JP5403397B2 - タイヤトレッド用ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、磁性体粉末およびMR流体を含有するタイヤトレッド用ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤに関する。
近年、自動車の高性能化および高馬力化が進む一方、安全性に対する意識も高まっており、タイヤに対するグリップ性能の要求も強まってきている。たとえば、高速走行時の諸性能もその1つに挙げられている。空気入りタイヤのトレッド部は、車の走行とともに発熱が生じ、高温になることでグリップ性能が低下する。
従来、グリップ性能を向上させるための手法としては、たとえば、特許文献1のようにイミダゾール類やラクタム類のような塩基性老化防止剤と有機金属化合物を配合させることにより、タイヤトレッド用ゴム組成物中でイオン結合を有する塩基性老化防止剤を付与させることができ、その結果グリップ性能を向上させることができた。しかしながら、塩基性老化防止剤にイオン結合を付与するために使用される有機金属化合物は、カルボン酸が発生し、架橋阻害を起こすという問題があった。
また、グリップ性能を向上させる方法として、特許文献2には、ゴム成分中に無機多孔質粒子を芯材として、金属磁性粉末を混合した樹脂組成物でコーティングした粒状物を含有したタイヤ用ゴム組成物が記載されている。該ゴム組成物は、粒状物をゴム成分中に分散させた後、電磁誘導加熱により粒状物の表面を溶融させ、芯材である無機多孔質粒子を放出および拡散させるというものであるが、無機多孔質粒子をゴム組成物のフィラーとして用いると引張強度が低下するという問題があった。
特開2006−124423号公報 特開2001−261894号公報
本発明は、中〜高温にかけてグリップ性能を向上させたタイヤトレッド用ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明は、ゴム成分100質量部に対して磁性体粉末を1〜30質量部、MR流体を1〜30質量部含有するタイヤトレッド用ゴム組成物である。
前記タイヤトレッド用ゴム組成物は、さらに、前記ゴム成分100質量部に対して圧電素子を1〜30質量部含有することが好ましい。
前記タイヤトレッド用ゴム組成物は、さらに、前記ゴム成分100質量部に対して水素結合を含む化合物および/またはイオン結合を含む化合物を合計0.1〜20質量部含有することが好ましい。
本発明は、前記タイヤトレッド用ゴム組成物を用いたトレッドを有する空気入りタイヤである。
本発明によれば、広い温度領域のグリップ性能を向上させたタイヤトレッド用ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤを提供することができる。
本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物は、ゴム成分、磁性体粉末およびMR流体を含有する。
<ゴム成分>
ゴム成分としては、とくに制限されるわけではないが、天然ゴム(NR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、ブチルゴム(IIR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、イソプレンゴム(IR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)などがあげられ、これらのゴム成分は単独で用いてもよく、2種以上を組み合せて用いてもよい。なかでも、タイヤトレッド用ゴムとして十分な強度を有し、優れた耐摩耗性を示すことから、NR、SBRまたはBRなどを用いることが好ましく、SBRを用いることがより好ましい。
SBRとしては、乳化重合により得られるものと溶液重合により得られるものがあげられるが、とくに制限はない。
SBRの結合スチレン量は、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、30質量%以上がさらに好ましく、35質量%以上がとくに好ましい。SBRの結合スチレン量が10質量%未満では、中温(30〜50℃)および高温(100℃前後)条件下において、グリップ性能の十分な改善効果が得られない傾向がある。またSBRの結合スチレン量は、60質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、45質量%以下がさらに好ましい。SBRの結合スチレン量が60質量%をこえると、ゴムが硬くなり、路面との接地面積が減少し、高いグリップ性能が得られない傾向がある。
ゴム成分中にSBRを含む場合、十分なグリップ性能を得られることから、SBRの含有率は、100質量%が好ましい。
<磁性体粉末>
本発明で、磁性体粉末とは、磁性を有する一般的な粉末である。
磁性体粉末としては、フェライト系磁石、希土類系磁石、γ酸化鉄、二酸化クロムまたはコバルト−クロム合金などがあげられる。フェライト系磁石としては、フェライト、バリウムフェライト、ストロンチウムフェライト、マンガン亜鉛フェライト、ニッケル亜鉛フェライト、銅亜鉛フェライトなどがあげられる。希土類磁石に用いられる希土類元素としては、具体的には、サマリウム、ネオジウムなどがあげられる。なかでも、入手しやすいという理由から、フェライトを用いることが好ましい。
磁性体粉末の平均粒子径は、摩耗性能に優れるという理由から、0.5μm以上であることが好ましく、1.0μm以上であることがより好ましい。また、磁性体粉末の平均粒子径は、高充填に優れるという理由から、50μm以下であることが好ましく、40μm以下であることがより好ましい。
磁性体粉末の含有量は、十分な磁力が得られるという理由から、ゴム成分100質量部に対して1質量部以上であることが好ましく、3質量部以上であることがより好ましい。また、磁性体粉末の含有量は、耐摩耗性能に優れるという理由から、ゴム成分100質量部に対して30質量部以下であることが好ましく、25質量部以下であることがより好ましい。
磁性体粉末の磁束密度は、5〜1000mTが好ましい。
<MR流体>
本発明で、MR流体とは、媒体となる液体中に強磁性金属微粒子を高濃度で分散させたスラリーで、外部磁場の影響で、磁化された強磁性金属微粒子同士が強く引き付け合うため、スラリーの粘度が高くなるものである。
磁性体粉末を配合し、ゴム組成物に磁性をもたせた場合には分散が難しく、異物のため摩耗性も悪化していたが、本発明では磁性体粉末とMR流体(磁気粘性流体:Magneto−Rheological Fluid)を組合わせてゴム組成物に少量配合することで、高温グリップを向上させ、かつ摩耗性の低下も抑えることができる。
MR流体に含まれる強磁性金属微粒子としては、鉄が好ましい。
MR流体に含まれる強磁性金属微粒子の平均粒子径は、摩耗性能に優れるという理由から、0.5μm以上であることが好ましく、1.0μm以上であることがより好ましい。また、MR流体に含まれる強磁性金属微粒子の平均粒子径は、高充填に優れるという理由から、50μm以下であることが好ましく、40μm以下であることがより好ましい。
MR流体に含まれる強磁性金属微粒子の含有量は、十分な磁力が得られるという理由から、1質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましい。また、分散性に優れるという理由から、MR流体中に強磁性金属微粒子は、30質量%以下含まれていることが好ましく、25質量%以下含まれていることがより好ましい。
MR流体に用いる媒体となる液体としては、ゴムの可塑剤であるオイルに混合しやすいという理由から、ポリαオレフィンを用いることが好ましい。
上記MR流体の含有量は、十分な磁力が得られるという理由から、ゴム成分100質量部に対して1質量部以上であることが好ましく、3質量部以上であることがより好ましい。また、耐摩耗性能に優れるという理由から、ゴム成分100質量部に対して30質量部以下であることが好ましく、25質量部以下であることがより好ましい。
<圧電素子>
本発明に用いられる圧電素子は、振動エネルギーを電気エネルギーに変換する機能を果たすものである。このような圧電素子としては、圧電セラミックスまたは圧電性ポリマーなどが使用される。具体的には、BaTiO3、(Ba、Pb)TiO3、(Ba、Ca)TiO3、(K、Na)NbO3、(K、Li)NbO3、Pb(Zr、Ti)O3(すなわちPZT)、複合ペロブスカイトを配合したPZT、PLZT(LaをドープしたPZT)、Bi4Ti312、LiNbO3、LiTiO3などのほか、ZnO、AlN、PbTiO3などの圧電セラミックス、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデンとトリフルオロエチレンとの共重合体、ビニリデンシアナイドと酢酸ビニルとの共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、ヨウ素化ポリ酢酸ビニルなどのほか、ポリウレアなどの高分子圧電体などがある。
圧電素子の配合量は、ゴム成分100質量部に対して1〜30質量部、好ましくは3〜15質量部、より好ましくは5〜10質量部である。配合量が1質量部未満であると、タイヤのグリップ性能を向上させる効果が不十分である。また、30質量部をこえると耐摩耗性が低下する。
圧電素子の平均粒径は、0.01〜50μmであることが好ましく、0.01〜10μmであることがより好ましい。平均粒径が0.01μm未満では、タイヤのグリップ性能を向上させる効果が十分でない傾向がある。また、平均粒径が50μmをこえると、耐摩耗性が低下する傾向がある。圧電素子の形状は球形である必要はなく、板状、薄膜状、あるいは不規則な形状であることもできるが、いずれの場合であっても、粉砕、切断などにより、最大径が上記平均粒径の範囲内とすることが好ましい。
圧電素子のキュリー温度は、100℃以上であることが好ましい。キュリー温度が100℃未満では、圧電性消失によりグリップ性能を向上させる効果が得られない傾向がある。
圧電素子の圧電定数(g33)は5×10-3Vm/N以上であることが好ましい。5×10-3Vm/N未満では、グリップ性能を向上させる効果が得られない傾向がある。
圧電素子は、加熱したシリコンオイル中で高圧電を印加する操作を行なうなどのポーリング処理により、分極を揃えておくことができる。
<水素結合を含む化合物および/またはイオン結合を含む化合物>
本発明は、さらに水素結合を含む化合物および/またはイオン結合を含む化合物を含有することが好ましい。水素結合を含む化合物および/またはイオン結合を含む化合物とは、歪みや熱などの外部からの刺激を結合エネルギーロスに換えることができる化合物である。水素結合を有する化合物をゴム組成物に配合することで、中温条件(30〜50℃)下でのグリップ性能を向上させることができ、イオン結合を有する化合物をゴム組成物に配合することで、高温条件(100℃前後)下でのグリップ性能を向上させることができる。
水素結合を含む化合物としては、ピペリジン誘導体、イミダゾール類およびカプロラクタム類などがあげられる。なかでも、入手しやすいという理由から、イミダゾール類、カプロラクタム類が好ましい。
イオン結合を含む化合物としては、有機カルボン酸金属塩などの有機金属化合物、チオカルボン酸およびリン酸塩などがあげられる。なかでも、入手しやすいという理由で、プロピオン酸カルシウム、酢酸マグネシウムが好ましい。
水素結合を含む化合物および/またはイオン結合を含む化合物は単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。グリップ性能に優れるという理由から、水素結合を含む化合物およびイオン結合を含む化合物を2種以上組み合わせて用いることが好ましい。
水素結合を含む化合物および/またはイオン結合を含む化合物の含有量は、グリップ性能に優れるという理由から、ゴム成分100質量部に対して0.1質量部以上であることが好ましい。また、水素結合を含む化合物および/またはイオン結合を含む化合物の含有量は、摩耗性能および加工性に優れるという理由から、ゴム成分100質量部に対して20質量部以下であることが好ましい。
<カーボンブラック>
本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物は、さらに補強用充填剤を含有することができる。補強用充填剤は単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。補強用充填剤としては、たとえばカーボンブラック、シリカ、炭酸カルシウム、酸化マグネシウムなどがあげられるが、補強効果が大きいという理由からカーボンブラックが好ましい。
カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して10〜200質量部であることが好ましく、20〜150質量部であることがより好ましい。カーボンブラックの含有量が10質量部未満では、耐摩耗性が低下する傾向がある。また、200質量部をこえると、加工性が悪化する傾向がある。
カーボンブラックのチッ素吸着比表面積は、80〜280m2/gであることが好ましく、100〜200m2/gであることがより好ましい。チッ素吸着比表面積が80m2/g未満では、グリップ性能および耐摩耗性が低下する傾向がある。また、チッ素吸着比表面積が280m2/gをこえると、良好な分散が得られにくく、加工性が低下する傾向がある。
<老化防止剤>
本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物は、さらに老化防止剤を含有することが好ましい。
老化防止剤 としては、アミン系、フェノール系、イミダゾール系の各化合物や、カルバミン酸金属塩、ワックスなどを適宜選択して使用することが可能である。
老化防止剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して0.1〜20質量部であることが好ましく、1〜10質量部であることがより好ましい。老化防止剤の含有量が0.1質量部未満では、老化防止効果が小さい傾向がある。また、20質量部をこえると、タイヤ性能が悪化する傾向がある。
<軟化剤>
本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物は、さらに軟化剤を含有することが好ましい。
軟化剤としては、たとえば、アロマオイル、ナフテンオイル、パラフィンオイル、植物油などのオイルや、クマロンレジン、石油系レジン、フェノール系レジン、テルペンレジン、キシレンレジンなどのレジンがあげられる。
オイルを含有する場合、オイルの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、油展オイルを含めて、10〜200質量部であることが好ましく、20〜150質量部であることがより好ましい。オイルの含有量が10質量部未満では、ウェットグリップ性能が不十分になる傾向がある。また、200質量部をこえると、耐摩耗性が著しく低下する傾向がある。
レジンの軟化点は、40〜200℃が好ましく、60〜180℃であることがより好ましい。レジンの軟化点が40℃未満では、高温条件下でのグリップ性能が低下する傾向がある。200℃をこえると、混練時の分散性が低下する傾向がある。
レジンを配合する場合、レジンの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、1〜50質量部であることが好ましく、5〜30質量部であることがより好ましい。レジンの含有量が1質量部未満では、グリップ性能が不十分になる傾向がある。また、50質量部をこえると、過度の粘着性を示すため、加工が困難となる傾向がある。
グリップ性能に優れるという理由から、オイルおよびレジンを併用することが好ましい。
<加硫剤>
加硫剤としては、有機過酸化物もしくは硫黄系加硫剤を使用できる。有機過酸化物としては、たとえば、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3あるいは1,3−ビス(t−ブチルパーオキシプロピル)ベンゼン等を使用することができる。また、硫黄系加硫剤としては、たとえば、硫黄、モルホリンジスルフィドなどを使用することができる。これらの中では硫黄が好ましい。
<加硫促進剤>
加硫促進剤としては、スルフェンアミド系、チアゾール系、チウラム系、チオウレア系、グアニジン系、ジチオカルバミン酸系、アルデヒド−アミン系またはアルデヒド−アンモニア系、イミダゾリン系、もしくは、キサンテート系加硫促進剤のうち少なくとも一つを含有するものを使用することが可能である。
<加硫助剤>
加硫助剤としては、ステアリン酸、酸化亜鉛(亜鉛華)などを使用することができる。
<その他の添加剤>
本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物には、前記成分の他にオゾン劣化防止剤などの添加剤を配合することができる。
<タイヤトレッド用ゴム組成物の製造方法>
本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物は、まずゴム成分と磁性体粉末を混合し、可塑剤であるオイルを配合する工程でMR流体を配合することにより得ることができる。このような工程で製造することにより、ゴム成分とオイルの両方に磁性体を分散させることができる。
<タイヤの製造方法>
本発明のタイヤは、本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物を用いて通常の方法で製造される。すなわち、必要に応じて前記添加剤を配合した本発明タイヤトレッド用ゴム組成物を、未加硫の段階でタイヤのトレッドの形状に合わせて押し出し加工し、タイヤ成型機上にて通常の方法で成形することにより、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧して、空気入りタイヤを得ることができる。
<実施例1〜4、比較例1〜9、11>
(タイヤトレッド用ゴム組成物の作製)
表1および表2に示す配合処方にしたがい、バンバリーミキサーを用いて、硫黄および加硫促進剤以外の薬品を150℃の条件下で3分間混練りし、混練り物を得た。次に、得られた混練り物に硫黄および加硫促進剤を添加し、オープンロールを用いて、100℃の条件下で5分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。
さらに、未加硫ゴム組成物を170℃の条件下で12分間プレス加硫し、実施例1〜4、比較例1〜9、11の加硫ゴムシートを作製した。該加硫ゴムシートについて、以下の項目を測定した。
(架橋度(SWELL))
加硫ゴムシートをトルエンに25℃で24時間浸漬し、浸漬前後の体積変化率(SWELL)を測定した。測定値が大きいほど、架橋度が小さく、かつばらつきが大きく好ましくないことを示す。
(粘弾性試験)
(株)岩本製作所製の粘弾性スペクトロメータを用いて、初期歪10%、動歪2%および周波数10Hzの条件下で、40℃および100℃における加硫ゴムシートの物性(複素弾性率E’(単位:MPa)および損失tanδ)を測定した。なお、E’が大きいほど剛性に優れている事を示し、tanδが大きいほどグリップ性が高く、グリップ性能に優れていることを示す。
(引張試験)
JIS K 6251「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム―引張特性の求め方」に準じて、前記加硫ゴムシートからなる3号ダンベル型ゴム試験片を用いて評価を行なった。この試験により、各加硫ゴムシートについて、300%伸長時応力(M300)を測定した。実施例1、比較例1〜6は比較例1のM300を100とし、実施例2〜4、比較例7〜9、11は比較例7のM300を100として、下記計算式により、それぞれ指数表示した。引張強度指数が大きいほど、耐アブレージョン摩耗性能が向上していることを示す。
(引張強度指数)=(各配合のM300)/(比較例1または比較例7のM300)×100
(実車評価)
未加硫ゴムシートをトレッド形状に成形して、他のタイヤ部材と貼り合わせ、170℃の条件下で12分間プレス加硫することにより、11×7.10−5サイズのカート用タイヤを作製した。
カートに作製したタイヤを装着し、1周2kmのテストコースを8周走行し、実施例1、比較例1〜6は比較例1のタイヤのグリップ性能を3点とし、実施例2〜4、比較例7〜9、11は比較例7のタイヤのグリップ性能を3点とし、5点満点でテストドライバーが官能評価した。点数が高いほど、グリップ性能が高いことを示す。なお、初期グリップ性能は1〜4周目のグリップ性能、後半グリップ性能は5〜8周目のグリップ性能を示す。さらに、実施例1、比較例1〜6は走行後の比較例1のタイヤの外観を3点とし、実施例2〜4、比較例7〜9、11は比較例7のタイヤの外観を3点とし、各配合の摩耗外観を5点満点で相対評価した。点数が高いほど、タイヤの摩耗量が少なく、耐摩耗性に優れていることを示す。
各結果を表1および表2に示す。
Figure 0005403397
Figure 0005403397
(注1)SBR:旭化成(株)製のタフデン4350(結合スチレン量39質量%、ゴム成分100質量部に対してオイル分50質量部含有)
カーボンブラック:三菱化学(株)製のダイヤブラックA(N110、チッ素吸着比表面積:130m2/g)
老化防止剤6C:フレキシス社(株)製のサントフレックス13
老化防止剤224:フレキシス社(株)製のノクラック224
ステアリン酸:日本油脂(株)製のステアリン酸
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の酸化亜鉛2種
アロマオイル:ジャパンエナジー(株)製のプロセスX−260
レジン:日本石油化学(株)製のネオポリマー140
窒素化合物:四国化成工業(株)製のキュアゾール2MZ(2−メチルイミダゾール)
酸:4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)
酢酸マグネシウム:キシダ化学(株)製の酢酸マグネシウム
磁性体粉末:戸田工業(株)製のフェライト粉末FH−800(平均粒子径:1.2μm、N2SA:2.2m2/g、圧縮密度:3.1g/m3、磁束密度:1680G)
MR流体:ジグマハイケミカル製のE−600(強磁性金属微粒子:鉄(平均粒子径:10μm、含有量85質量%)、媒体:ポリαオレフィン)
圧電素子:呉羽化学(株)製のポリフッ化ビニリデン(平均粒径:5μm、キュリー温度:120℃、圧電定数:7.0×10-2Vm/N)
硫黄:鶴見化学(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製のノクセラーNS
(評価結果)
[実施例1、比較例1〜6]
実施例1は、磁性体粉末、MR流体、水素結合を含む化合物(窒素化合物と酸)およびイオン結合を含む化合物(酢酸マグネシウム)を含むゴム組成物およびそれを用いたタイヤである。磁性体粉末、MR流体、水素結合を含む化合物およびイオン結合を含む化合物のいずれも含まない比較例1に比べて中温時(40℃)、高温時(100℃)ともに剛性、グリップ性に優れている。さらにタイヤについては、後半グリップ性能が非常に優れている。
比較例2は、水素結合を含む化合物を含むが、磁性体粉末およびMR流体を含まないゴム組成物およびそれを用いたタイヤである。比較例1に比べて中温時(40℃)、高温時(100℃)ともに剛性、グリップ性が向上し、タイヤについては後半グリップ性能が向上したが、実施例1より劣る。
比較例3は、水素結合を含む化合物およびイオン結合を含む化合物を含むが、磁性体粉末およびMR流体を含まないゴム組成物およびそれを用いたタイヤである。比較例1に比べて中温時(40℃)、高温時(100℃)ともに剛性、グリップ性が向上し、タイヤについては後半グリップ性能が向上したが、実施例1より劣る。
比較例4は、水素結合を含む化合物、イオン結合を含む化合物および磁性体粉末を含むが、MR流体を含まないゴム組成物およびそれを用いたタイヤである。比較例1に比べて中温時(40℃)、高温時(100℃)ともに剛性、グリップ性が向上し、タイヤについては後半グリップ性能が向上したが、実施例1より劣る。さらに耐アブレージョン摩耗性能および摩耗外観が非常に悪化した。
比較例5は、磁性体粉末、MR流体、水素結合を含む化合物およびイオン結合を含む化合物を含むゴム組成物およびそれを用いたタイヤである。比較例1に比べて中温時(40℃)、高温時(100℃)ともに剛性、グリップ性が向上し、タイヤについては後半グリップ性能が向上したが、磁性体粉末とMR流体の含有量がそれぞれSBR150質量部(ゴム成分100質量部)に対して0.5質量部と少ないため、実施例1より各性能が劣る。
比較例6は、磁性体粉末、MR流体、水素結合を含む化合物およびイオン結合を含む化合物を含むゴム組成物およびそれを用いたタイヤである。磁性体粉末とMR流体の含有量がそれぞれSBR150質量部(ゴム成分100質量部)に対して40質量部と多く、耐摩耗性能が非常に悪化した。
[実施例2〜4、比較例7〜9、11]
実施例2は磁性体粉末、MR流体、水素結合(窒素化合物と酸)を含む化合物およびイオン結合(酢酸マグネシウム)を含む化合物を含むゴム組成物およびそれを用いたタイヤである。比較例7に比べて中温時(40℃)、高温時(100℃)ともに剛性、グリップ性に優れている。さらにタイヤについては、後半グリップ性能が優れている。摩耗外観は
同等である。
実施例3は磁性体粉末、MR流体、水素結合を含む化合物およびイオン結合を含む化合物を含むゴム組成物およびそれを用いたタイヤである。比較例7に比べて中温時(40℃)、高温時(100℃)ともに剛性、グリップ性に優れているが、耐アブレージョン摩耗性が劣る。さらにタイヤについては、後半グリップ性能が非常に優れているが、摩耗外観が劣る。
実施例4は磁性体粉末、MR流体、圧電素子、水素結合を含む化合物およびイオン結合を含む化合物を含むゴム組成物およびそれを用いたタイヤである。比較例7に比べて中温時(40℃)、高温時(100℃)ともに剛性、グリップ性に優れており、耐アブレージョン摩耗性は同等である。さらにタイヤについては、後半グリップ性能が非常に優れており、摩耗外観が同等である。
比較例8は磁性体粉末、水素結合を含む化合物およびイオン結合を含む化合物を含むが、MR流体および圧電素子を含まないゴム組成物およびそれを用いたタイヤである。比較例7に比べて、グリップ性能は同等であるが、耐アブレージョン摩耗性および摩耗外観が劣っている。さらにタイヤについては、初期グリップ性能および後半グリップ性能が向上した。
比較例9は、磁性体粉末、MR流体、水素結合を含む化合物、イオン結合(酢酸マグネシウム)を含む化合物および圧電素子を含むゴム組成物およびそれを用いたタイヤである。磁性体粉末とMR流体の含有量がそれぞれSBR150質量部(ゴム成分100質量部)に対して0.5質量部と少ないため、比較例7に比べて耐アブレージョン摩耗性および摩耗外観が向上したが、中温時(40℃)、高温時(100℃)の剛性、グリップ性が同等で、タイヤについては後半グリップ性能も同等であった。
比較例11は圧電素子、水素結合を含む化合物およびイオン結合を含む化合物を含むが、磁性体粉末およびMR流体を含まないゴム組成物およびそれを用いたタイヤである。比較例7に比べて、グリップ性能は同等であるが、耐アブレージョン摩耗性および摩耗外観が劣っている。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。

Claims (4)

  1. ゴム成分100質量部に対して磁性体粉末を1〜30質量部、MR流体を1〜30質量部含有するタイヤトレッド用ゴム組成物。
  2. さらに、前記ゴム成分100質量部に対して圧電素子を1〜30質量部含有する請求項1記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
  3. さらに、前記ゴム成分100質量部に対して水素結合を含む化合物および/またはイオン結合を含む化合物を合計0.1〜20質量部含有する請求項1または2に記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
  4. 請求項1〜3いずれか1つに記載のタイヤトレッド用ゴム組成物を用いたトレッドを有する空気入りタイヤ。
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