JP4408738B2 - 冷却装置 - Google Patents

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Description

本発明は、冷却装置に関するもので、特に、冷凍機から発生する振動を被冷却物に伝えて、被冷却物を振動攪拌しながら冷却できる冷却装置に関するものである。
なお、本明細書では、冷凍機とは、例えばスターリングサイクルを用いて放熱部から熱を放出し、吸熱部で熱を吸収する冷凍装置の機関部を意味し、冷却装置とは、前記冷凍機、被冷却物収容部、冷凍機と被冷却物収容部の間の熱伝達部、筐体等を含む装置全体を意味する。
近年、スターリングサイクルを利用した冷凍機、即ちスターリングサイクル冷凍機が実用化されている。
このスターリングサイクル冷凍機の原理及び構造は、既に公知となっているため、ここではその説明は省略するが、例えばスターリングサイクル冷凍機の駆動機構の一例が、特許文献1に開示されている。また、スターリングサイクル冷凍機を用いた冷却装置が、例えば特許文献2乃至4等に開示されている。
特開2000−337725号公報 特開平8−233028号公報 米国特許第5,895,033号公報 特開2003−214487号公報
上記したようなスターリングサイクルを利用した冷凍機は、小型でありながら急速に冷凍する能力を有するため、バイオ、生化学、遺伝子工学、医療、農芸化学、物性物理、光検出器の感度向上等の広範な分野での利用が期待されている。
この際、試料を攪拌しながら冷却させる要望も存在する。例えば、小容量の試料を専用の容器に充填し、攪拌しながら反応を進行させ、その状態で試料を冷却或いは凍結させる。また、攪拌により試料の沈殿を防止し、試料を均一に浮遊・分散させた状態で冷却或いは凍結させる必要が有る場合が存在する。
そこで、本発明は、スターリングサイクル冷凍機のような内部に往復運動をする機構を備えた冷凍機に着目し、該冷凍機に起因する振動を積極的に利用し、被冷却物を振動攪拌しながら冷却できる冷却装置を提案することを課題とする。
上記した課題は、請求項1に記載の本発明に係る冷却装置により解決された。
即ち、上端部に吸熱部を有するスターリングサイクル冷凍機と、該冷凍機を懸架する、下端に雄ネジが形成された複数のシャフトと、それぞれのシャフトの雄ネジと螺合する雌ネジが上面に形成された基底部材と、上記冷凍機の外周面に固定されて上記シャフトが貫通する貫通孔を有する中間部材と、上記シャフトが貫通している弾性部材であって上記中間部材の上記貫通孔の下側に装着された第1の弾性部材と、上記シャフトが貫通している弾性部材であって上記中間部材の上記貫通孔の上側に装着された第2の弾性部材と、上記第1の弾性部材の上記貫通孔と反対側の端部で該第1の弾性部材の端部を支える上記シャフトに固定された第1の支持部材と、上記第2の弾性部材の上記貫通孔と反対側の端部で該第2の弾性部材を支える上記シャフトに固定された第2の支持部材とを備える懸架ユニットと、上記吸熱部に熱伝導部を兼ねた装着部を介して取付けられた冷却ブロックと、該冷却ブロックに設けられた被冷却物収容部とからなる冷却装置によって解決された。
ここで、上記被冷却物収容部を、上記冷却ブロックと別体に構成する。また、別体として構成した上記被冷却物収容部と冷却ブロックとの結合を、マグネットを利用した磁力結合により行なう。更に、上記被冷却物収容部と冷却ブロックとの結合面を、下に凸の湾曲面に形成する。また、上記被冷却物収容部と冷却ブロックとの結合面間に、熱伝導流体を充填することは、いずれも好ましい実施の形態である。
また、上記懸架ユニットの第2の支持部材を、上記シャフトに形成された第2の雄ネジに螺合するダブルナットとすることは、好ましい実施の形態である。
上記した本発明に係る冷却装置によれば、被冷却物に振動を加えながら、該被冷却物の温度を急速に降下させることが可能になる。そのため、例えば、試料を攪拌しながら反応を進行させ、その状態で試料を冷却或いは凍結させることが可能になる。また、攪拌により試料の沈殿を防止し、試料を均一に浮遊・分散させた状態で冷却或いは凍結させることが可能になる。
以下、上記した本発明に係る冷却装置の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、スターリングサイクル冷凍機を用いた本発明に係る冷却装置の概念的立面断面図である。
この冷却装置に使用されたスターリングサイクル冷凍機1は、下面に外部の電源部・制御部と接続するための配線群2を備え、上部の円筒形突起部3の下部分に放熱部4を、上部分に吸熱部5を各々備えている。そして、放熱部4で放熱された熱は、放熱フィン6を介して外部に放熱される。吸熱部5は冷却ブロック7と熱的に結合され、冷却ブロック7に装着された試料を冷却する。スターリングサイクル冷凍機1の内部には、鉛直方向で往復運動をするピストン(図示せず)等の機構があり、該スターリングサイクル冷凍機1は、主として鉛直方向に振動する。
図2は、上記スターリングサイクル冷凍機1の吸熱部5と、冷却ブロック7との結合構造の一実施の形態を示した概念的側面図である。
この実施の形態においては、冷凍機1の円筒状突起部3の端部に存在する上記吸熱部5に、冷却ブロックの本体7aの下方に設けられた熱伝導部を兼ねた装着部7bを介して、該冷却ブロック7が取付けられている。
上記装着部7bは、図2及び図3に示したように、周囲に3つのスリット8と、1つの切り欠き9を有するリング状に形成され、その切り欠き9の部分において、ネジ10によって該リング状の装着部7bを締め付けることにより、上記円筒状の吸熱部5に取付けられている。なお、この装着部7bは、下側からネジ11により冷却ブロックの本体7aに固定されている。
装着部7bの外観形状は、上記図2及び図3に示した形状に限らず、例えば、図4に示したように、円錐台形であってもよく、また図5に示したように、階段状に円柱を組み合わせた形状であってもよい。この場合、スリット8を深く形成し、残りの肉厚(図において斜線を施した部分)が、上記リング状の装着部7bの場合と同様のものとすれば、締め付けトルクは何ら変わらないものとなる。図4及び図5に示した形状の如く、冷却ブロックの本体7aとの接触面積が広い装着部7bとした場合には、熱伝導の点で有利なものとなる。
吸熱部5に装着部7bを介して取付けられた上記冷却ブロック7は、図1に示したように、僅かな間隙をあけて保温材12の中に収容され、該保温材12の下部には、発泡ゴム断熱材13が設けられ、これらの保温材12及び発泡ゴム断熱材13が、冷凍機1の放熱部4と上記吸熱部5とを熱的に遮断している。
また、保温材12の上部に形成された冷却ブロックの本体7aを収納する箱型収納部12aには、排水用ホース14が接続され、この排水用ホース14は、図1に示したように、配管15に接続する手前でU字状に折曲され、常時液溜まり14aが形成されるように配管15に接続されている。これにより、温度差の有る外気が装置内に進入するのを阻止し、また冷却ブロック7に外気が触れて結露が生じるのを防止している。
上記図1乃至図5に示した実施の形態では、上記冷却ブロックの本体7aに、被冷却物収容部7cが一体的に形成され、該被冷却物収容部7cに試料が入れられた容器、例えばマイクロプレートが挿着され、試料が冷却される。
この場合、冷却ブロック7に直接試料を入れた容器を挿着できるため、熱伝導効率が良いという利点がある。冷却する試料収納容器を変更したい場合には、現在使用している冷却ブロック7を吸熱部5から取り外し、その容器が挿着できる被冷却物収容部7cが形成された他の冷却ブロック7を、その冷却ブロックの装着部7bを介して吸熱部5に取付けることにより対処すればよい。
また、冷却ブロックの本体7aには、ヒーター挿入孔16が等間隔で複数形成され、また温度センサー孔17が形成されている。本装置を、室温以下の冷却のみに使用する場合には、該ヒーター挿入孔16にヒーター(図示せず)を挿入し、温度センサー孔17に温度センサー(図示せず)を設置すれば、所定の温度で、試料を凍結させることなく均一に冷却することが可能となる。
上記実施の形態に係る冷却装置において、冷凍機1が作動すると、放熱部4から放熱フィン6を介して熱が放出され、吸熱部5で吸熱する。これにより該吸熱部5に取付けられた装着部7bが冷却され、これに伴い冷却ブロックの本体7aも冷却される。
この際、冷凍機1の振動は、該冷凍機1と冷却ブロック7とが装着部7bを介して直接接合されていることから、冷却ブロック7にも伝えられ、該冷却ブロック7の被冷却物収容部7cに収納された試料には、振動による攪拌と、吸熱による冷却とが同時に作用することとなる。
特に、冷凍機1の懸架ユニット50として、後に詳述する構成を採用すると、冷凍機1の円筒状突起部3の振動をその円筒の軸方向に規制できると共に、その振動を任意に調整することができるため、冷凍機1からの振動を、試料の振動攪拌に有効に利用することが可能となる。
次に、図6に示した実施の形態は、上記冷却ブロックの本体7aを平板とし、該平板状の本体7a上に、種々の形状の被冷却物収容部7cを載置し得る構造、即ち、冷却ブロックの本体7aと、被冷却物収容部7cとを別体に構成したものである。
上記別体として構成した冷却ブロックの本体7aと、被冷却物収容部7cとの結合は、ビス止めによる固定でもよいが、マグネットを使用した磁力結合により成されていることが好ましい。
即ち、図7に示したように、矩形状の被冷却物収容部7cの底面四隅に、マグネット18の一方の磁極(実施の形態ではS極)を配置し、冷却ブロックの本体7aの対向する上面四隅に、マグネット18の他方の磁極(実施の形態ではN極)を配置し、両マグネット18,18の引き合う力を利用し、冷却ブロックの本体7aと被冷却物収容部7cとの結合が成されていることが好ましい。
また、この際、冷却ブロックの本体7aと被冷却物収容部7cとの結合面間には、熱伝導流体を充填することが好ましく、熱伝導流体としては、低温でも凍結しない物質、例えば、シリコンオイル、エチレングリコール、或いは流動性のある粘度の小さいグリースなどを採用することができる。
また、上記設置するマグネット18は、冷却ブロックの本体7aと被冷却物収容部7cとの結合面間の密着性、及び被冷却物収容部7cを冷却ブロックの本体7aから分離する際の作業性を考慮し、図8に示したように、各々の結合面から若干(図中δ)埋設した状態で設置することが好ましい。
上記図6乃至図8に示した実施の形態の場合、上記被冷却物収容部7cは、試験目的・検査目的に応じて適切なデザインで自由に実現することができ、試験目的・検査目的に応じて、被冷却物収容部7cのみを、容易に交換できるという利点がある。
また、別体とした冷却ブロックの本体7aと被冷却物収容部7cとの結合が、マグネットを使用した磁力結合により成されているものとした場合には、冷却ブロックの本体7aと被冷却物収容部7cとの密着性が保たれ、熱的結合が維持されると共に、両者の熱による膨張、収縮の差異による接合面のズレも吸収できるという利点がある。
更に、図9に示した実施の形態は、冷却ブロックの本体7aと、被冷却物収容部7cとを別体に構成すると共に、該被冷却物収容部7cと冷却ブロックの本体7aとの結合面を、下に凸の湾曲面に形成したものである。
具体的には、冷却ブロックの本体7aの上面に、長手方向に沿って円弧状の溝19を形成し、被冷却物収容部7cの下面に、上記円弧状の溝19に対応する円弧状の凸部20を形成したものである。
この場合の冷却ブロックの本体7aと被冷却物収容部7cとの結合も、図示したように、マグネット18,18を使用した磁力結合により成されていることが好ましい。
また、冷却ブロックの本体7aと被冷却物収容部7cとの結合面間には、熱伝導流体が充填されている。被冷却物収容部7cの板面中央付近には、熱伝導流体を結合面間に注入する孔(熱伝導流体注入孔)21が設けられ、冷却ブロックの本体7aの上面両端付近には、余分な熱伝導流体を溜める溝(液溜め溝)22が設けられている。
この実施の形態においては、冷却ブロックの本体7aの上面には、常時シリコンオイルやグリースなどの熱伝導流体が溜まることとなり、前記した平面同士の接合面となる図6に示した実施の形態に比して、熱伝導流体を有益に使用することができる。また、図10に示したように、冷却ブロックの本体7aの円弧状の溝19に沿って、被冷却物収容部7cを左右に滑動させることにより、接合面間のエアーも容易に抜くことができ、冷却ブロックの本体7aと被冷却物収容部7cとの間の熱伝導を、良好に維持することができる。 更に、本装置を使用して攪拌しながら冷却した後の試料を回収するにあたって、被冷却物収容部7cが、図11に示したように傾斜するため、ピペット23等で試料を取り出す際、回収液量の増大が期待できる。
以上、詳述したような冷凍機の吸熱部5と冷却ブロック7との結合構造とすることにより、冷凍機1の振動が冷却ブロック7に伝わり、被冷却物収容部7cに収納された試料を振動させながら、その温度を急速に降下させことが可能になる。そのため、例えば、試料を攪拌しながら反応を進行させ、その状態で試料を冷却或いは凍結させることが可能になる。また、攪拌により試料の沈殿を防止し、試料を均一に浮遊・分散させた状態で冷却或いは凍結させることが可能になる。
なお、当然、振動に何ら影響されない試料の冷却或いは凍結にも使用できる。
次に、上記スターリングサイクル冷凍機1を、装置の躯体に安定的に、かつ振動を任意に調節できる状態で支持する懸架ユニット50の好ましい実施の形態を説明する。
先ず、図1に示したように、上記冷凍機1を下方から支持する基底部材30には、鉛直方向に向けて複数の雌ネジ31が設けられている。この実施の形態では、冷凍機1の外周の基底部材30への投影に沿った円周上に、等間隔で三つの貫通雌ネジ31が設けられている。そして、これらの雌ネジ31の下部分を用いて、上記基底部材30は、筐体32に固定ネジ33により水平に固定されている。
上記スターリングサイクル冷凍機1の下面に設けられた配線群2の一部は、上記基底部材30の中央部に設けられた凹部の中に収納されている。
なお、上記基底部材30を円環状に形成し、その中央の空間に上記配線群2の一部を収納するように形成することも可能である。
上記基底部材30の雌ネジ31の上部分には、それぞれシャフト34が螺合している。雌ネジ31は、それぞれに螺合したシャフト34が鉛直方向、即ち上記スターリングサイクル冷凍機1の図示していないピストン等の往復運動機構の運動方向と平行になるように、上記基底部材30に形成されている。
上記各々のシャフト34には、図12或いは図13に示すように、一方の端部である下端に上記基底部材30の雌ネジ31に螺合する第1の雄ネジ35aが形成され、他方の端部である上部端面に取り付き部分36としての溝が形成されている。そして、図示しないマイナスドライバを上記取り付き部分36に差し込み、それを回すことにより各シャフト34を上記基底部材30の雌ネジ31と螺合させことができる。そして、上記第1の雄ネジ35aに螺合された固定ナット37を基底部材30の方向に締めつけることにより、シャフト34をしっかりと基底部材30に固定することができる。
また、図12に示すシャフト34の実施の形態では、各シャフト34に第1の止め輪溝38aと第2の止め輪溝38bが形成されている。そして、第1の止め輪溝38aに第1の支持部材39aとしてのE形止め輪が装着され、その上に第1の弾性部材40aとしての圧縮バネが載置されている。
一方、図13に示すシャフト34の他の実施の形態では、各シャフト34に第1の止め輪溝38aと第2の雄ネジ35bが形成されている。そして、第1の止め輪溝38aに上記と同様に第1の支持部材39aとしてのE形止め輪が装着され、その上に第1の弾性部材40aとしての圧縮バネが載置されている。また、上記第2の雄ネジ35bには、第2の支持部材39bとしてのダブルナットが装着されている。
図14は、中間部材41の一実施の形態を示した斜視図である。
この中間部材41は、細長い平板の両端の近傍を直角に曲げることによって形成されたコ字状部材である。そして、コ字の下辺に対応する下部分41aとコ字の上辺に対応する上部分41bに、それぞれ上記シャフト34を貫通させるための第1と第2の貫通孔41c,41dがそれぞれ形成されている。また、コ字の縦辺に対応する中央部分41eには、スターリングサイクル冷凍機1をネジで固定するための貫通孔41fが設けられている。
一方、図15は、中間部材41の他の実施の形態を示した斜視図である。
この中間部材41は、スターリングサイクル冷凍機1の外周を取り囲む略円筒状の中央部分41eと、該略円筒状の中央部分41eの下端と上端に該円筒の軸に対して垂直にそれぞれ設けたフランジである下部分41aと上部分41bで形成されたボビン状部材である。そして、上記下部分41aと上部分41bに、上記シャフト34を貫通させるための第1と第2の貫通孔41c、41dが、それぞれ120°の等間隔で形成されている。
そして、図14或いは図15に示した中間部材41の上下の貫通孔41c、41dには、それぞれ軸受けブッシュ42が差し込まれ、図1に示すように、その軸受けブッシュ42を上記シャフト34が貫通している。上記軸受けブッシュ42は自己潤滑樹脂で成形されており、上記シャフト34との間の摩擦抵抗を小さくする機能を有する。
図12に示したシャフト34の実施の形態においては、上記中間部材41の下部分41aの上部と、上記第2の支持部材39bとしてのE形留め輪との間に第2の弾性部材40bとして圧縮バネが装着されている。この結果、中間部材41の上記下部分41aは、下方からは第1の支持部材39aであるE形留め輪で支持された第1の弾性部材40aにより上方向に弾性的に押圧され、上方からは第2の支持部材39bであるE形留め輪で支持された第2の弾性部材40bにより下方向に弾性的に押圧されている。
したがって、静止状態では、上記中間部材41の位置は、上記第1と第2の弾性部材40a,40bの弾性的平衡により定まる。この平衡位置は、上記シャフト34の取り付き部分36である端面の溝にマイナスドライバを差し込み、該シャフト34をその軸の周りで回し、上記基底部材30の雌ネジ31へのネジ込み量を調整することにより調節することができる。
一方、図13に示したシャフト34の実施の形態においては、上記中間部材41の下部分41aの上部と、上記第2の支持部材39bとしてのダブルナットとの間に第2の弾性部材40bとして圧縮バネが装着されている。この結果、上記中間部材41の下部分41aは、上記と同じく下方からは第1の支持部材39aであるE形留め輪で支持された第1の弾性部材40aにより上方向に弾性的に押圧され、上方からは第2の支持部材39bであるダブルナットで支持された第2の弾性部材40bにより下方向に弾性的に押圧されている。
したがって、静止状態では、上記中間部材41の位置は、上記第1と第2の弾性部材40aと40bの弾性的平衡により定まる。この平衡位置は、上記シャフト34の取り付き部分36である端面の溝にマイナスドライバを差し込み、該シャフト34をその軸の周りで回し、上記基底部材30の雌ネジ31へのネジ込み量を調整することにより調節することができる。また、この実施の形態では、第2の支持部材39bがダブルナットで形成されているため、そのダブルナットの位置を移動させることにより第1と第2の弾性部材40a,40bの弾性定数を変化させることができ、個々の構成要素のバラツキに対応した微調整が可能となる。弾性定数及び平衡位置を所望のものに調整した後、第2の支持部材39bであるダブルナット、及びシャフトの固定ナット33を締め付け、その位置を固定する。
図14に示したコ字状部材である中間部材41を用いた場合は、この中間部材41の中央部分41eの貫通孔41fを貫通する固定用ネジ43を用いて、スターリングサイクル冷凍機1の外周側面に複数、この実施の形態においては3つの中間部材41が120°の等間隔で固定される。
一方、図15に示したボビン状部材である中間部材41を用いた場合は、この中間部材41の略円筒状の中央部分41eと、スターリングサイクル冷凍機1の外周側面とがスポット溶接されて固定される。図16に、スポット溶接の箇所の例をXで示す。このようにスターリングサイクル冷凍機1を覆う状態で中間部材41をスポット溶接することにより、防音効果と補強の効果も得られる。
上記のように構成された懸架ユニット50は、図1に示すように、スターリングサイクル冷凍機1を、基底部材30、複数のシャフト34、それぞれのシャフト34に装着された第1と第2の弾性部材40a,40b及び中間部材41を介して、宙吊り状態で保持する。
そして、各シャフト34は、スターリングサイクル冷凍機1の往復運動機構等の振動源の振動方向とほぼ平行になるように配設され、中間部材41は、上記シャフト34に沿って第1と第2の弾性部材40a,40bによって弾性的に支持され、スターリングサイクル冷凍機1は上記中間部材41により保持されているため、スターリングサイクル冷凍機1の振動は、上記シャフト34の方向だけに規制される。
そしてさらに、第1と第2の弾性部材40a,40bの弾性定数等を適切に設定することにより、スターリングサイクル冷凍機1の振動を、共振させることにより増振させたり、逆に打ち消し合わせることにより減振させることができる。即ち、図12に示したシャフト34の実施の形態の場合には、第1と第2の弾性部材40a,40bの素材の弾性率、密度、及び第1と第2の止め輪溝38a,38bの位置を、適切な値或いは位置に設定しておくことによりこれを達成できる。また、図13に示したシャフト34の実施の形態の場合は、上記に加えて、シャフト34に形成された第2の雄ネジ35bに螺合するダブルナットである第2の支持部材39bの位置を調整することにより、さらに第1と第2の弾性部材40a,40bの弾性定数を微妙に調整することができる。
このように、弾性率等を適切に調整することにより、共振させたり、共振を避けたりすることができ、スターリングサイクル冷凍機1の振動を、任意に調整することができ、該冷凍機の吸熱部5に取付けられた冷却ブロック7を介して、被冷却物に適度の振動を加えながら冷却ができる装置となる。
以上、本発明に係る冷却装置の実施の形態を説明したが、本発明は、何ら既述の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の技術的思想の範囲内において、種々の変形及び変更が可能であることは当然である。
スターリングサイクル冷凍機を用いた本発明に係る冷却装置の概念的立面断面図である。 スターリングサイクル冷凍機の吸熱部と冷却ブロックとの結合構造の一実施の形態を示した概念的側面図である。 図2に示した冷却ブロックの概念的底面図である。 冷却ブロックの他の実施の形態を示した概念的側面図である。 冷却ブロックの更に他の実施の形態を示した概念的側面図である。 冷却ブロックと被冷却物収納部とを別体に構成した実施の形態を示した概念的側面図である。 図6に示した被冷却物収納部の一部を切り欠いて示した概念的平面図である。 図6に示した冷却ブロックと被冷却物収納部との結合構造を示した概念的部分拡大図である。 冷却ブロックと被冷却物収納部とを別体に構成した他の実施の形態を示した概念的側面図である。 図9に示した冷却ブロックと被冷却物収納部の概念的断面図である。 図9に示した冷却ブロックと被冷却物収納部の一使用態様を示した概念的断面図である。 懸架ユニットの要部の一実施の形態を示した概念的分解立面図である。 懸架ユニットの要部の他の実施の形態を示した概念的分解立面図である。 中間部材の一実施の形態を示した概念的斜視図である。 中間部材の他の実施の形態を示した概念的斜視図である。 図15に示した中間部材とスターリングサイクル冷凍機のスポット溶接箇所の例を示した概念図である。
符号の説明
1:スターリングサイクル冷凍機、2:配線群、3:円筒形突起部、4:放熱部、5:吸熱部、6:放熱フィン、7:冷却ブロック、7a:冷却ブロックの本体、7b:装着部、7c:被冷却物収納部、8:スリット、9:切り欠き、10:ネジ、11:ネジ、12:保温材、12a:箱型収納部、13:発泡ゴム断熱材、14:排水用ホース、14a:液溜まり、15:配管、16:ヒーター挿入孔、17:温度センサー孔、18:マグネット、19:円弧状の溝、20:円弧状の凸部、21:熱伝導流体注入孔、22:液溜め溝、23:ピペット、30:基底部材、31:雌ネジ、32:筐体、33:固定ネジ、34:シャフト、35a:第1の雄ネジ、35b:第2の雄ネジ、36:取り付き部分(溝)、37:固定ナット、38a:第1の止め輪溝、38b:第2の止め輪溝、39a:第1の支持部材、39b:第2の支持部材、40a:第1の弾性部材、40b:第2の弾性部材、41:中間部材、41a:下部分、41b:上部分、41c:第1の貫通孔、41d:第2の貫通孔、41e:中央部分、41f:貫通孔、42:ブッシュ、50:懸架ユニット

Claims (6)

  1. 上端部に吸熱部を有するスターリングサイクル冷凍機と、該冷凍機を懸架する、下端に雄ネジが形成された複数のシャフトと、それぞれのシャフトの雄ネジと螺合する雌ネジが上面に形成された基底部材と、上記冷凍機の外周面に固定されて上記シャフトが貫通する貫通孔を有する中間部材と、上記シャフトが貫通している弾性部材であって上記中間部材の上記貫通孔の下側に装着された第1の弾性部材と、上記シャフトが貫通している弾性部材であって上記中間部材の上記貫通孔の上側に装着された第2の弾性部材と、上記第1の弾性部材の上記貫通孔と反対側の端部で該第1の弾性部材の端部を支える上記シャフトに固定された第1の支持部材と、上記第2の弾性部材の上記貫通孔と反対側の端部で該第2の弾性部材を支える上記シャフトに固定された第2の支持部材とを備える懸架ユニットと、上記吸熱部に熱伝導部を兼ねた装着部を介して取付けられた冷却ブロックと、該冷却ブロックに設けられた被冷却物収容部とからなることを特徴とする、冷却装置。
  2. 上記被冷却物収容部が、上記冷却ブロックと別体に構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の冷却装置。
  3. 上記被冷却物収容部と冷却ブロックとの結合が、マグネットを利用した磁力結合により成されていることを特徴とする、請求項2に記載の冷却装置。
  4. 上記被冷却物収容部と冷却ブロックとの結合面が、下に凸の湾曲面に形成されていることを特徴とする、請求項2、又は3に記載の冷却装置。
  5. 上記被冷却物収容部と冷却ブロックとの結合面間に、熱伝導流体が充填されていることを特徴とする、請求項2乃至4のいずれかに記載の冷却装置。
  6. 上記懸架ユニットの第2の支持部材が、上記シャフトに形成された第2の雄ネジに螺合するダブルナットであることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれかに記載の冷却装置。
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