JP4404995B2 - A面サファイア基板を用いたZnO系化合物半導体発光素子およびその製法 - Google Patents
A面サファイア基板を用いたZnO系化合物半導体発光素子およびその製法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体発光ダイオードやレーザダイオードなどの半導体発光素子、SAW(surface acoustic wave;表面弾性波)フィルタやSAW発振素子などのSAWデバイス、焦電素子、圧電素子、ガスセンサなどのZnO系化合物半導体を用いた素子、およびそれらの素子を製造するためのZnO系化合物半導体層の結晶成長方法に関する。さらに詳しくは、ZnO系化合物半導体層を結晶性よく成長し、発光効率の向上などの素子特性を向上することができるZnO系化合物半導体を用いた素子、およびそれらの素子を製造するためのZnO系化合物半導体層の結晶成長方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
フルカラーディスプレーや、信号灯などの光源に用いられる青色系(紫外から黄色の波長領域を意味する、以下同じ)の発光ダイオード(以下、LEDという)や、室温で連続発振する次世代の高精細DVD光源用などの青色系半導体レーザ(以下、LDという)は、最近サファイア基板のC面上にGaN系化合物半導体を積層することにより得られるようになり脚光を浴びている。
【0003】
この構造は、図9にLDチップの斜視説明図が示されるように、サファイア基板21のC面上にIII 族チッ化物化合物半導体が有機金属化学気相成長法(Metal Organic Chemical Vapor Deposition 以下、MOCVDという)により順次積層されるもので、GaN緩衝層22、n形GaN層23、Al0.12Ga0.88Nからなるn形クラッド層24、GaNからなるn形光ガイド層25、InGaN系化合物半導体の多重量子井戸構造からなる活性層26、p形GaNからなるp形光ガイド層27、p形Al0.2 Ga0.8 Nからなるp形第1クラッド層28a、Al0.12Ga0.88Nからなるp形第2クラッド層28b、p形GaNからなるコンタクト層29が順次積層され、積層された半導体層の一部が図9に示されるようにドライエッチングなどによりエッチングされてn形GaN層23を露出させ、その表面にn側電極31、前述のコンタクト層29上にp側電極30がそれぞれ形成されることにより構成されている。
【0004】
一方、ZnO系化合物半導体もワイドギャップエネルギー半導体で、Cdを混晶させることによりバンドギャップエネルギーのナロー化がなされ、同様に青色系の発光をさせ得ること、SAWデバイスや焦電素子、圧電素子などに用いられることなどのため、種々の研究がなされ始めている。そして、このZnO系化合物半導体もGaN系化合物半導体やサファイアと同様にヘキサゴナル(hexagonal)結晶であり、格子定数もこれらと近いため、GaN系化合物半導体のエピタキシャル成長用基板として工業的に広く用いられている主面がC面の(0001)サファイアが、基板として考えられている。
【0005】
この(0001)サファイア基板上へのZnO系化合物半導体の成長は、たとえばZ. K. Tangらによる「ルーム−テンパラチャー ウルトラバイオレット レーザ エミッション フロム セルフアッセンブルド ZnO マイクロクリスタライト シン フィルムズ(Room-temperature ultraviolet laser emission from self-assembled ZnO microcrystallite thin films)」(アプライドフィジックスレター(Applied Physics Letters)第72巻25号、1998年6月22日号、3270〜3272頁)にも記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前述のように、従来のZnO系化合物層を成長するには、基板としてC面を主面とする(0001)サファイア基板が用いられ、その上にZnO系化合物半導体のC面が重なるように成長されている。しかしサファイアのc軸長csは12.991Åでa軸長asが4.754Åであるのに対して、ZnOのc軸長czは5.213Åでa軸長azは3.25Åであるため、格子不整合度εは、ε=(az−as)/as=−31.6%と非常に大きくなる。この場合、図10に示されるように、ZnOの結晶が30°回転して成長する場合があるが、その場合でも、格子不整合度εは、ε=(2/31/2・az−as)/as=−21.1%と非常に大きい。そのため、とくに結晶成長時の基板温度や、ZnおよびO元素の供給量、基板の表面処理方法や、傾斜角度などの種々のパラメータが複雑に作用し、結晶成長面の平坦性の再現性に乏しいという問題がある。
【0007】
また、サファイアとZnOとで格子定数が整合しないため、前述のように、ZnOが30°回転して成長する場合があり、回転しない結晶と30°回転する結晶とが混在して、一層結晶成長面の平坦性の再現性が乏しいという問題がある。
【0008】
本発明はこのよな問題を解決するためになされたもので、結晶性の優れたZnO系化合物結晶層が得られ、素子の特性を向上させた半導体発光素子などのZnO系化合物を用いる素子を提供することを目的とする。
【0009】
本発明の他の目的は、結晶性の優れたZnO系化合物結晶層を得ることができるZnO系化合物の結晶成長方法を提供することにある。
【0010】
本発明のさらに他の目的は、結晶性の優れたZnO系化合物半導体を用い、発光特性の優れたLEDやLDなどの半導体発光素子を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、サファイア基板上にZnO系化合物結晶層を成長するのに、格子欠陥が少なく結晶性のよいZnO系化合物層を成長すべく鋭意検討を重ねた。その結果、サファイアのA面など、C面と直交する面を主面とする基板表面にZnO系化合物層を成長することにより、非常に結晶性に優れ、発光特性など素子特性の優れた素子が得られることを見出した。
【0013】
ここにZnO系化合物とは、Znを含む酸化物、具体例としてはZnOの他IIA族元素とZnまたはIIB族元素とZnまたはIIA族元素およびIIB族元素とZnのそれぞれの酸化物であることを意味する。また、サファイア基板のC面と直交する面とは、サファイアのA面の他にそのA面がC面内で回転する面のように、C面と直角に交わる面を意味し、直交(直角)には、通常の基板製作仕様上許容される±0.5°以内のものを含む意味である。
【0017】
本発明の半導体発光素子は、A面を主面とするサファイア基板と、該サファイア基板の前記主面上に面内配向するようにエピタキシャル成長されたZnO系化合物半導体からなるn形層およびp形層を少なくとも有し、発光層を形成すべく積層される半導体積層部とを含み、前記サファイア基板のc軸長と、前記サファイア基板の前記主面上に設けられる前記ZnO系化合物半導体層の格子のa軸長4個分とが整合するように前記半導体積層部が形成され、かつ、前記半導体積層部が、Cd x Zn 1-x O(0≦x<1)からなる活性層を、Mg y Zn 1-y O(0≦y<1)からなり前記活性層よりバンドギャップエネルギーの大きいクラッド層により挟持するダブルヘテロ構造を有している。
【0018】
前記サファイア基板の前記主面上に、ZnOからなるコンタクト層が面内配向するようにエピタキシャル成長され、該コンタクト層上に前記半導体積層部が形成されることが好ましい。
【0019】
【発明の実施の形態】
つぎに、図面を参照しながら本発明のZnO系化合物層を用いた素子、およびそれらの素子を製造するためのZnO系化合物層の結晶成長方法について説明をする。
【0020】
本発明のZnO系化合物層を有する素子は、図1にその一実施形態であるA面を主面とするサファイア基板1上にZnO化合物層を成長した断面説明図が示されるように、サファイア基板1のC面と直交する面、たとえばA面(11−20)を主面とするサファイア基板1の前記主面(A面)上にZnO系化合物層2がエピタキシャル成長されている。このZnO系化合物層の成長は、目的とする素子により必要な組成(MgやCdなどを混晶したり、ドーパントをドーピングしたりする)にしたり、必要な厚さに成長される。たとえば半導体発光素子を構成する場合には、後述するように、たとえばZnO系化合物半導体層からなるn形クラッド層とp形クラッド層とで、クラッド層よりバンドギャップの小さい活性層を挟持する発光層形成部を構成するように順次積層される。
【0021】
サファイアのA面は、図2(a)にサファイア単結晶の代表的な面方位が、図2(b)に単結晶のC面の正面図が示されるように、C面の格子の1つおきの格子を結ぶ線分のC面と垂直な面で、サファイア単結晶の(11−20)の面方位で示される面である。この面方位は6回対称で、図2(b)に示されるように、1つの六角柱にて形成される結晶で6ヶ所ある。このA面であれば、後述するようにサファイアのc軸長にZnOのa軸長が4個分に対応して、優れた結晶構造が得られると考えられるが、この考えに基づくと、必ずしもA面である必要はなく、図2(b)のXで示されるように、A面がC面内で回転するような面でもC面に対して直角になり、このようにC面に直交する面であればよい。なお、このC面に対して直角(直交)というのは、ほぼ直角という程度のもので、通常の面方位の誤差である±0.5°程度の範囲は結晶軸長のズレには影響しない。
【0022】
このサファイア基板1上にZnO化合物層を成長するには、まずA面を主面とするサファイアのウェハ1を、アセトン、エタノールを用いて、脱脂洗浄をし、最後に純粋洗浄をする。その後、洗浄ウェハをロードロック(Load Lock)室に入れ、10-6Torr程度以下の真空度中で、400℃程度で1時間程度の予備加熱をし、余分な水分を飛ばす。
【0023】
予備加熱終了後、10-9〜10-10Torr程度の真空度に保たれたMBE(Molecular Beam Epitaxy)装置に搬入する。そして、800℃程度で30分程度のサーマルクリーニングをした後に650℃程度にする。そして、O2ラジカルを13.56MHzのRFによりプラズマ化することによって供給し、Znのセルのシャッターを開けることによりZnO層2がエピタキシャル成長する。なお、MgやCdなどを混晶したり、ドーパントをドーピングする場合には、それらの元素のセルを開けることにより所望のZnO系化合物層を得ることができる。なお、この例では、洗浄後のサーマルクリーニングを800℃程度で30分程度行ったが、1000℃程度で1時間程度のアニール処理を行うと成長するZnO層の結晶性の再現性が非常に向上することが確認された。
【0024】
このように、A面を主面とするサファイア基板の表面にエピタキシャル成長したZnO膜の結晶状態を調べるため、数千Å程度の厚さにエピタキシャル成長したZnO膜の表面にX線を照射して、その反射強度分布により得られる面の法線方向の位置をその面方位と共に図3に示す。図3(a)が本発明のA面を主面とするサファイア基板上に成長した膜における面の法線方向の位置を示す図で、図3(b)がC面を主面とするサファイア基板上に成長したZnO膜における面の法線方向の位置を示す図である。
【0025】
ZnOはa軸方向で6回対称であるため、本来なら6点しか回折パターン(面の法線方向の位置)が現れないはずであるが、図3(b)に示されるC面上に成長したZnO膜では、ZnOのa軸とサファイアのa軸とが平行なところの他に、ZnOのa軸がサファイアのa軸に対して30°回転したパターンが入り混じり、12点のパターンが観察されている(実際には、30°回転の位置のパターンは強度が薄く、その割合が少ないことを示していた)。これに対して、図3(a)に示されるように、本発明のA面上に成長させたZnO膜は、ZnOのA面とサファイアのC面とが平行になり、ZnOは一定の結晶方向でサファイアのc軸方向に成長し、6回対称の回折パターンのみが観察されている。すなわち30°回転した結晶成長はしていないことが分る。
【0026】
また、MBE法により1分程度成長した状態(数百Å程度の厚さ)で、RHEED法(反射高エネルギー電子回折法;電子銃により10〜50kVで加速された電子ビームを基板表面に浅い角度(1〜2゜以下)で入射させ、表面原子によって反射回折された電子ビームを蛍光スクリーンに投影して結晶の表面状態を調べる方法)により調べた結果、サファイアのC面上に成長した膜では、本来のZnOパターンの間に薄いパターンが現れたが、本発明のA面上に成長したZnO膜では、面内配向の乱れがなく本来のZnOのパターンのみが観察された。
【0027】
図4は、ZnO膜の結晶状態をさらに別の方法で調べたもので、このZnOのバンドギャップエネルギーより大きい4eV程度の光を照射してフォトルミネッセント発光をさせたものの波長に対する発光強度を示した図である。図4のAで示される特性が、本発明のA面を主面とするサファイア基板上に成長したZnO膜の特性で、Cで示される特性がC面を主面とするサファイア基板上に成長したZnOの特性である。図4からも明らかなように、本発明のZnO膜では、C面上に成長したZnO膜より約30倍の強度の発光が得られ、その半値幅もC面上に成長したものが30meVであるのに対して、本発明のA面に成長したものは0.7meVと小さく、明らかに良好な結晶が得られていることを示している。
【0028】
本発明によれば、C面と直交するA面を主面とするサファイア基板上にZnO系化合物を成長しているため、前述のように、結晶性の優れたZnO系化合物層が得られた。この理由はつぎのように考えられる。すなわち、サファイアのc軸長csは、前述のように、12.991Åであり、ZnOのa軸長azは、3.25Åであるため、csがほぼ4azとなる。そのため、図5にA面を主面とするサファイア基板上に成長するZnOの結晶状態(C面)の平面図が示されるように、サファイアのc軸長csに2個分のZnO結晶(a軸が4個分の結晶)が配列されて、非常に面内配向が安定し、常に一定の面内配向で成長すると考えられる。このときの格子整合度εは、ε=(4×az−cs)/cs=0.07%となり、非常に整合度が高くなっている。その結果、高い結晶性を保持して成長することができる。
【0029】
この観点からは、A面でなくても、前述の図2に示されるX面のように、A面がC面内で回転した面、すなわちC面と直交する面であれば、前述の図5に示されるように、サファイアのc軸長に、ZnOのa軸長4個分が対応するようにZnO系化合物結晶が配列され、同様に結晶性のよいZnO系化合物結晶層が得られることが推察される。
【0030】
つぎに、このA面(11−20)を主面とするサファイア基板を用いて、ZnO系化合物半導体層を成長した青色系の半導体発光素子の構成例について説明をする。
【0031】
本発明の半導体発光素子は、図6にLEDチップの斜視説明図が示されるように、A面を主面とするサファイア基板1の表面にZnO系化合物半導体からなるn形層3、4およびp形層6、7を少なくとも有し、発光層を形成するように半導体積層部11が積層されている。
【0032】
半導体積層部11は、図6に示される例では、Gaをドープしたn形ZnOからなるコンタクト層3が1μm程度、同じくGaをドープしたMgy Zn1-y O(0≦y<1、たとえばy=0.15)からなるn形クラッド層4が0.2μm程度、Cdx Zn1-x O(0≦x<1、かつクラッド層よりバンドギャップエネルギーが小さくなる組成、たとえばx=0.08)からなる活性層5が0.1μm程度、GaおよびNを同時ドープしたMgy Zn1-y O(0≦y<1、たとえばy=0.15)からなるp形クラッド層6が0.2μm程度、GaおよびNを同時ドープしたZnOからなるp形コンタクト層7が1μm程度、それぞれ積層されることにより、ダブルヘテロ構造の発光層形成部を有する半導体積層部11になっている。これらの半導体層は、前述のMBE装置で連続的に成長される。なお、活性層5は、非発光再結合中心の形成を避けるため、ノンドープであることが好ましい。また、n形およびp形クラッド層4、6は、活性層5よりバンドギャップが大きく、キャリアを活性層5内に有効に閉じ込める効果を有するように形成されている。
【0033】
半導体積層部11上には、電流を拡散させるための、たとえばITO膜からなる透明電極8が0.2μm程度成膜されており、その表面の一部にNi/AlまたはNi/Auなどの積層体からなるp側電極10がリフトオフ法などにより、また、半導体積層部11の一部がエッチングにより除去され、露出するn形コンタクト層3上に、Ti/AlまたはTi/Auなどの積層体からなるn側電極9が真空蒸着などにより形成されている。
【0034】
つぎに、このLEDの製法について説明をする。前述のように、A面を主面とするサファイア基板1をアセトンなどにより脱脂洗浄をし、Load Lock室で予備加熱、MBE装置内でのサーマルクリーニングをした後、650℃程度にして酸素ラジカルを供給すると共に、Zn、Mg、Cd、Gaなどの、所望材料のセルのシャッターを開けることにより、前述の組成のZnO系化合物半導体層をそれぞれ前述の厚さになるように、順次エピタキシャル成長して、半導体積層部11を形成する。なお、n形層を形成する場合はドーパントとしてGaをドーピングし、p形層を形成する場合は、ドーパントとしてN2プラズマとGaを同時にドーピングした。
【0035】
その後、MBE装置よりエピタキシャル成長がされたウェハを取り出し、反応性イオンエッチング(RIE)などのドライエッチング法により、半導体積層部の一部をエッチングして、n形コンタクト層3を露出させる。このエッチングは、硫酸系エッチャントなどによるウェットエッチングにより行うこともできる。その後、たとえばスパッタ装置に入れて、p形コンタクト層7上にITOを成膜し、透明電極8を0.2μm程度の厚さに設ける。その後、リフトオフ法などによりn形コンタクト層3上にTi/Alなどからなるn側電極9を、ITO膜8上の一部にTi/Alなどからなるp側電極10を、それぞれ0.2μm程度づつ形成する。その後ウェハからチップ化することにより、図1に示されるLEDチップが得られる。
【0036】
本発明の半導体発光素子によれば、A面を主面とするサファイア基板の表面にZnO化合物半導体層がエピタキシャル成長されているため、サファイアのc軸長とZnO化合物の4個のa軸長とが整合して配列され、結晶性のよいZnO化合物半導体層が成長する。その上に成長されるZnO系化合物半導体層もZnOと同種の化合物であり、ZnO層の結晶に沿って整合された結晶層が成長する。その結果、膜質の悪い場合のように非発光再結合中心が発生することなく、内部量子効率が大幅に向上し、ZnO系化合物の有する高いエキシトンと相俟って、非常に高い発光効率の半導体発光素子が得られる。なお、A面を主面とするサファイア基板上に成長する化合物半導体層は、ZnOでなくても、Znの一部がMgやCdなどと置換されたZnO系化合物半導体でも格子定数に殆ど変化はなく、同様に結晶性よく成長することができる。
【0037】
前述の例は、LEDの例であったが、LDであっても同様である。この場合、半導体積層部11が若干異なり、たとえば図7に斜視説明図が示されるように、活性層15はノンドープのCd0.03Zn0.97O/Cd0.2 Zn0.8 Oからなるバリア層とウェル層とをそれぞれ50Åおよび40Åづつ交互に2〜5層づつ積層した多重量子井戸構造により形成することが好ましい。また、活性層15が薄く充分に光を活性層15内に閉じ込められない場合には、たとえばZnOからなる光ガイド層14、16が活性層15の両側に設けられる。なお、半導体積層部11の一部がエッチングされて、露出するn形コンタクト層3にn側電極9が形成されるのは、前述のLEDの場合と同様である。
【0038】
また、図7に示される例では、電流狭窄層17を埋め込むSAS型構造のLDチップの例で、p形Mg0.15Zn0.85Oからなるp形第1クラッド層6aの上に、たとえばn形Mg0.2 Zn0.8 Oからなる電流狭窄層17が0.4μm程度設けられ、一旦結晶成長装置からウェハを取り出し、表面にレジスト膜を設けてストライプ状にパターニングをし、硫酸系溶液などにより電流狭窄層17をストライプ状にエッチングして、2〜3μm幅のストライプ溝18が形成され、再度MBE装置にウェハを戻し、p形Mg0.15Zn0.85Oからなるp形第2クラッド層6bおよびp形ZnOからなるp形コンタクト層7が前述の例と同様に成長されることにより形成されている。この場合は、ITOからなる透明電極は不要で、p形コンタクト層7上にもほぼ全面にp側電極10が形成されている。なお、図示されていないが、p形第1クラッド層6aと電流狭窄層17との間にp形GaNからなるエッチングストップ層が設けられることが好ましい。
【0039】
ZnO系化合物半導体は、ウェットエッチングによりエッチング処理をすることができるため、GaN系化合物半導体では難しい電流狭窄層を埋め込むSAS型構造のLDチップを形成することができ、活性層の近くに電流狭窄層を形成することができ、高特性の半導体レーザが得られる。しかし、LDチップの構造は、SAS型構造に限らず、p側電極をストライプ状にしただけの電極ストライプ構造や、ストライプ状電極の両側の半導体層をp形クラッド層の上部までをメサ型形状にエッチングするメサストライプ構造や、プロトンなどを打ち込んだプロトン打込み型にすることもできる。電極ストライプ構造のLDチップの例を図8に示す。この構造はp側電極10がストライプ状にパターニングされていることと、電流狭窄層が設けられていない点で図7の構造と異なるだけで、他の構造は図7と殆ど同じで、同じ部分には同じ符号を付して、その説明を省略する。なお、6はp形クラッド層である。
【0040】
前述の例では、LEDとして、ダブルヘテロ構造の例であったが、単純なpn接合やMIS(金属−絶縁層−半導体層)構造など他の構造にすることもできる。また、LDチップの構造も、光ガイド層がなく他の層が設けられてもよく、前述の積層構造に限定されるものではない。
【0041】
さらに、前述の各例では、ZnO系化合物層の成長をするのに、MBE装置を用いて行ったが、MOCVD装置などを用いて行うこともできる。この場合、反応ガスとしては、Znとしてジエチル亜鉛(Zn(C2H5)2)、Oとしてテトラヒドロフラン(C4H8O)、Mgとしてシクロペンタジエチルマグネシウム(Cp2Mg)、Cdとしてジエチルカドミウム(Cd(C2H5)2)、ドーパントのGaとしてトリエチルガリウム(TEG)、N2としてプラズマN2を供給することにより気相反応をさせることができる。
【0042】
なお、前述の例では、ZnO系化合物半導体を用いた素子の例が半導体発光素子のみであるが、SAWデバイス、圧電素子、焦電素子などで、結晶性の優れたZnO系化合物層を必要とする場合は、同様にC面と直交する面を主面とするサファイア基板を用いて成長させることにより、結晶性の優れたZnO系化合物半導体層を有する素子を得ることができる。
【0043】
【発明の効果】
本発明によれば、非常に結晶性の優れたZnO系化合物層を成長することができるため、その上に積層するZnO系化合物層の結晶性も優れ、優れた特性のZnO系化合物層を有する素子が得られる。
【0044】
また、本発明の半導体発光素子によれば、積層されるZnO系化合物半導体層の結晶性が非常に優れているため、非常に内部量子効率の優れた青色系の半導体発光素子を、ウェット処理をすることができる材料により得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態であるA面サファイア基板上にZnO層を成長した状態の断面説明図である。
【図2】サファイア単結晶の代表的な面方位の説明図である。
【図3】本発明によるA面を主面とするサファイア基板上に成長したZnO層のX線の反射像によるポールフィギュア図(a)を、C面を主面とするサファイア基板上に成長したもの(b)と対比して示した図である。
【図4】本発明によるA面を主面とするサファイア基板上に成長したZnO層のフォトルミネッセントスペクトルを、C面を主面とするサファイア基板上に成長したものと対比して示した図である。
【図5】本発明によりサファイアのA面上にZnOを成長させたときの、ZnO結晶の配向状態の説明図である。
【図6】本発明の半導体発光素子の一実施形態であるLEDチップの説明図である。
【図7】本発明の半導体発光素子の他の実施形態であるLDチップの説明図である。
【図8】本発明の半導体発光素子の他の実施形態であるLDチップの説明図である。
【図9】従来のGaN系化合物半導体を用いたLDチップの一例の斜視説明図である。
【図10】サファイアのC面上にC面が平行になるようにZnOを成長したときの結晶配向の説明図である。
【符号の説明】
1 A面サファイア基板
2 ZnO層
4 n形クラッド層
5 活性層
6 p形クラッド層
11 半導体積層部
Claims (2)
- A面を主面とするサファイア基板と、該サファイア基板の前記主面上に面内配向するようにエピタキシャル成長されたZnO系化合物半導体からなるn形層およびp形層を少なくとも有し、発光層を形成すべく積層される半導体積層部とを含み、前記サファイア基板のc軸長と、前記サファイア基板の前記主面上に設けられる前記ZnO系化合物半導体層の格子のa軸長4個分とが整合するように前記半導体積層部が形成され、かつ、前記半導体積層部が、Cd x Zn 1-x O(0≦x<1)からなる活性層を、Mg y Zn 1-y O(0≦y<1)からなり前記活性層よりバンドギャップエネルギーの大きいクラッド層により挟持するダブルヘテロ構造を有してなるZnO系化合物半導体発光素子。
- 前記サファイア基板の前記主面上に、ZnOからなるコンタクト層が面内配向するようにエピタキシャル成長され、該コンタクト層上に前記半導体積層部が形成されてなる請求項1記載の半導体発光素子。
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