JP4406013B2 - 細胞の接着・伸展を促進するペプチド、その断片及びその誘導体 - Google Patents

細胞の接着・伸展を促進するペプチド、その断片及びその誘導体 Download PDF

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Description

本発明は、人間ラミニン5 α3鎖のLG3ドメインにおける、細胞接着及び伸展を媒介する、インテグリンα3β1依存性ペプチド、その断片及び誘導体に関する。
ラミニンは、基底膜に主に存在する細胞外基質蛋白質の一種であって、細胞表面の特定のインテグリンまたは他の受容体との相互作用を通じて、接着、移動性、成長、分化、傷の治癒、及び腫瘍の浸透のような多様な細胞性機能を調節する(Timpl, R., Curr. Opin. Cell Biol. 8:618, 1996; Howe, A.ら, Curr. Opin. Cell Biol., 10:220, 1998;Colognato, H. and Yurchenco, P. D., Dev. Dyn., 218:213, 2000)。ラミニンは、α、β及びγ鎖の3個の異なる小単位で構成されているので、これらは、二硫化結合により互いに連結される交差した構造を形成する(Ekblom, M. ら, Ann. N. Y. Acad. Sci., 857:194, 1998)。これまで、5α、3β及び3γ鎖が発見されたが、これらの小単位の多様な組み合わせによって、少なくとも15個の同型体(ラミニン1ないし15)が形成されるということが報告された(Colognato, H. and Yurchenco, P. D., Dev. Dyn., 218:213, 2000;Burgeson, R. E. ら, Matrix Biol., 14:209, 1994; Miner, J. H. ら, J. Cell Biol., 137:685, 1997)。これらのラミニン同形体のうち、α3、β3及びγ2鎖で構成されたラミニン5は、独特の構造及び生物学的な活性を有する。ラミニン5は、本来、角化細胞由来の基質蛋白質として同定されたが(Carter, W. G. ら, Cell, 65:599, 1991)、他のラミニン同形体とは違って、3個の小単位のN末端部位内で発見されるいくつかのドメインが欠失されている(Aumailley, M. and Rousselle, P., Matrix Biol., 18:19, 1999)。ラミニン5前駆体(460kDa)は、角化細胞内でプロセシングされるが、前記前駆体は、分泌されつつα3鎖(200kDa)及びγ2鎖(155kDa)が分解されて、それぞれ165kDa及び105kDaの蛋白質に転換される(Marinkovich, M. P.ら, J. Biol. Chem., 267:17900, 1992;Rousselle, P.ら, J. Cell Biol., 114:567, 1991)。
ラミニン5は、結合組織に対する上皮細胞の安定した接着を調節し(Marinkovich, M. P. ら, J. Biol. Chem., 267:17900, 1992;Rousselle, P. ら, J. Cell Biol., 114:567, 1991; Niessen, C. M.ら, Exp. Cell. Res., 211:360, 1994)、インテグリンα3β1及びα6β4のような細胞表面の受容体と相互作用して細胞の行動に影響を及ぼす(Carter, W. G.ら, Cell, 65:599, 1991; Rousselle, P.ら, J. Cell Biol. , 114:567, 1991; Niessen, C. M.ら, Exp. Cell. Res. , 211:360, 1994; Rousselle, P. and Aumailley, M. , J. Cell Biol. , 125:205, 1994)。正常な人間角化細胞から発現されたインテグリンのうちインテグリンα3β1は、アクチン含有のストレス繊維と関連している病巣接着の形成に関与し、角化細胞の移動性を媒介する(DiPersio, C. M.ら, J. Cell Sci. , 108:2321, 1995; Zhang, K. and Kramer, R. H. , Exp. Cell. Res. , 227:309, 1996)。インテグリンα6β4は、上皮細胞の半接着斑の構造を形成し、癌腫細胞の浸透だけでなく、上皮細胞の接着・移動及び傷の治癒を媒介する(Niessen, C. M.ら, Exp. Cell. Res. , 211:360, 1994; Mercurio, A. M.ら, Curr. Opin. Cell Biol. , 13:541, 2001)。ラミニン5またはインテグリンα6β4の突然変異は、上皮と真皮との接合の破裂と特定される致死性先天性表皮水疱症(Herlitz-type junctional epidermolysis bullosa : 全身の表皮が剥離する致死性の症状)を発生させる(Aberdam, D.ら, Nat. Genet. , 6:299, 1994; Korge, B. P. and Krieg, T. , J. Mol. Med. , 74:59, 1996)。
ラミニン5の他に、ラミニンα3鎖が、ラミニン6(α3β1γ1)、ラミニン7(α3β2γ1)及びラミニン13(α3β2γ3)で発見されるが、ラミニンβ3及びγ2鎖は、ひたすらラミニン5のみで発見される。ラミニンα3鎖は、約200個のアミノ酸残基からなる5個の球形モジュールLG1ないしLG5から構成されたC末端球形ドメインを含む(Talts, J. F.ら, FEBS Lett. , 426:71, 1998; Timple, R.ら, Matrix Biol. , 19:309, 2000)。多様なラミニン同型体を利用した遺伝子地図の研究を通じて、ラミニンα鎖の球形ドメインに対するインテグリン依存性細胞の接着位置が糾明された(Baker, S. E.ら, J. Cell Sci. , 109:2509, 1996; Hirosaki, T.ら, J. Biol. Chem. , 275:22495, 2000)。α3鎖内のC末端LG3ドメインは、ラミニン5の独特の活性に必須である。ラットで組み換えLG3(rLG3)ドメイン、及び人間でLGドメインが連続的に欠失された組み換えラミニン5蛋白質は、インテグリンα3β1との相互作用により細胞の接着及び移動の促進に寄与する(Hirosaki, T.ら, J. Biol. Chem. , 275:22495, 2000; Shang, M.ら, J. Biol. Chem. , 276:33045, 2000)。人間ラミニンα3鎖の組み換えLG蛋白質についての研究を通じて、LG2ドメインがインテグリンα3β1の結合部位を含んでおり、LG4及びLG5ドメインは、ヘパリン硫酸プロテオグリカンと弱く相互作用するということが明らかになった(Mizushima, H.ら, Cell Growth Differ. , 8:979, 1997)。また、ラミニンα3鎖のLG4−LG5断片は、それ自体では活性を表さず、成熟したラミニン5の存在下では細胞の移動を促進させたが、これは、これらの断片が細胞の移動を調節できるということを暗示する(Tsubota, Y.ら, Biochem. Biophys. Res. Commun. , 278:614, 2000)。しかし、組み換え球形ドメインの断片を使用して、インテグリン依存性細胞の接着に直接的に関与する人間ラミニンα3鎖LGドメインを糾明した報告はいまだにない。
一方、ラミニンの一次的な接着部位は、ラミニンα鎖のC末端LGドメイン領域内に位置すると認識されている。ラミニンα鎖の多様なLGドメインは、細胞の接着及び移動を媒介し、ヘパリン、αジストログリカン、シンデカン及びインテグリンに結合すると知られている(Howe, A.ら, Curr. Opin. Cell Biol. , 10:220, 1998)。人間ラミニン5 α3鎖のLG3ドメインが、たとえラミニン5による細胞の接着及び移動性の強力な促進のために必須であるものとして提示されたとしても(Hirosaki, T.ら, J. Biol. Chem. , 275:22495, 2000)、LG3ドメイン内の生物学的な機能及びインテグリン結合のための活性部位の側面での追加的な報告はない。
これにより、本発明者らは、人間ラミニン5 α3 LGドメインの機能を糾明し、生物学的な活性における核心配列を決定するために、モノマーの水溶性融合蛋白質の形態で発現される組み換え人間ラミニン5 α3 LGドメイン、及びこれらのうち、LG3ドメイン由来の合成ペプチドを製造して、これらの細胞の接着伸展の活性を調べた。その結果、本発明者らは、人間ラミニン5 α3 LG3ドメインが、インテグリンα3β1に対するリガンドとして作用して細胞の接着伸展の活性を促進させ、前記LG3ドメイン内の配列番号:1と記載されるPPFLMLLKGSTRモチーフ(1312〜1323残基)、その断片及び誘導体が、インテグリンα3β1結合の活性部位として細胞の接着伸展の活性に重要であり、ベスキチンW不織布を利用した細胞接着活性度が非常に高く表われて、創傷の治療や組織の再生に効果的に使用され得るということを確認することによって本発明を完成するに至った。
本発明の目的は、細胞の接着伸展及びインテグリンの結合を媒介する人間ラミニン5 α3鎖内の活性ドメインを糾明し、前記ドメインでインテグリンに特異的に結合して、細胞の接着伸展の活性を促進させる必須なモチーフとして作用するペプチド、その断片及び誘導体、並びにその用途を提供することである。
前記目的を達成するために、本発明は、細胞の接着伸展を媒介し、細胞の接着伸展に必須なモチーフとして作用する配列番号:1のアミノ酸配列を有するペプチド、その断片または誘導体を提供する。
また、本発明は、細胞の接着伸展を促進する配列番号:13のアミノ酸配列を有するペプチド(rLG−His)またはその誘導体を提供する。
ラミニン5 α3鎖ドメイン及びこれらの組み換え蛋白質の模式図である。 His6標識の融合蛋白質として発現されたラミニン5 α3鎖ドメインの組み換えLG蛋白質(rLG1〜rLG5)の模式図である。 SDS−PAGEで人間ラミニン5 α3鎖ドメインの組み換えLG蛋白質を精製した結果である。 人間ラミニン5 α3鎖ドメインの組み換えLG蛋白質の細胞接着活性を人間胎盤ラミニン(LN)と比較したものを示す結果である。 前記組み換えLG蛋白質の濃度が細胞接着活性に及ぼす影響を調べた結果を示す結果である。 HOK−16B細胞で前記組み換えLG蛋白質の細胞接着活性及び接着された細胞の数を測定した結果を示す結果である。 HOK−16B細胞で前記組み換えLG蛋白質の細胞伸展活性を測定した結果を示す結果である。 人間、ラット、マウス及び犬のラミニンα3鎖のLG3ドメインの一部のアミノ酸配列を比較して、合成ペプチドのアミノ酸配列を示す図面である。 人間ラミニン5 α3鎖のLG3ドメイン由来の合成ペプチド(P1〜P5)の濃度変化による細胞接着活性を測定した結果である。 HOK−16B細胞で前記合成ペプチドの細胞接着活性及び接着された細胞の数を測定した結果を示す結果である。 HOK−16B細胞で前記合成ペプチドの細胞伸展活性を測定した結果を示す結果である。 HOK−16B細胞に、前記合成ペプチドの前処理が人間ラミニン5 α3鎖の組み換えLG3蛋白質に対するHOK−16B細胞接着の抑剤に及ぼす影響を調べた結果を示す。 HOK−16B細胞に対するインテグリン小単位の流式細胞の分析結果を示す図面である。 人間ラミニン5 α3鎖の組み換えLG3蛋白質による細胞接着活性が、インテグリンα3β1に対する抗体により抑制されることを示す結果である。 人間ラミニン5 α3鎖のLG3ドメイン由来の合成ペプチドP4による細胞接着活性が、インテグリンα3β1に対する抗体により抑制されることを示す結果である。 人間ラミニン5 α3鎖のLG3ドメイン由来の合成ペプチドP4のC末端の切断ペプチド(P4 D−I〜P4 D−V)及びN末端の切断ペプチド(P4 D−N1〜P4 D−N6)のアミノ酸配列を示す図面である。 コントロールBSA(ウシ血清アルブミン)及びC末端の切断ペプチド(P4 D−I,P4D-III及びP4 D−V)の細胞接着活性を示すグラフである。 コントロールBSA(ウシ血清アルブミン)、C末端の切断ペプチド(P4 D−I,P4D-III及びP4 D−V)及びN末端の切断ペプチド(P4D−N2,P4D-N4及びP4D−N6)に接着された細胞の数を示すグラフである。 コントロールBSA(ウシ血清アルブミン)、C末端の切断ペプチド(P4 D−I,P4D-III及びP4 D−V)及びN末端の切断ペプチド(P4D−N2,P4D-N4及びP4D−N6)の細胞伸展活性を示すグラフである。 ペプチドP4のAlaに置換されたペプチド(P4−S1〜P4S−3)のアミノ酸配列を示す結果である。 前記Alaに置換されたペプチドの細胞接着活性及び伸展活性を示すグラフである。 前記Alaに置換されたペプチドの細胞接着活性及び伸展活性を示すグラフである。 ラミニンがFAKのチロシン−397燐酸化に及ぼす影響を免疫ブロット分析で調べた結果を示す。 人間ラミニン5 α3組み換えLG3蛋白質が、FAKの多様な位置のチロシン燐酸化に及ぼす影響を免疫ブロット分析で調べた結果を示す図面である。 人間ラミニン5 α3 LG3ドメイン由来の合成ペプチドが、FAKの多様な位置のチロシン燐酸化に及ぼす影響を免疫ブロット分析で調べた結果を示す図面である。 ペプチドP4のAlaに置換されたペプチド(P4−S1〜P4S−3)が、FAKの−397、−577位置のチロシン燐酸化に及ぼす影響を免疫ブロット分析で調べた結果を示す図面である。 ポリスチレン(PS)、BSA(牛血清アルブミン)及び合成ペプチドP4を24ウェルプレートにコーティングし、NHEK(人間常皮膚角化細胞)の細胞増殖による細胞数の増加を示すグラフである。 PS、BSA及び合成ペプチドP4を24ウェルプレートにコーティングし、NHEF(皮膚線維芽細胞)の細胞増殖による細胞数の増加を示すグラフである。 ペプチドP4によるNHEK及びNHEFの細胞接着活性度を多様な対照群と比較した結果である。 ペプチドP4によるNHEK及びNHEFの接着された細胞の数を多様な対照群と比較した結果である。 ペプチドP4によるNHEK及びNHEFの伸展された細胞の比率を多様な対照群と比較した結果である。PS:ポリスチレン、Beschitin W only:ベスキチンW超極細繊維、BSA:への牛血清アルブミンで処理されたベスキチンW超極細繊維、P1:コントロールとしてペプチドP1で処理されたベスキチンW超極細繊維、P4:機能性ペプチドP4で処理されたベスキチンW超極細繊維 ペプチドP4の細胞接着活性度及び伸展活性度を確認するための動物実験の結果であって、ラット皮膚の傷が治療される過程を3日目及び7日目に顕微鏡で確認した写真(H&E、X100)である。 ペプチドP4の細胞接着活性度及び伸展活性度を確認するための動物実験の結果であって、ラット皮膚の傷が治療される過程を3日目及び7日目に顕微鏡で確認した写真(H&E、X200)である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明では、細胞の接着伸展及びインテグリン結合を媒介する人間ラミニン5 α3鎖内の活性ドメインを糾明するために、5個の独立的に発現される組み換えLG蛋白質(rLG1〜rLG5)を製造した。
本発明によって製造された組み換えLG蛋白質のうちrLG1は、配列番号:2の人間ラミニンα3鎖のアミノ酸配列で782〜978残基を含み、rLG2は959〜1148残基を、rLG3は1128〜1364残基を、rLG4は1352〜1555残基を、rLG5は1522〜1713残基をそれぞれ含む。また、前記組み換えLG蛋白質は、精製を容易にするために、選別標識としてC末端に6個のヒスチジン標識が結合された融合蛋白質の形態で発現される(図1A及び図1Bを参照)。
それぞれのLGドメインをコード化する塩基配列及び選別標識をコード化する塩基配列を含むcDNA断片を製造した後、該cDNA断片が挿入された発現ベクターを製造し、この発現ベクターを大腸菌に形質転換させて得た形質転換体で組み換え蛋白質を発現させた後、発現された蛋白質を選別標識を利用してrLG1ないしrLG5を精製した(図1Cを参照)。
前記大腸菌形質転換体から分離・精製されたrLG1ないしrLG5の細胞の接着伸展の活性を調べた結果、5個のrLG蛋白質のうちrLG3のみが細胞接着の活性を表したが(図2Aないし図2Cを参照)、rLG3によるHOK−16B細胞の接着は、25μg/mlのコーティング濃度で最大の接着活性を表し、これは、濃度依存的な様相を表した。また、rLG3−コーティングプレートで、HOK−16B細胞のうち47%が、伸展される細胞の形態学的な特徴である糸状仮足(filopodia)及び葉状仮足(lamellipodia)の類似膨脹を有する平らで、多角形の形状をした(図2Dを参照)。このような結果は、rLG3蛋白質が細胞の接着伸展を促進して、その親分子であるラミニン5と類似した機能的特徴を表すということを提示する。また、LG3ドメイン媒介性細胞の接着伸展は、インテグリンα3β1により媒介されたが、これは、インテグリンα3β1が人間角化細胞内のラミニンに対する一次的な受容体であり、ラミニンが角化細胞の接着伸展の活性に重要なリガンドであるということを提示する。
細胞の接着伸展を媒介するラミニン5 α3 LG3ドメインで、細胞の接着を活性させるのに必須なアミノ酸残基を糾明するために、LG3ドメイン由来のアミノ酸残基1293〜1332部位内で5個の重なった12−merペプチド(P1〜P5)を合成した(図3を参照)。前記のように合成されたペプチドのうちP1は、配列番号:2のアミノ酸配列で1293〜1304残基を、P2は、1297〜1308残基を、P3は、1305〜1316残基を、P4は、1312〜1323残基を、P5は、1321〜1332残基に該当するアミノ酸配列を有する。前記のように合成されたペプチドの細胞の接着伸展の活性を調べた結果、配列番号:1と記載されるPPFLMLLKGSTR配列を有するペプチドP4が、rLG3と同様に、濃度依存的な様相で強い細胞の接着伸展の活性を表した(図4Aないし図4Cを参照)。
前記でペプチドP4の細胞伸展活性がrLG3とほぼ類似していることを確認した本発明者らは、LG3ドメインの細胞接着の活性にペプチドP4が競争的に作用するかを調べた。その結果、ペプチドP4は、51%程度rLG3に対する細胞接着を抑制したが、他のペプチドは、いずれも30分間100μg/mlのペプチドで前培養されたHOK−16B細胞で細胞接着の活性が低下しなかった(図4Dを参照)。これは、ペプチドP4の配列が、天然ラミニン5 α3鎖のLG3ドメインの細胞結合の部位として作用するということを表す。
また、細胞の接着伸展の活性を表す本発明のrLG3蛋白質及びペプチドP4は、インテグリンα3及びβ1の小単位に対する抗体により特異的に抑制されたが(図5B及び図5Cを参照)、これは、インテグリンα3β1が、HOK−16B細胞でrLG3及びペプチドP4の全ての特異的な機能的受容体として作用するということ表す。
強力な細胞の接着伸展の活性を促進させ、インテグリンα3β1に結合するということが確認された配列番号:1のペプチドP4の生物学的活性の核心配列を決定するために、ペプチドP4からC末端が切断された5個の合成ペプチド(P4 D−I〜P4 D−V)、及びN末端が切断された6個の合成ペプチド(P4 D−N1〜P4 D−N6)を製造した(図6Aを参照)。前記C末端が切断されたペプチド及びN末端が切断されたペプチドの細胞の接着伸展の活性を調べた結果、ペプチドP4でC末端アルギニン(Arg)が欠失されたペプチドP4 D−Iが、ペプチドP4の対照群に比べて著しく低い細胞の接着伸展の活性を示し(図6Bないし図6Dを参照)、ペプチドP4で二つのN末端プロリン(Pro)が何れも欠失されたペプチドP4 D−N2が、ペプチドP4対照群に比べて著しく低い細胞の接着伸展の活性を示した(図6Cないし図6Dを参照)。
したがって、ペプチドP4内のC末端Argの欠失及び二つのN末端Proの欠失が細胞の接着伸展の活性を著しく低下させるということが確認された。しかし、ペプチドP4で二つのN末端Proのうち一つのみが欠失されたP4 D−N1は、細胞の接着伸展の活性に大きな変化がなく、これを通じてペプチドP4で二つのN末端のProのうち一つが欠失されたP4ペプチド断片も、細胞の接着伸展を促進するペプチドとして効果的であるということが分かった。
これにより、本発明者らは、配列番号:1のペプチドP4配列で、塩基性アミノ酸であるArg及びリシン(Lys)の役割を糾明するために、第1319のLys及び第1323のArgのそれぞれ、またはいずれもアラニン(Ala)に置換された合成ペプチド(P4−S1〜P4−S3)を製造し(図7Aを参照)、これら細胞の接着伸展の活性を調べた。その結果、ペプチドP4対照群に比べて、ArgがAlaに置換されたP4−S2と、Lys及びArgが全てAlaに置換されたP4−S3との場合、細胞の接着伸展の活性が著しく低下した。しかし、LysのみがAlaに置換されたP4−S1の細胞の接着伸展の活性に特別な影響を及ぼさなかった(図7B及び図7Cを参照)。したがって、ペプチドP4で塩基性残基であるArgが細胞接着活性に非常に重要であるということが分かる。前記結果は、ラミニン5 α3鎖のLG3ドメイン内のPPFLMLLKGSTR配列(1312〜1323残基)が、細胞の伸展接着及びインテグリンα3β1の結合を担当する活性モチーフであるということを表す。
一方、rLG3またはペプチドP4により媒介される信号機構を調べるために、rLG3またはペプチドP4上に塗布されたHOK−16B細胞でFAKの燐酸化程度を調べた結果、ラミニンコーティングされたプレートでのFAK燐酸化の程度が、ラミニンでコーティングされていないプレートに塗布されるか、または浮遊液の状態で保管されたHOK−16B細胞でのFAK燐酸化より著しく高かった(図8Aを参照)。また、ラミニン、rLG3またはペプチドP1ないしP5でコーティングされたプレートで、Tyr−397、−407、−576、−577、及び−861位置のFAK燐酸化の程度を調べた結果、ラミニンまたはrLG3でコーティングされたプレートで培養された細胞のTyr−397 FAK燐酸化の程度が、未処理対照群に比べてそれぞれ16. 2及び8. 2倍向上した(図8Bを参照)。
また、ペプチドP4による人間の正常皮膚角化細胞(Normal Human Epidermal Keratinocytes:NHEK)及び皮膚線維芽細胞(NHEF)の細胞増殖による細胞数の増加は、特に、NHEKで優秀であり(図9A及び図9Bを参照)、細胞接着活性度及び伸展活性度を調べた結果、P4ペプチドでコーティングされたベスキチンW超極細繊維での接着される細胞数及び伸展される細胞数が他のコントロール群に比べて高かった(図10Aないし図10Cを参照)。
前記結果より、人間ラミニン5 α3鎖の多様なドメインのうちLG3ドメインが、インテグリンα3β1との結合により細胞の接着伸展の促進に必須であり、特に、前記LG3ドメイン内の配列番号:1のPPFLMLLKGSTRペプチド(配列番号:2の1312〜1323残基)が、インテグリンα3β1の依存性細胞の接着伸展を促進する活性モチーフであるということを確認した。
また、rLG3及び配列番号:1のペプチドによる細胞の接着は、Tyr−397及び−577位置のFAK燐酸化を上昇させたが、これは、組み換え蛋白質として発現された人間ラミニン5 LG3ドメインが、インテグリンに特異的に結合して決定的なラミニン機能を支持し、配列番号:1のペプチドが、インテグリンα3β1の結合のための活性モチーフであるということを立証する最初の報告である。
したがって、本発明の人間ラミニン5 α3組み換えLG3ドメイン及び配列番号:1のペプチド、その断片または誘導体は、細胞接着活性の研究、創傷の治療、組織の再生、癌転移の抑制、組織工学及び他の治療学的な応用のために、ラミニン5の代替物として使用され得る。
これにより、本発明は、人間ラミニン5 α3組み換えLG3ドメイン、配列番号:1のアミノ酸配列を含むペプチド、その断片または誘導体を有効性分とする創傷の治療、火傷の治療、組織の再生及び癌転移の抑制のための薬学組成物を提供する。
本発明において、前記誘導体は、第12のArgが保存されているか、または第1のProまたは第2のProが保存されていることを特徴とすることができる。
本発明において、該誘導体は、配列番号:1の第8のLysがAlaに置換された誘導体(P4−S1)であることを特徴とし、該断片は、配列番号:1の第1のPro及び第2のProのうちいずれか一つが欠失された断片(P4 D−N1)であることを特徴とすることができる。
本発明において、断片'とは、有効活性を有するペプチドで一つ以上のアミノ酸が欠失されたものを言い、該ペプチドと実質的に同一であるか、または類似した活性を有するものを言う。
本発明において、誘導体'とは、有効活性を有するペプチドで一つ以上のアミノ酸が置換されたものを言い、前記ペプチドと実質的に同一であるか、または類似した活性を有するものを言う。
本発明の薬学組成物の有効性分は、臨床投与時に非経口投与が可能であり、一般的な医薬品製剤の形態で使用され得る。すなわち、本発明のペプチド、その断片または誘導体は、実際に非経口の多様な剤形として投与され得るが、製剤化する場合には、通常使用する充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩解剤、界面活性剤などの希釈剤または賦形剤を使用して調剤される。非経口投与のための製剤には、滅菌された水溶液、非水性溶剤、懸濁剤、油剤、凍結乾燥剤が含まれる。非水性溶剤、懸濁溶剤としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブオイルのような植物性油、エチルオレートなどが使用され得る。
また、前記ペプチド、その断片または誘導体は、生理食塩水または有機溶媒のように、薬剤として許容される担体と混合して使用可能であり、ペプチドの安定性や吸水性を向上させるために、グルコース、蔗糖またはデキストランのような炭水化物、アスコルビン酸またはグルタチオンのような抗酸化剤、キレート剤、低分子蛋白質または他の安定化剤が薬剤として使用され得る。
本発明の薬学組成物でペプチドの総有効量は、大きい丸薬の形態または相対的に短期間の拡散などにより単一投与量で患者に投与でき、多重投与量が長期間投与される分割治療方法により投与されても良い。前記ペプチドの濃度は、薬の投与経路及び治療回数だけでなく、患者の年齢及び健康状態などの多様な要因を考慮して患者の有効投与量が決定されるため、このような点を考慮するとき、当業者ならば、前記ペプチドの薬学的な組成物としての特定の用途による適切な有効投与量を決定できる。
また、本発明は、人間ラミニン5 α3組み換えLG3ドメイン、配列番号:1のアミノ酸配列を含むペプチド、その断片または誘導体を含む創傷被覆材を提供する。
皮膚とは、人体を外部の刺激から保護し、水分の損失を防止する機能を行う重要な装置の一つであって、皮膚に火傷や各種の外傷により欠損が発生すれば、その保護作用が喪失されて機能障害を起こす。また、水分の損失による多様な副作用及び外部からの細菌感染などを起こして、患部の治療を難しくするか、または2次的な機能障害または損傷のような追加的な副作用をもたらす。したがって、創傷の治癒を迅速に行い、2次的な各種の副作用を最小化するためには、適切な被覆材を利用した創傷の治癒が行わなければならない。
創傷被覆材は、皮膚の損傷が発生した患部を保護し、皮膚組織の再生を促進させるものであって、急増している皮膚損傷の患者に必須な重要な医療用品の一つである。一般的に、広範な火傷の部位を治療するとき、損傷した組織を火傷の部位から除去し、除去された部分を最終的な自家移植に先立って、一時的な火傷の被覆材で覆う。一時的な火傷の被覆材は、幾つかの治療の機能を行わなければならない。第一に、外部からの微生物の浸透による感染を防止するだけでなく、内部からの水分、塩、蛋白質の損失を防止する遮断膜として役割を行う。第二に、創傷の閉鎖を促進させて浄化及び創傷部位の再生を容易にする。第三に、痛みを緩和させる。
したがって、このような機能に加えて、該創傷被覆材が、損傷した皮膚細胞の再生および傷の治癒にも寄与できれば理想的である。
本発明による組織工学用支持体は生体組織の代用品を作って移植することにより体の機能を維持,向上または復元することを目的にする組織工学分野で用いられるすべての支持体を含む。このような組織工学用支持体が合成生高分子であるポリアミノ酸、ポリ酸無水物、ポリε−カプロラクトン、ポリオルソエステル、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLA)及びこれらの共重合体であるポリ乳酸−グリコール酸(PLGA)などと、天然生高分子であるアルギン酸、キトサン、高アルギニン酸及びコラーゲンなどで製造された多孔性ポリ乳酸遮蔽膜が含まれるし、遮蔽膜としては多孔性ポリ乳酸遮蔽膜キチンまたはキトサンナノ繊維で製造された再生膜またはキチンまたはキトサンのフィルムの形の遮蔽膜が使用できるがこれに限定されない。
本発明のラミニン5 α3組み換えLG3ドメイン、配列番号:1のアミノ酸配列を含むペプチド、その断片または誘導体は、細胞の接着伸展の活性が優秀であり、これを含む創傷被覆材の効果が非常に優秀であると期待され、本発明でも既存の市販中の人工皮膚素材であるベスキチンW超極細繊維に本発明のペプチドP4をコーティングしたとき、細胞の接着活性度が非常に優秀であるということを確認することによってこれを立証した。

実施例
以下、本発明を実施例によって詳細に説明する。
ただし、下記実施例は、本発明を例示するものであり、本発明の内容が下記実施例に限定されるものではない。
<実験例1:細胞及び培養の条件>
クローニングされたHPV−16ゲノムで形質転換されて不滅化された人間口腔の角化細胞であるHOK−16B細胞株(Park, N. H.ら, Carcinogenesis, 12:1627, 1991)を0. 15ミリモルのカルシウム及び補助的な成長因子ブレットキット(KGM;Clonetics, SanDiego, CA)を含む角化細胞基底培養液(keratinocyte basal medium: KGM)に培養した。正常な人間口腔角化細胞(Normal Human Oral Keratinocytes: NHOKs)は、以前に報告されたところによって準備した(Min, B. M.ら, Exp. Cell. Res. , 249:377, 1999)。具体的に、口腔手術を受けた健康な志願者(18才〜30才)の歯ぐきの上皮組織から、トリプシン処理により口腔角化細胞を分離した後、これをKGMに一次培養した。約70%の融合性を表した一次NHOKsを、60mmのペトリ皿当たり1×10細胞の濃度で塗布した後、80%の融合性に至るまで培養した。80%の融合性に至った細胞を継代培養し、これから2次培養されたNHOKsを下記実験に使用した。
<実験例2: 細胞の接着伸展活性の分析>
細胞の接着活性の分析は、岡崎らにより報告された方法によって行った(Okazaki, I.ら, J. Biol. Chem. , 277:37070, 2002)。具体的に、24−ウェル培養プレート(Nunc, Roskilde, Denmark)を多様な濃度のrLG蛋白質で4℃で一晩中コーティングした後に乾燥させた。基質コーティングされたプレートに1%の熱不活性牛血清アルブミン(BSA:Bovine Serum Albumin, Sigma)を含む燐酸化された緩衝食塩水(Phosphate Buffered Saline:PBS)を添加し、37℃で1時間保管して遮断した後、PBSで2回洗浄した。前記実験例1で0. 05%のトリプシン及び0. 53mMのEDTAを含むPBSにより、上皮組織から分離した細胞を培地に再浮遊させ、各プレートに1×10細胞/500μlの濃度で添加した後、37℃で1時間培養した。培養後、プレートをPBSで2回洗浄して、接着されていない細胞を除去した。プレートに接着された細胞を10%のホルマリンを含むPBSで15分間固定した後、PBSで2回洗浄し、0. 5%のクリスタルバイオレットで1時間染色した。前記プレートをDDWで軽く3回洗浄した後、2%のSDSで5分間溶血させた。吸光度は、Bio−Rad Model550マイクロプレート読取器(Bio−Rad)を利用して570nmで測定した。
伸展された細胞を確認するために、プレートに接着された細胞を10%のホルマリンを含むPBSで15分間固定した後、PBSで2回洗浄し、0. 005%のクリスタルバイオレットで1時間染色した。前記プレートをDDWで軽く洗浄した。代表数を定めるために、各プレートを4等分した後、各領域当たり2箇所を100倍の倍率でオリンパス顕微鏡(Olympus BX51 microscope)を利用して写真を撮った。糸状仮足及び葉状仮足の類似膨脹を有する平らで多角形状の細胞を、伸展された細胞と見なした。逆に、洗われずにプレートの表面に接着された状態で存在する細胞を、非伸展細胞と見なした。
<実験例3:流細胞分析>
細胞表面のインテグリン発現レベルを調べるための流細胞分析は、ロデックなどの方法によって行った(Rodeck, U.ら, J. Cell Sci. , 110:113, 1997)。具体的に、HOK−16B細胞を0. 05%のトリプシン及び0. 53ミリモルのEDTAを含むPBSで軽く処理して分離した後に洗浄し、抗インテグリンmAbs(anti−α2、α3、α5、α6、αv、β1及びβ4)と共に4℃で45分間培養した。洗浄後、細胞をFITC標識2次抗体と共に4℃で45分間培養した後、流細胞分析器(FACS, Calibur flow cytometer, Becton-Dickinson, San Jose, CA)で分析した。
<実験例4:接着活性抑制の分析>
rLG3蛋白質及びペプチドP4に対するHOK−16B細胞の受容体を同定するために、相異なる形態のインテグリンに対する5μg/mlのmAbsまたは5ミリモルのEDTAをそれぞれ0. 5mlの培養溶液内のHOK−16B細胞(2×10cells/ml)に添加した後、37℃で30分間前培養した。前培養された細胞を、25μg/ml濃度のrLG3または10μg/ウェル濃度のペプチドP4であらかじめコーティングされたプレートに移した後、37℃でさらに1時間培養した。接着された細胞を前記実験例2で記述した方法によって定量して、細胞接着の活性抑制の程度を測定した。
<実験例5:FAK燐酸化の分析>
FAK燐酸化の分析は、シャングなどの方法によって行った(Shang, M.ら, J. Biol. Chem. , 276:33045, 2001)。具体的に、HOK−16B細胞をトリプシン処理した後に洗浄し、0. 1%のBSAを含む無血清KGMに浮遊させて、37℃で1時間培養した。60mmのペトリ皿をラミニン(5μg/ml)、rLG3(25μg/ml)またはP1ないしP5ペプチド(50μg/皿)で4℃で一晩中コーティングした後に乾燥させた。接着性FAKの分析のために、1×10細胞を、コーティングされていないか、またはラミニン、rLG3−または多様なペプチドでコーティングされたペトリ皿に添加した後、5%のCOが37℃で15分、30分または60分間接着されるように放置した。培養の末期に細胞を冷却PBSで洗浄した後、RIPA緩衝溶液[50mMのTris(pH7. 4)、150ミリモルのNaCl、1%のノニデット P−40、0. 5%のNa−デオキシコール酸塩、1ミリモルのEDTA、0. 1%のSDS、2ミリモルのNaVO、1ミリモルのグリセリンリン酸、1ミリモルのPMSF及びプロテアーゼ抑制剤カクテル]を利用して溶解させた。溶解物を4℃で10分間12, 000Xgで遠心分離して、細胞質抽出物を分離した。
前記細胞質抽出物にSDS試料緩衝溶液[50ミリモルのTris−HCl(pH6. 8)、2%のSDS、10%のグリセロール、0. 1%のブロモフェノール・ブルー、100ミリモルのβ−メルカプトエタノール]を添加して蛋白質を変性させた後、8%のSDS−ポリアクリルアミドゲル上に展開した。蛋白質が展開されたSDS−PAGEゲルをニトロセルロース膜へ電気的伝達を行った後、前記膜を総FAKのレベルを決定するために、多クローン性の抗FAK抗体で免疫ブロッティングするか、またはチロシン燐酸化の程度を決定するために、多クローン性の抗FAK(pY397)、(pY407)、(pY576)、(pY577)または(pY861)抗体を利用して免疫ブロッティングした。このとき、FAK燐酸化の相対的な倍率誘導は、プレート上に塗布されたコントロール細胞の背景レベルに対する試料のFAK燐酸化の増加と定義され、次の通りに決定された:まず、ウェスタンブロットから燐酸化されたFAK(p−FAK)及び総FAK(t−FAK)信号の濃度計測器の強度をLAS−1000plus(Fuji photo film, Japan)で測定した。各試料のt−FAKに対するp−FAKの比率(p−FAK/t−FAK)を、蛋白質の展開における差で補正した。前記比率は、FAK燐酸化の相対的な倍率誘導を得るために、陰性コントロールのp−FAK/t−FAK比に対して標準化した。
<実施例1:人間ラミニン5 α3鎖の組み換えLGドメインの発現>
人間ラミニン5とインテグリンとの結合を糾明するために、人間ラミニン5の接着ドメインであるα3鎖の5個のLGドメインを、それぞれ大腸菌でモノマーの水溶性組み換え蛋白質の形態で発現させた。
具体的に、人間ラミニン5 α3鎖DNAは、NHOKsから分離されたmRNAを使用して、メーカーの指針によってスーパースクリプトII逆転写酵素(GibcoBRL, Grand Island, NY)を利用する逆転写酵素の連鎖重合反応(RT−PCR)によりクローニングした。このように、クローニングされたラミニン5 α3鎖cDNAを鋳型とするPCRにより、ラミニン5 α3鎖の5個のC末端LG cDNA断片(LG1〜LG5)を増幅させた後、LG1ないしLG3断片は、それぞれpGEM−T Easyベクター(Promega, Madison, WI)に、LG4及びLG5断片は、それぞれpEZ−Tベクター(RNA, Seoul, Korea)にクローニングした。PCRに使用されたプライマーは、次の通りである:LG1、配列番号:3(センス)及び配列番号:4(アンチセンス);LG2、配列番号:5(センス)及び配列番号:6(アンチセンス);LG3、配列番号:7(センス)及び配列番号:8(アンチセンス);LG4、配列番号:9(センス)及び配列番号:10(アンチセンス);LG5、配列番号:11(センス)及び配列番号:12(アンチセンス)。あらゆるプラスミド作成物(コンストラクト)は、塩基配列を分析して、断片が正しく挿入されたか否かを確認した。前記pGEM−TEasyベクター及びpEZ−TベクターにクローニングされたLG DNA断片のうちLG1断片は、哺乳動物の発現ベクターであるpET−32a(+)(Novagen, Madison, WI)のEcoRIの部位に、LG2断片は、同じベクターのNcoI−SalIの部位にクローニングし、LG3ないしLG5断片は、それぞれ哺乳動物の発現ベクターであるpRSET(Invitrogen, Carlsbad, CA)のNcoIの部位にクローニングした。
組み換え蛋白質の精製を容易にするために、この過程で組み換え蛋白質のC末端に6個のヒスチジン標識(His−tag)を連結させた。正しい方向にDNAの断片が挿入されたクローンを選択し、クローニングの過程中に突然変異や欠失が発生したかを配列分析によって確認した。前記発現ベクターでそれぞれ形質転換させた大腸菌E. coli BL21の菌株を、595nmでの光学濃度(OD)が0. 5ないし0. 6になるまで37℃のLB培地で培養した後、1ミリモルのIPTG(isopropyl-β-D-thiogalactopyranoside, Promega)を添加し、組み換えLGドメイン蛋白質の発現を誘導した。37℃で5時間蛋白質の発現を誘導した後、細胞を10分間6, 000rpmで遠心分離して回収した。細胞沈殿物は、使用前まで−80℃で保管した。
蛋白質の精製のために、前記細胞沈殿物を1ミリモルのフッ化フェニルメチルスルホニル(Sigma)を含む冷却溶解緩衝溶液(100ミリモルのNaHPO, 10ミリモルのTris−HCl、8Mのウレア, pH8. 0)に浮遊させた。前記細胞浮遊液を、泡が立たないように留意しながら、10mlのピペットを通過させて細胞を溶解させた。これから得た細胞溶解物をNi2+ニトリロ酢酸アガロース(Qiagen, Valencia, CA)カラムにローディングした。前記カラムを、10ミリモルのイミダゾールを含む溶解緩衝溶液で洗浄した後、25ミリモルのイミダゾールを含む溶解緩衝溶液を利用して、カラムに吸着された蛋白質を溶出させた。
溶出した組み換え蛋白質を、100ミリモルのNaHPO及び1ミリモルのフッ化フェニルメチルスルホニルを含む10ミリモルのTris−HCl(pH3. 0)緩衝溶液で高濃度から低濃度(3M、2M、1Mまたは0. 5M)までのウレアで連続的に透析した後、最後に、1ミリモルのフッ化フェニルメチルスルホニルを含むPBS(pH3. 0)で透析して再生させた。透析されたrLG蛋白質をセントリコン機器(Centricon YM-10, Millipore, Bedford, MA)を利用して0. 5μg/mlの濃度で濃縮させた後、使用するまで−80℃で保管した。蛋白質の濃度は、バイオ・ラッド蛋白質分析キット(Hercules, CA)を利用して測定した。
全体α3鎖分子内の組み換え蛋白質の対応アミノ酸の部位を図1Aに示した。図1Aでラミニン5 α3鎖のドメイン構造(開放されたカラム)は、IIIa、I/II及びLG1−LG5で表示され、陰影部位は、シグナルペプチドを表す。また、閉鎖された棒は、本発明によって製造された組み換えLG蛋白質の位置を示し、括弧の中の数字は、全体α3鎖分子内の組み換えLG蛋白質の相応するアミノ酸の位置を示す。このように製造された組み換えLG蛋白質のうち、rLG1は、配列番号:2の人間ラミニンα3鎖のアミノ酸配列で782〜978残基を含み、rLG2は、959〜1148残基を、rLG3は、1128〜1364残基を、rLG4は、1352〜1555残基を、rLG5は、1522〜1713残基を含む。
本発明で製造された組み換えLG蛋白質は、何れも蛋白質の折り畳みを容易にするために、3個ないし25個のアミノ酸によって隣接するドメインまで延び、蛋白質の精製及び同定の便宜のために、それぞれのN末端に6個のヒスチジン残基(His)が標識された融合蛋白質の形態で発現された(図1C)。本発明によって、大腸菌でモノマーの水溶性融合蛋白質の形態で発現されたrLG1、rLG2、rLG3、rLG4及びrLG5蛋白質を、SDS−PAGEゲルにかけて電気泳動を行った後にクマシー・ブルーで染色して、各組み換え蛋白質の分子量がそれぞれ43、39、32、30及び29kDaであるということを確認した。SDS−PAGEゲルのクマシー染色によって確認されたrLG蛋白質を、変性条件下でNi2+−ニトリロトリ酢酸−アガロースを利用してほぼ均一に分離した(図1C)。前記5種類のrLGs発現レベルは互いに類似しており、平均的には、0. 5lの細菌培養から約0. 5mgの精製されたrLG蛋白質を得た。
<実施例2:人間ラミニン5 α3鎖rLGの細胞の接着伸展の活性>
前記実施例1で製造された人間ラミニン5 α3組み換えLG蛋白質が、それぞれ細胞の接着伸展に如何なる影響を及ぼすかを調べるために、これらの細胞の接着伸展の活性を、実験例2に記載された方法によって測定した。
その結果、5個のrLG蛋白質のうち、rLG3のみが細胞接着の活性を表したが(図2Aないし図2C)、rLG3に対するHOK−16B細胞の接着は、25μg/mlのコーティング濃度で最大の接着活性を表し、これは、濃度依存的な様相を表した(図2B)。図2Bで、BSA及びラミニンは、それぞれ陰性及び陽性のコントロールとして使用された。25μg/mlまたはこれより高いコーティング濃度でrLG1、rLG2、rLG4及びrLG5をBSAコントロールと比較したとき、同じ条件下で細胞接着の活性をほとんど表さなかった(図2B及び図2C)。50μg/mlのrLG3で細胞接着の活性は、5μg/mlのラミニンコーティングされたコントロールと比較したとき、約45%低下した(図2A)。
ラミニン5 α3鎖rLG3の接着活性をさらに分析するために、接着された細胞が基底層に拘束されているか、それとも基底層上に伸展されているかを調べた。接着分析において、rLGsに接着されたHOK−16B細胞を洗浄及び固定し、かつクリスタルバイオレットで染色した後、染色された細胞を分析した。これから決定されたrLGsの細胞接着の活性プロファイルは、吸光光度計により決定されたrLGsのプロファイルと非常に類似していた(図2C)。
また、実験例2に記述した方法によって、rLGsのHOK−16B細胞に対する伸展活性を調べた結果、rLG3−コーティングプレートで、47%のHOK−16B細胞が伸展される細胞の形態学的な特徴である糸状仮足及び葉状仮足の類似膨脹を有する、平らでかつ多角形状を示した(図2D)。rLG3に対して残存する非伸展性細胞は、洗われずにプレートの表面に接着された状態で存在した。それに対し、rLG1−、rLG2−、rLG4−またはrLG5−コーティングされたプレートでは最小の細胞伸展が観察された。前記結果は、組み換えLG3ドメインが細胞の接着伸展を促進して、その親分子であるラミニン5と類似した機能的な特徴を表すということを提示する。
<実施例3:細胞の接着伸展に効果的な人間ラミニン5 α3鎖LG配列の同定>
前記実施例2で、人間ラミニン5 α3鎖LG3ドメインが、細胞の接着伸展を媒介するという事実を確認した。また、LG3ドメイン内のC末端の28個のアミノ酸(1297〜1324残基)及び83個のアミノ酸(1214〜1296残基)部位が、それぞれ細胞の接着及び移動性を促進させると報告された(Kariya, Y.ら, J. Cell Biochem. , 88:506, 2003)。これにより、本発明者らは、ラミニン5 α3鎖LGドメインで細胞接着の活性を付与するのに必須なアミノ酸残基を糾明するために、LG3ドメイン由来のアミノ酸残基1293〜1332の部位内で5個の重なった12−merペプチドを、大韓民国基礎科学研究所でパイオニアペプチド合成器(Applied Biosystems, Forster City, CA)でC末端アミドを利用したFmoc(9-fluorenylmethoxycarbonyl)基礎固形相方法によって合成した(図3)。図3で矢印は、合成ペプチドの位置を示す。推定されたβ筋構造は灰色の箱に入れ、ペプチドP4の基本アミノ酸Lys及びArgは白色の箱に入れた(http://www.bmm.icnet.uk/〜3djigsaw/dom_fish)。合成されたペプチドは、逆相高性能の液体クロマトグラフィによって精製され、高性能の液体クロマトグラフィ及び質量分光分析器を使用して特徴を分析した。このように合成されたペプチドのうちP1は、配列番号:2のアミノ酸配列で1293〜1304残基、P2は、1297〜1308残基、P3は、1305〜1316残基、P4は、1312〜1323残基、P5は、1321〜1332残基に該当するアミノ酸配列を有する。
前記のように合成されたペプチドを、実験例2と同じ方法によってペプチドでコーティングされたプレート上で細胞の接着伸展の活性を、HOK−16B細胞を利用して調べた。24ウェルプレートをそれぞれ10、20、30、40及び50μg/ウェル濃度のペプチドP1ないしP5でコーティングした。HOK−16B細胞をペプチドでコーティングされたプレートに添加し、無血清培地で1時間反応させた。未接着細胞を除去した後に接着細胞を固定し、クリスタルバイオレットで染色した後、染色された細胞を分析した。吸光度は、マイクロプレート読取器を利用して570nmで測定した。このとき、BSA及びrLG3をそれぞれ陰性及び陽性コントロールとして使用した。
その結果、ペプチドP4(PPFLMLLKGSTR)は、強い濃度依存的細胞の接着活性を表し、最大の細胞接着の活性は、ペプチドP4をプレートに10μg/ウェル濃度以上にコーティングする場合に得られた。しかし、非常に高いコーティング濃度でさえペプチドP1、P2及びP3は接着活性を表さず、ペプチドP5は、25μg/ウェル以上の濃度で濃度依存的様相で、非常に弱い接着活性を表した(図4A)。
また、10μg/ウェルコーティング濃度でペプチドの接着活性プロファイルは、細胞接着の分析で細胞数の測定により決定されたが、何れもほぼ同じ様相の細胞接着が観察された(図4B)。ペプチドP4の細胞接着の活性は、rLG3の接着活性と類似していた。
ペプチドP4の接着活性を詳細に分析するために、接着された細胞が基底層に拘束されているか、それとも基底層上に伸展されているかを調べた。このとき、BSA及びrLG3をそれぞれ陰性及び陽性のコントロールとして使用し、伸展形態を表す細胞の比率は、総接着細胞の数を伸展細胞の数で除算して定量的に計算した。その結果、ペプチドP4でコーティングされたプレートで、35%のHOK−16B細胞が伸展される細胞の形態学的な特徴を表したが、P1、P2、P3またはP5でコーティングされたプレートでは何らの伸展細胞も観察されなかった(図4C)。
前記でペプチドP4の細胞の接着伸展の活性が、rLG3とほぼ類似しているということが確認された。これにより、本発明者らは、LG3ドメインの細胞接着の活性にペプチドP4が競争的に作用しているかを、実験例4に記載された方法によって調べた(図4D)。まず、精製されたrLG3蛋白質(25μg/ml)を24ウェルプレートにコーティングした。HOK−16B細胞を、ペプチドが添加されていないか、または多様なペプチド(100μg/ml)が添加された培地で37℃で30分間前培養した。前培養された細胞をrLG3でコーティングされたプレートに添加した後、無血清培地内で1時間反応させた。未接着細胞を除去した後に接着細胞を固定し、クリスタルバイオレットで染色した。コントロール培養物(ペプチドなしに前培養されたHOK−16B細胞)の平均接着活性を100%と見なし、結果は、4回の独立的な実験の平均±S. D. で表した。その結果、合成ペプチドP4は、約51%のrLG3に対する細胞の接着を抑制したが、他のペプチドは、何れも30分間100μg/mlのペプチドで前培養されたHOK−16B細胞で、rLG3に対する細胞接着の活性を低下させなかった。これは、ペプチドP4配列(PPFLMLLKGSTR)が、天然ラミニン5 α3鎖LG3ドメインの細胞結合部位として作用するということを表すものである。
<実施例4:インテグリンα3β1の依存的なrLG3及びペプチドP4に対する細胞の接着
本発明者らは、組み換えLG3ドメイン及びペプチドP4の細胞の接着伸展の活性に関与する細胞表面の受容体を糾明するために、rLG3またはペプチドP4でコーティングされた表面に接着するHOK−16B細胞の表面に発現されるインテグリンの種類を、インテグリン小単位に対する機能遮断の単クローン性抗体(Chemicon Temecula, CA)を使用するFACS分析により決定した。実験例3のように、HOK−16B細胞をα2、α3、α5、α6、αv、β1またはβ4インテグリン小単位に特異的なmABsと共に培養した後流細胞分析のためのFITC−接合2次抗体で染色して流細胞分析を行った。このとき、陰性コントロールは、2次抗体のみで培養した。結果は、蛍光強度の関数(×軸)としてプロッティングされた細胞数(Y軸)で表した。その結果、HOK−16B細胞がα3β1、α6β1及びα6β4インテグリンを含む多様なインテグリンを発現するということを確認した(図5A)。
一方、リガンドとインテグリンとの相互作用は、2価陽イオンを要求すると知られている。これにより、本発明者らは、前記相互作用において陽イオンの役割を決定するために、rLG3−及びペプチドP4でコーティングされたプレートでのHOK−16B細胞の接着に金属キレート剤であるEDTAが及ぼす影響を調べた。HOK−16B細胞を5ミリモルのEDTAまたはインテグリンα3(P1B5)、β1(6S6)及びα6(NKI−GoH3)小単位に対する機能遮断mAbs(Chemicon Temecula, CA) 5μg/mlと共に、37℃で30分間前培養した後、25μg/mlのrLG3であらかじめコーティングされたプレートに接種して1時間培養した。未接着細胞を除去した後に接着細胞を固定し、クリスタルバイオレットで染色した後、染色された細胞を分析した。コントロール培養物(EDTAまたはインテグリン抗体なしに前培養されたHOK−16B細胞)の平均接着の活性を100%と見なした。その結果、rLG3に対する細胞の接着は、5ミリモルのEDTAによりほぼ完壁に抑制された(図5B)。これと同様に、rLG3でコーティングされたプレートよりは低かったが、5ミリモルのEDTA存在下で10μg/ウェルの濃度でペプチドP4がコーティングされたプレートでも、細胞接着活性の低下が観察された(図5C)。これは、rLG3及びペプチドP4に対する細胞表面の受容体がリガンドとの相互作用のために、2価陽イオンを必要とするインテグリンのうち一つであるということを提示する。
また、インテグリン小単位に対する機能遮断mAbsが、rLG3またはペプチドP4でコーティングされた表面に対するHOK−16B細胞の接着活性に及ぼす効果を調べた。その結果、rLG3またはペプチドP4でコーティングされた表面に対する接着は、α3及びβ1小単位に対する抗体により特異的に抑制されたが(図5B及び図5C)、HOK−16B細胞の抗インテグリンα3抗体の処理は、rLG3及びペプチドP4の接着活性をそれぞれ71%及び49%ずつ抑制した一方、抗インテグリンβ1抗体の処理は、rLG3及びペプチドP4の接着活性をそれぞれ71%及び54%ずつ抑制した。前記結果から、インテグリンα3β1が、HOK−16B細胞でrLG3及びペプチドP4全ての特異的な機能的受容体であり、HOK−16B細胞に対するペプチドP4の細胞接着活性が、rLG3に比べて、インテグリンα3β1との少し弱い相互作用によって媒介されるということが分かる。
<実施例5:ペプチドP4のC末端の切断及びAlaに置換されたペプチドの細胞接着の活性>
前記実施例4で、ペプチドP4が強力な細胞の接着伸展の活性を促進させ、インテグリンα3β1に結合するということが確認された。これにより、本発明者らは、ペプチドP4で生物学的な活性の核心配列を決定するために、ペプチドP4からC末端が切断された5個の合成ペプチド(P4 D−I〜P4 D−V)及びN末端が切断された6個の合成ペプチド(P4 D−N1〜P4 D−N6)を製造し(図6A)、HOK−16B細胞を利用したペプチドでコーティングされたプレート上で細胞の接着伸展の活性に及ぼす効果を調べた。24ウェルプレートを、10μg/ウェル濃度の前記C末端の切断されたペプチドまたはN末端の切断されたペプチドでコーティングした後、HOK−16B細胞を前記プレートに添加し、無血清培地で1時間培養した。未接着細胞を除去した後に接着細胞を固定し、クリスタルバイオレットで染色した後、染色された細胞を分析した。吸光度は、マイクロプレート読取器を利用して570nmで測定した。BSA及びペプチドP4をそれぞれ陰性及び陽性コントロールとして使用した。
その結果、ペプチドP4でC末端Argが欠失されたペプチドP4 D−Iが、ペプチドP4対照群に比べて著しく低い細胞接着の活性を表した(図6B及び図6C)。しかし、ペプチドP4でC末端アミノ酸の追加的な欠失は、P4 D−Iと類似しているか、または少し低下した細胞接着の活性を表した。これと同様に、5個のC末端の切断ペプチドの細胞伸展の活性も、ペプチドP4コントロールに比べて著しく低く(図6D)、細胞伸展様相は、細胞接着プロファイルとほぼ同じであった。
前記でペプチドP4内のC末端Argの欠失が、細胞接着活性を著しく低下させるということが確認された。
また、ペプチドP4で、二つのN末端Proのうち一つのみが欠失されたペプチドP4 D−N1の場合、P4コントロールに比べて接着活性及び伸展活性が大きく低下しなかったが、二つのN末端Proが何れも欠失されたP4 D−N2の接着活性及び伸展活性は著しく低くなった(図6C及び図6D)。しかし、ペプチドP4でN末端アミノ酸の追加的な欠失は、C末端アミノ酸が欠失されたペプチドP4と類似しているか、またはそれより著しく低い細胞の接着活性及び伸展活性を表した。
ペプチドP4配列で塩基性アミノ酸のArg及びLysが細胞接着の活性に及ぼす影響を糾明するために、Lys1319及びArg1323がそれぞれ、または何れもAlaに置換された合成ペプチド(P4−S1〜P4−S3)を製造し(図7A)、HOK−16B細胞を利用したペプチドでコーティングされたプレート上で、これらの細胞の接着伸展の活性を調べた(図7B及び図7C)。
24ウェルプレートを10μg/ウェル濃度のペプチドでコーティングした後、HOK−16B細胞を前記プレートに添加し、無血清培地で1時間反応させた。未接着細胞を除去した後に接着細胞を固定し、クリスタルバイオレットで染色した後、染色された細胞を分析した。BSA及びペプチドP4をそれぞれ陰性及び陽性コントロールとして使用し、結果を4回の独立的な実験の平均±S. D. で表した。
その結果、ペプチドP4対照群に比べて、ArgがAlaに置換されたP4−S2と、Lys及びArgが何れもAlaに置換されたP4−S3との場合、細胞接着活性及び伸展活性が著しく低下した。しかし、LysのみがAlaに置換されたP4−S1の細胞の接着伸展の活性には大きな変化がなかった(図7B及び図7C)。これからペプチドP4で塩基性であるArgが、ペプチドP4の細胞の接着伸展の活性に必須であるということを確認した。前記結果は、ラミニン5 α3鎖のLG3ドメイン内のPPFLMLLKGSTR配列(1312〜1323残基)が細胞の接着伸展及びインテグリンα3β1−結合を担当する活性モチーフであるということを表す。
<実施例6:rLG3−またはペプチドP4がFAKのTyr−397及び−577位置の燐酸化に及ぼす影響>
インテグリンは、接着受容体だけでなく、信号伝達体としても作用するということが知られている(Schwartz, M. A.ら, Ann. Rev. Cell. Dev. Biol. , 11:549, 1995;Shoenwaelder, S. M. and Burridge, K. , J. Biol. Chem. , 274:14359, 1999)。細胞外基質蛋白質に対するインテグリンの活性は、細胞外基質蛋白質の構成成分に対する細胞接着を導く主要チロシン燐酸化蛋白質である病巣接着キナーゼ(FAK)の燐酸化を向上させる(Clark, E. A. and Brugge, J. S. , Science, 268:233, 1995;Guan, J. L. , Int. J. Biochem. Cell Biol. , 29:1085, 1997;Giancotti, F. G. and Ruoslahti, E. , Science, 285:1028, 1999)。FAK Tyr−397、−407、−576、−577、−861及び−925が燐酸受容体の部位に同定されたが、これらのうちTyr−397が、FAK自動燐酸化の主要部位として報告された(Schlaepfer, D. D.ら, Nature, 372:786, 1994)。
これにより、本発明者らは、rLG3またはペプチドP4により媒介される信号機構を調べるために、FAK燐酸化をrLG3またはペプチドP4上に塗布されたHOK−16B細胞で調べた。ラミニンは、α3β1インテグリンに対する対照群リガンドの結合によって含まれた(Lampe, P. D.ら, J. Cell Biol. , 143:1735, 1998)。まず、ラミニンでコーティングされたか、またはコーティングされていないプレート上で、Tyr−397FAK燐酸化の程度を15分、30分または60分間、HOK−16B細胞を利用して実験例5に記載された方法によってFAK燐酸化の分析を行った。
トリプシン処理により分離したHOK−16B細胞を1時間浮遊させた後、伸展液の状態(Sus)で保管するか、またはラミニン(5μg/ml)でコーティングされるか、またはコーティングされていない60mmの培養皿に再塗布した。細胞がプレートに接着されるように、15分、30分または60分間放置した後、細胞溶解物(lysates)を抗FAKp−Y397抗体(Biosource, Camarillo, CA)で免疫分析した。その結果、ラミニンでコーティングされたプレートでのFAK燐酸化の程度が、ラミニンでコーティングされていないプレートに塗布されるか、または浮遊液の状態で保管されたHOK−16B細胞のFAK燐酸化より著しく高かった。このような効果は15分以内に観察され、ラミニンでコーティングされたプレートに露出された後、15分で最高値を示した(図8A)。
これにより、Tyr−397、−407、−576、−577、及び−861位置でのFAK燐酸化の程度をラミニン(5μg/ml)、rLG3(25μg/ml)、またはペプチドP1ないしP5(50μg/60mmの皿)でコーティングされたプレートで15分間培養されたHOK−16B細胞で調べた。細胞溶解物を抗FAKp−Y397、p−Y407、p−Y576、p−Y577またはp−Y861抗体(Biosource, Camarillo, CA)で免疫分析し、総FAKのレベルは、抗FAK抗体(Upstate Biotechnology, Lake Placid, NY)を使用して検出した。各試料で、t−FAKに対するp−FAK(p−FAK/t−FAK)の比率は、蛋白質ローディングでの差を補正して計算した。FAK燐酸化の相対的な倍率誘導を得るために、前記比率を、陰性コントロール(すなわち、プレート上に塗布された細胞)のp−FAK/t−FAKの割合で標準化させた。その結果、ラミニンまたはrLG3−コーティングされたプレートで培養された細胞のTyr−397 FAK燐酸化の程度が、未処理コントロールに比べてそれぞれ16. 2及び8. 2倍向上した(図8B)。これは、ラミニンがFAKのTyr燐酸化を誘導するという事実と一致する(Clark, E. A. and Brugge, J. S. , Science, 268:233, 1995;Guan, J. L. , Int. J. Biochem. Cell Biol. , 29:1085, 1997;Giancotti,F. G. and Ruoslahti, E. , Science, 285:1028, 1999)。
ペプチドP4に接着された細胞でのTyr−397FAK燐酸化のレベルが、ラミニンに接着された細胞より低くても、他のペプチドに接着された細胞でのFAK燐酸化よりはさらに高かった(図8C)。また、ペプチドP4に塗布された細胞でチロシン−577 FAK燐酸化のレベルが、他のペプチドに塗布された細胞よりやや高かったが、ラミニンに塗布された細胞よりは依然として低かった。しかし、FAKチロシン−407、−576、及び−861でのこのような変化は、類似した条件で調査されたラミニン、rLG3、または他のペプチドでは観察されなかったが(図8B)、これは、ラミニン、rLG3及びペプチドP4が個別的なインテグリンα3β1の媒介信号機構を活性化させるということを意味する。
ペプチドP4で、ArgがAlaに置換された合成ペプチドP4−S2、及びLys及びArgが何れもAlaに置換された合成ペプチドP4−S3が、対照群であるペプチドP4に比べて細胞の接着を著しく抑制したため、本発明者らは、FAKのTyr燐酸化において、ペプチドP4配列内の二つの塩基性アミノ酸の役割を糾明するために、ペプチドP4−S1ないしP4−S3に接着するHOK−16B細胞内のTyr−397及び−577位置でのFAK燐酸化のレベルを調べた。LysがAlaに置換されたペプチドP4−S1上に塗布された細胞で、Tyr−397位置のFAK燐酸化は、ペプチドP4の場合と類似していた。しかし、ペプチドP4−S2及びP4−S3上に塗布された細胞でのFAK燐酸化は、ペプチドP4に比べて著しく低下した(図8Dの上部パネル)。これと同様に、FAKTyr−577でのこのような変化が、類似した条件下でペプチドP4−S1ないしP4−S3上で観察された(図8Dの下部パネル)。前記結果は、細胞接着活性と密接した関連のあるペプチドP4内の塩基性残基であるArg1323が、FAKのTyr燐酸化に要求されるということを表す。
<実施例7:P4ペプチドによるNHEK及びNHEFの細胞接着活性度の測定>
<7−1:NHEKの準備>
NHEKは、組織標本を1才〜3才の健康な人の表皮組織から採取して準備した。前記組織標本を、3Xの抗生剤が含まれたカルシウム及びマグネシウムが含まれていないハンクス平衡塩類溶液(CMF−HBSS;GibcoBRL)で3回洗浄し、表皮組織から上皮層を分離するために、コラゲナーゼ(1. 0mg/ml;sigma Chemical Co. )及びディスパーゼ(2. 4mg/ml;Boeringer-Mannheim)を含有したCMF−HBSSを添加して、95%の空気及び5%の二酸化炭素の条件下で37℃で90分間培養した。NHEKは、前記のように分離された表皮組織から準備し、0. 15mMのカルシウム及び成長因子であるブレットキットを含んだKGMで細胞培養を施行した。細胞の密度が約70%となったとき、NHEKを60mmのペトリ皿当たり1×10個の細胞数で分注し、細胞の密度が約70%となるまで培養した。このように、継代培養を実施し、2回継代培養したNHEKを使用した。
<7−2:NHEFの準備>
NHEFは、人間の表皮組織を1才〜3才の健康な人から採取して、3Xの抗生剤が含まれたカルシウム及びマグネシウムが含まれていないハンクス平衡塩類溶液で3回洗浄した後、体外培養を施行して準備した。細胞の密度が約80%となったとき、NHEFを1:3の割合で分注して、細胞の密度が約80%となるまで培養を施行した。このように継代培養を実施し、4回継代培養したNHEFを使用した。
<7−3:上皮細胞の増殖促進の確認>
ポリスチレン(PS)、BSA及び合成ペプチドP4を24ウェルプレートにコーティングした。NHEK(PD 13. 0;2×10cells/12ウェルプレート)及びNHEFs(passage number 5)の培養物を、前記PS、BSA(1%)及びペプチドP4(20μg/12ウェルプレート)でコーティングされたプレートにそれぞれ添加し、これらを1日、2日、3日または4日間培養した。生存細胞は、トリパンブル排除法によりヘモサイトメータでカウントした。データは、平均±SD(n=4)と表した。
前記測定結果に対し、NHEK及びNHEFに対する細胞の増殖による細胞数が増加する傾向を、図9A及び図9Bにそれぞれ示した。図示されているように、BSAでコーティングされたプレートのNHEK及びNHEFの数が最も少なく、PS及びペプチドP4でコーティングされたプレートで、細胞の増殖による細胞数の増加が類似していたが、NHEKの場合、PSプレートに比べてペプチドP4プレートでNHEKの細胞数が急増して、ペプチドP4が、特にNHEKの増殖に効果的であるということが確認できた。
<7−4:細胞接着活性度の測定>
直径が14mmであるベスキチンW超極細繊維(UNITIKA Co. , Japan)を24ウェル培養皿に入れ、0. 4mlの牛血清アルブミン(1mg/ml)、非機能性ペプチド(P1、10μg/ウェル)または機能性ペプチド(P4、10μg/ウェル)を添加して、室温で12時間乾燥コーティングさせた。ベスキチンW超極細繊維のみを試験する場合には、0. 4mlのPBSを添加して同じく処理した。ペプチドでコーティングされていない部位を遮断させるために、各ウェル当たり0. 4mlの牛血清アルブミン(1mg/ml)を添加し、37℃で30分間培養した。牛血清アルブミンを除去し、PBSで注意深く洗浄した。各ウェル当たり1×10セル(0. 5ml)を分注し、95%の空気及び5%の二酸化炭素の条件下で37℃で60分間培養した。この時に使用した培養液は、0. 15mMのカルシウム及び成長因子ブレットキットを含んだKGMであった。培養液を除去し、PBSで1回注意深く洗浄した後、0. 4mlの10%のホルマリン溶液を加えて、室温で15分間放置させて細胞を固定させた。固定液を除去し、PBSで2回洗浄した後、ベスキチンW超極細繊維に接着された細胞をヘマトキシリンエオシン溶液で染色した。染色液を除去して、蒸溜水で3回注意深く洗浄した後、ベスキチンW超極細繊維に接着された細胞の写真を撮影した。代表値を得るために、ベスキチンW超極細繊維を4等分して、各領域当たり2箇所ずつ、総8箇所をオリンパスBX51顕微鏡で100倍の倍率で写真撮影を行った。平均百分率及び標準偏差は、4回の独立的な実験から計算した。前記写真と、細胞の接着活性度及び伸展活性度の計算結果とは、それぞれ図10Aないし図10Cに表した。
図10Aないし図10Cに示すように、市販中の人工皮膚素材であるベスキチンW超極細繊維に本発明のペプチドP4をコーティングしたとき、細胞接着活性度及び細胞伸展活性度が最も高くと表れた。本発明に係るペプチドP4は、創傷の治療や組織の再生に効果的であるということをこの結果から確認できた。
<実施例8:動物実験によるペプチドP4の細胞の接着活性度及び伸展活性度の確認>
<8−1:動物実験の条件>
本実施例のために、体重が240±10gであるSprague−Dawleyラットを利用した。麻酔後に、各ラットの背中に二つの1cm×1cmの四角形の傷を脊椎カラムに平行に付けた。その後、ペプチドP4でコーティングされたベスキチンW超極細繊維を各ラットの傷に適用した。同じ傷は、ベスキチンW超極細繊維のみに処理してコントロールとした。処理後3日または7日目に、表皮化及び肉芽の組織学的な検査のために各傷を除去した。
<8−2:傷の治癒及び組織学的な検査>
組織学的な検査のために、3日目及び7日目の対照群と、ペプチドP4でコーティングされたベスキチンW超極細繊維実験群との結果を、顕微鏡を利用して確認した。図11A及び図11Bには、それぞれ100倍及び200倍の顕微鏡の写真を示した。
3日目及び7日目の対照群で、繊維性組織の破片が傷の表面を覆い、その層の下側で多形核の白血球が厚く浸潤し、線維芽細胞が増殖することが観察された。しかし、3日目及び7日目のペプチドP4でコーティングされたベスキチンW超極細繊維の実験群では、表面組織の破片が消え、若い毛細血管及び線維芽細胞が著しく増殖することが確認された。
両側の群で傷の表皮化は、4週後に完結した。また、炎症細胞が消え、結合組織が厚く形成された。しかし、7日目のペプチドP4でコーティングされたベスキチンW超極細繊維群で、表面組織の破片が消え、若い毛細管及び線維芽細胞が著しく増殖した。
このような動物実験の結果によって、ペプチドP4でコーティングされたベスキチンW超極細繊維群の初期段階の治癒が、ベスキチンW超極細繊維のみを適用したコントロール群よりさらに速いということが確認された。
以上、本発明の特定の内容部分を詳細に記述したところ、当業者にとって、このような具体的な技術は単に望ましい実施例であり、これによって本発明の範囲が制限されないという点は明らかであろう。したがって、本発明の実質的な範囲は、特許請求の範囲及びそれらの等価物によって定義される。
前述したように、本発明の配列番号:1のアミノ酸配列を含むペプチド、その断片及び誘導体は、インテグリンα3β1と特異的に結合して細胞の接着伸展を促進させることによって、ラミニンを含む多様な細胞外基質蛋白質により媒介される細胞接着活性の研究、創傷の治療、組織の再生及び癌転移の抑制などに効果的に使用され得る。

Claims (7)

  1. 次の群から選択される細胞接着及び伸展を促進するペプチド;
    (a)配列番号1のアミノ酸配列で表示されるペプチド;
    (b)配列番号14、16〜20のアミノ酸配列で表示される、前記配列番号1のアミノ酸配列で表示されるペプチドの断片;
    (c)配列番号21〜23のアミノ酸配列で表示される、前記配列番号1のアミノ酸配列で表示されるペプチドの誘導体。
  2. 前記誘導体が第12のアルギニンを保存していることを特徴とする請求項1に記載の誘導体。
  3. 前記誘導体が第1のプロリンまたは第2のプロリンを保存していることを特徴とする請求項1に記載の誘導体。
  4. インテグリンα3β1によって細胞の接着・伸展を媒介することを特徴とする請求項1に記載のペプチド。
  5. 請求項1に記載のペプチド、その断片または誘導体を有効性分として含有する創傷の治療、火傷の治療、組織の再生または癌転移の抑制用の組成物。
  6. 請求項1に記載のペプチド、その断片または誘導体を含む創傷被覆材。
  7. 請求項1に記載のペプチド、その断片または誘導体を含む組織工学用支持体。
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