JP4403606B2 - 光ファイバ線引方法および線引装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ファイバ母材を加熱線引して光ファイバを製造する光ファイバ線引方法および線引装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
光ファイバ母材を加熱線引して光ファイバを製造する工程において、光ファイバ線引速度(以下、「線引速度」を「線速」ともいう。)の変動中は光ファイバの品質が担保されないため、光ファイバの線速が設定線速に達して安定した後に製造された光ファイバの部分が良品とされている。従って、不良部分の発生量を減少させるためには、光ファイバの線速を設定線速に早期に到達させ、安定させる必要がある。この要求に基づいて、特開平10−81538号公報には、所望の設定線速まで線速をばらつきなく短時間で上昇させようとする技術が開示されている。即ち、特開平10−81538号公報に開示された技術では、線速上昇開始から設定線速と実際線速との線速差に基づいて母材供給速度を制御し、実際線速が設定線速の70%程度に達したときに、単位時間当たりの線速変化量に基づく制御を加えて母材をマイナス方向に後退させ、線速上昇を抑制して実際線速を早期に設定線速に近づけるようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、母材形状のばらつき、線引炉体セット位置ずれ、加熱炉温度、制御を開始するタイミング等によって単位時間当たりの母材溶解量が異なり、それによって線速加速度も変化するが、特開平10−81538号公報に開示された技術では、ある線速までは設定線速を目標にした制御を行うため、線速変化量での制御が加算されるまでは母材の供給が継続される。従って、線速はますます加速され、線速変化量で行う制御が働いても設定線速を越えてしまい、線速のオーバーシュートが起こってしまう場合があった。この線速のオーバーシュートが起こると、光ファイバの外径が変動して一定の品質を維持することができず、不良品扱いとなって歩留まりが低下するという問題があった。このオーバーシュートの問題を解決するために、線速変化量で行う制御の制御定数を大きくして線速を急激に減少させることも考えられるが、線速のハンチングが発生して断線等が起こるおそれがあった。
【0004】
そこで本発明は、線速のオーバーシュートを発生させることなく光ファイバの線速を短時間で安定に設定線速まで到達させることができる光ファイバの線引方法及び線引装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の光ファイバ線引方法は、光ファイバの線引速度が設定線速に到達するまでの間、光ファイバの線引速度の一定時間当たりの実際変化量を求め、光ファイバの線引速度の一定時間当たりの設定変化量と実際変化量との差に基づいて、線引される光ファイバ母材の加熱炉への供給速度を制御する光ファイバ線引方法であって、設定変化量は、光ファイバの設定線速と実際の線引速度との線引速度差の関数であることを特徴とする。
【0006】
また、本発明の光ファイバ線引装置は、光ファイバ母材を加熱線引して光ファイバを製造する光ファイバ線引装置において、光ファイバ母材を供給する母材供給手段と、光ファイバの線引速度の一定時間当たりの設定変化量と実際変化量との差に基づいて、光ファイバ母材の供給速度を算出する演算手段と、光ファイバの線引速度が設定線速に到達するまでの間、演算手段により算出された供給速度に基づいて、母材供給手段による光ファイバ母材の供給速度を制御する制御手段と、を備え、設定変化量は、光ファイバの設定線速と実際の線引速度との線引速度差の関数であることを特徴とする。
かかる方法及び装置によれば、光ファイバの線速の一定時間当たりの設定変化量と実際変化量との差に基づいて、光ファイバ母材を供給すべき速度が演算手段により算出され、母材供給手段による光ファイバ母材の供給速度は、演算手段により算出された速度に基づいて、制御手段により制御される。そして、光ファイバの線速は、早期かつ安定に設定線速に制御される。また、設定変化量を光ファイバの設定線速と実際線速との線速差に関して変化させることで、光ファイバの線引速度が更に早期かつ安定に設定線速に到達する。
【0008】
また、本発明の光ファイバ線引方法及び装置では、設定変化量は、少なくとも線引速度差の絶対値が所定値以下のときに当該線引速度差に比例することを特徴としてもよい。このようにすれば、光ファイバの線引速度がふらつきなく短時間のうちに設定線速に到達する。
【0009】
また、本発明の光ファイバ線引装置では、演算手段は、互いに一定時間だけ異なる光ファイバの実際の線引速度の差を実際変化量として出力する第1の減算器と、光ファイバの線引速度の設定変化量と、第1の減算器から出力された実際変化量との差を出力する第2の減算器と、第2の減算器から出力された差に係数を乗算し、その結果を出力する乗算器と、光ファイバの設定線速に対応した光ファイバ母材の供給速度に、乗算器からの出力を加算し、その結果を光ファイバ母材を供給すべき速度として出力する加算器と、を備えることを特徴としてもよい。このようにすれば、第1の減算器により、互いに一定時間だけ異なる光ファイバの実際線速の差が実際変化量として出力され、第2の減算器により、光ファイバの線速の設定変化量と、第1の減算器から出力された実際変化量との差が出力され、さらに、乗算器により、第2の減算器から出力された差に係数が乗算されてその結果が出力され、そして、加算器により、光ファイバの設定線速に対応した光ファイバ母材の供給速度に、乗算器からの出力が加算され、その結果が、光ファイバ母材を供給すべき速度として出力される。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。なお、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0011】
図1は、本発明の実施形態にかかる光ファイバ線引装置10の基本構成を示している。図示の通り、母材供給装置11に保持された光ファイバ母材12は、加熱炉13に供給され、加熱線引されて光ファイバ14となる。その光ファイバ14は、外径測定器15により外径がオンライン測定され、その測定値がキャプスタン16にフィードバックされて外径が一定になるように制御される。そして、光ファイバ14は冷却装置17において冷却され、プライマリコーティングダイス18によりコーティング樹脂液を塗布される。次に、樹脂硬化炉19によりコーティング樹脂が加熱硬化され、光ファイバ素線20となる。そして、光ファイバ素線20は、キャプスタン16を経て巻取機21により巻き取られる。
【0012】
母材供給装置11は、ドライバ22からの電気信号に基づいて回転するモータ23により、光ファイバ母材12を加熱炉13に供給する。また、ドライバ22は、演算部24からの指示によりモータ23に送るべき電気信号を出力する。この演算部24は、光ファイバ14の線速の一定時間当たりの設定変化量と実際変化量との差に基づいて、光ファイバ母材12を供給すべき速度を演算により求める。あるいは、この演算部24は、加算器、減算器および乗算器などから構成される回路であってもよい。なお、実際線速は、例えばキャプスタン16の回転速度から求められる。
【0013】
次に、光ファイバ母材12の供給速度の制御方法について説明する。以下に説明する光ファイバ母材12の供給速度は、演算部24により求められるものである。
【0014】
光ファイバ母材12の外径をD、光ファイバ14の外径をd、光ファイバ14の設定線速をv1とすると、この光ファイバ14の設定線速に対応した光ファイバ母材12の設定供給速度Vf1は、
Vf1=v1・d2/D2 ・・・ (1)
で決められる速度になる。また、線引中のある時刻tにおける光ファイバ14の実際線速をv(t)とし、一定時間dt前の線速をv(t−dt)とすると、線速の一定時間dt当たりの実際変化量Δvdtは、
Δvdt=v(t)−v(t−dt) ・・・ (2)
で表される。例えば、現在の線速が300m/min、10秒前の線速が290m/minの場合は、Δv10は10m/min/10secとなる。本制御をPLC(Programmable Logic Controller)で行う場合は、まず1スキャン(約100ms)で1個の線速データを取得すると共に、累積された過去の線速データのうち最新の10個の線速データの移動平均化を行い、現在の線速を求める。次に、現在の線速(移動平均値)から一定時間dt前の線速(移動平均値)を減算し、一定時間dtにおける線速の実際変化量Δvdtを求める。PLCによる制御では、10秒より短かい時間で線速の実際変化量を計測しようとすると、PLCのスキャン単位で読み込む線速フィードバックのばらつきの影響が大きくなる傾向があるため、10秒以上の時間をかけて線速の実際変化量を計測することが好ましい。
【0015】
また、線速の一定時間dt当たりの設定変化量をΔvdtsetとし、設定変化量Δvdtsetと実際変化量Δvdtとの差に供給速度制御ゲインVfgを乗じた値をΔVf1とする。すなわち、ΔVf1は、
ΔVf1=Vfg・{Δvdtset−Δvdt} ・・・ (3)
で表される。
【0016】
そして、時刻tにおける光ファイバ母材12の供給速度Vf(t)は、ΔVf1に基づいて求められる。すなわち、光ファイバ母材12の供給速度Vf(t)は、
Vf(t)=Vf1+ΔVf1 ・・・ (4)
で表される。
【0017】
ここで、線速の設定変化量Δvdtsetは、光ファイバ14の設定線速v1と実際線速v(t)との線速差に比例して変化させる。即ち、図2に示すように、線速の設定変化量Δvdtsetを縦軸に取り、設定線速v1と実際線速v(t)との線速差{v1−v(t)}を横軸に取ると、設定変化量は原点を通り線速差に比例したグラフで表される。このように、線速の設定変化量を変化させることで、線速の上昇を効率よく抑制することができ、また設定変化量を線速差に比例して変化させることで、線速のふらつきを防止することができる。なお、本実施形態では、設定線速v1と実際線速v(t)との線速差の絶対値が所定値以下のとき(例えば、|v1−v(t)|≦0.2v1のとき)は、設定変化量Δvdtsetを線速差に比例して変化させ、それ以外の範囲においては設定変化量Δvdtsetを一定値(例えば、Δv10set=10m/min/10sec、−10m/min/10sec)に維持している。これは、線引装置10の能力上の限界に配慮したものである。
【0018】
このようにして演算部24で求められた光ファイバ母材12の供給速度Vf(t)に基づいて、ドライバ22はモータ23を回転させ、光ファイバ母材12を供給速度Vf(t)で供給する。
【0019】
例えば、設定変化量をΔv10set=10m/min/10secとし、供給速度制御ゲインVfgを0.3Vf1とした場合、10秒間で線速が上昇しなかった場合には、Vf1にはΔVf1の最大値である3Vf1(設定供給速度の3倍)が加算されることになり、また線速の実際変化量が10m/min/10secの場合はΔVf1は0mm/minとなり、母材の供給速度Vf(t)は設定供給速度のVf1となる。
【0020】
次に、演算部24を回路で構成した場合における回路ブロックについて説明する。図3は、光ファイバ母材12の供給速度を求める演算回路の回路ブロック図である。
【0021】
第1の減算器30は、光ファイバ14の実際線速v(t)と、その一定時間dt前の実際線速v(t−dt)とを入力してこれらの差より線速の実際変化量Δvdtを求める。第2の減算器31は、線速の設定変化量Δvdtsetと実際変化量Δvdtとを入力してこれらの差を求める。乗算器33は、その差に供給速度制御ゲインVfgを乗算して上記(3)式で表されるΔVf1を出力する。そして、加算器34は、上記(1)式で表される光ファイバ母材12の設定供給速度Vf1に、乗算器33から出力されたΔVf1を加算し、その結果を光ファイバ母材12の供給速度Vf(t)として出力する。
【0022】
なお、乗算器33に入力される供給速度制御ゲインVfgの値は一定値であってもよいが、可変であってもよい。供給速度制御ゲインVfgの値が可変であれば、光ファイバ14の線引速度を設定線速まで上昇させる時間を調節することができる。
【0023】
次に、線引開始後の線速上昇時における光ファイバ線引方法について、図4に沿って説明する。本実施形態における線引方法では、線引開始当初から上記(4)式に従って光ファイバ母材12の供給速度を制御するものである。
【0024】
時刻t=T0までは、光ファイバ14の実際の線速は、口出し時の低線速v0であり、光ファイバ母材12の供給速度は、それに対応した速度Vf0であり、この間は、演算部24は上述の演算を行わない。時刻t=T0以降、光ファイバ14の線引速度を設定線速v1に上昇させるべく、演算部24は上記(4)式の演算を行う。
【0025】
時刻t=T0の時に、母材供給速度Vf(t)をVf0からVf1まで上昇させた時、供給速度Vf(t)(=Vf1+ΔVf1)は最大値をとる。その後、線速の実際変化量Δvdtが設定変化量Δvdtsetに近づくにつれΔVf1は小さくなって行くため、供給速度Vf(t)は図4(b)のように減速して行く。時刻t=T1の時に線速の実際変化量Δvdtが設定変化量Δvdtsetと一致すると、ΔVf1が0となり、母材供給速度Vf(t)が設定供給速度Vf1と一致した状態がしばらく続く。しかし、既に母材12が過剰供給されているため、実際変化量Δvdtは設定変化量Δvdtsetを超過する。更に、時刻t=T2において実際線速v(t)が設定線速v1の一定割合に達した時(例えば、実際線速が設定線速の80%に達した時)、設定変化量Δvdtsetを一次傾きで減少させるため、実際変化量Δvdtと設定変化量Δvdtsetとの差が大きくなり、ΔVf1はマイナス方向に大きく働く。それによって、母材12は加熱炉13から遠ざかる方向へ移動し、実際変化量Δvdtは急速に減少して設定変化量Δvdtsetに近づいて行く。その結果、ΔVf1も0に近づき、最終的に母材は設定供給速度Vf1で供給され、線速は設定線速v1で安定するようになる。
【0026】
次に、上記実施形態にかかる光ファイバ線引方法による実験を行った結果について説明する。
【0027】
図5は、本発明の実施形態に係る光ファイバ線引方法による線引の実験結果のグラフであり、これには比較のために従来技術(特開平10−81538号公報に記載の技術)の光ファイバ線引方法による線引の実験結果のグラフをも記してある。
【0028】
これらの実験において共通の条件は以下の通りである。光ファイバ母材として、外径90mmφのものを用い、当該光ファイバ母材から外径125μmφの光ファイバを線引した。光ファイバの口出し時の線速を30m/min(対応する光ファイバ母材の供給速度は0.0579mm/min)とし、光ファイバの設定線速を1000m/min(対応する母材の設定供給速度は1.93mm/min)とした。
【0029】
本発明の実施形態にかかる光ファイバ線引方法による線引実験では、上記(3)式における供給速度制御ゲインVfg(=3Vf1/10)を0.579とし、また線速の設定変化量および実際変化量は、10秒間における変化量Δv10set、Δv10を計測した。なお、図2に示すように、設定線速と実際線速との線速差の絶対値が所定値以下の場合、即ち、実際線速が設定線速の80〜120%の間は、設定変化量Δv10setを設定線速と実際線速との線速差に比例して変化させ、実際線速が設定線速の80%より小さい場合、及び実際線速が設定線速の120%より大きい場合は、設定変化量Δv10setをそれぞれ10m/min/10sec、及び−10m/min/10secの一定値とした。以上の数値を用いて上記(4)式に基づき、時刻0より光ファイバ母材の供給速度の制御を行って光ファイバの線引を行った。
【0030】
一方、従来技術の光ファイバ線引方法による線引実験では、次式に基づいて線引の制御を行った。即ち、設定線速v1と実際線速v(t)との線速差に正の係数K2を乗じた値をΔVf2とする。また、光ファイバの実際線速v(t)の一定時間dt当たりの変化量に正の係数K3を乗じた値をΔVf3とする。すなわち、ΔVf2およびΔVf3はそれぞれ、
ΔVf2=K2・{v1−v(t)} ・・・ (5)
ΔVf3=K3・{v(t)−v(t−dt)} ・・・ (6)
で表される。そして、時刻tにおける光ファイバ母材の供給速度Vf(t)は、ΔVf2に基づいて、またはΔVf2およびΔVf3の双方に基づいて求められる。即ち、母材の供給速度Vf(t)は、
Vf(t)=Vf1+ΔVf2 ・・・ (7)
または、
Vf(t)=Vf1+ΔVf2−ΔVf3 ・・・ (8)
で表される。
【0031】
線引速度上昇開始からは上記(7)式により、設定線速と実際線速との線速差に基づいて母材の供給速度を制御し、実際線速が設定線速の80%に達したときに、上記(8)式により線速の実際変化量に基づく制御を加えて母材供給速度をマイナス方向に加算し、線速の増加を抑制するようにした。ここで、上記(5)式における係数K2は(3×1.93mm/min)/(1000m/min)とし、上記(6)式における係数K3は(3×1.93mm/min)/(10m/min/10sec)とした。
【0032】
以上の条件の下に行った実験の結果を示す図5のグラフを見ると、以下のことが分かる。即ち、本発明の実施形態にかかる光ファイバ線引方法による線引実験では、光ファイバの線速はオーバーシュートを起こすことなく安定に設定線速まで到達し、光ファイバの線引速度が設定線速1000m/minに到達して安定するまでに要する時間は約26分であった。
【0033】
これに対して、従来技術の光ファイバ線引方法による線引実験では、線速上昇の開始時は同様の母材供給速度であるが、実際線速が設定線速の80%になって線速変化量に基づく制御が開始されるまでは母材の供給が継続されるため、線速はますます加速されてオーバーシュートを起こし、光ファイバの線引速度が設定線速1000m/minに到達して安定するまで約36分かかった。
【0034】
以上のように、本発明の実施形態にかかる光ファイバ線引方法では、光ファイバの線引速度をオーバーシュートを起こすことなく設定線速まで安定して到達させることができる。また、光ファイバの線引速度が設定線速に到達するまでに要する時間を、従来の技術による線引方法に比べて短くすることができる。従って、光ファイバの不良部分の発生量が少なくなり、生産性を向上させることができる。
【0035】
なお、本発明の実施形態にかかる光ファイバ線引方法によれば、母材のセット位置、母材先端形状、加熱炉における加熱温度の変化等の外乱の影響にかかわらず、実際線速は設定線速に安定して到達していることが確認されており、従来技術による光ファイバ線引方法より約30%ほど線速上昇時間が短縮されたことが確認された。これにより、従来技術による光ファイバ線引方法では、各外乱の影響によって線速のオーバーシュート等が多発し、当該線引方法の実際の工場における使用頻度は36%程度であったのが、本発明の実施形態にかかる光ファイバ線引方法では線速が安定して設定線速まで到達することができるようになり、実際の工場における使用頻度がほぼ100%となった。
【0036】
【発明の効果】
本発明によれば、線速のオーバーシュートを発生させることなく光ファイバの線引速度を短時間で設定線速まで安定して到達させることができる。従って、光ファイバの不良部分の発生量が少なくなり、生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態にかかる光ファイバ線引装置の構成図。
【図2】光ファイバを線引する際における線速の設定変化量の変化を示すグラフ。
【図3】光ファイバ母材の供給速度を求める演算回路の回路ブロック図。
【図4】光ファイバ線引開始後の線速上昇時における光ファイバ線引方法の説明図。
【図5】実施形態にかかる光ファイバ線引方法による線引の実験結果のグラフ。
【符号の説明】
10…光ファイバ線引装置、11…母材供給装置、12…光ファイバ母材、13…加熱炉、14…光ファイバ、15…外径測定器、16…キャプスタン、17…冷却装置、18…プライマリコーティングダイス、19…樹脂硬化炉、20…光ファイバ素線、21…巻取機、22…ドライバ、23…モータ、24…演算部、30…第1の減算器、31…第2の減算器、33…乗算器、34…加算器。
Claims (5)
- 光ファイバの線引速度が設定線速に到達するまでの間、前記光ファイバの線引速度の一定時間当たりの実際変化量を求め、前記光ファイバの線引速度の一定時間当たりの設定変化量と前記実際変化量との差に基づいて、線引される光ファイバ母材の加熱炉への供給速度を制御する光ファイバ線引方法であって、
前記設定変化量は、前記光ファイバの設定線速と実際の線引速度との線引速度差の関数であることを特徴とする光ファイバ線引方法。 - 前記設定変化量は、少なくとも前記線引速度差の絶対値が所定値以下のときに当該線引速度差に比例することを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ線引方法。
- 光ファイバ母材を加熱線引して光ファイバを製造する光ファイバ線引装置において、
前記光ファイバ母材を供給する母材供給手段と、
前記光ファイバの線引速度の一定時間当たりの設定変化量と実際変化量との差に基づいて、前記光ファイバ母材の供給速度を算出する演算手段と、
前記光ファイバの線引速度が設定線速に到達するまでの間、前記演算手段により算出された前記供給速度に基づいて、前記母材供給手段による前記光ファイバ母材の供給速度を制御する制御手段と、を備え、
前記設定変化量は、前記光ファイバの設定線速と実際の線引速度との線引速度差の関数であることを特徴とする光ファイバ線引装置。 - 前記設定変化量は、少なくとも前記線引速度差の絶対値が所定値以下のときに当該線引速度差に比例することを特徴とする請求項3に記載の光ファイバ線引装置。
- 前記演算手段は、
互いに一定時間だけ異なる前記光ファイバの実際の線引速度の差を前記実際変化量として出力する第1の減算器と、
前記光ファイバの線引速度の設定変化量と、前記第1の減算器から出力された前記実際変化量との差を出力する第2の減算器と、
前記第2の減算器から出力された前記差に係数を乗算し、その結果を出力する乗算器と、
前記光ファイバの設定線速に対応した前記光ファイバ母材の供給速度に、前記乗算器からの出力を加算し、その結果を前記光ファイバ母材を供給すべき速度として出力する加算器と、
を備えることを特徴とする請求項3又は4に記載の光ファイバ線引装置。
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