JP4405029B2 - ゴム組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、タイヤ等のゴム製品に用いられるゴム組成物に関し、加工性を低下させることなく加硫時間を短縮し得るゴム組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般にゴム製品は、天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴム等のゴム成分に補強剤、軟化剤、老化防止剤等および加硫反応をさせるための加硫剤、加硫促進剤、加硫助剤等をバンバリーで混練りしてゴム組成物となし、それを熱プレス等で圧力を加えて加熱して加硫を行なう。これらのゴム製品の製造工程においては、加硫工程のサイクルタイムがその前後の工程に比べて長く、ゴム製品の生産性の向上には加硫工程のサイクルタイムを短くする、すなわち加硫時間を短縮することが不可欠となっている。
【0003】
従来よりこの加硫時間を短縮するために、種々の検討が行なわれてきた。たとえば、ゴム組成物の配合処方においては、加硫促進剤に加硫速度の速いものを選択すること、あるいはチウラム系の加硫促進剤を併用することにより、加硫時間を短くすることが試みられている。一方、加工方法の面からは、ゴム組成物をできるだけ高温でモールド内に注入するインジェクションによる加硫を採用することで、初期加熱時間を短くすることが行なわれている。
【0004】
しかしながら、上記のように加硫促進剤の選択によりゴム組成物の加硫速度を速くして加硫時間短縮を行なった場合、同時に加硫温度以下の比較的低温領域でも加硫反応が進行して、スコーチしやすい不安定なゴム組成物になり、加工性および作業性が悪化するという問題があった。
【0005】
このような問題を解決する手段として特開平9−296075号公報、特開平10−17706号公報に示されるように、加硫反応をさせるための加硫剤、加硫促進剤、加硫助剤等の表面を高分子材料の樹脂や、樹脂と無機材料、金属の混合物で被覆する技術が開示されている。そしてこれらの技術は各材料の融点を利用して被覆材を融解させ、内容物を放出する手法である。これらの技術は、各樹脂材料の融点が問題となる。たとえば、特開平9−296075号公報記載の技術の場合、融点が60℃以上のもの、好ましくは80℃以上の樹脂材料を用いている。しかし、実際のゴム加工工程では密閉式混練り機(BR型バンバリー)では、低くても90〜100℃、押出し機による押出し工程では100℃〜130℃となり、これらの樹脂の溶融温度よりかなり高くなっているのが現状である。そのため、これらの工程で内容物が放出されてしまい、加工工程時にゴム焼けが起こるという問題が生じる。またゴム焼けが起こらないような樹脂温度以下たとえば60℃、あるいは80℃以下では加工した場合ゴム組成物の流動性が悪くなり、加工時間の延長や押出し物の形状が悪くなる。
【0006】
一方、特開平10−17706号公報記載の技術に示されているように用いる樹脂の融点を加工温度より高く140℃以上に設定した場合、確かに加工時では前述のような問題がないためにゴム焼けの問題は生じない。しかし、樹脂の溶融温度をできるだけ高くすればゴム焼けの問題は解消するが、加硫時の加硫剤等の放出に問題が生じる。これらのカプセル化の手法は加工温度と加硫温度が近い場合に有効であるが、肉厚の大きいゴム組成物の加硫には必ずしも有効ではない。たとえば、タイヤのような積層構造の製品の場合、加硫時ゴム組成物表面から加わる熱源で内部まで加熱し加硫する必要がある。そして、これらの積層構造製品の加硫時間を決めるのはこれらの内部のコンポーネントの加硫速度である。これら内部のコンポーネントはゴム組成物が厚ければ厚いほど、内部温度が上がりにくく、そのためゴム組成物の内部の温度が外部温度よりも低くなる。したがって肉厚のゴム組成物では加工温度で溶融しない樹脂を用いても加硫温度でも樹脂外壁が溶融せず、所定の加硫時間内で内容物を拡散し、加硫反応が十分進まない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ゴム組成物を加工、加硫する際にゴム組成物に付与される温度に応じて、内包物が拡散し加硫を促進し加硫速度を短縮してゴム製品を得ることのできるゴム組成物およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、加硫反応を促進し得るアミン化合物を充填あるいは含浸したいわゆるマイクロカプセル化した無機多孔質粒子を芯材とし、該芯材を融点が140℃以上の樹脂に金属磁性粉末を混合した樹脂組成物で、コーティングしてなる粒状物を含有することを特徴とするゴム組成物である。そして電磁誘導加熱方法を用いて前記粒状物の表面を融解させ内容物を放出、拡散させた後、前記ゴム組成物を加硫してなることを特徴とするゴム組成物の製造方法である。
【0009】
本発明による製造方法では加硫反応を促進し得るアミン化合物を充填あるいは含浸したいわゆるマイクロカプセル化した無機多孔質粒子を芯材とし、融点が140℃以上の樹脂で被覆しており、したがって140℃より低い加工条件では樹脂が溶解せず、ゴム成分中にアミン化合物が拡散しないため加硫促進反応を抑制することができる。また無機多孔質粒子を用いることでゴム加工工程でのマイクロカプセルの破壊が少ない。そして、加硫前に誘導加熱装置を用いて樹脂に配合されている金属磁性粉末を誘導加熱して加温し、まわりの樹脂を融解させ、マイクロカプセルの内容物を放出させておく。これにより加硫時の十分な加硫促進効果が生じる。つまり芯材の外壁の樹脂に予め金属磁性粉末を含有させておき、これを電磁誘導加熱方式で加熱しマイクロカプセル中の加硫促進剤であるアミン化合物を放出させるものである。
【0010】
本発明の芯材に用いられる無機多孔質粒子はケイ酸ナトリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム等のアルカリ土類金属のケイ酸塩、シリカ、アルミナ、酸化チタン等の金属酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等のアルカリ土類金属の炭酸塩が挙げられる。
【0011】
無機多孔質粒子の粒径は加硫ゴムの物性の影響を抑えるために、粒子径範囲が0.5〜100μm、好ましくは0.5〜50μm、より好ましくは0.5〜30μmである。そして無機多孔質粒子は好適には内部が中空の球形微粒子である。
【0012】
次に本発明で芯材に用いられるアミン化合物は下記式(1)で表わされる化合物である。
【0013】
【化2】
【0014】
式中R1、R2、R3は各々水素または炭素数1〜22のアルキル基である。1分子中でR1、R2、R3は相互に同じでも異なっていてもよい。
【0015】
式(1)で表わされる化合物は具体的にはプロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、アミルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ジアミルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリアミルアミン等が挙げられ、加硫促進効果およびカプセル化効果の点からブチルアミン、アミルアミン、ヘキシルアミン、ジエチルアミン、イソプロピルアミン等が好ましい。アミン化合物の沸点は150℃以下であることが好ましい。沸点が150℃を超えると、アミン化合物が無機多孔質粒子から放出されるのが遅くなり、加硫促進の効果は低下する傾向にある。さらに、第1級アミン、第2級アミンがより好ましい。これらのアミンは加硫時の加熱により、無機多孔質粒子から効果的に放出され、加硫促進効果に優れるからである。
【0016】
本発明において、無機多孔質粒子にアミン化合物を吸着あるいは含浸させる方法、すなわちマイクロカプセルの製法としては、一般に知られるマイクロカプセル化する方法が採択される。たとえば、メカノケミカル法、含浸法、懸濁法、複合エマルジョン法等が採用される。
【0017】
たとえば、より具体的には無機多孔質マイクロカプセルの製法は無機多孔質粒子を密封容器内で真空排気した後、アミン化合物を単独もしくはアミン化合物の水溶液あるいは有機溶媒で希釈して前記容器に注入する。アミン化合物は孔を通して中空の粒子の内部に浸透する。その後必要により水洗し、乾燥させて芯材としての無機多孔質マイクロカプセルが得られる。なおアミン化合物は無機多孔質粒子の中空内部あるいは粒子の表面に物理吸着された状態となっている。したがって本発明ではマイクロカプセルの意味はアミン化合物が無機多孔質粒子の中空部分にのみ充填ないし含浸しているものの他、中空部分と粒子表面にもアミン化合物が吸着されているものも含む。
【0018】
無機多孔質マイクロカプセルはそれ自体ゴム組成物に配合して加硫すると、所定温度で徐々にアミン化合物が放出拡散され加硫を促進するため、従来の加硫速度の速い加硫促進剤を用いた場合におけるスコーチの問題もなく加硫条件の調整が可能となる。
【0019】
次に本発明では、アミン化合物を吸着または含浸させた無機多孔質粒子の芯材に、融点が140℃以上の樹脂に金属磁性粉末を混合した樹脂組成物でコーティングする。
【0020】
本発明で使用される樹脂は、加硫温度以下では溶融、破壊等しないで塗膜構造を維持でき、加硫温度以上では樹脂が溶融または軟化等物性低下により破壊する樹脂が好ましく、溶融または軟化等により破壊する温度が140〜200℃、好ましくは140〜180℃、さらに好ましくは150〜170℃である。
【0021】
このような樹脂としては具体的には、熱可塑性樹脂、特にメタクリル樹脂、ポリウレタン、ポリアセタール、ポリアクリレート、ポリエステル、ポリサルホン、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリプロピレンが好適である。
【0022】
次に、金属磁性粉末に用いる金属としては、鉄、ステンレス、ニッケルなどが挙げられるが、発熱効率の面から考えると鉄が好ましい。特にフェライトと呼ばれる酸化鉄は発熱効果が非常に良いので好適である。
【0023】
また、コーティングする樹脂組成物中に含まれる金属磁性粉末の量は5重量%以上が好ましい。5重量%より少ないと電磁誘導加熱により発熱してもまわりの樹脂を溶融させるには少なすぎる。一方、金属磁性粉末は加硫後もゴム組成物に残存するのでゴム物性に影響を与えるため50重量%以下である。また用いる金属磁性粉末の大きさはできるだけ細かいほど良く、10μm以下好ましくは1μm以下である。
【0024】
コーティングする樹脂と金属磁性粉末で形成される樹脂組成物の膜厚はコーティングした粒径があまり大きくない程度に厚くすることが好ましく、コーティングした芯材の粒状物に対して樹脂組成物は10重量%以上、望ましくは15重量%以上さらに望ましくは20重量%以上にする。10重量%未満では膜厚が薄すぎるため、芯材が比較的低温でも樹脂中を移行してしまうため、コーティング効果が少なくなってしまう。一方、樹脂組成物は60重量%以下で通常用いられる。
【0025】
前記芯材を樹脂組成物でコーティングする方法はコアセルベーション法、液中乾燥法、気中懸濁法、噴霧乾燥法等が採用される。たとえば、噴霧乾燥法は樹脂をトルエン、キシレン等の有機溶剤に溶解した後、この溶液に金属磁性粉末を所定量と、マイクロカプセル化した芯材を懸濁させた後、この懸濁溶液をスプレードライヤーで60℃〜90℃の雰囲気中に噴霧し、乾燥してコーティング粒状物が得られる。
【0026】
本発明に使用されるゴム成分は、天然ゴム(NR)および/またはジエン系合成ゴムである。本発明において用いるジエン系合成ゴムは、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、ポリイソプレンゴム(IR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)等が挙げられ、本発明に使用されるゴム成分中に1種類または2種類以上含まれていてもよい。
【0027】
次に本発明のゴム組成物は充填剤として、カーボンブラックを配合できる。本発明のゴム組成物のカーボンブラックの配合量は、上記ゴム成分100重量部に対し10〜150重量部であることが好ましい。カーボンブラックの配合量が10重量部未満では補強効果が十分に得られず、150重量部を超えると低発熱性が増大し好ましくない。補強性および低発熱性の面から15〜100重量部、さらに25〜80重量部が好ましい。カーボンブラックの例としては、HAF、ISAF、SAF等が挙げられるが、特に制限されるものではない。
【0028】
本発明のゴム組成物はシリカ等の白色充填剤を含んでいてもよい。白色充填剤としては具体的には、シリカ、クレー、アルミナ、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン等が挙げられ、これらは単独あるいは2種以上混合して用いることができる。特に好ましい白色充填剤としてはシリカ、クレー、水酸化アルミニウム、アルミナである。本発明のゴム組成物中に含まれる白色充填剤の配合量は、本発明に使用されるゴム成分100重量部に対して0〜100重量部、好ましくは0〜85重量部、さらに好ましくは0〜65重量部である。白色充填剤の配合量が5重量部未満では、補強効果が小さく、100重量部を超えると作業性が悪化するために好ましくない。低発熱性、作業性の面から、白色充填剤の配合量は65重量部以下が好ましい。
【0029】
また、白色充填剤を使用する場合、充填剤とゴム成分の結合を強め、耐摩耗性を向上させるために、カップリング剤、特にシランカップリング剤を用いることが好ましい。シランカップリング剤の配合量は分散効果、カップリング効果の面から、前記白色充填剤の重量に対して1〜20重量%が好ましい。
【0030】
なお、本発明のゴム組成物には、上記ゴム成分、カーボンブラック、白色充填剤、カップリング剤、マイクロカプセル以外に、必要に応じて軟化剤、老化防止剤、加硫剤、加硫促進剤、加硫促進助剤等の通常のゴム工業で使用される配合剤を適宜配合することができる。
【0031】
本発明のゴム組成物は、ロール、インターナルミキサー等の混練り機を用いて混練りすることによって得られ、成形加工後、電磁誘導加熱および加硫を行なってタイヤ、防振ゴム、ベルト、ホースその他の工業製品等の用途に用いられる。
【0032】
本発明で電磁誘導加熱で粒状物の樹脂を融解させ、アミン化合物をゴム組成物に分散させるには、プラスチックへの金属部品の埋込や、プラスチック成形品への溶着接合を行なう装置で、一般に電磁誘導ウェルダーとして知られているものが使用される。
【0033】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。
【0034】
(1) マイクロカプセル(無機多孔質粒子にアミン化合物の吸着または含浸)の調製
粒子径範囲が0.5〜6.0μmの中空多孔質シリカ球形粒子(鈴木油脂工業(株)製のゴッドボールB−6C)50gを三角フラスコにとり、ガラス容器中にセットして1時間真空排気した後、1mol/Lのアミン水溶液500mlを浸透させる。常圧にして24時間放置した後、ろ別、水洗、乾燥させてアミン化合物を内包した無機多孔質マイクロカプセルを得た。
【0035】
(2) 粒状物(芯材の樹脂組成物によるコーティング)の調製
ポリプロピレン樹脂(融点164℃)をキシレンに溶解し20%溶液とする。この溶液に金属磁性粉末である平均粒径(0.1μmまたは0.2μm)のマグネタイト粉を樹脂に対する重量比で(20%)、前述の無機多孔質カプセルを懸濁させた後、この懸濁溶液をスプレードライヤーで80℃の雰囲気中に噴霧し乾燥させて、これらの加硫剤または加硫促進剤を芯材としたコーティング粒状物を得た。各種のコーティング粒状物をサンプル1〜5として組成を表1に示す。
【0036】
(3) ゴム組成物の調製
ゴム組成物の配合処方を表2に示す。上記のようにして得られたサンプル1〜5および加硫剤以外の配合剤をバンバリーミキサーで混練りしてマスターバッチを作製した後、8インチロールにてマスターバッチと加硫剤およびサンプル1〜5の粒状物をそれぞれ混練りして調製した。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
表2の配合に用いた各種薬品は次のとおりである。
注1) ジエン系ゴム;ジェイエスアール(株)製のSBR1502(スチレン−ブタジエン共重合体)
注2) カーボンブラック;昭和キャボット社製のショウブラックN220
注3) ステアリン酸;日本油脂(株)製のステアリン酸
注4) 酸化亜鉛;三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
注5) 硫黄;鶴見化学(株)製の粉末硫黄
注6) 加硫促進剤 TBBS;ノクセラー NS(大内新興化学)
(化学名:N−第三−ブチル−2−ベンゾチアジル・スルフェンアミド)
(4) ゴム組成物の電磁誘導加熱および加硫
電磁誘導加熱は精電舎工業(株)のUH−2.5Kを用いて周波数900kHzで出力Max2.5kWの条件下で行なった。
【0040】
しかる後、ゴム組成物を170℃で20分間プレス加硫して加硫物を得た。
ゴム組成物の評価方法は次のとおりである。
【0041】
(1) 加工性
ムーニー試験機を用いて、JIS K6300に基づき、ゴム焼けの指標としてT10を測定した。T10は(i)未加硫ゴム初期状態(初期)、(ii)未加硫ゴムを120℃で1時間オーブンに入れた後(オーブン処理)、(iii)未加硫ゴムを120℃に設定したBR型小型バンバリーで30分間混合した(バンバリー処理)後、それぞれ測定を行なった。また、上記(iii)のゴム表面の肌の状態を外観で次のように評価した。
【0042】
○:表面肌が良好(ゴム焼けなし)
△:表面肌が少しざらざら(ゴム焼け少し発生)
×:表面肌がざらざら(ゴム焼け発生)
(2) 加硫速度
キュラストメーターを用いて評価した。すなわち、キュラストメーターによるねじりトルクの最大値と最小値との差の10%+最小値に達するまでの時間をT10、90%+最小値に達するまでの時間をT90とした。測定温度130℃、150℃、170℃の各温度で測定を行なった。加硫速度はT10およびT90の値が小さいほど速いことを示す。
【0043】
(3) 厚物加硫テスト
サンドイッチ構造の未加硫ゴムサンプルを作製し、これに電磁誘導加熱処理を施す。その後、このサンプルを170℃で15、20、25、30分間加硫をしてゴム層中央の加硫状態をポーラス(気泡)の有無で確認する。
【0044】
ここで電磁誘導加熱の条件は次のとおりである。
テスト装置;精電舎電子工業(株) UH−2.5K
周波数 900kHz
出力 Max 2.5KW
試験条件;渦巻き状のコイル上に4mmのタイルをひき、その上にゴムサンプルを置く。
【0045】
出力 0.8A(2.6KW)で3分間処理する。
(4) 引張強度
JIS 6301に準拠して測定を行なった。
【0046】
【表3】
【0047】
【表4】
【0048】
表3から実施例1、2および3は150℃、および170℃におけるT10、T90の時間が本発明のサンプルを配合していない比較例1より短く、加硫時間が短縮していることがわかる。さらに、表面肌も良く、ゴム焼けも生じていない。さらに表4から電磁誘導加熱を施したゴム組成物は実施例3を除き気泡は全く生成しておらず、均一加硫していることが認められる。
【0049】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0050】
【発明の効果】
上述のごとく本発明は、アミン化合物を吸着ないし含浸した無機多孔質粒子を、金属磁性粉末を配合した樹脂組成物でコーティングした粒状物を含むゴム組成物であり、電磁誘導加熱で容易に樹脂が融解し、しかる後アミン化合物がゴム組成物中に分散するため加硫反応が促進され、その後加硫時間が大幅に短縮できる。
Claims (5)
- 前記アミン化合物が第1級アミンである請求項1記載のゴム組成物。
- 樹脂の融点は140〜180℃である請求項1または2記載のゴム組成物。
- 請求項1または2のゴム組成物を電磁誘導加熱方法で粒状物の表面樹脂を融解させ、アミン化合物を芯材から放出させた後、加硫することを特徴とするゴム組成物の製造方法。
- 請求項1または2のゴム組成物をトレッド部に用いたタイヤ。
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