JP5088633B2 - 鋼材の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、パーライトノーズの変態完了点が30分以上の鋼材の製造方法に関するものである。詳細には、前工程熱間加工と、次工程熱間加工と、前工程熱間加工と次工程熱間加工との間に行う半製品鋼材(semi finished steel products)の中間焼鈍とを有する鋼材の製造方法に関するものである。
例えば熱間鍛造、熱間圧延等の前工程熱間加工後に、次工程として更に熱間鍛造や熱間圧延等の次工程熱間加工に供する場合、極めて焼入れ性の高い鋼材では、前工程の熱間加工が終了して大気中に放置して冷却すると金属組織は硬いマルテンサイト組織となり、短時間で置割れを起こしてしまう。そのため、前工程熱間加工後において、次工程の熱間鍛造や熱間圧延等の熱間加工前に、速やかに、かつ慎重に鋼材を加熱炉にて中間焼鈍するという独立した工程を設け、金属組織をパーライト化させ、鋼材の硬さを低下させる必要があった。
具体的には、例えば、上述した前工程熱間加工→中間焼鈍→次工程熱間加工という従来方法の熱履歴を図2に示すと、熱間鍛造や熱間圧延等の熱間加工工程1を終え、被加工鋼材(半製品鋼材)は冷却される(図2中の2)。そして、速やかに加熱炉に入材(図2中の25)して焼鈍工程3となる。焼鈍工程では、Ac3点以上の所望の温度(図2中の26)に加熱・保持を行い、完全にオーステナイト変態させるように管理し、冷却工程において極めて焼き入れ性の高い半製品鋼材であってもパーライト変態を十分に起こさせる徐冷(図2中の27、28、29)となるように管理して中間焼鈍を終了する。中間焼鈍された半製品鋼材は、金属組織の調整と共に硬さも低く調整され、次工程の熱間加工の素材となる。
パーライト変態を起こさせるための徐冷を行う一つの手段として、特開平8−260058号(特許文献1参照)には、断熱材を配した特別な冷却室の適用が提案されている。
特開平8−260058号公報
上述したように特に焼入れ性の高い合金組成を有する鋼材を製造する場合、その温度制御の難しさから、熱間加工工程後の半製品鋼材を一旦冷却した後、特別の中間焼鈍を適用するという方法で行われていた。
詳しく説明すると、通常、熱間加工工程後の半製品鋼材の中間焼鈍は、金属組織をパーライト化させ、鋼材を割ることなく、硬さを低下させるために、変態点を繰り返し通過させることが常識として考えられている。このため、熱間加工で安定なオーステナイト組織とし、その後、鋼材をマルテンサイト、ベイナイト変態域まで冷却する。その後、半製品鋼材を加熱炉に入材して、Ac3点以上で完全にオーステナイト変態させ、慎重に徐冷するというような、変態を繰り返す中間焼鈍が必要となっていたのである。
また、特別の冷却室で徐冷する技術を開示する上述した特開平8−260058号公報に説明されるように、一般的な徐冷方法としての冷却室の適用を行うと、冷却速度を3.3℃/分程度まで遅くすることができ、割れ等の不具合防止が可能となり、金属組織もパーライト変態した鋼材を得ることができる。しかしながら、特に一般鋼材よりも遙かに高い焼入れ性を有する、例えばパーライトノーズの変態完了点が30分以上の合金のJIS SKD61の場合、特開平8−260058号公報に記される約3℃/分というレベルで冷却を行っていては硬さが低下せず、焼鈍状態を得ることができない。
このように、一般鋼材よりも遙かに高い焼入れ性を有する、例えばパーライトノーズの変態完了点が30分以上の合金でなる鋼材に対して、従来必須とされていた前工程熱間加工と次工程熱間加工との間の独立した中間焼鈍工程に対して、これを効率化できる技術と、確実にパーライト変態を起こさせ、且つ硬さを低下させる技術は確立されていなかったのである。
本発明の目的は、パーライトノーズの変態完了点が30分以上という極めて焼入れ性の高い合金でなる鋼材の中間焼鈍を、加熱炉を使用せずに、加熱炉を用いた中間焼鈍と同等の効果が得られる鋼材の製造方法を提供することである。
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものである。
すなわち本発明は、パーライトノーズの変態完了点が30分以上の鋼材の製造方法において、前記製造方法が、前工程熱間加工と、次工程熱間加と、前記前工程熱間加工と前記次工程熱間加工との間に行う中間焼鈍とを含み、前記中間焼鈍が、前記前工程熱間加工の終了後の半製品鋼材を保温槽に入材し、前記鋼材を復熱させ、前記半製品鋼材の変態潜熱によってパーライトノーズの変態完了点±20℃の温度範囲内で30分以上保温して前記半製品鋼材をパーライト変態させる工程を含む、鋼材の製造方法である。
好ましくは、前記保温槽に入材した前記半製品鋼材をパーライトノーズの変態完了点±20℃の温度範囲内で2時間以上、保温する鋼材の製造方法であり、これにより、前記半製品鋼材の中間焼鈍後の硬さが300HB以下とすることができる。
更に好ましくは、前記保温槽に入材した前記半製品鋼材をパーライトノーズの変態完了点±10℃の温度範囲内で2時間以上、保温する鋼材の製造方法であり、更に好ましくは、前記保温槽への前記半製品鋼材の入材時の半製品鋼材表面の最高温度がパーライトノーズの変態完了点+100℃からパーライトノーズの変態完了点−200℃までの範囲である鋼材の製造方法である
発明の鋼材の製造方法は、前記半製品鋼材の量が500kg以上のものに対して特に好ましい。
また、本発明の製造方法は、量%でC:0.10〜2.0%、Si:2.0%以下、Mn:2.0%以下、Cr:1.0〜15.0%、Mo:10.0%以下を含有し、更にNi:4.0%以下、V:4.0%以下、W:20.0%以下、Co:10.0%以下、の何れか1種以上を含有して残部は実質的にFeでなる化学組成を有する半製品鋼材への適用が特に望ましい。
本発明のパーライトノーズの変態完了点が30分以上の鋼材の中間焼鈍方法は、加熱炉を使用せずに、保温槽に入材し、鋼材のパーライト変態潜熱を利用して保温することで、中間焼鈍と同じ効果を奏するものである。
以下、本発明を詳しく説明する。
パーライトノーズの変態完了点が30分以上の鋼材の製造方法としては、例えば、溶解した鋼を鋳造することにより鋼塊を作製する溶解工程、この溶解工程で得られた鋼塊に複数回の熱間加工を施す工程を含み、熱間加工同士の間には中間焼鈍が行われる。中間焼鈍後に熱間加工された材料は、焼きなましや焼入焼戻しなどの熱処理が行われることができる。
本発明でいう中間焼鈍とは、上述のように前工程熱間加工と次工程熱間加工との間に行う焼鈍を中間焼鈍と定義する。例えば、熱間プレス−焼鈍(1回目)−熱間鍛造(鍛伸)−焼鈍(2回目)−熱間圧延−焼鈍(3回目)という鋼材の製造工程であれば、1回目及び2回目の焼鈍が本発明で言う中間焼鈍である。
そして、本発明では厳密な温度制御のために独立した中間焼鈍が必須と考えられていたパーライトノーズの変態完了点が30分以上の焼入れ性の良い鋼材を対象とする。
なお、本発明のパーライトノーズの変態完了点が30分以上の鋼材としては、例えばSKD11、SKD61、SKT4等の合金工具鋼が代表的である。本発明の鋼材の焼鈍方法は、パーライトノーズの変態完了点が60分以上の鋼材への適用が更に効果的である。より好ましくは、パーライトノーズの変態完了点が90分以上であり、更にパーライトノーズの変態完了点が2時間以上の鋼材への適用が効果的である。
パーライトノーズの変態完了点の測定は以下のようにして行えばよい。
例えばSKD61の鋼材の金属組織をオーステナイト化してこれをA1点以下の適当な温度まで急冷し、その温度に保つと、ある時間経過するとパーライト変態が始まり、時間の経過と共に変態は終了する。変態の途中で冷却すれば残留するオーステナイトがマルテンサイト化されるので、硬さ測定によって変態が終了するまでの時間を求めることができる。
このような実験を各温度について行い、それぞれの変態終了点をグラフ上にプロットし、それぞれを曲線で繋ぐと図4のような線図(TTT曲線)ができる。この曲線において、ある温度で硬さが急激に低下する最も短時間側に寄っている部分がパーライトノーズの変態完了点である。金属組織的には、オーステナイトが確認できなくなる。
例えば、SKD61の場合、熱間鍛造温度に加熱された鋼材を、700℃〜775℃の温度範囲で、25℃間隔で保持された炉に入材し、2、5、15、24時間保持し、前記温度と時間に保持された鋼材は炉から出して空冷し、鋼材の硬さを測定し、硬さが急激に低下する最も短時間の750℃の5時間付近がパーライトノーズの変態完了点である。
なお、パーライトノーズの変態完了点が30分以上ということを図3により説明すると、縦軸を保持温度(℃)、横軸を保持時間(min)としたTTT曲線において、パーライトノーズの変態完了点が保持時間30分に位置するものをパーライトノーズの変態完了点30分と呼び(図3に点線で示す曲線)、パーライトノーズの変態完了点が30分を含んで長時間保持側に位置するものをパーライトノーズの変態完了点30分以上と呼ぶ(図3に実線で示す曲線)。
本発明では上述したパーライトノーズの変態完了点が30分以上の焼入れ性の良い鋼材を対象として、規定の中間焼鈍を行う。以下に本発明で規定した中間焼鈍方法の理由を図1に示したヒートパターンを用いて詳しく説明する。
熱間鍛造や熱間圧延等の熱間加工工程(図1中の1)を終え、半製品鋼材は冷却される(図1中の2:熱間加工後冷却工程)。そして、熱間加工後冷却工程の途中で、半製品鋼材を保温槽に入材し、焼鈍工程3に移る。半製品鋼材を保温槽に入材して、半製品鋼材の表面温度を復熱させる(図1中の21)。
復熱とは、半製品鋼材を保温槽に入材することで、半製品鋼材内部からの熱伝導と、保温槽壁からの輻射熱により鋼材表面温度を上昇させ、半製品鋼材内部温度と半製品鋼材表面温度との温度差を減少させることである。これにより、半製品鋼材の変態潜熱による保温を行う準備を行うのである。
続いて、半製品鋼材の変態潜熱により保温槽中にて保温(図1中の22)する。本発明の場合、保温は半製品鋼材が変態する時に生じる発熱を利用する。すなわち、本発明においては半製品鋼材の変態潜熱を利用して半製品鋼材を一定の範囲の温度と時間にて保温して、半製品鋼材をパーライト変態させる。そのため、保温する温度範囲と、保温に要する時間とが極めて重要となる。
本発明において、保温条件はパーライトノーズの変態完了点±20℃の温度範囲内で30分以上である。このように特定温度域に長時間保つことで従来得られなかった焼鈍状態を得ることができる。しかも、本発明においては、半製品鋼材の変態潜熱を利用できることを見出したため、極めて効率的である。以下詳しく説明する。
本発明において、保温温度のパーライトノーズの変態完了点±20℃とした理由は、この温度範囲が、パーライト変態がより短時間の間に完了する温度範囲であり変態潜熱を利用して硬さを低くすることができるからである。保温する際にパーライトノーズの変態完了点+20℃を超える温度領域であると、パーライト変態が終了するまでに時間がかかるため不経済であることや、金属組織が粗くなり易いといった問題も起こる。また、パーライトノーズの変態完了点−20℃未満の温度領域では、パーライト変態が終了するまでに時間がかかるため不経済であることや、パーライト変態が起こり難くなるだけでなく、硬さの低下が不十分になる場合がある。好ましい温度範囲は、パーライトノーズの変態完了点±10℃の温度範囲である。
そして、保温時間を30分以上とした理由は、30分未満ではパーライト変態が十分に進行しない場合があり、炭化物の析出不足による軟化不足、割れ等の不具合が起こるためである。好ましい保温時間は1時間以上であり、更に好ましくは2時間以上である。保温時間のより好ましい範囲は、2〜24時間である。
このパーライトノーズの変態完了点±20℃の温度範囲内で2時間以上保温することにより、中間焼鈍後の硬さを300HB以下とすることができ、中間焼鈍材として好適となる。好ましい中間焼鈍後の硬さは、270HB以下であり、更に好ましくは250HB以下である。
なお、保温槽へ半製品鋼材を入材する好ましい温度は、半製品鋼材表面の最高温度がパーライトノーズの変態完了点+100℃〜パーライトノーズの変態完了点−200℃の範囲内である。
これは、半製品鋼材表面の最高温度がパーライトノーズの変態完了点+100℃を超える温度域で半製品鋼材を入材すると、半製品鋼材の復熱により半製品鋼材の温度が高くなり過ぎてしまい、金属組織が粗粒となり易い。この金属組織の粗大化は、パーライトノーズの変態完了点+200℃以上の温度域で顕著となるため、保温槽へ半製品鋼材を入材する好ましい上限温度は、半製品鋼材の復熱を考慮し、パーライトノーズの変態完了点+100℃とした。
なお、もし、半製品鋼材を入材後に半製品鋼材表面の温度がパーライトノーズの変態完了点+200℃を超えるようであれば、後述する保温槽の一部を解放して、半製品鋼材の温度の上昇を抑制するのが望ましい。
また、保温槽へ半製品鋼材を入材する好ましい下限温度は、鋼材表面の最高温度がパーライトノーズの変態完了点−200℃とした。鋼材表面の最高温度がパーライトノーズの変態完了点−200℃未満の温度域となると、半製品鋼材が保温槽内でパーライトノーズの変態完了点±20℃まで復熱することが困難なためである。好ましい保温槽へ半製品鋼材を入材する温度の範囲は、半製品鋼材表面の最高温度がパーライトノーズの変態完了点+50℃〜パーライトノーズの変態完了点−150℃であり、更に好ましくは、パーライトノーズの変態完了点+50℃〜パーライトノーズの変態完了点−100℃である。ここで、鋼材表面の最高温度とは、鋼材全表面のうち最も温度の高い領域の温度のことである。
また、本発明において、半製品鋼材表面とした理由は、半製品鋼材内部は熱間加工の熱がまだ残っており、外気と交わる表面が最も温度が下がる位置であるため、本発明では半製品鋼材表面の温度と規定する。なお、半製品鋼材表面の温度の測定は、例えば放射温度計により測定することができる。
ところで、本発明で言う保温槽とは、半製品鋼材を覆う例えば箱状や蓋状のものを言う。
この保温槽は加熱源を有さず、例えば、箱状や蓋状の内部に断熱材を設けて密閉空間を構成し、半製品鋼材の変態潜熱によって半製品鋼材を一定の範囲の温度と時間にて保温して、半製品鋼材をパーライト変態させることが可能な構造で有ればよい。保温槽には、例えば保温槽の一部に例えば熱伝対温度計を差し込む穴や、保温槽内部の鋼材の色合いを目視で確認する穴、更に、半製品鋼材表面温度を調整するための、開閉可能な構造の開放穴等を一部に設けても差し支えなく、必ずしも完全に外気と遮断する密閉空間を形成する必要はない。
保温槽の構造は例えば図5A〜5Dで正面図と側面図の模式図を示すような、保温槽台5に半製品鋼材4を置き、保温槽台5に保温槽上蓋6を被せて半製品鋼材4を覆う密閉空間を形成する構造の保温槽7としても良いし、例えば図6A〜6Dで正面図と側面図の模式図を示すような、保温槽下蓋8の内部に半製品鋼材4を置き、保温槽上蓋6を被せて鋼材4を覆う密閉空間を形成する構造の保温槽7としても良いし、図8で示すような、保温槽台5に半製品鋼材4を置き、レール11を走行可能な移動車輪10付きの保温槽7を矢印方向に走行させて半製品鋼材4を覆う密閉空間を形成する台車型構造で有ってもよい。この場合、保温槽7を固定し、保温槽台の方に移動車輪を設けて保温槽台を移動させても良い。
本発明において、保温槽の構造をどのようにするかは、半製品鋼材の形状、量を考慮するとよく、例えば、丸棒半製品鋼材で荷崩れが懸念される場合は、例えば図7Aおよび7Cの構造のように、保温槽下蓋7の断面形状を三角形とし、丸棒鋼材4を収めて行き、保温槽上蓋6を被せることも可能である。この場合は、保温槽下蓋8の転倒を防止する保温槽下蓋転倒防止部材9を設けると良い。なお、図7A〜7Dでは保温槽下蓋転倒防止部材9は柱状のものを一例として示したが、M字型やVブロックのような断面形状を持つものでも差し支えない。
また、例えば鋼塊を熱間鍛造したような大型半製品鋼材であれば、図5Cおよび5D、図6A〜6D、図7A〜7Dの構造の保温槽を用いるのが、作業性、作業の安全性に優れる。なお、図示した模式図は、図5A,5B、図6A,6Bおよび図7A,7Bが密閉空間となっていない状態で、図5C,5D、図6C,6Dおよび図7C,7Dは密閉空間を形成した状態である。
本発明では上記のような保温槽を用いて半製品鋼材を保温する焼鈍工程3を実施し、保温槽から半製品鋼材を出材(図1中の23)して徐冷工程(図1中の24)を施し、焼鈍工程3を終了させる。
なお、本発明では、半製品鋼材の量は1つあたり500kg以上の大型半製品鋼材への適用が特に好ましい。これは、量が500kg以上の大型半製品鋼材であれば、上述した複熱から変態潜熱によって保温し、パーライト変態するに十分な保温時間となるに必要な熱量も確保できるためである。なお、半製品鋼材1つあたりの量が1ton以上の大型半鋼材へ適用すると前述の効果が更に発揮できるし、4ton以上の半製品鋼材では前述の効果が十分に発揮できる。
以上、説明するとおり、本発明では、半製品鋼材のパーライト変態潜熱を利用して保温することで、金属組織をマルテンサイトにすることなく、従来の加熱炉を使用した中間焼鈍と同等の効果得ることができる。
なお、本発明でいう鋼材(steel products)とは、圧延、鍛造、引抜等の加工により、所要の形状に加工された鋼をいう。また、本発明で言う半製品鋼材とは、JIS用語でいう鋼片に相当し、熱間加工により前記の鋼材となるものを言う。例えばJIS用語で言う、スラブ、ブルーム、ビレット、シートバーや、或いは、直径が130mmを超える円形形状の鋼片を言う。
なお、保温槽内の半製品鋼材充填率は15%以上であれば、上述した本発明の効果をより確実に得ることができる。
これは、半製品鋼材充填率が15%以上であれば、半製品鋼材の熱量が大きいため、復熱までの時間が短くて済み、パーライトノーズの変態完了点±20℃の温度範囲内で余裕を持った保温効果が得られるためである。逆に15%未満であれば、装入量が少ないために不経済であり、半製品鋼材の熱量が少ないために復熱までに時間がかかり、さらに保温槽内の断熱効果を高めないといけない場合があるためである。
好ましい上限は95%であり、100%となると半製品鋼材と同寸法の保温槽が必要であり、半製品鋼材寸法の自由度がなくなり、使い勝手が悪くなる。そのため、好ましい上限は95%とすると良い。
本発明の半製品鋼材の製造方法は、JISで規定される工具鋼の範疇に属する合金に対して有効である。中でも、次の組成有する合金に対して特に有効である。なお、以下の各元素の含有量は質量%である。
C:0.10〜2.0%
C含有量を0.10%〜2.0%としたのは、Cが0.10%未満ではCが結晶粒内まで拡散せずに結晶粒内に炭化物が析出しなく、十分にパーライト変態が進行しない場合がある。最低でも0.1%以上の含有が好ましい。2.0%を超えると炭化物が過剰となり、靱性を低下させるためである。好ましくはC:0.20〜0.60%である。
Si:2.0%以下
Siは溶解時の脱酸剤として添加される。しかし、多量に添加すると靱性が低下する。そのため、本発明では2.0%以下とした。好ましくは0.15〜1.20%である。
Mn:2.0%以下
Mnは溶解時の脱酸および脱硫剤として添加される。しかし、多量に添加すると靱性が低下する。そのため、本発明では2.0%以下とした。好ましくは0.30〜1.00%である。
Cr:1.0〜15.0%
Crは焼入れ性を向上させ、引張り強さや靱性を改善する。しかし、多量に含有すると逆に靱性が低下する。そのため本発明では1.0〜15.0%とした。好ましくは1.0〜13.0%である。
Mo:10.0%以下
Moは焼入れ性を向上させる。また、焼戻しにより微細な炭化物を形成し、高温引張り強さを増大させる。しかし、多量に含有すると逆に靱性が低下する。そのため10.0%以下とした。好ましくは0.20〜5.0%である。
以下のNi、V、W、Coは選択元素であり、1種以上を含有する。
Ni:4.0%以下
Niは焼入れ性を向上させ、靱性を改善する。しかし、多量に含有すると変態点を下げて高温強度を低下させる。そのためNiを含有する場合は4.0%以下とする。好ましくは2.0%以下である。
V:4.0%以下
Vは結晶粒を細かくし靱性を向上させる。また、焼戻しにより高硬度の炭窒化物を形成し、引張強度を増大させる。しかし、多量に含有すると靱性を低下させる。そのためVを含有する場合は4.0%以下とする。好ましくは0.10〜1.10%である。
W:20.0%以下
Wは焼入れ性を向上させる。また、焼戻しにより微細な炭化物を形成し、高温引張り強さを増大させる。しかし、多量に含有すると靱性を低下させる。そのためWを含有する場合は4.0%以下とする。好ましくは0.10〜1.10%である。
Co:10.0%以下
Coは赤熱硬性を増し、高温引張強度を増大させる。しかし、多量に含有すると靱性を低下させる。そのためCoを含有する場合は10.0%以下とした。
残部は実質的にFe
本発明ではこれら規定する元素以外は実質的にFeとしているが、不可避的に含有する不純物も当然含まれる。また、例えばNb、Tiは、結晶粒を微細化するのに有効な元素であるため、靱性が劣化させない程度の0.20%以下の範囲で含有させても良い。
また、Alは炭素の拡散を早くする元素であり、パーライト変態で炭化物の析出を促進させる効果があるため、0.20%以下の範囲で含有させても良い。
図1を用いて以下の実施例で本発明を更に詳しく説明する。
JIS SKD61(No.1鋼)、JIS SKT4鋼(No.2鋼)、JIS SKD11(No.3鋼)の3種類の合金を大気溶解にて製造し、表1に示す化学組成を有する鋼塊を得た。
Figure 0005088633
上記の3種類の鋼塊を用いて、熱間鍛造した半製品鋼材から、パーライトノーズの変態完了点を測定する試験片を採取した。
No.1の化学成分を持った半製品鋼材(JIS鋼種SKD61)のパーライトノーズの変態完了点の測定は、パーライトノーズの変態完了点の測定試験片を熱間鍛造温度(1150℃)に加熱し、その後、700℃〜775℃の温度範囲で25℃間隔で保持された炉に入材し、2、5、15、24時間保持した。等温保持完了後、試験片を炉から出して空冷し、試験片の硬さを測定した。硬さが最も短時間保持で下がっている点をパーライトノーズの変態完了点と推定したところ、No.1半製品鋼材のパーライトノーズの変態完了点は750℃の5時間付近であった。
No.2の化学成分を持った半製品鋼材(JIS鋼種SKT4)のパーライトノーズの変態完了点の測定は、パーライトノーズの変態完了点の測定試験片を熱間鍛造温度(1150℃)に加熱し、その後、600℃〜750℃の温度範囲で25℃間隔で保持された炉に入材し、2、5、10、24、48時間保持した。等温保持完了後、試験片を炉から出して空冷し、試験片の硬さを測定した。硬さが最も短時間保持で下がっている点をパーライトノーズの変態完了点と推定したところ、No.2半製品鋼材のパーライトノーズの変態完了点は650℃の10時間付近であった。
No.3の化学成分を持った半製品鋼材(JIS鋼種SKD11)のパーライトノーズの変態完了点の測定は、パーライトノーズの変態完了点の測定試験片を熱間鍛造温度(1150℃)に加熱し、その後、675℃〜775℃の温度範囲で25℃間隔で保持された炉に入材し、2、5、10、24時間保持した。等温保持完了後、試験片は炉から出して空冷し、試験片の硬さを測定した。硬さが最も短時間保持で下がっている点をパーライトノーズの変態完了点と推定したところ、No.3半製品鋼材のパーライトノーズの変態完了点は725℃の2時間付近であった。
次に、上述のNo.1〜No.3の化学組成を持った熱間鍛造後の半製品鋼材を用いて中間焼鈍を実施した。熱間鍛造後の半製品鋼材の寸法は、No.1組成のA半製品鋼材で430mm(t)×430mm(w)×3000mm×2本(l)であり、量は約8600kg、No.2組成のB半製品鋼材で520mm(t)×830mm(w)×2400mm×2本であり、量は約8000kg、No.3組成のC半製品鋼材で370mm(t)×370mm(w)×3500mm×2本であり、量は約7500kgであった。これらの半製品鋼材は、JIS用語で言うビレットまたはブルームに相当し、中間焼鈍後は熱間加工により、鋼材となる素材である。
具体的な熱間鍛造−中間焼鈍の条件は以下のとおりである。
半製品鋼材No.Aは、1250℃にて熱間鍛造(図1中の1)を行った後、放冷による熱間加工後冷却工程(図1中の2)に移行した。熱間加工後冷却工程の最中に図5Aおよび5Bに示すように、鋼材4を保温槽台5に載せ、中間焼鈍3の準備を行った。そして、半製品鋼材表面の最高表面温度を放射温度計で測定し、620℃にて保温槽上蓋6にて鋼材4を覆い、保温槽7への鋼材4の入材を完了させた。保温槽の鋼材充填率は35.6%であった。
半製品鋼材の入材後は、保温槽に取り付けたシース熱伝対にて半製品鋼材の表面温度を測定した。半製品鋼材は、保温槽内において800℃まで復熱した後(図1中の21)、パーライトノーズの変態完了点±20℃の範囲内(730〜770℃)で5時間保温(図1中の22)して、半製品鋼材をパーライト変態させた。半製品鋼材は500℃で保温槽から出材し(図1中の23)、放冷した(図1中の24)。
半製品鋼材No.Bは、1250℃にて熱間鍛造(図1中の1)を行った後、放冷による熱間加工後冷却工程(図1中の2)に移行した。熱間加工後冷却工程の最中に図5Aおよび5Bに示すように、半製品鋼材4を保温槽台5に載せ、中間焼鈍の準備を行った。そして、半製品鋼材表面の最高表面温度を放射温度計で測定し、600℃にて保温槽上蓋6にて半製品鋼材4を覆い、保温槽7への半製品鋼材4の入材を完了させた。保温槽の鋼材充填率は33.2%であった。
半製品鋼材の入材後は、保温槽に取り付けたシース熱伝対にて半製品鋼材の温度を測定した。半製品鋼材は、保温槽内において700℃まで復熱した後(図1中の21)、パーライトノーズの変態完了点±20℃の範囲内(630〜670℃)で15時間保温(図1中の22)して、半製品鋼材をパーライト変態させた。半製品鋼材は500℃で保温槽から出材し(図1中の23)、放冷した(図1中の24)。
半製品鋼材No.Cは、1150℃にて熱間鍛造(図1中の1)を行った後、放冷による熱間加工後冷却工程(図1中の2)に移行した。熱間加工後冷却工程の最中に図5Aおよび5Bに示すように、半製品鋼材4を保温槽台5に載せ、中間焼鈍の準備を行った。そして、半製品鋼材表面の最高表面温度を放射温度計で測定し、680℃にて保温槽上蓋6にて半製品鋼材4を覆い、保温槽7への半製品鋼材4の入材を完了させた。保温槽の鋼材充填率は30.7%であった。
半製品鋼材の入材後は、保温槽に取り付けたシース熱伝対にて鋼材の温度を測定した。半製品鋼材は、保温槽内において850℃まで復熱した後(図1中の21)、パーライトノーズの変態完了点±20℃の範囲内(705〜745℃)で4時間保温(図1中の22)して、半製品鋼材をパーライト変態させた。半製品鋼材は500℃で保温槽から出材し(図1中の23)、放冷した(図1中の24)。
比較例として、比較例半製品鋼材No.Dの材質はJIS鋼種SKD61、比較例半製品鋼材No.Eの材質はJIS鋼種SKT4、比較例半製品鋼材No.Fの材質はJIS鋼種SKD11として、熱間鍛造後、冷却速度が50℃/hとなるように調整する冷却を行った。冷却速度とTTT曲線と硬さから判断して、パーライトノーズの変態完了点より短時間側を通過していると判断できた。
なお、材質が同じ比較例で用いた半製品鋼材と、本発明例で用いた半製品鋼材とは、熱間鍛造条件、熱間鍛造後の鋼材の寸法は同じとした。
さらに従来例として、図2に示す条件にて焼鈍を行った。なお、従来例半製品鋼材No.Gの材質はJIS鋼種SKD61、従来例半製品鋼材No.Hの材質はJIS鋼種SKT4、従来例半製品鋼材No.Iの材質はJIS鋼種SKD11である。
これらの従来例半製品鋼材は、熱間鍛造工程1後、空冷し(図2中の2)、加熱炉に入材(図2中の25)して焼鈍工程3に移行した。焼鈍工程では、Ac3点以上の温度(図2中の26)に加熱・保持を行い、完全にオーステナイト変態させ、徐冷(図2中の27、28、29)して中間焼鈍を終了した。図2中の点線はAc3点を示す。
なお、材質が同じ比較例で用いた半製品鋼材と、本発明例で用いた半製品とは、熱間鍛造条件、熱間鍛造後の鋼材の寸法は同じとし、Ac3点以上の焼鈍温度とその保持時間は、半製品鋼材No.Dは870℃×5h、半製品鋼材No.Eは750℃×5h、半製品鋼材No.Fは870℃×5hとした。
表2に本発明例、比較例及び従来例の中間焼鈍後の半製品鋼材の金属組織、硬さの結果を示す。なお、保温槽に入材した鋼材をパーライトノーズの変態完了点±10℃の温度範囲内の保温時間は、半製品鋼材No.Aが2.5時間、半製品鋼材No.Bが7.5時間、半製品鋼材No.Cが2時間であった。
Figure 0005088633
表2より明らかなように、本発明方法を適用した半製品鋼材No.A、半製品鋼材No.B及び半製品鋼材No.Cは、同じ材質で対比すると、中間焼鈍後の金属組織、硬さともに、従来例半製品鋼材No.G、半製品鋼材No.H及び半製品鋼材No.Iと同等である。
また、冷却速度が速く、パーライトノーズの変態完了点より短時間側を通過している比較例半製品鋼材No.D,半製品鋼材No.E及び半製品鋼材No.Fは、同じ材質で対比すると、本発明法の中間焼鈍を適用した半製品鋼材No.A、半製品鋼材No.B及び半製品鋼材No.Cとは、金属組織も異なり、さらに硬さも高くなる結果となった。
以上、説明するとおり、本発明法によれば、加熱炉を使用せずに中間焼鈍を行うことができた。
そして、本発明法の中間焼鈍を適用した半製品鋼材No.A,半製品鋼材No.B,半製品鋼材No.Cと、従来法の中間焼鈍を適用した半製品鋼材No.G,半製品鋼材No.H,半製品鋼材No.Iは中間焼鈍の後に次工程熱間加工(熱間鍛造)を施して、鋼材に加工したが、問題なく次工程熱間加工を施すことができた。
本発明の鋼材の製造方法では、鋼材のパーライト変態潜熱を利用して保温することで、金属組織をマルテンサイトにすることなく、加熱炉を用いた中間焼鈍と同等の効果が得られるため、例えば、鋼材を陸上や海上を輸送する時間を利用して焼鈍を行うことも可能となり、鋼材の流通を促進し、さらに省エネルギーにも貢献できる。
本発明の中間焼鈍の一例を示すヒートパターンの模式図である。 従来の中間焼鈍の一例を示すヒートパターンの模式図である。 パーライトノーズの変態完了点の模式図である。 SKD61のパーライトノーズの変態完了点を示すTTT曲線の模式図である。 本発明の保温槽の一例の密閉されていない状態を示す正面模式図。 図5Aの保温槽の側面模式図。 図5Aの保温槽の密閉された状態を示す正面模式図。 図5Cの保温槽の側面模式図。 本発明の保温槽の他の例の密閉されていない状態を示す正面模式図。 図6Aの保温槽の側面模式図。 図6Aの保温槽の密閉された状態を示す正面模式図。 図6Cの保温槽の側面模式図。 本発明の保温槽のさらに他の例の密閉されていない状態を示す正面模式図。 図7Aの保温槽の側面模式図。 図7Aの保温槽の密閉された状態を示す正面模式図。 図7Cの保温槽の側面模式図。 本発明の保温槽のさらに他の例を示す模式図である。

Claims (6)

  1. パーライトノーズの変態完了点が30分以上の鋼材の製造方法において、
    前記製造方法が、前工程熱間加工と、次工程熱間加と、前記前工程熱間加工と前記次工程熱間加工との間に行う中間焼鈍とを含み、
    前記中間焼鈍が、前記前工程熱間加工の終了後の半製品鋼材を保温槽に入材し、前記鋼材を復熱させ、前記半製品鋼材の変態潜熱によってパーライトノーズの変態完了点±20℃の温度範囲内で30分以上保温して前記半製品鋼材をパーライト変態させる工程を含む、鋼材の製造方法。
  2. 前記保温槽に入材した前記半製品鋼材をパーライトノーズの変態完了点±20℃の温度範囲内で2時間以上、保温する、請求項1に記載の鋼材の製造方法。
  3. 前記保温槽に入材した前記半製品鋼材をパーライトノーズの変態完了点±10℃の温度範囲内で2時間以上、保温する、請求項1または請求項2に記載の鋼材の製造方法。
  4. 前記保温槽への前記半製品鋼材の入材時の半製品鋼材表面の最高温度がパーライトノーズの変態完了点+100℃からパーライトノーズの変態完了点−200℃までの範囲である請求項1から請求項3までの何れか1項に記載の鋼材の製造方法。
  5. 前記半製品鋼材の質量が500kg以上である、請求項1から請求項までの何れか1項に記載の鋼材の製造方法。
  6. 前記半製品鋼材は、質量%でC:0.10〜2.0%、Si:2.0%以下、Mn:2.0%以下、Cr:1.0〜15.0%、Mo:10.0%以下を含有し、更にNi:4.0%以下、V:4.0%以下、W:20.0%以下、Co:10.0%以下、の何れか1種以上を含有して残部はFおよび不可避不純物からなる、請求項1から請求項までの何れか1項に記載の鋼材の製造方法。
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