JP4411636B2 - 蒸しパンの製造方法 - Google Patents

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Description

この発明は、蒸しパンを冷凍し、これを再度蒸し加熱しても、蒸しパン独特のふんわりした食感を保有し、萎縮しない外観を保つ蒸しパンを得ることを目的とした蒸しパンの製造方法に関する。
通常、蒸しパンの流通や保存は常温又は15℃程度の低温で行われているが、保存性の点では、冷凍することが有利であるので、冷凍した蒸しパンを食する際、電子レンジで再度加熱することが知られている。
一方、冷凍した蒸しパンを食する際、再度蒸した場合に、蒸しパン独特のふんわりした食感が損なわれることや、萎縮した外観となり商品価値が著しく低下することから、冷凍した蒸しパンを蒸し加熱して食する場合には、生地改良効果のある乳化剤製剤を使用することが知られている。
特開平8−205831 特開平8−205758
前記特許文献1によれば、蔗糖脂肪酸エステルとグリセリン脂肪酸モノエステル、グリセリン脂肪酸有機酸モノエステル又はソルビタン脂肪酸エステルなどの1種を使用し、これに糖類化合物(例えば果糖・ブドウ糖等の単糖類、蔗糖・乳糖等の二糖類その他多糖類など)を混合した乳化剤製剤を小麦系菓子類に使用しているので、乳化剤特有の味覚を有し、一般蒸しパンとは異なる。
また、特許文献2は、小麦粉にマルトデキストリン、マルトトリオース、マルトース又はオリゴトースなどを混合する蒸しパン又はその製造方法であって、冷凍後再度蒸し加熱する蒸しパンではない。
そこで、前記各発明及び、一般の蒸しパンは、冷凍後再度蒸し加熱するとふんわりした食感を損するものが多く、また外観上萎縮するものが多い問題点があった。
この発明は、通常のパン用材料に、卵白粉末を加えたミックス粉を使用することにより、前記従来の問題点を解決したのである。
また、ミックス粉として提供するために、製造時の特殊技術を使用することなく、多量生産できると共に、食用時には解凍し、蒸し加熱すれば、製造直後の蒸しパンと同様の蒸しパンを得ることができるので、蒸しパンの冷凍流通を容易にしたのである。
の発明は、小麦粉、糖類、化学膨張剤及び前記小麦粉を含む穀粉と澱粉の合計100生産部に対し、30〜60質量部の卵白粉末を含む生地を加水により調整し、該生地を蒸して可食状態にし、冷凍後再度蒸し、加熱することを特徴とした蒸しパンの製造方法である。

前記発明において、卵白粉末を用いることは必須要件であって、小麦粉等に卵白液を添加し、これを粉末化しても、卵白液の添加により小麦粉中のグルテンが形成されてしまい、この発明同等の効果を有するミックス粉及び蒸しパンはできない。
この発明で使用する小麦粉は、従来公知の薄力粉、中力粉、強力粉及びこれらの混合物である。好ましく用いることができるのは薄力粉であり、中力粉、強力粉を使用すると蒸し後製品の食感が硬くなる。
また、必要に応じて、小麦粉以外の米粉、そば粉、大豆粉、コーンフラワーなどの穀粉及び澱粉として、小麦粉、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、タピオカ澱粉等を使用することもできる。
この発明で使用する糖類としては、蔗糖、乳糖、果糖、オリゴ糖、転化糖、ぶどう糖、粉糖、麦芽糖などが挙げられる。好ましくは、蔗糖、ぶどう糖である。
使用量は穀粉100質量部に対し、60〜150質量部であり、好ましくは80〜100質量部である。 60質量部より少ないと製品が硬くなり、150質量部より多いとくちゃつく食感となる。
この発明で使用する化学膨張剤は、ガス発生剤と酸性剤とからなる。ガス発生剤としては炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素アンモニウムなどを単独又は併用して使用することができる。酸性剤としては酒石酸、酒石酸水素カリウム、第一リン酸カルシウム、酸性ピロリン酸ナトリウム、焼みょうばん、グルコノデルタラクトン、炭酸カルシウムなどを単独または併用して使用することができる。
使用量は穀粉100質量部に対し、1〜4質量部である。1質量部より少ないと製品ボリュームが小さくなり、4より多いと製品表面が割れる傾向がある。
この発明の卵白粉末とは、卵白を分離しスプレードライしたものをいう。
使用量は穀粉及び澱粉の合計100質量部に対し、30〜60質量部である。30質量部より少ないと萎縮防止の効果が少なくなり、60質量部より多いと蒸したときに割れ且つ食感も硬くなる傾向がある。
この発明では、卵白粉末と併用して生卵より直接分離した液体の卵白を使用することもできるが、液体卵白のみを使用した場合は、生地水分量が多くなり、この発明の効果を奏しない。
卵白粉末の使用量は穀粉及び澱粉の合計100質量部に対し、30〜60質量部である。30質量部より少ないと萎縮防止の効果を少なくなり、60質量部より多いと蒸したときに割れ且つ食感も硬くなる傾向がある。
この発明の蒸しパン用ミックス粉には、必要に応じて副資材として、小麦粉以外の穀粉、澱粉、油脂、卵黄、脱脂粉乳、乳化剤、天然ガム類、カゼインナトリウム、食塩、香料、着色料、香辛料を使用することができる。
この発明の蒸しパン用ミックス粉は、小麦粉、糖類、膨張剤、卵白粉末及びその他の副資材を均一に混合することで得ることができる。混合の方法は特に限定されず、従来公知のケミカルミキサー、ニーダーミキサー等の混合機を使用することができる。例えば、ケミカルミキサーで上記の資材を5〜10分間混合し、ミックス粉を得ることができる。
また、上記資材をミックス粉とすることなく、各資材をそれぞれミキサーに投入し、加水することによりミックス粉を使用した場合と同等の生地を調整することができる。
本発明の加水量は生地の状態により調整すればよいが、穀粉及び澱粉の合計100質量部に対し140〜180質量部程度である。
このとき、加水する水の一部を液状油又は乳化性液状油に置き換えることができる。
本発明の蒸しパンを冷凍する場合は、公知の方法で行うことができるが、急速冷凍が好ましい。
冷凍蒸しパンを食する場合、蒸し器等で再度98℃で12〜15分間蒸気解凍加熱する。
急速加熱した蒸しパンは、保温して温かい状態で数時間保存することもできる。
この発明によれば、蒸しパンを冷凍後再度蒸し加熱しても、ふんわりした食感及び風味があり(出来立てと同一)、かつ外観上も萎縮その他の変化を生じないなどの諸効果がある。
小麦粉100質量部に対し、糖類90質量部、化学膨張剤2質量部に卵白粉末30〜60質量部を添加混合して、この発明の冷凍後再度蒸し加熱する蒸しパン用ミックス粉を得た。
他の発明は、前記で得た蒸しパン用ミックス粉100質量部に、水60質量部を添加して生地を調製し、これを蒸して可食状態にした後冷凍することによりこの発明の冷凍蒸しパンを製造した。
薄力小麦粉100質量部、蔗糖90質量部、化学膨張剤2質量部、卵白粉末30質量部及び乳化剤1質量部を均一に混合し、ミックス粉を得た。
上記ミックス粉に水120質量部、サラダ油40質量部を加え5分間撹拌し、生地を調製した。
上記生地を型(グラシン深口No.9)に35g入れ、雰囲気温度98℃前後の蒸し器で14分間蒸した。
その後、常温に30分間放置し粗熱をとり、−35℃で急速冷凍した。
前記冷凍した蒸しパンを雰囲気温度98℃前後の蒸し器で8分間蒸気加熱して解凍加熱を行った。
上記実施例1における材料の配合量を表1のように変えて実施例2、3及び比較例1、2、3、4を得た。
Figure 0004411636
前記表1の各解凍加熱を行った蒸しパンの官能評価を行った。官能評価は、各項目について以下の評価基準により10人の専門パネラによる5点評価で行った。評価結果は表2のとおりであった。
Figure 0004411636
評価基準
外観
5 ボリューム非常に大きく、表面に割れが無い。
4 ボリューム大きく、表面に割れが無い。
3 ボリュームは普通であり、表面に一部割れがある。
2 ボリューム小さい。
1 ボリューム小さく、表面がウエットである。

食感
5 ふんわり感があり、口溶け非常に良い。
4 ふんわり感があり、口溶け良い。
3 ふんわり感はそれはどないが、くちゃつかない。
2 くちゃつきあり、口溶け悪い。
1 くちゃつきあり、口溶け非常に悪い。

内相
5 キメが細かく、均一
4 キメがやや細かい
3 普通
2 キメが粗い
1 キメが粗く、不均一
実施例1〜3は比較例1〜3と比較すると外観、食感ともに優れている。比較例4は、加水が多すぎるため、製品にならず評価できなかった。
実施例2で製造した蒸しパンを、冷凍保存し、表3の方法で解凍したものを食して官能評価を行った。官能評価は、各項目について10人の専門パネラにより前記評価基準で行った。
Figure 0004411636
結果は表4のとおりであった。
Figure 0004411636
参考例1、参考例2ともに、実施例2の評価よりかなり劣る結果となった。
実施例1のミックス粉の各資材をミックスすることなく、それぞれ、ミキサーに投入する以外は実施例1と同様に冷凍蒸しパンを製造し、官能評価を行ったところ、実施例1と同じ結果を得た。

Claims (1)

  1. 小麦粉、糖類、化学膨張剤及び前記小麦粉を含む穀粉と澱粉の合計100質量部に対し、30〜60質量部の卵白粉末を含む生地を加水により調整し、該生地を蒸して可食状態にし、冷凍後再度蒸し、加熱することを特徴とした蒸しパンの製造方法。
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