JP4927388B2 - 光ファイバ線引装置,およびその制御プログラム - Google Patents

光ファイバ線引装置,およびその制御プログラム Download PDF

Info

Publication number
JP4927388B2
JP4927388B2 JP2005336519A JP2005336519A JP4927388B2 JP 4927388 B2 JP4927388 B2 JP 4927388B2 JP 2005336519 A JP2005336519 A JP 2005336519A JP 2005336519 A JP2005336519 A JP 2005336519A JP 4927388 B2 JP4927388 B2 JP 4927388B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
speed
optical fiber
drawing speed
change
base material
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2005336519A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2006176395A (ja
Inventor
敏行 宮本
徳雄 福原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kobe Steel Ltd filed Critical Kobe Steel Ltd
Priority to JP2005336519A priority Critical patent/JP4927388B2/ja
Publication of JP2006176395A publication Critical patent/JP2006176395A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4927388B2 publication Critical patent/JP4927388B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03BMANUFACTURE, SHAPING, OR SUPPLEMENTARY PROCESSES
    • C03B37/00Manufacture or treatment of flakes, fibres, or filaments from softened glass, minerals, or slags
    • C03B37/01Manufacture of glass fibres or filaments
    • C03B37/02Manufacture of glass fibres or filaments by drawing or extruding, e.g. direct drawing of molten glass from nozzles; Cooling fins therefor
    • C03B37/025Manufacture of glass fibres or filaments by drawing or extruding, e.g. direct drawing of molten glass from nozzles; Cooling fins therefor from reheated softened tubes, rods, fibres or filaments, e.g. drawing fibres from preforms
    • C03B37/0253Controlling or regulating
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P40/00Technologies relating to the processing of minerals
    • Y02P40/50Glass production, e.g. reusing waste heat during processing or shaping
    • Y02P40/57Improving the yield, e-g- reduction of reject rates

Description

本発明は,光ファイバ母材から光ファイバを製造する光ファイバ線引装置において,特に光ファイバ線引装置稼動中での時々刻々変化する線引速度に応じて,該光ファイバ線引装置の運転条件に関する運転パラメータを併せて変化させることにより制御性能を高めた光ファイバ線引装置,およびその制御プログラムに関するものである。
一般に,光ファイバを製造する光ファイバ線引装置では,光ファイバ線引装置が備える線引炉における,光ファイバ母材が加熱された後連続的に引き伸ばされる速度(つまり線引速度)と,製造される光ファイバの品質とは,密接な関係にある。そのため,光ファイバ線引装置では,良質な光ファイバを得るために,昨今,線引炉における光ファイバ母材を加熱線引する速度を,最適な速度に調節するための様々な改良が進められている。
例えば,特許文献1に挙げられる光ファイバ線引装置では,まず線引する光ファイバ母材を線引炉に送り込む速度(以下,母材送り速度という)を下に示す方法により算出し,その算出した母材送り速度に従って,光ファイバ母材を線引炉に供給している。以下に記載される時刻tとは線引中のある時点での時刻を,線引速度v(t)とはその時刻tにおける実際の線引速度をそれぞれ示している。
特許文献1に示される光ファイバ線引装置では,まず,光ファイバ母材を線引炉に送る速度の基本となる速度(以下,母材送りベース速度という)Vf1を光ファイバ母材の外径D,光ファイバの外径d,光ファイバの目標線引速度(良質な光ファイバが得られる線引速度)v1から下式で算出する。
f1=v1・d2/D2
次に,この算出された母材送りベース速度Vf1を,所定の補正値(ΔVf1およびΔVf2)で補正して実際の母材送り速度Vf(t)を計算する。ここに,補正値ΔVf1は,光ファイバの目標線引速度v1と実際の線引速度v(t)との差に所定の正の係数K1が乗算されることで求められる。また,補正値ΔVf2は,実際の線引速度v(t)の単位時間当たりの変化量,つまり加速度であるv(t)−v(t−Δt)に所定の正の係数K2が乗算されることで求められる。
前記補正値から実際の制御目標となる母材送り速度Vf(t)は,下の式のように上述した
母材送りベース速度Vf1に補正値ΔVf1を加算した結果から,補正値ΔVf2を減算することにより求められる。
f(t)=Vf1+ΔVf1−ΔVf2
=v1・d2/D2+K1(v1−v(t))−K2(v(t)−v(t−Δt))…(1)
特許文献1に示される光ファイバ線引装置では,線引炉への光ファイバ母材を供給する速度が上述した演算にて求められた母材送り速度Vf(t)になるように母材の送りモータを
回転駆動することにより,良質な光ファイバが製造される仕組みになっている。
特開平10−81538号公報
前記特許文献1に示される光ファイバ線引装置では,母材送りベース速度Vf1(=v1・d2/D2)を実線引速度によらず一定としているが,光ファイバ線引装置の立ち上げ時或いは運転終了時には,前記母材送り速度を大きく変化させ,調整することが必要となる。そのため,このような状態には上述した式(1)にて,母材送りベース速度Vf1を一定とする手法だけに依存していたのでは,大きな調整幅を必要とする母材送り速度を,必然的に前記補正項ΔVf1,ΔVf2だけで補正しようとすることになり,これら補正項の演算上のウエイトが大きくなる。しかしながら,補正値ΔVf1は,目標線引速度v1に対する実線引速度の過不足分に基づく修正項であり,また補正値ΔVf2は,その動的な修正,すなわち修正傾向の行き過ぎ或いは不足分の修正に関するものである。このことから,必要とされる調節幅が大きい時には,この補正項に対するウエイトが大きくなりすぎると,ハンチングやオーバーシュート等の不具合を引き起こす可能性が高くなるという問題を回避できない。
また,特許文献1に示される光ファイバ線引装置では,係数K1およびK2の値は常に最適化されていることが,正確な母材送り速度Vf(t)を得る前提条件となるということは想像に難くないが,装置の立ち上げ時や運転終了時といった,線引速度が大きく変化する状況にも対応し得る係数K1およびK2を一義的に設定することは極めて困難である。このような原因により,ハンチングやオーバーシュート等の不具合が発生すると,光ファイバの外径やコーティング性状等が一定しないため,得られる光ファイバの品質低下や歩留まり低下等を引き起こすという問題が生じる。それだけでなく,引き起こされたハンチング,あるいはオーバーシュートが過大であると,光ファイバ線引装置における線引速度の制御不能に陥り,その結果,断線をも引き起こす可能性がある。このような,光ファイバ線引装置の立ち上げ時等の過渡的状況等における問題は,上述したような線引速度,その補正項といった光ファイバ線引装置の運転状況を決定する運転パラメータについて生じるものである。
更に,光ファイバ母材の大径化に伴い,立上条長(或いは増速時間)が増加し,歩留まりの低下が問題となってきているが,立上条長(或いは増速時間)を短縮しようと増速度を大きくした場合に,立上終端部(目標線速付近)においてハンチングやオーバーシュート等の不具合を引き起こす可能性が高くなるという問題がある。
従って,本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,光ファイバ線引装置稼動中に,時々刻々変化する実線引速度に応じて,該光ファイバ線引装置の運転条件に関する運転パラメータ(例えば,光ファイバ母材を線引炉に送る速度の基本となる速度である母材送りベース速度,実線引速度の目標変化量,実線引速度の変化量に関する速度成分に乗ぜられるゲイン,演算周期,線引炉温度,コーティング樹脂の圧力,冷却ヘリウムガス流量等)を,実際の線引速度の変化に追従させて段階的に変化させる光ファイバ線引装置,およびその制御プログラムを提供することにある。
このことにより,光ファイバ線引装置の稼動中における,その時々の実際の線引速度に応じた母材送りベース速度,および実線引速度の目標変化量が設定されるため,例えば特許文献1の母材送り速度Vf(t)を算出する際に,実際の線引速度の変化が加味されること
になる。即ち,上述した母材送り速度Vf(t)を算出する際には,光ファイバ母材の外径D,光ファイバの外径d以外の数値に,実際の線引速度の変化が加味されることになる。その結果,母材送り速度Vf(t)を算出する際の補正値にかかる演算上の負担が軽減される。更に,例えば係数の設定ミス等が引き起こすハンチングやオーバーシュート,或いは断線等の不具合が起こる可能性が極めて低くなる。
前記目的を達成するために,本発明は,
加熱溶融する線引炉に母材を送り出しつつ,光ファイバを線引製造する光ファイバ線引装置であって,
該光ファイバ線引装置の運転条件に関する運転パラメータを前記実線引速度の変化に応じて変化させつつ線引を行う際の運転パラメータが,前記母材送りの基本となる速度,前記実線引速度の目標変化量,前記実線引速度の変化量に関する速度成分に乗ぜられるゲイン,演算周期,前記線引炉の温度,前記光ファイバに被覆するコーティング樹脂の圧力,前記光ファイバを冷却する冷却ヘリウムガスの流量のいずれか1又は2以上の要素であり
前記運転パラメータを段階的に区分けされた実線引速度の区間に応じて段階的に記憶する運転パラメータ段階記憶手段を更に具備し,
前記実線引速度の変化に応じて前記運転パラメータ段階記憶手段に記憶された段階的運転パラメータを抽出して適用することを特徴とする光ファイバ線引装置として構成される。
また本発明は,加熱溶融する線引炉に母材を送り出しつつ,光ファイバを線引製造する光ファイバ線引装置であって,
予め段階的に区分けされた実線引速度の区間に応じて前記母材送りの基本となる速度,前記実線引速度の目標変化量,前記実線引速度の変化量に関する速度成分に乗ぜられるゲイン,演算周期のいずれか1又は2以上の要素を前記実線引速度の変化に応じて変化させつつ線引を行うと共に,予め段階的に区分けされた実線引速度の区間に応じて前記線引炉の温度,前記光ファイバに被覆するコーティング樹脂の圧力,或いは前記光ファイバを冷却する冷却ヘリウムガスの流量のいずれか1又は2以上の要素を前記実線引速度の変化に応じて変化させつつ線引を行うことを特徴とする光ファイバ線引装置としても構成される。
更に本発明は,加熱溶融する線引炉に母材を送り出しつつ,光ファイバを線引製造する光ファイバ線引装置であって,
該光ファイバ線引装置の稼動中に変化する母材送りベース速度,線引速度の目標変化量,変化量比例ゲイン,変化量積分ゲイン,比例演算周期,積分演算周期を,予め段階的に区分けされた実線引速度の区間に対応して段階的に記憶しておき,線引速度に応じた上記母材送りベース速度,線引速度の目標変化量,変化量比例ゲイン,変化量積分ゲイン,比例演算周期,積分演算周期を下の式(i)に適用して,母材送り速度Vf(t)を決定し線引を行うことを特徴とする光ファイバ線引装置としても構成可能である。
f(t)=Vf1+KP(ΔVdt_target−ΔVdt)+KI∫(ΔVdt_target−ΔVdt)dt…(i)
ここに,
f1:母材送りベース速度
ΔVdt_target:線引速度の目標変化量
ΔVdt:線引速度の変化量
P:変化量比例ゲイン
I:変化量積分ゲイン
dt:制御周期
更に本発明は,加熱溶融する線引炉に母材を送り出しつつ,光ファイバを線引製造する光ファイバ線引装置であって,予め段階的に区分けされた実線引速度の区間に応じた該光ファイバ線引装置の運転条件に関する運転パラメータを前記実線引速度の変化に応じて変化させつつ線引を行うための制御プログラムとしても構成され得る。
以上説明したように,本発明では,前記光ファイバ線引装置の稼動中に,時々刻々変化する実線引速度に応じて,前記運転パラメータ段階記憶手段等に記憶される,前記光ファイバ線引装置の運転条件に関する運転パラメータ(例えば,前記母材送りベース速度,前記実線引速度の目標変化量,前記実線引速度の変化量に関する速度成分に乗ぜられるゲイン,前記演算周期,前記線引炉温度,前記コーティング樹脂の圧力,前記冷却ヘリウムガス流量など)が抽出されて前記光ファイバ線引装置に適用される。
このことにより,光ファイバ母材を前記線引炉に送り出す最適な母材送り速度を算出する際に,前記実線引速度の変化が加味されることになる。言い換えると,光ファイバ母材の外径と,製造される光ファイバの外径以外の数値(前記運転パラメータ)は,前記実線引速度の変化が加味されている値となる。その結果,母材送り速度Vf(t)を算出する際の
演算上の負担が軽減され,利用者による設定ミス等が引き起こす,ハンチングやオーバー
シュート,あるいは断線等の不具合が起こる可能性が極めて低くなる効果を奏している。
また,前記運転パラメータを,実線引速度の変化に追従させて段階的に変化させることにより,光ファイバ線引装置の立ち上げ時等の過渡的状況時に発生する問題,即ち,装置の立ち上げ時や運転終了時といった,実線引速度が大きく変化する状況にも機敏に対応し得るので,上述した運転パラメータを一義的に設定できないために引き起こされるハンチングやオーバーシュート等の不具合が発生する問題をも解消することができる。
更に,立上条長(或いは増速時間)の短縮を図るべく増速度を大きくした場合に発生する,立上終端部(目標線速付近)における線速の安定性の問題(ハンチング,オーバーシュート等)を軽減し得るので,母材の大径化に伴う立上条長の増加を抑え,歩留まりを向上するという効果を奏している。
以下添付図面を参照しながら,本発明の実施の形態及び実施例について説明し,本発明の理解に供する。尚,以下の実施の形態及び実施例は,本発明を具体化した一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
ここに,図1は本発明の一実施形態(以下,実施形態例と言う)に係る光ファイバ線引装置Xの概略構成図,図2は光ファイバ線引装置Xの運転条件に関する自動立上げに使用するデータテーブル(母材送りベース速度,および線引速度の目標変化量の設定),図3は光ファイバ線引装置Xの運転条件に関する自動立上げに使用するデータテーブル(母材送りベース速度(目標線速),および線引速度の目標変化量の設定),図4は光ファイバ線引装置Xの運転条件に関する自動立上げに使用するデータテーブル(制御ゲインおよび制御周期をステップ式に設定),図5は光ファイバ線引装置Xの運転条件に関する自動立上げに使用するデータテーブル(制御ゲインおよび制御周期を線形補間式に設定),図6は線引速度と母材送りベース速度との関係を示したグラフ,図7は線引速度と線引速度の目標変化量との関係を示したグラフ,図8は線引速度と制御ゲインとの関係を示したグラフ(制御ゲインをステップ式に算出),図9は線引速度と制御周期との関係を示したグラフ(制御周期をステップ式に算出),図10は線引速度と制御ゲインとの関係を示したグラフ(制御ゲインを線形補間式に算出),図11は線引速度と制御周期との関係を示したグラフ(制御周期を線形補間式に算出),図12は経過時間に伴う線引速度と母材送りベース速度との関係を示したグラフ,図13は経過時間に伴う線引速度と線引速度の目標変化量との関係を示したグラフ,図14は経過時間に伴う母材送りベース速度と実際の母材送り速度との関係を示したグラフ,図15は光ファイバ線引装置Xの運転条件に関する自動立上げに使用するデータのテーブル(線引炉温度設定),図16は光ファイバ線引装置Xの運転条件に関する自動立上げに使用するデータテーブル(コーティング樹脂圧力設定),図17は光ファイバ線引装置Xの運転条件に関する自動立上げに用いるデータテーブル(冷却ヘリウムガス流量設定),図18は線引速度と線引炉温度との関係を示したグラフ,図19は線引速度とコーティング樹脂圧力との関係を示したグラフ,図20は線引速度と冷却ヘリウムガス流量との関係を示したグラフ,図21は経過時間に伴う線引速度と線引炉温度との関係を示したグラフ,図22は経過時間に伴う線引速度とコーティング樹脂圧力との関係を示したグラフ,図23は経過時間に伴う線引速度と冷却ヘリウムガス流量との関係を示したグラフである。
まず,図1を用いて,本実施形態例に係る光ファイバ線引装置Xの構成について説明する。
光ファイバ線引装置Xは,光ファイバ母材2を把持する母材送り装置1,光ファイバ母材2を加熱線引する線引炉3,線引された光ファイバ4(以下,裸光ファイバ4という)の外径を測定する外径測定機5,裸光ファイバ4を冷却するプライマリ冷却装置7,光ファイバにコーティング樹脂を塗布するプライマリコーティング装置8,およびセカンダリコーティング装置11,塗布したコーティング樹脂を硬化させるプライマリ樹脂硬化装置
9,およびセカンダリ樹脂硬化装置12,塗布したコーティング樹脂を冷却するセカンダリ冷却装置10,樹脂で二重にコーティングされた裸光ファイバ(以下,光ファイバ素線13という)を引き取るキャプスタン6,キャプスタン6に引き取られた光ファイバ素線13を巻き取る巻取装置14等から主に構成されている。
また,光ファイバ線引装置Xにおける各種制御および演算は,演算部16にて記憶される所定のプログラム(本発明における制御プログラム)に基づいて各装置が制御されている。即ち,母材送り装置1を駆動回転させるモータ18を制御するドライバ17,線引炉3の温度を調節する炉温度調節装置15,プライマリコーティング装置8におけるコーティング樹脂の圧力を調節するプライマリコーティング樹脂圧力調節装置19,セカンダリコーティング装置11におけるコーティング樹脂圧力を調節するセカンダリコーティング樹脂圧力調節装置20,プライマリ冷却装置7におけるヘリウムガスの流量を調節するプライマリ冷却ヘリウムガス流量調節装置21,セカンダリ冷却装置10におけるヘリウムガスの流量を調節するセカンダリ冷却ヘリウムガス流量調節装置22等の制御が,演算部16にて実施される制御プログラムに基づいて行われている。
以下,光ファイバ線引装置Xにおける光ファイバ素線13の製造工程について簡単に説明する。
母材送り装置1に把持された光ファイバ母材2は,線引炉3にて加熱線引されて裸光ファイバ4となる。この際,母材送り装置1から線引炉3へ光ファイバ母材2を送り出す母材送り速度については,ドライバ17から送信される速度指令信号(後述する母材送りベース速度と線引速度の目標変化量とから,演算部16にて演算された母材送り速度に関するデータ信号)に従って,モータ18が回転駆動されることにより調節されている。
ここで,本発明の一実施形態例である光ファイバ線引装置Xでは,光ファイバ母材2から製造される裸光ファイバ4の外径が,質量不変の法則によりキャプスタン6の引取速度により決定される仕組みになっている。このことにより,まず外径測定機5にて線引された裸光ファイバ4の外径をオンライン測定し,その測定結果に基づいて,キャプスタン6の引取速度を調節することで,裸光ファイバ4の外径を一定にすることを可能にしている。
このようにして製造された裸光ファイバ4は,プライマリ冷却装置7にて一度冷却された後,プライマリコーティング装置8で,その表面にコーティング樹脂が塗布される。ここで塗布されたコーティング樹脂は,プライマリ樹脂硬化装置9で硬化される。その後,コーティング樹脂で被覆された裸光ファイバ4は,上述した工程と同様の工程の,即ちセカンダリ冷却装置10,セカンダリコーティング装置11,セカンダリ樹脂硬化装置12を通過する。裸光ファイバ4は,その表面をコーティング樹脂で二重に覆われて,光ファイバ素線13となる。この光ファイバ素線13は,キャプスタン6を経て巻取装置14にてボビンに巻き取られる。
ここで,本発明では,光ファイバ線引装置Xの運転条件に関する運転パラメータ(例えば,母材送りベース速度,線引速度の目標変化量,実線引速度の変化量に関する速度成分に乗ぜられるゲイン,演算周期,線引炉温度,コーティング樹脂圧力,冷却ヘリウムガスの流量等)については,光ファイバ線引装置Xが備える所定の記憶部(以下,運転パラメータ記憶部23という)に,段階的に設定された実線引速度に対応して段階的に記憶されている。そして演算部16は,キャプスタン6の回転速度を常時計測しており,この回転速度から演算される実線引速度に対応する運転パラメータを,運転パラメータ記憶部23から抽出して適用させている。尚,運転パラメータ記憶部23が,本発明における運転パラメータ段階記憶手段の一例である。
また,光ファイバ線引装置Xの稼動中に,その時々変化する実線引速度に応じて抽出された運転パラメータを下の式に適用して,演算部16にて母材送り速度等を決定する所定の演算がなされる。そして,その演算された結果に従って,上述したドライバ17が制御されている。
f(t)=Vf1+KP(ΔVdt_target−ΔVdt)+KI∫(ΔVdt_target−ΔVdt)dt…(2)
次に,図2,図3,図6,図7を用いて,母材送りベース速度および線引速度の目標変化量から算出される母材送り速度について説明する。尚,図中の線引速度とは実線引速度のことを指している。
図2は,本実施形態例に係る光ファイバ線引装置Xを立上げる時に用いる運転条件,即ち運転パラメータである母材送りベース速度Vf1,および線引速度の目標変化量ΔVdt_targetの線引速度の段階的変化に対応する段階的変化を示すデータテーブルである。また図3は,図2のデータテーブルにて設定される母材送りベース速度Vf1の代わりに目標線速が設定され,別途設定される母材外径および裸光ファイバ外径から母材送りベース速度Vf1が段階的に算出され設定されるようにしたデータテーブルである。
また図6および図7は,それらの関係をグラフ化したものである。尚,図2および図3に示された実線引速度の段階的変化と,これに対応する運転パラメータの段階的変化のデータは,運転パラメータ記憶部23に記憶されている。
また本実施形態例では,これらの変化が9段階に区分けされているが,段階数は任意である。段階数を多くするほど滑らかな制御が可能である。ここで,本実施形態例では,実線引速度の区間,母材送りベース速度,および線引速度の目標変化量については,入力操作可能な操作部などから利用者により入力された固定値でも良いし,所定の情報から演算部16にて演算される可変値でも良い。
上述したキャプスタン6の回転数から算出される実線引速度に対応する母材送りベース速度および線引速度の目標変化量は,演算部16により,運転パラメータ記憶部23から実線引速度に関連して読み出されることによって式(2)に適用され,母材送り速度が設定される。図2の表によれば,例えば,ある時点で実線引速度V(t)=500m/minである場合の母材送りベース速度および線引速度の目標変化量は,
母材送りベース速度 :1.83mm/min
線引速度の目標変化量 :150m/min2
である。また,図3の表によれば,例えば,ある時点で実線引速度V(t)=500m/minである場合の目標線速および線引速度の目標変化量は,
目標線速 :750m/min
線引速度の目標変化量 :150m/min2
であり,別途設定される母材外径および裸光ファイバの外径が,
母材外径 :80mm
裸光ファイバ外径 :0.125mm
である場合,母材送りベース速度Vf1は,
f1=((0.125)2/(80)2)×750 = 1.83mm/min
となる。このデータが式(2)に代入され,この設定された母材送りベース速度および線引速度の目標変化量を用いて,演算部16にて母材送り速度が演算される。そして,その演算された母材送り速度に従って,ドライバ17によりモータ18が回転駆動されることで,母材送り装置1からの線引炉3への光ファイバ母材2の供給制御がなされる。
以下,演算部16が実施する母材送り速度の演算について説明する。
光ファイバ線引装置Xにおける線引時の,ある時刻tにおける光ファイバの実線引速度
をV(t)とし,時刻tよりもdt時間前の線引速度をV(t−dt)とすると,dt時間当たりの実線引速度の変化量,即ち加速度ΔVdtは,
ΔVdt=V(t)−V(t−dt)
と計算される。図2の表によれば,例えば,現在の線引速度が600m/min,10秒前の線引速度が580m/minである場合の加速度ΔVdtは,
ΔVdt=(600−580)×60/10 = 120m/min2
となる。
ここで,上述した制御を前記演算部16によりPLC(Programmable Logic Controller)で実施する場合は以下のようになる。
まず,100msec程度の周期で実線引速度を取得した後,累積された10〜100個程度の最新線引速度データの移動平均化を行う。この移動平均化された結果を現在の実線引速度とする。次に,この実線引速度から,データの移動平均化されたdt時間前の線引速
度を減算すると,一定時間dtにおける実線引速度の変化量ΔVdtを求めることができる。尚,100msec程度の周期で実線引速度の変化量を算出し,同様に10〜100個程度の最新の実線引速度変化量のデータを移動平均化して,現在の実線引速度の変化量ΔVdtとしてもよい。
このように,上述した式(2)に記載されているように,線引速度の目標変化量と実変化量との差に対して行われる比例演算,および積分演算の演算結果を,母材送りベース速度に加算することで,母材送り速度が算出されることになる。
ここで,本発明では,式(2)における,線引速度の目標変化量と実変化量との差分に乗ぜられるゲインKP(以下,変化量比例ゲインという),線引速度の目標変化量と実変化量との差分の積分値に乗ぜられるゲインKI(以下,変化量積分ゲインという),および各々を演算する周期としての比例演算周期と積分演算周期とについても,運転パラメータ記憶部23に段階的に記憶されている。そして演算部16により,運転パラメータ記憶部23からこれらの段階的運転パラメータが実線引速度の変化に応じて取り出され,式(2)に適用されることで,母材送り速度Vf(t)の演算に供される。
以下,変化量比例ゲインKP,変化量積分ゲインKI,比例演算周期,および積分演算周期を用いて母材送り速度を演算する場合について,図4,図8,図9を用いて説明する。
図4は,本実施形態例に係る光ファイバ線引装置Xの運転条件に関する,運転パラメータとしての変化量比例ゲインKP,変化量積分ゲインKI,比例演算周期,および積分演算周期を段階式に設定した自動立上げに使用されるデータテーブルである。また,図8および図9は,それらの関係をグラフ化したものである。尚,図4に示された実線引速度の段階的変化と,これに対応する運転パラメータの段階的に変化するデータは,運転パラメータ記憶部23に記憶されている。
また本実施形態例では,これらの変化が9段階に区分けされているが,段階数は前記のように任意である。ここで,本実施形態例では,実線引速度の区間,変化量比例ゲインKP,変化量積分ゲインKI,比例演算周期,および積分演算周期については,入力操作可能な操作部などから利用者により入力された固定値でも良いし,所定の情報から演算部16にて演算される可変値でも良い。
キャプスタン6の回転数から算出される,実線引速度に対応する変化量比例ゲインKP,変化量積分ゲインKI,比例演算周期,および積分演算周期は,演算部16により,運転パラメータ記憶部23から時々刻々変化する実線引速度に関連して読み出されることによって式(2)に適用され,母材送り速度Vf(t)が設定される。図4の表によれば,例えば,ある時点で実線引速度V(t)=500m/minである場合の,変化量比例ゲインKP,変化量積分ゲインKI,比例演算周期,および積分演算周期は,
変化量比例ゲインKP : 8.0%
変化量積分ゲインKI : 4.0%
比例演算周期 : 5.0sec
積分演算周期 :10.0sec
であり,このデータが式(2)に代入され,母材送り速度Vf(t)が設定される。この時,式(2)における,比例項KP(ΔVdt_target−ΔVdt),および積分項KI∫(ΔVdt_target−ΔVdt)dtは,上述した比例演算周期(5.0sec),および積分演算周(10.0sec)の周期で各々独立して演算される。このことにより,比例演算や積分演算の時間に対応する応答特性を十分に生かした演算実行が可能になる。
更に,図4の表に示される,立上げ時(或いは立下げ時)の制御に使用されるデータテーブルにおいて,実線引速度区間を移行する時に生じる,変化量比例ゲインKP,変化量積分ゲインKI,比例演算周期,および積分演算周期の急激な変化を抑制するために,これらの値を線形補間式に算出することも可能である。
本実施形態例では,運転パラメータを実線引速度に対応して段階的に予め定めておき,実線引速度の変化に応じてそれらの運転パラメータを次々に適用していくものであったので,制御がステップ的になり,滑らかさに問題がある。この問題を解決するために,予め段階的に定めた運転パラメータに基づいて中間的な運転パラメータを線形補間により求める場合について,図5,図10,図11を用いて以下に説明する。
図5は,本実施形態例に係る光ファイバ線引装置Xの運転条件に関する,変化量比例ゲインKP,変化量積分ゲインKI,比例演算周期,および積分演算周期の中間的な値を線形補間式に適用するために設定された段階的な運転パラメータのデータテーブルである。また図10および図11は,これらの関係をグラフ化したものである。尚,図5に示された実線引速度の段階的変化と,これに対応する運転パラメータの段階的変化のデータは,運転パラメータ記憶部23に記憶されている。
また本実施形態例では,これらの変化が9段階に区分けされているが,段階数は任意である。ここで,本実施形態例では,実線引速度の区間,変化量比例ゲインKP,変化量積分ゲインKI,比例演算周期,および積分演算周期については,入力操作可能な操作部などから利用者により入力された固定値でも良いし,所定の情報から演算部16にて演算される可変値でも良い。
上述したキャプスタン6の回転数から算出される,実線引速度に対応する変化量比例ゲイン,変化量積分ゲイン,比例演算周期,および積分演算周期は,演算部16により,運転パラメータ記憶部23から実線引速度に関連して読み出されて,下記の式(3)に適用され,ある時点の実線引速度に応じた変化量比例ゲインKP,変化量積分ゲインKI,比例演算周期,および積分演算周期が,線形補間式(3)を用いて各々演算部16にて演算される。尚,V1およびV2は線引速度の区間を決めるための線引速度(V1<V2),KP1およびKP2は線引速度V1〜V2に対応する変化量比例ゲイン,KI1およびKI2は線引速度V1〜V2に対応する変化量積分ゲイン,TP1およびTP2は線引速度V1〜V2に対応する比例演算周期,TI1およびTI2は線引速度V1〜V2に対応する積分演算周期である。
変化量比例ゲイン :KP=KP1+(KP2−KP1)・(V(t)−V1)/(V2−V1)
変化量積分ゲイン :KI=KI1+(KI2−KI1)・(V(t)−V1)/(V2−V1)
比例演算周期 :TP=TP1+(TP2−TP1)・(V(t)−V1)/(V2−V1)
積分演算周期 :TI=TI1+(TI2−TI1)・(V(t)−V1)/(V2−V1) …(3)
ここで,図5の表によれば,例えば,ある時点で実線引速度500m/minの場合,図5の表にあるデータから,V1=300m/min,V2=600m/min,KP1=6.0,KP2=10.0,KI1=3.0,KI2=5.0,TP1=8.0,TP2=4.0,TI1=16.0,TI2=8.0と設定される。設定されたこれらの値に従って,以下のように線形補間式(3)に基づき,変化量比例ゲインKP,変化量積分ゲインKI,比例演算周期,および積分演算周期が演算される。
変化量比例ゲイン :KP=6.0+(10.0−6.0)・(500−300)/(600−300)=8.7%
変化量積分ゲイン :KI=3.0+(5.0−3.0)・(500−300)/(600−300) =4.3%
比例演算周期 :TP=8.0+(4.0−8.0)・(500−300)/(600−300) =5.3sec
積分演算周期 :TI=16.0+(8.0−16.0)・(500−300)/(600−300)=10.7sec
このように,変化量比例ゲインKP,変化量積分ゲインKI,比例演算周期,および積分演算周期を線形補間により演算することにより,実線引速度区間移行時に生じる段階的且つ急激な変化を抑制することができるので,より円滑で安定した制御を行うことができる。
ここで,図12は経過時間に伴う実線引速度と母材送りベース速度との関係を示したグラフ,図13は同じく経過時間に伴う実線引速度と線引速度の目標変化量との関係を示したグラフ,図14は経過時間に伴う母材送りベース速度と実際の母材送り速度との関係を示したグラフである。尚,図中のL1〜L2の曲線は実線引速度を,L3の曲線は実際の母材送り速度を示している。
以上の説明は,光ファイバ線引装置Xの運転条件に関する運転パラメータが,線引速度の目標変化量,母材送りベース速度,変化量比例ゲイン,変化量積分ゲイン,比例演算周期,および積分演算周期のいずれか1又は2以上である場合について述べた。
本発明においては,運転パラメータが上述したパラメータだけに留まらず,更に,線引炉3の温度である線引炉温度,裸光ファイバ4をコーティングする樹脂の圧力であるコーティング樹脂圧力,裸光ファイバ4を冷却するヘリウムガス流量である冷却ヘリウムガス流量についても,時々刻々と変化する実線引速度に従った設定が可能な装置としても提案される。
以下,運転パラメータが線引炉温度,コーティング樹脂圧力,および冷却ヘリウムガス流量である場合について述べる。ただし,これらの運転パラメータ(線引炉温度,コーティング樹脂圧力,および冷却ヘリウムガス流量)に加えて上の実施形態で問題とした線引速度の目標変化量や,変化量比例ゲイン,変化量積分ゲイン,比例演算周期,積分演算周期の段階的適用を実施すること(補間演算を含む)も,あるいは,これらと独立に線引炉温度,コーティング樹脂圧力,および冷却ヘリウムガス流量などのみについて段階的に適用することもできるが,ここでは後者の場合について説明する。
線引炉温度の設定については,図15のデータテーブルを用いる。また,この時の線引速度に対する線引炉の温度の変化については,図18にグラフ化される。
この実施形態例でも,これらの変化が9段階に区分けされているが,段階数は任意である。ここで本実施形態例では,前記のとおり実線引速度の区間数および線引炉温度については,入力操作可能な操作部などから利用者により入力された固定値でも良いし,所定の情報から演算部16にて演算される可変値でも良い。
尚,線引炉3の温度は,光ファイバ線引装置Xが備える炉温度調節装置15により調節される。即ち,演算部16にて演算された結果に従って,炉温度調節装置15が制御されることで線引炉3の温度が調節される。線引炉温度は,下記の線形補間式(4)に線引速度を代入し,演算部16にて演算される。尚,V1およびV2は線引速度の区間を決めるための線引速度(V1<V2),R1およびR2は線引速度V1およびV2に対応する線引炉温度である。
線引炉温度 :Rf=R1+(R2−R1)・(V(t)−V1)/(V2−V1) …(4)
図15の表によれば,例えば,ある時点で実線引速度400m/minの場合,V1=300m/min,V2=500m/min,R1=2100℃,R2=2120℃と設定される。設定されたこれらの値に従って,下のように線引炉温度Rfが演算される。
線引炉温度 :Rf=2100+(2120−2100)・(400−300)/(500−300) = 2110℃
このように,線引炉温度Rfが線形補間式に演算されることにより,実線引速度区間移行時に生じる急激な変化を抑制することができるので,より円滑で安定した制御を行うことができる。
また,コーティング樹脂圧力の設定については,図16のデータテーブルが用いられる。図16は,光ファイバ線引装置Xにおけるコーティング樹脂圧力(プライマリコーティング樹脂圧力,セカンダリコーティング樹脂圧力)の線引速度の段階的変化に対応したテーブルである。また図19は,これらの関係をグラフ化したものである。これらの値も,運転パラメータ記憶部23に予め記憶されている。
これらの変化の段階数は任意であるが,この実施形態では9段階に区分けされている。
当然ながら,実線引速度の区間数およびコーティング樹脂圧力については,入力操作可能な操作部などから利用者により入力された固定値でも良いし,所定の情報から演算部16にて演算される可変値でも良い。
尚,コーティング樹脂圧力とは,プライマリコーティング装置8,およびセカンダリコーティング装置11において,裸光ファイバ4に塗布されるコーティング樹脂の圧力のことを指している。このプライマリコーティング装置8,およびセカンダリコーティング装置11におけるコーティング樹脂圧力は,それぞれ,プライマリコーティング樹脂圧力調節装置19,およびセカンダリコーティング樹脂圧力調節装置20により制御されている。実線引速度に応じたプライマリコーティング樹脂圧力,およびセカンダリコーティング樹脂圧力は,下記の線形補間式(5) に線引速度を代入し,演算部16にて演算される。
尚,V1およびV2は線引速度の区間を決めるための線引速度(V1<V2),P1およびP2は線引速度V1およびV2に対応するプライマリコーティング樹脂圧力である。またP3およびP4は線引速度V1およびV2に対応するセカンダリコーティング樹脂圧力である。
プライマリコーティング樹脂圧力
:P1st=P1+(P2−P1)・(V(t)−V1)/(V2−V1)
セカンダリコーティング樹脂圧力
:P2nd=P3+(P4−P3)・(V(t)−V1)/(V2−V1) …(5)
図16の表に示すように,例えば,ある時点で実線引速度700m/minの場合,図16のデータから,V1=600m/min,V2=800m/min,P1=0.08MPa,P2=0.12MPa,P3=0.06MPa,P4=0.09MPaと設定される。設定されたこれらの値に従って,以下のように線形補間式にプライマリコーティング樹脂圧力P1stおよびセカンダリコーティング樹脂圧力P2ndが演算される。
プライマリコーティング樹脂圧力
:P1st=0.08+(0.12−0.08)・(700−600)/(800−600) = 0.10MPa
セカンダリコーティング樹脂圧力
:P2nd=0.06+(0.09−0.06)・(700−600)/(800−600) = 0.075MPa
このように,プライマリコーティング樹脂圧力P1st,およびセカンダリコーティング樹脂圧力P2ndが線形補間式に演算されることにより,実線引速度区間移行時に生じる急激な変化を抑制することができるので,より円滑で安定した制御を行うことができる。
ここで,冷却ヘリウムガス流量の設定についても同様であり,図17に示す線引速度の段階的変化に対応して予め定められた冷却ヘリウムガス流量(プライマリ冷却ヘリウムガス流量,セカンダリ冷却ヘリウムガス流量)および線引速度を(6)式に適用して補間された冷却ヘリウムガス流量を求める。
プライマリ冷却ヘリウムガス流量
:F1st=F1+(F2−F1)・(V(t)−V1)/(V2−V1)
セカンダリ冷却ヘリウムガス流量
:F2nd=F3+(F4−F3)・(V(t)−V1)/(V2−V1) …(6)
尚,冷却ヘリウムガス流量とは,プライマリ冷却装置7,およびセカンダリ冷却装置10において,各々の装置が備える冷却管へ供給するヘリウムガス量である。このプライマリ冷却装置7,およびセカンダリ冷却装置10における冷却ヘリウムガス流量は,それぞれ,プライマリ冷却ヘリウムガス流量調節装置21,およびセカンダリ冷却ヘリウムガス流量調節装置22にて制御されている。図17によれば,例えば,ある時点で実線引速度700m/minの場合,図17の表にあるデータから,V1=600m/min,V2=800m/min,F1=6.00L/min,F2=12.00L/min,F3=1.50L/min,F4=3.00L/minと設定される。設定されたこれらの値に従って,以下のように線形補間式にプライマリ冷却ヘリウムガス流量F1st,およびセカンダリ冷却ヘリウムガス流量F2ndが演算される。
プライマリ冷却ヘリウムガス流量
:F1st=6.00+(12.00−6.00)・(700−600)/(800−600) = 9.00L/min
セカンダリ冷却ヘリウムガス流量
:F2nd=1.50+(3.00−1.50)・(700−600)/(800−600) = 2.25L/min
このように,プライマリ冷却ヘリウムガス流量F1st,およびセカンダリ冷却ヘリウムガス流量F2ndを線形補間式に演算することにより,実線引速度区間移行時に生じる急激な変化を抑制することができるので,より円滑で安定した制御を行うことができる。
ここで,図21は経過時間に伴う実線引速度と線引炉温度との関係を示したグラフ,図22は経過時間に伴う実線引速度とコーティング樹脂圧力との関係を示したグラフ,図23は経過時間に伴う実線引速度と冷却ヘリウムガス流量との関係を示したグラフである。尚,図中のL4〜L6の曲線は実線引速度を示している。これらの図21〜23からも分かるように,光ファイバ線引装置Xの稼動開始直後から,目標線引速度に至るまでの時間における線引炉温度,コーティング樹脂圧力,および冷却ヘリウムガス流量は,実線引速度の変化を加味した値になっている。
本実施形態例に係る光ファイバ線引装置Xの概略構成図。 本実施形態例に係る光ファイバ線引装置Xの運転条件に関する自動立上げに使用するデータテーブル(母材送りベース速度,および線引速度の目標変化量の設定)。 本実施形態例に係る光ファイバ線引装置Xの運転条件に関する自動立上げに使用するデータテーブル(母材送りベース速度(目標線速),および線引速度の目標変化量の設定)。 本実施形態例に係る光ファイバ線引装置Xの運転条件に関する自動立上げに使用するデータテーブル(制御ゲイン,および制御周期をステップ式に設定)。 本実施形態例に係る光ファイバ線引装置Xの運転条件に関する自動立上げに使用するデータテーブル(制御ゲイン,および制御周期を線形補間式に設定)。 本実施形態例に係る光ファイバ線引装置Xにおける実線引速度と母材送りベース速度との関係を示したグラフ。 本実施形態例に係る光ファイバ線引装置Xにおける線引速度と線引速度の目標変化量との関係を示したグラフ。 本実施形態例に係る光ファイバ線引装置Xにおける線引速度と制御ゲインとの関係を示したグラフ(ステップ式に算出)。 本実施形態例に係る光ファイバ線引装置Xにおける線引速度と制御周期との関係を示したグラフ(ステップ式に算出)。 本実施形態例に係る光ファイバ線引装置Xにおける線引速度と制御ゲインとの関係を示したグラフ(線形補間式に算出)。 本実施形態例に係る光ファイバ線引装置Xにおける線引速度と制御周期との関係を示したグラフ(線形補間式に算出)。 本実施形態例に係る光ファイバ線引装置Xにおける経過時間に伴う線引速度と母材送りベース速度との関係を示したグラフ。 本実施形態例に係る光ファイバ線引装置Xにおける経過時間に伴う線引速度と線引速度の目標変化量との関係を示したグラフ。 本実施形態例に係る光ファイバ線引装置Xにおける経過時間に伴う母材送りベース速度と実際の母材送り速度との関係を示したグラフ。 本実施形態例に係る光ファイバ線引装置Xの運転条件に関する自動立上げに使用するデータテーブル(線引炉温度設定)。 本実施形態例に係る光ファイバ線引装置Xの運転条件に関する自動立上げに使用するデータテーブル(コーティング樹脂圧力設定)。 本実施形態例に係る光ファイバ線引装置Xの運転条件に関する自動立上げに使用するデータテーブル(冷却ヘリウムガス流量設定)。 本実施形態例に係る光ファイバ線引装置Xにおける線引速度と線引炉温度との関係を示したグラフ。 本実施形態例に係る光ファイバ線引装置Xにおける線引速度とコーティング樹脂圧力との関係を示したグラフ。 本実施形態例に係る光ファイバ線引装置Xにおける線引速度と冷却ヘリウムガス流量との関係を示したグラフ。 本実施形態例に係る光ファイバ線引装置Xにおける経過時間に伴う線引速度と線引炉温度との関係を示したグラフ。 本実施形態例に係る光ファイバ線引装置Xにおける経過時間に伴う線引速度とコーティング樹脂圧力との関係を示したグラフ。 本実施形態例に係る光ファイバ線引装置Xにおける経過時間に伴う線引速度と冷却ヘリウムガス流量との関係を示したグラフ。
符号の説明
1…母材送り装置
2…光ファイバ母材
3…線引炉
4…裸光ファイバ
5…外径測定機
6…キャプスタン
7…プライマリ冷却装置
8…プライマリコーティング装置
9…プライマリ樹脂硬化装置
10…セカンダリ冷却装置
11…セカンダリコーティング装置
12…セカンダリ樹脂硬化装置
13…光ファイバ素線
14…巻取装置
15…炉温度調節装置
16…演算部
17…ドライバ
18…モータ
19…プライマリコーティング樹脂圧力調節装置
20…セカンダリコーティング樹脂圧力調節装置
21…プライマリ冷却ヘリウムガス流量調節装置
22…セカンダリ冷却ヘリウムガス流量調節装置
23…運転パラメータ記憶部

Claims (4)

  1. 加熱溶融する線引炉に母材を送り出しつつ,光ファイバを線引製造する光ファイバ線引装置であって,
    該光ファイバ線引装置の運転条件に関する運転パラメータを前記実線引速度の変化に応じて変化させつつ線引を行う際の運転パラメータが,前記母材送りの基本となる速度,前記実線引速度の目標変化量,前記実線引速度の変化量に関する速度成分に乗ぜられるゲイン,演算周期,前記線引炉の温度,前記光ファイバに被覆するコーティング樹脂の圧力,前記光ファイバを冷却する冷却ヘリウムガスの流量のいずれか1又は2以上の要素であり
    前記運転パラメータを段階的に区分けされた実線引速度の区間に応じて段階的に記憶する運転パラメータ段階記憶手段を更に具備し,
    前記実線引速度の変化に応じて前記運転パラメータ段階記憶手段に記憶された段階的運転パラメータを抽出して適用することを特徴とする光ファイバ線引装置。
  2. 加熱溶融する線引炉に母材を送り出しつつ,光ファイバを線引製造する光ファイバ線引装置であって,
    予め段階的に区分けされた実線引速度の区間に応じ前記母材送りの基本となる速度,前記実線引速度の目標変化量,前記実線引速度の変化量に関する速度成分に乗ぜられるゲイン,演算周期のいずれか1又は2以上の要素を前記実線引速度の変化に応じて変化させつつ線引を行うと共に,予め段階的に区分けされた実線引速度の区間に応じ前記線引炉の温度,前記光ファイバに被覆するコーティング樹脂の圧力,或いは前記光ファイバを冷却する冷却ヘリウムガスの流量のいずれか1又は2以上の要素を前記実線引速度の変化に応じて変化させつつ線引を行うことを特徴とする光ファイバ線引装置。
  3. 加熱溶融する線引炉に母材を送り出しつつ,光ファイバを線引製造する光ファイバ線引装置であって,
    該光ファイバ線引装置の稼動中に変化する母材送りベース速度,線引速度の目標変化量,変化量比例ゲイン,変化量積分ゲイン,比例演算周期,積分演算周期を,予め段階的に区分けされた実線引速度の区間に対応して段階的に記憶しておき,線引速度に応じた上記母材送りベース速度,線引速度の目標変化量,変化量比例ゲイン,変化量積分ゲイン,比例演算周期,積分演算周期を下の式(i)に適用して,母材送り速度Vf(t)を決定し線引を行うことを特徴とする光ファイバ線引装置。
    f(t)=Vf1+KP(ΔVdt_target−ΔVdt)+KI∫(ΔVdt_target−ΔVdt)dt…(i)
    ここに,
    f1:母材送りベース速度
    ΔVdt_target:線引速度の目標変化量
    ΔVdt:線引速度の変化量
    P:変化量比例ゲイン
    I:変化量積分ゲイン
    dt:制御周期
  4. 加熱溶融する線引炉に母材を送り出しつつ,光ファイバを線引製造する請求項1から3のいずれかに記載の光ファイバ線引装置であって,予め段階的に区分けされた実線引速度の区間に応じた該光ファイバ線引装置の運転条件に関する運転パラメータを前記実線引速度の変化に応じて変化させつつ線引を行うための制御プログラム。
JP2005336519A 2004-11-26 2005-11-22 光ファイバ線引装置,およびその制御プログラム Expired - Fee Related JP4927388B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005336519A JP4927388B2 (ja) 2004-11-26 2005-11-22 光ファイバ線引装置,およびその制御プログラム

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004343165 2004-11-26
JP2004343165 2004-11-26
JP2005336519A JP4927388B2 (ja) 2004-11-26 2005-11-22 光ファイバ線引装置,およびその制御プログラム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006176395A JP2006176395A (ja) 2006-07-06
JP4927388B2 true JP4927388B2 (ja) 2012-05-09

Family

ID=36730855

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005336519A Expired - Fee Related JP4927388B2 (ja) 2004-11-26 2005-11-22 光ファイバ線引装置,およびその制御プログラム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4927388B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008076298A1 (en) * 2006-12-14 2008-06-26 Dsm Ip Assets B.V. D1381 supercoatings for optical fiber
JP6426478B2 (ja) 2014-01-31 2018-11-21 信越化学工業株式会社 ガラスロッドの加工方法および加工装置

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3823387B2 (ja) * 1996-09-02 2006-09-20 住友電気工業株式会社 光ファイバ線引方法および線引装置
JP2000103649A (ja) * 1998-09-30 2000-04-11 Furukawa Electric Co Ltd:The 光ファイバ線引き方法及び装置
JP4403606B2 (ja) * 1999-07-22 2010-01-27 住友電気工業株式会社 光ファイバ線引方法および線引装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2006176395A (ja) 2006-07-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8613209B2 (en) Optical fiber drawing apparatus
JP2765033B2 (ja) 光ファイバーの線引方法
JP4847940B2 (ja) 冷間圧延における板厚制御方法
JP4927388B2 (ja) 光ファイバ線引装置,およびその制御プログラム
TW201604115A (zh) 捲筒間搬送控制裝置
US8216371B2 (en) Single crystal manufacturing apparatus and method
JP6816829B2 (ja) エンドレス圧延ラインの温度制御装置
ITRM20090448A1 (it) Dispositivo e metodo di controllo di una saldatrice, in particolare per una fabbricazione a mezzo di apporto di materiale
JP4588420B2 (ja) 光ファイバ線引装置,およびその制御プログラム
KR101424461B1 (ko) 권취기의 장력 제어방법
JP4403606B2 (ja) 光ファイバ線引方法および線引装置
JP2017113987A (ja) プリプレグの製造方法
WO2019182060A1 (ja) 光ファイバの製造方法および製造装置
JP4466036B2 (ja) 光ファイバの製造方法
JP2000103649A (ja) 光ファイバ線引き方法及び装置
JP2004059426A (ja) 光ファイバ線引き装置及び光ファイバ母材供給速度制御方法
CN117836251A (zh) 光纤的制造方法
KR102231346B1 (ko) 비정질 리본 장력 제어 장치
JP2001158638A (ja) 光ファイバ製造方法
JPH107431A (ja) 光ファイバ素線製造装置
JP3823387B2 (ja) 光ファイバ線引方法および線引装置
JP5353294B2 (ja) 単結晶の製造方法
JP2012171814A (ja) 光ファイバの製造方法および光ファイバ製造装置
JPH03216920A (ja) 金属線被覆設備の制御装置
JPH04361860A (ja) 連続鋳造機における鋳型内湯面レベル制御装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070928

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090224

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110222

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20110317

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20110324

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110422

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120207

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120209

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150217

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4927388

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees