JP5257757B2 - 積層光学異方体 - Google Patents

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JP5257757B2 JP2008146745A JP2008146745A JP5257757B2 JP 5257757 B2 JP5257757 B2 JP 5257757B2 JP 2008146745 A JP2008146745 A JP 2008146745A JP 2008146745 A JP2008146745 A JP 2008146745A JP 5257757 B2 JP5257757 B2 JP 5257757B2
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Description

本願発明は、配向層及び重合性液晶組成物を配向層により配向させた状態で重合して得られる重合体層を含む光学異方性層が複数層積層された光学異方体、楕円偏光板、円偏光板及びこれらの光学異方体を使用した液晶表示素子に関する。
円偏光板や楕円偏光板は偏光板に適当な位相差を有する光学フィルムを組み合わせたもので、ディスプレイの動作原理に必須であるという理由や、視野特性の問題を解消する目的で、液晶表示装置の1部材として使用する。これらの視認上の諸事情は、LCDの方式や(例えば、STN型LCD、TFT−LCD、IPS(インプレンスイッチング In−Plane Switching)型LCD、FLC(フェロエレクトリックリキッドクリスタル Feroelectric Liquid Crystal)型LCD、OCB(オプティカリーコンペンセイテッドベンド Optically Compensated Bend)型LCD、VA(バーティカリーアラインド Vertically Aligned)型LCD、ECB(エレクトリカリーコントロールドバイリフリンジェンス Electrically Controlled Birefringence)型LCD、HAN(ハイブリッドアラインドネマティック Hybrid Aligned Nematic)型LCD、GH(ゲストホスト Guest−Host)型LCD等)、透過型、反射型、及び半透過型といった光源と液晶の位置関係によって決定される方式において異なるため、各々の方式に適応した円偏光板や楕円偏光板が必要となる。
例えば、STN型液晶表示装置(LCD)では、液晶を透過する際に付与された位相差により画面が着色する問題を解消するために、TFT−LCDでは、見る方向によって表示色や表示コントラストが変化するといった問題を解消するために、直線偏光板と光学フィルムを組み合わせた楕円偏光板を使用している。又、外光を光源として利用する反射型、半透過型、微反射型のLCDでは、1/4波長板を直線偏光板と組み合わせた円偏光板を使用している。又、通常の1/4波長板は一つの波長でのみ1/4波長の位相差を持ち、他の波長での位相差はこれよりずれた値になるので、可視光全域に亘って1/4波長板として機能させる目的で、一枚あるいは複数枚の1/2波長板と1/4波長板とを積層してなる広帯域位相差膜と直線偏光板とを組み合わせた広帯域円偏光板や複数の位相差層を積層した位相差膜と偏光板とを組み合わせた広帯域楕円偏光板も、開発されている。
通常、偏光板と1/4波長板とを組み合わせた円偏光板は、偏光板と1/4波長板とをそれぞれ重ね合わせて作成する。この時、偏光板の吸収軸と1/4波長板の遅相軸との角度が45°に厳密に合うように重ね合わせなければならない。又、偏光板と、波長板を複数枚積層してなる広帯域位相差フィルムとを組み合わせた広帯域円偏光板も同様に、波長板毎の方位角に関する積層角度および波長板と偏光板の吸収軸との積層角度を厳密に制御する必要がある。又、液晶表示素子へ使用する場合には、波長板の光学軸と液晶の配向方向とのなす角度も精密に設計値通りにしなければならない。
従来、位相差膜には複屈折性延伸フィルムが使用されていたが、近年、より複雑な光学的性質を有する位相差フィルムとして、配向膜を設けた基板上に重合性液晶を塗布し、該液晶分子を配向させた状態で硬化させた光学フィルムが開発されている。配向膜の配向方向と重合性液晶の配向形態との組み合わせにより、延伸複屈折フィルムでは得られない光学的性質を有する位相差フィルムが得られる。重合性液晶組成物を基板に塗布した場合、液晶分子が空気界面においてある程度のチルト角を有し、ある特定の位相差フィルムに要求される光学特性を満たすためには該チルト角を減じることが求められていた。ここで空気界面におけるチルト角とは、棒状重合性液晶の場合、空気界面に存在する重合性液晶分子の長軸が基板面となす角を表し、基板面と平行になる場合を0°として定義し、円盤状重合性液晶の場合、円盤面が基板面となす角を表し、基板面と平行になる場合を0°として定義する。該チルト角を減じる方法として、界面活性剤や重合可能な界面活性剤を重合性液晶組成物中に添加する方法が提案されている(特許文献1、2及び3参照)。
しかし、重合性液晶組成物に特定の界面活性剤を含有させた場合、位相差フィルムを液晶セル内に組み込む構成において、界面活性剤は化学構造上極性が高い部分を有していることから界面活性剤の混入により液晶の電圧保持率を低下させてしまう問題があった。更に、界面活性剤として長鎖パーフルオロアルキルスルホン酸アミド誘導体を用いた場合(特許文献3参照)には当該化合物は環境毒性の点で懸念があることから液晶ディスプレイとしての応用には問題があった。 更に、界面活性剤が有する非粘着性や撥水・撥油性から、積層膜にはじきが発生したり、積層膜の接着性も十分でなく剥離が起こる問題があった。特許文献5では、光照射により液晶配向能を生じさせた光配向層と、重合性基を有する液晶化合物を含有し、光配向層により配向させた状態で重合して得られる重合体層とが共有結合で結合された光学異方性層が複数層積層された光学フィルムが提案されているが、該チルト角を減じるために重合性液晶組成物に界面活性剤を含有させているため、上記の問題を解決することは困難であった。
一方、基板上に設けた重合性基を有するポリマー塗膜をラビングし、その上に、重合性基を有するディスコティック液晶を塗布し、ラビング配向膜と、ディスコティック液晶からなる光学異方性層とを界面を介して化学的に結合させてなる、光学補償シ−トが知られている(特許文献4参照)が、上記光学補償シ−トはディスコティック液晶分子の空気界面におけるチルト角は0°となるものではない。更に、薄型・軽量化やコスト低減を目的として、液晶ディスプレイの液晶セル内に位相差フィルムを組み込む方式が注目されているが、この場合、当該フィルム中の不純物が液晶に対して悪影響を及ぼし易い問題がある。
以上のように、液晶ディスプレイの電圧保持率を悪化させず、積層膜にはじきが発生せず、剥離が起こりにくい積層光学異方体の開発が求められていた。
特開2000−105315号公報 特開2003−105030号公報 特開2000−98133号公報 特開平09−152509号公報 特開2006−209097号公報
本願発明の目的は、配向層及び重合性液晶組成物を配向層により配向させた状態で重合して得られる重合体層を含む光学異方性層が複数層積層された光学異方体が液晶セル内に組み込まれた場合において液晶ディスプレイの電圧保持率を悪化させることが無く、かつ、積層膜にはじきが発生せず、積層膜の剥離が起こりにくい複数の光学異方性層(即ち、波長板)を積層してなる光学異方体、該光学異方体と偏光板を積層してなる円偏光板や楕円偏光板、これらの光学異方体を使用した液晶表示素子を提供することにある。
本願発明は、配向層及び重合性液晶組成物を配向層により配向させた状態で重合して得られる重合体層を含む光学異方性層が複数層積層された光学異方体であって、前記重合性液晶組成物が、一般式(I)
Figure 0005257757
(式中、R1、R2、R3及びR4はそれぞれ独立的に水素原子、ハロゲン原子又は炭素原子数1〜20の炭化水素基を表し、該炭化水素基中の水素原子は1つ以上のハロゲン原子で置換されていても良い。)で表される繰り返し単位を有する重量平均分子量が100以上である化合物を含有することを特徴とする光学異方体を提供する。
本願発明の光学異方体は、界面活性剤等の極性物質を含有しないため液晶ディスプレイの電圧保持率を悪化させることが無く、積層膜にはじきが発生せず、剥離が起こりにくいといった優れた特徴を有する。よって本願発明の光学異方体は、特に液晶セル内部に組み込む光学異方体の材料として好適に使用でき、かつ、環境毒性の心配がない。
以下に本願発明による重合性液晶組成物の最良の形態について説明する。
配向層及び重合性液晶組成物を配向層により配向させた状態で重合して得られる重合体層を含む光学異方性層が複数層積層された光学異方体であって、前記重合性液晶組成物が、一般式(I)で表される繰り返し単位を有する重量平均分子量が100以上である化合物を含有するが、重合性液晶組成物中に該化合物が溶解している状態又は分散している状態でも良く、更に、固体が析出している状態であっても、析出した固体が液晶材料としての特性を損なわない程度の粒子径以下の微粒子であれば良いが、溶解している状態又は分散している状態が好ましい。
一般式(I)で表される化合物のうち、R1、R2、R3及びR4のうち少なくとも1つはフッ素原子又は基中の1つ以上の水素原子がフッ素原子で置換された炭素原子数1〜20の炭化水素基を表す繰り返し単位を有する重量平均分子量が100以上である化合物がより好ましい。好適な該化合物として、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、パラフィン、流動パラフィン、塩素化ポリプロピレン、塩素化パラフィン、又は塩素化流動パラフィン、式(I-a)〜式(I-f)
Figure 0005257757
で表される繰り返し単位を有する化合物が挙げられる。中でも、式(I-a)〜式(I-e)で表される構造がより好ましく、式(I-a)及び式(I-c)で表される構造が特に好ましい。又、式(I-a)〜式(I-f)で表される繰り返し単位を有する化合物を2種以上共重合させた共重合体も好ましい。この場合、式(I-a)及び式(I-b)を有する共重合体、式(I-a)及び式(I-c)を有する共重合体、式(I-a)及び式(I-f)を有する共重合体、及び、式(I-a)、(I-b)及び式(I-f)を有する共重合体がより好ましく、式(I-a)及び式(I-b)を有する共重合体、及び、式(I-a)、(I-b)及び式(I-f)を有する共重合体が特に好ましい。
該化合物の重量平均分子量は、小さすぎるとチルト角を減じる効果が乏しくなり、大きすぎると配向が長時間安定しないため最適な範囲が存在する。具体的には、200〜1000000であることが好ましく、300〜100000であることがさらに好ましく、400〜80000であることが特に好ましい。
又、該化合物を、重合性液晶組成物中に0.01〜5質量%含有することが好ましく、0.05〜2質量%含有することがより好ましく、0.1〜1質量%含有することが特に好ましい。
重合性液晶組成物中に含有する重合性液晶化合物については、特に制限はなく使用することができる。重合性液晶化合物として棒状重合性液晶化合物又は円盤状重合性液晶化合物を使用することが好ましく、棒状重合性液晶化合物が特に好ましい。
棒状重合性液晶化合物は、一般式(II)
Figure 0005257757
(式中、Pは反応性官能基を表し、Spは炭素原子数1〜20のスペーサー基を表し、mは0又は1を表し、MGはメソゲン基又はメソゲン性支持基を表し、R 0 は、ハロゲン原子、シアノ基又は炭素原子数1〜25のアルキル基を表すが、該アルキル基は1つ以上のハロゲン原子又はCNにより置換されていても良く、この基中に存在する1つのCH2基又は隣接していない2つ以上のCH2基はそれぞれ相互に独立して、酸素原子が相互に直接結合しない形で、-O-、-S-、-NH-、-N(CH3)-、-CO-、-COO-、-OCO-、-OCOO-、-SCO-、-COS-又は-C≡C-により置き換えられていても良く、あるいはR 0 は一般式(II-a)

(式中、Pは反応性官能基を表し、Spは炭素原子数1〜20のスペーサー基を表し、mは0又は1を表し、MGはメソゲン基又はメソゲン性支持基を表し、R1は、ハロゲン原子、シアノ基又は炭素原子数1〜25のアルキル基を表すが、該アルキル基は1つ以上のハロゲン原子又はCNにより置換されていても良く、この基中に存在する1つのCH2基又は隣接していない2つ以上のCH2基はそれぞれ相互に独立して、酸素原子が相互に直接結合しない形で、-O-、-S-、-NH-、-N(CH3)-、-CO-、-COO-、-OCO-、-OCOO-、-SCO-、-COS-又は-C≡C-により置き換えられていても良く、あるいはR1は一般式(II-a)
Figure 0005257757
(式中、Pは反応性官能基を表し、Spは炭素原子数1〜20のスペーサー基を表し、mは0又は1を表す。)で表される構造を表す。)で表される化合物を含有することが好ましく、一般式(II)において、Spがアルキレン基を表し、(該アルキレン基は1つ以上のハロゲン原子又はCNにより置換されていても良く、この基中に存在する1つのCH2基又は隣接していない2つ以上のCH2基はそれぞれ相互に独立して、酸素原子が相互に直接結合しない形で、-O-、-S-、-NH-、-N(CH3)-、-CO-、-COO-、-OCO-、-OCOO-、-SCO-、-COS-又は-C≡C-により置き換えられていても良い。)MGが一般式(II-b)
Figure 0005257757
(式中、A1、A2及びA3はそれぞれ独立的に、1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基、1,4-シクロヘキセニル基、テトラヒドロピラン-2,5-ジイル基、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基、テトラヒドロチオピラン-2,5-ジイル基、1,4-ビシクロ(2,2,2)オクチレン基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、ピリジン-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基、ピラジン-2,5-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、2,6-ナフチレン基、フェナントレン-2,7-ジイル基、9,10-ジヒドロフェナントレン-2,7-ジイル基、1,2,3,4,4a,9,10a-オクタヒドロフェナントレン2,7-ジイル基又はフルオレン2,7-ジイル基を表し、該1,4-フェニレン基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、2,6-ナフチレン基、フェナントレン-2,7-ジイル基、9,10-ジヒドロフェナントレン-2,7-ジイル基、1,2,3,4,4a,9,10a-オクタヒドロフェナントレン2,7-ジイル基及びフルオレン2,7-ジイル基は置換基として1個以上のF、Cl、CF3、OCF3、シアノ基、炭素原子数1〜8のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、アルカノイルオキシ基、炭素原子数2〜8のアルケニル基、アルケニルオキシ基、アルケノイル基又はアルケノイルオキシ基を有していても良く、Z0、Z1、Z2及びZ3はそれぞれ独立して、-COO-、-OCO-、-CH2 CH2-、-OCH2-、-CH2O-、-CH=CH-、-C≡C-、-CH=CHCOO-、-OCOCH=CH-、-CH2CH2COO-、-CH2CH2OCO-、-COO CH2CH2-、-OCOCH2CH2-、-CONH-、-NHCO-又は単結合を表し、nは0、1又は2を表す。)で表される構造を表し、Pが一般式(II-c)、一般式(II-d)及び一般式(II-e)
Figure 0005257757
(式中、R21、R22、R23、R31、R32、R33、R41、R42及びR43はそれぞれ独立的に水素原子、ハロゲン原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基を表し、nは0又は1を表す。)で表される置換基からなる群より選ばれる置換基で表される化合物を含有することがさらに好ましい。
ここで、重合性液晶組成物に含有される化合物として、より具体的には一般式(III)
Figure 0005257757
(式中、mは0又は1を表し、W1及びW2はそれぞれ独立的に単結合、-O-、-COO-又は-OCO-を表し、Y1及びY2はそれぞれ独立的に-COO-又は-OCO-を表し、r及びsはそれぞれ独立的に2〜18の整数を表すが、式中に存在する1,4−フェニレン基は炭素原子数1〜7のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、シアノ基、又はハロゲン原子で一つ以上置換されていても良い。)で表される化合物を用いると、機械的強度や耐熱性に優れた光学異方体が得られるので好ましい。
又、一般式(IV)
Figure 0005257757
(式中、Z1は水素原子、ハロゲン原子、シアノ基又は炭素原子数1〜20の炭化水素基を表し、Z2は水素原子又はメチル基を表し、tは0又は1を表し、A、B及びCはそれぞれ独立的に、1,4−フェニレン基、隣接しないCH基が窒素で置換された1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、1つ又は隣接しない2つのCH2基が酸素又は硫黄原子で置換された1,4−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキセニレン基を表すが、式中に存在する1,4−フェニレン基は炭素原子数1〜7のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、シアノ基又はハロゲン原子で一つ以上置換されていても良く、Y3及びY4はそれぞれ独立的に単結合、-CH2CH2-、-CH2O-、-OCH2-、-COO-、-OCO-、-C≡C-、-CH=CH-、-CF=CF-、-(CH24-、-CH2CH2CH2O-、-OCH2CH2CH2-、-CH=CHCH2CH2-、-CH2CH2CH=CH-、-CH=CHCOO-、-OCOCH=CH-、-CH2CH2COO-、-CH2CH2OCO-、-COO CH2CH2-又は-OCOCH2CH2-を表し、Y5は単結合、-O-、-COO-、-OCO-又は-CH=CHCOO-を表す。)で表される化合物を用いると、重合性液晶組成物の粘度低減や液晶温度範囲を室温もしくは室温付近まで低減することができるので好ましい。
又、一般式(V)
Figure 0005257757
(式中、Z3は水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素原子1〜20の炭化水素基を表し、Z4は水素原子又はメチル基を表し、W3はそれぞれ独立的に単結合、-O-、-COO-、-OCO-を表し、vは2〜18の整数を表し、uは0又は1の整数を表し、D、E及びFはそれぞれ独立的に、1,4-フェニレン基、隣接しないCH基が窒素で置換された1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基、1つ又は隣接しない2つのCH基が酸素又は硫黄原子で置換された1,4−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキセニレン基を表し、これらのD、E及びFは、さらに炭素原子数1〜7のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、シアノ基、又はハロゲン原子で一つ以上置換されていても良く、Y6及びY7はそれぞれ独立的に単結合、-CH2CH2-、-CH2O-、-OCH2-、-COO-、-OCO-、-C≡C-、-CH=CH-、-CF=CF-、-(CH24-、-CH2CH2CH2O-、-OCH2CH2CH2-、-CH=CHCH2CH2-、-CH2CH2CH=CH-、-CH=CHCOO-、-OCOCH=CH-、-CH2CH2COO-、-CH2CH2OCO-、-COOCH2CH2-又は-OCOCH2CH2-を表し、Y8は単結合、-O-、-COO-、-OCO-又は-CH=CHCOO-を表す。)で表される化合物を用いると、重合性液晶組成物の粘度を大幅に増加させることなく液晶物性を調節することができるので好ましい。
一般式(II)で表される化合物の具体例を以下に挙げることができる。
Figure 0005257757
Figure 0005257757
Figure 0005257757
(式中、j、k、l及びmはそれぞれ独立的に2〜18の整数を表す。)
又、一般式(III)で表される化合物の具体例を以下に挙げることができる。
Figure 0005257757
(式中、j及びkはそれぞれ独立的に2〜18の整数を表す。)
又、一般式(IV)で表される化合物の具体的な例として、化合物の構造と相転移温度を以下に挙げることができる。
Figure 0005257757
Figure 0005257757
Figure 0005257757
(式中、シクロヘキサン環はトランスシクロヘキサン環を表し、数字は相転移温度を表し、Cは結晶相、Nはネマチック相、Sはスメクチック相、Iは等方性液体相をそれぞれ表す。)
又、一般式(V)で表される化合物の具体例を以下に挙げることができる。
Figure 0005257757
(式中、X1は水素原子又はメチル基を表し、Rは炭素原子数1から20のアルキル基表す。)
又、円盤状液晶化合物は、ベンゼン誘導体、トリフェニレン誘導体、トルキセン誘導体、フタロシアニン誘導体又はシクロヘキサン誘導体を分子の中心の母核とし、直鎖のアルキル基、直鎖のアルコキシ基又は置換ベンゾイルオキシ基がその側鎖として放射状に置換した構造を有することが好ましく、一般式(VI)
Figure 0005257757
(式中、R5はそれぞれ独立して一般式(VI-a)で表される置換基を表す。)
Figure 0005257757
(式中、R6及びR7はそれぞれ独立的に水素原子、ハロゲン原子又はメチル基を表し、R8は炭素原子数1〜20アルコキシ基を表すが、該アルコキシ基中の水素原子は一般式(VI-b)、一般式(VI-c)又は一般式(VI-d)で表される置換基によって置換されていても良い。)
Figure 0005257757
(式中、R81、R82、R83、R84、R85、R86、R87、R88及びR89はそれぞれ独立的に水素原子、ハロゲン原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基を表し、nは0又は1を表す。)で表される構造を有することがさらに好ましく、一般式(VI)においてR8の内少なくとも一つは一般式(VI-b)、一般式(VI-c)又は一般式(VI-d)で表される置換基によって置換されたアルコキシ基を表すことが好ましく、R8の全てが一般式(VI-b)、一般式(VI-c)又は一般式(VI-d)で表される置換基によって置換されたアルコキシ基を表すことが特に好ましい。
さらに、一般式(VI-a)は具体的には一般式(VI-e)
Figure 0005257757
(式中nは2〜9の整数を表す。)で表される構造を有することが特に好ましい。
以上述べた重合性液晶組成物は有機溶媒などに溶かした溶液の状態で使用してもよい。好適な有機溶媒として例えばトルエン、キシレン、クメンなどのアルキル置換ベンゼンやプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸ブチル、シクロヘキサノン等を挙げることができる。さらにこれらの溶媒にジメチルホルムアミド、γ−ブチロラクトン、N-メチルピロリジノン、メチルエチルケトン、酢酸エチル等を添加しても良い。
又、以上の重合性液晶組成物中に一般式(I)で表される繰り返し単位を有する重量平均分子量が100以上である化合物の他に重合禁止剤、重合開始剤、酸化防止剤、又は紫外線吸収剤などの添加剤を含有しても良い。
本発明の光学異方体は、配向層を設け、該配向層に重合性液晶組成物塗布して、配向させた状態において、重合させる工程を複数回繰り返すことにより製造することができる。
配向層については、特に制限はなく使用することができる。配向層としては、具体的には、以下の樹脂や基板が挙げられるがこれらに限定される訳ではない。例えば、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリケトンサルファイド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリアリレート、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリプロピレン、セルロース系プラスチックス、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などが挙げられる。
配向層は、配向材料を基板上に塗布、乾燥して層を構成した後、ラビング処理することによって得ることができる。ラビング処理は、LCDの液晶配向処理工程として広く採用されている処理方法を利用することができる。即ち、配向層の表面を、紙やガーゼ、フェルト、ゴム或いはナイロン、ポリエステル繊維などを用いて一定方向に擦ることにより配向を得る方法を用いることができる。一般的には、長さ及び太さが均一な繊維を平均的に植毛した布などを用いて数回程度ラビングを行うことにより実施される。又、液晶化合物の配向のため広く用いられているポリイミド膜(好ましくは弗素原子含有ポリイミド)も配向層として好ましい。これは、ポリアミック酸(例えば日立化成(株)製のLQ/LXシリーズ、日産化学(株)製のSEシリーズ等)を基板上に塗布し、熱処理後、ラビングすることにより得られる。又、ラビングに代わる配向処理方法として、光配向法を用いることもできる。これはポリビニルシンナメート等の分子内に光二量化反応する官能基を有する有機薄膜や光で異性化する官能基を有する有機薄膜又はポリイミド等の有機薄膜に、偏光した光、好ましくは偏光した紫外線を照射することによって、配向膜とするものである。この光配向法に光マスクを適用することにより配向のパターン化が容易に達成することができるので、光学異方体内部の分子配向も精密に制御することが可能となる。
基板としては材質に特に限定はなく、ガラス、セラミックス、プラスチック等を使用することができる。プラスチック基板としてはセルロ−ス、トリアセチルセルロ−ス、ジアセチルセルロ−ス等のセルロ−ス誘導体、ポリシクロオレフィン誘導体、ポリエチレンテレフタレ−ト、ポリエチレンナフタレ−ト等のポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリビニルアルコ−ル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ナイロン、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレ−ト、ポリエーテルサルホン、ポリアリレートなどを用いることができる。
塗布方法としては、例えば、スピンコーティング、ダイコーティング、エクストルージョンコーティング、ロールコーティング、ワイヤーバーコーティング、グラビアコーティング、スプレーコーティング、ディッピング、プリント法、などが挙げられる。
重合性液晶の空気界面のチルト角は小さいことが好ましく、0°であることが特に好ましい。重合性液晶の配向はパターン化していても良い。重合の方法としては、特に制限は無く、エネルギー源として、熱、光、放射線、電子線等を用いることができる。迅速な重合の進行が望ましいので、紫外線又は電子線等のエネルギーを照射することによって光重合させる方法が好ましい。この光重合させる際の光源としては偏光光源を用いても良いし、非偏光光源を用いても良い。又、照射時の温度は、本発明の液晶組成物の液晶状態が保持される温度範囲内であることが好ましい。特に、光重合によって光学異方体を製造しようとする場合には、意図しない熱重合の誘起を避ける意味からもできるだけ室温に近い温度、即ち20〜30℃の温度で重合させることが好ましい。重合によって得られた本発明の光学異方体は、初期の特性変化を軽減し、安定的な特性発現を図ることを目的として熱処理を施しても良い。熱処理温度は、50〜250℃の範囲で、又、熱処理時間は30秒〜12時間の範囲が好ましい。このような方法によって製造される本発明の光学異方体は、基板から剥離して用いても、剥離せずに用いても良い。以上の製造工程を複数回繰り返すことにより本発明の光学異方体を製造することができる。
又、基板に塗布して製造した本発明の光学異方体を直線偏光フィルムに貼合してもよく、塗布により形成した光学異方体を基板より剥離して直線偏光フィルムに貼合してもよく、又、偏光フィルム又は偏光板に直接、本発明の光学異方体を形成し、円偏光板および楕円偏光板とすることもできる。偏光板としては特に制限はなく、ヨウ素系および染料系の偏光フィルム、グラントムソン、グランテ−ラ−等の偏光プリズムと組み合わせることもできる。
又、他の光学素子と積層して用いても良い。液晶表示素子に応用する場合には、本発明の光学異方体として位相差フィルムを作製し、液晶表示素子に積層しても良い。本発明の光学異方体として位相差フィルムを作製し、偏光フィルムと積層しても良い。又、光学的ローパスフィルターとして用いる場合、例えば、視感度補正用光学フィルターと積層しても良い。本発明の光学異方体を、例えば、リタデーションの波長分散を調節するために別の光学異方体と積層しても良い。
又、基板の表面状態や基板に積層した層の表面状態によっては、隣り合う2層の光学異方性層間に光学的等方性樹脂層を設けてもよい。光学的等方性樹脂層の材質としては特に限られるものではないが、アクリル樹脂やポリビニルアルコールなどの熱可塑性樹脂類、アクリルモノマー等の光重合性樹脂やエポキシモノマー等の熱重合性樹脂を使用した重合性樹脂等を使用することができる。中でも、塗布後の光学的等方性樹脂層表面の平滑化を考えると、高粘度塗工液を形成しうる高分子化合物又は高粘度モノマーが望ましく、粘度は200〜20000Pa・secであることが望ましく、500〜20000Pa・secであることがより望ましい。光学的等方性樹脂層の厚さは上記の目的を達成するものであれば制限されないが、工業的な応用を考えると薄型化、軽量化が望まれることから、厚さは0.01〜30μmであることが望ましく、0.01〜10μmであることがより望ましい。光学的等方性樹脂層は塗布法により、光学異方性層の上に直接設けることができる。又、必要により光照射又は熱による重合を行ってもよい。
本発明において、複数層積層する光学異方性層の、積層数、入射光に対する方位角、及び位相差値は、欲する円偏光板又は楕円偏光板の要求特性に応じて任意に選択し、組み合わせることができる。積層数は、積層数が多い程、広帯域の偏光板を得ることができるため、特に明確な限界値はない。しかし、あまり多く積層すると膜厚が厚くなり実用的ではないため、光学異方性層が2層以上20層以下であることが好ましい。通常は2〜5層の積層が好ましく、2〜3層の積層が実用的である。方位角は、0〜180°(0〜−180°)の範囲から任意に選択できる。位相差は、光学異方体の使用目的と使用波長領域により決定する。例えば可視光域において使用する場合は、波長540nmにおける位相差が1/2波長板で240〜320μm、1/4波長板で120〜160μmである。これより大きくても差し支えないが膜厚が厚くなる。例えば、波長540nmで測定した位相差が240〜300nmである光学異方性層と、120〜150nmである光学異方性層との組み合わせが好ましい。
以下、実施例を挙げて本願発明を更に詳述するが、本願発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
空気界面におけるチルト角の測定は以下の方法によって行った。He-Neレーザーを使用して位相差の入射角依存を測定し、得られた測定結果をコンピュータシミュレーションソフト(シンテック社製LCD-Master)を用いて解析を行い、空気界面におけるチルト角を求めた。又、以下の実施例で述べる重量平均分子量は、TSKgel GMHXLを2本と、TSKgel G2000HXL、TSKgel G1000HXL(何れも東ソー製)のカラムを使用したGPC分析装置(東ソー社製HLC-8220GPC)により、溶媒テトラヒドロフラン、示差屈折計検出により検出し、ポリスチレン換算で求めた。位相差は、自動複屈折計(コブラ21ADH(王子計測機器(株)製))を用い、540nmの波長で測定した。
(実施例1)
式(a)の化合物60質量%
Figure 0005257757
式(b)の化合物40質量%
Figure 0005257757
からなる重合性液晶組成物(A)を調製した。重合性液晶組成物(A)96.9質量%に光重合開始剤Irgacure-907(チバスペシャリティケミカルズ社製)3.0質量%、流動パラフィン(関東化学社製、重量平均分子量600)を0.1質量%添加した本願発明の重合性液晶組成物(A1)を調製した後、重合性液晶組成物(A1)を25%質量含有するプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液を調製した。次に、ガラス基板上にポリイミド配向剤AL1254(JSR社製)をスピンコート(2000回転/分、30秒)した後、150℃で1時間乾燥させることにより製膜した。このように製膜したポリイミド薄膜表面を基板の長手方向にラビング処理して、配向膜を形成した。このラビングした方向を方位角0°とする。この配向膜の上に、重合性液晶組成物(A1)を25質量%含有するプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液をスピンコート(700回転/分、15秒)した。スピンコートした基板に30mW/cm2の紫外線を30秒照射して、重合性液晶組成物(A1)を硬化させた。このようにして得られた光学異方性層の位相差の入射角依存測定をした結果、空気界面におけるチルト角は約0°であり、波長540nmで測定した位相差が270nmであった。次に、光学異方体を150℃で1時間焼成した。このようにして得られた光学異方性層の上に、ポリイミド配向剤AL1254(JSR社製)をスピンコート(2000回転/分、30秒)した後、150℃で1時間乾燥させることにより製膜した。このように製膜したポリイミド薄膜表面を重合性液晶分子長軸方向に対して方位角60°方向にラビング処理した。その上に重合性液晶組成物(A1)を25%質量含有するプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液をスピンコート(1800回転/分、15秒)し、30mW/cm2の紫外線を30秒照射して、重合性液晶組成物(A1)を硬化させ、波長540nmで測定した位相差が135nmの光学異方性層を製膜し、はじきのない良好な積層光学異方体が得られた。これを偏光板上に接着し、円偏光板とした。積層角度としては、偏光板の吸収軸と位相差270nmの波長板の遅相軸との角度は75°であり、位相差135nmの波長板の遅相軸との角度は15°であった。
(実施例2)
重合性液晶組成物(A)96.9質量%に光重合開始剤Irgacure-907(チバスペシャリティケミカルズ社製)3.0質量%、式(I-a)及び(I-b)を有する共重合体(ソルベイソレクシス社製TECNOFLON N535、重量平均分子量180,000)を0.1質量%添加した本願発明の重合性液晶組成物(A2)を調製した後、重合性液晶組成物(A2)を25%質量含有するプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液を調製した。次に、ガラス基板上にポリイミド配向剤AL1254(JSR社製)をスピンコート(2000回転/分、30秒)した後、150℃で1時間乾燥させることにより製膜した。このように製膜したポリイミド薄膜表面を基板の長手方向にラビング処理して、配向膜を形成した。この配向膜の上に、重合性液晶組成物(A2)を25質量%含有するプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液をスピンコート(700回転/分、15秒)した。スピンコートした基板に30mW/cm2の紫外線を30秒照射して、重合性液晶組成物(A2)を硬化させた。このようにして得られた光学異方体の位相差の入射角依存測定をした結果、空気界面におけるチルト角は約0°であり、波長540nmで測定した位相差が270nmであった。又、このようにして得られた光学異方体の上に、重合度2000のポリビニルアルコール(東京化成工業社製)が1質量%となるように水:エタノール=1:7の溶媒で溶解した配向剤をスピンコート(1000回転/分、30秒)することによりポリビニルアルコール薄膜を製膜した。このように製膜したポリビニルアルコール薄膜表面を実施例3と同様に重合性液晶分子長軸方向に対して60°方向にラビング処理し、その上に重合性液晶組成物(A2)を25%質量含有するプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液をスピンコート(1800回転/分、15秒)し、30mW/cm2の紫外線を30秒照射して、重合性液晶組成物(A2)を硬化させ、波長540nmで測定した位相差が135nmの光学異方性層を製膜し、はじきのない良好な積層光学異方体が得られた。これを偏光板上に接着し、円偏光板とした。積層角度としては、偏光板の吸収軸と位相差270nmの波長板の遅相軸との角度は75°であり、位相差135nmの波長板の遅相軸との角度は15°であった。
(比較例1)
重合性液晶組成物(A)96.9質量%に光重合開始剤Irgacure-907(チバスペシャリティケミカルズ社製)3.0質量%、界面活性剤FC171(3M社製)を0.1質量%添加した重合性液晶組成物(A3)を調製した。次に重合性液晶組成物(A3)を25%質量含有するプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液を調製した。次に、ガラス基板上にポリイミド配向剤AL1254(JSR社製)をスピンコート(2000回転/分、30秒)した後、150℃で1時間乾燥させることにより製膜した。このように製膜したポリイミド薄膜表面を基板の長手方向にラビング処理して、配向膜を形成した。この配向膜の上に、重合性液晶組成物(A3)を25質量%含有するプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液をスピンコート(700回転/分、15秒)した。スピンコートした基板に窒素雰囲気中で4mW/cm2の紫外線を120秒照射して、重合性液晶組成物(A3)を硬化させた。このようにして得られた光学異方体の位相差の入射角依存測定をした結果、空気界面におけるチルト角は約0°であり、波長540nmで測定した位相差が270nmであった。次に、光学異方体を150℃で1時間焼成した。このようにして得られた光学異方性層の上に、ポリイミド配向剤AL1254(JSR社製)をスピンコート(2000回転/分、30秒)した後、150℃で1時間乾燥させることにより製膜した。このように製膜したポリイミド薄膜表面を重合性液晶分子長軸方向に対して方位角60°方向にラビング処理した。その上に重合性液晶組成物(A3)を25%質量含有するプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液をスピンコート(1800回転/分、15秒)し、30mW/cm2の紫外線を30秒照射して、重合性液晶組成物(A3)を硬化させ、波長540nmで測定した位相差が135nmの光学異方性層を製膜したところ、はじきが発生し、良好な積層光学異方体は得られなかった。
(実施例3)
重合性液晶組成物(A)97.0質量%に光重合開始剤Irgacure-651(チバスペシャリティケミカルズ社製)2.0質量%、式(I-a)、(I-b)及び式(I-f)を有する共重合体(重量平均分子量18,000)を1.0質量%添加した本願発明の重合性液晶組成物(A4)を調製した後、重合性液晶組成物(A4)を25%質量含有するプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液を調製した。次に、ガラス基板上にポリイミド配向剤AL1254(JSR社製)をスピンコート(2000回転/分、30秒)した後、150℃で1時間乾燥させることにより製膜した。このように製膜したポリイミド薄膜表面を基板の長手方向にラビング処理して、配向膜を形成した。この配向膜の上に、重合性液晶組成物(A4)を25質量%含有するプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液をスピンコート(700回転/分、15秒)した。スピンコートした基板に窒素雰囲気中で4mW/cm2の紫外線を120秒照射して、重合性液晶組成物(A4)を硬化させた。このようにして得られた光学異方体の位相差の入射角依存測定をした結果、空気界面におけるチルト角は約0°であり、波長540nmで測定した位相差が270nmであった。次に、光学異方体を150℃で1時間焼成した。このようにして得られた光学異方性層の上に、ポリイミド配向剤AL1254(JSR社製)をスピンコート(2000回転/分、30秒)した後、150℃で1時間乾燥させることにより製膜した。このように製膜したポリイミド薄膜表面を重合性液晶分子長軸方向に対して方位角60°方向にラビング処理した。その上に重合性液晶組成物(A4)を25%質量含有するプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液をスピンコート(1800回転/分、15秒)し、窒素雰囲気中で4mW/cm2の紫外線を30秒照射して、重合性液晶組成物(A4)を硬化させ、波長540nmで測定した位相差が135nmの光学異方性層を製膜し、はじきのない良好な積層光学異方体が得られた。このようにして得られた光学異方体の表面を基板の長手方向にラビングして、ポリイミド配向膜付きガラス基板とラビング方向を直交させて6μmの間隔を保って対向してTNセルを作製した。作製したセルに化合物(c)20質量%、化合物(d)25質量%、化合物(e)20質量%、化合物(f)20質量%、化合物(g)7質量%及び化合物(h)8質量%からなる液晶(B)を注入し、印加電圧5V、フレーム時間16.6ms、パルス印加時間64μs、測定温度70℃の条件で電圧保持率を測定した結果、94.6%であった。化合物(c)〜(h)は以下に示す。
Figure 0005257757
(比較例2)
重合性液晶組成物(A)97.0質量%に光重合開始剤Irgacure-651(チバスペシャリティケミカルズ社製)2.0質量%、界面活性剤FC171(3M社製)を1.0質量%添加した重合性液晶組成物(A5)を調製した。次に重合性液晶組成物(A5)を25質量%含有するプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液を調製した。次に、ガラス基板上にポリイミド配向剤AL1254(JSR社製)をスピンコート(2000回転/分、30秒)した後、150℃で1時間乾燥させることにより製膜した。このように製膜したポリイミド薄膜表面を基板の長手方向にラビング処理して、配向膜を形成した。この配向膜の上に、重合性液晶組成物(A5)を25質量%含有するプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液をスピンコート(700回転/分、15秒)した。スピンコートした基板に窒素雰囲気中で4mW/cm2の紫外線を120秒照射して、重合性液晶組成物(A5)を硬化させた。このようにして得られた光学異方体の位相差の入射角依存測定をした結果、空気界面におけるチルト角は約0°であり、波長540nmで測定した位相差が270nmであった。次に、光学異方体を150℃で1時間焼成した。このようにして得られた光学異方性層の上に、ポリイミド配向剤AL1254(JSR社製)をスピンコート(2000回転/分、30秒)した後、150℃で1時間乾燥させることにより製膜した。このように製膜したポリイミド薄膜表面を重合性液晶分子長軸方向に対して方位角60°方向にラビング処理した。その上に重合性液晶組成物(A5)を25%質量含有するプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液をスピンコート(1800回転/分、15秒)し、窒素雰囲気中で4mW/cm2の紫外線を30秒照射して、重合性液晶組成物(A5)を硬化させ、波長540nmで測定した位相差が135nmの光学異方性層を製膜し、積層光学異方体を得た。このようにして得られた光学異方体の表面を基板の長手方向にラビングして、ポリイミド配向膜付きガラス基板とラビング方向を直交させて6μmの間隔を保って対向して作製したTNセルに液晶(B)を注入し、印加電圧5V、フレーム時間16.6ms、パルス印加時間64μs、測定温度70℃の条件で電圧保持率を測定した結果、89.2%であった。
以上の実施例と比較例から、配向層及び重合性液晶組成物を配向層により配向させた状態で重合して得られる重合体層を含む光学異方性層が複数層積層された光学異方体であって、前記重合性液晶組成物が、一般式(I)で表される繰り返し単位を有する重量平均分子量が100以上である化合物を含有することを特徴とする本願発明の光学異方体が液晶セル内に組み込まれた場合において液晶ディスプレイの電圧保持率を悪化させることが無く、かつ、積層膜にはじきが発生せず良好な光学異方体が得られることがわかる。

Claims (14)

  1. 配向層及び重合性液晶組成物を配向層により配向させた状態で重合して得られる重合体層を含む光学異方性層が複数層積層された光学異方体であって、前記重合性液晶組成物が、一般式(I)
    Figure 0005257757
    (式中、R1、R2、R3及びR4はそれぞれ独立的に水素原子、ハロゲン原子又は炭素原子数1〜20の炭化水素基を表し、該炭化水素基中の水素原子は1つ以上のハロゲン原子で置換されていても良い。)で表される繰り返し単位を有し、かつ極性基を有しない重量平均分子量が100以上である化合物を含有することを特徴とする光学異方体。
  2. 一般式(I)において、R1、R2、R3及びR4のうち少なくとも1つはフッ素原子又は基中の1つ以上の水素原子がフッ素原子で置換された炭素原子数1〜20の炭化水素基を表す請求項1記載の光学異方体。
  3. 2層の光学異方性層の間に光学的等方性樹脂層を有する請求項1記載の光学異方体。
  4. 前記光学異方性層の少なくとも1つが波長540nmで測定した位相差が240〜300nmである第1の光学異方性層であり、且つ、前記光学異方性層の少なくとも1つが波長540nmで測定した位相差が120〜150nmである第2の光学異方性層である請求項1記載の光学異方体。
  5. 前記光学異方性層の少なくとも一つが1/2波長板の機能を有し、更に、前記光学異方体層の少なくとも一つが1/4波長板の機能を有する請求項1記載の光学異方体。
  6. 前記重合性液晶組成物が、重量平均分子量が200〜1000000である一般式(I)で表される化合物を含有する請求項1記載の光学異方体。
  7. 前記重合性液晶組成物において、一般式(I)で表される化合物の含有量が0.01〜5質量%である請求項1記載の光学異方体。
  8. 前記重合性液晶組成物が一般式(II)
    Figure 0005257757
    (式中、Pは反応性官能基を表し、Spは炭素原子数1〜20のスペーサー基を表し、mは0又は1を表し、MGはメソゲン基又はメソゲン性支持基を表し、R 0 は、ハロゲン原子、シアノ基又は炭素原子数1〜25のアルキル基を表すが、該アルキル基は1つ以上のハロゲン原子又はCNにより置換されていても良く、この基中に存在する1つのCH2基又は隣接していない2つ以上のCH2基はそれぞれ相互に独立して、酸素原子が相互に直接結合しない形で、-O-、-S-、-NH-、-N(CH3)-、-CO-、-COO-、-OCO-、-OCOO-、-SCO-、-COS-又は-C≡C-により置き換えられていても良く、あるいはR 0 は一般式(II-a)
    Figure 0005257757
    (式中、Pは反応性官能基を表し、Spは炭素原子数1〜20のスペーサー基を表し、mは0又は1を表す。)で表される構造を表す。)で表される化合物を含有する請求項1記載の光学異方体。
  9. 一般式(II)において、Spがアルキレン基を表し、(該アルキレン基は1つ以上のハロゲン原子又はCNにより置換されていても良く、この基中に存在する1つのCH2基又は隣接していない2つ以上のCH2基はそれぞれ相互に独立して、酸素原子が相互に直接結合しない形で、-O-、-S-、-NH-、-N(CH3)-、-CO-、-COO-、-OCO-、-OCOO-、-SCO-、-COS-又は-C≡C-により置き換えられていても良い。)MGが一般式(II-b)
    Figure 0005257757
    (式中、A1、A2及びA3はそれぞれ独立的に、1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基、1,4-シクロヘキセニル基、テトラヒドロピラン-2,5-ジイル基、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基、テトラヒドロチオピラン-2,5-ジイル基、1,4-ビシクロ(2,2,2)オクチレン基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、ピリジン-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基、ピラジン-2,5-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、2,6-ナフチレン基、フェナントレン-2,7-ジイル基、9,10-ジヒドロフェナントレン-2,7-ジイル基、1,2,3,4,4a,9,10a-オクタヒドロフェナントレン2,7-ジイル基又はフルオレン2,7-ジイル基を表し、該1,4-フェニレン基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、2,6-ナフチレン基、フェナントレン-2,7-ジイル基、9,10-ジヒドロフェナントレン-2,7-ジイル基、1,2,3,4,4a,9,10a-オクタヒドロフェナントレン2,7-ジイル基及びフルオレン2,7-ジイル基は置換基として1個以上のF、Cl、CF3、OCF3、シアノ基、炭素原子数1〜8のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、アルカノイルオキシ基、炭素原子数2〜8のアルケニル基、アルケニルオキシ基、アルケノイル基又はアルケノイルオキシ基を有していても良く、Z0、Z1、Z2及びZ3はそれぞれ独立して、-COO-、-OCO-、-CH2 CH2-、-OCH2-、-CH2O-、-CH=CH-、-C≡C-、-CH=CHCOO-、-OCOCH=CH-、-CH2CH2COO-、-CH2CH2OCO-、-COO CH2CH2-、-OCOCH2CH2-、-CONH-、-NHCO-又は単結合を表し、nは0、1又は2を表す。)で表される構造を表し、Pが一般式(II-c)、一般式(II-d)及び一般式(II-e)
    Figure 0005257757
    (式中、R21、R22、R23、R31、R32、R33、R41、R42及びR43はそれぞれ独立的に水素原子、ハロゲン原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基を表し、nは0又は1を表す。)で表される置換基からなる群より選ばれる置換基を表す、請求項8記載の光学異方体。
  10. 前記重合性液晶組成物がベンゼン誘導体、トリフェニレン誘導体、トルキセン誘導体、フタロシアニン誘導体又はシクロヘキサン誘導体を分子の中心の母核とし、直鎖のアルキル基、直鎖のアルコキシ基又は置換ベンゾイルオキシ基がその側鎖として放射状に置換した構造である円盤状液晶化合物を含有する請求項1記載の光学異方体。
  11. 円盤状液晶化合物が一般式(VI)で表される請求項10記載の光学異方体。
    Figure 0005257757
    (式中、R5はそれぞれ独立して一般式(VI-a)で表される置換基を表す。)
    Figure 0005257757
    (式中、R6及びR7はそれぞれ独立的に水素原子、ハロゲン原子又はメチル基を表し、R8は炭素原子数1〜20アルコキシ基を表すが、該アルコキシ基中の水素原子は一般式(VI-b)、一般式(VI-c)又は一般式(VI-d)で表される置換基によって置換されていても良い。)
    Figure 0005257757
    (式中、R81、R82、R83、R84、R85、R86、R87、R88及びR89はそれぞれ独立的に水素原子、ハロゲン原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基を表し、nは0又は1を表す。)
  12. 請求項1〜11のいずれかに記載の光学異方体と、偏光板とを有することを特徴とする楕円偏光板。
  13. 請求項1〜11のいずれかに記載の光学異方体と、偏光板とを有することを特徴とする円偏光板。
  14. 請求項1〜11のいずれかに記載の光学異方体を用いることを特徴とする液晶表示素子。
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