JP4413013B2 - 一種の抗リュウマチ製剤およびその製造方法 - Google Patents

一種の抗リュウマチ製剤およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は一種の薬物およびその製造方法に関し、特に、抗リュウマチ漢方薬およびその製造方法に関する。
一般的に、リュウマチおよび関節リュウマチ(RA)が完治しにくい疾病と考えられ、RAが原因で障害が残る患者は約1800万にのぼる。これまで、RA治療薬に関する研究は百年近く続いており、アスピリンは最初にかつ広く使用されている薬物である。RA治療剤は概ね2種類、即ち、非ステロイド系抗炎症薬 (NSAIDs)と免疫抑制剤に分類される。NSAIDsにはジクロフェナク、インドメタシンおよび副腎皮質ステロイドなどを含み、臨床研究によってNSAIDsは有効であると証明された。また、免疫抑制剤および細胞毒性薬はメトトレキサート(methotrexate)、シクロホスファミド(cyclophosphane)およびペニシラミン(penicillamine)などを含む。近年、免疫調整法はリュウマチなどの治療方法として用いられている。すべての抗リュウマチ製剤が重大な副作用を示し、未だに薬効がより高く副作用がより少ない薬物は確立されていない。
抗リュウマチ製剤の研究およびその発展に関して、三つ重要な方向を強調したい。一つ目は、NSAIDsおよびサイトカイン拮抗剤、例えば、組換え可溶性腫瘍壊死因子阻害剤、インターロイキン―1抑制剤、および血小板活性化因子阻害剤である。二つ目は、新しい免疫抑制剤または免疫調整剤、たとえば、サイクロスポリンAである。三つ目は、複合薬である。
中医薬の領域において、痺病(RA)の治療に関する研究は、最初に中国古代の医薬学者である張仲景が“麻杏石甘湯”、“防己黄▲耆▼湯”および“烏頭湯”を使用していたことにまで遡る。また、四川省に生息する野生植物である“火把花(Gelsemium elegan s Bentll)”は、ある地域(四川省)において行われた臨床試験によってリュウマチ患者にある程度の効果があることが認められた。しかしながら、同時に制御できない問題が多く見られ、人体の生殖系に重大な副作用があることも認められた。
中医薬による痺病の治療は歴史が長く、歴代の医学者によって発展されてきた結果、中医薬の治療効果が比較的に高くなり、治療薬も多く見られるようになった。1995年版、2000年版の中国薬典収載品の中に痺病治療薬は単一生薬(単味薬)が80品目以上、製剤(成薬)が29品目ある。しかし、いくつか問題もあり、主に、重症の痺病、たとえば、関節リュウマチに対する治療効果は望ましくないこと、製剤の剤型自体は現代生活に合わないこと、少数の薬物(例えば、雷公藤(ライコウトウ;Tripterygium wilfordii Hook F)製剤)は、治療効果が良いが、副作用が重大であることなどがある。従って、治療効果が高く副作用が少ない、かつ現代の服薬習慣に合うような抗リュウマチ製剤の研究が必要とされている。特に化学合成された抗リュウマチ製剤に近い治療効果を有する一方、副作用が少ない薬物の研究が必要である。
本発明は治療効果が高く副作用が低い、服薬に便利な抗リュウマチ複方製剤を提供すること、および抗リュウマチ作用を有する製剤の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は下記の原薬を選択することにより実現している。
昆明山海棠(Tripterygium hypoglaucum (Levl.) Hutch.)
淫羊カク(インヨウカク;Epimedium brevicornum Maxim.)
枸杞子(クコシ;Lycium barbarum L.)
菟絲子(トシシ;Cuscuta chinensis Lam.、 Cuscuta australis R. Br.)
本発明に係る薬物は上記の原薬により製造される。前記原薬は、昆明山海棠と、他の三種類の生薬から1種類、2種類、または3種類を選択したものと組み合わせることにより構成される。
本発明に係る薬物の最も適切な原薬の配合比率は、
昆明山海棠:1〜4(重量比)
淫羊カク:1〜4(重量比)
枸杞子:1〜4(重量比)
菟絲子:1〜4(重量比)である。
本発明に係る薬物の最も適切な原薬の配合比率は、
昆明山海棠:2(重量比)
淫羊カク:2(重量比)
枸杞子:1(重量比)
菟絲子:1(重量比)であっても良い。
本発明に係る薬物の適切な原薬の配合比率は、
昆明山海棠:1〜4(重量比)
淫羊カク:1〜4(重量比)であっても良い。
本発明に係る薬物の適切な原薬の配合比率は、
昆明山海棠:2(重量比)
淫羊カク:2(重量比)であっても良い。
本発明に係る薬物の適切な原薬の配合比率は、
昆明山海棠:1〜4(重量比)
淫羊カク:1〜4(重量比)
枸杞子:1〜4(重量比)であっても良い。
本発明に係る薬物の適切な原薬の配合比率は、
昆明山海棠:2(重量比)
淫羊カク2(重量比)
枸杞子1(重量比)であっても良い。
本発明に係る薬物の適切な原薬の配合比率は、
昆明山海棠1〜4(重量比)
淫羊カク1〜4(重量比)
菟絲子1〜4(重量比)であっても良い。
本発明に係る薬物の適切な原薬の配合比率は、
昆明山海棠2:(重量比)
淫羊カク2:(重量比)
菟絲子1:(重量比)であっても良い。
上記の混合薬物中のいずれにおいてもイカリイン(Icariine;C33H40O15)の含有量が少なくても2.0mgであることが必要である。
本発明に係る薬物の最適な配合比率は、
昆明山海棠1〜4(重量比)
枸杞子1〜4(重量比)
および/または菟絲子1〜4(重量比)であっても良い。
本発明に係る薬物の最適な配合比率は、
昆明山海棠2(重量比)
枸杞子1(重量比)
および/または菟絲子1(重量比)であっても良い。
前記の原薬を配合比率通りに量り、通常の製剤技術によって、様々な剤型、例えば、丸剤、散剤、クリーム剤、錠剤、カプセル(たとえばソフトカプセルおよびハードカプセル)、顆粒剤および注射剤などに製造することができる。
本薬物の製造方法は、以下の製造工程を含む。
昆明山海棠:1〜4(重量比)
淫羊カク:1〜4(重量比)
枸杞子:1〜4(重量比)
菟絲子:1〜4(重量比)
の配合比率通りに原薬を量り、昆明山海棠および淫羊カクを細かく切り、それぞれ水を加えて2〜4回煎じる。枸杞子および菟絲子は80〜95℃の温水浴に1〜3回浸出する。それぞれの生薬の煎じ液または浸出液を併合し、併合液をそれぞれ樹脂カラムに吸着させたのち、フラッシング液が透明になるまで水でカラムを洗浄し、その後60%-80%のエタノールで溶出する。溶出液の色が濃くなり始めたら溶出液の収集を開始し、さらに色が極めて薄くなったら水でカラム内のエタノール液を押し出し、溶出液と併合させる。溶出液の総量は原生薬の重量の約3〜8倍である。それぞれの生薬の溶出液を回収し、比重が1.10になるまで濃縮する。それぞれ噴霧幹燥により各生薬の乾燥抽出物を得る。これら四つの抽出物を混合して任意の臨床に受け入れられる剤型に製造する。
本発明の方法は、好ましくは以下の製造工程を含む。
昆明山海棠:2(重量比)
淫羊カク:2(重量比)
枸杞子:1(重量比)
菟絲子:1(重量比)
昆明山海棠を細かく切り、それぞれ13倍、10倍、10倍の水で1hr/回で3回抽出する。淫羊カクを短く切断し、それぞれ15倍、10倍、10倍の水で1hr/回で3回抽出する。枸杞子を粗く粉碎して、20倍の80℃の温水浴に1時間/回で連続して3回浸出する。菟絲子を粗く粉碎して、31倍の80℃の温水浴に1時間/回で連続して3回浸出する。四つの生薬の水煎液または浸出液をそれぞれろ過し、JD-1型(WLD)樹脂カラムに吸着させ、70%のエタノールで溶出する。溶出液の色が明らかに濃くなったら溶出液の収集を開始し、さらに色が極めて薄くなったら溶出を終了する。それぞれの生薬の溶出液について、エタノールを回収し、濃縮・乾燥し、最後にそれぞれの生薬の抽出物粉末を得る。四種類の抽出物粉末を均一に混合して、任意の臨床に受け入れられる剤型を製造する。
本発明に係る薬物の製造方法は以下の方法であっても良い。
原薬を量り、淫羊カクおよび昆明山海棠をそれぞれ細かく刻み、枸杞子および菟絲子は原形または粉砕して、上記四つの生薬をそれぞれまたは併合して、0〜95%エタノールで10〜98℃において抽出し、連続して1〜4回繰り返す。抽出液をそれぞれまたは併合して、エタノールを回收した後、濃縮・乾燥し、粉砕して均一に混合または比率に従って均一に混合して、任意の臨床に受け入れられる剤型に製造する。
本発明に係る薬物は前記生薬の有効成分を持って製造しても良い。
前記原薬の中に、淫羊カクはイカリイン(Icariine)、イカリサイドI(Icariside I)、イカリサイドII(Icariside II)、およびエピネドサイドA(Epinedoside A)を含む。昆明山海棠にはジテルペン、トリテルペンおよびアルカロイド類化合物を含む。一方、菟絲子および枸杞子の主成分はフラボンである。
従って、本発明に係る薬物を製造するため、淫羊カクの代りにイカリイン、イカリサイドI、イカリサイドII、およびエピネドサイドAの中から1種類または1種類以上のものを使用することができる。また、昆明山海棠の代りに昆明山海棠中が含有するジテルペン、トリテルペンおよびアルカロイドを使用することができる。また、菟絲子および枸杞子の代りにそれらが含有するフラボンを使用することができる。
本発明に係る薬物(風湿平カプセル)についての薬効研究により、風湿平を経口投薬する場合には、ラットアジュバント関節炎(AA)においての原発性および続発性障害に対して顕著な抑制効果があることが証明された。また、2,4−ジニトロフルオロベンゼン(2, 4-dinitrofluorobenzene;DNFB)によって処理されたマウスの耳における遅延型過敏症反応(Delayed Type Hypersensitivity;DTH)を明らかに抑制すること、また、マウスにおいて、抗CRBC抗体(溶血素)の形成、マクロファージおよび脾臓細胞のIL-1、IL-2、IL-6およびTNFの活性を明らかに抑制することが証明された。風湿平はConA誘導の淋巴細胞の転化を顕著に抑制することが証明された。また、CD4およびCD8細胞をも抑制するが、CD4に対する作用が強く、CD4/CD8比率には影響しないことも証明された。風湿平の前記効果は全て明らかな用量−反応曲線関係を有しており、その最小有効量は12〜18(生薬)g/kgである。また、NK細胞に対しても風湿平の顕著な抑制作用が認められた。風湿平は有効量において、胸腺および脾臓などの免疫器官の萎縮を引き起こすことはなく、マクロファージの呑食能も抑制しない。
風湿平は炎症反応に対して顕著な抑制作用を有しており、酢酸によるマウス腹腔内の血管透過性亢進、マウス・クロトン油耳浮腫、マウス・カラゲニン胸膜炎、およびラット・CMC空気嚢中の白血球の遊走を抑制することができる。しかしながら、風湿平はラット・カラゲニン足蹠浮腫、およびラット・綿球による肉芽組織増殖に対する抑制作用は弱い。また、酢酸によるマウス捻転反応に対して明らかな抑制作用を有する。
(実験例1 アジュバンド(AA)に対する影響)
[1.1ラットのAAに対する予防作用]
同巣のSDラット72匹(体重180〜220g、雌雄均等)を無作為に6群に分ける。1群あたり12匹で、1ゲージあたり6匹になるようにケージ分けして飼育する。精密な狭幅メジャーで、ラットの左右の後足の足根関節及び足の最大周囲を測り、その値を正常値とする。異なる投与量の同容積の薬物或いは同容積のトラガカント(tragacanth)液を経口投与する。投与1時間後、各群のラットの左足底にフロインド完全アジュバンドを0.1ml/匹の量で皮内注射する。薬物を1日1回、連続30日間投与する。毎日前記方法により、ラットの左右の後足の足根関節及び足の周囲を測定する。予防作用の投薬実験では、測定日のラットの足の周囲から炎症反応前のラットの足の周囲を引いて得た差を浮腫率(Δcm)とする。結果は表1.1と表1.2に示している。実験終了時、各群の動物の体重および主要臓器の重量を測定する。結果は表1.3と表1.4に示している。
Figure 0004413013
Figure 0004413013
Figure 0004413013
Figure 0004413013
[1.2 AAラットに対する治療作用]
また、雄のSDラット50匹を無作為に5群に分けて、同じ方法で処理する。投薬は、フロインドアジュバント注射によって炎症を起こしてから13日目より開始する。1日1回、連続して二週間投与する。測定日の周囲から投薬開始日の周囲を引いて得た差を浮腫率(Δcm)とする。結果は表1.5および表1.6に示している。主要臓器の重量は表1.7に示している。
Figure 0004413013
Figure 0004413013
Figure 0004413013
表1.1、表1.2、表1.3及び表1.5、表1.6から判るように、風湿平はアジュバント関節炎(AA)ラットのアジュバント注射側の原発性関節障害およびその反対側の続発性関節障害に対して強い抑制作用を有し、起炎と同時に投与する場合または起炎2週間後に投与する場合のいずれも顕著な効果を示している。このことから、風湿平がアジュバント関節炎に対して顕著な予防および治療効果を有することが証明された。風湿平がラットの後肢の足根関節の特異的免疫性の浮腫とラットの足の非特異的浮腫に及ぶ影響から、風湿平の効果はラットの足根関節の浮腫に対する効果が強く、風湿平は主に免疫性炎症反応に作用することが証明された。
表1.3、表1.4及び表1.7から判るように、AAラットは全実験期間にわたり明らかな体重変化が見られなかったが、風湿平の有効用量においてはラットの体重増加が見られた。プレドニゾンの治療および予防群においては、いずれもラットの体重が減少し、胸腺および副腎皮質も明らかに萎縮した。単味の昆明山海棠群においても胸腺が萎縮したが、風湿平の三つの用量群においていずれも胸腺および副腎皮質の重量の明らかな変化が見られなかった。
[1.3 AAラットに対する治療作用の病理学的考察]
SDラット45匹(体重180±20g)を無作為に6群に分ける。フロインドアジュバントによってAAモデルを作成後、5日間連続して胃に強制投与する。最後の投薬後1時間後、ラットの関節指数を計測し、評価する。ラット続発性障害側の後肢関節を採り、ホルムアルデヒドで固定し、ヘマトキシリン・エオジン(HE)染色し、顕微鏡下で関節滑膜および軟骨の変化を観察する。各群のラットの関節指数の結果は表1.8に示している。
Figure 0004413013
関節指数はラットの各関節の赤腫程度によって0〜4点に評価し、四肢の点数の和を関節指数とする。四肢および関節の評価基準は、0点=正常、1点=赤いだけ,2点=赤いかつ軽く腫れる,3点=ひどく腫れる、4点=関節変形または硬直、である。
顕微鏡下で観察すると、モデル群のラットの後肢関節の滑膜層が異常増殖し、膠原線維が増え、リンパ球および形質細胞が浸潤し、明らかな肉芽腫を形成した。また、滑膜細胞が変性し、細胞質が赤く染まり、細胞核が濃縮し、一部の区域において滑膜上皮が脱落した。また、軟骨が萎縮し、表面がでこぼこで、軟骨細胞に軽度な異常増殖が見られた。各用量の風湿平を投与し治療した群は、関節の滑膜組織の炎症反応が軽くなり、膠原線維が比較的に多く形成した。滑膜細胞が一部脱落した。また、軟骨の表層細胞が異常増殖し、表面が滑らかになり、軟骨が修復状態にあった。
コントロール群のラットは、滑膜層が異常増殖し、膠原線維が増え、リンパ球および形質細胞が浸潤し、明らかな肉芽腫を形成した。また、滑膜細胞が変性し、細胞質が赤く染まり、細胞核が濃縮し、一部の区域において滑膜上皮が脱落した。風湿平治療群は、関節の滑膜組織の炎症反応が軽くなり、膠原線維が比較的に多く形成し、滑膜細胞が一部脱落した。また、軟骨の表層細胞が異常増殖し、表面が滑らかになり、軟骨が修復状態にあった。
(実験例2 2,4-ジニトロフルオロベンゼン(DNFB)によるマウスの耳の遅延型過敏症反応(DTH)に対する影響)
NIHマウスを50匹、雌雄均等、無作為に五群に分ける。マウスの腹部剃毛部分に1%のDNFBアセトン溶液を0.025ml/匹で感作して、隔日に一回に同じ方法で強化する。感作から5日目にマウスの右耳に1%のDNFBの食用油溶液(0.01ml/匹)を塗布し、二次免疫を行う。24時間後、マウスを屠殺する。ねじり秤で左右の耳の重さを測り、その重量差(mg)をマウスのDTH反応の強度とする。実験は異なる免疫、投薬プロセスで行われる。
[2.1 全期間投薬によるDTHに対する影響]
免疫および投薬のプロセスは以下の通りである。
Figure 0004413013
Figure 0004413013
表2.1から判るように、風湿平はDNFBによるマウスのDTHに対して著しい抑制作用がある。その抑制作用は明らかな用量反応相関性があり、用量の増大に伴い効果も増強する。60.9g/kgの用量でDTHに対する抑制率は69.5%となる。
[2.2 異なる投薬期間によるマウスのDTHに対する影響]
免疫および投薬のプロセス及び結果は表2.1の中欄および下欄の通りである。表の中欄から、感作2日間前から感作当日まで、感作の2日間前から感作2日間後まで、感作2日間前から感作5日間後まで、および攻撃の前後に薬を投与する場合、いずれもマウスのDTHに対して顕著な抑制効果が見られる。特に、感作前から感作後までの全期間の投薬、即ち感作2日間前から感作5日間後までの投薬において抑制効果がもっとも強い。このことから、風湿平がDTHに対する抑制作用の作用機序が、DTH反応の早期に関与する細胞、DTH反応の後期に関与する炎症反応細胞及び中期に関与する細胞の抑制に関与することを示唆した。これはシクロホスファミドとは異なる作用機序である。シクロホスファミドは、感作2日間前から感作当日まで或いは感作の2日間後までに低用量で投与する場合、DTH反応に対する影響はなかった。
表2.1から判るように、感作3日間前に一回、高用量のシクロホスファミドを投与したところ、Ts細胞に対する強い抑制のため、Th細胞の機能が相対的に亢進して、マウスDTH反応に対して抑制するどころか、むしろ増強させた結果となった。この場合、DTH反応に対して顕著な抑制効果を有する風湿平と併用すると、風湿平の抑制効果が相屠殺される。このことから、風湿平のDTH反応に対する抑制作用の作用機序はシクロホスファミドのそれと異なることを示唆し、風湿平はTh細胞に対する抑制作用が比較的に敏感である可能性がある。
(実験例3 体液性免疫に対する影響)
[3.1 ニワトリ赤血球(CRBC)によって免疫した正常マウスの抗CRBC抗体(溶血素)の生成に対する影響]
マウス(体重18〜22g、雌雄均等)を190匹無作為に19群に分ける。各群のマウスに0.2mlの5%CRBCを腹腔内注射(ip)し、免疫する。免疫7日間後、眼球を摘出し血液を採る。血液を生理食塩水で希釈してから、風湿平の各群のマウスの溶血素の形成に対する影響を評価する。免疫の異なる時点より風湿平の経口投与を開始させる。結果は表3.1、表3.2および表3.3に示している。
Figure 0004413013
Figure 0004413013
Figure 0004413013
上記の三つの表から判るように、風湿平は異なる種類のマウスの溶血素の形成に対していずれも顕著な抑制効果を示しており、その効果は用量の増大につれ増強する。即ち、良好な用量反応関係を有する。抑制効果のある最低用量は12g/kgであり、風湿平の主成分である昆明山海棠と比べて、抗体の形成に対する抑制効果が明らかに強い。表3.1から、風湿平の作用効果は昆明山海棠のそれの2.25倍である。(13.5g/kgの昆明山海棠の作用効果は6g/kgの昆明山海棠を含む風湿平のそれにに比べて弱かった。)
[3.2 AAマウスの体液性免疫に対する影響]
NIHマウス(体重20±2g)の右足背にフロインド完全アジュバンドを0.05ml/匹で注射し、3週間後AAモデルができる。無作為に6群に分け、それぞれに異なる薬物を5日間投与した。投薬と同時に10%のヒツジ赤血球(SRBC)0.5mlを腹腔内注射(ip)し、感作させ、感作5日間後に、屠殺した。脾臓を採り、Hank's液で洗浄してからリンパ球懸濁液を作製した。細胞の濃度を2×107/mlになるよう調整し、1mlの懸濁液を試験管に取り、lmlの0.2%SRBCおよび1mlの1:30の補体を加えて、37℃の水浴内において1時間培養する。2000rpmで5分間遠心し、上清をとり、722型分光光度計を用いて、415nmでの光学密度を測定した。この値がPFCを表す。
一方、上記の感作マウスから採血し、血清を分離する。血清凝集反応によってその抗体力価を測定し、Log2値をもって表示する。結果は表3.4に示している。
Figure 0004413013
表3.4から判るように、AAマウスは正常のマウスに比べて、PFCおよびIgMが著しく高く、風湿平はAAマウス脾臓のプラク形成細胞(PFC)及び抗体(IgM)の形成を著しく抑制することを示唆した。
(実験例4 ラットの受身皮膚アレルギー反応(PCA)に対する影響)
ラットに卵白アルブミンを10mg/kgで筋肉注射し、同時に腹腔内に百日咳菌を2×1010/0.2mlで注射して免疫させる。免疫から2週間後に屠殺し、血清を分離する。
一方、ラット(体重150〜200g、雌雄均等)を60匹無作為に6群に分ける。エーテルで軽く麻酔下で、背中の剃毛部位に0.1mlの抗卵白アルブミン血清(1:5 (d1)または1:10(d2)に希釈)を注射する。それぞれの濃度は2ポイントずつである。48時間後、1mlの0.5%Evans Blueを含む生理食塩水を(1mg卵白アルブミンを含む)静脈注射(iv)して攻撃する。20分後断頭致死して背中の皮膚を裏返して、多数の人によって、青斑の色と面積、染料滲出量によって青斑レベルを評価する。その後、青染の皮膚を細かく切り、5m1の0.1%硫酸ナトリウム・アセトン(7:3)液に浸する。48時間後、遠心し、上清を取る。波長590nmでの光学密度を測定し、各群のラットのPCA反応及び抑制率を計算する。結果は表4に示している。
Figure 0004413013
表4から判るように、風湿平はラットPCAに対する抑制効果は弱く、高用量の場合のみ、コントロール群に比べて顕著な差がある。
(実験例5 サイトカインに対する影響)
[5.1 マウスのTNFαおよびIL-2に対する影響]
ICRマウス60匹(体重18〜22g、雌雄均等)を無作為に6群に分ける。各群のマウスに異なる用量の風湿平または他の薬を1日1回、10日間連続して経口投与する。最後の投薬の24時間後、無菌条件下でマウスの腹腔のマクロファージまたは脾細胞を採取し、Hank's液で2回、無血清RPMI 1640培養液で1回洗浄し、5%FCS-RPMI 1640培養液で2×108cell/mlの懸濁液を調製する。その後、それぞれ10ng/mlのLPSまたはl0ng/mlのConAを加えて、37℃、5%CO2の条件下で48時間培養し、TNFαまたはIL-2を測定する。
TNFαの測定:
プレートをマウス抗TNFα単クローン抗体によってコーティングし、室温に戻し、培養上清を50μl/穴に加える。60分間後、ビオチン標識抗体を加えて、25℃、2時間置く。その後、酵素標識抗体を加えて、30分間後さらに基質を加えて、さらに30分間後、反応停止液を加える。450nmの波長でOD値を測定する。OD値の標準曲線によってTNFαの含量(ng/ml)を計算する。
IL-2の測定:
対数増殖期にあるIL-2依存性のCTLL細胞を5%FCS-RPMI 1640培養液で1×108cell/mlの懸濁液を調製する。96穴の平底プレートにCTLL細胞懸濁液を100μl/穴、培養上清を100μl/穴加える。各サンプルを3穴ずつ加え、同時に異なる希釈度のrHIL-2標準品溶液を作製して、サンプルの培養液と比較する。37℃、5%CO2条件下で24時間培養する。培養を中止する6時間前に遠心し、上清を110μl/穴ずつ除去し、10μl/穴のMTTを加え、37℃、3時間培養する。その後、OD 570nmおよびOD 630nmを測定し、それぞれのサンプルのOD値は(OD 570nm−OD 630nm)とする。
Figure 0004413013
Figure 0004413013
表5.1から判るように、風湿平はTNFαに対して顕著な抑制効果があり、12g/kgで明らかな抑制効果を示している。用量が大きくなるにつれ効果も増大するが、その用量反応曲線は緩やかである。また、風湿平はIL-2に対しても顕著な抑制効果があるが、用量反応相応関係が明らかでない。
[5.2 IL-1およびIL-6に対する影響]
NIHマウス70匹(体重18〜22g、雌雄均等)を無作為に7群に分ける。各群のマウスに異なる用量の風湿平または他の薬を1日1回、10日間連続して経口投与する。最後の投薬の24時間後に屠殺し、上記の方法によってマクロファージまたは脾細胞を採取し、IL-1およびIL-6を測定する。
IL-1の測定:
無菌条件下でマウス腹腔のマクロファージを採取し、Hank's液で2回、無血清RPMI 1640培養液で1回洗浄し、5%FCS-RPMI 1640培養液で4×106cell/mlの懸濁液を調製する。細胞懸濁液1mlを試験管に取り、37℃、5%CO2の条件下で1時間培養する。吸着しない細胞を除去し、5%FCS-RPMI 1640およびLPS(10ng/ml)を加えて、37℃、5%CO2条件下で72時間培養する。凍結と融解を繰り返し、4℃で保存する。一方、無菌条件下でC57マウスの胸腺細胞を採取し、5%FCS-RPMI 1640液で1×106cell/mlの懸濁液を作製する。
胸腺細胞懸濁液及び凍結融解の上清を100μlずつ96穴の平底プレートに加える。各サンプルは3穴ずつ加え、同時に異なる希釈度のrHIL-1標準品溶液も作製し、サンプルの培養液と比較する。その後、ConAを2ng//穴加えて、37℃、5%CO2の条件下で72時間培養する。培養を中止する14時間前に3H-TdRを0.1μCi//穴加える。ピペットで細胞を回収し、cpm値を測定する。
Figure 0004413013
IL-6の測定:
無菌条件下でマウスの脾細胞を採取し、Hank's液で2回、無血清RPMI 1640培養液で1回洗浄し、5%FC-RPMI 1640培養液で2×106cell/mlの懸濁液を調製する。細胞懸濁液1mlを試験管に取り、さらにConA(10ng/ml)を加えて、37℃、5%CO2の条件下で72時間培養する。
対数増殖期にあるIL-6依存性のMH60細胞を5%FC-RPMI 1640培養液で1×105/mlの細胞懸濁液を作る。
96穴の平底プレートにMH60細胞懸濁液を100μl/穴、上記の培養上清を25μl/穴加えて、さらに5%FCS-RPMI 1640を200μl/穴になるよう添加する。各サンプルは3穴ずつ加え、同時に異なる希釈度のrHIL-6標準品溶液も作製し、サンプルの培養液と比較する。37℃、5%CO2条件で72時間培養する。培養を中止する6時間前に遠心し、上清を110μl/穴ずつ除去し、10μl/穴のMTTを加え、37℃、3時間培養する。OD 570nmおよびOD 630nmを測定し、それぞれのサンプルのOD値は(OD 570nm−OD 630nm)とする。
Figure 0004413013
Figure 0004413013
表から判るように、風湿平はマウス腹腔マクロファージのIL-1およびIL-6の産生に対して顕著な抑制効果を示し、かつ投与量の増大につれ作用効果が増強する。
[5.3 アジュバンド関節炎ラットの血漿NOに対する影響]
SDラット60匹(体重160〜200g、雌雄均等)を無作為に6群に分ける。コントロール群については、ラットの右後足の足背にNS 0.5mlを注射する。モデル群、風湿平の高、中、低用量群、およびトリプトライド群については、ラットの右後足の足背にフロインド完全アジュバンド(FCA)を注射する。モデル作製18日後から薬物の経口投与を開始する。1日1回、連続して5日間投与するが、コントロールおよびモデル群には蒸留水を投与する。風湿平の高、中、低用量群はには高、中、低用量の風湿平を投与し、トリプトライド群にはトリプトライドを投与する。最終投薬から1時間後に腹大動脈から採血し、血漿を分離して−70℃で保存する。NOの測定はNO測定ユニットの説明書通りに行う:0.1mlの血漿に0.6ml試薬Cを加えて均一に混合し、蒸留水0.4mlを加えて均一に混合し、さらに試薬D 0.1mlを加えて均一に混合する。氷浴の上に60 min置き、12000rpmで2分間遠心する。上清0.6mlを取って0.4mlの蒸留水と0.1ml試薬Aを加えて、氷水の上で15min置く。0.1ml試薬Bを加えて、室温に1時間置く。545nmのOD値を測定する。標準曲線を従って、サンプルのOD値の対応するNOの含量を計算する。結果は表5.3に示している。
Figure 0004413013
表5.3から判るように、モデル群のラットの血漿NOレベルはコントロールのそれに比べて顕著に高いことが判明した。風湿平はAAラットの血漿NOレベルを顕著に低下できるが、トリプトライドもAAラットの血漿NOレベルを低下できるが、その作用効果は弱い。
(実験例6 マウスのリンパ球に与えるCD4、CD8及びNK細胞の影響)
[6.1 正常マウスのリンパ球の転化に対する影響]
NIHマウス80匹(雌雄均等)を無作為に8群に分け、それぞれ違う薬物を、1日1回、連続して10日間投与する。最終投薬から24時間後マウスを屠殺して、無菌条件下でマウスの脾臓細胞を採取し、Hank's液で2回、無血清RPMI 1640で1回洗浄し、5%FCS-RP-MI 1640を加えて、2×106cell/mlになるよう細胞懸濁液を調製する。細胞懸濁液を96穴の平底プレートに100μl/穴加えて、各サンプルを3穴ずつ加え、その中の2穴に刺激物質(ConA 2ng/穴)を加え、転化穴とし、残り1穴には刺激物質を加えず、コントロール穴とする。プレートを37℃、5%CO2条件下で72時間培養する。培養を中止する14時間前に3H-TdRを0.1μCi/穴加える。ピペットで細胞を収集し、cpm値を測定し、複数穴の平均値を計算する。直接に各群のcpmまたは刺激指数を比較する。刺激指数の計算式は次の通りである。
Figure 0004413013
Figure 0004413013
表6.1から判るように、風湿平はConAの刺激によるマウスリンパ球の転化に対して顕著な抑制効果を示し、かつある程度の用量反応相応関係を有する。
[6.2 正常マウスのCD4、CD8およびNK細胞に対する影響]
実験方法は5.1と同様である。停薬して24時間後5%FCS-RPMI l640を用い、細胞濃度を2×108/mlになるようにマウスの脾臓細胞懸濁液を調整する。下記の方法に従い、CD4、CD8、CD4/CD8およびNK細胞数を測定する。
CD4およびCD8の測定:
マウスの脾臓細胞懸濁液を50μl取り、ポリリシンのコーティングしたスライド・グラスに塗抹した。ナイロンウールカラム法による分離したマウスT細胞は陽性コントロールとする。細胞をアセトンで固定し、正常マウス血清でブロッキングし、ヒトビオチン標識した抗CD4、CD8抗体を加えて37℃、2時間培養する。酵素標識した二次抗体を加え、室温で10分間置き、基質を加え、さらに10分間置く。洗浄し、2分間ヘマトキシリン・エオジン染色し、異なる濃度のエタノールによって脱水する。グリセリンで封入し、高倍率顕微鏡下で200個の細胞を数える。
Figure 0004413013
NK細胞の測定:
EC細胞の作製:無菌条件下でマウスの脾臓細胞を採取し、Hank's液で2回、無血清RPMI 1640で1回洗浄し、5%FCS-RP-MI 1640を加え、2×108cell/mlになるように細胞懸濁液を調製し、これをEC細胞とする。
TC細胞の作製:マウスNK細胞に敏感な対数増殖期にあるYack-1細胞を4×104cell/mlになるように細胞懸濁液を調製し、これをTC細胞とする。
測定:
96穴の平底プレートにECおよびTCを100μlずつ加え、各サンプルは3穴ずつ試験する。同時にEC細胞(EC 100μl+5%FCS RPMI 1640 100μl)およびTCコントロール(TC 100μl+5%FCS RPMl 1640 100μl)を用意する。37℃、5%CO2の条件下で24時間培養する。培養停止6時間前に遠心し、上清を110μl/穴除去し、MTTを10μl/穴加え、37℃、3時間培養する。その後、OD 570nmおよびOD 630nmを測定し、それぞれのサンプルのOD値を(OD 570nm−OD 630nm)とする。
Figure 0004413013
Figure 0004413013
表6.2から判るように、風湿平はCD4およびCD8のいずれに対しても一定の抑制効果があり、ある程度の用量反応相応関係を有するが、用量反応曲線は緩やかである。CD4に対する抑制効果の有効用量は24g/kgであるが、CD8に対する有効用量は36g/kgと高かった。したがって、風湿平はCD4/CD8に対して明らかな影響はない。一方、シクロホスファミドはCD4およびCD8のいずれに対しても顕著な抑制効果を示し、特にCD8に対する効果は高かった。これによって、CD4/CD8が増加する結果となった。
NK細胞に対しても、風湿平が顕著な抑制効果を示しているが、用量反応相応関係が明らかではない。一方、シクロホスファミドはNK細胞に対して極めて強い抑制効果を示し、20mg/kgの用量で風湿平の12、24、36g/kg用量のいずれに比べても、顕著な差異を有する。
[6.3 AAマウスのリンパ球数および機能に対する影響]
NIHのマウス(体重20±2g)の右後足の足背にFreund's完全アジュバンドを0.05ml注射する。3週後AAモデルが完成する。陰性コントロールのマウスの右後足の足背に生理食塩水を0.05ml注射する。1日1回、連続して5日間経口投与する。5日後、各群マウスの末梢血液を採取し、スライド・グラスに塗抹し、エステラーゼ染色法で染色する。顕微鏡の油浸レンズ下で着色した陽性細胞のパーセンテージ(即ち末梢血液中のT細胞のパーセンテージ)を観察する。マウスを麻酔したのち、脾臓を摘出し、単細胞懸濁液を調製し、PBSで1回洗浄し、上清を除去し、赤血球溶解液を4 ml加え、2〜3分間充分に振動し、赤血球が全部溶解したのち、遠心し、上清を除去する。蛍光性洗浄液で2回洗浄し、遠心し、上清を除去したのち、細胞濃度を1×106 cell/mlになるように調節する。各サンプルにそれぞれ希釈した抗CD4抗体、抗CD8抗体を50μl加え、4℃で1時間培養したのち、蛍光性洗浄液で2回洗浄し、固定液を2 ml加える。400メッシュのフィルターでFCAチューブにろ過しろ過し、フローサイトメーター(FCM)により分析する。結果は表6.3に示している。
Figure 0004413013
表6.3から判るように、各群においてANAE陽性細胞は明らかな差異はないが、AAマウスのCD4細胞は明らかに増加し、CD8細胞は明らかに減少し、CD4/CD8は明らかに高くなった。一方、風湿平はCD4、CD8およびCD4/CD8の異常を正常に回復することができる。
(実験例7 マウスの腹腔のマクロファージの機能に対する影響)
NIHマウス50匹(体重18〜22g、雌雄均等)を無作為に5群に分け、異なる投与量の同容積の薬物を、1日1回、連続して1週間を経口投与する。最終投与1時間後、マウスの腹腔に10%のニワトリ赤血球を0.2ml注射し、4時間後マウスを屠殺する。腹腔液を採取し、スライド・ガラスに滴下し、顕微鏡下においてCRBCを呑食したマクロファージの数及びマクロファージあたり呑食したCRBC数を数える。結果は表7に示している。
Figure 0004413013
表7から判るように、風湿平の27、40.5及び60.9g/kgの投与量において、いずれもマウス腹腔マクロファージの呑食能に影響しない。
(実験例8 マウスの毛細血管透過性の亢進に対する影響)
NIHマウス90匹(体重18〜22g、雌雄均等)を無作為に9群に分けて、異なる投与量の同容積の薬物、1回または1日1回、連続して3日間経口投与する。最終投与1時間後、マウスの腹腔に0.7%HAC の生理食塩水溶液を注射し、同時に0.5% Evans Blue生理食塩水溶液を0.1ml/10g静脈注射する。30分間後、マウスを頚椎脱臼法によって致死させ、腹腔を開く。腹腔を5ml/匹の生理食塩水で数回分けて洗浄し、洗浄液を合併し、8ml/匹になるように生理食塩水を加える。3000rpmで遠心し、上清を590nmのODを測定する。結果は表8に示している。
Figure 0004413013
表8から判るように、風湿平は酢酸によるマウス毛細血管透過性の亢進に対して、1回投与する場合には効果が見られないが、3日連続投与する場合には顕著な抑制効果を示している。
(実験例9 マウス・カラゲニン胸膜炎における滲出および炎症細胞の遊走に対する影響)
マウスを無作為に分け、尾静脈内に0.5%Evans Blue生理食塩水溶液を0.1ml/10g体重で注射する。マウスをエーテルで軽く麻酔し、特殊な針を用いマウス右胸腔に1%カラゲニンを0.03ml/匹注射する。4時間後または32時間後にマウスを断頭致死させる。腹部を開き、横隔膜を露出させ、1ml注射器を用い2回を分けて胸腔内に2mlの洗浄液を注射し、洗浄液を試験管に収集する。20μlの前述洗浄液を400μlの白血球希釈液に加え、顕微鏡下で白血球を数える。残液を3000rpmで10分間遠心し、波長600nmで上清の光学密度を測定する。胸腔洗浄液の原液を0として数値を校正する。結果は表9に示している。
Figure 0004413013
表9から判るように、風湿平はマウス胸膜炎における白血球遊走に対して顕著な抑制効果を示し、特に早期の遊走に対しる作用は特に強い。4hの時点において回帰方程式はy=44.13−2.01x,r=−0.9625である。一方、晩期の遊走に対する効果は弱く、20g/kgの投与量で初めて顕著な効果が現れるが、胸膜炎の滲出に対しては明らかな影響はない。
(実験例10 ラット・CMC空気嚢中の白血球の遊走に対する影響)
SDラット64匹(体重150〜180g、雌雄均等)を無作為に8群に分ける。異なる用量の同容積の薬物を、1回または1日1回、連続して3日間経口投与する。実験前日にあらかじめラットの背部に20mlの空気を注射し空気嚢を作り、さらに空気嚢内に20mlの1%CMC溶液を注入する。3.5hおよび7.5hの時点に空気嚢中の液体を0.1ml吸い出し、0.01%ブリリアント・ブルーのPBS溶液に加え、染色する。顕微鏡下でCMC空気嚢中の白血球を数える。結果は表10に示している。
Figure 0004413013
表10から判るように、風湿平はラットCMC空気嚢中の白血球の遊走に対して顕著な抑制効果があり、明らかな用量反応相応関係を有し、また、投薬期間の延長につれ効果が増強する。連続して7日間投与した場合、投与量が18g/kgでも極めて顕著な白血球遊走抑制効果を示した。一方、空気嚢内へのコルチゾンの注射も強い抑制効果を有する。
(実験例11 マウス・クロトン油耳浮腫に対する影響)
NIHマウス60匹(体重18〜22g、雌雄均等)を無作為に6群に分ける。異なる投与量の同容積の薬物または同容積のトラガカントを、1日1回、連続して3日間経口投与する。最終投与1時間後、マウスの左耳の耳介の両側に0.02mlの2%クロトン油を塗布し、4時間後、頚椎脱臼法によって致死させる。左右の耳を切取り、致炎させた耳およびコントロールの耳の重量をそれぞれ計り、左右の耳の重量差(mg)を耳の浮腫率とする。結果は表11に示している。
Figure 0004413013
表11から判るように、風湿平はマウス・クロトン油耳浮腫に対して顕著な抑制効果があり、用量反応相応関係を有するが、用量−反応曲線は緩やかである。13.5g/kgで顕著な抑制効果を示している。
(実験例12 酢酸によるマウスの捻転反応に対する影響)
昆明種のマウス60匹(体重18〜22g、雌雄均等)無作為に6群に分ける。異なる投与量の薬物またはトラガカントを経口投与する。投与1時間後、マウスの腹腔に0.7%HAC生理食塩水溶液を0.2ml注射したのち、マウスをガラス容器に入れ、捻転反応が起こるまでの潜伏期間および20分間内の捻転反応回数を観察する。結果は表12に示している。
Figure 0004413013
表12から判るように、風湿平は比較的に高用量において酢酸によるマウスの捻転反応が起こるまでの時間を延長させることができ、20分間内の捻転反応回数を明らかに減少させた。風湿平は一定の鎮痛効果があることを示唆した。
(実験例13 AAラットのヘモレオロジーに対する影響)
SDラット(体重180±20g)の右後足の足背にFreund's完全アジュバンドを0.05ml皮下注射して、AAのモデルを作製する。陰性コントロールラットの右後足の足背に生理食塩水を0.05ml皮下注射する。モデル作製3週間後に、モデル群、風湿平の高、中、低用量群、陰性コントロール群、および陽性コントロール群に分け、陽性コントロールにはトリプトライドを投与する。1日1回、連続して5日間経口投与する。最終投与1時間後、ラットの腹大動脈から3ml採血し、血液擬固防止剤の1%ヘパリン入りの試験管に加え、NXE-1型円錐平板粘度計を用い、ずり速度230 S-1、115 S-1、46 S-1、23 S-1、11.5 S-1及び5.75 S-1において全血粘度を測定する。調節可能な恒圧WTP-BII型毛管粘度計を用いて血漿粘度を測定する。遠心法によって血中赤血球容積を測定し、赤血球集合能および赤血球変形能は上記の結果によって計算する。結果は表13に示している。
Figure 0004413013
表13から判るように、AAラットのヘモレオロジーには顕著な変化を示した。全血粘度および血漿粘度が増大し、血中赤血球容積が減少し、赤血球集合能および赤血球変形能が向上したことから、風湿平は前記ヘモレオロジー指標を明らかに改善することができると考えられる。
以上の実験によって、風湿平の薬理効果を検討したが、風湿平の多く重要な薬理作用は良い用量―反応相応関係を有することが証明された。臨床において投与量を調節することによって、より良い治療効果を得ることが可能であることを示唆した。
また、風湿平の臨床試験は中国、日本およびオーストリアで行われた。疾病の診断、治療および治療効果に関する国際的基準に基づき、風湿平カプセルを単独投与する場合に、RAに対する有効率は約94%であり、顕著有効率は約60%であり、朝のこわばり、腫痛などの症状およびRA指標に対して比較的に迅速に改善できることが判明した。その結果は表14〜21に示している。
Figure 0004413013
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顕著な治療効果をもたらすと同時に、風湿平は患者の血清SIL−2R、STNFおよびSIL−6Rなどの指標を低下させることができる。結果は表21に示している。
本発明の後述の実施例のいずれも前記本発明の効果を実現できることが検証された。
(実施例1)
淫羊カク 2222g
昆明山海棠 2222g
枸杞子 1111g
莵糸子 1111g
上記4種類の生薬について、昆明山海棠を細かく切り、それぞれ13倍、10倍、10倍の水で1hr/回で3回抽出する。淫羊カクを短く切断し、それぞれ15倍、10倍、10倍の水で1hr/回で3回抽出する。枸杞子を粗く粉碎して、20倍の80℃の温水浴に1時間浸出する。菟絲子を粗く粉碎して、31倍の80℃の温水に1時間浸出する。それぞれの生薬の水煎液または浸出液をろ過し、樹脂カラムに吸着させ、70%のエタノールで溶出する。溶出液の色が明らかに濃くなったら溶出液の収集を開始し、さらに色が極めて薄くなったら溶出を終了する。それぞれの生薬の溶出液について、エタノールを回収し、濃縮・乾燥し、それぞれの生薬の抽出物粉末を得る。総量が200gになるよう前記4種類の抽出物粉末に澱粉を加え均一に混合し、1000粒のカプセルに充填する。本発明の方法によって作成したカプセルは抽出物粉末0.2g/カプセルを含有し、かつ、少なくともイカリインC33H40O15を2.0mg/カプセル含有する。通常の用法用量は、1日3回、1回3粒である。
(実施例2)
昆明山海棠 2000g
淫羊カク 2000g
上記2種類の生薬について、昆明山海棠を細かく切り、それぞれ13倍、10倍、10倍の水で1hr/回で3回抽出する。淫羊カクを短く切断し、それぞれ15倍、10倍、10倍の水で1hr/回で3回抽出する。それぞれの生薬の水煎液または浸出液をろ過し、樹脂カラムに吸着させ、70%のエタノールで溶出する。溶出液の色が明らかに濃くなったら溶出液の収集を開始し、さらに色が極めて薄くなったら溶出を終了する。それぞれの生薬の溶出液について、エタノールを回収し、濃縮・乾燥し、それぞれの生薬の抽出物粉末を得る。前記抽出物粉末に澱粉を添加し、均一に混合し、1000粒のカプセルに充填する。本発明の方法によって作成したカプセルは抽出物粉末0.2g/カプセルを含有し、かつ、少なくともイカリインC33H40O15を2.0mg/カプセル含有する。通常の用法用量は、1日3回、1回3粒である。
(実施例3)
昆明山海棠 2000g
淫羊カク 2000g
枸杞子 1000g
昆明山海棠を細かく切り、それぞれ13倍、10倍、10倍の水で1hr/回で3回抽出する。淫羊カクを短く切断し、それぞれ15倍、10倍、10倍の水で1hr/回で3回抽出する。枸杞子を粗く粉碎して、20倍の80℃の温水浴に1時間浸出する。それぞれの生薬の水煎液または浸出液をろ過し、樹脂カラムに吸着させ、70%のエタノールで溶出する。溶出液の色が明らかに濃くなったら溶出液の収集を開始し、さらに色が極めて薄くなったら溶出を終了する。それぞれの生薬の溶出液について、エタノールを回収し、濃縮・乾燥し、それぞれの生薬の抽出物粉末を得る。前記抽出物粉末に澱粉を添加し、均一に混合し、1000粒のカプセルに充填する。本発明の方法によって作成したカプセルは抽出物粉末0.2g/カプセルを含有し、かつ、少なくともイカリインC33H40O15を2.0mg/カプセル含有する。通常の用法用量は、1日3回、1回3粒である。
(実施例4)
淫羊カク 2000g
昆明山海棠 2000g
莵糸子 1000g
昆明山海棠を細かく切り、それぞれ13倍、10倍、10倍の水で1hr/回で3回抽出する。淫羊カクを短く切断し、それぞれ15倍、10倍、10倍の水で1hr/回で3回抽出する。菟絲子を粗く粉碎して、31倍の80℃の温水に1時間浸出する。それぞれの生薬の水煎液または浸出液をろ過し、樹脂カラムに吸着させ、70%のエタノールで溶出する。溶出液の色が明らかに濃くなったら溶出液の収集を開始し、さらに色が極めて薄くなったら溶出を終了する。それぞれの生薬の溶出液について、エタノールを回収し、濃縮・乾燥し、それぞれの生薬の抽出物粉末を得る。前記抽出物粉末に澱粉を加え均一に混合し、1000粒のカプセルに充填する。本発明の方法によって作成したカプセルは抽出物粉末0.2g/カプセルを含有し、かつ、少なくともイカリインC33H40O15を2.0mg/カプセル含有する。通常の用法用量は、1日3回、1回3粒である。
(実施例5)
昆明山海棠 2000g
莵糸子 1000g
昆明山海棠を細かく切り、それぞれ13倍、10倍、10倍の水で1hr/回で3回抽出する。菟絲子を粗く粉碎して、31倍の80℃の温水に1時間浸出する。それぞれの生薬の水煎液または浸出液をろ過し、樹脂カラムに吸着させ、70%のエタノールで溶出する。溶出液の色が明らかに濃くなったら溶出液の収集を開始し、さらに色が極めて薄くなったら溶出を終了する。それぞれの生薬の溶出液について、エタノールを回収し、濃縮・乾燥し、それぞれの生薬の抽出物粉末を得る。前記抽出物粉末に澱粉を加え均一に混合し、1000粒のカプセルに充填する。本発明の方法によって作成したカプセルの1日あたりの服用量は生薬30gに相当する。
(実施例6)
昆明山海棠 2000g
枸杞子 1000g
昆明山海棠を細かく切り、それぞれ13倍、10倍、10倍の水で1hr/回で3回抽出する。枸杞子を粗く粉碎して、20倍の80℃の温水浴に1時間浸出する。それぞれの生薬の水煎液または浸出液をろ過し、樹脂カラムに吸着させ、70%のエタノールで溶出する。溶出液の色が明らかに濃くなったら溶出液の収集を開始し、さらに色が極めて薄くなったら溶出を終了する。それぞれの生薬の溶出液について、エタノールを回収し、濃縮・乾燥し、それぞれの生薬の抽出物粉末を得る。前記抽出物粉末に澱粉を添加し、均一に混合し、1000粒のカプセルに充填する。本発明の方法によって作成したカプセルの1日あたりの服用量は生薬30gに相当する。

Claims (6)

  1. 昆明山海棠、淫羊カク、枸杞子および莵糸子が1〜4:1〜4:1〜4:1〜4(重量比)の比率で配合したものである原薬より製造されることを特徴とする抗リュウマチ製剤。
  2. 前記原薬は、昆明山海棠、淫羊カク、枸杞子および莵糸子が2:2:1:1(重量比)の比率で配合したものであることを特徴とする請求項1に記載の製剤。
  3. 製剤の製造方法であって、
    原薬を量り、淫羊カクおよび昆明山海棠をそれぞれ細かく刻み、枸杞子および菟絲子は原形または粉砕すること、
    上記四つの生薬をそれぞれまたは併合して、0〜95%エタノールで10〜98℃において抽出し、連続して1〜4回繰り返すこと、
    抽出液をそれぞれまたは併合して、エタノールを回收したのち、濃縮・乾燥し、粉砕して均一に混合または比率に従って均一に混合して、任意の臨床に受け入れられる剤型に製造すること
    からなる製造工程、または、
    原薬を量り、昆明山海棠および淫羊カクを細かく切り、それぞれ水を加えて3回煎じ、枸杞子または菟絲子はそれぞれ80〜95℃の温水浴に1〜3回浸出すること、
    それぞれの生薬の煎じ液または浸出液を併合し、併合液をそれぞれ樹脂カラムに吸着させたること、
    フラッシング液が透明になるまで水でカラムを洗浄し、その後30%〜99.5%のエタノールで溶出すること、
    溶出液の色が濃くなったら溶出液の収集を開始し、さらに色が極めて薄くなったら水でカラム内のエタノール液を押し出し、溶出液と併合させること、
    溶出液の総量は原生薬の重量の約1〜8倍であり、それぞれの生薬の溶出液を回収し、比重が1.10になるまで濃縮すること、
    それぞれまたは併合して噴霧幹燥により各生薬の乾燥抽出物を取得し、それぞれの抽出物を比率に従って均一に混合し、任意の臨床に受け入れられる剤型に製造すること
    からなる製造工程を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の製剤の製造方法。
  4. 請求項1または2に記載の製剤の製造方法であって、前記方法によって、ハードカプセル、ソフトカプセル、錠剤、顆粒剤および注射剤を含む任意の臨床に受け入れられる剤型に製造することを特徴とする製造方法。
  5. 製剤の製造方法であって、
    昆明山海棠を細かく切り、それぞれ13倍、10倍、10倍の水で1hr/回で3回抽出すること、
    淫羊カクを短く切断し、それぞれ15倍、10倍、10倍の水で1hr/回で3回抽出すること、
    枸杞子を粗く粉碎して、20倍の80℃の温水浴に1時間浸出すること、
    菟絲子を粗く粉碎して、31倍の80℃の温水浴に1時間浸出すること、
    四つの生薬の水煎液または浸出液をそれぞれろ過し、WLD型またはD101型または他の型の樹脂カラムに吸着させ、70%のエタノールで溶出すること、
    溶出液の色が明らかに濃くなったら溶出液の収集を開始し、さらに色が極めて薄くなったら溶出を終了すること、
    それぞれの生薬の溶出液について、エタノールを回収し、濃縮・乾燥し、最後にそれぞれの生薬の抽出物粉末を取得し、前記抽出物粉末を比率に従って均一に混合して、任意の臨床に受け入れられる剤型に製造すること
    からなる製造工程を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の製剤の製造方法。
  6. 請求項1または2に記載の製剤の抗リュウマチおよび関節リュウマチ薬物の製造への使用
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