JP4406819B2 - 減速機ならびにそれを用いた電動パワーステアリング装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ウォームなどの小歯車と、ウォームホイールなどの大歯車とを有し、かつ潤滑剤組成物を充てんした減速機と、かかる減速機を備えた電動パワーステアリング装置とに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車用の電動パワーステアリング装置には減速機が用いられる。例えばコラム型EPSでは、電動モータの回転を、減速機において、ウォーム等の小歯車からウォームホイール等の大歯車に伝えることで減速するとともに出力を増幅したのち、コラムに付与することで、ステアリング操作をトルクアシストしている。
減速機構としての小歯車と大歯車との噛み合いには適度なバックラッシが必要である。しかし、例えば歯車が正回転から逆回転に転じる際や、石畳み等の悪路を走行してタイヤからの反力が入力された際などに、バックラッシに起因して歯打ち音が発生する場合があり、これらの音が車室内に騒音として伝わると運転者に不快感を与えることになる。
【0003】
このため従来は、適正なバックラッシとなるように小歯車と大歯車との組み合わせを選別して減速機を組み立てる、いわゆる層別組み立てをしているが、かかる方法では生産性が著しく低いという問題がある。また層別組み立てをしたとしても、ウォームホイールの軸の偏芯による操舵トルクのむらが発生するという別の問題がある。
そこで、例えばウォーム軸をウォームホイールヘ向けて偏倚可能とするとともに、ウォーム軸をその偏倚方向へ付勢するばね体などの付勢手段を設けることでバックラッシをなくするようにした、電動パワーステアリング装置における減速機などが提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−43739号公報(第0007欄〜第0009欄、図1)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記特許文献1などの減速機は構造が極めて複雑になり、製造コストがかさむという問題がある。
そこで本発明の目的は、騒音を、小歯車と大歯車とを組み合わせた際のバックラッシの大きさに関係なく、また構造を複雑化することなく、これまでよりも小さくすることができ、騒音の小さい減速機と、それを用いた電動パワーステアリング装置とを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の減速機は、小歯車と大歯車とを備え、前記両歯車の噛み合い部分を含む領域に、
グリースと、
ゴム弾性を有し、ヤング率が100MPa以上であるゴムまたは軟質樹脂からなる内核の外周を、ゴム弾性を有し、ヤング率が100MPa未満であるゴムまたは軟質樹脂からなる外殻で被覆した二重構造を有し、平均粒径が50〜300μmである緩衝材粒子と、
を含み、ちょう度を、NLGI番号で表してNo.2〜No.00とした潤滑剤組成物を充てんしたことを特徴とするものである。
【0007】
また本発明の減速機は、小歯車と大歯車とを備え、前記両歯車の噛み合い部分を含む領域に、
動粘度が20〜100mm 2 /s(40℃)である潤滑油と、
ゴム弾性を有し、ヤング率が100MPa以上であるゴムまたは軟質樹脂からなる内核の外周を、ゴム弾性を有し、ヤング率が100MPa未満であるゴムまたは軟質樹脂からなる外殻で被覆した二重構造を有し、平均粒径が50〜300μmである緩衝材粒子と、
を含む潤滑剤組成物を充てんしたことを特徴とするものである。
【0008】
さらに本発明の電動パワーステアリング装置は、操舵補助用のモータの出力を、上記減速機を介して減速して舵取機構に伝えることを特徴とするものである。
【0009】
【発明の効果】
本発明によれば、潤滑剤組成物中に分散した緩衝材粒子が、小歯車と大歯車との噛み合い部分に介在して、両歯車の歯面間の衝突を緩衝することによって、その騒音を低減することができる。しかもグリースまたは潤滑油(以下「潤滑剤」と総称する場合がある)に単に緩衝材粒子を添加するだけで、減速機の構造を複雑化することなく、コスト安価に騒音を低減することができる。
【0010】
なお潤滑剤に、緩衝材粒子などの微小な粒子を配合すると、その流動が阻害されることによって粘度が上昇して、電動パワーステアリング装置の操舵トルクが上昇する傾向がある。
しかし本発明で使用している二重構造を有する緩衝材粒子は、内核よりも軟らかい外殻が、摺動時の歯車の噛み合い抵抗を低減する働きをするため、上記の、操舵トルクの上昇を抑制することができる。
【0011】
なお緩衝材粒子として、外殻と同じ比較的軟らかい緩衝材のみで形成した単層構造のものを用いた場合には、当該緩衝材粒子が、小歯車と大歯車との噛み合いによって押しつぶされてしまうため、上述した騒音を低減する効果が得られない。
粘度上昇に伴う操舵トルクの上昇を抑制しつつ、騒音を低減する効果を得るためには、緩衝材粒子が、小歯車と大歯車との噛み合いによって完全に押しつぶされることなく粒状を維持している必要があり、そのために緩衝材粒子は、前記の二重構造を有している必要がある。
【0012】
緩衝材粒子の内核は、上記のように小歯車と大歯車との噛み合いによって完全に押しつぶされることなく粒状を維持する効果を十分に発揮させるために、ゴム弾性を有し、ヤング率が100MPa以上であるゴムまたは軟質樹脂にて形成する。
また外殻は、摺動時の歯車の噛み合い抵抗を低減して操舵トルクの上昇を抑制する効果をさらに向上するために、ゴム弾性を有し、ヤング率が100MPa未満であるゴムまたは軟質樹脂にて形成する。
【0013】
潤滑剤は半固体状のグリースであってもよく、液状の潤滑油であってもよい。
潤滑剤がグリースである場合、減速機に使用するために、緩衝材粒子を添加した潤滑剤組成物のちょう度は、NLGI(National Lubricating Grease Institute)番号で表してNo.2〜No.00とする必要がある。
また潤滑剤が液状の潤滑油である場合は、減速機に使用するために、前記潤滑油の動粘度を20〜100mm/s(40℃)とする必要がある。
【0014】
そして本発明の減速機は、小歯車と大歯車とを備え、両歯車の噛み合い部分を含む領域に、上記の潤滑剤組成物を充てんしたものゆえ、バックラッシに起因する騒音を小さくできる点で好ましい。
さらに本発明の電動パワーステアリング装置は、操舵補助用のモータの出力を、上記減速機を介して減速して、舵取機構に伝えるものゆえ、車室内での騒音をコスト安価に低減できる点で好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を説明する。
〈潤滑剤組成物〉
本発明の減速機に充てんする潤滑剤組成物は、前記のように潤滑剤と、緩衝材粒子とを含むものである。
このうち緩衝材粒子BPとしては、図3に示すように緩衝材からなる内核BP1の外周を、それよりも軟らかい緩衝材からなる外殻BP2で被覆した二重構造を有するものを用いる。
【0016】
上記のうち内核BP1は、前述したように小歯車と大歯車との噛み合いによって完全に押しつぶされることなく粒状を維持する効果を十分に発揮させるために、ゴム弾性を有し、ヤング率が100MPa以上であるゴムまたは軟質樹脂にて形成する。また小歯車と大歯車との噛み合い部分に介在して、両歯車の歯面間の衝突を緩衝することによって騒音を低減する効果を十分に発揮させることを考慮すると、内核BP1を形成するゴムまたは軟質樹脂のヤング率は、上記の範囲内でも特に105MPa以下であるのが好ましい。
【0017】
一方の外殻BP2は、これも前記のように、摺動時の歯車の噛み合い抵抗を低減して操舵トルクの上昇を抑制する効果をさらに向上するために、ゴム弾性を有し、ヤング率が100MPa未満であるゴムまたは軟質樹脂にて形成する。また、外殻BP2を形成するゴムまたは軟質樹脂のヤング率は、上記の範囲内でも特に0.1MPa以上であるのが好ましい。
ヤング率が0.1MPa未満では外殻BP2が軟らかくなりすぎるため、小歯車と大歯車との噛み合い部分に介在して、両歯車の歯面間の衝突を緩衝することによって、その騒音を低減する効果が不十分になるおそれがある。また、小歯車と大歯車との噛み合い部分に介在してバックラッシを低減する効果が不十分になって、ハンドル操作時に違和感を生じるおそれもある。
【0018】
かかる内核BP1および外殻BP2を形成するゴムまたは軟質樹脂としては、ゴム弾性を有する種々の、ゴムまたは軟質樹脂を挙げることができる。
このうち軟質樹脂としては、例えばポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリイミド系樹脂、フッ素樹脂、熱可塑性または硬化性(架橋性)のウレタン樹脂等を挙げることができる。また、例えばオレフィン系、ウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、フッ素系などの耐油性の熱可塑性エラストマーを用いることもできる。
【0019】
一方、ゴムとしては、例えばエチレン−プロピレン共重合ゴム(EPM)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム(EPDM)、シリコーンゴム、ウレタンゴム(U)等をあげることができる。
内核BP1よりも外殻BP2を軟らかくするためには、上記軟質樹脂やゴムのうちヤング率の異なる2種の材料で内核BP1と外殻BP2とを形成すればよい。
【0020】
また、例えば内核BP1と外殻BP2とをともに硬化性のウレタン樹脂にて形成するとともに、内核BP1の架橋度を外殻BP2よりも高くすることによって、内核BP1よりも外殻BP2が軟らかい二重構造を有する緩衝材粒子BPを形成することもできる。
緩衝材粒子BPの平均粒径D2は、50〜300μmである必要がある。
平均粒径D2が50μm未満では十分な緩衝作用が得られないおそれがあり、逆に300μmを超える場合には潤滑剤から分離しやすくなって、均一な潤滑剤組成物が得られないおそれがある。なお緩衝作用をより一層、向上することを考慮すると、緩衝材粒子BPの平均粒径D2は、上記の範囲内でも50μm以上、とくに100μm以上であるのが好ましい。
【0021】
また内核BP1の平均粒径D1と、外殻BP2の外径でもある緩衝材粒子BPの平均粒径D2との比D1/D2は、1/3〜1/2であるのが好ましい。
この範囲より内核BP1の平均粒径D1が小さい場合には、当該内核BP1による、小歯車と大歯車との噛み合いによって完全に押しつぶされることなく粒状を維持する効果が得られないおそれがあり、逆に内核BP1の平均粒径D1が大きい場合には、相対的に外殻BP2の厚みが小さくなって、当該外殻BP2による、摺動時の歯車の噛み合い抵抗を低減して操舵トルクの上昇を抑制する効果が得られないおそれがある。
【0022】
緩衝材粒子BPの形状は球状、粒状、薄片状、棒状等の種々の形状が選択できるが、潤滑剤組成物の流動性などを考慮すると、とくに図3に示した球状や、あるいは粒状が好ましい。
緩衝材粒子は、潤滑剤100重量部に対して20〜200重量部の割合で配合するのが好ましい。
緩衝材粒子の割合が20重量部未満では、当該緩衝材粒子による緩衝作用が不十分になるおそれがあり、逆に200重量部を超える場合には潤滑剤組成物の流動性が低下して、潤滑剤として機能しえなくなるおそれがある。
【0023】
上記緩衝材粒子を分散させる潤滑剤としては、液状の潤滑油と半固体状のグリースのいずれを用いても良い。
このうち潤滑油としては、動粘度が20〜100mm2/s(40℃)である潤滑油を用いる。
潤滑油としては、合成炭化水素油(例えばポリαオレフィン油)が好ましいが、シリコーン油、フッ素油、エステル油、エーテル油等の合成油や鉱油などを用いることもできる。潤滑油は、それぞれ単独で使用できる他、2種以上を混合しても良い。
【0024】
また潤滑油には、必要に応じて固体潤滑剤(二硫化モリブデン、グラファイト、PTFE等)、リン系や硫黄系の極圧添加剤、トリブチルフェノール、メチルフェノール等の酸化防止剤、防錆剤、金属不活性剤、粘度指数向上剤、油性剤などを添加してもよい。
一方、グリースとしては、緩衝材粒子を添加した潤滑剤組成物としてのちょう度が、NLGI(National Lubricating Grease Institute)番号で表してNo.2〜No.00となるものを用いる。
【0025】
グリースは、従来同様に潤滑基油に、増ちょう剤を添加して形成される。
潤滑基油としては、合成炭化水素油(例えばポリαオレフィン油)が好ましいが、シリコーン油、フッ素油、エステル油、エーテル油等の合成油や鉱油などを用いることもできる。潤滑基油の動粘度は20〜100mm2/s(40℃)であるのが好ましい。
また増ちょう剤としては、従来公知の種々の増ちょう剤(石けん系、非石けん系)が使用できる。
【0026】
さらにグリースには、やはり必要に応じて固体潤滑剤(二硫化モリブデン、グラファイト、PTFE等)、リン系や硫黄系の極圧添加剤、トリブチルフェノール、メチルフェノール等の酸化防止剤、防錆剤、金属不活性剤、粘度指数向上剤、油性剤などを添加してもよい。
〈減速機および電動パワーステアリング装置〉
図1は、本発明の一実施形態にかかる電動パワーステアリング装置の概略断面図である。また図2は、図1のII−II線に沿う断面図である。
【0027】
図1を参照して、この例の電動パワーステアリング装置では、ステアリングホイール1を取り付けている入力軸としての第1の操舵軸2と、ラックアンドピニオン機構等の舵取機構(図示せず)に連結される出力軸としての第2の操舵軸3とがトーションバー4を介して同軸的に連結されている。
第1および第2の操舵軸2、3を支持するハウジング5は、例えばアルミニウム合金からなり、車体(図示せず)に取り付けられている。ハウジング5は、互いに嵌め合わされるセンサハウジング6とギヤハウジング7により構成されている。具体的には、ギヤハウジング7は筒状をなし、その上端の環状縁部7aがセンサハウジング6の下端外周の環状段部6aに嵌め合わされている。ギヤハウジング7は減速機構としてのウォームギヤ機構8を収容し、センサハウジング6はトルクセンサ9および制御基板10等を収容している。ギヤハウジング7にウォームギヤ機構8を収容することで減速機50が構成されている。
【0028】
ウォームギヤ機構8は、第2の操舵軸3の軸方向中間部に一体回転可能でかつ軸方向移動を規制されたウォームホイール12と、このウォームホイール12と噛み合い、かつ電動モータMの回転軸32に、スプライン継手33を介して連結されるウォーム軸11(図2参照)とを備える。
このうちウォームホイール12は、第2の操舵軸3に一体回転可能に結合される環状の芯金12aと、芯金12aの周囲を取り囲んで外周面部に歯を形成する合成樹脂部材12bとを備えている。芯金12aは、例えば合成樹脂部材12bの樹脂成形時に金型内にインサートされるものである。
【0029】
第2の操舵軸3は、ウォームホイール12を軸方向の上下に挟んで配置される第1および第2の転がり軸受13、14により回転自在に支持されている。
第1の転がり軸受13の外輪15は、センサハウジング6の下端の筒状突起6b内に設けられた軸受保持孔16に嵌め入れられて保持されている。また外輪15の上端面は環状の段部17に当接しており、センサハウジング6に対する軸方向上方への移動が規制されている。
【0030】
一方、第1の転がり軸受13の内輪18は、第2の操舵軸3に締まりばめにより嵌め合わされている。また内輪18の下端面は、ウォームホイール12の芯金12aの上端面に当接している。
第2の転がり軸受14の外輪19は、ギヤハウジング7の軸受保持孔20に嵌め入れられて保持されている。また外輪19の下端面は、環状の段部21に当接し、ギヤハウジング7に対する軸方向下方への移動が規制されている。
【0031】
一方、第2の転がり軸受14の内輪22は、第2の操舵軸3に一体回転可能で、かつ軸方向の相対移動を規制されて取り付けられている。また内輪22は、第2の操舵軸3の段部23と、第2の操舵軸3のねじ部に締め込まれるナット24との間に挟持されている。
トーションバー4は、第1および第2の操舵軸2、3を貫通している。トーションバー4の上端4aは、連結ピン25により第1の操舵軸2と一体回転可能に連結され、下端4bは、連結ピン26により第2の操舵軸3と一体回転可能に連結されている。第2の操舵軸3の下端は、図示しない中間軸を介して、前記のようにラックアンドピニオン機構等の舵取機構に連結されている。
【0032】
連結ピン25は、第1の操舵軸2と同軸に配置される第3の操舵軸27を、第1の操舵軸2と一体回転可能に連結している。第3の操舵軸27はステアリングコラムを構成するチューブ28内を貫通している。
第1の操舵軸2の上部は、例えば針状ころ軸受からなる第3の転がり軸受29を介してセンサハウジング6に回転自在に支持されている。第1の操舵軸2の下部の縮径部30と第2の操舵軸3の上部の孔31とは、第1および第2の操舵軸2、3の相対回転を所定の範囲に規制するように、回転方向に所定の遊びを設けて嵌め合わされている。
【0033】
次いで図2を参照して、ウォーム軸11は、ギヤハウジング7により保持される第4および第5の転がり軸受34、35によりそれぞれ回転自在に支持されている。
第4および第5の転がり軸受34、35の内輪36、37は、ウォーム軸11の対応するくびれ部に嵌合されている。また外輪38、39は、ギヤハウジング7の軸受保持孔40、41にそれぞれ保持されている。
【0034】
ギヤハウジング7は、ウォーム軸11の周面の一部に対して径方向に対向する部分7bを含んでいる。
また、ウォーム軸11の一端部11aを支持する第4の転がり軸受34の外輪38は、ギヤハウジング7の段部42に当接して位置決めされている。一方、内輪36は、ウォーム軸11の位置決め段部43に当接することによって他端部11b側への移動が規制されている。
【0035】
またウォーム軸11の他端部11b(継手側端部)の近傍を支持する第5の転がり軸受35の内輪37は、ウォーム軸11の位置決め段部44に当接することによって一端部11a側への移動が規制されている。また外輪39は、予圧調整用のねじ部材45により、第4の転がり軸受34側へ付勢されている。ねじ部材45は、ギヤハウジング7に形成されるねじ孔46にねじ込まれることにより、一対の転がり軸受34、35に予圧を付与すると共に、ウォーム軸11を軸方向に位置決めしている。47は、予圧調整後のねじ部材45を止定するため、当該ねじ部材45に係合されるロックナットである。
【0036】
ギヤハウジング7内において、ウォーム軸11とウォームホイール12の噛み合い部分Aを少なくとも含む領域には、先に述べた緩衝材粒子を分散した潤滑剤組成物が充填される。すなわち潤滑剤組成物は、噛み合い部分Aのみに充填しても良いし、噛み合い部分Aとウォーム軸11の周縁全体に充填しても良いし、ギヤハウジング7内全体に充填しても良い。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。例えば本発明の減速機の構成を、電動パワーステアリング装置以外の装置用の減速機に適用することができる等、本発明の特許請求の範囲に記載された事項の範囲内で、種々の変更を施すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の、一実施形態にかかる電動パワーステアリング装置の概略断面図である。
【図2】図1のII−II線に沿う断面図である。
【図3】本発明の潤滑剤組成物に含有させる、二重構造を有する緩衝材粒子の断面図である。
【符号の説明】
BP 緩衝材粒子
BP1 内核
BP2 外殻
A 噛み合い部分
M 電動モータ
11 ウォーム軸(小歯車)
12 ウォームホイール(大歯車)
50 減速機
Claims (3)
- 小歯車と大歯車とを備え、前記両歯車の噛み合い部分を含む領域に、
グリースと、
ゴム弾性を有し、ヤング率が100MPa以上であるゴムまたは軟質樹脂からなる内核の外周を、ゴム弾性を有し、ヤング率が100MPa未満であるゴムまたは軟質樹脂からなる外殻で被覆した二重構造を有し、平均粒径が50〜300μmである緩衝材粒子と、
を含み、ちょう度を、NLGI番号で表してNo.2〜No.00とした潤滑剤組成物を充てんしたことを特徴とする減速機。 - 小歯車と大歯車とを備え、前記両歯車の噛み合い部分を含む領域に、
動粘度が20〜100mm 2 /s(40℃)である潤滑油と、
ゴム弾性を有し、ヤング率が100MPa以上であるゴムまたは軟質樹脂からなる内核の外周を、ゴム弾性を有し、ヤング率が100MPa未満であるゴムまたは軟質樹脂からなる外殻で被覆した二重構造を有し、平均粒径が50〜300μmである緩衝材粒子と、
を含む潤滑剤組成物を充てんしたことを特徴とする減速機。 - 操舵補助用のモータの出力を、請求項1または2記載の減速機を介して減速して舵取機構に伝えることを特徴とする電動パワーステアリング装置。
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