上記の構成によると、各繰出機構のケーシング内や繰出ロールなどに付着した粒状肥料などの粉粒体を取り除く清掃作業や、繰出ロールの交換などのメンテナンスを行う場合には、各繰出機構の上部に位置する肥料タンクをメンテナンス位置に移動させた後、各繰出機構の離脱部分を固定部分から離脱させる必要があり、又、そのメンテナンス後には、各繰出機構の固定部分に離脱部分を組み付けた後、肥料タンクを、メンテナンス位置から各繰出機構の上部に戻す必要がある。
しかも、作業機に離脱部分を仮置きする場所を確保することは困難であることから、離脱部分を、作業機の繰出機構配設箇所と機外の仮置き位置とにわたって搬送する手間を要することになる。
つまり、繰出機構の内部に対するメンテナンスを行うための準備作業や、そのメンテナンス後の組み付け作業にかなりの労力を要することになる。
本発明の目的は、繰出機構の内部に対するメンテナンスを容易に行えるようにすることにある。
上記の課題を解決するための手段として、本発明では、繰出機構の作動で粉粒体を繰り出すように構成された粉粒体供給装置において、前記繰出機構のケーシングを、上側ケース部と下側ケース部とに分割可能な2分割構造で構成し、前記上側ケース部と前記下側ケース部とを、この上側ケース部及び下側ケース部の後部の左右向きの連結軸を支点にして開閉揺動可能に連結し、前記繰出機構を、作業姿勢と、この繰出機構の後部の左右向きの軸心周りで後方に傾倒させて前記ケーシングの内部を開放したメンテナンス姿勢とに、姿勢切り換え可能に構成し、前記繰出機構の前記メンテナンス姿勢への姿勢切り換えに伴って、前記連結軸が前記繰出機構の姿勢切り換え方向と同じ方向に前記軸心周りに変位するように、前記繰出機構が前記作業姿勢での前記軸心の位置を前記連結軸の後方上方の位置に設定し、前記繰出機構を前記メンテナンス姿勢に切り換えると、前記上側ケース部と前記下側ケース部とが前記連結軸を支点にして互いに離れる方向に相対揺動して、前記ケーシングの内部が開放されるように構成してある。
この構成によると、繰出機構を、作業姿勢からメンテナンス姿勢に切り換えるだけで、繰出機構の全体又は部分的に取り外す手間を要することなく、その内部を開放することができ、その内部に対する、例えば、そのケーシングの内部や繰出ロールに付着した粉粒体を取り除く清掃作業や繰出ロールの交換などのメンテナンスを行える。又、そのメンテナンス後は、繰出機構を、メンテナンス姿勢から作業姿勢に切り換えるだけで、粉粒体の繰り出しが可能な状態にできる。
又、繰出機構を取り外す必要がないことで、それを仮置きする場所の確保や搬送する手間が不要になる。
従って、ケーシングの内部や繰出ロールに付着した粉粒体を取り除く清掃作業や繰出ロールの交換などの繰出機構の内部に対するメンテナンスの際に要する手間や労力を効果的に削減できるメンテナンス性に優れたものにできる。
この構成によると、繰出機構をメンテナンス姿勢に切り換えた際に、ケーシングの上側ケース部と下側ケース部とが上下に大きく離間するように構成するほど、繰出機構の内部を大きく開放することができ、その内部に対する、例えば、そのケーシングの内部や繰出ロールに付着した粉粒体を取り除く清掃作業や繰出ロールの交換などのメンテナンスが更に行い易くなる。
従って、ケーシングの内部や繰出ロールに付着した粉粒体を取り除く清掃作業や繰出ロールの交換などの繰出機構の内部に対するメンテナンス性の向上が可能になる。
この構成によると、上側ケース部と下側ケース部とを連結軸で連結したことで、それらを開いた状態での安定性が向上し、繰出機構の内部に対するメンテナンスが行い易くなるとともに、繰出機構をメンテナンス姿勢から作業姿勢に切り換える際の上側ケース部と下側ケース部との連結が行い易くなる。
従って、繰出機構の内部に対するメンテナンス性、及び、繰出機構をメンテナンス姿勢から作業姿勢に切り換える際の操作性の向上を図れる。
ところで、上述したように上側ケース部と下側ケース部とを連結軸で連結すると、それらを開いた状態での姿勢が安定して、繰出機構の内部に対するメンテナンス性や、繰出機構をメンテナンス姿勢から作業姿勢に切り換える際の操作性が向上する反面、繰出機構の姿勢切り換え支点である左右向きの軸心との位置関係によっては、繰出機構をメンテナンス姿勢に切り換えた際の開放領域が狭くなることがある。
又、このような粉粒体供給装置を作業機に搭載装備する場合、繰出機構をメンテナンス姿勢に切り換える際の揺動方向を、走行機体から離れる方向に設定することで、その繰出機構の内部を開放するための距離を稼ぐのであるが、作業機には、本来より運転座席などの他物が多く装備されていることから、その揺動で得られる開放領域だけでは、繰出機構の内部に対するメンテナンスを行う上では不十分になることがある。
そこで、繰出機構のメンテナンス姿勢への姿勢切り換えに伴って、上側ケース部と下側ケース部との連結軸を、その姿勢切り換え方向と同じ方向に左右向きの軸心周りに変位させて、繰出機構の内部を開放するための距離をより大きく稼げるようにしているのであり、これによって、運転座席などの他物が多く装備される作業機に搭載装備した場合であっても、繰出機構の内部をより大きく開放できることから、その内部に対するメンテナンスが行い易くなる。
従って、上側ケース部と下側ケース部とを連結軸で開閉揺動可能に連結して、それらを開いた状態での安定性の向上を図るものでありながら、繰出機構の内部をより大きく開放できるよりメンテナンス性に優れたものにできる。
近年、田植機や直播機などのように、走行機体の後部にリンク機構を介して苗植付装置や播種機などの作業装置を連結装備する作業機においては、その機体の安定性の向上を図りながら、植え付けや播種に連動した肥料や薬剤の供給を可能にするために、走行機体の後部に粉粒体供給装置を搭載装備することが考えられているのであるが、この構成においては、粉粒体供給装置の後方に作業装置が装備されていることから、粉粒体供給装置に対する作業を機体後方から行うにはかなりの無理が生じることになる。
そこで、繰出機構を、左右向きの軸心周りでの後方への変位でメンテナンス姿勢に切り換わるように構成して、そのメンテナンス姿勢では、その内部を前方側に開放させるとともに、その前方側に作業空間を確保し易くするのであり、これによって、繰出機構の内部に対するメンテナンスをその前方側つまり走行機体側から簡単に行える。
従って、走行機体の後部に粉粒体供給装置を搭載装備するミッドマウント式の作業機におけるメンテナンス性の向上を好適に図れる。
本発明をより好適なものにするための手段の一つとして、前記繰出機構を、前記ケーシングの内部に装備した繰出ロールの回転で前記粉粒体の繰り出しを行うように構成し、前記ケーシングを上下に分割する分割線が、前記繰出ロールの回転軸心位置を通るように構成してある。
この構成によると、繰出機構をメンテナンス姿勢に切り換えると、ケーシングが、繰出ロールの回転軸心位置を通る分割線によって上側ケース部と下側ケース部とに分割され、繰出ロールが下側ケース部に受け止め支持された状態となり、繰出ロールをケーシングから簡単に取り外せるようになる。
従って、繰出ロールに付着した粉粒体を取り除く清掃作業や繰出ロールの交換などのメンテナンスが更に行い易くなる。
本発明をより好適なものにするための手段の一つとして、前記繰出機構が、その前記メンテナンス姿勢から前記作業姿勢への姿勢切り換えに伴って、前記粉粒体の繰り出しが可能な状態に自動復帰するように構成してある。
この構成によると、繰出機構のメンテナンス姿勢から作業姿勢への姿勢切り換え後に、例えば、繰出機構をメンテナンス姿勢で固定する、あるいは、開閉可能なケーシングを閉じ状態で固定する、などの専用の固定操作を行わなくても、繰出機構を作業姿勢に切り換える姿勢切り換え操作を行うだけで、粉粒体の繰り出しが可能な状態にすることができる。
従って、繰出機構をメンテナンス姿勢から作業姿勢に切り換える際のより一層の操作性の向上を図れる。
本発明をより好適なものにするための手段の一つとして、前記繰出機構の前記作業姿勢から前記メンテナンス姿勢への姿勢切り換え時における前記繰出機構の前記メンテナンス姿勢を越える方向への前記軸心周りでの変位を規制する第1規制部材と、前記繰出機構の前記メンテナンス姿勢から前記作業姿勢への姿勢切り換え時における前記繰出機構の前記作業姿勢を越える方向への前記軸心周りでの変位を規制する第2規制部材とを設けてある。
この構成によると、繰出機構がメンテナンス姿勢を越えて更に姿勢変更することや、作業姿勢を越えて更に前方に姿勢変更することに起因して、繰出機構が、その周囲に配備される例えば運転座席や作業装置などの他物に干渉する虞を回避できる。
又、繰出機構の組み付け時に第2規制部材を有効利用すれば、繰出機構の作業姿勢での組み付けが行い易くなる。
従って、繰出機構がその姿勢切り換え時に他物に干渉することに起因した繰出機構や他物の損傷を未然に回避できるとともに、繰出機構の組み付け性の向上を図れる。
本発明をより好適なものにするための手段の一つとして、前記繰出機構を前記メンテナンス姿勢で保持する保持部材を設けてある。
この構成によると、保持部材により繰出機構をメンテナンス姿勢で保持できることから、繰出機構をメンテナンス姿勢に切り換えた際に、例えば、一方の手で繰出機構をメンテナンス姿勢に保持しながら、他方の手でケーシングの内部や繰出ロールに付着した粉粒体を取り除く、といった無理な体勢での作業を強いることがない。
従って、繰出機構の内部に対するメンテナンス性の向上を更に図れる。
図1には作業機の一例である乗用形田植機の全体側面が示されており、この田植機は、走行機体1の後部に、油圧シリンダ2の作動で昇降揺動するリンク機構3を介して苗植付装置4を駆動昇降可能に連結し、かつ、粉粒体供給装置5の一例である施肥装置5を搭載装備して構成されている。
走行機体1は、その前部に搭載したエンジン6からの動力を、静油圧式無段変速装置7やギヤ式変速装置8などを介して、左右の前輪9及び後輪10に伝達する四輪駆動形で、その前後中央に、左右の前輪9を操向するステアリングホイール11や運転座席12などを備える搭乗運転部13を形成した乗用形に構成されている。
苗植付装置4は、動力分配機構14に伝達されたギヤ式変速装置8からの作業用動力で、8条分のマット状苗を載置する苗載台15が左右方向に一定ストロークで往復駆動されるとともに、左右方向に並設されたロータリ式の植付機構16が、苗載台15の下端から苗を所定量ずつ切り出して、複数の整地フロート17で整地した泥土部に植え付けるように回転駆動され、かつ、苗載台15が左右のストローク端に到達するごとに各マット状苗が苗載台15の下端に向けて縦送りされることで、最大8条の苗の植え付けを行える8条植え用に構成されている。
図1〜7に示すように、施肥装置5は、ギヤ式変速装置8から出力された後輪駆動用の動力で、左右方向に並設された繰出機構18が、施肥タンク19に貯留された粉粒体の一例である粒状肥料を所定量ずつ繰り出すように駆動され、電動式の送風機20で生起される搬送風で、各繰出機構18により繰り出された粒状肥料を対応する対地排出部21としての作溝器21に搬送し、それらの各作溝器21から圃場泥土内に供給することで、最大8条の施肥を行える8条施肥用に構成されている。
施肥タンク19は、2条分の粒状肥料を貯留する4つのホッパ22を左右方向に連結し、それらの各上端に形成された肥料供給口を開閉する単一の蓋体23を備えて構成されている。各ホッパ22の下端には、肥料取出口が形成されるとともに、4つの繰出機構18のうちの対応するものが連結されている。
各繰出機構18は、各ホッパ22の下端に接続されるケーシング24の内部に、周面に複数の肥料繰り出し用の凹部25aが整列形成された2つ1組で合計4つの繰出ロール25を、ケーシング24に左右向き姿勢で支持された駆動軸26と一体回転する状態に左右に並設し、又、施肥タンク19の肥料取出口に対する各繰出ロール25の開放面積を変更することによる肥料繰り出し量の調節を可能にするシャッター式の施肥量調節機構27などを備え、その駆動軸26に、後輪駆動用の動力が施肥伝動機構28を介して伝達されて左右の各繰出ロール25が回転駆動されることで、最大2条分の粒状肥料の繰り出しを行えるように構成されている。
施肥伝動機構28は、ギヤ式変速装置8から後車軸ケース29に伝動する伝動軸30に装備した動力取出部31で、後輪駆動用の動力の一部を施肥用として取り出した後、ロッド32や揺動アーム33などを介して左右向きの伝動軸34に伝達し、この伝動軸34から、対応する補助クラッチ35を介して、各繰出機構18のケーシング24から突出する駆動軸26の左端部に一体形成した従動ギヤ36と噛合する駆動ギヤ37に伝達するように構成されている。ロッド32と揺動アーム33との間には、それらの連結位置を変更することで、揺動アーム33の揺動角を調節することによる肥料繰り出し量の調節を可能にする施肥量調節部38が備えられ、又、揺動アーム33と伝動軸34との間には、揺動アーム33の揺動運動を回転運動に変換する動力変換部39が備えられている。
ケーシング24は、上側ケース部24Aと下側ケース部24Bとに分割可能な2分割構造に構成され、上側ケース部24Aと下側ケース部24Bとが、駆動軸26の後方で、かつ、伝動軸34の下方に位置するように配置設定された連結軸24Cによって、その連結軸24Cを支点にした開閉揺動操作が可能となるように連結され、下側ケース部24Bに備えたフック状の固定具24Dによる閉じ状態での固定保持が可能となっている。
そして、上側ケース部24Aと下側ケース部24Bとに分割する分割線が駆動軸26の軸心位置を通るように、ケーシング24に対する駆動軸26の支持位置が設定され、又、上側ケース部24Aと下側ケース部24Bとの開き操作に伴って、上側ケース部24Aに支持される伝動軸34に外嵌装着した駆動ギヤ37が、下側ケース部24Bで受け止め支持される駆動軸26に一体形成した従動ギヤ36から離間して、従動ギヤ36との噛合を解除するようになっており、もって、ケーシング24の開き状態では、駆動軸26などとともに繰出ロール25をケーシング24から簡単に取り外すことができる。
下側ケース部24Bは、左右の繰出ロール25で繰り出されるそれぞれの粒状肥料を左右に案内する二股状に形成され、左右それぞれの下端部には、前後向きに設定された筒状の搬送部24Eが一体形成されている。
搬送部24Eは、その前端部が送風管40を介して送風機20に接続され、その後端部が樹脂製のフレキシブル管などからなる搬送管41を介して対応する作溝器21に接続されている。送風機20は、走行機体1の左右中央に位置するように運転座席12の下方に配置され、エンジン6などで加熱された空気を、その吸気口からエンジン1に向けて延設された吸気管42を介して吸引して搬送風に利用することで、湿気などに起因した粒状肥料の搬送管41や作溝器21への付着を抑制する。各作溝器21は、対応する植付機構16に隣接して、その植付機構16で植え付けられた苗の横側方近傍箇所に粒状肥料を供給するように、対応する整地フロート17に支持装備されている。
各繰出機構18は、走行機体1の後端部に装備した支持フレーム43に、施肥タンク19とともに支持されている。支持フレーム43は、走行機体1の後端部に立設された固定フレーム部43Aに、各繰出機構18及び施肥タンク19が連結される可動フレーム部43Bを、ケーシング開閉用の連結軸24Cよりも後部上方に配置設定された左右向きの支軸43Cを介して、その軸心X1周りでの上下揺動が可能となるように連結して構成され、その可動フレーム部43Bの遊端が、走行機体1における固定フレーム部43Aから前方に所定間隔を隔てた位置に立設された左右一対の受け部材44に弾性体45を介して受け止め支持され、それら左右の各受け部材44と可動フレーム部43Bの遊端とにわたってそれぞれ設けたバックル式の固定具46によって、左右の受け部材44で受け止め支持された状態での固定保持が可能となっている。
左側の受け部材44には、可動フレーム部43Bを受け部材44による受け止め位置から上方に揺動させた所定位置で受け止め保持する受止姿勢と、その受け止め保持を解除して退避した退避姿勢とにわたって揺動操作可能な杆状の保持部材47と、退避姿勢に揺動操作された保持部材47との弾性係合で、この保持部材47を退避姿勢に保持する樹脂製の保持具48とが備えられている。
以上の構成から、各繰出機構18のケーシング24に備えた固定具24Dによる上側ケース部24Aと下側ケース部24Bとの固定保持を解除し、かつ、各繰出機構18のケーシング24から搬送管41などを取り外した状態で、固定具46による可動フレーム部43Bの受け止め位置での固定保持を解除して、可動フレーム部43Bを、左右向きの軸心X1周りに受け部材44による受け止め位置から上方に向けて揺動させると、各繰出機構18が施肥タンク19とともに、その左右向きの軸心X1周りで後方に向けて傾倒し、かつ、その傾倒に伴って、送風管40との接続で下端部の移動が規制されているケーシング24の連結軸24Cが左右向きの軸心X1周りに上昇することで、上側ケース部24Aと下側ケース部24Bとが、連結軸24Cを支点にして、互いに離れる方向に相対揺動する状態となって、その内部を機体前方側に大きく開放するようになる。そして、この開放状態で、保持部材47を受止姿勢に切り換えて可動フレーム部43Bを受け止め保持させるようにすれば、ケーシング24の内部や繰出ロール25に付着した粒状肥料を取り除く清掃作業や繰出ロール25の交換などのメンテナンスを、苗植付装置4が邪魔になることのない走行機体側から容易に行える。
又、そのメンテナンス後は、保持部材47による可動フレーム部43Bの受け止め保持を解除して、可動フレーム部43Bを、左右向きの軸心X1周りに受け部材44による受け止め位置まで下降揺動させると、各繰出機構18が施肥タンク19とともに、その左右向きの軸心X1周りで前方に向けて起立し、かつ、その起立に伴って、送風管40との接続で下端部の移動が規制されているケーシング24の連結軸24Cが左右向きの軸心X1周りに下降することで、上側ケース部24Aと下側ケース部24Bとが、連結軸24Cを支点にして、互いに近づく方向に相対揺動する状態となって、その機体前方側に大きく開放した空間を閉じるようになる。そして、この閉じ状態で、各繰出機構18の上側ケース部24Aと下側ケース部24Bとを固定具24Dで固定し、下側ケース部24Bの各搬送部24Eに搬送管41を接続し、左右の固定具46で可動フレーム部43Bを受け部材44による受け止め位置で固定すれば、施肥タンク19の各ホッパ22に貯留した粒状肥料の各繰出機構18による繰り出しが可能になる。
つまり、可動フレーム部43Bを左右向きの軸心X1周りに操作することで、施肥タンク19に貯留した粉粒体の繰り出しが可能となるように、各繰出機構18を施肥タンク19とともに起立させて各ケーシング24を閉じた作業姿勢と、ケーシング24の内部や繰出ロール25に付着した粒状肥料を取り除く清掃作業や繰出ロール25の交換などのメンテナンスが可能となるように、各繰出機構18を施肥タンク19とともに後方に傾倒させて各ケーシング24を開いたメンテナンス姿勢とに切り換えられ、又、左側の受け部材44にのみ保持部材47を備えたことで、操縦者は、左手で可動フレーム部43Bを左右向きの軸心X1周りに操作しながら、右手で保持部材47を揺動操作することが可能になり、各繰出機構18をメンテナンス姿勢に切り換えながらのそのメンテナンス姿勢での姿勢保持や、各繰出機構18のメンテナンス姿勢での姿勢保持を解除しながらの作業姿勢への姿勢切り換えを、補助作業者を要することなく1人で簡単に行える。
尚、可動フレーム部43Bの左右中央部には、上記の姿勢切り換え操作を行い易くするための把持部43aが屈曲形成されている。
図5に示すように、固定フレーム部43Aと可動フレーム部43Bとの連結部には、固定フレーム部43Aに備えた第1被接当部分49aと可動フレーム部43Bに備えた第1接当部分49bとから、それらの接当で可動フレーム部43Bの軸心X1周りでの上昇揺動を規制するように構成された第1規制部材49、及び、固定フレーム部43Aに備えた第2被接当部分50aと可動フレーム部43Bに備えた第2接当部分50bとから、それらの接当で可動フレーム部43Bの軸心X1周りでの下降揺動を規制するように構成された第2規制部材50が備えられ、これらの規制部材49,50によって、各繰出機構18がメンテナンス姿勢を越えて更に後方に傾倒することや、左右の受け部材44が機体に取り付けられていない組み付け時や左右の受け部材44を機体から取り外したメンテナンス時に、各繰出機構18が作業姿勢を越えて前方に傾倒することに起因して、施肥タンク19や繰出機構18などが運転座席12や苗載台15などの周囲部品に干渉する虞や、搬送部24Eや送風管40などに過剰な負荷がかかって破損する虞を回避できるとともに、左右の受け部材44が機体に取り付けられていない状態での施肥装置5の組み付け性の向上を図れる。
図1〜4、図6、図8及び図9に示すように、送風管40は樹脂製で、送風機20に接続される第1送風管40A、この第1送風管40Aで案内された搬送風を左右に分配する分岐部40aを備えた第2送風管40B、及び、この第2送風管40Bで左右に分配された搬送風を案内する左右の第3送風管40Cなどを備えて、送風機20から各繰出機構18の搬送部24Eにわたる送風経路を形成するように構成されている。
第1送風管40Aは、送風機20から第2送風管40Bに向けて湾曲する硬質樹脂製で、その下端の開口が、送風機20の排気口にゴム製のブーツ40Dを介して着脱可能に連通接続され、かつ、その上端の開口が、第2送風管40Bにおける下端の開口に第1接続管40Eを介して着脱可能に連通接続されている。
第2送風管40Bは、搬送風の左右方向への均等分配を良好かつ円滑にする略Y字状に形成された硬質樹脂製で、その左右両端の各開口が、対応する第3送風管40Cの一端に形成された開口に第2接続管40Fを介して着脱可能に連通接続されている。
左右の各第3送風管40Cは、対応する搬送部24Eが接続される小径の接続部40bが形成された硬質樹脂製で、それらの各接続部40bに、対応する搬送部24Eがゴム製のブッシュ40Gを介して挿通接続されている。
第1接続管40Eは、蛇腹状に形成されたゴム製の弾性体で構成され、各繰出機構18の姿勢切り換えに伴って発生する第1送風管40Aと第2送風管40Bとの間での拗れや管長の変化を、その弾性変形で吸収する。
第2接続管40Fは、複数の突条aが周方向に所定間隔を隔てる状態で突曲形成された第1融通部分40cと、蛇腹状に形成された第2融通部分40dとを備える弾性変形可能なゴム製の弾性体で構成され、各繰出機構18の姿勢切り換えに伴って発生する第2送風管40Bと第3送風管40Cとの間での捻れを第1融通部分40cの弾性変形で吸収し、その第1融通部分40cの捻れ変形に起因した管長の変化を第2融通部分40dの弾性変形で吸収し、第2送風管40Bと第3送風管40Cとの間で発生する捻れに起因した第1融通部分40cの潰れを複数の突条aで防止するようになっている。
つまり、第1接続管40E及び左右の第2接続管40Fのそれぞれが、各繰出機構18の姿勢切り換えを許容する融通部Aとして機能するように構成されており、これによって、各繰出機構18の姿勢切り換え操作を、各繰出機構18と送風管40との接続を解除するなどの手間を要することなく簡便に行える。又、施肥タンク19や各繰出機構18などを水洗いする場合には、例えば、左右の第3送風管40Cと第2接続管40Fとの接続を解除しておくことで、肥料を含んだ水が送風管40を介して送風機20に流入することに起因した送風機20の錆び付きを防止できる。
尚、送風管40の各接続箇所には、接続保持用として樹脂製の固定バンドなどが採用されている。
図1〜4、図6及び図10に示すように、各ケーシング24の上側ケース部24Aには、各ホッパ22に残った粒状肥料の排出を可能にする排出口24aと、この排出口24aの手動による開閉操作を可能にする揺動式の弁体24bとが備えられ、この排出口24aには、樹脂製のフレキシブル管などからなる排出管51が、その一端部に装備したコネクタ52を介して着脱可能に接続されている。
各コネクタ52は、その接合部52Aを排出口24aに内嵌接合し、その左右に略上下向きの軸心X2周りに前後揺動可能に装備した一対の係止具52Bを、排出口24aの周囲に形成されたフランジ24cに係止することで、各ケーシング24の排出口24aに簡単に圧着することができ、それらの係止具52Bによる係止を解除することで、各ケーシング24の排出口24aから簡単に取り外すことができる。
つまり、各繰出機構18をメンテナンス姿勢に切り換える際に前もって行う必要のある各排出口24aからの排出管51の取り外しや、各繰出機構18を作業姿勢に切り換えた後に行う必要のある各排出口24aへの排出管51の取り付けなどを簡単に行える。
図3、図11及び図12に示すように、各繰出機構18の左右の搬送部24Eには、対応する一対の搬送管41の一端部に装備した単一のコネクタ53を介して着脱可能に接続されている。
各コネクタ53は、左右の搬送部24Eに外嵌接合される左右一対の接続部53A、それらの接続部53Aに左右向きの第1軸心X3周りに前後揺動可能に支持される平面視門形の操作アーム53B、及び、その操作アーム53Bに左右向きの第2軸心X4周りに相対揺動可能に支持される平面視門形の係止アーム53Cを備え、その係止アーム53Cの遊端には、左右の搬送部24Eの各フランジ24dに突出形成した係止突起24eに係止可能な左右一対の係止凹部53aが形成されており、それらの接続部53Aを対応する搬送管41に外嵌し、係止アーム53Cを、その左右の係止凹部53aが対応する係止突起24eの前方に位置するように、左右向きの第2軸心X4周りに揺動操作した状態で、操作アーム53Bを、左右向きの第1軸心X3周りに後方に向けて揺動操作して、左右の係止凹部53aを対応する係止突起24eに係止させることで、左右の搬送部24Eに簡単に圧着することができるとともに、第2軸心X4のデッドポイント越えによる圧着保持を行える。又、この状態で操作アーム53Bを、左右向きの第1軸心X3周りに前方に向けて揺動操作して、左右の係止凹部53aと係止突起24eとの係止を解除することで、左右の搬送部24Eから簡単に取り外すことができる。
つまり、各繰出機構18をメンテナンス姿勢に切り換える際に前もって行う必要のある各搬送部24Eからの搬送管41の取り外しや、各繰出機構18を作業姿勢に切り換えた後に行う必要のある各搬送部24Eへの搬送管41の取り付けなどを簡単に行える。
又、左右向きの第1軸心X3周りでの操作アーム53Bの前後揺動操作で、コネクタ53の接続状態と接続解除状態との切り換えを行えるように構成したことで、その切り換え操作の際に、左右に並設される搬送管41などが邪魔になることに起因した操作性の低下を回避できる。
〔別実施形態〕
以下、本発明の別実施形態を列記する。
〔1〕作業機としては、直播機や農用トラクタなどであってもよい。
〔2〕粉粒体供給装置5としては、粉状肥料又は粉粒状の薬剤などを繰出機構18の作動で繰り出すように構成したものであってもよく、又、繰出機構18で繰り出した粉粒体を自重落下させて圃場に供給するように構成したものであってもよい。
〔3〕粉粒体供給装置5としては、最大4条の粉粒体の供給を行える4条供給用、最大5条の粉粒体の供給を行える5条供給用、最大6条の粉粒体の供給を行える6条供給用、あるいは、最大10条の粉粒体の供給を行える10条供給用、などに構成したものであってもよい。
〔4〕粉粒体供給装置5としては苗植付装置4の後部に装備されるものであってもよい。この場合、繰出機構18を前方に傾倒させた姿勢をメンテナンス姿勢に設定し、そのメンテナンス姿勢では繰出機構18の内部が機体後方側に大きく開放されるように構成すれば、ケーシング24の内部や繰出ロール25に付着した粒状肥料を取り除く清掃作業や繰出ロール25の交換などのメンテナンスを苗植付装置4の後方側から容易に行える。
〔5〕粉粒体供給装置5としては、送風機20を機体の左右一側方に配備し、その送風機20から各繰出機構18への搬送風の分配供給を左右向きの送風管40を介して行うように構成したものであってもよい。
〔6〕対地排出部21としては、繰出機構18で繰り出された粉粒体を地面から離れた位置から散布するように構成したものであってもよい。
〔7〕ケーシング24における上側ケース部24Aと下側ケース部24Bとのいずれか一方に、他方との係合で上側ケース部24Aと下側ケース部24Bとを閉じ状態で固定する固定具24Dを、その固定を解除する解除姿勢に弾性変形可能に装備し、この固定具24Dの弾性変形で上側ケース部24Aと下側ケース部24Bとの固定を解除することで、繰出機構18の左右向きの軸心X1周りでの作業姿勢からメンテナンス姿勢への姿勢切り換えが許容され、かつ、繰出機構18の左右向きの軸心X1周りでのメンテナンス姿勢から作業姿勢への姿勢切り換えに伴って、固定具24Dによる上側ケース部24Aと下側ケース部24Bとの閉じ状態での固定が行われて、繰出機構18が、その作動による粉粒体の繰り出しが可能な状態に自動復帰するように構成してもよい。
この構成においては、繰出機構18の下側ケース部24Bが、走行機体1の後部や支持フレーム43の固定フレーム部43Aなどの固定部で下方から受け止め支持されるように構成して、繰出機構18の左右向きの軸心X1周りでのメンテナンス姿勢から作業姿勢への姿勢切り換えに伴って行われる、固定具24Dによる上側ケース部24Aと下側ケース部24Bとの閉じ状態での固定をより確実に行えるようにしてもよい。
〔8〕繰出機構18を、そのケーシング24における上側ケース部24Aと下側ケース部24Bとを左右向きの連結軸24Cで連結せずに、その左右向きの軸心X1周りでの作業姿勢からメンテナンス姿勢への姿勢切り換えに伴って、ケーシング24が、上側ケース部24Aと下側ケース部24Bとに上下に完全に切り離された状態となるように構成してもよい。
〔9〕繰出機構18の姿勢を切り換える左右向きの軸心Xの位置と、上側ケース部24Aと下側ケース部24Bとを開閉揺動可能に連結する左右向きの連結軸24Cにおける軸心の位置とを一致させて、左右向きの軸心X周りでの繰出機構18の姿勢切り換えに伴って、その左右向きの軸心X周りで上側ケース部24Aと下側ケース部24Bとが開閉揺動するように構成してもよい。
この構成においては、繰出機構18の左右向きの軸心X周りでの姿勢切り換えに伴って、下側ケース部24Bに対して上側ケース部24Aが左右向きの軸心X周りに開閉揺動するように構成すれば、繰出機構18の姿勢切り換えに伴って、送風管40において捻れや管長の変化が発生することを回避でき、送風管40における融通部Aの装備を不要にできる。
〔10〕ケーシング24を上下に分割する分割線の位置と繰出ロール25の回転軸心の位置とが上下に位置ずれするように構成してもよい。
〔11〕左右の両受け部材44に、繰出機構18をメンテナンス姿勢で保持する保持部材47を、受止姿勢と退避姿勢とに姿勢切り換え可能に設けて、繰出機構18のメンテナンス姿勢での保持をより安定性良く行えるようにしてもよく、又、単一の保持部材47を左右中央箇所に設けて、単一の保持部材47でありながら、繰出機構18のメンテナンス姿勢での保持を安定性良く行えるようにしてもよい。