JP2009108253A - 潤滑剤組成物とそれを用いた減速機および電動パワーステアリング装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】互いに転がり接触によって噛み合う小歯車と大歯車とを備えた減速機に使用した際に、摺動音を増加させ、また減速機の回転トルク、および電動パワーステアリング装置の操舵トルクを過剰に上昇させることなく、ラトル音を効果的に低減できる潤滑剤組成物と、それを用いた減速機および電動パワーステアリング装置を提供する。
【解決手段】動粘度(40℃)が200ないし10000mm2/Sの基油と、増ちょう剤と、平均粒径が50ないし500μmの緩衝材粒子5ないし50質量%とを調合して、ちょう度をNo.2ないしNo.000とした潤滑剤組成物と、前記潤滑剤組成物を充填した減速機19と、前記減速機を組み込んだ電動パワーステアリング装置1である。
【選択図】図1
【解決手段】動粘度(40℃)が200ないし10000mm2/Sの基油と、増ちょう剤と、平均粒径が50ないし500μmの緩衝材粒子5ないし50質量%とを調合して、ちょう度をNo.2ないしNo.000とした潤滑剤組成物と、前記潤滑剤組成物を充填した減速機19と、前記減速機を組み込んだ電動パワーステアリング装置1である。
【選択図】図1
Description
本発明は、特にはすば歯車、平歯車等の、互いに転がり接触によって噛み合う小歯車と大歯車とを有する減速機等に好適に用いることができる潤滑剤組成物と、前記潤滑剤組成物を充填した減速機と、前記減速機を備えた電動パワーステアリング装置に関するものである。
自動車用の電動パワーステアリング装置には減速機が用いられる。例えばコラム型EPSでは、電動モータの回転を、前記減速機においてウォーム等の小歯車からウォームホイール等の大歯車に伝えて、回転速度を減速すると共に出力を増幅した後、ステアリングシャフトに付与することで、ステアリング操作をトルクアシストしている。前記小歯車と大歯車の噛み合いには、適度なバックラッシが必要である。
しかし、バックラッシが大きすぎる場合には、例えば、前記両歯車の回転を逆転させた際や、石畳等の悪路を走行してタイヤからの反力が入力(キックバック)された際等に、バックラッシに起因してラトル音(歯打ち音)が発生する場合があり、それが車室内に騒音として伝わると、運転者に不快感を与えることになる。そのため、従来は、適正なバックラッシとなるように、小歯車と大歯車との組み合わせを選別して減速機を組み立てる、いわゆる層別組み立てが採用されてきたが、層別組み立ての作業には手間がかかるため、前記減速機を組み込んだ電動パワーステアリング装置の生産性を向上できないという問題があった。
また、ウォームホイールの軸の偏芯によって発生する操舵トルクのむらは、層別組み立てをしても解消されなかった。そこで、これらの問題を解決するため、ウォーム軸をウォームホイールの方向へ偏倚可能に配置すると共に、前記ウォーム軸を、ばね等を用いて、弾性的に、ウォームホイールへ向けて偏倚させることによって、実質的に、両者間のバックラッシを無くするようにした電動パワーステアリング装置が提案された(特許文献1等参照)。しかし、前記構成では、減速機の構造が複雑になる分、電動パワーステアリング装置の製造コストが嵩むという問題があった。
そこで、軟質樹脂やゴム等(以下「軟質樹脂等」と総称する場合がある)からなる緩衝材粒子を含む潤滑剤組成物を、減速機の、少なくとも小歯車と大歯車との噛み合い部分を含む領域に充填することが提案された(特許文献2、3等参照)。前記潤滑剤組成物を用いると、緩衝材粒子が、両歯車の歯面間に介在して、歯面同士の衝突を緩衝する緩衝材としての働きをするため、減速機の構造には手を加えずに、ラトル音を低減させることができる。
特開2000−43739号公報
特開2003−214529号公報
特開2004−162018号公報
ところが、前記特許文献2、3等に記載された従来の潤滑剤組成物を、ステアリングシャフトと電動モータの回転軸が互いに平行に配置され、前記電動モータの出力を、例えばはすば歯車、平歯車等の、互いに転がり接触によって噛み合う小歯車と大歯車とを含む減速機を介して、ステアリングシャフトの出力軸に伝達する電動パワーステアリング装置に使用した場合には、従来同様に、緩衝材粒子による、ラトル音を低減する効果は得られるものの、両歯車の通常の回転時に、摺動音が大きくなったり、減速機の回転トルク、ひいては電動パワーステアリング装置の操舵トルクが過剰に上昇したりするといった問題を生じる。
すなわち、先に説明した、両歯車の回転を逆転させた際や、石畳等の悪路を走行してタイヤからの反力が入力(キックバック)された際等には、両歯車の歯面間の間隔の拡縮に伴うポンプ作用によって、潤滑剤組成物が、両歯面間の隙間に吸入されることで、前記潤滑剤組成物中の緩衝材粒子が、従来同様に、前記両歯面間に介在して、緩衝材として機能するため、ラトル音を低減することができる。しかし、前記両歯車の通常の回転時には、ウォームとウォームホイール等の、互いに摺動接触する小歯車と大歯車の通常の回転時とは違って、緩衝材粒子が、潤滑剤組成物の流動に伴って両歯車の歯面間から押し出されるだけでなく、逆に、互いに転がり接触によって噛み合う両歯車の歯面間に巻き込まれる現象を生じやすくなる。
そして、両歯面間に多数の緩衝材粒子が巻き込まれることによって摺動音が大きくなったり、減速機の回転トルク、ひいては電動パワーステアリング装置の操舵トルクが過剰に上昇したりするといった問題を生じやすくなる。これらの問題は、電動パワーステアリング装置の減速機に限らず、互いに転がり接触によって噛み合う小歯車と大歯車とを備えた、一般の減速機においても、同様に生じる。
本発明の目的は、特に、互いに転がり接触によって噛み合う小歯車と大歯車とを備えた減速機に使用した際に、摺動音を増加させたり、減速機の回転トルク、および電動パワーステアリング装置の操舵トルクを過剰に上昇させたりすることなしに、ラトル音を効果的に低減することができる潤滑剤組成物と、それを用いた減速機および電動パワーステアリング装置を提供することにある。
前記課題を解決するため、発明者は、潤滑剤組成物の流動と、それに伴う緩衝材粒子の挙動とについて解析を行った。その結果、潤滑剤組成物のもとになる基油の動粘度と、前記基油に増ちょう剤と緩衝材粒子とを配合した潤滑剤組成物のちょう度と、緩衝材粒子の平均粒径とを所定の範囲に設定することで、前記緩衝材粒子を、従来に比べて、潤滑剤組成物の流動に伴って流動しやすくすればよいことを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、動粘度(40℃)が200mm2/S以上、10000mm2/S以下の基油と、増ちょう剤と、平均粒径が50μm以上、500μm以下の緩衝材粒子とを含み、前記緩衝材粒子の含有割合が5質量%以上、50質量%以下で、かつちょう度がNo.2ないしNo.000であることを特徴とする潤滑剤組成物である。
前記本発明の潤滑剤組成物において、基油の、40℃における動粘度が200mm2/S以上、10000mm2/S以下の範囲に限定されるのは、下記の理由による。すなわち、動粘度が前記範囲未満では、緩衝材粒子を、潤滑剤組成物の流動に伴って流動しやすくする効果が得られないため、前記緩衝材粒子が、互いに転がり接触によって噛み合う両歯車の歯面間に巻き込まれるのを抑制することができず、結果として、前記両歯面間に多数の緩衝材粒子が巻き込まれることによって摺動音が大きくなったり、減速機の回転トルク、ひいては電動パワーステアリング装置の操舵トルクが過剰に上昇したりする。一方、動粘度が前記範囲を超える場合には、潤滑剤組成物の、流動時の粘度が上昇するため、却って、減速機の回転トルク、ひいては電動パワーステアリング装置の操舵トルクが過剰に上昇する。
また、緩衝材粒子の平均粒径が50μm以上、500μm以下に限定されるのは、下記の理由による。すなわち、平均粒径が前記範囲未満の小さな緩衝材粒子は、両歯面間に介在した際に、緩衝材として十分に機能できないため、ラトル音を低減する効果が得られない。一方、平均粒径が前記範囲を超える大きな緩衝材粒子は、潤滑剤組成物の流動に伴って流動しにくいため、前記緩衝材粒子が、互いに転がり接触によって噛み合う両歯車の歯面間に巻き込まれるのを抑制することができず、結果として、前記両歯面間に多数の緩衝材粒子が巻き込まれることによって摺動音が大きくなったり、減速機の回転トルク、ひいては電動パワーステアリング装置の操舵トルクが過剰に上昇したりする。
また、緩衝材粒子の含有割合が、潤滑剤組成物の総量の5質量%以上、50質量%以下に限定されるのは、下記の理由による。すなわち、含有割合が前記範囲未満では、緩衝材粒子による、緩衝材としての機能が十分に得られないため、ラトル音を低減する効果が得られない。一方、含有割合が前記範囲を超える場合には、潤滑剤組成物の、流動時の粘度が上昇するため、減速機の回転トルク、ひいては電動パワーステアリング装置の操舵トルクが過剰に上昇する。
さらに、潤滑剤組成物の全体のちょう度が、NLGI(National Lubricating Grease Institute)番号で表してNo.2ないしNo.000に限定されるのは、下記の理由による。すなわち、ちょう度がNo.2よりも硬い潤滑剤組成物は、外力を受けた際に流動を開始しにくく、両歯車の歯面間の間隔の拡縮に伴うポンプ作用によって両歯面間の隙間に吸入されにくいため、前記両歯面間に介在される緩衝材粒子の数が少なくなって、前記緩衝材粒子による、緩衝材としての機能が十分に得られず、ラトル音を低減する効果が得られない。
なお、潤滑剤組成物のちょう度はNo.2よりも軟らかければよく、NLGI番号による分類の最も軟らかいもの、つまりちょう度がNo.000の潤滑剤組成物まで本発明の範囲に含まれる。緩衝材粒子としては、小歯車と大歯車の噛み合い部分に介在して、両歯車の歯面間の衝突を緩衝することによって、ラトル音を減少させる機能を付与することを考慮すると、ゴム弾性を有する軟質樹脂、およびゴムからなる群より選ばれた少なくとも1種からなる粒子が好ましい。
本発明の減速機は、はすば歯車、平歯車等の、互いに転がり接触によって噛み合う小歯車と大歯車とを含み、前記両歯車の噛み合い部分を含む領域に、本発明の潤滑剤組成物を充填したものであるため、ラトル音、摺動音等の騒音が小さい上、電動パワーステアリング装置の操舵トルクを十分に低減できる点で好ましい。また、本発明の電動パワーステアリング装置は、操舵補助用の電動モータの出力を、前記減速機を介して減速して、操舵機構に伝えるものであるため、車室内での騒音を、コスト安価に低減できる点で好ましい。
本発明によれば、特に、互いに転がり接触によって噛み合う小歯車と大歯車とを備えた減速機に使用した際に、摺動音を増加させたり、減速機の回転トルク、および電動パワーステアリング装置の操舵トルクを過剰に上昇させたりすることなしに、ラトル音を効果的に低減することができる潤滑剤組成物と、それを用いた減速機および電動パワーステアリング装置を提供することができる。
〈潤滑剤組成物〉
本発明の潤滑剤組成物は、動粘度(40℃)が200mm2/S以上、10000mm2/S以下の基油と、増ちょう剤と、平均粒径が50μm以上、500μm以下の緩衝材粒子とを含み、前記緩衝材粒子の含有割合が5質量%以上、50質量%以下で、かつちょう度がNo.2ないしNo.000であることを特徴とするものである。前記本発明によれば、緩衝材粒子を、従来に比べて、潤滑剤組成物の流動に伴って流動しやすくできるため、特に、互いに転がり接触によって噛み合う小歯車と大歯車とを備えた減速機に使用した際に、摺動音を増加させたり、減速機の回転トルク、および電動パワーステアリング装置の操舵トルクを過剰に上昇させたりすることなしに、ラトル音を効果的に低減することが可能となる。
本発明の潤滑剤組成物は、動粘度(40℃)が200mm2/S以上、10000mm2/S以下の基油と、増ちょう剤と、平均粒径が50μm以上、500μm以下の緩衝材粒子とを含み、前記緩衝材粒子の含有割合が5質量%以上、50質量%以下で、かつちょう度がNo.2ないしNo.000であることを特徴とするものである。前記本発明によれば、緩衝材粒子を、従来に比べて、潤滑剤組成物の流動に伴って流動しやすくできるため、特に、互いに転がり接触によって噛み合う小歯車と大歯車とを備えた減速機に使用した際に、摺動音を増加させたり、減速機の回転トルク、および電動パワーステアリング装置の操舵トルクを過剰に上昇させたりすることなしに、ラトル音を効果的に低減することが可能となる。
本発明において、基油の動粘度(40℃)が200mm2/S以上、10000mm2/S以下の範囲に限定されるのは、下記の理由による。すなわち、動粘度が前記範囲未満では、緩衝材粒子を、潤滑剤組成物の流動に伴って流動しやすくする効果が得られないため、前記緩衝材粒子が、互いに転がり接触によって噛み合う両歯車の歯面間に巻き込まれるのを抑制することができず、結果として、前記両歯面間に多数の緩衝材粒子が巻き込まれることによって摺動音が大きくなったり、減速機の回転トルク、ひいては電動パワーステアリング装置の操舵トルクが過剰に上昇したりする。
一方、動粘度が前記範囲を超える場合には、潤滑剤組成物の、流動時の粘度が上昇するため、却って、減速機の回転トルク、ひいては電動パワーステアリング装置の操舵トルクが過剰に上昇する。なお、潤滑剤組成物の、流動時の粘度が上昇するのを抑制しながら、緩衝材粒子を、前記潤滑剤組成物の流動に伴って、より一層、流動しやすくすることを考慮すると、基油の動粘度(40℃)は、前記範囲内でも500mm2/S以上、3000mm2/S以下、特に1000mm2/S以上、2000mm2/S以下であるのが好ましい。また、本発明において、緩衝材粒子の平均粒径が50μm以上、500μm以下に限定されるのは、下記の理由による。
すなわち、平均粒径が前記範囲未満の小さな緩衝材粒子は、両歯面間に介在した際に、緩衝材として十分に機能できないため、ラトル音を低減する効果が得られない。一方、平均粒径が前記範囲を超える大きな緩衝材粒子は、潤滑剤組成物の流動に伴って流動しにくいため、前記緩衝材粒子が、互いに転がり接触によって噛み合う両歯車の歯面間に巻き込まれるのを抑制することができず、結果として、前記両歯面間に多数の緩衝材粒子が巻き込まれることによって摺動音が大きくなったり、減速機の回転トルク、ひいては電動パワーステアリング装置の操舵トルクが過剰に上昇したりする。
なお、緩衝材粒子による、緩衝材として機能させてラトル音を低減する効果と、潤滑剤組成物の流動に伴って流動しやすくして、前記緩衝材粒子が、互いに転がり接触によって噛み合う両歯車の歯面間に巻き込まれるのを抑制する効果とを、共に、より一層、向上することを考慮すると、緩衝材粒子の平均粒径は、前記範囲内でも50μm以上、300μm以下、特に100μm以上、200μm以下であるのが好ましい。なお、本発明では、緩衝材粒子の平均粒径を、レーザー回折・散乱法によって測定した粒度分布の体積平均径でもって表すこととする。また、本発明において、緩衝材粒子の含有割合が、潤滑剤組成物の総量の5質量%以上、50質量%以下に限定されるのは、下記の理由による。
すなわち、含有割合が前記範囲未満では、緩衝材粒子による、緩衝材としての機能が十分に得られないため、ラトル音を低減する効果が得られない。一方、含有割合が前記範囲を超える場合には、潤滑剤組成物の、流動時の粘度が上昇するため、却って、減速機の回転トルク、ひいては電動パワーステアリング装置の操舵トルクが過剰に上昇する。なお、減速機の回転トルク、および電動パワーステアリング装置の操舵トルクが過剰に上昇するのを抑制しながら、ラトル音を低減する効果をさらに向上することを考慮すると、緩衝材粒子の含有割合は、前記範囲内でも10質量%以上、40質量%以下、特に20質量%以上、30質量%以下であるのが好ましい。
さらに、本発明において、潤滑剤組成物の全体のちょう度が、NLGI番号で表してNo.2ないしNo.000に限定されるのは、下記の理由による。すなわち、ちょう度がNo.2よりも硬い潤滑剤組成物は、外力を受けた際に流動を開始しにくく、両歯車の歯面間の間隔の拡縮に伴うポンプ作用によって両歯面間の隙間に吸入されにくいため、前記両歯面間に介在される緩衝材粒子の数が少なくなって、前記緩衝材粒子による、緩衝材としての機能が十分に得られず、ラトル音を低減する効果が得られない。
なお、潤滑剤組成物のちょう度はNo.2よりも軟らかければよく、NLGI番号による分類の最も軟らかいもの、つまりちょう度がNo.000の潤滑剤組成物まで本発明の範囲に含まれる。ただし、潤滑剤組成物の過剰な流動を抑制して、その取扱性を向上すると共に、両歯車の噛み合い部分を含む領域の近傍に、長期間に亘って潤滑剤組成物を保持させることを考慮すると、潤滑剤組成物のちょう度は、前記範囲内でもNo.0ないしNo.00であるのが好ましい。
緩衝材粒子としては、小歯車と大歯車の噛み合い部分に介在して、両歯車の歯面間の衝突を緩衝することによって、ラトル音を減少させる機能を付与するために、ゴム弾性を有する種々の、軟質樹脂またはゴムからなる粒子が、いずれも使用可能である。前記緩衝材粒子のもとになる軟質樹脂としては、例えばポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。
また、ゴムとしては、例えばエチレン−プロピレン共重合ゴム(EPM)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム(EPDM)、シリコーンゴム、ウレタンゴム(U)等の耐油性のゴムが挙げられる。また、オレフィン系、ウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、フッ素系等の耐油性の熱可塑性エラストマーを用いて、緩衝材粒子を形成してもよい。中でも、繰り返し単位のもとになる出発原料として、ポリオールと、架橋剤と、ポリイソシアネートとを反応させて合成されるポリウレタン樹脂からなる緩衝材粒子が好ましい。
前記ポリウレタン樹脂からなる緩衝材粒子は、前記各成分の混合液を、前記各成分を溶解しない非水系の分散媒中に、液滴状に分散させた状態で反応させてポリウレタン樹脂を合成する、いわゆる分散重合法によって製造することができる。前記分散重合法によれば、分散媒中に分散した液滴の球状を維持しながら、なおかつ粒径の揃ったポリウレタン樹脂製の緩衝材粒子を、効率よく製造できるという利点がある。また、先に説明したように、前記各成分の種類と含有割合とを調整することによって、緩衝材粒子の弾性率や硬さ等を、任意の範囲で調整できるという利点もある。
前記分散重合法によって製造される緩衝材粒子の平均粒径を、先に説明した範囲内で調整するためには、分散条件等を変更することによって、分散媒中に分散される混合液の液滴の粒径を変化させればよい。緩衝材粒子の形状は、不定形粒状その他の形状であっても構わなが、潤滑剤組成物の流動性を向上することや、歯面間での転がり性を向上して、減速機の回転トルク、ひいては電動パワーステアリング装置の操舵トルクが上昇するのを抑制すること等を考慮すると、先に説明した球状であるのが好ましい。
また、緩衝材粒子を形成する軟質樹脂等の弾性率は、例えば潤滑剤組成物の使用温度の範囲内において10−1MPa以上、104MPa以下、特に5×10−1MPa以上、102MPa以下であるのが好ましい。弾性率が前記範囲未満では、小歯車と大歯車との噛み合いの衝撃を緩衝して、ラトル音を低減する効果が十分に得られず、車室内での騒音を、十分に低減できないおそれがある。基油としては、合成炭化水素油〔例えばポリαオレフィン油(PAO)〕が好ましいが、シリコーン油、フッ素油、エステル油、エーテル油等の合成油や鉱油等を用いることもできる。基油はそれぞれ単独で使用できる他、2種以上を併用しても良い。
増ちょう剤としては、石けん系増ちょう剤、ウレア系増ちょう剤、有機系増ちょう剤、無機系増ちょう剤等の、従来公知の種々の増ちょう剤が挙げられる。また、石けん系増ちょう剤としては、アルミニウム石けん、カルシウム石けん、リチウム石けん、ナトリウム石けん等の金属石けん型増ちょう剤、リチウム−カルシウム石けん、ナトリウム−カルシウム石けん等の混合石けん型増ちょう剤、アルミニウムコンプレックス、カルシウムコンプレックス、リチウムコンプレックスナトリウムコンプレックス等のコンプレックス型増ちょう剤等が挙げられ、特にリチウムステアレート等のリチウム石けんが好ましい。
また、ウレア系増ちょう剤としてはポリウレア等が挙げられ、有機系増ちょう剤としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ナトリウムテレフタラート等が挙げられる。さらに無機系増ちょう剤としては、有機ベントナイト、グラファイト、シリカゲル等が挙げられる。潤滑剤組成物には、必要に応じて、フッ素樹脂(PTFE等)、二硫化モリブデン、グラファイト、ポリオレフィン系ワックス(アマイド等を含む)等の固体潤滑剤、リン系や硫黄系の極圧添加剤、トリブチルフェノール、メチルフェノール等の酸化防止剤、防錆剤、金属不活性剤、粘度指数向上剤、油性剤等を添加してもよい。
潤滑剤組成物のちょう度を、先に説明した範囲内で調整するためには、例えば基油の粘度や緩衝材粒子の平均粒径、含有割合等を、前記範囲内で調整すると共に、増ちょう剤の種類と含有割合や、粘度指数向上剤、油性剤等の、ちょう度に係わる添加剤の種類と含有割合等を調整すればよい。
〈減速機および電動パワーステアリング装置〉
図1は、本発明の一実施形態にかかる電動パワーステアリング装置の模式的断面図である。図1を参照して、電動パワーステアリング装置1は、ステアリングホイール等の操舵部材2と一体回転可能に連結されたステアリングシャフト3と、前記ステアリングシャフト3に、自在継手4を介して連結された中間シャフト5と、前記中間シャフト5に、自在継手6を介して連結されたピニオンシャフト7と、前記ピニオンシャフト7に設けられたピニオン歯7aに噛み合うラック歯8aを有して自動車の左右方向に延びる転舵軸としてのラックバー8とを有している。ピニオンシャフト7およびラックバー8によりラックアンドピニオン機構からなる操舵機構9が構成されている。
〈減速機および電動パワーステアリング装置〉
図1は、本発明の一実施形態にかかる電動パワーステアリング装置の模式的断面図である。図1を参照して、電動パワーステアリング装置1は、ステアリングホイール等の操舵部材2と一体回転可能に連結されたステアリングシャフト3と、前記ステアリングシャフト3に、自在継手4を介して連結された中間シャフト5と、前記中間シャフト5に、自在継手6を介して連結されたピニオンシャフト7と、前記ピニオンシャフト7に設けられたピニオン歯7aに噛み合うラック歯8aを有して自動車の左右方向に延びる転舵軸としてのラックバー8とを有している。ピニオンシャフト7およびラックバー8によりラックアンドピニオン機構からなる操舵機構9が構成されている。
ラックバー8は、車体に固定されるラックハウジング10内に、図示しない複数の軸受を介して直線往復動自在に支持されている。ラックバー8の両端部は、ラックハウジング10の両側へ突出し、各端部には、それぞれタイロッド11が結合されている。各タイロッド11は、図示しないナックルアームを介して対応する操向輪12に連結されている。操舵部材2が操作されてステアリングシャフト3が回転されると、前記回転が、ピニオン歯7aおよびラック歯8aによって、自動車の左右方向に沿うラックバー8の直線運動に変換されて、操向輪12の転舵が達成される。
ステアリングシャフト3は、一端に操舵部材2が取り付けられた取付軸13と連結された入力軸3aと、ピニオンシャフト7に連なる出力軸3bとに分割されている。前記入力軸3aおよび出力軸3bは、トーションバー14を介して同一の軸線上で相対回転可能に互いに連結されている。入力軸3aの下端は、例えばメタルブッシュ等のすべり軸受15を介して出力軸3bによって回転可能に支持されている。トーションバー14の上端部、入力軸3aの上端部、および取付軸13の下端部が、例えば連結ピンからなる連結部材16によって一体回転可能に連結されている。またトーションバー14の下端部は、例えば連結ピンからなる連結部材17によって、出力軸3bと一体回転可能に連結されている。
電動モータ18の出力回転が、減速機19を介してピニオンシャフト7に伝達され、さらにラックバー8の直線運動に変換されて、操舵が補助される。電動モータ18の回転軸20は、ステアリングシャフト3と平行に配置されている。減速機19は、例えばはすば歯車、平歯車等の、互いに転がり接触によって噛み合う小歯車、および大歯車としての、電動モータ18の回転軸20と同軸上に設けられた駆動歯車21(小歯車)と、前記駆動歯車21に噛み合うと共にピニオンシャフト7に一体回転可能に連結される従動歯車22(大歯車)とを備えている。
駆動歯車21は、電動モータ18の回転軸20と継手23を介して同軸的に一体回転可能に連結された軸部材24の外周に一体に形成されている。減速機19を収容するギヤハウジング25は、筒状の第1のハウジング25aと筒状の第2のハウジング25bとを組み合わせて形成されている。第1のハウジング25aには、ステアリングコラムの一部を構成する第3のハウジング26が組み合わされているとともに、電動モータハウジング27が組み合わされている。駆動歯車21が一体に形成された軸部材24は、駆動歯車21を軸方向に挟んだ両側に配置された一対の転がり軸受28,29を介して回転可能に支持されている。
前記一対の転がり軸受28,29のうち、一方の転がり軸受28の外輪は、電動モータハウジング27により保持され、他方の転がり軸受28の外輪は、第2のハウジング25bによって保持されている。従動歯車22が一体回転可能に取り付けられた出力軸3bは、前記従動歯車22を挟んだ両側に配置された一対の転がり軸受30,31によって回転可能に支持されている。前記一対の転がり軸受30,31のうち、一方の転がり軸受30の外輪は、第1のハウジング25aによって保持され、他方の転がり軸受31の外輪は、第2のハウジング25bによって保持されている。前記転がり軸受28〜31には、それぞれ公知のシール軸受が用いられている。
トーションバー14を介する入出力軸3a,3b間の相対回転変位量により操舵トルクを検出するトルクセンサ32が設けられている。前記トルクセンサ32により検出された操舵トルクおよび図示しない車速センサにより検出された車速に基づいて、電動モータ18の出力トルクが調整され、これにより、アシストトルクが調整される。ギヤハウジング25内の、少なくとも両歯車21,22の噛み合い部分には、先に述べた本発明の潤滑剤組成物が充填されている。潤滑剤組成物は、噛み合い部分のみに充填してもよいし、噛み合い部分と少なくとも一方の歯車の周縁全体に充填してもよい。また、ギヤハウジング25内の全体に充填してもよい。
これにより、摺動音を増加させたり、減速機の回転トルク、および電動パワーステアリング装置の操舵トルクを過剰に上昇させたりすることなしに、ラトル音を効果的に低減することができる。なお、本発明は、以上で説明した実施の形態に限定されるものではない。例えば、本発明の潤滑剤組成物は、互いに転がり接触によって噛み合う2以上の歯車を備えた、減速機以外の種々の動力伝達部品の潤滑に使用することもできる。また、本発明の減速機の構成を、電動パワーステアリング装置以外の装置のための減速機に適用することもできる等、本発明の特許請求の範囲に記載された事項の範囲内で、種々の変更を施すことができる。
〈実施例1〉
(緩衝材粒子)
緩衝材粒子としては、ポリウレタン樹脂を構成する繰り返し単位のもとになる出発原料としてのポリオールと、架橋剤と、ポリイソシアネートとを、前記各成分を溶解しない非水系の分散媒中に、液滴状に分散させた状態で反応させてポリウレタン樹脂を合成する分散重合法によって製造した、前記ポリウレタン樹脂からなる球状の粒子を用意した。レーザー回折・散乱法を利用した粒度分布測定装置〔日機装(株)製の登録商標マイクロトラック〕を用いて測定した、前記緩衝材粒子の平均粒径(体積平均径)は150μmであった。また、下記の方法で測定された、緩衝材粒子の25℃での弾性率は12MPaであった。
(緩衝材粒子)
緩衝材粒子としては、ポリウレタン樹脂を構成する繰り返し単位のもとになる出発原料としてのポリオールと、架橋剤と、ポリイソシアネートとを、前記各成分を溶解しない非水系の分散媒中に、液滴状に分散させた状態で反応させてポリウレタン樹脂を合成する分散重合法によって製造した、前記ポリウレタン樹脂からなる球状の粒子を用意した。レーザー回折・散乱法を利用した粒度分布測定装置〔日機装(株)製の登録商標マイクロトラック〕を用いて測定した、前記緩衝材粒子の平均粒径(体積平均径)は150μmであった。また、下記の方法で測定された、緩衝材粒子の25℃での弾性率は12MPaであった。
(弾性率の測定)
図2に示すように、製造した緩衝材粒子101を、平面状とされた石英製のベース102上に載置し、その上から、先端面が平面状とされた石英製の検出棒103の、前記先端面を、緩衝材粒子101に当接させた状態で、前記緩衝材粒子101を、検出棒103によって、一定の荷重Fを加えて、ベース102の方向に圧縮した際の、前記ベース102の表面と、検出棒103の先端面との間の間隔Gを測定し、測定結果から、式(1):
図2に示すように、製造した緩衝材粒子101を、平面状とされた石英製のベース102上に載置し、その上から、先端面が平面状とされた石英製の検出棒103の、前記先端面を、緩衝材粒子101に当接させた状態で、前記緩衝材粒子101を、検出棒103によって、一定の荷重Fを加えて、ベース102の方向に圧縮した際の、前記ベース102の表面と、検出棒103の先端面との間の間隔Gを測定し、測定結果から、式(1):
〔式中、Rは緩衝材粒子101の圧縮前の半径、Sは、緩衝材粒子101の半径Rと、前記間隔Gとから、式(2):
によって求められる、緩衝材粒子101の圧縮変形量、Eは緩衝材粒子101の弾性率、νはポアソン比(=0.49)を示す。〕
に基づいて、緩衝材粒子101の弾性率Eを求める操作を実施(測定温度25℃)して、前記測定温度における、緩衝材粒子101の弾性Eを求めた。
(グリースの調製)
基油としての、動粘度(40℃)が1000mm2/sである合成炭化水素油と、リチウムステアレート系増ちょう剤とを、3本ロールミルを用いて混合しながら、さらに同じ基油と、先に用意した緩衝材粒子とを加えて混合して、潤滑剤組成物としての、緩衝材粒子の含有割合が30質量%、ちょう度がNLGI番号で表してNo.00であるグリースを調製した。
に基づいて、緩衝材粒子101の弾性率Eを求める操作を実施(測定温度25℃)して、前記測定温度における、緩衝材粒子101の弾性Eを求めた。
(グリースの調製)
基油としての、動粘度(40℃)が1000mm2/sである合成炭化水素油と、リチウムステアレート系増ちょう剤とを、3本ロールミルを用いて混合しながら、さらに同じ基油と、先に用意した緩衝材粒子とを加えて混合して、潤滑剤組成物としての、緩衝材粒子の含有割合が30質量%、ちょう度がNLGI番号で表してNo.00であるグリースを調製した。
〈実施例2、3、比較例1、2〉
基油として、動粘度(40℃)が30mm2/sである合成炭化水素油(比較例1)、100mm2/sである合成炭化水素油(比較例2)、200mm2/sである合成炭化水素油(実施例2)、または10000mm2/sである合成炭化水素油(実施例3)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、潤滑剤組成物としての、緩衝材粒子の含有割合が30質量%、ちょう度がNLGI番号で表してNo.00であるグリースを調製した。
基油として、動粘度(40℃)が30mm2/sである合成炭化水素油(比較例1)、100mm2/sである合成炭化水素油(比較例2)、200mm2/sである合成炭化水素油(実施例2)、または10000mm2/sである合成炭化水素油(実施例3)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、潤滑剤組成物としての、緩衝材粒子の含有割合が30質量%、ちょう度がNLGI番号で表してNo.00であるグリースを調製した。
〈実施例4、5〉
緩衝材粒子として、分散重合法によって製造した、平均粒径(体積平均径)が50μm(実施例4)、または300μm(実施例5)である、ポリウレタン樹脂からなる球状の粒子を用いたこと以外は実施例1と同様にして、潤滑剤組成物としての、緩衝材粒子の含有割合が30質量%、ちょう度がNLGI番号で表してNo.00であるグリースを調製した。なお、緩衝材粒子の25℃での弾性率は、いずれも12MPaであった。
緩衝材粒子として、分散重合法によって製造した、平均粒径(体積平均径)が50μm(実施例4)、または300μm(実施例5)である、ポリウレタン樹脂からなる球状の粒子を用いたこと以外は実施例1と同様にして、潤滑剤組成物としての、緩衝材粒子の含有割合が30質量%、ちょう度がNLGI番号で表してNo.00であるグリースを調製した。なお、緩衝材粒子の25℃での弾性率は、いずれも12MPaであった。
〈実施例6、7〉
潤滑剤組成物における、緩衝材粒子の含有割合を5質量部(実施例6)、または50質量部(実施例7)としたこと以外は実施例1と同様にして、潤滑剤組成物としての、ちょう度がNLGI番号で表してNo.00であるグリースを調製した。
〈実施例8、9〉
リチウムステアレート系増ちょう剤の含有割合を調整して、そのちょう度を、NLGI番号で表してNo.2(実施例8)、またはNo.000(実施例9)としたこと以外は実施例1と同様にして、潤滑剤組成物としてのグリースを調製した。
潤滑剤組成物における、緩衝材粒子の含有割合を5質量部(実施例6)、または50質量部(実施例7)としたこと以外は実施例1と同様にして、潤滑剤組成物としての、ちょう度がNLGI番号で表してNo.00であるグリースを調製した。
〈実施例8、9〉
リチウムステアレート系増ちょう剤の含有割合を調整して、そのちょう度を、NLGI番号で表してNo.2(実施例8)、またはNo.000(実施例9)としたこと以外は実施例1と同様にして、潤滑剤組成物としてのグリースを調製した。
〈実機試験〉
実施例1ないし9、比較例1、2で調製したグリースを、図1に示す電動パワーステアリング装置1の減速機19に充填して、ラトル音[dB(A)]、摺動音[dB(A)]、および操舵トルク(N・m)を測定した。なお、小歯車としての駆動歯車21、および大歯車としての従動歯車22としては、共に鉄系の金属製のはすば歯車を用いた。そして、各測定値について、下記の基準で評価を行った。
実施例1ないし9、比較例1、2で調製したグリースを、図1に示す電動パワーステアリング装置1の減速機19に充填して、ラトル音[dB(A)]、摺動音[dB(A)]、および操舵トルク(N・m)を測定した。なお、小歯車としての駆動歯車21、および大歯車としての従動歯車22としては、共に鉄系の金属製のはすば歯車を用いた。そして、各測定値について、下記の基準で評価を行った。
(ラトル音)
◎:測定値が46dB(A)以下であった。ラトル音の低減効果きわめて良好。
○:測定値が46dB(A)を超え、47dB(A)以下であった。ラトル音の低減効果良好。
×:測定値が47dB(A)を超えていた。ラトル音の低減効果不良。
◎:測定値が46dB(A)以下であった。ラトル音の低減効果きわめて良好。
○:測定値が46dB(A)を超え、47dB(A)以下であった。ラトル音の低減効果良好。
×:測定値が47dB(A)を超えていた。ラトル音の低減効果不良。
(摺動音)
◎:測定値が46dB(A)以下であった。摺動音の低減効果きわめて良好。
○:測定値が46dB(A)を超え、47dB(A)以下であった。摺動音の低減効果良好。
×:測定値が47dB(A)を超えていた。摺動音の低減効果不良。
◎:測定値が46dB(A)以下であった。摺動音の低減効果きわめて良好。
○:測定値が46dB(A)を超え、47dB(A)以下であった。摺動音の低減効果良好。
×:測定値が47dB(A)を超えていた。摺動音の低減効果不良。
(操舵トルク)
◎:操舵トルクが0.9N・m以下であった。操舵トルクの抑制効果きわめて良好。
○:操舵トルクが0.9N・mを超え、1.0N・m以下であった。操舵トルクの抑制効果良好。
×:操舵トルクが1.0N・mを超えていた。操舵トルクが上昇した。
◎:操舵トルクが0.9N・m以下であった。操舵トルクの抑制効果きわめて良好。
○:操舵トルクが0.9N・mを超え、1.0N・m以下であった。操舵トルクの抑制効果良好。
×:操舵トルクが1.0N・mを超えていた。操舵トルクが上昇した。
結果を表1に示す。
表1より、基油の動粘度(40℃)が200mm2/S以上、10000mm2/S以下、緩衝材粒子の平均粒径(体積平均径)が50μm以上、500μm以下、含有割合が5質量%以上、50質量%以下で、かつ潤滑剤組成物のちょう度がNo.2ないしNo.000であるとき、摺動音を増加させたり、減速機の回転トルク、および電動パワーステアリング装置の操舵トルクを過剰に上昇させたりすることなしに、ラトル音を効果的に低減できることが判った。また、各実施例を比較すると、基油の動粘度(40℃)は1000mm2/S以上、2000mm2/S以下であるのが好ましいこと、緩衝材粒子の平均粒径(体積平均径)は100μm以上、200μm以下であるのが好ましいこと、その含有割合は20質量%以上、30質量%以下であるのが好ましいこと、そして潤滑剤組成物のちょう度がNo.0ないしNo.00であるのが好ましいことが判った。
1・・・電動パワーステアリング装置、9・・・操舵機構、18・・・電動モータ、19・・・減速機、21・・・駆動歯車(小歯車)、22・・・従動歯車(大歯車)
Claims (5)
- 動粘度(40℃)が200mm2/S以上、10000mm2/S以下の基油と、増ちょう剤と、平均粒径が50μm以上、500μm以下の緩衝材粒子とを含み、前記緩衝材粒子の含有割合が5質量%以上、50質量%以下で、かつちょう度がNo.2ないしNo.000であることを特徴とする潤滑剤組成物。
- 緩衝材粒子が、軟質樹脂、およびゴムからなる群より選ばれた少なくとも1種からなる粒子である請求項1に記載の潤滑剤組成物。
- 互いに転がり接触によって噛み合う小歯車と大歯車とを含み、前記両歯車の噛み合い部分を含む領域に、請求項1または2に記載の潤滑剤組成物を充填したことを特徴とする減速機。
- 小歯車および大歯車が、はすば歯車、または平歯車である請求項3に記載の減速機。
- 操舵補助用の電動モータの出力を、請求項3または4に記載の減速機を介して減速して、操舵機構に伝えることを特徴とする電動パワーステアリング装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007283801A JP2009108253A (ja) | 2007-10-31 | 2007-10-31 | 潤滑剤組成物とそれを用いた減速機および電動パワーステアリング装置 |
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ID=40777090
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JP (1) | JP2009108253A (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN110960076A (zh) * | 2018-09-28 | 2020-04-07 | 佛山市顺德区美的电热电器制造有限公司 | 烹饪器具和用于烹饪器具的锅盖 |
-
2007
- 2007-10-31 JP JP2007283801A patent/JP2009108253A/ja active Pending
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CN110960076A (zh) * | 2018-09-28 | 2020-04-07 | 佛山市顺德区美的电热电器制造有限公司 | 烹饪器具和用于烹饪器具的锅盖 |
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