JP4411664B2 - エナメル線 - Google Patents
エナメル線 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4411664B2 JP4411664B2 JP17930398A JP17930398A JP4411664B2 JP 4411664 B2 JP4411664 B2 JP 4411664B2 JP 17930398 A JP17930398 A JP 17930398A JP 17930398 A JP17930398 A JP 17930398A JP 4411664 B2 JP4411664 B2 JP 4411664B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- enameled wire
- heat resistance
- wire
- toluenesulfonate
- solderability
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Paints Or Removers (AREA)
- Organic Insulating Materials (AREA)
- Insulated Conductors (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エナメル線に関し、特に、高いハンダ付け性と高い耐熱性とを同時に備えたエナメル線に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、絶縁皮膜を除去することなくハンダ付け作業を行うことができ、これにより電工作業を合理化したエナメル線として、たとえば、絶縁皮膜をポリウレタンにより構成したエナメル線が知られている。
【0003】
このエナメル線は、特に、絶縁皮膜除去の困難な細径エナメル線の分野において重用されているが、本質的に耐熱特性が不足していることから、このエナメル線をもって耐熱要求の強い電気機器の小型化、あるいは高性能化等に対処することは困難である。
【0004】
従来、ポリウレタンエナメル線に代わるハンダ付け性エナメル線として、たとえば、ポリウレタン分子にイミド構造を組み入れたイミド変性ウレタンエナメル線、あるいはポリエステルイミドを変性することによってハンダ付け性を持たせた変性ポリエステルイミドエナメル線などが使用されており、これらは耐熱性に優れたハンダ付け可能なエナメル線として知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これらの耐熱ハンダ付け性エナメル線によると、ハンダ付け性と耐熱性とは相反する関係にあり、たとえば、ハンダ付け性を重視するときには耐熱性が低下し、耐熱性を重視するときにはハンダ付け性が低下するようになる。
【0006】
このため、現状においては、ハンダ付け性と耐熱性とを充分な水準のもとに両立させることが難しく、両特性とも不満足なまゝか、あるいは基本性能である耐熱性を優先させ、ハンダ付け性を抑制した形で使用せざるを得ない。
【0007】
従って、本発明の目的は、高いハンダ付け性と高い耐熱性とを同時に備えたエナメル線を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の目的を達成するため、導体と、前記導体の周上に形成された絶縁皮膜とから構成され、前記絶縁皮膜は、スルホン酸エステル化合物を含有するポリアミドイミド系塗料の塗布焼き付けにより構成されたことを特徴とするエナメル線を提供するものである。
【0009】
上記のスルホン酸エステル化合物としては、ポリアミドイミド系塗料と相溶性を有するものであれば特に制限はないが、〔化1〕の化学式により示される化合物の使用が好ましく、具体的には、たとえば、P−トルエンスルホン酸エチル、あるいはP−トルエンスルホン酸ドデシルが使用される。
【0010】
ポリアミドイミドとしては、ジイソシアネートとトリカルボン酸無水物を原料とするもの、あるいはジアミンとトリカルボン酸無水物の酸クロリドとを原料とするものなどが使用されるが、合成工程の簡易性を考慮する場合には前者の使用が好ましい。
【0011】
ジイソシアネートとしては、耐熱性の点からすると、4、4′ジフェニルメタンジイソシアネートのような芳香族ジイソシアネートを主成分とすることが望ましく、また、ハンダ付け性を向上させるためには、ヘキサメチレンジイソシアネートのような脂肪族ジイソシアネート、あるいはジシクロヘキシルメタン−4、4′−ジイソシアネートのような脂環族ジイソシアネート等を併用することが望ましい。
これら芳香族、脂肪族、および脂環族による特性への影響は、ジアミンを原料としてポリアミドイミドを合成する場合のジアミンについても云える。
【0012】
ジイソシアネートのイソシアネート基を、フェノール、クレゾール、あるいはキシレノール等でマスキングし、これによって未使用時におけるイソシアネート基の反応を防止した安定化ジイソシアネートの使用は好ましい。
【0013】
トリカルボン酸無水物としては、特に種類に制限はないが、特性のバランス面から云えば、トリメリット酸無水物の使用が好ましい。
他のカルボン酸、たとえば、アジピン酸のような脂肪族カルボン酸、あるいはフタル酸のような芳香族カルボン酸を併用することはさしつかえない。
【0014】
エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリイソシアネート樹脂、あるいはポリオール樹脂等を添加することは可能である。
本発明における絶縁皮膜の上に自己潤滑系塗料、あるいは自己融着性塗料などの他の塗料の焼付けによる皮膜を形成し、これによってエナメル線としての付加価値を高めることは可能であり、実際的である。
【0015】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について説明する。
【実施例1】
冷却管を備えた4つ口フラスコの中で、トリメリット酸無水物1molと4、4′−ジフェニルメタンジイソシアネート1molとをN−メチル−2−ピロリドン1l中に溶解し、次いで、これを100℃、120℃、および140℃の順に各1時間づつ反応させることによりポリアミドイミド系塗料を得た。
【0016】
次に、P−トルエンスルホン酸エチルを濃度50重量%となるようにN−メチル−2−ピロリドンに溶解することによりP−トルエンスルホン酸エチルのNMP溶液を調合し、これをポリアミドイミド系塗料に加えた後、横型熱風循環式焼付炉を使用して外径0.2mmの銅線に塗布焼付け、これにより1種厚さの絶縁皮膜を備えた所定のエナメル線を製造した。
【0017】
この実施例におけるポリアミドイミド系塗料中に占めるP−トルエンスルホン酸エチルの量は、ポリアミドイミドの原料100重量部当たり5重量部となるように設定した。
【0018】
【実施例2】
実施例1におけるP−トルエンスルホン酸エチルの代わりにP−トルエンスルホン酸ドデシルを使用し、他を実施例1と同一条件に設定することにより所定のエナメル線を得た。
【0019】
【実施例3】
ポリアミドイミドの原料として、トリメリット酸無水物1molと、4、4′−ジフェニルメタンジイソシアネート0.6molと、ジシクロヘキシルメタン−4、4′−ジイソシアネート0.4molとを使用し、加熱条件を順に150℃で1時間、および180℃で3時間に設定し、他を実施例1と同一条件とすることによりエナメル線を製造した。
【0020】
【実施例4】
実施例3におけるP−トルエンスルホン酸エチルの代わりにP−トルエンスルホン酸ドデシルを使用し、他を実施例3と同じ条件に設定することにより、所定のエナメル線を製造した。
【0021】
【実施例5】
ポリアミドイミド系塗料中におけるP−トルエンスルホン酸エチルの量をポリアミドイミドの原料100重量部当たり3重量部に設定し、他を実施例3と同一条件とすることにより所定のエナメル線を製造した。
【0022】
【実施例6】
ポリアミドイミド系塗料中におけるP−トルエンスルホン酸エチルの量をポリアミドイミドの原料100重量部当たり10重量部に設定し、他を実施例3と同一条件とすることにより所定のエナメル線を製造した。
【0023】
【比較例1】
P−トルエンスルホン酸エチルを使用せず、他を実施例1と同一条件とすることによりエナメル線を製造した。
【0024】
【比較例2】
P−トルエンスルホン酸エチルを使用せず、他を実施例3と同一条件とすることによりエナメル線を製造した。
【0025】
【従来例】
ハンダ付け可能な耐熱エナメル線製造用塗料として知られているポリエステルイミド塗料(大日精化社製「FS−2」)を0.2mm径の銅線に塗布焼付け、これにより絶縁皮膜厚さが1種厚さのエナメル線を製造した。
【0026】
表1は、以上の実施例と比較例におけるポリアミドイミド系塗料の原料組成を重量部単位に纏め、さらに、各例により得られたエナメル線の特性試験結果を表示したものである。特性試験は、JIS−C3003に準拠して行った。
【0027】
【表1】
【0028】
この表1によれば、本発明による実施例の場合がヒートショック、耐軟化等の耐熱性において優れた特性を有していると同時に、ハンダ付け性においても良好な結果を示している。
一方、これに比べ、従来例の場合には、良好な耐熱性を有してはいるけれども、ハンダ付け性において低い水準にとどまっており、さらに、比較例もハンダ付け性の点で充分な結果が得られていない。
【0029】
本発明における以上の特性は、ポリアミドイミド系塗料にスルホン酸エステル化合物を添加することにより、ハンダ付け温度である400℃程度、あるいはそれ以上の温度でのポリアミドイミドの分解を効率的に促進し、これによって、短時間でのハンダ付けを可能にした効果が現れているものであり、このように、従来、ハンダ付け性を与えることが困難とされ、しかも、有数の耐熱エナメル線として高く評価されてきたポリアミドイミドエナメル線に対し、高いハンダ付け特性を持たせた意味は大きい。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によるエナメル線によれば、スルホン酸エステル化合物を含有したポリアミドイミド系塗料を導体上に塗布焼付けすることにより、高いハンダ付け性と高い耐熱性とを備えたポリアミドイミドエナメル線を提供すするものであり、従って、電気機器類の小型化、あるいは高性能化等に伴う高ハンダ付け性および高耐熱性の同時要求に対して、充分に対応することが可能となる。
Claims (2)
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17930398A JP4411664B2 (ja) | 1998-06-25 | 1998-06-25 | エナメル線 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17930398A JP4411664B2 (ja) | 1998-06-25 | 1998-06-25 | エナメル線 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000011762A JP2000011762A (ja) | 2000-01-14 |
JP4411664B2 true JP4411664B2 (ja) | 2010-02-10 |
Family
ID=16063479
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP17930398A Expired - Fee Related JP4411664B2 (ja) | 1998-06-25 | 1998-06-25 | エナメル線 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4411664B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN114864140B (zh) * | 2022-05-19 | 2023-06-23 | 广东精迅里亚特种线材有限公司 | 一种漆包线及其生产工艺、采用该漆包线的变压器 |
-
1998
- 1998-06-25 JP JP17930398A patent/JP4411664B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2000011762A (ja) | 2000-01-14 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2009161683A (ja) | ポリアミドイミド樹脂絶縁塗料及びそれを用いた絶縁電線 | |
JP4411664B2 (ja) | エナメル線 | |
DE60314528T2 (de) | Verfahren zur herstellung eines modifizierten diisocyanats, verfahren zur herstellung eines selbstschmierenden emaillelackes, verfahren zur herstellung eines lackisolierten elektrischen leiters | |
KR101666294B1 (ko) | 절연전선 피복용 고내열성 폴리우레탄 바니시를 위한 폴리에스테르이미드 폴리올의 제조방법 | |
JP5113580B2 (ja) | ポリアミドイミド樹脂絶縁塗料及びそれを用いた絶縁電線 | |
JP3336220B2 (ja) | 絶縁電線 | |
JP3490895B2 (ja) | 絶縁電線 | |
JP3504859B2 (ja) | 絶縁塗料 | |
JP5176109B2 (ja) | 電気絶縁用樹脂組成物及びこれを用いたエナメル線 | |
JP3298768B2 (ja) | 絶縁電線 | |
JP2007095639A (ja) | 電気絶縁用樹脂組成物及びエナメル線 | |
JP3504858B2 (ja) | 半田剥離可能な絶縁電線 | |
JP3764277B2 (ja) | 絶縁塗料 | |
JPH10265717A (ja) | 絶縁塗料 | |
JP2943209B2 (ja) | 絶縁電線 | |
JPS59204609A (ja) | ポリアミドイミド系樹脂組成物 | |
JP2000182438A (ja) | 電気絶縁用樹脂組成物及びエナメル線 | |
JPH07166054A (ja) | 樹脂組成物およびこれを用いた絶縁電線 | |
JPH0912973A (ja) | 電気絶縁塗料 | |
JPS62185767A (ja) | ポリウレタン系電気絶縁塗料 | |
JPH05331367A (ja) | 樹脂組成物及びこれを用いた絶縁電線 | |
JPS6220568A (ja) | ポリウレタン電気絶縁塗料 | |
JPH11111059A (ja) | はんだ付性エナメル線 | |
JP2002334613A (ja) | 電気絶縁用樹脂組成物及びエナメル線 | |
JPH09194562A (ja) | 樹脂組成物 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050121 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20060815 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20080527 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20080709 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20091027 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20091109 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121127 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |