JP4412084B2 - ホメオトロピック配向液晶フィルム - Google Patents

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本発明は、ホメオトロピック配向液晶フィルムに関する。さらに、このフィルムを用いた光学素子および液晶表示装置に関する。
近年、光重合性を有する液晶を用いた偏光板や位相差板等の、光学素子への応用が提案されている。これらの光学素子は、光学異方性を有する重合性液晶を液晶状態で重合し、液晶の配向が固定化されることによって得られる。重合性液晶は、液晶状態において適切な配向制御を行った後、その配向状態を保持したまま重合することができる。従って、液晶骨格の配向ベクトルをホモジニアス配向、チルト配向、ホメオトロピック配向またはツイスト配向等の配向状態で固定化することにより、種々の光学異方性を有する重合体を得ることができる。以下において、上記の配向状態を示すことを、簡略化して「ホモジニアス配向を有する」、「チルト配向を有する」、「ホメオトロピック配向を有する」または「ツイスト配向を有する」と記すことがある。
特に、ホメオトロピック配向を有する重合体は、光軸の方向がn方向にあり、光軸方向の屈折率がその直交する方向の屈折率より大きいため、屈折率楕円体では、ポジティブC−プレートに分類される。このポジティブC−プレートは、他の光学機能を有するフィルムと組み合わせることによって、水平配向した液晶モードいわゆるIPS(In−Plane Switching)モード等の光学補償、例えば偏光板の視野角特性の改善用に応用できる。しかし、均一で、かつ安定なホメオトロピック配向の形成は、技術的に困難であった。例えば、長鎖アルキル基を有する界面活性剤、カップリング剤や金属錯体等をガラス等の支持基材に塗布する方法がある(例えば、非特許文献1、特許文献1、特許文献2、および特許文献3参照。)。しかしながら、ホメオトロピック配向の均一性および安定性は不十分であった。さらに重合性液晶を塗工する際にも、ハジキや、ピンホール等の塗工不良があった。また、液晶表示素子用に用いられるポリイミド系垂直高分子膜をガラス等の支持基材に塗工し、さらに200℃程度の温度で焼成する(イミド化を進行させる)と、焼成して得られた表面に重合性液晶が塗工できない問題があった。また、支持基材として光学用プラスティックフィルム(例えば、TAC(トリアセチルセルロース)、ノルボルネン類の重合体等のフィルム)を選択した場合には、前記焼成温度条件では、耐熱性の観点から使用できないといった問題があった。
季刊 化学総説 No.22 液晶の化学 日本化学会編 p.99〜100(1994) 特開2003−211465号公報 特開平10−319408号公報 特開平11−240890号公報
本発明の第一の目的は、上記問題を付随することなく、ガラスや光学用プラスティックフィルム等の支持基材上に重合性液晶組成物を均一に塗工し、均一なホメオトロピック配向を安定的に形成することを可能にする最適な重合性液晶組成物を提供することである。本発明の第二の目的は、この重合性液晶組成物に含有される重合性液晶化合物を重合して得られるホメオトロピック配向液晶フィルム、およびこのフィルムを用いた光学補償フィルムを提供することである。本発明の第三の目的は、この光学補償フィルムを有する液晶表示装置、有機EL表示装置、PDPなどの画像表示装置を提供することである。
本発明者らは上記の課題を解決するため鋭意検討し、本発明を完成した。本発明は下記[1]〜[23]の構成を有する。
[1] 重合性のエポキシを有する基および非重合性の極性基を有する重合性液晶化合物を含有する重合性液晶組成物を、重合体被膜の重合体分子鎖中にカルボキシル基およびアミノ基から選択された少なくとも1つの極性基を有するポリイミド系重合体の溶液を用いて形成された重合体被膜を有する支持基材上に塗布し、重合性液晶化合物を重合して得られるホメオトロピック配向液晶フィルム。
[2] 重合性液晶化合物が、式(I)で表される化合物である、[1]項に記載のホメオトロピック配向液晶フィルム。
Figure 0004412084
ここに、Pは重合性のエポキシを有する基であり;
Spは炭素数1〜20のアルキレンであり、炭素が2以上であるときには、このアルキレン中の隣接しない−CH−は−O−で置き換えられていてもよく;
Gは単結合、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−COO−、−SO−O−、−O−SO−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−C≡C−COO−、−OCO−C≡C−、−(CHO−、−O(CH−、−CH=CH−CHO−、−OCH−CH=CH−、−(CH−CFO−、または−OCF−(CH−であり;
rは0または1であり;
Xは非重合性の極性基であり;
そして、MGは式(II)で表されるメソゲン骨格である:
Figure 0004412084
ここに、T、TおよびTはそれぞれ独立して、1,4−シクロヘキセニレン、ナフタレン−2,6−ジイル、フルオレン−2,7−ジイル、任意の−CH=が−N=で置き換えられてもよい1,4−フェニレン、または任意の−CH−が−O−もしくは−S−で置き換えられてもよく、そして隣接しない2つの炭素が架橋されてもよい1,4−シクロヘキシレンであり、これらの環において任意の水素はハロゲン、−CN、−CF、−CFH、−NO、または炭素数が1〜7のアルキルで置き換えられてもよく、このアルキルにおいて任意の−CH−は−O−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよい;
およびGはそれぞれ独立して、単結合、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−SO−O−、−O−SO−、−CHCH−、−(CH−、−(CHO−、−O(CH−、−OCH−、−CHO−、−OCF−、−CFO−、−CF=CF−、−CFCF2−、−CH=CH−、−C≡C−、−(CH−COO−、−OCO−(CH−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−CHO−、−OCH−CH=CH−、−N=N−、アゾキシ(−N(O)=N−)、−CH=N−、−N=CH−、−O−(CH−OCO−、−COO−(CH−O−、−CH=CH−CONH−、−CONH−CH=CH−、−CONH−、または−NHCO−であり、nは1〜20の整数であり;
そして、fは0〜3の整数であり、fが2または3であるとき複数のTおよびGはそれぞれ同一の基であってもよく、異なる基であってもよい。
[3] 重合性液晶化合物が、[2]項に記載の式(I)で表される化合物であり、式(I)におけるXが、−Cl、−CN、−OCF、−OCFH、−NCO、−NCS、−NO、−NHCOR、−COOR、−OH、−SH、−CHO、−SOH、−SOR、−NH、または−NRであり、Rが水素、炭素数1〜20のアルキルまたは炭素数2〜20のアルケニルであり;Gが、単結合、−O−、−COO−、−OCO−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−C≡C−COO−、−OCO−C≡C−、−(CHO−、−O(CH−、−CH=CH−CHO−、−OCH−CH=CH−、−(CH−CFO−、または−OCF−(CH−であり;式(II)におけるT、TおよびTがそれぞれ独立して、1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、フルオレン−2,7−ジイル、またはナフタレン−2,6−ジイルである、[1]または[2]項に記載のホメオトロピック配向液晶フィルム。
[4] 重合性液晶化合物が、[2]項に記載の式(I)で表される化合物であり、式(I)におけるPが、オキシラニルであり;Xが、−Cl、−CN、−OCF、−OCFH、または−NCSであり;Gが、単結合、−O−、−COO−、−OCO−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−C≡C−COO−、−OCO−C≡C−、−CH=CH−CHO−、−OCH−CH=CH−、−(CH−CFO−、または−OCF−(CH−であり;式(II)におけるT、TおよびTがそれぞれ独立して、1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、フルオレン−2,7−ジイル、またはナフタレン−2,6−ジイルであり;GおよびGがそれぞれ独立して、単結合、−CHCH−、−COO−、−OCO−、−C≡C−、−OCH−、−CHO−、−CH=CH−COO−、または−OCO−CH=CH−である、[1]〜[3]項のいずれか1項に記載のホメオトロピック配向液晶フィルム。
[5] 重合性液晶化合物が、[2]項に記載の式(I)で表される化合物であり、式(I)におけるPが、オキセタニルであり;Xが、−Cl、−CN、−OCF、−OCFH、または−NCSであり;Gが、単結合、−O−、−COO−、−OCO−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−C≡C−COO−、−OCO−C≡C−、−CH=CH−CHO−、−OCH−CH=CH−、−(CH−CFO−、または−OCF−(CH−であり;式(II)におけるT、TおよびTがそれぞれ独立して、1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、フルオレン−2,7−ジイル、またはナフタレン−2,6−ジイルであり;GおよびGがそれぞれ独立して、単結合、−CHCH−、−COO−、−OCO−、−C≡C−、−OCH−、−CHO−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−CONH−、または−NHCO−である、[1]〜[3]項のいずれか1項に記載のホメオトロピック配向液晶フィルム。
[6] 重合性液晶組成物が、[2]項に記載の式(I)で表される重合性液晶化合物に加えて式(III)で表される重合性液晶化合物をさらに含有する、[1]〜[5]項のいずれか1項に記載のホメオトロピック配向液晶フィルム。
Figure 0004412084
ここに、Pは重合性のエポキシを有する基であり;
Spは炭素数1〜20のアルキレンであり、炭素が2以上であるときには、このアルキレン中の隣接しない−CH−は−O−で置き換えられていてもよく;
Gは単結合、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−COO−、−SO−O−、−O−SO−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−C≡C−COO−、−OCO−C≡C−、−(CHO−、−O(CH−、−CH=CH−CHO−、−OCH−CH=CH−、−(CH−CFO−、または−OCF−(CH−であり;
rは0または1であり;
Wは水素、炭素数1〜25のアルキル、炭素数2〜26のアルケニル、フッ素、または−(G−Sp)−Pであり;これらのアルキルおよびアルケニルにおいて、任意の−CH−は−O−、−S−、−NH−、−N(CH)−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−、−CO−S−、または−C≡C−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよく;
そして、MGは式(II)で表されるメソゲン骨格である:
Figure 0004412084
ここに、T、TおよびTはそれぞれ独立して、1,4−シクロヘキセニレン、ナフタレン−2,6−ジイル、フルオレン−2,7−ジイル、任意の−CH=が−N=で置き換えられてもよい1,4−フェニレン、または任意の−CH−が−O−もしくは−S−で置き換えられてもよく、そして隣接しない2つの炭素が架橋されてもよい1,4−シクロヘキシレンであり、これらの環において任意の水素はハロゲン、−CN、−CF、−CFH、−NO、または炭素数が1〜7のアルキルで置き換えられてもよく、このアルキルにおいて任意の−CH−は−O−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよい;
およびGはそれぞれ独立して、単結合、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−SO−O−、−O−SO−、−CHCH−、−(CH−、−(CHO−、−O(CH−、−OCH−、−CHO−、−OCF−、−CFO−、−CF=CF−、−CFCF2−、−CH=CH−、−C≡C−、−(CH−COO−、−OCO−(CH−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−CHO−、−OCH−CH=CH−、−N=N−、アゾキシ(−N(O)=N−)、−CH=N−、−N=CH−、−O−(CH−OCO−、−COO−(CH−O−、−CH=CH−CONH−、−CONH−CH=CH−、−CONH−、または−NHCO−であり、nは1〜20の整数であり;
そして、fは0〜3の整数であり、fが2または3であるとき複数のTおよびGはそれぞれ同一の基であってもよく、異なる基であってもよい。
[7] [2]項に記載の式(I)で表される重合性液晶化合物の含有量が、重合性液晶組成物全量を基準にして5〜99重量%である、[1]〜[6]項のいずれか1項に記載のホメオトロピック配向液晶フィルム。
[8] 重合性液晶組成物が、[2]項に記載の式(I)で表される重合性液晶化合物のみからなる、[1]〜[5]項のいずれか1項に記載のホメオトロピック配向液晶フィルム。
[9] ポリイミド系重合体が、ポリアミック酸、ポリアミック酸アミド、ポリアミック酸エステル、可溶性ポリイミドおよびポリアミドイミドから選ばれる少なくとも1つの成分からなる、[1]〜[8]項のいずれか1項に記載のホメオトロピック配向液晶フィルム。
[10] ポリイミド系重合体が、ポリアミック酸およびポリアミック酸アミドのいずれかから選ばれる1つの成分からなる、[1]〜[9]項のいずれか1項に記載のホメオトロピック配向液晶フィルム。
[11] ポリイミド系重合体が、ポリアミック酸、ポリアミック酸アミド、ポリアミック酸エステル、可溶性ポリイミドおよびポリアミドイミドから選ばれる少なくとも2つの成分からなる、[1]〜[9]項のいずれか1項に記載のホメオトロピック配向液晶フィルム。
[12] ポリイミド系重合体が、1つの成分のポリアミック酸のみからなる[10]項または少なくとも2つの成分のポリアミック酸のみからなる[11]項に記載のホメオトロピック配向液晶フィルム。
[13] 支持基材がガラスである、[1]〜[12]項のいずれか1項に記載のホメオトロピック配向液晶フィルム。
[14] 支持基材がプラスティックである、[1]〜[12]項のいずれか1項に記載のホメオトロピック配向液晶フィルム。
[15] プラスティックが、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリケトンサルファイド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリアリレート、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリプロピレン、セルロース、トリアセチルセルロース、トリアセチルセルロースの部分鹸化物、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、およびノルボルネン樹脂から選ばれるいずれか1つである、[14]項に記載のホメオトロピック配向液晶フィルム。
[16] 重合性のエポキシを有する基および非重合性の極性基を有する重合性液晶化合物を含有する重合性液晶組成物を、ポリイミド系重合体の溶液を用いて形成された重合体被膜を有する支持基材上に塗布し、さらに重合性液晶組成物を液晶状態においてホメオトロピック配向とする配向制御方法。
[17] 支持基材の重合体被膜が、ポリイミド系重合体の溶液の塗膜を180℃以下の温度で焼成することによって形成される、[16]項に記載の配向制御方法。
[18] 支持基材の重合体被膜を構成する重合体におけるイミド化率が45%以下である、[16]項に記載の配向制御方法。
[19] 重合性のエポキシを有する基および非重合性の極性基を有する重合性液晶化合物を含有する重合性液晶組成物を、ポリイミド系重合体の溶液を用いて形成された重合体被膜を有する支持基材上に塗布し、さらに重合性液晶化合物を重合して、ホメオトロピック配向状態を形成させるホメオトロピック配向液晶フィルムの製造方法。
[20] [1]〜[15]項のいずれか1項に記載のホメオトロピック配向液晶フィルムを有する光学補償素子。
[21] [1]〜[15]項のいずれか1項に記載のホメオトロピック配向液晶フィルムと偏光板とを有する光学素子。
[22] [20]項に記載の光学補償素子を液晶セルの内面または外面に有する液晶表示装置。
[23] [21]項に記載の光学素子を液晶セルの外面に有する液晶表示装置。
本発明のホメオトロピック配向液晶フィルムは、ホメオトロピック配向の均一性に優れる。
以下の説明では、式(I)で表される重合性液晶化合物を化合物(I)と称することがある。他の式で表される化合物についても同様に簡略化して称することがある。
本発明で用いる用語について説明する。液晶骨格の配向ベクトルが支持基材平面と成す角度を「チルト角」とする。チルト角が一方の界面から他方の界面にかけて一様にゼロに近く、特に0〜5°である配向状態を「ホモジニアス配向」と称する。ここで、界面は、配向層を備えた支持基材界面または自由界面である。チルト角が一方の界面から他方の界面にかけて5〜85°の範囲で一定、または0〜90°の範囲で連続的に変化する配向状態を「チルト配向」と称する。チルト角が一方の界面から他方の界面にかけて一様に85〜90°である配向状態を「ホメオトロピック配向」と称する。
「液晶性」の意味は、液晶相を有することだけに限定されない。それ自体は液晶相を有さなくとも、他の液晶化合物と混合したときに、液晶組成物の成分として使用できる特性も、「液晶性」の意味に含まれる。「任意の」は、位置だけでなく個数についても任意であることを示すが、個数が0である場合を含まない。そして、例えば、アルキルにおいて任意の−CH−は−O−または−CH=CH−で置き換えられてもよいと表現するときには、複数の−CH−がそれぞれ異なる基で置き換えられてもよい。このような場合の例は、アルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルコキシアルケニル、アルケニルオキシアルキルなどである。「アルキルにおいて任意の−CH−は−O−または−CH=CH−で置き換えられてもよい」の句の意味を一例で示す。C−において任意の−CH−を−O−または−CH=CH−で置き換えた基の一部は、CO−、CH−O−(CH−、CH−O−CH−O−、HC=CH−(CH−、CH−CH=CH−(CH−、およびCH−CH=CH−CH−O−である。なお、本発明においては、化合物の安定性を考慮して、連続する2つの−CH−が−O−または−S−で置き換えられて、−O−O−、−O−S−または−S−S−になることは好ましくない。アクリレートおよびメタクリレートの総称として、「(メタ)アクリレート」を用いることがある。特に断らずにアルキルまたはアルキレンと記述するときは、直鎖アルキルと分岐アルキルの両方を含むアルキルを意味する。例えば、ブチルはn−ブチル、2−メチルプロピルおよび1,1−ジメチルエチルのいずれであってもよい。ハロゲンは、フッ素、塩素または臭素を意味する。アルケニルまたはアルケニレンと記述するときは、直鎖アルケニルと分岐アルケニルの両方を含むアルケニルを意味する。シクロアルキルおよびシクロアルケニルには、通常の環状基の他、架橋構造の環状基も包含される。
以下の説明においては、化合物(I)および化合物(III)以外の重合性化合物をその他の重合性化合物と称することがある。本発明で用いられる重合性液晶組成物は、化合物(I)を含有する重合性の液晶組成物である。重合性成分として化合物(I)および化合物(III)のみを含有する重合性の液晶組成物を「環状エーテル系重合性液晶組成物」と呼ぶことがある。重合性液晶組成物の例は、重合性成分として化合物(I)のみを含有する重合性液晶組成物、重合性成分として化合物(I)およびその他の重合性化合物のみを含有する重合性液晶組成物、重合性成分として化合物(I)および化合物(III)のみを含有する重合性液晶組成物、重合性成分として化合物(I)、化合物(III)およびその他の重合性化合物のみを含有する重合性液晶組成物、ならびにこれらの重合性液晶組成物のそれぞれに非重合性のその他成分をさらに含有する重合性液晶組成物である。ここで、その他成分とは、非重合性の液晶性化合物、重合開始剤、重合防止剤、酸素阻害剤などである。
以下では化合物(I)について説明する。
Pは重合性のエポキシを有する基であり、好ましくはオキシラニルまたはオキセタニルである。まず、Pがオキシラニルである場合を説明する。
Spは炭素数1〜20のアルキレンであり、炭素数が2以上であるときには、このアルキレン中の隣接しない−CH−は−O−で置き換えられていてもよい。好ましいSpは炭素数4、6または8のアルキレンであり、より好ましいSpは炭素数4または6のアルキレンである。
Xは非重合性の極性基であり、好ましくは−Cl、−CN、−OCF、−OCFH、−NCO、−NCS、−NO、−NHCOR、−COOR、−OH、−SH、−CHO、−SOH、−SOR、−NH、または−NRであり、Rが水素、炭素数1〜20のアルキルまたは炭素数2〜20のアルケニルである。より好ましいXは−CN、−OCF、−OCFH、−NCS、−Cl、−NO、−NHCOR、−OH、−CHO、−NH、または−NRである。さらに好ましいXは−CN、−OCF、−OCFH、−NCS、または−Clである。特に好ましいXは−CN、−OCFまたは−OCFHである。
メソゲン骨格を構成するT、TおよびTはそれぞれ独立して、1,4−シクロヘキセニレン、ナフタレン−2,6−ジイル、フルオレン−2,7−ジイル、任意の−CH=が−N=で置き換えられてもよい1,4−フェニレン、または任意の−CH−が−O−もしくは−S−で置き換えられてもよく、そして隣接しない2つの炭素が架橋されてもよい1,4−シクロヘキシレンであり、これらの環において任意の水素はハロゲン、−CN、−CF、−CFH、−NO、または炭素数が1〜7のアルキルで置き換えられてもよく、このアルキルにおいて任意の−CH−は−O−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよい。好ましいT、TおよびTは1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、フルオレン−2,7−ジイル、またはナフタレン−2,6−ジイルである。より好ましいT、TおよびTは1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、フルオレン−2,7−ジイル、またはナフタレン−2,6−ジイルである。
Gは単結合、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−COO−、−SO−O−、−O−SO−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−C≡C−COO−、−OCO−C≡C−、−(CHO−、−O(CH−、−CH=CH−CHO−、−OCH−CH=CH−、−(CH−CFO−、または−OCF−(CH−である。好ましいGは単結合、−O−、−COO−、−OCO−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−C≡C−COO−、−OCO−C≡C−、−(CHO−、−O(CH−、−CH=CH−CHO−、−OCH−CH=CH−、−(CH−CFO−、または−OCF−(CH−である。より好ましいGは単結合、−O−、−COO−、−OCO−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−C≡C−COO−、−OCO−C≡C−、−CH=CH−CHO−、−OCH−CH=CH−、−(CH−CFO−、または−OCF−(CH−である。
rは0または1である。
メソゲン骨格を構成するGおよびGはそれぞれ独立して、単結合、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−SO−O−、−O−SO−、−CHCH−、−(CH−、−(CHO−、−O(CH−、−OCH−、−CHO−、−OCF−、−CFO−、−CF=CF−、−CFCF2−、−CH=CH−、−C≡C−、−(CH−COO−、−OCO−(CH−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−CHO−、−OCH−CH=CH−、−N=N−、アゾキシ(−N(O)=N−)、−CH=N−、−N=CH−、−O−(CH−OCO−、−COO−(CH−O−、−CH=CH−CONH−、−CONH−CH=CH−、−CONH−、または−NHCO−であり、nは1〜20の整数である。GおよびGの好ましい例は単結合、−CHCH−、−COO−、−OCO−、−C≡C−、−OCH−、−CHO−、−CH=CH−COO−、または−OCO−CH=CH−である。
fは0〜3の整数であり、fが2または3であるとき複数のTおよびGはそれぞれ同一の基であってもよく、異なる基であってもよい。好ましいfは0〜2の整数である。
次にPがオキセタニルである場合を説明する。
Spは炭素数1〜20のアルキレンであり、炭素数が2以上であるときには、このアルキレン中の隣接しない−CH−は−O−で置き換えられていてもよい。好ましいSpは炭素数4、6または8のアルキレンであり、より好ましいSpは炭素数4または6のアルキレンである。
Xは非重合性の極性基であり、好ましくは−Cl、−CN、−OCF、−OCFH、−NCO、−NCS、−NO、−NHCOR、−COOR、−OH、−SH、−CHO、−SOH、−SOR、−NH、または−NRであり、これらの例におけるRは水素、炭素数1〜20のアルキルまたは炭素数2〜20のアルケニルである。より好ましいXは−CN、−OCF、−OCFH、−NCS、−Cl、−NO、−NHCOR、−OH、−CHO、−NH、または−NRである。さらに好ましいXは−CN、−OCF、−OCFH、−NCS、または−Clである。特に好ましいXは−CN、−OCFまたは−OCFHである。
メソゲン骨格を構成するT、TおよびTはそれぞれ独立して、1,4−シクロヘキセニレン、ナフタレン−2,6−ジイル、フルオレン−2,7−ジイル、任意の−CH=が−N=で置き換えられてもよい1,4−フェニレン、または任意の−CH−が−O−もしくは−S−で置き換えられてもよく、そして隣接しない2つの炭素が架橋されてもよい1,4−シクロヘキシレンであり、これらの環において任意の水素はハロゲン、−CN、−CF、−CFH、−NO、または炭素数が1〜7のアルキルで置き換えられてもよく、このアルキルにおいて任意の−CH−は−O−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよい。T、TおよびTの好ましい例は1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、フルオレン−2,7−ジイル、またはナフタレン−2,6−ジイルであり、より好ましい例は1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、フルオレン−2,7−ジイル、またはナフタレン−2,6−ジイルである。
Gは単結合、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−COO−、−SO−O−、−O−SO−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−C≡C−COO−、−OCO−C≡C−、−(CHO−、−O(CH−、−CH=CH−CHO−、−OCH−CH=CH−、−(CH−CFO−、または−OCF−(CH−である。好ましいGは単結合、−O−、−COO−、−OCO−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−C≡C−COO−、−OCO−C≡C−、−(CHO−、−O(CH−、−CH=CH−CHO−、−OCH−CH=CH−、−(CH−CFO−、または−OCF−(CH−である。より好ましいGは単結合、−O−、−COO−、−OCO−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−C≡C−COO−、−OCO−C≡C−、−CH=CH−CHO−、−OCH−CH=CH−、−(CH−CFO−、または−OCF−(CH−である。
rは0または1である。
メソゲン骨格を構成するGおよびGはそれぞれ独立して、単結合、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−SO−O−、−O−SO−、−CHCH−、−(CH−、−(CHO−、−O(CH−、−OCH−、−CHO−、−OCF−、−CFO−、−CF=CF−、−CFCF2−、−CH=CH−、−C≡C−、−(CH−COO−、−OCO−(CH−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−CHO−、−OCH−CH=CH−、−N=N−、アゾキシ(−N(O)=N−)、−CH=N−、−N=CH−、−O−(CH−OCO−、−COO−(CH−O−、−CH=CH−CONH−、−CONH−CH=CH−、−CONH−、または−NHCO−であり、nは1〜20の整数である。GおよびGの好ましい例は単結合、−CHCH−、−COO−、−OCO−、−C≡C−、−OCH−、−CHO−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−CONH−、または−NHCO−である。
fは0〜3の整数であり、fが2または3であるとき複数のTおよびGはそれぞれ同一の基であってもよく、異なる基であってもよい。好ましいfは0〜2の整数である。
以下に、式(I)で表される重合性液晶化合物の具体的な例(1−1−1)〜(2−1−139)を示す。下記の具体例中、mは1〜20の整数、Rはメチルまたはエチルであり、Rは炭素数1〜20のアルキルまたは炭素数2〜20のアルケニルである。
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上記化合物のうち好ましい化合物は、(1−1−1)〜(1−1−10)、(1−1−17)〜(1−1−26)、(1−1−33)〜(1−1−39)、(1−1−45)〜(1−1−52)、(1−1−56)〜(1−1−78)、(1−1−82)〜(1−1−87)、および(1−1−102)〜(1−1−138)であり、さらに好ましい化合物は、mが4、6または8である(1−1−1)〜(1−1−10)、(1−1−17)〜(1−1−26)、(1−1−33)〜(1−1−39)、(1−1−45)〜(1−1−52)、(1−1−56)〜(1−1−78)、(1−1−82)〜(1−1−87)、および(1−1−102)〜(1−1−138)であり、特に好ましい化合物は、mが4または6である(1−1−1)〜(1−1−10)、(1−1−17)〜(1−1−26)、(1−1−33)〜(1−1−39)、(1−1−45)〜(1−1−52)、(1−1−56)〜(1−1−78)、(1−1−82)〜(1−1−87)、および(1−1−102)〜(1−1−138)である。
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上記化合物のうち好ましい化合物は、(2−1−1)〜(2−1−10)、(2−1−17)〜(2−1−26)、(2−1−33)〜(2−1−39)、(2−1−45)〜(2−1−52)、(2−1−56)〜(2−1−78)、(2−1−82)〜(2−1−87)、および(2−1−102)〜(2−1−139)であり、さらに好ましい化合物は、mが4、6または8である(2−1−1)〜(2−1−10)、(2−1−17)〜(2−1−26)、(2−1−33)〜(2−1−39)、(2−1−45)〜(2−1−52)、(2−1−56)〜(2−1−78)、(2−1−82)〜(2−1−87)、および(2−1−102)〜(2−1−139)であり、特に好ましい化合物は、mが4または6である(2−1−1)〜(2−1−10)、(2−1−17)〜(2−1−26)、(2−1−33)〜(2−1−39)、(2−1−45)〜(2−1−52)、(2−1−56)〜(2−1−78)、(2−1−82)〜(2−1−87)、および(2−1−102)〜(2−1−139)である。
化合物(1−1−1)〜(1−1−138)、および化合物(2−1−1)〜(2−1−139)は、単独で用いてもよいし、これらの複数の化合物を組み合わせて用いてもよい。重合性液晶組成物中の化合物(1)の含有量は、重合性液晶組成物全量を基準にして5〜100重量%の割合である。この割合の好ましい範囲は5〜99重量%であり、より好ましい範囲は5〜60重量%であり、さらに好ましい範囲は5〜50重量%である。特に好ましい範囲は5〜45重量%であり、最も好ましい範囲は10〜40重量%である。この割合で化合物(1)を用いることにより、均一なホメオトロピック配向液晶フィルムを安定的に形成させることができる。
本発明に用いられる重合性液晶組成物は、化合物(I)以外の重合性液晶化合物をさらに含有してもよい。化合物(I)以外の重合性液晶化合物としては、ホメオトロピック配向が得られる範囲であれば、その構造に制限はない。化合物(I)以外の重合性液晶化合物として好ましいのは、化合物(III)である。化合物(III)が化合物(I)と異なる点は、非重合性の極性基を有しないことである。以下に化合物(III)について説明する。
Pは重合性のエポキシを有する基であり、好ましくはオキシラニルまたはオキセタニルである。まず、Pがオキシラニルである場合を説明する。
Sp、G、r、およびMGは式(I)におけるこれらの記号と同じ意味を示し、Wは水素、炭素数1〜25のアルキル、炭素数2〜26のアルケニル、フッ素、または−(G−Sp)−Pであり;これらのアルキルおよびアルケニルにおいて、任意の−CH−は−O−、−S−、−NH−、−N(CH)−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−、−CO−S−、または−C≡C−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよい。好ましいWは−ORまたは−Rであり、Rは炭素数1〜10のアルキルまたは炭素数2〜20のアルケニルが好ましく、炭素数1〜8のアルキルまたは炭素数2〜16のアルケニルがより好ましい。
Spは炭素数1〜20のアルキレンであり、炭素数が2以上であるときには、このアルキレン中の隣接しない−CH−は−O−で置き換えられていてもよい。好ましいSpは炭素数4、6または8のアルキレンであり、より好ましいSpは炭素数4または6のアルキレンである。
メソゲン骨格を構成するT、TおよびTはそれぞれ独立して、1,4−シクロヘキセニレン、ナフタレン−2,6−ジイル、フルオレン−2,7−ジイル、任意の−CH=が−N=で置き換えられてもよい1,4−フェニレン、または任意の−CH−が−O−もしくは−S−で置き換えられてもよく、そして隣接しない2つの炭素が架橋されてもよい1,4−シクロヘキシレンであり、これらの環において任意の水素はハロゲン、−CN、−CF、−CFH、−NO、または炭素数が1〜7のアルキルで置き換えられてもよく、このアルキルにおいて任意の−CH−は−O−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよい。T、TおよびTの好ましい例は1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、フルオレン−2,7−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、またはピリミジン−2,5−ジイルであり、より好ましい例は1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、フルオレン−2,7−ジイル、またはナフタレン−2,6−ジイルである。
Gは単結合、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−COO−、−SO−O−、−O−SO−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−C≡C−COO−、−OCO−C≡C−、−(CHO−、−O(CH−、−CH=CH−CHO−、−OCH−CH=CH−、−(CH−CFO−、または−OCF−(CH−である。好ましいGは単結合、−O−、−COO−、−OCO−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−C≡C−COO−、−OCO−C≡C−、−(CHO−、−O(CH−、−CH=CH−CHO−、−OCH−CH=CH−、−(CH−CFO−、または−OCF−(CH−である。より好ましいGは単結合、−O−、−COO−、−OCO−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−C≡C−COO−、−OCO−C≡C−、−CH=CH−CHO−、−OCH−CH=CH−、−(CH−CFO−、または−OCF−(CH−である。
rは0または1である。
メソゲン骨格を構成するGおよびGはそれぞれ独立して、単結合、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−SO−O−、−O−SO−、−CHCH−、−(CH−、−(CHO−、−O(CH−、−OCH−、−CHO−、−OCF−、−CFO−、−CF=CF−、−CFCF2−、−CH=CH−、−C≡C−、−(CH−COO−、−OCO−(CH−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−CHO−、−OCH−CH=CH−、−N=N−、アゾキシ(−N(O)=N−)、−CH=N−、−N=CH−、−O−(CH−OCO−、−COO−(CH−O−、−CH=CH−CONH−、−CONH−CH=CH−、−CONH−、または−NHCO−であり、nは1〜20の整数である。GおよびGの好ましい例は単結合、−CHCH−、−COO−、−OCO−、−C≡C−、−N=N−、アゾキシ(−N(O)=N−)、−CH=N−、または−N=CH−であり、より好ましい例は、単結合、−CHCH−、−COO−、−OCO−、または−C≡C−である。
fは0〜3の整数であり、fが2または3であるとき複数のTおよびGはそれぞれ同一の基であってもよく、異なる基であってもよい。好ましいfは0〜2の整数である。
次にPがオキセタニルである場合を説明する。
Sp、G、r、およびMGは式(I)と同じ意味を示し、Wは水素、炭素数1〜25のアルキル、炭素数2〜26のアルケニル、フッ素、または−(G−Sp)−Pであり;これらのアルキルおよびアルケニルにおいて、任意の−CH−は−O−、−S−、−NH−、−N(CH)−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−、−CO−S−、または−C≡C−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよい。好ましいWは−ORまたは−Rであり、Rは炭素数1〜10のアルキルまたは炭素数2〜20のアルケニルが好ましく、炭素数1〜8のアルキルまたは炭素数2〜16のアルケニルがより好ましい。
Spは炭素数1〜20のアルキレンであり、炭素数が2以上であるときには、このアルキレン中の隣接しない−CH−は−O−で置き換えられていてもよい。好ましいSpは炭素数4、6または8のアルキレンであり、より好ましいSpは炭素数4または6のアルキレンである。
メソゲン骨格を構成するT、TおよびTはそれぞれ独立して、1,4−シクロヘキセニレン、ナフタレン−2,6−ジイル、フルオレン−2,7−ジイル、任意の−CH=が−N=で置き換えられてもよい1,4−フェニレン、または任意の−CH−が−O−もしくは−S−で置き換えられてもよく、そして隣接しない2つの炭素が架橋されてもよい1,4−シクロヘキシレンであり、これらの環において任意の水素はハロゲン、−CN、−CF、−CFH、−NO、または炭素数が1〜7のアルキルで置き換えられてもよく、このアルキルにおいて任意の−CH−は−O−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよい。T、TおよびTの好ましい例は1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、フルオレン−2,7−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、またはピリミジン−2,5−ジイルであり、より好ましい例は1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、フルオレン−2,7−ジイル、またはナフタレン−2,6−ジイルである。
Gは単結合、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−COO−、−SO−O−、−O−SO−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−C≡C−COO−、−OCO−C≡C−、−(CHO−、−O(CH−、−CH=CH−CHO−、−OCH−CH=CH−、−(CH−CFO−、または−OCF−(CH−である。好ましいGは単結合、−O−、−COO−、−OCO−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−C≡C−COO−、−OCO−C≡C−、−(CHO−、−O(CH−、−CH=CH−CHO−、−OCH−CH=CH−、−(CH−CFO−、または−OCF−(CH−である。より好ましいGは単結合、−O−、−COO−、−OCO−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−C≡C−COO−、−OCO−C≡C−、−CH=CH−CHO−、−OCH−CH=CH−、−(CH−CFO−、または−OCF−(CH−である。
rは0または1である。
メソゲン骨格を構成するGおよびGはそれぞれ独立して、単結合、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−SO−O−、−O−SO−、−CHCH−、−(CH−、−(CHO−、−O(CH−、−OCH−、−CHO−、−OCF−、−CFO−、−CF=CF−、−CFCF2−、−CH=CH−、−C≡C−、−(CH−COO−、−OCO−(CH−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−CHO−、−OCH−CH=CH−、−N=N−、アゾキシ(−N(O)=N−)、−CH=N−、−N=CH−、−O−(CH−OCO−、−COO−(CH−O−、−CH=CH−CONH−、−CONH−CH=CH−、−CONH−、または−NHCO−であり、nは1〜20の整数である。GおよびGの好ましい例は単結合、−CHCH−、−COO−、−OCO−、−C≡C−、−N=N−、アゾキシ(−N(O)=N−)、−CH=N−、または−N=CH−であり、より好ましい例は、単結合、−CHCH−、−COO−、−OCO−、または−C≡C−である。
fは0〜3の整数であり、fが2または3であるとき複数のTおよびGはそれぞれ同一の基であってもよく、異なる基であってもよい。好ましいfは0〜2の整数である。
以下に非重合性の極性基を有しない、重合性のエポキシを有する基を1つ有する化合物(III)の具体例(A−1−1)〜(A−1−322)および(B−1−1)〜(B−1−322)を示す。なお、これらの化合物は、本発明の効果を妨げない範囲で使用することができる。下記の具体例中、mは1〜20の整数、Rはメチルまたはエチルであり、Rは炭素数1〜10のアルキルまたは炭素数2〜20のアルケニルである。
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上記化合物のうち好ましい化合物は、(A−1−1)〜(A−1−117)および(A−1−134)〜(A−1−322)であり、さらに好ましい化合物は、mが4、6または8である(A−1−1)〜(A−1−117)および(A−1−134)〜(A−1−322)である。
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上記化合物のうち好ましい化合物は、(B−1−1)〜(B−1−117)および(B−1−134)〜(B−1−322)であり、さらに好ましい化合物は、mが4、6または8である(B−1−1)〜(B−1−117)および(B−1−134)〜(B−1−322)である。
次に非重合性の極性基を有しない、重合性のエポキシを有する基を2つ有する化合物(III)の具体例(A−2−1)〜(A−2−238)、(A−3−1)〜(A−3−50)、(B−2−1)〜(B−2−238)、および(B−3−1)〜(B−3−36)を以下に示す。なお、これらの化合物も本発明の効果を妨げない範囲で使用することができる。下記の具体例中、m、nおよびqは1〜20の整数、Rはメチルまたはエチルであり、Rは炭素数1〜10のアルキルまたは炭素数2〜20のアルケニルである。
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上記化合物のうち好ましい化合物は、(A−2−1)〜(A−2−238)および(A−3−1)〜(A−3−50)であり、さらに好ましい化合物は、mおよびnが2、4、6または8である(A−2−1)〜(A−2−238)および(A−3−1)〜(A−3−50)である。
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上記化合物のうち好ましいものは、化合物(B−2−1)〜(B−2−238)および化合物(B−3−1)〜化合物(B−3−50)であり、さらに好ましい化合物は、mおよびnが4、6、または8である化合物(B−2−1)〜(B−2−238)および化合物(B−3−1)〜化合物(B−3−50)である。
上記の化合物は、有機合成化学における公知の手法を適宜組み合わせることにより合成することができる。出発物質に目的の末端基、環および結合基を導入する方法は、ホーベン−ワイル(Houben-Wyle, Methods of Organic Chemistry, Georg Thieme Verlag, Stuttgart)、オーガニック・シンセシーズ(Organic Syntheses, John Wiley & Sons, Inc)、オーガニック・リアクションズ(Organic Reactions, John Wiley & Sons, Inc)、コンプリヘンシブ・オーガニック・シンセシス(Comprehensive Organic Synthesis, Pergamon Press)、新実験化学講座(丸善)などに記載されている。
重合性化合物のみまたは重合性化合物および重合開始剤のみからなる重合性液晶組成物から得られる重合体(ホメオトロピック配向液晶フィルム)は、高分子量である。この重合体は、熱可塑性を有する重合体と熱硬化性を有する重合体の二つに分類される。熱可塑性を有する重合体は、分岐構造の少ない線状の高分子であり、重合反応に寄与する官能基を1つ有する単官能性化合物またはそれを主体とする重合性液晶組成物から得られる。これらの好ましい重量平均分子量は500〜1,000,000であり、より好ましい重量平均分子量は1,000〜500,000であり、特に好ましい重量平均分子量は5,000〜100,000である。熱硬化性を有する重合体は、三次元の網目構造を有する高分子であり、重合反応に寄与する官能基を複数有する多官能性化合物またはそれを主体とする重合性液晶組成物を重合することで、重合度の高い重合体として得られる。これらの重合体は有機溶剤に溶けにくく硬度が高い。これらの重合体の分子量は測定が困難で規定し難いが、無限大に近いことが好ましい。
また、付加成分として、非重合性の液晶性化合物を重合性液晶組成物に添加することもできる。この非重合性の液晶性化合物を含有する重合性液晶組成物を重合させて得られる組成物、すなわち重合体および非重合性の液晶性化合物を含有する組成物を重合体組成物と呼ぶ。得られる重合体組成物(ホメオトロピック配向液晶フィルム)の光学特性には温度依存性が生じる。その結果、重合体組成物の光学特性の温度依存性は広い温度範囲で光学補償の条件を満たすため、例えば広い温度範囲で液晶表示素子の表示特性を向上させることができる。非重合性の液晶性化合物の具体例は、液晶化合物データベースLiqCryst(商品名、LCI Publisher GmbH (Hamburg, Germany))に記載されている。また、重合性化合物のみからなる重合性液晶組成物を重合しても一部未反応の重合性化合物が系内に残存した場合も重合体組成物とする。
重合性液晶組成物には、本発明の効果を損なわない範囲においてその他の重合性化合物を配合することができる。その他の重合性化合物は液晶性でなくてもよい。液晶性でないその他の重合性化合物の好ましい含有量は、重合性液晶化合物の構造やそれらの組成比などによって変動するが、通常、組成物全量を基準とする割合で40重量%以下であることが好ましい。より好ましい範囲は30重量%以下であり、さらに好ましい範囲は20重量%以下である。組成物の液晶性が保たれ、液晶層が層分離しないためには、この割合が40重量%以下であることが好ましい。液晶性でないその他の重合性化合物の例は、エポキシ樹脂などである。エポキシ樹脂の例は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ポリカルボン酸ポリグリシジルエステル、ポリオールポリグリシジルエーテル、脂肪酸系エポキシ樹脂、脂環式系エポキシ樹脂、アミンエポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、ジヒドロキシベンゼン型エポキシ樹脂などである。
上記の重合性液晶組成物は、必要に応じて重合開始剤を添加し、大気中で光照射することにより重合性液晶化合物を重合させて重合体(ホメオトロピック配向液晶フィルム)を得ることができる。なお、光照射時に液晶相が維持される温度範囲で加熱等を行ってもよい。本発明で用いられる重合性液晶組成物は、通常の光カチオン重合開始剤を添加して使用することができる。光カチオン重合開始剤の例は、ジアリールヨードニウム塩(以下DASと略す)、トリアリールスルホニウム塩(以下TASと略す)などである。光カチオン重合を行う場合、式(I)において好ましいPはオキシラニルまたはオキセタニルを有する有機基である。
DASの例は、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスホネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアルセネート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロアセテート、ジフェニルヨードニウム−p−トルエンスルホネート、ジフェニルヨードニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスホネート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムヘキサフルオロアルセネート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムトリフルオロアセテート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウム−p−トルエンスルホナート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムジフェニルヨードニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアルセネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロアセテート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムp−トルエンスルホネート、およびビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムジフェニルヨードニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレートである。
DASには、チオキサントン、フェノチアジン、クロロチオキサントン、キサントン、アントラセン、ジフェニルアントラセン、ルブレンなどの光増感剤を添加することで高感度化することもできる。
TASの例は、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスホネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロアセテート、トリフェニルスルホニウム−p−トルエンスルホネート、トリフェニルスルホニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスホネート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロアセテート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウム−p−トルエンスルホネート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムトリフェニルスルホニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−フェニルチオフェニルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、4−フェニルチオフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスホネート、4−フェニルチオフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、4−フェニルチオフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、4−フェニルチオフェニルジフェニルスルホニウム−p−トルエンスルホネート、および4−フェニルチオフェニルジフェニルスルホニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレートである。
光カチオン重合開始剤の具体的な商品名の例は、UCCの製品のサイラキュアーUVI−6990、サイラキュアーUVI−6974およびサイラキュアーUVI−6992、旭電化工業(株)の製品のアデカオプトマーSP−150、SP−152、SP−170およびSP−172、ローディア(株)の製品のPHOTOINITIATOR2074、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)の製品のイルガキュアー250、GEシリコンズの製品のUV−9380C、およびみどり化学(株)の製品のDTS−102である。
本発明に用いられる重合性液晶組成物は、光カチオン重合開始剤に通常の光ラジカル重合開始剤を併用してハイブリッド重合することもできる。光ラジカル重合開始剤の例は、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)の製品のダロキュアー1173(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン)、イルガキュアー184(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)、イルガキュアー651(2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン)、イルガキュアー500、イルガキュアー2959、イルガキュアー907、イルガキュアー369、イルガキュアー1300、イルガキュアー819、イルガキュアー1700、イルガキュアー1800、イルガキュアー1850、ダロキュアー4265、およびイルガキュアー784である。
光ラジカル重合開始剤のその他の例は、p−メトキシフェニル−2,4−ビス(トリクロロメチル)トリアジン、2−(p−ブトキシスチリル)−5−トリクロロメチル−1,3,4−オキサジアゾール、9−フェニルアクリジン、9,10−ベンズフェナジン、ベンゾフェノン/ミヒラーズケトン混合物、ヘキサアリールビイミダゾール/メルカプトベンズイミダゾール混合物、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2,4−ジエチルキサントン/p−ジメチルアミノ安息香酸メチル混合物、およびベンゾフェノン/メチルトリエタノールアミン混合物である。
本発明に用いられる重合性液晶組成物は、光による塩基増殖反応を利用して重合することもできる(K.Arimitsu, M.Miyamoto, K.Ichimura, Angew. Chem. Int. Ed, 2000, 39, 3425)。光重合開始剤の好ましい添加量は、重合性液晶組成物全量を基準として、0.01〜10重量%である。より好ましい添加量は、0.01〜5重量%である。
重合性液晶組成物には、保存時の重合開始反応を防止するために重合防止剤(重合禁止剤)を添加することができる。公知の重合防止剤を使用できるが、その好ましい例は、2,5−ジ(t−ブチル)ヒドロキシトルエン(BHT)、ハイドロキノン、メチルブルー、ジフェニルピクリン酸ヒドラジド(DPPH)、ベンゾチアジン、4−ニトロソジメチルアニリン(NIDI)、o−ヒドロキシベンゾフェノンなどである。
重合性液晶組成物の保存性を向上させるために、酸素阻害剤(過酸化物分解剤)を重合性液晶組成物に添加することもできる。組成物内で発生するラジカルは雰囲気中の酸素と反応しパーオキシラジカルを経由してパーオキサイドを与え、重合性化合物との好ましくない反応が促進される。これを防ぐ目的で酸素阻害剤を添加することが好ましい。酸素阻害剤の例はリン酸エステル類である。
以下の説明では、重合性液晶組成物から得られる本発明のホメオトロピック配向液晶フィルムを単に液晶フィルムと称することがある。ポリイミド系重合体の溶液をポリイミド系ワニス(varnish)と称することがある。液晶フィルムは、例えば次のようにして形成させることができる。まず、支持基材上にポリイミド系ワニスを塗布して、溶剤を好ましくは50℃〜180℃の温度範囲で乾燥させることにより重合体の被膜を形成する。その後、重合性液晶組成物をこの被膜上に塗布して塗膜を形成させる。つぎに、その塗膜に光照射して重合性液晶組成物中の重合性液晶化合物を重合させ、塗膜中の組成物が液晶状態で形成するネマチック配向が固定化された液晶フィルムが形成される。
支持基材の選択条件は、ポリイミド系ワニスに含有される溶剤成分に侵されないことである。このような支持基材の例として、ガラスの他、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリケトンサルファイド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリアリレート、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリプロピレン、セルロース、トリアセチルセルロースおよびその部分鹸化物、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、脂環式炭化水素樹脂、ノルボルネン樹脂などのプラスティックからなるフィルムを挙げることができる。なお、これらのフィルム上にはポリイミド系ワニスに含まれる溶剤成分に侵されないような保護層を形成してもよく、その場合には、支持基材自身がポリイミド系ワニスに含まれる溶剤成分に侵されるものであっても本発明においては用いることができる。保護層として用いられるものの例は、ポリビニルアルコールである。さらに、保護層と支持基材との密着性を高めるために、これらの層間にアンカーコート層を形成してもよい。このようなアンカーコート層は保護層と支持基材との密着性を高めるものであれば、無機系、有機系のいずれの材料であっても何ら問題はない。
これらのプラスティックフィルムは、一軸延伸フィルムであっても、二軸延伸フィルムであってもよい。これらのプラスティックフィルムは、例えば、コロナ処理やプラズマ処理などの親水化処理、または疎水化処理などの表面処理を施したものであってもよい。また、プラスティックフィルムは、単層フィルムはもちろんのこと積層フィルムであってもよい。プラスティックフィルムに代えて、表面にスリット状の溝をつけたアルミニウム、鉄、銅などの金属基板や、表面をスリット状にエッチング加工したアルカリガラス、ホウ珪酸ガラス、フリントガラスなどのガラス基板などを用いることもできる。
重合性液晶組成物の塗布を容易にするため、または液晶相の配向を制御するために、本発明の効果を損なわない範囲で界面活性剤を重合性液晶組成物に添加してもよい。界面活性剤の例はイミダゾリン、4級アンモニウム塩、アルキルアミンオキサイド、ポリアミン誘導体、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン縮合物、ポリエチレングリコールおよびそのエステル、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸アミン類、アルキル置換芳香族スルホン酸塩、アルキルリン酸塩、脂肪族または芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物、ラウリルアミドプロピルベタイン、ラウリルアミノ酢酸ベタイン、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンアルキルアミン、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、パーフルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル基と親水性基とを有するオリゴマー、パーフルオロアルキル基と親油性基とを有するオリゴマー、およびパーフルオロアルキル基を有するウレタンである。界面活性剤の添加量は、界面活性剤の種類、重合性液晶組成物の組成比などにより異なるが、重合性液晶組成物における重合性液晶化合物の固形分量に対して、20ppm〜5重量%、さらに好ましくは100ppm〜1重量%の範囲である。
支持基材上に形成したポリイミド系重合体の被膜には、重合性液晶組成物の塗膜形成に先立って、ラビング等による物理的、機械的な表面処理が行われていてもよい。ホメオトロピック配向の重合性液晶層および液晶フィルムを形成する場合はラビング等の表面処理を行わない場合が多いが、配向欠陥等を防止する点でラビング処理を行ってもよい。ラビング処理には任意の方法が採用できるが、通常はレーヨン、綿、ポリアミドなどの素材からなるラビング布を金属ロールなどに捲き付け、支持基材または重合体被膜に接した状態でロールを回転させながら移動させる方法、ロールを固定したまま支持基材側を移動させる方法などが採用される。
液晶フィルムを製造する際には、重合性液晶組成物をそのまま用いてもよいが、これに溶剤を加えてから溶液として塗布または成形した後に、溶剤を除去して薄膜を製造してもよい。溶剤の好ましい例は、ベンゼン、トルエン、ヘプタン、キシレン、メシチレン、n−ブチルベンゼン、ジエチルベンゼン、テトラリン、メトキシベンゼン、1,2−ジメトキシベンゼン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、酢酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタン、テトラクロロエチレン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、THF、クロロホルム、1,4−ジオキサン、ビス(メトキシエチル)エーテル、γ−ブチロラクトン、テトラメチル尿素、トリフルオロ酢酸、トリフルオロ酢酸エチル、ヘキサフルオロ−2−プロパノール、エタノール、2−プロパノール、t−ブチルアルコール、ジアセトンアルコール、グリセリン、モノアセチン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、ヘキシレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ、PGMEA、γ−ブチロラクトン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミドジメチルアセタール、ジメチルホルムアミドなどである。これらは、単独溶剤または複数の混合溶剤として用いることができる。
これらの溶剤は本発明で用いられるポリイミド系重合体被膜を侵食しない条件で用いればよいが、特に好ましい溶剤は、ベンゼン、トルエン、ヘプタン、キシレン、メシチレン、n−ブチルベンゼン、ジエチルベンゼン、テトラリン、メトキシベンゼン、1,2−ジメトキシベンゼン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、酢酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタン、テトラクロロエチレン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、THF、クロロホルム、1,4−ジオキサン、ビス(メトキシエチル)エーテル、γ−ブチロラクトン、テトラメチル尿素、トリフルオロ酢酸、トリフルオロ酢酸エチル、ヘキサフルオロ−2−プロパノール、エタノール、2−プロパノール、t−ブチルアルコール、ジアセトンアルコール、グリセリン、モノアセチン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、ヘキシレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ、PGMEA等である。もちろん、これらは単独溶剤または複数の混合溶剤として用いることができる。
重合性液晶組成物を溶液としてポリイミド系重合体被膜に塗布する場合、均一に塗布する方法は、スピンコート法、ロールコート法、カテンコート法、フローコート法、プリント法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、ワイヤーバーコード法、ディップコート法、スプレーコート法、メニスカスコート法などである。この際、ハジキ等の塗工不良が生じる場合には、後述するポリイミド系重合体被膜の重合体構成成分であるジアミンモノマーの構造や組成比の最適化を行うと改善される場合がある。特にジアミンモノマーのうち側鎖基を有するジアミンの使用量を低減、側鎖基の長さを短くする、隣接するジアミン側鎖間の距離を長くすることにより改善される場合がある。
液晶フィルムの膜厚を均一に得るための塗布方法の例は、スピンコート法、ロールコート法、カテンコート法、フローコート法、プリント法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、ワイヤーバーコード法、ディップコート法、スプレーコート法、メニスカスコート法などである。特に、塗布時に重合性液晶組成物に剪断応力がかかるワイヤーバーコート法等を、ラビング等による支持基材の表面処理を行わないで重合性液晶組成物の配向を制御する場合に用いてもよい。
支持基材上に重合体の被膜を形成することができるポリイミド系ワニスは、ポリアミック酸、ポリアミック酸アミド、ポリアミック酸エステル、可溶性ポリイミド、ポリアミドイミドなどの重合体成分を溶剤に溶解した状態のワニス組成物である。このワニス組成物を支持基材上に塗布したのち、溶剤を乾燥すると重合体の被膜が形成される。重合体被膜を構成する重合体成分は、ランダム共重合体、ブロック共重合体などの共重合体であってもよく、複数種の重合体成分を併用してもよい。
重合体被膜を形成するために好ましいポリイミド系重合体は、アミド結合、イミド結合、イミド化反応残基であるカルボキシル基、またはこのカルボキシル基がアミド化された基もしくはこのカルボキシル基がエステル化された基を有する重合体である。このような重合体の好ましい例は、ポリアミック酸、ポリアミック酸アミド、およびポリアミック酸エステルである。しかしながら本発明においては、これらの好ましい重合体の他、ポリアミック酸の脱水反応などによって得られる可溶性ポリイミド、またはポリアミドイミドを用いることもできる。これらのうち、より好ましいものは、ポリアミック酸およびポリアミック酸アミドであり、最も好ましいものはポリアミック酸である。
上記のポリアミック酸、ポリアミック酸アミド、ポリアミック酸エステル、可溶性ポリイミド、またはポリアミドイミドを得るために用いるテトラカルボン酸二無水物は、芳香環に直接ジカルボン酸無水物が結合した芳香族系(複素芳香環系を含む)、芳香環に直接ジカルボン酸無水物が結合していない脂肪族系(複素環系を含む)のいずれの群に属するものであってもよい。
本発明で用いられる芳香族系テトラカルボン酸二無水物の具体例は、以下のとおりである。
Figure 0004412084
本発明で用いられる脂肪族系テトラカルボン酸二無水物の具体例は、以下のとおりである。
Figure 0004412084
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これらの中で、式1、式2、式13、式17、式18、式19、式20、式27、式28、および式29で表されるテトラカルボン酸二無水物が好ましい。さらに好ましくは式1、式13、式17、式19、式20、および式29で表されるテトラカルボン酸二無水物である。
本発明で用いられるテトラカルボン酸二無水物はこれらに限定されることなく、本発明の目的が達成される範囲内で他にも種々の形態が存在することはいうまでもない。また、これらのテトラカルボン酸二無水物は単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記のテトラカルボン酸二無水物と組み合わせて反応させるジアミンの具体例は以下のとおりである。下記の具体例中におけるnは1〜20の整数である。Rは水素または炭素数1〜20のアルキルであり、このアルキルにおいて任意の−CH−は−O−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよい。シクロヘキサン環およびベンゼン環の任意の水素は、ハロゲンまたは炭素数1〜5のアルキルで置き換えられてもよい。
Figure 0004412084
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Figure 0004412084
Figure 0004412084
Figure 0004412084
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これらの中で、式5、式6、式9、式10、式11、式12、式13、式14、式15、式16、式17、式18、式19、式20、式30、式35、式39、式40、式41、式42、式43、および式56で表されるジアミンが好ましい。さらに好ましくは、直鎖状のアルキレンを有する式12、式13、式14、式15、式16、式17、式18、式19、式20、および式39で表される芳香族ジアミンの中でnが2〜10の整数であるジアミン、またはベンゼン環のメタ位にアミノを有する式6および式43で表されるジアミン、ベンゼン環の3,3’−位にアミノを有する式10、式13、式16および式20で表されるジアミン、ベンゼン環の3,4’−位にアミノを有する式11および式14で表されるジアミンである。これらのジアミンを用いることにより、均一なホメオトロピック配向が得られやすい。
さらに、コレステリル、アンドロステリル、β−コレステリル、エピアンドロステリル、エリゴステリル、エストリル、11−α−ヒドロキシメチルステリル、11−α−プロゲステリル、ラノステリル、メチルテストロステリル、ノレチステリル、プレグネノニル、β−シトステリル、スチグマステリル、テストステリル、酢酸コレステロ−ルエステルなどのステロイド骨格の側鎖を有するジアミンを挙げることができる。
さらに、本発明で用いられる上記のジアミンと併用することができるその他のジアミンとして、シロキサン結合を有するシロキサン系ジアミンを挙げることができる。該シロキサン系ジアミンは特に限定されるものではないが、式(IV)で表されるものが本発明において好ましく使用することができる。
Figure 0004412084
式中、RおよびRはそれぞれ独立して、炭素数1〜3のアルキルまたはフェニルであり、Rはメチレン、フェニレンまたはアルキル置換されたフェニレンである。xは1〜6の整数であり、yは1〜10の整数である。
本発明で用いられるジアミンはこれらに限定されることなく、本発明の目的が達成される範囲内で他にも種々の形態が存在することはいうまでもない。また、これらのジアミンは単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
一方、本発明で用いられるジアミンについても前述したテトラカルボン酸二無水物と同様に、芳香環に直接アミノ基が結合した芳香族系(複素芳香環系を含む)、芳香環に直接アミノ基が結合していない脂肪族系(複素環系を含む)のいずれの群に属するものであってもよい。
さらに、これらのテトラカルボン酸二無水物およびジアミン以外に、ポリアミック酸または可溶性ポリイミドの反応末端を形成するためのモノアミン化合物、または/およびモノカルボン酸無水物を併用することも可能である。ガラス等の支持基材への密着性をよくするために、アミノシリコン化合物を使用することもできる。
アミノシリコン化合物の例は、パラアミノフェニルトリメトキシシラン、パラアミノフェニルトリエトキシシラン、メタアミノフェニルトリメトキシシラン、メタアミノフェニルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシランなどである。
本発明で用いられるポリアミック酸、ポリアミック酸アミド、ポリアミック酸エステル、可溶性ポリイミド、またはポリアミドイミドの分子量は、例えばゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)で、好ましくは10,000〜500,000、さらに好ましくは20,000〜200,000である。
本発明で用いられるポリイミド系ワニス中の重合体成分の濃度は、特に限定されないが0.1〜40重量%が好ましい。該ワニスを支持基材上に塗布するときには、膜厚調整のため含有されている重合体成分を予め溶剤により希釈する操作が必要とされることがある。重合体成分の濃度が40重量%以下であるとワニスの粘度が最適となり、膜厚調整のためにワニスを希釈する必要があるときに、ワニスに対して溶剤を容易に混合できるため好ましい。スピンナ−法や印刷法のときには膜厚を良好に保つために、通常10重量%以下とすることが多い。その他の塗布方法、例えばディッピング法やインクジェット法ではさらに低濃度とすることもあり得る。一方、重合体成分の濃度が0.1重量%以上であると、得られる重合体被膜の膜厚が最適となり易い。従って重合体成分の濃度は、通常のスピンナ−法や印刷法などでは0.1重量%以上、好ましくは0.5〜10重量%である。しかしながら、該ワニスの塗布方法によっては、さらに希薄な濃度で使用してもよい。
本発明で用いられるポリイミド系ワニスにおいて前記重合体成分と共に用いられる溶剤は、重合体成分を溶解する能力を持った溶剤であれば適用可能である。かかる溶剤は、ポリアミック酸、ポリアミック酸アミド、ポリアミック酸エステル、可溶性ポリイミド、ポリアミドイミドなどの高分子成分の製造工程や用途方面で通常使用されている溶剤を広く含み、使用目的に応じて、適宜選択できる。これらの溶剤の例は以下のとおりである。ポリアミック酸、ポリアミック酸アミド、ポリアミック酸エステル、可溶性ポリイミド、およびポリアミドイミドに対し親溶剤である非プロトン性極性有機溶剤の例は、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルイミダゾリジノン、N−メチルカプロラクタム、N−メチルプロピオンアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、ジエチルアセトアミド、γ−ブチロラクトンなどのラクトンである。塗布性改善などを目的とした他の溶剤の例は、乳酸アルキル、3−メチル−3−メトキシブタノール、テトラリン、イソホロン、エチレングリコールモノブチルエーテルなどのエチレングリコールモノアルキルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルなどのジエチレングリコールモノアルキルエーテル、エチレングリコールモノアルキルまたはフェニルアセテート、トリエチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルなどのプロピレングリコールモノアルキルエーテル、マロン酸ジエチルなどのマロン酸ジアルキル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのジプロピレングリコールモノアルキルエーテル、これらアセテート類などのエステル化合物である。これらの中で、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルイミダゾリジノン、γ−ブチロラクトン、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルなどを特に好ましく用いることができる。
本発明で用いられるポリイミド系ワニスは、必要により各種の添加剤を含むことができる。例えば、塗布性の向上を望むときにはかかる目的に沿った界面活性剤を、帯電防止の向上を必要とするときは帯電防止剤を、また支持基材との密着性の向上を望むときにはシランカップリング剤やチタン系のカップリング剤を配合してもよい。
ワニス塗布工程での塗布方法としてはスピンナー法、印刷法、ディッピング法、滴下法、インクジェット法などが一般に知られている。これらの方法は本発明においても同様に適用可能である。また、乾燥工程および脱水・閉環反応に必要な加熱処理を施す工程の方法として、オーブンまたは赤外炉の中で加熱処理する方法、ホットプレート上で加熱処理する方法などが一般に知られている。これらの方法も本発明において同様に適用可能である。
ポリイミド系ワニスの脱水・閉環反応(イミド化反応)率は、可能な範囲で低くすることがホメオトロピック配向性を促進させるために本発明では好ましい。ポリイミド系重合体被膜のイミド化率は45%〜0%、より好ましくは、35%〜0%、さらに好ましくは20%〜0%の範囲であるとよい。この範囲内のイミド化率の場合、理由は明確ではないがポリイミド系重合体被膜中のカルボキシル基やアミド結合等の極性基の割合が増加し、非重合性の極性基を有する重合性液晶とポリイミド系重合体被膜の相互作用が強まり、その結果として重合性液晶のホメオトロピック配向が得られやすくなると考えられる。よって、ワニス塗布後の乾燥工程は溶剤の蒸発が可能な範囲内の比較的低温で実施することが好ましい。加熱処理の工程は重合性液晶のホメオトロピック配向性を促進させるため低い温度であることが好ましく、40℃〜180℃の温度範囲で行うことが好ましい。より好ましくは、50℃〜150℃、さらに好ましくは、70℃〜120℃で行うことが好ましい。さらに、このイミド化率を低く抑える別の手段として、ポリアミック酸のカルボキシル基の一部をイミド化反応に先立ってエステル化するかまたはアミド化する方法を採用してもよい。上記のポリアミック酸アミドおよびポリアミック酸エステルはこのようにして得られる重合体である。
支持基材上に形成したポリイミド系重合体被膜へ重合性液晶組成物を塗布するために溶剤を用いた場合は、塗布後に溶剤を乾燥除去して、ポリイミド系重合体被膜上に膜厚の均一な重合性液晶組成物の塗膜層を形成させる。溶剤除去の条件は特に限定されない。溶剤がおおむね除去され、塗膜層の流動性がなくなるまで乾燥すればよい。室温での風乾、ホットプレートでの乾燥、乾燥炉での乾燥、温風や熱風の吹き付けなどを利用して溶剤を除去することができる。重合性液晶組成物に用いる化合物の種類と組成比によっては、塗膜を乾燥する過程で、塗膜中の重合性液晶組成物のネマチック配向が完了していることがある。従って、乾燥工程を経た塗膜は、後述する熱処理工程を経由することなく、重合工程に供することができる。しかしながら、塗膜中の液晶分子の配向をより均一化させるためには、乾燥工程を経た塗膜を熱処理し、その後に光重合処理することが好ましい。
塗膜を熱処理する際の温度および時間、光照射に用いられる光の波長、光源から照射する光の量などは、重合性液晶組成物に用いる化合物の種類と組成比、光重合開始剤の添加の有無やその添加量などによって、好ましい範囲が異なる。従って、以下に説明する塗膜の熱処理の温度および時間、光照射に用いられる光の波長、および光源から照射する光の量についての条件は、あくまでもおよその範囲を示すものである。
塗膜の熱処理は、重合性液晶組成物の液晶相転移点以上で行われる。熱処理方法の一例は、前記重合性液晶組成物がネマチック液晶相を示す温度まで塗膜を加温して、塗膜中の重合性液晶組成物にネマチック配向を形成させる方法である。重合性液晶組成物がネマチック液晶相を示す温度範囲内で、塗膜の温度を変化させることによってネマチック配向を形成させてもよい。この方法は、上記温度範囲の高温度領域まで塗膜を加温することによって塗膜中にネマチック配向を概ね完成させ、次いで温度を下げることによってさらに秩序だった配向にする方法である。上記のどちらの熱処理方法を採用する場合でも、好ましい熱処理温度は室温〜120℃である。この温度のより好ましい範囲は室温〜80℃であり、さらに好ましい範囲は室温〜70℃である。好ましい熱処理時間は5秒〜2時間である。この時間のより好ましい範囲は10秒〜40分であり、さらに好ましい範囲は20秒〜20分である。重合性液晶組成物からなる層の温度を所定の温度まで上昇させるためには、熱処理時間を5秒以上にすることが好ましい。生産性を低下させないためには、熱処理時間を2時間以内にすることが好ましい。
塗膜中に形成された重合性液晶組成物のネマチック配向状態は、光照射により塗膜中の重合性液晶化合物を重合することによって固定化される。光照射に用いられる光の波長は特に限定されない。電子線、紫外線、可視光線、赤外線(熱線)などを利用することができる。通常は、紫外線または可視光線を用いればよい。波長の好ましい範囲は150〜500nmである。より好ましい範囲は250〜450nmであり、さらに好ましい範囲は300〜400nmである。光源の例は、低圧水銀ランプ(殺菌ランプ、蛍光ケミカルランプ、ブラックライト)、高圧放電ランプ(高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ)、ショートアーク放電ランプ(超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、水銀キセノンランプ)などである。光源の好ましい例は、メタルハライドランプやキセノンランプ、および高圧水銀ランプである。光源と重合性液晶組成物の塗膜層との間にフィルターなどを設置して特定の波長領域のみを通すことにより、照射光源の波長領域を選択してもよい。光源から照射する光量の好ましい範囲は、2〜5000mJ/cm2である。より好ましい範囲は10〜3000mJ/cm2であり、さらに好ましい範囲は100〜2000mJ/cm2である。光照射時の温度条件は、上記の熱処理温度と同様に設定されることが好ましい。
重合性液晶組成物からなる配向層、および該配向層を光や熱などにより重合させた液晶フィルムを様々な光学素子に用いる場合、または液晶表示装置に用いる光学補償素子として適用する場合には、厚み方向におけるチルト角の分布の制御が極めて重要となる。
チルト角を制御する方法の1つは、重合性液晶組成物に用いる液晶性化合物の種類や組成比などを調整する方法である。この重合性液晶組成物に他の成分を添加することによっても、チルト角を制御することができる。液晶フィルムのチルト角は、重合性液晶組成物に加える溶剤の種類や重合性液晶組成物の溶液中の溶質濃度、他の成分の1つとして加える界面活性剤の種類や添加量などによっても制御することができる。支持基材またはポリイミド系重合体被膜の種類やラビング条件、塗膜の乾燥条件や熱処理条件などによっても、液晶フィルムのチルト角を制御することができる。さらに、配向後の光重合工程での照射雰囲気や照射時の温度なども液晶フィルムのチルト角に影響を与える。即ち、液晶フィルムの製造プロセスにおけるほとんど全ての条件が多少なりともチルト角に影響を与えると考えてよい。従って、重合性液晶組成物の最適化と共に、液晶フィルムの製造プロセスの諸条件を適宜選択することにより、任意のチルト角にすることができる。
ホメオトロピック配向は、チルト角が支持基材界面から自由界面にかけて一様に85°〜90°に分布している。この配向状態は、本発明に用いられる重合性のエポキシを有する基および非重合性の極性基を有する重合性液晶化合物を、支持基材上で低温焼成したポリイミド系重合体被膜上に塗工することにより得られる。安定して、均一なホメオトロピック配向を得るためには、重合性のエポキシを有する基および非重合性の極性基を有する重合性液晶化合物を重合性液晶組成物全量の5〜100重量%とすることが好ましいが、液晶フィルムの耐熱性等の機械的特性を保持するためには、10〜50重量%程度にすることが好ましい。ポリイミド系重合体被膜の焼成温度は、低いほど安定したホメオトロピック配向を得ることができ180℃以下の温度で焼成することが好ましく、70〜150℃で焼成することがより好ましい。液晶表示素子等で用いられるポリイミド系重合体被膜の焼成温度は、低くても通常180℃以上、一般的には200℃以上の高温で焼成される。このような高温ではホメオトロピック配向を得ることができない場合が多いので注意が必要である。また、ポリイミド系重合体被膜の重合体の原料成分であるジアミンには、側鎖を有するジアミンがあるが、これらのジアミンを多く含有しすぎると、重合性液晶の塗工不良が起きる場合がある。このような場合には、側鎖を有するジアミンを用いない重合体とする、または側鎖を有するジアミンの含有量を極力減らすなどの最適化により改善することができる。このようなホメオトロピック配向は、支持基材上に形成された重合体被膜の表面がラビング等で機械的、物理的に処理が行われなくても得ることができる。ラビング処理を行わないで塗膜した際に配向欠陥等が生じたりする場合は、ラビング処理等を行うと均一なホメオトロピック配向が得られる。
液晶フィルムの厚さは、目的とする素子に応じたレタデーションや液晶フィルムの複屈折率によって好ましい厚さが異なる。従って、その範囲を厳密に決定することはできないが、好ましい液晶フィルムの厚さは、0.05〜50μmである。そして、より好ましい範囲は0.1〜20μmであり、さらに好ましい範囲は0.5〜10μmである。液晶フィルムの好ましいヘーズ値は1.5%以下であり、好ましい透過率は80%以上である。より好ましいヘーズ値は1.0%以下であり、より好ましい透過率は95%以上である。透過率については、可視光領域でこれらの条件を満たすことが好ましい。
液晶フィルムは、液晶表示素子(特に、アクティブマトリックス型およびパッシブマトリックス型の液晶表示素子)に適用する光学補償素子として有効である。この液晶フィルムを光学補償膜として使用するのに適している液晶表示素子の型の例は、TN型(ツィステッドネマティック)、STN型(スーパーツィステッドネマティック)、ECB型(電気的に制御された複屈折)、OCB型(光学的に補償された複屈折)、DAP型(整列相の変形効果)、CSH型(カラー スーパーホメオトロピック)、VAN/VAC型(垂直配向したネマチック/コレステリック)、OMI型(光学モード干渉)、SBE型(超複屈折効果)などである。さらにゲスト−ホスト型、IPS型(イン・プレーン・スイッチング)、強誘電性型、反強誘電性型などの表示素子用の位相レターダーとして、この液晶フィルムを使用することもできる。なお、液晶フィルムに求められるチルト角の厚み方向の分布や厚みなどのパラメーターの最適値は、補償すべき液晶表示素子の種類とその光学パラメーターに強く依存するので、素子の種類によって異なる。
液晶フィルムは、偏光板などと一体化した光学素子としても使用することができ、この場合は液晶セルの外側に配置させられる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
ポリイミド系ワニスの分子量の測定にはGPCを用い、ポリスチレンを標準溶液とし、溶出液としてDMFを用いた。実施例において用いる記号の意味は次の通りである。
DDM:4,4’−ジアミノジフェニルメタン
DDEt:4,4’−ジアミノジフェニルエタン
APM−CH:1、1−ビス(4−((4−アミノフェニル)メチル)フェニル)−4−ヘプチルシクロヘキサン
DABD:5−(4−(4−(4−ペンチルシクロヘキシル)シクロヘキシル)フェニル)メチル−1,3―ジアミノベンゼン
CBDA:シクロブタンテトラカルボン酸二無水物
PMDA:ピロメリット酸二無水物
NMP:N−メチル−2−ピロリドン
BC:ブチルセロソルブ
以下に、実施例で行った評価法を示す。
(1)重合性液晶組成物の重合条件:大気中または窒素雰囲気下において、室温で250Wの超高圧水銀灯を用いて30mW/cm(365nm)の強度の光を30秒間照射した。
(2)液晶配向ベクトルの確認:回転可能な偏光子および検光子で回転/傾斜ステージを挟んだ光学系を用いて、得られた液晶フィルムを回転/傾斜ステージに設置し、フィルム面に対して垂直方向から傾斜させながらレタデーションを測定し確認した。また、ホメオトロピック配向の均一性は、2枚の偏光板をクロスニコルの状態にし、その間に液晶フィルムを入れ、正面から観察した場合に、液晶の配向欠陥由来の光りぬけが目視で確認されないとき(暗視野)を均一配向の状態とした。なお、支持基材にはガラス基板を用い、評価サンプルは、ポリアミック酸からなる重合体被膜上に重合性液晶組成物を塗膜・配向させ、上記重合条件下で重合させることによって得た。
(3)イミド化率の測定:イミド化率の測定に当たっては別途280℃で30分間加熱して作成したポリイミド系重合体被膜のFT−IRを測定し、1770cm-1付近のイミド基の吸収スペクトルと1500cm-1付近のフェニル基の吸収スペクトルとの面積比(Abs1770/Abs1500)の値をイミド化率100%の場合の値とし、各温度で30分間加熱した場合の面積比(Abs1770/Abs1500)の値の相対値からイミド化率を求めた。
(4)フィルムの厚さの測定:3次元表面粗さ測定器(SE−30K (株)小坂研究所製)を用いて行った。
実施例1
ポリアミック酸ワニスの調製(1)
200ml−4つ口フラスコにDDM(3.02g;1.52×10−2mol)および脱水NMP(54.0g)を仕込み、乾燥窒素気流下で攪拌して溶解させ、溶液温度を5℃に下げた。これに、CBDA(2.98g;1.52×10−2mol)を加えて30時間反応させた。このとき、反応系の温度は特にコントロールしなかった。最後に、BC(40.0g)を加えて、重合体成分の濃度が6.0重量%のポリアミック酸ワニスを調製した。これをポリアミック酸ワニスA1とする。なお、本発明の実施例では、粘度をチェックしながら増粘反応を進行させた。そして、粘度の増加が少なくなった時点でBCを添加して、増粘反応の進行を止めた。BCを添加後、加熱することによってワニスの粘度を調整し、55〜65mPa・sになったところで加熱操作を停止した。粘度の測定にはE型粘度計を使用し、25℃で測定した。そして、得られたワニスは低温にて保存した。得られたポリアミック酸の重量平均分子量は50,000であった。なお、重量平均分子量は、島津製作所製GPC測定装置(クロマトパックC−R7A)を用いてカラム温度50℃にて測定した。
実施例2
ポリアミック酸ワニスの調製(2)
ジアミンとしてDDMの代わりにDDEt(1.07g;5.02×10−3mol)およびAPM−CH(2.74g;5.02×10−3mol)、テトラカルボン酸二無水物としてCBDAの代わりにPMDA(2.19g;1.00×10−2mol)を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてワニスを調製した。これをポリアミック酸ワニスA2とする。得られたポリアミック酸の重量平均分子量は60,000であった。
実施例3
ポリアミック酸ワニスの調製(3)
ジアミンとしてDDMの代わりにDABD(3.99g;9.22×10−3mol)、テトラカルボン酸二無水物としてCBDAの代わりにPMDA(2.01g;9.22×10−3mol)を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてワニスを調製した。これをポリアミック酸ワニスA3とする。得られたポリアミック酸の重量平均分子量は63,000であった。
実施例4
ポリアミック酸ワニスの調製(4)
ポリアミック酸ワニスA1とポリアミック酸ワニスA2とを、それぞれに含まれる重合体成分の重量比がA1:A2=9:1になるように混合し、ポリアミック酸ワニスA4を得た。
実施例5
ポリアミック酸ワニスの調製(5)
ポリアミック酸ワニスA1とポリアミック酸ワニスA3とを、それぞれに含まれる重合体成分の重量比がA1:A3=9:1になるように混合し、ポリアミック酸ワニスA5を得た。
実施例6
<重合性液晶組成物−1[MIX−1]の調製>
Figure 0004412084
上記の組成物にトルエンとシクロヘキサノンの混合溶剤(混合比(重量比)はトルエン/シクロヘキサノン=2/1)を加えて、20重量%溶液とした。このようにして得られた組成物を重合性液晶組成物−1[MIX1]とする。
なお、DTS−102は、みどり化学(株)の光カチオン重合開始剤の製品を表す。
実施例7
<重合性液晶組成物−2[MIX−2]の調製>
Figure 0004412084
上記の組成物にトルエンとシクロヘキサノンの混合溶剤(混合比(重量比)はトルエン/シクロヘキサノン=2/1)を加えて、20重量%溶液とした。このようにして得られた組成物を重合性液晶組成物−2[MIX−2]とする。
実施例8
<重合性液晶組成物−3[MIX−3]の調製>
Figure 0004412084
上記の組成物にトルエンとシクロヘキサノンの混合溶剤(混合比(重量比)はトルエン/シクロヘキサノン=2/1)を加えて、20重量%溶液とした。このようにして得られた組成物を重合性液晶組成物−3[MIX−3]とする。
実施例9
<重合性液晶組成物−4[MIX−4]の調製>
Figure 0004412084
上記の組成物にトルエンとシクロヘキサノンの混合溶剤(混合比(重量比)はトルエン/シクロヘキサノン=2/1)を加えて、20重量%溶液とした。このようにして得られた組成物を重合性液晶組成物−4[MIX−4]とする。
実施例10
<重合性液晶組成物−5[MIX−5]の調製>
Figure 0004412084
上記の組成物にトルエンとシクロヘキサノンの混合溶剤(混合比(重量比)はトルエン/シクロヘキサノン=2/1)を加えて、20重量%溶液とした。このようにして得られた組成物を重合性液晶組成物−5[MIX−5]とする。
実施例11
実施例1で得られたポリアミック酸ワニスA1をスピンコート法によりガラス基板上に塗布し、80℃で3分間予備焼成した後、110℃で30分間加熱(本焼成)することで重合体被膜を形成した。得られた重合体被膜のイミド化率は5%であった。イミド化率が100%未満であることから、重合体被膜の重合体分子鎖中にカルボキシル基を有することを確認した。次に重合性液晶組成物−1をスピンコート法によりラビング等の表面処理を行っていない重合体被膜上に塗布し、70℃で3分間加熱することで溶剤を除去し、紫外線により大気中で重合性液晶化合物を重合させることにより、均一なホメオトロピック配向を有する光学フィルム(ホメオトロピック配向液晶フィルム)を得た(フィルム厚さ:0.8μm)。2枚の偏光板をクロスニコル状態にして、得られた光学フィルムをはさんだところ暗視野であり、この光学フィルムをフィルム面に対して垂直方向から傾斜させながらレタデーションを測定したところ、図1のような結果であった。
実施例12
重合性液晶組成物−1を重合性液晶組成物−2とした以外は実施例11と同様にして行ったところ、均一なホメオトロピック配向を有する光学フィルムを得た(フィルム厚さ:0.8μm)。この光学フィルムのレタデーションの傾斜角依存性は実施例11と同様の傾向であった。
実施例13
重合性液晶組成物−1を重合性液晶組成物−3とした以外は実施例11と同様にして行ったところ、均一なホメオトロピック配向を有する光学フィルムを得た(フィルム厚さ:0.8μm)。この光学フィルムのレタデーションの傾斜角依存性は実施例11と同様の傾向であった。
実施例14
重合性液晶組成物−1を重合性液晶組成物−4とした以外は実施例11と同様にして行ったところ、均一なホメオトロピック配向を有する光学フィルムを得た(フィルム厚さ:0.8μm)。この光学フィルムのレタデーションの傾斜角依存性は実施例11と同様の傾向であった。
実施例15
重合性液晶組成物−1を重合性液晶組成物−5とした以外は実施例11と同様にして行ったところ、均一なホメオトロピック配向を有する光学フィルムを得た(フィルム厚さ:0.8μm)。この光学フィルムのレタデーションの傾斜角依存性は実施例11と同様の傾向であった。
参考例16
ポリアミック酸ワニスA1をポリアミック酸ワニスA4とした(得られた重合体被膜のイミド化率は8%であった)以外は実施例11と同様にして行ったところ、均一なホメオトロピック配向を有する光学フィルムを得た(フィルム厚さ:0.8μm)。この光学フィルムのレタデーションの傾斜角依存性は実施例11と同様の傾向であった。
参考例17
ポリアミック酸ワニスA1をポリアミック酸ワニスA4とし、重合性液晶組成物−1を重合性液晶組成物−2とした以外は実施例11と同様にして行ったところ、均一なホメオトロピック配向を有する光学フィルムを得た(フィルム厚さ:0.8μm)。この光学フィルムのレタデーションの傾斜角依存性は実施例11と同様の傾向であった。
参考例18
ポリアミック酸ワニスA1をポリアミック酸ワニスA4とし、重合性液晶組成物−1を重合性液晶組成物−3とした以外は実施例11と同様にして行ったところ、均一なホメオトロピック配向を有する光学フィルムを得た(フィルム厚さ:0.8μm)。この光学フィルムのレタデーションの傾斜角依存性は実施例11と同様の傾向であった。
実施例19
ポリアミック酸ワニスA1の本焼成温度を150℃で30分間とした(得られた重合体被膜のイミド化率は15%であった)こと以外は実施例11と同様にして行ったところ、均一なホメオトロピック配向を有する光学フィルムを得た(フィルム厚さ:0.8μm)。この光学フィルムのレタデーションの傾斜角依存性は実施例11と同様の傾向であった。
実施例20
重合性液晶組成物−1を重合性液晶組成物−2としたこと以外は実施例19と同様にして行ったところ、均一なホメオトロピック配向を有する光学フィルムを得た(フィルム厚さ:0.8μm)。この光学フィルムのレタデーションの傾斜角依存性は実施例11と同様の傾向であった。
実施例21
重合性液晶組成物−1を重合性液晶組成物−3としたこと以外は実施例19と同様にして行ったところ、均一なホメオトロピック配向を有する光学フィルムを得た(フィルム厚さ:0.8μm)。この光学フィルムのレタデーションの傾斜角依存性は実施例11と同様の傾向であった。
比較例1
化合物(2−1−85)または化合物(2−1−115)を含まないこと以外は実施例11または実施例14と同様にして、液晶フィルム(フィルム厚さ:0.8μm)を作製したところ、液晶は配向せず、フィルムも白濁しており外観に問題があった。
比較例2
化合物(2−1−3)、化合物(1−1−3)または化合物(1−1−138)を含まないこと以外は実施例12、実施例13または実施例15と同様にして、液晶フィルム(フィルム厚さ:0.8μm)を作製したところ、液晶は配向せず、フィルムも白濁しており外観に問題があった。
比較例3
化合物(2−1−85)を含まないこと以外は参考例16と同様にして、液晶フィルム(フィルム厚さ:0.8μm)を作製したところ、液晶は配向せず、フィルムも白濁しており外観に問題があった。
比較例4
化合物(2−1−3)または化合物(1−1−3)を含まないこと以外は参考例17または参考例18と同様にして、液晶フィルム(フィルム厚さ:0.8μm)を作製したところ、液晶は配向せず、フィルムも白濁しており外観に問題があった。
比較例5
化合物(2−1−85)を含まないこと以外は実施例19と同様にして、液晶フィルム(フィルム厚さ:0.8μm)を作製したところ、液晶は配向せず、フィルムも白濁しており外観に問題があった。
比較例6
化合物(2−1−3)または化合物(1−1−3)を含まないこと以外は実施例20または実施例21と同様にして、液晶フィルム(フィルム厚さ:0.8μm)を作製したところ、液晶は配向せず、フィルムも白濁しており外観に問題があった。
比較例7
ポリアミック酸ワニスA1の本焼成温度を210℃で30分間行った(得られた重合体被膜のイミド化率は75%であった)こと以外は実施例11と同様にして行い、液晶フィルム(フィルム厚さ:0.8μm)を作製したところ、液晶は配向せず、フィルムも白濁しており外観に問題があった。
比較例8〜9
ポリアミック酸ワニスA1の本焼成温度を210℃で30分間行い、重合性液晶組成物−1を重合性液晶組成物−2または重合性液晶組成物−3とした以外は実施例11と同様にして行い、液晶フィルム(フィルム厚さ:0.8μm)を作製したところ、液晶は配向せず、フィルムも白濁しており外観に問題があった。
比較例10
ポリアミック酸ワニスA1の代わりにポリアミック酸ワニスA5を用いた以外は実施例11と同様にして行い液晶フィルムの作製を試みたところ、重合性液晶組成物のハジキ等が確認され、塗工性に問題があり、液晶フィルムは得られなかった。
上記の実施例、参考例および比較例の結果を表1に示す。表1によると、本発明に用いられる重合性液晶組成物およびポリイミド系重合体を低温で焼成することで形成された重合体被膜で、系を構成することによって得られた本発明の光学フィルムが、均一なホメオトロピック配向を形成することがわかる。また、ポリアミック酸ワニスを構成する側鎖付ジアミンモノマーの構造の違い、隣り合う側鎖間の距離の違いにより、重合体被膜上への重合性液晶組成物の塗工性が影響を受けることが分かる。
Figure 0004412084

以 上
本発明により、均一なホメオトロピック配向を有する液晶フィルムを得ることができ、ラビング等の表面処理が行われていない重合体被膜を有する支持基材にも適用することができる。
実施例11で得られた光学フィルムについて、フィルム面に対して垂直方向から傾斜させながらレタデーションを測定した結果を示す。

Claims (23)

  1. 重合性のエポキシを有する基および非重合性の極性基を有する重合性液晶化合物を含有する重合性液晶組成物を、重合体被膜の重合体分子鎖中にカルボキシル基およびアミノ基から選択された少なくとも1つの極性基を有するポリイミド系重合体の溶液を用いて形成された重合体被膜を有する支持基材上に塗布し、重合性液晶化合物を重合して得られるホメオトロピック配向液晶フィルムであり、前記ポリイミド系重合体が側鎖を有するジアミンを用いない重合体である、ホメオトロピック配向液晶フィルム
  2. 重合性液晶化合物が、式(I)で表される化合物である、請求項1に記載のホメオトロピック配向液晶フィルム。
    Figure 0004412084
    ここに、Pは重合性のエポキシを有する基であり;
    Spは炭素数1〜20のアルキレンであり、炭素数が2以上であるときには、このアルキレン中の隣接しない−CH−は−O−で置き換えられていてもよく;
    Gは単結合、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−COO−、−SO−O−、−O−SO−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−C≡C−COO−、−OCO−C≡C−、−(CHO−、−O(CH−、−CH=CH−CHO−、−OCH−CH=CH−、−(CH−CFO−、または−OCF−(CH−であり;
    rは0または1であり;
    Xは非重合性の極性基であり;
    そして、MGは式(II)で表されるメソゲン骨格である:
    Figure 0004412084
    ここに、T、TおよびTはそれぞれ独立して、1,4−シクロヘキセニレン、ナフタレン−2,6−ジイル、フルオレン−2,7−ジイル、任意の−CH=が−N=で置き換えられてもよい1,4−フェニレン、または任意の−CH−が−O−もしくは−S−で置き換えられてもよく、そして隣接しない2つの炭素が架橋されてもよい1,4−シクロヘキシレンであり、これらの環において任意の水素はハロゲン、−CN、−CF、−CFH、−NO、または炭素数が1〜7のアルキルで置き換えられてもよく、このアルキルにおいて任意の−CH−は−O−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよい;
    およびGはそれぞれ独立して、単結合、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−SO−O−、−O−SO−、−CHCH−、−(CH−、−(CHO−、−O(CH−、−OCH−、−CHO−、−OCF−、−CFO−、−CF=CF−、−CFCF2−、−CH=CH−、−C≡C−、−(CH−COO−、−OCO−(CH−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−CHO−、−OCH−CH=CH−、−N=N−、アゾキシ(−N(O)=N−)、−CH=N−、−N=CH−、−O−(CH−OCO−、−COO−(CH−O−、−CH=CH−CONH−、−CONH−CH=CH−、−CONH−、または−NHCO−であり、nは1〜20の整数であり;
    そして、fは0〜3の整数であり、fが2または3であるとき複数のTおよびGはそれぞれ同一の基であってもよく、異なる基であってもよい。
  3. 重合性液晶化合物が、請求項2に記載の式(I)で表される化合物であり、式(I)におけるXが、−Cl、−CN、−OCF、−OCFH、−NCO、−NCS、−NO、−NHCOR、−COOR、−OH、−SH、−CHO、−SOH、−SOR、−NH、または−NRであり、Rが水素、炭素数1〜20のアルキルまたは炭素数2〜20のアルケニルであり;Gが、単結合、−O−、−COO−、−OCO−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−C≡C−COO−、−OCO−C≡C−、−(CHO−、−O(CH−、−CH=CH−CHO−、−OCH−CH=CH−、−(CH−CFO−、または−OCF−(CH−であり;式(II)におけるT、TおよびTがそれぞれ独立して、1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、フルオレン−2,7−ジイル、またはナフタレン−2,6−ジイルである、請求項1または2に記載のホメオトロピック配向液晶フィルム。
  4. 重合性液晶化合物が、請求項2に記載の式(I)で表される化合物であり、式(I)におけるPが、オキシラニルであり;Xが、−Cl、−CN、−OCF、−OCFH、または−NCSであり;Gが、単結合、−O−、−COO−、−OCO−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−C≡C−COO−、−OCO−C≡C−、−CH=CH−CHO−、−OCH−CH=CH−、−(CH−CFO−、または−OCF−(CH−であり;式(II)におけるT、TおよびTがそれぞれ独立して、1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、フルオレン−2,7−ジイル、またはナフタレン−2,6−ジイルであり;GおよびGがそれぞれ独立して、単結合、−CHCH−、−COO−、−OCO−、−C≡C−、−OCH−、−CHO−、−CH=CH−COO−、または−OCO−CH=CH−である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のホメオトロピック配向液晶フィルム。
  5. 重合性液晶化合物が、請求項2に記載の式(I)で表される化合物であり、式(I)におけるPが、オキセタニルであり;Xが、−Cl、−CN、−OCF、−OCFH、または−NCSであり;Gが、単結合、−O−、−COO−、−OCO−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−C≡C−COO−、−OCO−C≡C−、−CH=CH−CHO−、−OCH−CH=CH−、−(CH−CFO−、または−OCF−(CH−であり;式(II)におけるT、TおよびTがそれぞれ独立して、1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、フルオレン−2,7−ジイル、またはナフタレン−2,6−ジイルであり;GおよびGがそれぞれ独立して、単結合、−CHCH−、−COO−、−OCO−、−C≡C−、−OCH−、−CHO−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−CONH−、または−NHCO−である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のホメオトロピック配向液晶フィルム。
  6. 重合性液晶組成物が、請求項2に記載の式(I)で表される重合性液晶化合物に加えて式(III)で表される重合性液晶化合物をさらに含有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載のホメオトロピック配向液晶フィルム。
    Figure 0004412084
    ここに、Pは重合性のエポキシを有する基であり;
    Spは炭素数1〜20のアルキレンであり、炭素数が2以上であるときには、このアルキレン中の隣接しない−CH−は−O−で置き換えられていてもよく;
    Gは単結合、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−COO−、−SO−O−、−O−SO−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−C≡C−COO−、−OCO−C≡C−、−(CHO−、−O(CH−、−CH=CH−CHO−、−OCH−CH=CH−、−(CH−CFO−、または−OCF−(CH−であり;
    rは0または1であり;
    Wは水素、炭素数1〜25のアルキル、炭素数2〜26のアルケニル、フッ素、または−(G−Sp)−Pであり;これらのアルキルおよびアルケニルにおいて、任意の−CH−は−O−、−S−、−NH−、−N(CH)−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−、−CO−S−、または−C≡C−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよく;
    そして、MGは式(II)で表されるメソゲン骨格である:
    Figure 0004412084
    ここに、T、TおよびTはそれぞれ独立して、1,4−シクロヘキセニレン、ナフタレン−2,6−ジイル、フルオレン−2,7−ジイル、任意の−CH=が−N=で置き換えられてもよい1,4−フェニレン、または任意の−CH−が−O−もしくは−S−で置き換えられてもよく、そして隣接しない2つの炭素が架橋されてもよい1,4−シクロヘキシレンであり、これらの環において任意の水素はハロゲン、−CN、−CF、−CFH、−NO、または炭素数が1〜7のアルキルで置き換えられてもよく、このアルキルにおいて任意の−CH−は−O−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよい;
    およびGはそれぞれ独立して、単結合、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−SO−O−、−O−SO−、−CHCH−、−(CH−、−(CHO−、−O(CH−、−OCH−、−CHO−、−OCF−、−CFO−、−CF=CF−、−CFCF2−、−CH=CH−、−C≡C−、−(CH−COO−、−OCO−(CH−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−CHO−、−OCH−CH=CH−、−N=N−、アゾキシ(−N(O)=N−)、−CH=N−、−N=CH−、−O−(CH−OCO−、−COO−(CH−O−、−CH=CH−CONH−、−CONH−CH=CH−、−CONH−、または−NHCO−であり、nは1〜20の整数であり;
    そして、fは0〜3の整数であり、fが2または3であるとき複数のTおよびGはそれぞれ同一の基であってもよく、異なる基であってもよい。
  7. 請求項2に記載の式(I)で表される重合性液晶化合物の含有量が、重合性液晶組成物全量を基準にして5〜99重量%である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のホメオトロピック配向液晶フィルム。
  8. 重合性液晶組成物が、重合性成分として請求項2に記載の式(I)で表される重合性液晶化合物のみからなる、請求項1〜5のいずれか一項に記載のホメオトロピック配向液晶フィルム。
  9. ポリイミド系重合体が、ポリアミック酸、ポリアミック酸アミド、ポリアミック酸エステル、可溶性ポリイミドおよびポリアミドイミドから選ばれる少なくとも1つの成分からなる、請求項1〜8のいずれか1項に記載のホメオトロピック配向液晶フィルム。
  10. ポリイミド系重合体が、ポリアミック酸およびポリアミック酸アミドのいずれかから選ばれる1つの成分からなる、請求項1〜9のいずれか1項に記載のホメオトロピック配向液晶フィルム。
  11. ポリイミド系重合体が、ポリアミック酸、ポリアミック酸アミド、ポリアミック酸エステル、可溶性ポリイミドおよびポリアミドイミドから選ばれる少なくとも2つの成分からなる、請求項1〜9のいずれか1項に記載のホメオトロピック配向液晶フィルム。
  12. ポリイミド系重合体が、1つの成分のポリアミック酸のみからなる請求項10または少なくとも2つの成分のポリアミック酸のみからなる請求項11に記載のホメオトロピック配向液晶フィルム。
  13. 支持基材がガラスである、請求項1〜12のいずれか1項に記載のホメオトロピック配向液晶フィルム。
  14. 支持基材がプラスティックである、請求項1〜12のいずれか1項に記載のホメオトロピック配向液晶フィルム。
  15. プラスティックが、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリケトンサルファイド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリアリレート、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリプロピレン、セルロース、トリアセチルセルロース、トリアセチルセルロースの部分鹸化物、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、およびノルボルネン樹脂から選ばれるいずれか1つである、請求項14に記載のホメオトロピック配向液晶フィルム。
  16. 重合性のエポキシを有する基および非重合性の極性基を有する重合性液晶化合物を含有する重合性液晶組成物を、側鎖を有するジアミンを用いないポリイミド系重合体の溶液を用いて形成された重合体被膜を有する支持基材上に塗布し、さらに重合性液晶組成物を液晶状態においてホメオトロピック配向とする配向制御方法。
  17. 支持基材の重合体被膜が、ポリイミド系重合体の溶液の塗膜を180℃以下の温度で焼成することによって形成される、請求項16に記載の配向制御方法。
  18. 支持基材の重合体被膜を構成する重合体におけるイミド化率が45%以下である、請求項16に記載の配向制御方法。
  19. 重合性のエポキシを有する基および非重合性の極性基を有する重合性液晶化合物を含有する重合性液晶組成物を、側鎖を有するジアミンを用いないポリイミド系重合体の溶液を用いて形成された重合体被膜を有する支持基材上に塗布し、さらに重合性液晶化合物を重合して、ホメオトロピック配向状態を形成させるホメオトロピック配向液晶フィルムの製造方法。
  20. 請求項1〜15のいずれか1項に記載のホメオトロピック配向液晶フィルムを有する光学補償素子。
  21. 請求項1〜15のいずれか1項に記載のホメオトロピック配向液晶フィルムと偏光板とを有する光学素子。
  22. 請求項20に記載の光学補償素子を液晶セルの内面または外面に有する液晶表示装置。
  23. 請求項21に記載の光学素子を液晶セルの外面に有する液晶表示装置。
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