JP4411857B2 - 無段変速機の制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、変速比を無段階に変化させることのできる無段変速機の制御装置に関し、特に無段変速機のトルク容量を設定する挟圧力を、滑りを検出することにより最適化する制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ベルト式無段変速機やトラクション式無段変速機は、ベルトとプーリとの間の摩擦力や、ディスクとローラとの間のトラクションオイルのせん断力を利用してトルクを伝達している。したがってこれらの無段変速機のトルク容量は、そのトルクの伝達が生じる箇所に作用する圧力に応じて設定される。
【0003】
無段変速機における上記の圧力は挟圧力と称され、その挟圧力を高くすれば、トルク容量を増大させて滑りを回避できるが、その反面、高い圧力を生じさせるために動力を必要以上に消費したり、あるいは動力の伝達効率が低下するなどの不都合がある。そのため、一般的には、意図しない滑りが生じない範囲で、挟圧力を可及的に低く設定している。
【0004】
例えば、無段変速機を搭載した車両では、エンジンの回転数を無段変速機によって制御して燃費の向上を図ることができるので、その利点を損なわないために、無段変速機での動力伝達効率を可及的に向上させるべく、挟圧力を、滑りが生じない範囲で可及的に低く設定するように制御している。そのためには、滑りの生じ始める圧力(すなわち滑り限界圧力)を検出する必要があり、従来では、種々の方法で滑りを検出し、また滑り限界圧力を検出している。
【0005】
その一例を挙げると、摩擦接触して動力を伝達する無段変速機あるいはその伝導システムを対象とした滑り検出方法であって、圧着力(すなわち挟圧力あるいは係合圧)を低下させることに伴う摩擦効率の上昇(具体的には油温の上昇)を検出してスリップを判定する方法が特許文献1に記載されている。この特許文献1に記載された方法では、伝達する力や速度あるいは伝達比がほぼ一定の状態で圧着力を徐々に低下させてスリップ限界を決定し、次いでスリップを存在させないように、あるいは予め規定したスリップ限界値を超えないように圧着力を調整している。
【0006】
また、その滑りを検出する装置として、特許文献2には、実変速比変化率と理論変速比変化率とを比較して、実変速比変化率が理論変速比変化率より大きい場合に滑りの発生を検出し、その検出結果に基づいてライン圧(変速機を制御する油圧装置全体の元圧)を増加するように構成された装置が記載されている。そして、この理論変速比変化率は、実変速比と、エンジン回転数と、スロットル弁開度と、変速制御弁の制御量とから求めるように構成されている。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−12593号公報(請求項1、2、6、7、段落(0013))
【特許文献2】
特開平6−11022号公報(要約)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記の特許文献1に記載されているように、無段変速機でのスリップ限界を検出する場合、伝達される力や車速などがほぼ一定の状態でその検出をおこなうが、車両の走行中には、路面の勾配の変化や車両の全体としての流れの変化などの様々な要因で無段変速機に入力されるトルクや車速などのいわゆる駆動状態が僅かなりとも変化する。そのようなある程度の変化を含めて所定範囲内での変化を「ほぼ一定」とすることにより、スリップ限界の検出をおこなう。しかしながら、走行状態が所定の範囲内に入っているとしても、変化の過渡状態によっては、スリップ限界の検出誤差を生じることがあり、走行状態が所定範囲に入っていることのみでは、スリップ限界の検出精度が低下する可能性がある。このような不都合を回避するために、「ほぼ一定」の条件を厳しくすると、スリップ限界に検出条件が成立することが少なくなり、検出頻度が低下し、結局はスリップ限界の検出精度が低下する可能性がある。
【0009】
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであり、無段変速機での滑り発生を容易かつ正確に検出することのできる制御装置を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段およびその作用】
この発明は、上記の目的を達成するために、特定の変速状態の下で、挟圧力を低下させて、それに伴う挙動の変化を検出するように構成したことを特徴とするものである。より具体的には、請求項1の発明は、トルク容量を設定する挟圧力を低下させることに伴うベルトの滑りから必要挟圧力を検出する無段変速機の制御装置において、前記無段変速機に対する変速指令値がアップシフト側の所定値以上であることを判断する条件判断手段と、その条件判断手段によって前記無段変速機に対する変速指令値がアップシフト側の所定値以上であることが判断された場合に、前記必要挟圧力を検出するために前記挟圧力を低下させる挟圧力低下手段を備えていることを特徴とする制御装置である。
【0011】
したがって請求項1の発明では、変速指令値がアップシフト側で所定値よりも大きい場合には、挟圧力の低下制御がおこなわれ、それに伴うベルトの滑りが検出される。
【0012】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、トルク容量を設定する挟圧力を低下させることに伴うベルトの滑りから必要挟圧力を検出する無段変速機の制御装置において、前記必要挟圧力の検出をおこなう前提条件として、前記無段変速機が連結されている動力源に対する要求負荷の変化速度が所定値以下であることを判断する前提条件判断手段と、その前提条件判断手段によって前記要求負荷の変化速度が所定値以下であることが判断された場合に、前記必要挟圧力を検出するために前記挟圧力を低下させる挟圧力低下手段を備えていることを特徴とする無段変速機の制御装置。
【0013】
したがって請求項2の発明では、要求負荷の変化が遅い場合に挟圧力の低下制御がおこなわれ、ベルトの滑りが検出される。
【0014】
さらに、請求項3の発明は、請求項1または2の発明において、前記必要挟圧力を検出するために前記挟圧力を低下させている過程における現在時点より前の時点における変速比もしくは変速比変化率に基づいて、前記無段変速機に滑りが生じていないとした場合の現在時点における変速比もしくは変速比変化率の推定値を求める推定値算出手段と、前記推定値と現在時点における実際の変速比もしくは変速比変化率とを比較するとともにその比較結果に基づいて前記無段変速機の滑りを判定する滑り判定手段とを備えていることを特徴とする制御装置である。
【0015】
したがって請求項3の発明では、現在時点より前の時点における変速比もしくは変速比変化率の変化傾向により現在時点の変速比もしくは変速比変化率の推定値を算出し、その算出した推定値と、実際に検出された変速比との比較により、滑りの判定がおこなわれる。
【0016】
そして、請求項4の発明は、請求項3の発明において、前記推定値を求めるために使用される前記変速比もしくは変速比変化率が現在時点より前の所定期間の間に求められるとともに、前記滑りの判定を開始するまでの前記所定期間を含む期間の長さの適否を判断する推定適否判断手段を更に備えていることを特徴とする制御装置である。
【0017】
したがって請求項4の発明では、変速比もしくは変速比変化率が適切に求められたかどうかが、その求められた時間の長さにより判断される。
【0018】
【発明の実施の形態】
つぎにこの発明を具体例に基づいて説明する。先ず、この発明で対象とする無段変速機を含む駆動系統の一例を説明すると、図5は、ベルト式無段変速機1を含む駆動機構を模式的に示しており、その無段変速機1は、前後進切換機構2およびロックアップクラッチ3付きの流体伝動機構4を介して動力源5に連結されている。
【0019】
その動力源5は、内燃機関、あるいは内燃機関と電動機、もしくは電動機などによって構成されている。なお、以下の説明では、動力源5をエンジン5と記す。また、流体伝動機構4は、例えば従来のトルクコンバータと同様の構成であって、エンジン5によって回転させられるポンプインペラとこれに対向させて配置したタービンランナーと、これらの間に配置したステータとを有し、ポンプインペラで発生させたフルードの螺旋流をタービンランナーに供給することよりタービンランナーを回転させ、トルクを伝達するように構成されている。
【0020】
このような流体を介したトルクの伝達では、ポンプインペラとタービンランナーとの間に不可避的な滑りが生じ、これが動力伝達効率の低下要因となるので、ポンプインペラなどの入力側の部材とタービンランナーなどの出力側の部材とを直接連結するロックアップクラッチ3が設けられている。このロックアップクラッチ3は、油圧によって制御するように構成され、完全係合状態および完全解放状態、ならびにこれらの中間の状態であるスリップ状態に制御され、さらにそのスリップ回転数を適宜に制御できるようになっている。
【0021】
前後進切換機構2は、エンジン5の回転方向が一方向に限られていることに伴って採用されている機構であって、入力されたトルクをそのまま出力し、また反転して出力するように構成されている。図5に示す例では、前後進切換機構2としてダブルピニオン型の遊星歯車機構が採用されている。すなわち、サンギヤ6と同心円上にリングギヤ7が配置され、これらのサンギヤ6とリングギヤ7との間に、サンギヤ6に噛合したピニオンギヤ8とそのピニオンギヤ8およびリングギヤ7に噛合した他のピニオンギヤ9とが配置され、これらのピニオンギヤ8,9がキャリヤ10によって自転かつ公転自在に保持されている。そして、二つの回転要素(具体的にはサンギヤ6とキャリヤ10と)を一体的に連結する前進用クラッチ11が設けられ、またリングギヤ7を選択的に固定することにより、出力されるトルクの方向を反転する後進用ブレーキ12が設けられている。
【0022】
無段変速機1は、従来知られているベルト式無段変速機と同じ構成であって、互いに平行に配置された駆動プーリ13と従動プーリ14とのそれぞれが、固定シーブと、油圧式のアクチュエータ15,16によって軸線方向に前後動させられる可動シーブとによって構成されている。したがって各プーリ13,14の溝幅が、可動シーブを軸線方向に移動させることにより変化し、それに伴って各プーリ13,14に巻掛けたベルト17の巻掛け半径(プーリ13,14の有効径)が連続的に変化し、変速比が無段階に変化するようになっている。そして、上記の駆動プーリ13が前後進切換機構2における出力要素であるキャリヤ10に連結されている。
【0023】
なお、従動プーリ14における油圧アクチュエータ16には、無段変速機1に入力されるトルクに応じた油圧(ライン圧もしくはその補正圧)が、図示しない油圧ポンプおよび油圧制御装置を介して供給されている。したがって、従動プーリ14における各シーブがベルト17を挟み付けることにより、ベルト17に張力が付与され、各プーリ13,14とベルト17との挟圧力(接触圧力)が確保されるようになっている。これに対して駆動プーリ13における油圧アクチュエータ15には、設定するべき変速比に応じた圧油が供給され、目標とする変速比に応じた溝幅(有効径もしくは巻掛け径)に設定するようになっている。
【0024】
上記の従動プーリ14が、ギヤ対18を介してディファレンシャル19に連結され、このディファレンシャル19から駆動輪20にトルクを出力するようになっている。したがって上記の駆動機構では、エンジン5と駆動輪20との間に、ロックアップクラッチ3と無段変速機1とが直列に配列されている。
【0025】
上記の無段変速機1およびエンジン5を搭載した車両の動作状態(走行状態)を検出するために各種のセンサーが設けられている。すなわち、無段変速機1に対する入力回転数(前記タービンランナーの回転数)を検出して信号を出力するタービン回転数センサー21、駆動プーリ13の回転数を検出して信号を出力する入力回転数センサー22、従動プーリ14の回転数を検出して信号を出力する出力回転数センサー23、ベルト挟圧力を設定するための従動プーリ14側の油圧アクチュエータ16の圧力を検出する油圧センサー24が設けられている。また、特には図示しないが、アクセルペダルの踏み込み量を検出して信号を出力するアクセル開度センサー、スロットルバルブの開度を検出して信号を出力するスロットル開度センサー、ブレーキペダルが踏み込まれた場合に信号を出力するブレーキセンサーなどが設けられている。
【0026】
上記の前進用クラッチ11および後進用ブレーキ12の係合・解放の制御、および前記ベルト17の挟圧力の制御、ならびに変速比の制御、さらにはロックアップクラッチ3の制御をおこなうために、変速機用電子制御装置(CVT−ECU)25が設けられている。この電子制御装置25は、一例としてマイクロコンピュータを主体として構成され、入力されたデータおよび予め記憶しているデータに基づいて所定のプログラムに従って演算をおこない、前進や後進あるいはニュートラルなどの各種の状態、および要求される挟圧力の設定、ならびに変速比の設定、ロックアップクラッチ3の係合・解放ならびにスリップ回転数などの制御を実行するように構成されている。
【0027】
ここで、変速機用電子制御装置25に入力されているデータ(信号)の例を示すと、無段変速機1の入力回転数(入力回転速度)Ninの信号、無段変速機1の出力回転数(出力回転速度)No の信号が、それぞれに対応するセンサから入力されている。また、エンジン5を制御するエンジン用電子制御装置(E/G−ECU)26からは、エンジン回転数Ne の信号、エンジン(E/G)負荷の信号、アクセルペダル(図示せず)の踏み込み量であるアクセル開度信号などが入力されている。
【0028】
無段変速機1によれば、入力回転数であるエンジン回転数を無段階に(言い換えれば、連続的に)制御できるので、これを搭載した車両の燃費を向上できる。例えば、アクセル開度などによって表される要求駆動量と車速とに基づいて目標駆動力が求められ、その目標駆動力を得るために必要な目標出力が目標駆動力と車速とに基づいて求められ、その目標出力を最適燃費で得るためのエンジン回転数が予め用意したマップに基づいて求められ、そして、そのエンジン回転数となるように変速比が制御される。
【0029】
そのような燃費向上の利点を損なわないために、無段変速機1における動力の伝達効率が良好な状態に制御される。具体的には、無段変速機1のトルク容量すなわちベルト挟圧力が、エンジントルクに基づいて決まる目標トルクを伝達でき、かつベルト17の滑りが生じない範囲で可及的に低いベルト挟圧力に制御される。このような挟圧力のいわゆる低下制御は、外乱の可能性の低い状態、具体的には、平坦良路を特に加減速することなく走行している状態で実行され、悪路を走行している状態や大きく加速もしくは減速している状態では、挟圧力をライン圧程度の相対的に高い圧力に設定する。
【0030】
その低下制御で設定される挟圧力は、滑りを生じることなく入力トルクを伝達できる最低圧(いわゆる滑り限界圧)に、路面の状態に応じて出力側から入力されることが予想されるいわゆる路面入力に対応する圧力などの滑りに対する安全を見込んだ所定圧を加えた圧力に設定される。その所定圧は予め設定することができるが、滑り限界圧は、経時的に変化することのある摩擦係数や潤滑油の状態などに影響され、予め一義的に設定できないので、滑りの状態に基づいて設定することが好ましい。
【0031】
図5に示す無段変速機1を対象とするこの発明に係る制御装置は、以下のようにして滑りを検出し、またその検出結果に基づいて挟圧力を設定するように構成されている。すなわち図1はその制御例を示すフローチャートであって、このフローチャートは所定の短い時間毎に繰り返し実行される。先ず、フラグFについて判断される(ステップS1)。このフラグFは、無段変速機1での滑りが判定されて所定の処理が実行されている場合に“1”にセットされるフラグであり、当初は“0”にセットされている。
【0032】
したがって図1のルーチンを開始した当初はステップS1で“F=0”の判断が成立し、必要挟圧力の検出条件の成立が判断される(ステップS2)。この必要挟圧力とは、エンジン5側から入力されるトルクを伝達できる挟圧力(もしくは前述した滑り限界圧)であり、あるいはこれに路面入力対応分の圧力を加えた挟圧力である。このような必要挟圧力を検出するためには、無段変速機1に作用するトルクが安定している必要があり、したがってステップS2での検出条件は、ロードロード中高速巡航中であること、およびアクセル開度変化速度が所定値以下であることを含む条件であり、これに加えてエンジン5の暖機が完了していること、無段変速機1の油温が所定値以上であることなど含むことができる。なお、ロードロード中高速巡航中であることの判断は、例えば従動プーリ14のトルクと回転加速度とから判断できる。
【0033】
ステップS2で肯定的に判断されると、再度フラグFについて判断される(ステップS3)。このステップS3でフラグが“0”の場合、すなわち、ルーチンの最初の実行時のときには、ステップS4に進む。フラグが“1”の場合にはステップS4、ステップS5をとばしてステップS6へ進む。
【0034】
ステップS4では、変速指令値がアップシフト側の所定値より大きいかどうかが判断される。これは、所定値以上のアップシフトの場合には、アップシフト指令値量が大きければ、大きい分だけアップシフト側からダウンシフト側へ変化するのに時間がかかる。そこで、この時間が、滑りの検出動作に必要な時間として充分に確保できるか否かを判定するものである。したがって、ステップS4で肯定的、すなわち、滑りの検出動作に必要な時間が確保できると判断された場合には、フラグFを“1”にセットし(ステップS5)、ステップS6へ進む。
【0035】
なお、ステップS4で否定的に判断された場合、すなわち、アップシフト指令値量が所定値よりも小さく、検出に必要な時間が確保できないと判断された場合には、このルーチンを抜ける。これは、アクセル開度が大きくなっているために、入力トルクの増大による滑りを誘発する可能性があり、次のステップでの挟圧力低下制御を避ける必要があるためである。
【0036】
必要挟圧力検出条件が成立していることによりステップS2で肯定的に判断され、かつ、アップ指令値が所定値以上であることにより、ステップS4で滑り検出に必要十分な時間が確保できると判断された場合には、その検出のための操作(制御)が開始される(ステップS6)。具体的には、無段変速機1での挟圧力すなわち従動プーリ14側のアクチュエータ16に加える油圧を、ステップS2で肯定的に判断された時点の圧力から次第に低下させる指令が出力される。その低下勾配は、油圧の応答遅れによって挟圧力が過剰に低下したり、それに伴って無段変速機1に過剰な滑りが生じたりしないように予め定めた小さい勾配である。
【0037】
ついで所定時間t1 が経過したか否かが判断される(ステップS7)。この所定時間t1 は、挟圧力の低下指令の出力から挟圧力が実際に低下し始めるまでの遅れ時間に相当する時間であり、予め定められている。したがって、所定時間t1 が経過していないことによりステップS7で否定的に判断された場合には、時間の経過を待つために、一旦、このルーチンを終了する。
【0038】
所定時間t1 が経過してステップS7で肯定的に判断された場合には、変速比γが計算されて蓄積される(ステップS8)。変速比γは、前記入力回転数センサー22で得られる駆動プーリ13の回転数と、前記出力回転数センサー23で得られる従動プーリ14の回転数との比として算出される。この変速比γの計算と蓄積とは、挟圧力を前述したように所定の勾配で低下させている過程で、無段変速機1に滑りが生じないと想定される範囲で設定した所定時間t3 の間、継続するようになっている。したがってその所定時間t3 が経過したか否かが判断される(ステップS9)。
【0039】
このステップS9で否定的に判断された場合には、変速比γの計算・蓄積を継続するために、一旦、このルーチンを抜ける。これとは反対に所定時間t3 が経過してステップS9で肯定的に判断された場合には、前述した必要挟圧力検出操作を開始した時点(前記ステップS6での制御の開始時点)から前記所定時間t1 が経過した点と所定時間t2 (<t3 )が経過した時点との間における変速比γのデータに基づいて変速比γの変化勾配(変速比変化率)Δγが算出される(ステップS10)。その演算は最小二乗法や、移動平均の最初の値と最後の値との平均を求める方法など、従来知られている各種の方法によっておこなうことができる。ここで、上記の各所定時間t1 ,t2 ,t3 は、全て、ステップS6の制御開始時点を始点とした経過時間である。
【0040】
ついで、現在時点の推定変速比γn’ が求められる(ステップS11)。この推定変速比γn’ は、現在時点で無段変速機1に滑りが無いとした場合の変速比の推定値であり、一例として、前回の変速比すなわち現在時点の直前に得られている変速比γn-1 に前記変速比変化率Δγを加算して求められる。したがってこの例における変速比変化率Δγは、図1のルーチンの実行時間間隔毎の変速比γの変化量として求められている。
【0041】
こうして得られた推定変速比γn’ とその時点の実際の変速比γn とを比較して滑りが生じているか否かが判定される(ステップS12)。ここで、実際の変速比γn は、前述した前記入力回転数センサー22で得られる駆動プーリ13の回転数と、前記出力回転数センサー23で得られる従動プーリ14の回転数との比として算出された変速比γである。そして、その比較は、図1に示す例では、推定変速比γn’ と実際の変速比γn との差の絶対値が、予め定めたしきい値γh 以上か否かを演算することによりおこなわれる。
【0042】
前記絶対値がしきい値γh より小さいことによりステップS12で否定的に判断されれば、無段変速機1に滑りが生じていないことになるので、特に制御をおこなうことなく、このルーチンを終了する。その場合、フラグFが“0”のままであるから、図1のルーチンの次の実行サイクルの際には、上述したステップS1以降の各制御が繰り返し実行され、その結果、挟圧力を継続して低下させられる。
【0043】
このようにして挟圧力がある程度低下してステップS12で肯定的に判断された場合には、滑りが無いとして推定された変速比γn’ に対して実測された変速比γn が大きくずれていることになるので、無段変速機1に滑りが生じているとの判定が成立する。したがってこの場合は、フラグFが“1”にセットされる(ステップS13)。また同時に、所定の対応処理IIが実行される(ステップS14)。この対応処理IIは、その時点までの経過時間や挟圧力のストアーの他に、滑りを解消するために挟圧力を増大させる指令を出力することを含む制御である。
【0044】
ステップS13でフラグFが“1”にセットされたことにより、図1のルーチンを次のサイクルで実行する場合にステップS1で“F=1”の判断が成立し、所定時間t5 が経過したか否かが判断される(ステップS15)。この所定時間t5 の開始時点は、上述したステップS12で肯定的に判断された時点、すなわち滑り判定成立の時点である。また、その所定時間t5 は、滑り判定の成立に伴って出力された挟圧力の増大指令によって挟圧力が実際に増大するのに要する時間に相当する時間である。
【0045】
したがってステップS15で否定的に判断された場合には、挟圧力の増大過程にあることになるので、時間の経過を待つために、一旦、このルーチンを抜ける。これに対して所定時間t5 が経過してステップS15で肯定的に判断された場合には、タイマーのチェックがおこなわれる(ステップS16)。このタイマーのチェックは、前述した所定時間t1 ,t2 ,t3 のいずれかもしくは全てについての適否を評価する制御である。
【0046】
すなわち、前述したように、挟圧力の低下開始から所定時間t3 の間、変速比γが計算されて蓄積され、その所定時間t3 が経過した後に、変速比γについての推定値と実測値とを使用した滑りの判定がおこなわれる。その間においても挟圧力が低下し続けているので、所定時間t3 が長い場合には、変速比γの計算・蓄積をおこなっている間に滑りが生じてしまう。このような場合、滑りに伴って増大もしくは変化した変速比を、変速比変化率Δγの算定データとして取り込んでしまうので、変速比変化率Δγや推定変速比γn’ などの誤差が大きくなり、滑りの判定精度が低下する。これとは反対に挟圧力の低下開始から滑りが生じるまでの時間に対して前記所定時間t3 を短くすると、変速比γの計算・蓄積が終了した後の充分長い時間の間で滑りの検出もしくは判定をおこなうことができるが、変速比γの計算・蓄積をおこなう時間が短くなってデータ数が少なくなるので、変速比変化率Δγや推定変速比γn’ の誤差が大きくなり易い。
【0047】
このような不適合状態を解消するために、滑りが実際に発生した時点を検出し、その実際の滑り発生時点と上記の所定時間t3 の経過した時点とを比較して、所定時間の適否を評価する。より具体的に説明すると、挟圧力を低下させることに起因する無段変速機1の滑りは、一時的なものであって上記の対応処理IIによって直ちに解消され、その後は滑りのない状態での変速比が設定される。したがって滑りを挟んだ前後での変速比は、ほぼ等しいか、もしくは変速比変化率Δγで変化した関係にある。これは、図式的には、滑りを挟んだ前後の変速比を直線で結ぶのと同等である。滑りが生じた場合の変速比は、その直線から外れることになり、あるいは変速比変化率Δγで定まる値から外れることになるから、上述した所定時間t5 が経過して滑りが収束した後に、滑り発生前の変速比、滑り収束後の変速比、ならびにその間の実測された変速比を使用して、実際に滑りが発生した時点を特定することができる。
【0048】
上記のステップS16におけるタイマーチェックは、実際の滑りの発生時点の特定を含む上記の一連の演算および比較を含む制御である。そして、その評価の結果に応じて対応処理III が実行される(ステップS17)。すなわち上記の所定時間t1 ,t2 ,t3 の長さが適当であることにより“適”の評価がなされた場合には、滑り判定成立時の挟圧力がその時点の入力トルクもしくは入力トルク領域に対するいわゆる滑り限界圧とされ、かつこれに路面入力対応分の圧力を加えた挟圧力が必要挟圧力とされ、挟圧力マップが更新される。
【0049】
これとは反対に上記の所定時間t1 ,t2 ,t3 の長さが不適当であることの評価がなされた場合には、その評価に応じた処理がおこなわれる。例えばいずれかの所定時間が短い場合には、長くなるように修正される。あるいは滑りに伴って増大する変速比をデータとして取り込んでしまうなど、所定時間が長い場合には、全体としての所定時間が短くなるように修正される。これは、変速比変化率Δγの算出データを得る所定時間t2 を短くし、あるいは所定時間t1 ,t2 を変化させずに、所定時間t2 が経過後、所定時間t3 が終了するまでの時間(t4 )を短くしてもよい。また、これらの所定時間の修正と併せて、前記ステップS12での滑り判定が無効とされ、またステップS3での低下開始時の挟圧力を高くするなどの処理が実行される。
【0050】
このように対応処理III を実行した後、フラグFがクリアーされ、またストアーされた各値がクリアーされる(ステップS18)。言い換えれば、終了制御がおこなわれる。
【0051】
なお、前述したステップS2で否定的に判断された場合、すなわち必要挟圧力検出条件が成立していない場合には、対応処理I が実行される(ステップS19)。ステップS2で成立が判断される検出条件は、要は、無段変速機1に作用するトルクが安定していること、あるいはトルクの変化が緩やかなことであるから、その検出条件が成立していなければ、無段変速機1に作用するトルクが急激に変化したり、あるいは大きい状態であるから、このようなトルク状態であっても無段変速機1に滑りが生じないように、挟圧力が相対的に高く設定される。この制御を主な内容とする処理がステップS19での対応処理I である。
【0052】
上記の図1に示す制御をおこなった場合の挟圧力指令値、実挟圧力、変速比の変化を図2のタイムチャートに示してある。すなわち、必要挟圧力検出条件が成立したA時点に挟圧力を徐々に低下させる指令信号が出力され、その時点から所定時間t1 が経過したB時点に実挟圧力が低下し始める。
【0053】
一方、図2には、ダウンシフト状態の変速比γの変化を実線で示し、アップシフト状態の変速比γの変化を破線で示してある。これらの変速比はそれぞれの状態に応じて所定の勾配で変化しているが、実挟圧力が低下し始めると、その勾配の状態がダウンシフト傾向に変化する。すなわちダウンシフト状態であれば、その変速比γの増大勾配が僅かに大きくなり、アップシフト状態であれば、その変速比γの減少勾配が僅かに小さくなる。
【0054】
実挟圧力が低下し始めたB時点以降の所定時間t2 の間に変速比γが計算されて蓄積される。その所定時間t2 が経過したC時点から所定時間t4 が経過するD時点までの間、すなわち制御を開始したA時点から所定時間t3 が経過したD時点とそれより前のC時点の間は、変速比γの計算・蓄積を継続するとともに、それより以前の所定時間t2 の間のデータに基づいて変速比変化率Δγを演算する期間である。
【0055】
こうして変速比変化率Δγが求められたことにより、D時点以降に変速比変化率Δγを使用した推定変速比γn’ と実変速比γn との差の絶対値を使用して滑りの判定がおこなわれる。無段変速機1に滑りが無いとして算出された推定変速比γn’ を、ダウンシフト状態およびアップシフト状態のそれぞれについて、D時点の近傍の線を延長した線として図2に記載してある。挟圧力の低下に伴って無段変速機1に滑りが発生すると、実変速比γn が推定変速比γn’ に対して次第にずれ、その差が大きくなるので、実際に滑りが発生したE時点の後、実変速比γn と推定変速比γn’ との偏差が前述したしきい値γh 以上になったF時点に滑り発生の判定が成立する。
【0056】
これと同時に挟圧力の増大指令が出力される。これが前述した対応処理IIに含まれる制御である。また、所定時間t5 のカウントが開始される。挟圧力の増大指令に対して所定の遅れをもって実挟圧力が増大し始め、その結果、無段変速機1の滑りが収束に向かい、所定時間t5 が経過した後は、前述した変速比変化率Δγで変化した後の変速比となる。この過程で特に加減速などに起因する変速比勾配の変化が生じなければ、滑りの前後における変速比は、図2の推定変速比γn’ を示す直線上に位置することになる。
【0057】
したがって滑りが収束した後では、滑りが生じなかったとした場合の変速比と滑りによって実際に変化した変速比とを求めることができるので、これらの変速比の相違もしくは変化に基づいて、実際に滑りが発生したE時点を特定することができる。これを利用して前記所定時間t1 ,t2 ,t3 の適否が判定される。例えば図2のE時点の付近に所定時間t4 が重なることが算出された場合には、その所定時間t4 が長く、滑りに起因する変速比γの増大を蓄積データとして取り込んでしまうことになるので、不適の判定が成立する。その場合には、前述したように、滑りの判定が無効にされ、あるいは所定時間t1 ,t2 ,t3 ,t4 が短くされ、もしくは滑りが相対的に早く発生したことになるので制御開始時(A時点)の挟圧力が増大させられる。
【0058】
したがって図1に示す制御を実行するように構成されたこの発明の制御装置によれば、滑り判定のために必要な推定値の演算が、過去の所定期間に亘る変速比の算出やその変化量である変化勾配の算出であって、これらの演算は、簡単な加減乗除でおこなえるので、迅速な制御が可能になると同時に、装置の構成が簡素化される。また、推定値を求める過程についての評価、具体的には前述した過去の所定時間の適否を評価するので、滑りの判定精度が向上する。
【0059】
つぎにこの発明の他の具体例を説明する。上述した具体例では、変速比の推定値を求め、その推定値と実変速比とに基づいて滑りを判定するように構成したが、この発明では、これに替えて、推定変速比変化率と実変速比変化率とに基づいて滑りを判定するように構成することもできる。
【0060】
図3はその例を説明するためのフローチャートであって、図1における変速比γを変速比変化率Δγに置き換え、それに伴う修正を施したフローチャートであるから、図1と共通する部分には、図1と同じステップ番号を付してその説明を省略する。図3において、所定時間t1 が経過した後、すなわちステップS7で肯定的に判断された後、所定時間t3 の間に亘って、その間の変速比γの変化として変速比変化率Δγが計算され、蓄積される(ステップS8−1)。
【0061】
したがってこれに続くステップS9で所定時間t3 の経過が判断され、否定的に判断された場合には、変速比変化率Δγの計算・蓄積を継続するために、一旦、このルーチンを抜ける。これに対して所定時間t3 が経過してステップS9で肯定的に判断された場合には、制御開始から所定時間t1 の経過時点と、所定時間t2 (<t3 )が経過した時点との間で得られている変速比変化率Δγのデータに基づいて判定オフセット値(すなわち推定変速比変化率)Δγo が決定される(ステップS10−1)。その推定変速比変化率Δγo の決定は、一例として変速比変化率Δγの平均値として決定することができる。また、最小二乗法などの幾分複雑な演算が許容される場合には、変速比γに基づいて決定することもできる。
【0062】
こうして決定された推定変速比変化率Δγo と実際の変速比変化率Δγとの差の絶対値が所定のしきい値Δγh 以上か否かかが判断される(ステップS12−1)。無段変速機1に滑りが生じれば、その時点で変速比γが急激に変化するので、変速比変化率Δγもその直前とは異なったものとなる。したがってステップS12−1で否定的に判断されれば、変速比変化率Δγがその直前とは大きく異ならず、滑りが発生していないことになる。したがってその場合、特に制御をおこなうことなくこのルーチンを一旦抜ける。これとは反対にステップS12−1で肯定的に判断された場合には、滑りに伴って変速比変化率Δγが大きく変化したことになるので、滑りの判定が成立し、したがってフラグFを“1”にセット(ステップS13)した後、対応処理IIを実行する(ステップS14)。他の制御(ステップ)は、図1に示すフローチャートと同様である。
【0063】
なお、変速比γに替えて変速比変化率Δγに基づいて滑りを判定した場合であっても、滑りの収束後に実際に滑りが発生した時点を特定することができる。したがって図3に示す例であってもステップS16において所定時間t1 ,t2 ,t3 ,t4 について評価し、その評価結果に基づいて所定の対応処理III (ステップS17)をおこなうことができる。
【0064】
図4は、上記の図3に示す制御を実行した場合のタイムチャートを示しており、この図4は前述した図2のタイムチャートに変速比変化率Δγと推定変速比変化率Δγo とを追記したものである。すなわち、図4において、ダウンシフト状態およびアップシフト状態のいずれであっても、B時点以降の変速比変化率Δγがほぼ一定に維持され、これが推定変速比変化率Δγo となる。そして、挟圧力の低下によって無段変速機1に滑りが生じると(E時点)、実変速比変化率Δγが増大し始め、推定変速比変化率Δγo との差がしきい値γh 以上になったF時点で滑り発生の判定が成立する。
【0065】
そして、挟圧力の増大指令によって実挟圧力が増大すると、滑りが収束し、変速比γおよびその変化率Δγが元の変化傾向によって定まる値に復帰する。その滑りの前後における変速比変化率Δγに基づいて、滑りの発生時点が特定され、その特定された滑り発生時点と前記所定時間t1 ,t2 ,t3 ,t4 とが比較されて所定時間t1 ,t2 ,t3 ,t4 が評価される。
【0066】
したがって図3に示すように変速比変化率Δγを使用して滑りを判定する場合には、その判定の過程でおこなうべき演算が更に容易になり、滑り検出が迅速化されるとともに、制御装置の構成が簡素化される。
【0067】
ここで、上記の具体例とこの発明との関係を簡単に説明すると、ステップS4の機能的手段が、この発明の条件判断手段に相当し、ステップS2の機能的手段が、この発明の前提条件判断手段に相当し、ステップS6の機能的手段がこの発明の挟圧力低下手段に相当し、ステップS10およびステップS10−1の機能的手段が、この発明の推定値算出手段に相当する。また、ステップS12およびステップS12−1の機能的手段が、この発明の滑り判定手段に相当し、ステップS16の機能的手段が、この発明の推定適否判断手段に相当し、ステップS17の機能的手段が、この発明の修正制御手段に相当する。
【0068】
なお、この発明は上記の具体例に限定されないのであって、この発明における無段変速機は、ベルト式無段変速機以外に、トロイダル型(トラクション式)無段変速機であってもよい。また、挟圧力を低下させて生じる滑りに限らず、無段変速機の通常の運転中での滑りを検出する場合にもこの発明を適用することができる。
【0069】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明によれば、変速指令値がアップシフト側で所定値よりも大きい場合には、挟圧力の低下制御がおこなわれ、滑りが検出される。つまり、変速指令値が所定値よりも大きい分アップシフト側からダウンシフト側への変更には時間がかかるため、滑り検出に必要な十分な時間を確保することができる。したがって、滑りの検出機会が増加するため、滑りの検出の精度を向上させることができる。また、検出に十分な時間が確保できない場合には、挟圧力の低下制御をおこなわないので、入力トルクの増大による滑りの発生を回避することができる。
【0070】
また、請求項2の発明によれば、要求負荷の変化が遅い場合に挟圧力の低下制御がおこなわれ、滑りが検出される。したがって、外乱などの要求負荷の変動による検出精度の悪化を回避することができ、滑りの検出の精度を向上させることができる。
【0071】
さらに、請求項3の発明によれば、現在時点より前の時点における変速比もしくは変速比変化率の変化傾向により現在時点の変速比もしくは変速比変化率の推定値を算出し、その算出した推定値と、実際に検出された変速比との比較により、滑りの判定がおこなわれる。したがって、簡単な演算で滑りを検出もしくは判定することができるため、判定の迅速化をはかることができる。
【0072】
そして、請求項4の発明によれば、変速比もしくは変速比変化率が適切にもとめられたかどうかが、その求められた時間の長さにより判断される。したがって、求められた時間を、判定動作に反映させることができ、滑りの検出の精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の制御装置による制御の一例を説明するためのフローチャートである。
【図2】 図1の制御を実行した場合のタイムチャートを示す図である。
【図3】 この発明の制御装置による制御の他の例を説明するためのフローチャートである。
【図4】 図3の制御を実行した場合のタイムチャートを示す図である。
【図5】 この発明で対象とする無段変速機を含む駆動装置を模式的に示す図である。
【符号の説明】
1…無段変速機、 5…エンジン(動力源)、 13…駆動プーリ、 14…従動プーリ、 17…ベルト、 20…駆動輪、 25…変速機用電子制御装置(CVT−ECU)、 26…エンジン用電子制御装置(E/G−ECU)。
Claims (4)
- トルク容量を設定する挟圧力を低下させることに伴うベルトの滑りから必要挟圧力を検出する無段変速機の制御装置において、
前記無段変速機に対する変速指令値がアップシフト側の所定値以上であることを判断する条件判断手段と、
その条件判断手段によって前記無段変速機に対する変速指令値がアップシフト側の所定値以上であることが判断された場合に、前記必要挟圧力を検出するために前記挟圧力を低下させる挟圧力低下手段とを備えていることを特徴とする無段変速機の制御装置。 - トルク容量を設定する挟圧力を低下させることに伴うベルトの滑りから必要挟圧力を検出する無段変速機の制御装置において、
前記必要挟圧力の検出をおこなう前提条件として、前記無段変速機が連結されている動力源に対する要求負荷の変化速度が所定値以下であることを判断する前提条件判断手段と、
その前提条件判断手段によって前記要求負荷の変化速度が所定値以下であることが判断された場合に、前記必要挟圧力を検出するために前記挟圧力を低下させる挟圧力低下手段とを備えていることを特徴とする無段変速機の制御装置。 - 前記必要挟圧力を検出するために前記挟圧力を低下させている過程における現在時点より前の時点における変速比もしくは変速比変化率に基づいて、前記無段変速機に滑りが生じていないとした場合の現在時点における変速比もしくは変速比変化率の推定値を求める推定値算出手段と、
前記推定値と現在時点における実際の変速比もしくは変速比変化率とを比較するとともにその比較結果に基づいて前記無段変速機の滑りを判定する滑り判定手段と
を更に備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の無段変速機の制御装置。 - 前記推定値を求めるために使用される前記変速比もしくは変速比変化率が現在時点より前の所定期間の間に求められるとともに、前記滑りの判定を開始するまでの前記所定期間を含む期間の長さの適否を判断する推定適否判断手段を更に備えていることを特徴とする請求項3に記載の無段変速機の制御装置。
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