮影は容易ではない。往来する通行人や車両の途切れるのを待たずに目的とする風景や建物などの画像を撮影する装置および方法として、特開平10−341395号公報に開示されたものが知られている。これは、被写体を繰り返し撮影し、撮影された画像間において各画素の画素値を比較し、所定数の画像において同一の画素値をとるとき、その画素の画素値を確定するというもので、これを全ての画素の画素値が確定されるまで繰り返すことにより、移動物を含む画像から静止物に対応する画像のみを抽出し、静止物のみからなる画像を合成するものである。
【0003】
一方、被写体までの距離を画素毎に検出する3次元画像検出装置としては、「Measurement Science and Technology」(S. Christie 他、vol.6, p1301-1308, 1995 年)に記載されたものや、国際公開97/01111号公報に開示されたものなどが知られている。これらの3次元画像検出装置では、パルス変調されたレーザ光が被写体に照射され、その反射光が2次元CCDセンサによって受光され、電気信号に変換される。このとき2次元CCDと組み合わされたメカニカルまたは液晶表示等からなる電気工学的シャッタのシャッタ動作を制御することにより、被写体までの距離に相関する電気信号をCCDの各画素毎に検出することができる。この電気信号からCCDの各画素毎に対応する被写体までの距離が検出される。なお、このときの距離の検出は、1回のシャッタ動作により行なわれる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
特開平10−341395号公報に開示された装置および方法では、撮影された複数の画像において、所定の数の画像が同一の画素値をとるとき、その画素の画素値を確定し、移動する物体を含む画像から静止した物体の画像を抽出している。したがって、低速で移動している単色の物体や、撮影動作の開始後暫く動かず、撮影動作の途中から突然移動を始めた物体などが画像中に含まれる場合には、移動する物体の画像を抽出してしまう可能性がある。
【0005】
本発明は、3次元画像検出装置により画素毎に検出される被写体までの距離情報に基づいて、移動する物体を含む画像から静止した物体の距離情報または画像情報を精度よく検出することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の静止物体画像検出装置は、画像の各画素値が被写体までの距離情報に対応した3次元画像を検出する3次元画像検出手段と、3次元画像検出手段を駆動して、同一地点、同一方向からの第1の3次元画像と第2の3次元画像を所定の時間間隔をおいて検出し、第1および第2の3次元画像間で各画素毎に対応する距離情報を比較し、より遠距離の距離情報を示す画素を各画素毎に選択する画素選択手段とを備えることを特徴としている。
【0007】
静止物体画像検出装置は好ましくは、画像の各画素値が被写体の視覚情報に対応した2次元画像を検出する2次元画像検出手段と、第1の3次元画像に対応する第1の2次元画像と、第2の3次元画像に対応する第2の2次元画像とを検出し、画素選択手段により選択された画素に対応する2次元画像の画素値を各画素毎に抽出することにより、より遠距離にある被写体の2次元画像を生成する2次元画像生成手段とを備える。
【0008】
好ましくは視覚情報に対応する画素値は、赤、緑、青の三色表色系に対応する3つの画素値である。
【0009】
好ましくは、静止物体画像検出装置は画素選択手段により選択された画素値から、より遠距離にある被写体の3次元画像を生成する。
【0010】
好ましくは、画素選択手段において第1の3次元画像と第2の3次元画像の距離情報が等しいとき、2次元画像生成手段における第1及び第2の2次元画像からの画素値の抽出が、各2次元画像の画素値に対応する輝度の大小を比較することにより行われる。
【0011】
また本発明の静止物体画像検出方法は、3次元画像と3次元画像に対応した2次元画像とを繰り返し撮影し、各画素毎に、繰り返し撮影された画像の中で最も遠距離の距離情報を保持する3次元画像の画素に対応する2次元画像の画素値を用いて、被写体の2次元画像を生成することを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態であるカメラ型の画像検出装置の斜視図である。
【0013】
カメラ本体10の前面において、撮影レンズ11の左上にはファインダ窓12が設けられ、右上にはストロボ13が設けられている。カメラ本体10の上面において、撮影レンズ11の真上には、測距光であるレーザ光を照射する発光装置14が配設されている。発光装置14の左側にはレリーズスイッチ15、液晶表示パネル16が設けられ、右側にはモード切替ダイヤル17が設けられている。カメラ本体10の側面には、ICメモリカード等の記録媒体を挿入するためのカード挿入口19が形成され、また、ビデオ出力端子20、インターフェースコネクタ21が設けられている。
【0014】
図2は図1に示すカメラの回路構成を示すブロック図である。
撮影レンズ11の中には絞り25が設けられている。絞り25の開度はアイリス駆動回路26によって調整される。撮影レンズ11の焦点調節動作およびズーミング動作はレンズ駆動回路27によって制御される。
【0015】
撮影レンズ11の光軸上には撮像素子(CCD)28が配設されている。CCD28には、撮影レンズ11によって被写体像が形成され、被写体像に対応した電荷が発生する。CCD28における電荷の蓄積動作、電荷の読出動作等の動作はCCD駆動回路30によって制御される。CCD28から読み出された電荷信号すなわち画像信号はアンプ31において増幅され、A/D変換器32においてアナログ信号からデジタル信号に変換される。デジタルの画像信号は撮像信号処理回路33においてガンマ補正等の処理を施され、画像メモリ34に一時的に格納される。アイリス駆動回路26、レンズ駆動回路27、CCD駆動回路30、撮像信号処理回路33はシステムコントロール回路35によって制御される。
【0016】
画像信号は画像メモリ34から読み出され、LCD駆動回路36に供給される。LCD駆動回路36は画像信号に応じて動作し、これにより画像表示LCDパネル37には、画像信号に対応した画像が表示される。
【0017】
カメラをカメラ本体10の外部に設けられたモニタ装置39とケーブルで接続すれば、画像メモリ34から読み出された画像信号はTV信号エンコーダ38、ビデオ出力端子20を介してモニタ装置39に伝送可能である。またシステムコントロール回路35はインターフェース回路40に接続されており、インターフェース回路40はインターフェースコネクタ21に接続されている。したがってカメラをカメラ本体10の外部に設けられたコンピュータ41とインターフェースケーブル41を介して接続すれば、画像メモリ34から読み出された画像信号をコンピュータに伝送可能である。また、システムコントロール回路35は、記録媒体制御回路42を介して画像記録装置43に接続されている。したがって画像メモリ34から読み出された画像信号は、画像記録装置43に装着されたICメモリカード等の記録媒体Mに記録可能である。
【0018】
発光装置14は発光素子14aと照明レンズ14bにより構成され、発光素子14aの発光動作は発光素子制御回路44によって制御される。発光素子14aはレーザダイオード(LD)であり、照射されるレーザ光は被写体の距離を検出するための測距光として用いられる。このレーザ光は照明レンズ14bを介して被写体の全体に照射される。被写体で反射したレーザ光が撮影レンズ11に入射し、CCD28で検出されることにより被写体までの距離情報が検出される。
【0019】
システムコントロール回路35には、レリーズスイッチ15、モード切替ダイヤル17から成るスイッチ群45と、液晶表示パネル(表示素子)16とが接続されている。
【0020】
次に、図3のフローチャートを参照して本実施形態において実行される撮影動作について説明する。
【0021】
本実施形態における撮影動作では、被写体の視覚情報に対応する2次元画像(通常のCCDビデオ制御により検出される画像情報)と、距離情報に対応する3次元画像(距離情報検出動作により検出される画像情報)とを所定回数検出し、これらのデータに基づいて往来物などの移動物を除去して目的とする静止物の画像を生成する。なお、この撮影動作は、モード切替ダイアル17を移動物を除去する撮影モードに設定したときに実行される。
【0022】
ステップ101においてレリーズスイッチ15が全押しされていることが確認されるとステップ102が実行され、撮影回数を表す変数Nに初期設定値である1が代入される。次にステップ103において、被写体の第1(N=1)の2次元画像が画像情報検出動作(2次元画像検出手段)により撮影される。ステップ104では、被写体の第1(N=1)の3次元画像が距離情報検出動作(3次元画像検出手段)により検出される。
【0023】
ステップ105では、N=1であるか否かが判定される。N=1であると判定されると、ステップ107に処理は移る。N≠1であると判定されると、ステップ106において2次元画像中の移動物に対応する画像を除去するための画像処理が実行される。
【0024】
ステップ107では、N=Mであるか否かが判定される。Mは本撮影動作において設定された所定の検出(撮影)回数であり、N=Mであると判定されるとこの撮影動作は終了する。N≠Mと判定されると、ステップ108においてNに1が加算され、処理は再びステップ103に戻る。ステップ103〜ステップ108は、ステップ107においてN=Mと判定されるまで繰り返し実行される。したがって、本撮影動作の終了時にはM組の2次元画像と3次元画像とが検出されている。なお、Mのデフォルト値はカメラ製造時または出荷時に設定され、ROM等に記録されている。
【0025】
図4は、ステップ103において実行される画像検出動作のフローチャートである。
ステップ201において、通常のCCDビデオ制御がオン状態に設定され、被写体の第Nの2次元画像が撮影される。撮影された第Nの2次元画像の画像データは、ステップ202において画像メモリ34に一時的に記憶される。ステップ203では、通常のCCDビデオ制御がオフ状態に設定され、この処理は終了する。
【0026】
次に、ステップ104において実行される距離情報検出動作について説明する。まず、図5および図6を参照して、本実施形態における距離測定の基本原理について説明する。なお図6において横軸は時間tである。
【0027】
距離測定装置Bから出力された測距光は被写体Sにおいて反射し、図示しないCCDによって受光される。測距光は所定のパルス幅Hを有するパルス状の光であり、したがって被写体Sからの反射光も、同じパルス幅Hを有するパルス状の光である。また反射光のパルスの立ち上がりは、測距光のパルスの立ち上がりよりも時間δ・t(δは遅延係数)だけ遅れる。測距光と反射光は距離測定装置Bと被写体Sの間の2倍の距離rを進んだことになるから、その距離rは
r=δ・t・C/2 ・・・(1)
により得られる。ただしCは光速である。
【0028】
例えば測距光のパルスの立ち上がりから反射光を検知可能な状態に定め、反射光のパルスが立ち下がる前に検知不可能な状態に切換えるようにすると、すなわち反射光検知期間Tを設けると、この反射光検知期間Tにおける受光量Aは距離rの関数である。すなわち受光量Aは、距離rが大きくなるほど(時間δ・tが大きくなるほど)小さくなる。
【0029】
本実施形態では上述した原理を利用して、CCD28に設けられ、2次元的に配列された複数のフォトダイオードにおいてそれぞれ受光量Aを検出することにより、カメラ本体10から被写体Sの表面の各点までの距離をそれぞれ検出し、被写体Sの表面形状に関する3次元画像のデータを一括して入力している。
【0030】
図7は、CCD28に設けられるフォトダイオード51と垂直転送部52の配置を示す図である。図8は、CCD28を基板53に垂直な平面で切断して示す断面図である。このCCD28は従来公知のインターライン型CCDであり、不要電荷の掃出しにVOD(縦型オーバーフロードレイン)方式を用いたものである。
【0031】
フォトダイオード51と垂直転送部52はn型基板53の面に沿って形成されている。フォトダイオード51は2次元的に格子状に配列され、垂直転送部52は所定の方向(図7において上下方向)に1列に並ぶフォトダイオード51に隣接して設けられている。垂直転送部52は、1つのフォトダイオード51に対して4つの垂直転送電極52a,52b,52c,52dを有している。したがって垂直転送部52では、4つのポテンシャルの井戸が形成可能であり、従来公知のように、これらの井戸の深さを制御することによって、信号電荷をCCD28から出力することができる。なお、垂直転送電極の数は目的に応じて自由に変更できる。
【0032】
基板53の表面に形成されたp型井戸の中にフォトダイオード51が形成され、p型井戸とn型基板53の間に印加される逆バイアス電圧によってp型井戸が完全空乏化される。この状態において、入射光(被写体からの反射光)の光量に応じた電荷がフォトダイオード51において蓄積される。基板電圧Vsub を所定値以上に大きくすると、フォトダイオード51に蓄積した電荷は、基板53側に掃出される。これに対し、転送ゲート部54に電荷転送信号(電圧信号)が印加されたとき、フォトダイオード51に蓄積した電荷は垂直転送部52に転送される。すなわち電荷掃出信号によって電荷を基板53側に掃出した後、フォトダイオード51に蓄積した信号電荷が、電荷転送信号によって垂直転送部52側に転送される。このような動作を繰り返すことにより、垂直転送部52において信号電荷が積分され、被写体からの反射光の光量(受光量A)に応じた信号電荷が検出される。
【0033】
図9は本実施形態における距離情報検出動作におけるタイミングチャートであり、図1、図2、図7〜図9を参照して本実施形態における距離情報検出動作について説明する。なお本実施形態の距離情報検出動作では、図6を参照して行なった距離測定の基本原理の説明とは異なり、外光の影響による雑音を低減するために測距光のパルスの立ち下がりから反射光を検知可能な状態に定め、反射光のパルスが立ち下がった後に検知不可能な状態に切換えるようにタイミングチャートを構成しているが原理的には何ら異なるものではない。
【0034】
垂直同期信号(図示せず)の出力に同期して電荷掃出し信号(パルス信号)S1が出力され、これによりフォトダイオード51に蓄積していた不要電荷が基板53の方向に掃出され、フォトダイオード51における蓄積電荷量はゼロになる(符号S2)。電荷掃出し信号S1の出力の開始の後、一定のパルス幅を有するパルス状の測距光S3が出力される。測距光S3が出力される期間(パルス幅)は調整可能であり、図示例では、電荷掃出し信号S1の出力と同時に測距光S3がオフするように調整されている。
【0035】
測距光S3は被写体において反射し、CCD28に入射する。すなわちCCD28によって被写体からの反射光S4が受光されるが、電荷掃出し信号S1が出力されている間は、フォトダイオード51において電荷は蓄積されない(符号S2)。電荷掃出し信号S1の出力が停止されると、フォトダイオード51では、反射光S4の受光によって電荷蓄積が開始され、反射光S4と外光とに起因する信号電荷S5が発生する。反射光S4が消滅すると(符号S6)フォトダイオード51では、反射光に基く電荷蓄積は終了するが(符号S7)、外光のみに起因する電荷蓄積が継続する(符号S8)。
【0036】
その後、電荷転送信号S9が出力されると、フォトダイオード51に蓄積された電荷が垂直転送部52に転送される。この電荷転送は、電荷転送信号の出力の終了(符号S10)によって完了する。すなわち、外光が存在するためにフォトダイオード51では電荷蓄積が継続するが、電荷転送信号の出力が終了するまでフォトダイオード51に蓄積されていた信号電荷S11が垂直転送部52へ転送される。電荷転送信号の出力終了後に蓄積している電荷S14は、そのままフォトダイオード51に残留する。
【0037】
このように電荷掃出し信号S1の出力の終了から電荷転送信号S9の出力が終了するまでの期間TU1の間、フォトダイオード51には、被写体までの距離に対応した信号電荷が蓄積される。そして、反射光S4の受光終了(符号S6)までフォトダイオード51に蓄積している電荷が、被写体の距離情報と対応した信号電荷S12(斜線部)として垂直転送部52へ転送され、その他の信号電荷S13は外光のみに起因するものである。
【0038】
電荷転送信号S9の出力から一定時間が経過した後、再び電荷掃出し信号S1が出力され、垂直転送部52への信号電荷の転送後にフォトダイオード51に蓄積された不要電荷が基板53の方向へ掃出される。すなわち、フォトダイオード51において新たに信号電荷の蓄積が開始する。そして、上述したのと同様に、電荷蓄積期間TU1が経過したとき、信号電荷は垂直転送部52へ転送される。
【0039】
このような信号電荷S11の垂直転送部52への転送動作は、次の垂直同期信号が出力されるまで、繰り返し実行される。これにより垂直転送部52において、信号電荷S11が積分され、1フィールドの期間(2つの垂直同期信号によって挟まれる期間)に積分された信号電荷S11は、その期間被写体が静止していると見做せれば、被写体までの距離情報に対応している。なお信号電荷S13は信号電荷S12に比べ微小であるため信号電荷S11は信号電荷S12と等しいと見なすことができる。
【0040】
以上説明した信号電荷S11の検出動作は1つのフォトダイオード51に関するものであり、全てのフォトダイオード51においてこのような検出動作が行なわれる。1フィールドの期間における検出動作の結果、各フォトダイオード51に隣接した垂直転送部52の各部位には、そのフォトダイオード51によって検出された距離情報が保持される。この距離情報は垂直転送部52における垂直転送動作および図示しない水平転送部における水平転送動作によってCCD28から出力される。
【0041】
図10は、ステップ104において実行される距離情報検出動作のフローチャートである。
【0042】
ステップ301では、垂直同期信号が出力されるとともに測距光制御が開始される。すなわち発光装置14が駆動され、パルス状の測距光S3が断続的に出力される。次いでステップ302が実行され、CCD28による検知制御が開始される。すなわち図9を参照して説明した距離情報検出動作が開始され、電荷掃出信号S1と電荷転送信号S9が交互に出力されて、距離情報の信号電荷S11が垂直転送部52において積分される。
【0043】
ステップ303では、距離情報検出動作の開始から1フィールド期間が終了したか否か、すなわち新たに垂直同期信号が出力されたか否かが判定される。1フィールド期間が終了するとステップ304へ進み、垂直転送部52において積分された距離情報の信号電荷がCCD28から出力される。この信号電荷はステップ305において画像メモリ34に一時的に記憶される。
【0044】
ステップ306では測距光制御がオフ状態に切換えられ、発光装置14の発光動作が停止する。ステップ307では、距離データの演算処理が行なわれ、ステップ308において、演算された距離データが3次元画像データとして画像メモリ34に一時的に記憶される。
【0045】
次に距離情報検出動作のステップ307において実行される演算処理の内容を図9を参照して説明する。
【0046】
反射率Rの被写体が照明され、この被写体が輝度Iの2次光源と見做されてCCDに結像された場合を想定する。このとき、電荷蓄積時間tの間にフォトダイオードに発生した電荷が積分されて得られる出力Snは、
Sn=k・R・I・t ・・・(2)
で表される。ここでkは比例定数で、撮影レンズのFナンバーや倍率等によって変化する。
【0047】
図9に示されるように電荷蓄積時間をTU1、測距光S3のパルス幅をTS 、距離情報の信号電荷S12のパルス幅をTD とし、1フィールド期間中のその電荷蓄積時間がN回繰り返されるとすると、得られる出力SM10は、
となる。なお、パルス幅TD は
と表せる。このとき被写体までの距離rは
r=C・SM10/(2・k・N・R・I) ・・・(5)
で表せる。したがって比例定数k、反射率R、輝度Iを予め求めておけば距離rが求められる。
【0048】
次に図11〜図13を参照して、ステップ106(図3)において実行される画像処理について説明する。図11(a)〜図11(c)は、画像情報検出手段(ステップ103)を3回駆動することにより得られた第1、第2、第3の2次元画像である。
【0049】
図11(a)〜図11(c)で示されたそれぞれの撮影画像中には、撮影目的物である家O1 および木O2 と、撮影目的物以外の犬O3 が撮影されている。犬O3 は、右から左へと画面の中を移動しており、第1、第2、第3の2次元画像は、所定の時間間隔をおいて撮影されているので、各画像毎に犬O3 の撮像されている位置が異なる。すなわち図11(a)では画面の右側に、図11(b)では画面の中央に、図11(c)では画面の左側にそれぞれ犬O3 の像が撮像されている。撮影目的物である家O1 、木O2 は静止物なので、第1から第3の2次元画像それぞれにおいて、その位置は変化しない。図12は、第1〜第3の2次元画像(図11(a)〜図11(c))と、各2次元画像に対応する3次元画像に基づいて生成された2次元画像であり、静止物である家O1 と木O2 以外の移動物である犬O3 は画像中から除去されている。
【0050】
静止物の背後にある移動物は撮影されることはなく、撮影される移動物は常に風景等の静止物の手前に位置している。したがって、複数の3次元画像の中で、各画素毎に最も遠い距離を示す画素値は、静止物までの距離に対応している。すなわち各画素毎に、最も遠い距離を保持する画素に対応する2次元画像の画素値を選択することにより、移動物の画像を取り除いた静止物のみの2次元画像を生成することができる。
【0051】
例えば、図11(a)〜図11(c)の各図に示された3つの点Q0 、Q1 、Q2 は、図11(a)〜図11(c)で示された3つの2次元画像において同一画素に対応する画素点である。3つの画像において画素点Q0 に対応する被写体までの距離が最も遠いのは第2及び第3の2次元画像(図11(b)、図11(c))であり、家O1 上の点に対応している。画素点Q1 に対応する被写体までの距離が最も遠いのは第1及び第3の2次元画像(図11(a)、図11(c))であり、木O2 上の点に対応している。また、画素点Q2 に対応する被写体までの距離が最も遠いのは第1及び第2の2次元画像(図11(a)、図11(b))であり、無限遠の点に対応している。
【0052】
これら各画素毎の距離の比較は各2次元画像と対をなす3次元画像の画素値によって行なうことができる。したがって、画素点Q0 に関しては、第2または第3の2次元画像の画素値を、画素点Q1 に関しては第1または第3の2次元画像の画素値を、画素点Q2 に関しては第1または第2の2次元画像の画素値を採用することにより、図12のように移動物である犬O3 が画像中から除去された画像を生成することができる。なお本実施形態では、画素点Q0 、Q1 、Q2 のように採用する2次元画像の画素値に複数の選択肢がある場合には、各2次元画像の画素値において輝度の大きい方を採用している。これは撮影動作中に撮影条件等が変化し、同一被写体の2次元画像の画素値が異なる場合にも、各画素毎に採用される画素値のむらが小さくなるようにするためである。
【0053】
図13は、ステップ106で実行される画像処理ルーチンのフローチャートである。
【0054】
図13の変数X、Yの組(X,Y)はCCD28における画素(フォトダイオード)の2次元的な配列に対応している。すなわち、Xは水平方向の配列に、Yは垂直方向の配列に対応している。例えばX=3、Y=5のとき、変数X、Yの組(3,5)は左から3画素目、上から5画素目にあるCCD28の画素を表している。変数D(X,Y)と変数P(X,Y)は、それぞれ3次元画像及び2次元画像における画素(X,Y)の画素値を表している。すなわち変数D(X,Y)は被写体までの距離情報に対応しており、変数P(X,Y)は、例えば赤(R)、緑(G)、青(B)に関する3つの画素値に対応したもので、これら3つの画素値を代表して1つの変数で表している。
【0055】
変数D(X、Y)、P(X,Y)には、第1の3次元画像及び第1の2次元画像の撮影が行なわれた際(ステップ104、ステップ103)、各画像に対応する画素値がそれぞれ代入される。すなわち、画像処理ルーチンが起動されたときには、図11(a)で示された画像に対応する各画素値が、変数D(X、Y)、P(X,Y)に代入されている。
【0056】
ステップ401では、変数X、Yの初期設定が行われ、各変数X、Yはそれぞれ1に設定される。
【0057】
ステップ402では、第Nの3次元画像における画素(X,Y)の画素値DN(X,Y)が、画素値D(X,Y)と比較される。画素値DN(X,Y)が画素値D(X,Y)よりも小さいと判定されると、ステップ406においてD(X,Y)の値はDN(X,Y)の値に書き換えられ、同時にP(X,Y)の値が第Nの2次元画像の画素値PN(X,Y)に書き換えられる。すなわちD(X,Y)及びP(X,Y)には、より被写体までの距離が遠い3次元画像及び2次元画像の画素値がそれぞれ保持される。ステップ406においてD(X,Y)とP(X,Y)の値が書き換えられると、処理はステップ407へ移行する。
【0058】
一方、ステップ402において、第Nの3次元画像における画素(X,Y)の画素値DN(X,Y)の値が、画素値D(X,Y)の値以上であると判定されると、ステップ403においてDN(X,Y)の値がD(X,Y)の値と等しいか否かが判定される。D(X,Y)≠DN(X,Y)と判定されると、処理はステップ407に移る。またD(X,Y)=DN(X,Y)と判定されると、ステップ404においてP(X,Y)とPN(X,Y)の輝度B(P(X,Y))とB(PN(X,Y))の値が比較される。第Nの2次元画像の輝度B(PN(X,Y))がB(P(X,Y))以下のとき処理はステップ407へ移る。また、第Nの2次元画像の輝度B(PN(X,Y))がB(P(X,Y))よりも大きいとき、ステップ405においてP(X,Y)の値が第Nの2次元画像の画素値PN(X,Y)に書き換えられる。すなわち、D(X,Y)=DN(X,Y)のときには、より輝度が大きい画素値がP(X,Y)に保持される。なお、B(P(X,Y))は変数P(X,Y)に保持されたRGBの画素値の輝度を求める関数である。
【0059】
ステップ407では、Xが水平方向の画素数Hに等しいか否かが判定される。X≠Hと判定されたとき、ステップ408においてXに1が加算され、処理はステップ402へ戻る。ステップ402〜ステップ408は、ステップ407においてX=Hと判定されるまで繰り返し実行される。すなわちステップ402〜ステップ408が繰り返し実行されることにより、1水平ラインの画素に対する各画素値の比較が行われ、1水平ラインのD(X,Y)、P(X,Y)の値が設定される。
【0060】
一方、ステップ407においてX=Hと判定されると、ステップ409においてYが垂直方向の画素数Vに等しいか否かが判定される。Y≠Vと判定されたときには、Xは1に設定され、Yには1が加算されて処理はステップ402へ戻る。ステップ403〜ステップ410は、ステップ409においてY=Vと判定されるまで繰り返し実行される。すなわち、ステップ403〜ステップ410が繰り返し実行されることにより、一番上の水平ラインから順に一番下の水平ラインまで、各画素に対応する各画素値の比較が行なわれ、D(X,Y)、P(X,Y)の値が設定される。ステップ409においてY=Vと判定されると、この画像処理のサブルーチンは終了する。
【0061】
なお、画像処理ルーチンは、図3で示された撮影動作中、繰り返し実行され、撮影動作終了時には、M枚の2次元画像から、静止物のみの2次元画像が生成され変数P(X,Y)に保持される。また変数D(X,Y)には、静止物に対応する距離情報が保持される。これらの変数P(X,Y)および変数D(X,Y)の値は、撮影動作終了時に記録媒体Mなどに記録される。
【0062】
このように本実施形態によれば、距離情報をもとに静止物の画像を検出しているので、撮影動作中一度でも静止した撮影目的物が撮影されれば確実に静止画像を検出することができる。
【0063】
なお、本実施形態の撮影動作では、所定回数繰り返し撮影を行なったが、例えばレリーズスイッチ15が押されている間、繰り返し撮影を行なうようにしてもよい。
【0064】
また、本実施形態では、対となる2次元画像と3次元画像の撮影を順番に行なったが、CCDを2つ設け、ハーフミラー等を利用して同時に撮影してもよい。
【0065】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、3次元画像検出装置により画素毎に検出される被写体までの距離情報に基づいて、移動する物体を含む画像から静止した物体の距離情報または画像情報を精度よく検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態であるカメラ型の測距装置の斜視図である。
【図2】図1に示すカメラの回路構成を示すブロック図である。
【図3】本実施形態における撮影動作のフローチャートである。
【図4】画像情報検出動作のフローチャートである。
【図5】測距光による距離測定の原理を説明するための図である。
【図6】測距光、反射光、ゲートパルス、およびCCDが受光する光量分布を示す図である。
【図7】CCDに設けられるフォトダイオードと垂直転送部の配置を示す図である。
【図8】CCDを基板に垂直な平面で切断して示す断面図である。
【図9】被写体までの距離に関するデータを検出する距離情報検出動作のタイミングチャートである。
【図10】距離情報検出動作のフローチャートである。
【図11】 第1、第2、第3の2次元画像を示す図である。
【図12】図11の第1、第2、第3の2次元画像を画像処理することにより生成された目的被写体である静止物のみが記録された2次元画像である。
【図13】画像処理ルーチンのフローチャートである。
【符号の説明】
14 発光装置
28 CCD
Claims (6)
- 画像の各画素値が被写体までの距離情報に対応した3次元画像を検出する3次元画像検出手段と、
前記3次元画像検出手段を駆動して、同一地点、同一方向からの第1の3次元画像と第2の3次元画像を所定の時間間隔をおいて検出し、前記第1および第2の3次元画像間で各画素毎に対応する距離情報を比較し、前記距離情報が異なる場合には、より遠距離の距離情報を示す画像の画素を選択し、前記距離情報が同一の場合には前記第1および第2の3次元画像のうち所定の画像の画素を選択する画素選択手段と
を備えることを特徴とする静止物体画像検出装置。 - 画像の各画素値が被写体の視覚情報に対応した2次元画像を検出する2次元画像検出手段と、
前記第1の3次元画像に対応する第1の2次元画像と、前記第2の3次元画像に対応する第2の2次元画像とを検出し、前記画素選択手段により選択された画素に対応する2次元画像の画素値を各画素毎に抽出することにより、より遠距離にある被写体の2次元画像を生成する2次元画像生成手段と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の静止物体画像検出装置。 - 前記視覚情報に対応する画素値が、赤、緑、青の三色表色系に対応する3つの画素値であることを特徴とする請求項2に記載の静止物体画像検出装置。
- 前記画素選択手段により選択された画素値から、より遠距離にある被写体の3次元画像を生成することを特徴とする請求項1に記載の静止物体画像検出装置。
- 前記画素選択手段において前記第1の3次元画像と前記第2の3次元画像の距離情報が等しいとき、前記2次元画像生成手段における前記第1及び第2の2次元画像からの画素値の抽出が、前記各2次元画像の画素値に対応する輝度の大小を比較することにより行われることを特徴とする請求項2に記載の静止物体画像検出装置。
- 画像の各画素値が被写体までの距離情報に対応した3次元画像と、前記3次元画像に対応し、画像の各画素値が被写体の視覚情報に対応した2次元画像とを繰り返し撮影し、
各画素毎に、前記繰り返し撮影された画像の中で最も遠距離の距離情報を保持する3次元画像の画素に対応する前記2次元画像の画素値を用いて、被写体の2次元画像を生成することを特徴とする静止物体画像検出方法。
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