JP4410143B2 - 圧延用複合ロールの熱処理方法 - Google Patents

圧延用複合ロールの熱処理方法 Download PDF

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Description

本発明は,外層にハイス材を用いた熱間圧延または冷間圧延用複合ロールの熱処理方法に関する。
一般に,熱間圧延または冷間圧延用複合ロールは,外面側に耐摩耗性,内部側に強靭性が要求されることから,耐摩耗性に優れるハイス系鋳鉄材を遠心力鋳造により形成した外層と,強靭性に優れる鋳鉄もしくは鋳鋼または合金鋼の内層(またはコア)を,冶金的に一体化した複合構造のロールが使用されている。
上述したような複合ロールは,遠心力鋳造法で製造後,外層に高硬度化の特性を付与させるため,ロールを850〜1000℃で2〜10時間,加熱炉中で保持してオーステナイト化温度にした後,噴霧水冷や衝風冷却等によって急冷する焼入れを行い,焼入れ後,硬度調整や残留応力軽減などを目的として500〜650℃で2〜10時間保持する焼き戻しが数回行われている。
ここで,上記焼入れにより十分な硬度を得るためには,上記オーステナイト化温度を高くすることが必要であるが,この場合に,上記の内層材として鋳鉄材を用いると内部の偏析部が溶融することがあり,また,内層材として鋼系の材料を用いると結晶粒の粗大化が生じ,ともに靭性が劣化するという問題があった。
このような問題を解決する方法として,例えば,特許文献1には,次のような方法が開示されている。すなわち,特許文献1に記載された方法は,予めロール全体を1000℃以下,例えば800℃に均一に予熱した後,ロールを回転させながら,ロールの軸方向に,複数箇所設けたバーナでロールの外層部のみを加熱し,その結果,外層と軸芯部(内層)との境界の温度を1100℃以下の温度とすることにより,上記の鋳鉄材を用いた場合の内部の偏析部の溶融を抑制し,また,鋼系材料による結晶粒の粗大化を抑制し,これにより靭性が劣化するという問題を解決しようとするものである。
特開平4−66619号公報 特許第3230899号公報
しかしながら,上記特許文献1に記載された方法は,以下のような問題を有しており,実用的な技術ではない。すなわち,特許文献1に記載されている焼入れ時の加熱温度,すなわち1000℃以下,実施例では800℃でロール全体を均一に予熱することが開示されているが,この温度では既に内層がオーステナイト化温度に達しており,内層の脆化や結晶粒の粗大化の防止という観点からは十分ではない。
また,特許文献1には,上記ロール全体を均一に予熱した後の加熱方法として,上記複数箇所に設けたバーナでロールの外層部のみを加熱し,外層と軸芯部との境界の温度を1100℃以下の温度とすることが開示されている。しかし,これを加熱炉内で行った場合には,加熱炉内では,
バーナ加熱時の加熱炉内の輻射熱を受けることとなる。したがって,ロール胴部以外のロール軸部および両胴端からの伝熱を受けるため,外層と軸芯部との境界を1100℃以下とすることは困難である。
よって,軸芯部(内層)として鋳鉄材を用いると内部の偏析部が溶融することとなり,また,鋼系の材料を用いると結晶粒の粗大化が生じ,いずれの場合にも靭性が劣化する,という問題もあった。
したがって,この方法を実施して内層の脆化や結晶粒の粗大化を防止するには,加熱炉外で作業する必要があるため,該作業に伴う排煙により環境が著しく汚染され,また,火災が起こるおそれもあり,作業環境を著しく危険なものにする。
そこで,本発明は,このような問題に鑑みてなされたもので,その目的は,焼入れの際のオーステナイト化温度までの加熱において,外層の加熱時における内層の昇熱を最小限に抑制し,内層の脆化や結晶粒の粗大化を防止するとともに,短時間で外層のみをオーステナイト化でき,外層の炭化物を基地中に十分に固溶させ,ハイスの特性を引き出すことが可能な,新規かつ改良された圧延用複合ロールの熱処理方法を提供することにある。
上記課題を解決するために,本発明のある観点によれば,遠心力鋳造により形成されるハイス材からなる外層に,強靭性を有する材料からなる内層を冶金的に一体化して製造される圧延用複合ロールに対して,オーステナイト化温度まで加熱後に冷却する焼入れ処理を行った後,焼戻し処理を行う圧延用複合ロールの熱処理方法が提供される。
上記熱処理方法において,上記オーステナイト化温度までの加熱は,第1加熱炉中で行う第1工程と,第2加熱炉中で行う第2工程とを含むことを特徴としている。具体的には,上記第1工程は,圧延用複合ロールのうち,内層の第2加熱炉に収容される部分と外層の両端面部とを断熱した後,第1加熱炉内にて圧延用複合ロール全体を常温から600〜700℃まで,10〜30℃/Hrの昇温速度で加熱する工程であり,上記第2工程は,第2加熱炉に圧延用複合ロールを移動させた後,外層を600〜700℃から1050〜1150℃まで,300〜600℃/Hrの昇温速度で加熱する工程である。
このように,本発明に係る圧延用複合ロールの熱処理方法においては,まず,第2工程で使用する第2加熱炉に収容される圧延用複合ロールのロール軸部およびロール胴部の両端面部のみを断熱処理した圧延用複合ロールを,第1加熱炉内で,均一に600℃以上700℃以下の温度範囲,すなわち,内層がオーステナイト化しない範囲で最大限加熱しておく(第1工程)。次いで,第2加熱炉に上記ロールを移動させる。ここで,この第2加熱炉において,上記ロールの両端部にある上記断熱処理がされていないロール軸部は,炉殻および外気に接触している。また,第2加熱炉内に収容されたロール軸部およびロール胴部の両端面部は,上記の通り断熱処理されている。かかる状態で,最短時間で,1050〜1150℃へ昇熱させること(第2工程)で,内層の昇熱を最小限に抑制し,内層の脆化や結晶粒の粗大化を防止するとともに,短時間で外層のみをオーステナイト化でき,外層の炭化物を基地中に十分に固溶させ,ハイスの特性を引き出すことが可能となる。
本発明によれば,焼入れの際のオーステナイト化温度までの加熱において,外層の加熱時における内層の昇熱を最小限に抑え,内層の脆化,結晶粒の粗大化を防止するとともに,短時間で外層のみをオーステナイト化でき,外層の炭化物を基地中に十分固溶させ,ハイスの特性を引き出すことが可能な圧延用複合ロールの熱処理方法を提供することができる。
以下に添付図面を参照しながら,本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお,本明細書および図面において,実質的に同一の機能構成を有する構成要素については,同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
本発明の一実施形態に係る圧延用複合ロールの熱処理方法は,遠心力鋳造により形成されるハイス材からなる外層に,強靭性を有する材料からなる内層を冶金的に一体化して製造される圧延用複合ロールに対して,オーステナイト化温度まで加熱後に冷却する焼入れ処理を行った後,焼戻し処理を行うものである。
まず,本実施形態に係る熱処理方法の熱処理の対象となる圧延用複合ロールについて説明する。この圧延用複合ロールの外層は,公知の材料であるハイス材で形成される。かかるハイス材の代表的な成分としては,例えば,上記特許文献1または特許文献2に開示されているように,C:1.2〜2.5%,Si:0.3〜1.5%,Mn:0.3〜1.5%,Cr:4.0〜10.0%,Mo:3.0〜10.0%,W:0.5〜10.0%,V:2.0〜10.0%から構成されている。また,適用の対象となるロールのサイズ,要求されるロールの使用特性等により,その他の化学成分として,上記の成分に加えて,さらに,例えば,Ni:0.1〜3.0%,Co:0.1〜10.0%,Nb:0.1〜3.0%を適宜選択して含有させてもよい。本実施形態に係る圧延用複合ロールの外層は,例えば,上記のようなハイス系化学成分で構成される溶湯を用いて,遠心鋳造法により形成することができる。
また,本実施形態に係る圧延用複合ロールの内層は,例えば,公知のダクタイル鋳鉄,高級鋳鉄,黒鉛鋼などの強靭性を有する材料により形成することができる。さらに,この内層を上述したような外層に,例えば遠心鋳造法等により冶金的に一体化することで,本実施形態に係る圧延用複合ロールが形成される。
次に,本実施形態に係る圧延用複合ロールの熱処理方法について詳細に説明する。本実施形態に係る熱処理方法においては,上述したように,焼入れの際にオーステナイト化温度までの加熱を行うが,この加熱は,第1加熱炉中で行う工程1と,第2加熱炉中で行う工程2とを含む。
まず,図1に基づいて,本実施形態に係る圧延用複合ロール5の熱処理方法の工程1に使用する第1加熱炉の構成について説明する。なお,図1は,本実施形態に係る工程1に使用する第1加熱炉の概略的な構成を示す説明図である。
図1に示すように,第1加熱炉の炉殻1は,耐火材料からなっており,その一側面が炉扉2,その下面がロール載置台3として構成されている。炉扉2を開閉することにより,第1加熱炉に対して圧延用複合ロール5を搬入および搬出することができる。また,ロール載置台3の下面側には,移動手段として,例えば複数のコロ4が設けられており,このコロ4により,略平坦な床面FL上に載置された第1加熱炉を圧延用複合ロール5の軸方向に移動させることができる。一方,第1加熱炉の内部には,ロール載置台3の上面側に,圧延用複合ロール5(具体的には,後述するロール胴部54)を支持するための第1ロール支持部6が設けられており,また,圧延用ロールを加熱する加熱手段としてバーナ7(図1では2箇所)が設けられている。第1ロール支持部6には,次工程の工程2で使用する第2加熱炉に搬入する圧延用複合ロール5が設置されている。圧延用複合ロール5は,内層としてのロール軸部52と,外層としてのロール胴部54とからなり,ロール軸部52のうち第2加熱炉内に収容される部分とロール胴部54の両端面部とを,例えばセラミックファイバー56などの断熱材で覆うことにより,これらを断熱施工している。
このような第1加熱炉内に圧延用複合ロール5を設置した後,バーナ7を点火し,後述する工程1による加熱が実施される。
次に,図2および図3に基づいて,本実施形態に係る圧延用複合ロール5の熱処理方法の工程2に使用する第2加熱炉の構成について説明する。なお,図2は,本実施形態に係る工程2に使用する第2加熱炉の概略的な構成を示す説明図であり,図3は,図2のA−A矢視図である。
図2および図3に示すように,第2加熱炉の本体は,耐火材料からなる略半筒状の形状をした2個の炉殻10から構成される。この炉殻10は開閉可能に構成されており,図3に示したように,閉塞位置10aで接触している2個の炉殻10が,それぞれ水平方向逆向き(図の矢印の向き)に,開放位置10b,10cまで移動することにより,加熱処理される圧延用複合ロール5を第2加熱炉に対して搬入および搬出することができる。なお,圧延用複合ロール5の加熱処理は,炉殻10が閉じられた状態(炉殻10が閉塞位置10aに位置している状態)で行われる。
また,第2加熱炉は,略平坦な床面FLに形成された凹部であるピット20に炉殻10の少なくとも一部が収納され,床面FLのピット20の外側に設けられた第2ロール支持部30により,ロール軸部52の両端が支持されている。この第2ロール支持部30は,略円柱状に形成されており,本実施形態においては,ロール軸部52の両端が,それぞれ,2つずつの第2ロール支持部30により支持されている。ただし,この第2ロール支持部の形状や個数は上記の例に限られず,圧延用複合ロール5を支持できるものであれば,任意の形状や個数のものを使用することができる。
また,ロール軸部52の第2加熱炉の内部にある部分とロール胴部54の両端面部とには,上述したとおり,工程1において,予めセラミックファイバー56で50mm以上の厚みの断熱施工がなされている。一方,ロール軸部52のうち,圧延用複合ロール5の両端部にある断熱していない部分は,炉殻および外気と接触している。よって,この状態で,加熱手段として,例えば,ヒータ40により,第2加熱炉の内部を急激に加熱しても,圧延用複合ロール5のロール胴部54,すなわち外層部のみの温度が上昇し,内層の温度の上昇を防止することができる。
なお,加熱処理される圧延用複合ロール5の製品長さが短く,上記工程2で使用する第2加熱炉の第2ロール支持部30により支持することができない場合には,例えば,第2ロール支持部30により支持可能な圧延用複合ロールの長さに製作し,熱処理後,所定の圧延用複合ロールの長さに切断すればよい。また,別の方法としては,例えば,第2ロール支持部10を圧延用複合ロールの軸方向に移動・設置が可能な構成としてもよい。
次に,上述した第1加熱炉および第2加熱炉中で行われる工程1および工程2について詳細に説明する。
まず,工程1は,熱処理される圧延用複合ロール5のうち,内層(ロール軸部52)の第2加熱炉に収容される部分と外層(ロール胴部54)の両端面部とを断熱した後,第1加熱炉内にて圧延用複合ロール5全体を常温から600〜700℃まで,10〜30℃/Hrの昇温速度で加熱する工程である。
ここで,まず,上記外層としてのロール胴部54や内層としてのロール軸部52を断熱する断熱手段としては,その施工厚みが50mm以上となるように,例えばセラミックファイバーなどの断熱材を使用することが好ましい。断熱材の厚みが50mm未満であると,ロール軸部52およびロール胴部54の両端面への断熱効果が乏しく,断熱手段として好適でない。
また,上述したように,工程1では,上記圧延用複合ロール5の外層(ロール胴部54)および内層(ロール軸部52)を常温から600〜700℃までを10〜30℃/Hrの昇温速度にて加熱することとしている。
これは,加熱温度が600℃未満であると,工程1に続く工程2の実施内容である第2加熱炉内に圧延用複合ロール5を移動させた後に,ロール5の外層表面を1050〜1150℃の間に加熱するのに要する時間が長くなるため,好ましくない。一方,700℃を超えると,第2加熱炉に圧延用複合ロール5を移動後短時間で昇温可能であるが,内層の昇温も速くなり,オーステナイト化温度へ到達するため好ましくない。以上のように,加熱温度の適正温度としては,600℃以上700℃以下が好適である。
また,上記工程1においては,上述した好適な加熱温度の範囲内における昇温速度を10〜30℃/Hrとしている。これは,昇温速度が10℃/Hr未満では,加熱に長時間必要とし,非効率的,非経済的となるため好ましくない。一方,昇温速度が30℃/Hrを超えると,外層表面と中心との温度差が大きくなり,低温域では塑性変形も無いことから,ロールが割損する危険があるため好ましくない。以上のように,適切な昇温速度としては,10℃/Hr以上30℃/Hr以下が好ましい。
また,工程2は,第2加熱炉に圧延用複合ロール5を移動させた後,外層を600〜700℃から1050〜1150℃まで,300〜600℃/Hrの昇温速度で急速加熱する工程である。
このように,工程2における圧延用複合ロール5の外層の加熱温度としては,1050〜1150℃の間に加熱することが好ましい。加熱温度が1050℃未満であると,拡散温度が低く,炭化物を基地中に十分固溶させることができないため好ましくない。一方,1150℃を超えると,内層への熱の影響が大きくなり,内層の脆化や結晶粒の粗大化を引き起こすため好ましくない。以上のように,加熱温度の適正温度としては,1050℃以上1150℃以下が好適である。
また,上記工程2において,上述した好適な加熱温度の範囲内における昇温速度を300〜600℃/Hrとしている。これは,昇温温度が300℃/Hr未満では,加熱に長時間必要であるため内層がオーステナイト化し,内層の脆化や結晶粒の粗大化を引き起こすため好ましくない。一方,昇温速度が600℃/Hrを超えると,外層表面の均一な温度分布を確保することが困難となり,外層軸方向で硬度がばらつくことが懸念されるため好ましくない。以上のように,適切な昇温速度としては,300℃/Hr以上600℃/Hr以下であることが好ましい。
なお,上述したような工程1および工程2を含む焼入れの後に実施する焼戻しとしては,公知の方法を使用することができるが,本実施形態における実施の目的は,焼入れ時の残留γ(オーステナイト)のマルテンサイトまたはベイナイト変態促進および2次炭化物を析出させ,組織を安定化し,硬度および靭性を向上させることである。したがって,本実施形態における焼戻しの方法としては,例えば,焼入れ後の圧延用複合ロール5を加熱炉に入れ,500〜550℃の範囲で1〜2回焼戻しするとよい。
以下,実施例により本発明をさらに具体的に説明するが,本発明は,下記実施例にのみ限定されるものではない。
(実施例1〜6に係る圧延用複合ロールの製造)
外層材として,C:1.9〜2.1%,Si:0.7〜1.0%,Mn:0.6〜1.0%,Cr:4.5〜7.5%,Mo:5.0〜8.0%,V:4.0〜5.5%,残部がFeおよび不可避的元素からなるハイス系化学成分で構成される溶湯を用いて,遠心鋳造法により外層を形成した。次いで,この外層の内部にダクタイル鋳鉄からなる内層材を静置鋳造して,胴寸法の直径が809mm,長さが2210mm,外層の厚みが80mmの圧延用複合ロールを製造した。
その後,下記に示す熱処理を実施した。上記図1〜図3およびその説明に示すように,加熱処理される圧延用複合ロールのロール軸部のうち第2加熱炉内に収容される部分とロール胴部の両端面部とを55mmの厚みのセラミックファイバーで覆うことにより断熱し,さらに,この圧延用複合ロールを,第1加熱炉内で下記表1(実施例1〜6)の工程1の欄に記載された各々の加熱温度,昇温速度にて加熱した。
続いて,この圧延用複合ロールを上記第2加熱炉に移動させ,その後,当該圧延用複合ロールを表1(実施例1〜6)の工程2の欄に記載された加熱温度,昇温速度で各々加熱した。さらに,衝風冷却により急冷して焼入れし,その後約550℃で約15時間保持する焼戻しを2回実施して,実施例1〜6に係る熱処理後の圧延用複合ロールを製造した。
(比較例1〜8に係る圧延用複合ロールの製造)
外層材として,上記実施例1〜6と同じハイス系化学成分からなる溶湯を用いて遠心鋳造法により外層を形成した後,この外層の内部にダクタイル鋳鉄からなる内層材を静置鋳造して,胴寸法の直径が809mm,長さが2210mm,外層の厚みが80mmの圧延用複合ロールを製造した。
その後,下記に示す熱処理を行った。上記図1〜図3およびその説明に示すように,加熱処理される圧延用複合ロールのロール軸部のうち第2加熱炉内に収容される部分とロール胴部の両端面部とを,55mmの厚みのセラミックファイバーで覆うことにより断熱し,さらに,この圧延用複合ロールを,第1加熱炉内で下記表1(比較例1〜8)の工程1の欄に記載されたそれぞれの加熱温度,昇温速度で加熱した。
続いて,この圧延用複合ロールを上記第2加熱炉に移動させ,その後,当該圧延用複合ロールを表1(比較例1〜8)の工程2の欄に記載された加熱温度,昇温速度にて各々加熱した。さらに,衝風冷却により急冷して焼入れし,その後約550℃で約15時間保持する焼戻しを2回実施して,比較例1〜8に係る熱処理後の圧延用複合ロールを製造した。
上述したようにして製造された,実施例1〜6および比較例1〜8に係る圧延用複合ロールについて,以下のようにして,引張試験および硬度の測定を行った。
(引張試験)
上記実施例1〜6および比較例1〜8の圧延用複合ロールについて,各々のロールの内層部よりJIS4号の引張り試験片を採取し,引張り試験を実施した(JIS Z2201)。その結果を下記表1に併せて示す。
(硬度の測定)
上記実施例1〜6および比較例1〜8の圧延用複合ロールについて,各々のロールの外層の酸化皮膜を取り除くために,機械加工により,外周面から径方向に片肉で15mm削り取った。削り取った後の面が,圧延用複合ロールの初径面として供される。この初径面の硬度をショア硬度計により測定した。その結果を下記表1に併せて示す。
Figure 0004410143
(結果の評価)
表1に示したように,実施例1〜6に係る圧延用複合ロールにおいては,比較例3,5,6および8に係るロールと比べ,いずれもその引張り強度は400MPa以上と高く,上述したように,内層材として鋳鉄剤を用いた場合に発生していた内層の偏析部が溶融することによる強靭性の低下が発生していないものと判断される。さらに,硬度についても,実施例1〜6に係る圧延用複合ロールは,比較例1〜8に係るロールと同様に高い値を有しており,健全な熱処理が実施されていることが明確であるといえる。
これに対し,比較例1に係るロールは,工程1における昇温速度が,本発明に係る熱処理方法における下限値である10℃/Hrより低い9℃/Hrで実施しているため,引張り強度は,実施例1〜6と同様に高い値を有しており,内層の内部には偏析が生じていないと判断されるが,上述のように,処理時間を多く必要とするため,生産性の点から好ましくない。
また,比較例2に係るロールは,工程1における昇温速度が,本発明に係る熱処理方法における上限値である30℃/Hrより高い34℃/Hrで実施しているため,本工程1の加熱処理中にロールが割損した。なお,工程1中ロールが割損したため,比較例2については,工程2は実施していない。
また,比較例3に係るロールは,工程2における昇温速度が,本発明に係る熱処理方法における下限値である300℃/Hrより低い290℃/Hrで実施しているため,引張り強度は,実施例1〜6と比べて,極端に低い値となった。このことから,比較例3に係るロールにおいては,上述のとおり,加熱時間を多く必要とするため,内層がオーステナイト化し,内層が脆化または結晶粒が粗大化しているものと判断される。
また,比較例4に係るロールは,工程2における昇温速度が,本発明に係る熱処理方法における上限値である600℃/Hrより高い615℃/Hrで実施しているため,引張り強度は,実施例1〜6に比べ遜色ない試験結果が得られたものの,外層表面の均一な温度分布の確保が困難となり,表層軸方向で硬度にばらつきが発生した。具体的には,ロールの軸方向両端部で硬度Hsが78,78,軸方向中央部で硬度Hsが82となった。
また,比較例5に係るロールは,工程1における加熱温度が,本発明に係る熱処理方法における下限値である600℃より低い580℃で実施しているため,引張り強度は実施例1〜6に比べ低い値となった。このことから,上述のとおり,比較例5に係るロールにおいては,加熱時間を多く必要とするため,内層がオーステナイト化し,内層が脆化または結晶粒が粗大化していると判断される。
また,比較例6に係るロールは,工程1における加熱温度が,本発明に係る熱処理方法の上限値である700℃より高い715℃で実施しているため,引張り強度が実施例1〜6に比べ低い値となった。このことから,上述のとおり,比較例6に係るロールにおいては,内層が加熱中オーステナイト化したことにより,内層が脆化または結晶粒が粗大化しているものと判断される。
また,比較例7に係るロールは,工程2における加熱温度が,本発明に係る熱処理方法における下限値である1050℃より低い1000℃で実施しているため,硬度が著しく低い。このことから,上述のとおり,比較例7に係るロールにおいては,拡散温度が低く炭化物を基地中に十分固溶させることができないものと判断される。
また,比較例8に係るロールは,工程2における加熱温度が,本発明に係る熱処理方法における上限値である1150℃より高い1160℃で実施しているため,引張り強度が実施例1〜6よりも低い。このことから,上述のとおり,比較例8に係るロールにおいては,内層が加熱中にオーステナイト化したことにより,内層が脆化または結晶粒が粗大化していると判断される。
このように,本実施形態に係る圧延用複合ロールの熱処理方法によれば,内層の昇熱を最小限に抑え,内層の脆化,結晶粒の粗大化を防止するとともに,短時間で外層のみをオーステナイト化でき,外層の炭化物を基地中に十分に固溶させ,ハイスの特性を引き出すことが可能となる。
以上,添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが,本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば,特許請求の範囲に記載された範疇内において,各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
本発明は,外層にハイス材を用いた熱間圧延または冷間圧延用複合ロールの熱処理方法に適用可能である。
本発明の一実施形態に係る工程1に使用する第1加熱炉の構成の概要を示す説明図である。 本発明の一実施形態に係る工程2に使用する第2加熱炉の構成の概要を示す説明図である。 図2のA−A矢視図である。
符号の説明
1 炉殻
2 炉扉
3 ロール載置台
4 コロ
5 圧延用複合ロール
6 第1ロール支持部材
7 バーナ
10 炉殻
20 ピット
30 第2ロール支持部材
40 ヒータ
52 ロール軸部
54 ロール胴部
56 セラミックファイバー(断熱材)

Claims (1)

  1. 遠心力鋳造により形成されるハイス材からなる外層に,強靭性を有する材料からなる内層を冶金的に一体化して製造される圧延用複合ロールに対して,オーステナイト化温度まで加熱後に冷却する焼入れ処理を行った後,焼戻し処理を行う圧延用複合ロールの熱処理方法において:
    前記オーステナイト化温度までの加熱は,第1加熱炉中で行う第1工程と,第2加熱炉中で行う第2工程とを含み,
    前記第1工程は,前記圧延用複合ロールのうち,前記内層の前記第2加熱炉に収容される部分と前記外層の両端面部とを断熱した後,前記第1加熱炉内にて前記圧延用複合ロール全体を常温から600〜700℃まで,10〜30℃/Hrの昇温速度で加熱する工程であり,
    前記第2工程は,前記第2加熱炉に前記圧延用複合ロールを移動させた後,前記外層を600〜700℃から1050〜1150℃まで,300〜600℃/Hrの昇温速度で加熱する工程であることを特徴とする,圧延用複合ロールの熱処理方法。


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