JP4398562B2 - 3次元画像検出装置の焦点調節機構 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光伝播時間測定法を用いて被写体の3次元形状等を検出可能な3次元画像検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、被写体までの距離を画素毎に検出する3次元画像検出装置としては、「Measurement Science and Technology」(S. Christie 他、vol.6, p1301-1308, 1995 年)に記載されたものや、国際公開97/01111号公報に開示されたものなどが知られている。これらの3次元画像検出装置では、パルス変調されたレーザ光が被写体に照射され、その反射光が2次元CCDセンサによって受光され、電気信号に変換される。このとき2次元CCDと組み合わされたメカニカルまたは液晶素子等からなる電気光学的シャッタの1回のシャッタ動作により、被写体までの距離に相関する電気信号をCCDの各画素毎に検出することができる。この電気信号からCCDの各画素毎に対応する被写体までの距離が、画像情報として検出される。
【0003】
3次元画像検出装置において、被写体までの距離に対応する画像情報(以下3次元画像情報と呼ぶ)は、通常の撮影で得られる被写体の視覚上の画像情報(以下2次元画像情報と呼ぶ)と対で取得され、様々な画像処理に用いられる。2次元画像情報の検出は可視光をCCD撮像面で結像して行われるが、3次元画像情報の検出は通常赤外波長域の光をCCD撮像面で結像して行われる。一つの撮影光学系において、可視波長域の光に対する焦点距離と赤外波長域の光に対する焦点距離とは異なるので、2次元画像情報および3次元画像情報を同一の撮影光学系を用いて検出する場合、焦点調節後における撮影光学系の光軸上の位置は2次元画像情報の検出と3次元画像情報の検出とにおいて異なる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、2次元画像情報および3次元画像情報を同一の撮影光学系を用いて検出し、3次元画像情報の検出が赤外線レーザを照射して行われる3次元画像検出装置において、焦点調節が可視光に対して行われると、3次元画像情報の検出の際、ピントが合わず距離検出精度が低下する。一方、焦点調節が赤外線に対して行われると、可視光を検出して得られる2次元画像の画質が低下する。
【0005】
本発明は、2次元画像情報および3次元画像情報を同一の撮影光学系を用いて検出し、3次元画像情報の検出を可視波長外の光により行う3次元画像検出装置において、各検出が常に合焦された状態で行われ、かつ迅速に焦点調節が行える3次元画像検出装置の焦点調節機構を得ることを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の3次元画像検出装置の焦点調節機構は、撮像レンズと、受光量に応じた信号電荷を蓄積可能な撮像部と、撮像レンズから入射する可視光により被写体の視覚的な画像情報を前記撮像部において検出する2次元画像検出手段と、撮像レンズから入射する可視波長域外の光により、撮像部において被写体までの距離情報を画素毎に検出する3次元画像検出手段と、2次元画像検出手段または3次元画像検出手段のうちの一方の画像検出手段において被写体に焦点が合うように撮像レンズと撮像部との間の相対的な位置を調節する第1の焦点調節手段と、第1の焦点調節手段において調節された撮像レンズと撮像部との間の相対的な位置を、撮像レンズ及び撮像部のうちの少なくとも一方を光軸方向へ所定距離移動させることにより変位させ、第1の焦点調節手段において焦点調節が行われていない他方の画像検出手段における焦点調節を行う第2の焦点調節手段とを備えることを特徴としている。
【0007】
好ましくは、第1の焦点調節手段および第2の焦点調節手段は、撮像レンズを移動することにより撮像レンズと撮像部との間の相対的な位置の調節または所定距離の移動を行う。好ましくは、可視波長域外の光は赤外波長域の光である。
【0008】
好ましくは、所定距離移動させるためのデータがメモリに記録されている。またより好ましくは、撮像レンズがズームレンズであり、データが撮像レンズの各ズーミングに対応してメモリに記録されている。これにより、より迅速に焦点調調節を行うことができる。例えば第1の焦点調節手段は、2次元画像検出手段により画像情報が検出される際、または、3次元画像検出手段により距離情報が検出される際のどちらか一方において駆動される。
【0009】
本発明の3次元画像検出装置の焦点調節機構は、撮像レンズと、受光量に応じた信号電荷を蓄積可能な撮像部と、撮像レンズから入射する可視光により被写体の視覚的な画像情報を撮像部において検出する2次元画像検出手段と、撮像レンズから入射する可視波長域外の光により、撮像部において被写体までの距離情報を画素毎に検出する3次元画像検出手段と、2次元画像検出手段および3次元画像検出手段の各々において、被写体に焦点が合うように撮像レンズと撮像部との間の相対的な位置を調節する焦点調節手段とを備えたことを特徴としている。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態であるカメラ型の画像検出装置の斜視図である。
【0011】
カメラ本体10の前面において、撮影レンズ11の左上にはファインダ窓12が設けられ、右上にはストロボ13が設けられている。カメラ本体10の上面において、撮影レンズ11の真上には、測距光であるレーザ光を照射する発光装置(光源)14が配設されている。発光装置14の左側にはレリーズスイッチ15、液晶表示パネル16が設けられ、右側にはモード切替ダイヤル17が設けられている。カメラ本体10の側面には、ICメモリカード等の記録媒体を挿入するためのカード挿入口19が形成され、また、ビデオ出力端子20、インターフェースコネクタ21が設けられている。
【0012】
図2は図1に示すカメラの回路構成を示すブロック図である。
撮影レンズ11の中には絞り25が設けられている。絞り25の開度はアイリス駆動回路26によって調整される。撮影レンズ11の焦点調節動作およびズーミング動作はレンズ駆動回路27によって制御される。
【0013】
撮影レンズ11の光軸上には撮像素子(CCD)28が配設されており、その前面には色分離フィルタFが設けられている。CCD28の撮像面には、撮影レンズ11によって被写体像が結像される。これによりCCD28において被写体像に対応した電荷が発生する。CCD28における電荷の蓄積動作や電荷の読出動作等はCCD駆動回路30によって制御される。CCD28から読み出された電荷信号すなわち画像信号はアンプ31において増幅され、A/D変換器32においてアナログ信号からデジタル信号に変換される。デジタルの画像信号は撮像信号処理回路33においてガンマ補正等の処理を施され、画像メモリ34に一時的に格納される。アイリス駆動回路26、レンズ駆動回路27、CCD駆動回路30、撮像信号処理回路33はシステムコントロール回路35によって制御される。なお、レンズ駆動回路27では、撮像レンズ11の位置の検出も行われており、この検出結果とシステムコントロール回路からの制御信号に基づいて撮像レンズ11の位置が調整され、焦点調節やズーミングが行われる。
【0014】
画像信号は画像メモリ34から読み出され、LCD駆動回路36に供給される。LCD駆動回路36は画像信号に応じて動作し、これにより画像表示LCDパネル37には、画像信号に対応した画像が表示される。
【0015】
カメラをカメラ本体10の外部に設けられたモニタ装置39とケーブルで接続すれば、画像メモリ34から読み出された画像信号はTV信号エンコーダ38、ビデオ出力端子20を介してモニタ装置39に伝送可能である。またシステムコントロール回路35はインターフェース回路40に接続されており、インターフェース回路40はインターフェースコネクタ21に接続されている。したがってカメラをカメラ本体10の外部に設けられたコンピュータ41とインターフェースケーブル41を介して接続すれば、画像メモリ34から読み出された画像信号をコンピュータに伝送可能である。また、システムコントロール回路35は、記録媒体制御回路42を介して画像記録装置43に接続されている。したがって画像メモリ34から読み出された画像信号は、画像記録装置43に装着されたICメモリカード等の記録媒体Mに記録可能である。
【0016】
発光装置14は発光素子14aと照明レンズ14bにより構成され、発光素子14aの発光動作は発光素子制御回路44によって制御される。発光素子14aはレーザダイオード(LD)であり赤外線レーザを照射する。赤外線レーザは被写体までの距離を検出するための測距光として用いられ、照明レンズ14bを介して被写体の全体に照射される。被写体で反射したレーザ光が撮影レンズ11に入射し、CCD28で検出されることにより被写体までの距離情報が検出される。
【0017】
システムコントロール回路35には、レリーズスイッチ15、モード切替ダイヤル17から成るスイッチ群45と、メモリ24、液晶表示パネル(表示素子)16とが接続されている。メモリ24は不揮発性のメモリであり、後述するように3次元画像情報を検出する際の焦点調節(3D合焦)に用いられる。
【0018】
図3は、本実施形態のCCD28に設けられる色分離フィルタFの色フィルタアレイを部分的に示す図であり、図4は各色フィルタの分光透過率特性を示す図である。図3、図4を参照して本実施形態で用いられるCCD28および色分離フィルタFについて説明する。
【0019】
色フィルタR、G、B、Irは、赤(R)、緑(G)、青(B)、赤外(Ir)の光を選択的に透過するバンドパスフィルタ(例えば干渉フィルタ)であり、その分光透過率特性は図4にそれぞれ示される。色フィルタR、G、B、Irはガラス基板上に図3のような配列で形成されており、全体として色分離フィルタFを構成する。色フィルタR、G、B、Irの各々は、CCD28の各画素(フォトダイオード)に対応しており、ガラス基盤に色フィルタが形成された色分離フィルタFは、各色フィルタがCCD28の各画素に対応するように正確に位置合わせした上でCCD28の表面に固着されている。図3には16画素分の色フィルタしか示されていないが、色フィルタはCCD28の全画素に対応しており、図3に示された配列で繰り返し配列されている。
【0020】
本実施形態では、色フィルタR、G、B(可視光透過フィルタ)に対応する画素(第1の画素群)の画像信号のみを使用して可視光による被写体の通常の視覚的な画像情報(以下2次元画像情報と呼ぶ)を検出し、色フィルタIr(赤外光透過フィルタ)が設けられた画素(第2の画素群)の画像信号のみを使用して赤外線による被写体の3次元形状を表す距離情報をCCD28の画像情報(以下3次元画像情報と呼ぶ)として検出する。色フィルタR、G、B、Irの透過波長帯域は、図4に示されるようにR、G、B、Irの波長を中心にした狭い帯域に限られており、可視光の検出に用いられる色フィルタR、G、Bは赤外線を透過せず、赤外光の検出に用いられる色フィルタIrは可視光線を透過しない。したがって、2次元画像情報は赤外線の影響を受けずに検出でき、3次元画像情報は可視光の影響を受けずに検出できる。
【0021】
図5は、第1の実施形態において実行される撮影動作のプログラムのフローチャートである。図5を参照して、第1の実施形態における撮影動作について説明する。
【0022】
ステップ101においてレリーズスイッチ15が全押しされていることが確認されるとステップ102において、可視光を用いた自動焦点調節(2D合焦)が実行される。すなわち、適正な焦点調節がなされたシャープな2次元画像情報を検出するため、CCD28の画素のうちR、G、Bの色フィルタが設けられた画素の画像信号を用いて、従来公知のコントラスト方式により可視光に対する焦点調節が行われる。なお焦点調節は、レンズ駆動回路27を用いて撮像レンズ11の位置を調節することにより行われる。
【0023】
ステップ103では、2次元画像情報の検出(2D撮影)が行われる。すなわちCCD28において通常のビデオ制御が行われ、被写体の視覚情報に対応した画像データが検出される。検出された画像データは、2次元画像データとして画像記録媒体Mに保存される。
【0024】
ステップ104では、レンズ駆動回路27を駆動して撮像レンズ11の位置を2D合焦(ステップ102)において設定された位置から所定量移動させる。すなわち、撮像レンズ11の可視光に対する焦点距離は、赤外線に対する焦点距離よりも短いので、赤外線を用いる3次元画像情報の検出では、焦点面の位置が2D合焦における焦点面の位置よりも後方へずれる。したがって、3次元画像情報の検出では、撮像レンズ11をその分移動しなければならない。この移動量は、撮像レンズ11のズーミングに対応してメモリ24に記録されている。システムコントロール回路35は、現在のズーミングに対応した移動量を示すデータをメモリ24から読み出し、レンズ駆動回路27に対して撮像レンズ11の移動量を指示する。レンズ駆動回路27は、この指示に従って撮像レンズ11の位置を移動し、3次元画像情報を検出のための3D合焦を行う。
【0025】
ステップ105では、後に詳述する方法により被写体の距離情報に対応した3次元画像情報の検出(3D撮影)が行われ、3次元画像データとして画像記録媒体Mに保存される。
【0026】
次に図6および図7を参照して、本実施形態において実行される距離測定の原理について説明する。なお図7において横軸は時間tである。
【0027】
距離測定装置Bから出力された測距光は被写体Sにおいて反射し、図示しないCCDによって受光される。測距光は所定のパルス幅Hを有するパルス状の光であり、したがって被写体Sからの反射光も、同じパルス幅Hを有するパルス状の光である。また反射光のパルスの立ち上がりは、測距光のパルスの立ち上がりよりも時間δ・t(δは遅延係数)だけ遅れる。測距光と反射光は距離測定装置Bと被写体Sの間の2倍の距離rを進んだことになるから、その距離rは
r=δ・t・C/2 ・・・(1)
により得られる。ただしCは光速である。
【0028】
例えば測距光のパルスの立ち上がりから反射光を検知可能な状態に定め、反射光のパルスが立ち下がる前に検知不可能な状態に切換えるようにすると、すなわち反射光検知期間Tを設けると、この反射光検知期間Tにおける受光量Aは距離rの関数である。すなわち受光量Aは、距離rが大きくなるほど(時間δ・tが大きくなるほど)小さくなる。
【0029】
本実施形態では上述した原理を利用して、CCD28に設けられ、2次元的に配列された複数のフォトダイオードにおいてそれぞれ受光量Aを検出することにより、カメラ本体10から被写体Sの表面の各点までの距離をそれぞれ検出し、被写体Sの表面形状に関する距離情報を3次元画像データとして一括して入力している。
【0030】
図8は、CCD28に設けられるフォトダイオード51と垂直転送部52の配置を示す図である。図9は、CCD28を基板53に垂直な平面で切断して示す断面図である。このCCD28は従来公知のインターライン型CCDであり、不要電荷の掃出しにVOD(縦型オーバーフロードレイン)方式を用いたものである。
【0031】
フォトダイオード51と垂直転送部52はn型基板53の面に沿って形成されている。フォトダイオード51は2次元的に格子状に配列され、垂直転送部52は所定の方向(図8において上下方向)に1列に並ぶフォトダイオード51に隣接して設けられている。垂直転送部52は、1つのフォトダイオード51に対して4つの垂直転送電極52a,52b,52c,52dを有している。したがって垂直転送部52では、4つのポテンシャルの井戸が形成可能であり、従来公知のように、これらの井戸の深さを制御することによって、信号電荷をCCD28から出力することができる。なお、垂直転送電極の数は目的に応じて自由に変更できる。
【0032】
基板53の表面に形成されたp型井戸の中にフォトダイオード51が形成され、p型井戸とn型基板53の間に印加される逆バイアス電圧によってp型井戸が完全空乏化される。この状態において、入射光(被写体からの反射光)の光量に応じた電荷がフォトダイオード51において蓄積される。基板電圧Vsub を所定値以上に大きくすると、フォトダイオード51に蓄積した電荷は、基板53側に掃出される。これに対し、転送ゲート部54に電荷転送信号(電圧信号)が印加されたとき、フォトダイオード51に蓄積した電荷は垂直転送部52に転送される。すなわち電荷掃出信号によって電荷を基板53側に掃出した後、フォトダイオード51に蓄積した信号電荷が、電荷転送信号によって垂直転送部52側に転送される。このような動作を繰り返すことにより、垂直転送部52において信号電荷が積分され、いわゆる電子シャッタ動作が実現される。
【0033】
図10は、3次元画像データを取得するために図5のステップ105の3D撮影において実行される3次元画像検出動作のタイミングチャートであり、図1、図2、図8〜図10を参照して本実施形態における3次元画像検出動作について説明する。なお本実施形態の3次元画像検出動作では、図7を参照して行なった距離測定の原理の説明とは異なり、外光の影響による雑音を低減するために測距光のパルスの立ち下がりから反射光を検知可能な状態に定め、反射光のパルスが立ち下がった後に検知不可能な状態に切換えるようにタイミングチャートを構成しているが原理的には何ら異なるものではない。
【0034】
垂直同期信号(図示せず)の出力に同期して電荷掃出し信号(パルス信号)S1が出力され、これによりフォトダイオード51に蓄積していた不要電荷が基板53の方向に掃出され、フォトダイオード51における蓄積電荷量はゼロになる(符号S2)。電荷掃出し信号S1の出力の開始の後、一定のパルス幅を有するパルス状の測距光S3が出力される。測距光S3が出力される期間(パルス幅)は調整可能であり、図示例では、電荷掃出し信号S1の出力と同時に測距光S3がオフするように調整されている。
【0035】
測距光S3は被写体において反射し、CCD28に入射する。すなわちCCD28によって被写体からの反射光S4が受光されるが、電荷掃出し信号S1が出力されている間は、フォトダイオード51において電荷は蓄積されない(符号S2)。電荷掃出し信号S1の出力が停止されると、フォトダイオード51では、反射光S4の受光によって電荷蓄積が開始され、反射光S4と外光とに起因する信号電荷S5が発生する。反射光S4が消滅すると(符号S6)フォトダイオード51では、反射光に基く電荷蓄積は終了するが(符号S7)、外光のみに起因する電荷蓄積が継続する(符号S8)。
【0036】
その後、電荷転送信号S9が出力されると、フォトダイオード51に蓄積された電荷が垂直転送部52に転送される。この電荷転送は、電荷転送信号の出力の終了(符号S10)によって完了する。すなわち、外光が存在するためにフォトダイオード51では電荷蓄積が継続するが、電荷転送信号の出力が終了するまでフォトダイオード51に蓄積されていた信号電荷S11が垂直転送部52へ転送される。電荷転送信号の出力終了後に蓄積している電荷S14は、そのままフォトダイオード51に残留する。
【0037】
このように電荷掃出し信号S1の出力の終了から電荷転送信号S9の出力が終了するまでの期間TU1の間、フォトダイオード51には、被写体までの距離に対応した信号電荷が蓄積される。そして、反射光S4の受光終了(符号S6)までフォトダイオード51に蓄積している電荷が、被写体の距離情報と対応した信号電荷S12(斜線部)として垂直転送部52へ転送され、その他の信号電荷S13は外光のみに起因するものである。
【0038】
電荷転送信号S9の出力から一定時間が経過した後、再び電荷掃出し信号S1が出力され、垂直転送部52への信号電荷の転送後にフォトダイオード51に蓄積された不要電荷が基板53の方向へ掃出される。すなわち、フォトダイオード51において新たに信号電荷の蓄積が開始する。そして、上述したのと同様に、電荷蓄積期間TU1が経過したとき、信号電荷は垂直転送部52へ転送される。
【0039】
このような信号電荷S11の垂直転送部52への転送動作は、次の垂直同期信号が出力されるまで、繰り返し実行される。これにより垂直転送部52において、信号電荷S11が積分され、1フィールドの期間(2つの垂直同期信号によって挟まれる期間)に積分された信号電荷S11は、その期間被写体が静止していると見做せれば、被写体までの距離情報に対応している。なお信号電荷S13は信号電荷S12に比べ微小であるため信号電荷S11は信号電荷S12と等しいと見なすことができる。
【0040】
以上説明した信号電荷S11の検出動作は1つのフォトダイオード51に関するものであり、図3の色フィルタIrに対応する全てのフォトダイオード51においてこのような検出動作が行なわれる。すなわち、距離情報は水平・垂直方向ともに1画素置きに検出される。1フィールドの期間における検出動作の結果、各フォトダイオード51に隣接した垂直転送部52の各部位には、そのフォトダイオード51によって検出された距離情報が保持される。この距離情報は垂直転送部52における垂直転送動作および図示しない水平転送部における水平転送動作によって3次元画像データとしてCCD28から出力される。
【0041】
次に図1、図2、図10及び3次元画像検出動作のフローチャートである図11を参照して本実施形態における3次元画像検出動作について説明する。
【0042】
ステップ201では、垂直同期信号が出力されるとともに測距光制御が開始される。すなわち発光装置14が駆動され、パルス状の測距光S3が断続的に出力される。次いでステップ202が実行され、CCD28による検知制御が開始される。すなわち図10を参照して説明した3次元画像検出動作が開始され、電荷掃出信号S1と電荷転送信号S9が交互に出力されて、距離情報の信号電荷S11が垂直転送部52において積分される。
【0043】
ステップ203では、3次元画像検出動作の開始から1フィールド期間が終了したか否か、すなわち新たに垂直同期信号が出力されたか否かが判定される。1フィールド期間が終了するとステップ204へ進み、垂直転送部52において積分された距離情報の信号電荷がCCD28から出力される。この信号電荷はステップ205において画像メモリ34に一時的に記憶される。
【0044】
ステップ206では測距光制御がオフ状態に切換えられ、発光装置14の発光動作が停止する。ステップ207では、距離データの演算処理が行なわれ、ステップ208において、演算された距離データが3次元画像データとして画像メモリ34に一時的に記憶されるとともに記録媒体Mに保存される。これにより、ステップ102において実行される3次元画像検出動作は終了する。
【0045】
次に3次元画像検出動作のステップ207において実行される演算処理の内容を図10を参照して説明する。
【0046】
反射率Rの被写体が照明され、この被写体が輝度Iの2次光源と見做されてCCDに結像された場合を想定する。このとき、電荷蓄積時間tの間にフォトダイオードに発生した電荷が積分されて得られる出力Snは、
Sn=k・R・I・t ・・・(2)
で表される。ここでkは比例定数で、撮影レンズのFナンバーや倍率等によって変化する。
【0047】
図10に示されるように電荷蓄積時間をTU1、測距光S3のパルス幅をTS 、距離情報の信号電荷S12のパルス幅をTD とし、1フィールド期間中のその電荷蓄積時間がN回繰り返されるとすると、得られる出力SM10は、
となる。なお、パルス幅TD は
と表せる。このとき被写体までの距離rは
r=C・SM10/(2・k・N・R・I) ・・・(5)
で表せる。したがって比例定数k、反射率R、輝度Iを予め求めておけば距離rが求められる。
【0048】
以上により、第1の実施形態によれば、2次元画像情報、3次元画像情報ともに合焦された状態で検出することができる。また、第1の実施形態では、自動焦点調節は可視光による2次元画像情報の検出に対してのみ実行され、赤外線による3次元画像情報の検出では、メモリ24に予め記録された移動量に基づいて焦点の調節が行われる。したがって、自動焦点調節が1回で済み、迅速な焦点調節が行える。
【0049】
図12は、第2の実施形態において実行される撮影動作のプログラムのフローチャートである。図12を参照して、第2の実施形態における撮影動作について説明する。なお、第2の実施形態は、第1の実施形態とその撮影動作が若干異なるのみでその他の点に関しては第1の実施形態と異なるところはない。
【0050】
ステップ301においてレリーズスイッチ15が全押しされていることが確認されるとステップ302において、赤外線を用いた自動焦点調節(3D合焦)が実行される。すなわち、適正な焦点調節がなされた3次元画像情報を検出するため、CCD28の画素のうちIrの色フィルタが設けられた画素の画像信号を用いて従来公知のコントラスト方式により赤外光に対する焦点調節が行われる。
【0051】
ステップ303では、3次元画像情報の検出(3D撮影)が行われ、検出された画像データは、3次元画像データとして画像記録媒体Mに保存される。
【0052】
ステップ304では、レンズ駆動回路27を駆動して撮像レンズ11の位置を3D合焦(ステップ302)において設定された位置から所定量移動させる。この移動量は、撮像レンズ11のズーミングに対応してメモリ24に記録されている。システムコントロール回路35は、現在のズーミングに対応した移動量を示すデータをメモリ24から読み出し、レンズ駆動回路27に対して撮像レンズ11の移動量を指示する。レンズ駆動回路27は、この指示に従って撮像レンズ11の位置を移動し、2次元画像情報を検出のための焦点調節を行う。
【0053】
ステップ305では、後に詳述する方法により被写体の距離情報に対応した2次元画像情報の検出(2D撮影)が行われ、2次元画像データとして画像記録媒体Mに保存される。
【0054】
以上により、第2の実施形態においても第1の実施形態と同様、2次元画像情報、3次元画像情報ともに合焦された状態で検出することができる。また、第2の実施形態では、自動焦点調節は赤外線による3次元画像情報の検出に対してのみ実行され、可視光による2次元画像情報の検出では、メモリ24に予め記録された移動量に基づいて焦点調節が行われる。したがって、第1の実施形態と同様、自動焦点調節が1回で済み、迅速な焦点調節が行える。
【0055】
次に図13を参照して本発明の第3の実施形態の3次元画像検出装置で行われる撮影動作について説明する。なお図13は、本実施形態において実行される撮影動作のプログラムのフローチャートである。第3の実施形態は、第1の実施形態と撮影動作が若干異なるのみでその他の点については第1の実施形態と同様である。
【0056】
ステップ401においてレリーズスイッチ15が全押しされていることが確認されるとステップ402において、可視光に対する自動焦点調節(2D合焦)が実行される。すなわち、適正な焦点調節のもとで2次元画像情報を検出するため、CCD28で検出される画像信号のうち、R、G、Bの色フィルタに対応する画素で検出される画像信号に、例えば従来公知のコントラスト方式を適用して焦点調節を行う。
【0057】
ステップ403では、2次元画像情報の検出(2D撮影)が行われる。すなわちCCD28において通常のビデオ制御が行われ、RGB成分およびIr成分の画像情報が検出され、各色成分毎に画像データとして画像メモリ34へ一時的に記憶される。その後RGB成分に対応する画像データのみが2次元画像データとして画像記録媒体Mに保存される。
【0058】
ステップ404では、赤外光に対する自動焦点調節(3D合焦)が実行される。すなわち、適正な焦点調節のもとで3次元画像情報を検出するため、CCD28で検出される画像信号のうち、Irの色フィルタに対応する画素で検出される画像信号に、例えば従来公知のコントラスト方式を適用して焦点調節を行う。
【0059】
ステップ405では、3次元画像情報の検出(3D撮影)が行われる。すなわち3次元画像検出動作により各画素において信号電荷が検出される。各画素において検出された画像信号は、画像情報として各色成分毎に画像データとして画像メモリ34へ一時的に記憶される。その後Ir成分に対応する画像データから距離データが演算され3次元画像データとして画像記録媒体Mに保存される。
【0060】
以上により第3の実施形態によれば、2次元画像情報及び3次元画像情報ともに焦点調節がなされたシャープな画像として検出することができる。
【0061】
なお、本実施形態では自動焦点調節には、コントラスト方式が用いられたが自動焦点調節の方式は限定されるものではない。また、本実施形態では撮像レンズの位置を調整することにより焦点調節が行われたが、CCDなどの撮像面を移動させてもよく、これら双方を移動させてもよい。
【0062】
第1及び第2の実施形態において、3次元画像情報または2次元画像情報の一方に関する焦点調節はメモリ24に記録されたデータに基づいて行われたが、撮像レンズのズーミングに対応した所定移動量を予め設定された数式を用いて算出するようにしてもよい。
【0063】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、2次元画像情報および3次元画像情報を同一の撮影光学系を用いて検出し、3次元画像情報の検出を可視波長外の光により行う3次元画像検出装置において、各検出が常に合焦された状態で行われ、かつ迅速に焦点調節を行える3次元画像検出装置の焦点調節機構を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態であるカメラ型の測距装置の斜視図である。
【図2】図1に示すカメラの回路構成を示すブロック図である。
【図3】CCD28に設けられた色フィルタアレイの配置を示す図である。
【図4】CCD28に設けられた色フィルタの透過率特性を示す図である。
【図5】本実施形態における撮影動作のプログラムのフローチャートである。
【図6】測距光による距離測定の原理を説明するための図である。
【図7】測距光、反射光、ゲートパルス、およびCCDが受光する光量分布を示す図である。
【図8】CCDに設けられるフォトダイオードと垂直転送部の配置を示す図である。
【図9】CCDを基板に垂直な平面で切断して示す断面図である。
【図10】被写体までの距離に関するデータを検出する3次元画像検出動作のタイミングチャートである。
【図11】3次元画像検出動作のフローチャートである。
【図12】第2の実施形態における撮影動作のフローチャートである。
【図13】第3の実施形態における撮影動作のフローチャートである。
【符号の説明】
11 撮像レンズ
14 発光装置
24 メモリ
27 レンズ駆動回路
28 CCD
Claims (8)
- 撮像レンズと、
受光量に応じた信号電荷を蓄積可能な撮像部と、
前記撮像レンズから入射する可視光により被写体の視覚的な画像情報を前記撮像部において検出する2次元画像検出手段と、
前記撮像レンズから入射する可視波長域外の光により、前記撮像部において前記被写体までの距離情報を画素毎に検出する3次元画像検出手段と、
前記2次元画像検出手段または前記3次元画像検出手段のうちの一方の画像検出手段において、前記被写体に焦点が合うように前記撮像レンズと前記撮像部との間の相対的な位置を調節する第1の焦点調節手段と、
前記第1の焦点調節手段において調節された前記撮像レンズと前記撮像部との間の相対的な位置を、前記撮像レンズ及び前記撮像部のうちの少なくとも一方を光軸方向へ所定距離移動させることにより変位させ、前記第1の焦点調節手段において焦点調節が行われていない他方の画像検出手段における焦点調節を行う第2の焦点調節手段と
を備えたことを特徴とする3次元画像検出装置の焦点調節機構。 - 前記第1の焦点調節手段および前記第2の焦点調節手段が、前記撮像レンズを移動することにより前記撮像レンズと前記撮像部との間の相対的な位置の調節または前記所定距離の移動を行うことを特徴とする請求項1に記載の3次元画像検出装置の焦点調節機構。
- 前記可視波長域外の光が赤外波長域の光であることを特徴とする請求項1に記載の3次元画像検出装置の焦点調節機構。
- 前記所定距離移動させるためのデータがメモリに記録されていることを特徴とする請求項1に記載の3次元画像検出装置の焦点調節機構。
- 前記撮像レンズがズームレンズであり、前記データが前記撮像レンズの各ズーミングに対応して前記メモリに記録されていることを特徴とする請求項4に記載の3次元画像検出装置の焦点調節機構。
- 前記第1の焦点調節手段が、前記2次元画像検出手段により前記画像情報が検出される際に駆動されることを特徴とする請求項1に記載の3次元画像検出装置の焦点調節機構。
- 前記焦点調整手段が、前記3次元画像検出手段により前記距離情報が検出される際に駆動されることを特徴とする請求項1に記載の3次元画像検出装置の焦点調節機構。
- 撮像レンズと、
受光量に応じた信号電荷を蓄積可能な撮像部と、
前記撮像レンズから入射する可視光により被写体の視覚的な画像情報を前記撮像部において検出する2次元画像検出手段と、
前記撮像レンズから入射する可視波長域外の光により、前記撮像部において前記被写体までの距離情報を画素毎に検出する3次元画像検出手段と、
前記2次元画像検出手段および前記3次元画像検出手段の各々において、前記被写体に焦点が合うように前記撮像レンズと前記撮像部との間の相対的な位置を調節する焦点調節手段と
を備えたことを特徴とする3次元画像検出装置の焦点調節機構。
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