JP4403059B2 - 定着部材、定着部材表層の作成方法、定着装置、定着方法、および画像形成装置 - Google Patents
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Description
トナー粒子のオフセットには、いわゆるホットオフセットと、コールドオフセットと呼ばれるものがある。
ホットオフセットとは、熱ローラ定着方式において、トナーが過加熱されトナーの凝集力が定着ローラおよび用紙との接着力を下回った場合に、トナー層が分断して起こるオフセット現象をいう。高温オフセットともいう。また、これが起こるときのローラの設定温度をホットオフセット温度としている。
コールドオフセットとは、熱ローラ定着方式において、トナーと用紙との界面付近が充分溶かされない場合、定着ローラとの接着力や静電吸着力により、トナー画像の一部が取り去られること。低温オフセットともいう。また、これが起こるときのローラの設定温度をコールドオフセット温度としている。
多くの材料は、連続使用において最初は良好な剥離特性を有して機能するけれども、トナーのホットオフセットの結果として、紙繊維、紙片およびトナーにより汚染されがちであり、そのため、ロールの表面エネルギーを増大させ剥離性能を落とす。しかも、一旦、ロールが汚染されると、ホットオフセット温度は低下し始めてトナー像を定着させるに必要な最低温度近くまたはそれ以下のレベルにまでなることがあり、そのため、トナー像の不完全定着およびトナー像の定着ロールへのトナーのオフセットの両方をもたらす。定着ロールが1度汚染され始めると、汚染物は、加圧ロールにも移行する。このように、離型性は、重要な尺度である。
また、定着ローラは、熱をトナーに渡す役目をしているため、発熱体からトナーまで、熱伝達障害を最少にするように設定される。
金属ローラ表面に非粘着離型性樹脂層を被覆した定着ローラにおいて、前記樹脂層がフレーク状金属を含有するものが提案されている(例えば、特許文献4 参照。)。しかしこのローラは、使用が進むと、表面が削れてフレーク状の金属が表面に出、トナーが固着する。それを防止するためにフレークを内部に分布させているが、表面の熱伝導率の悪いフッ素樹脂が厚くなると熱伝導率の効果は非常に小さくなる。
該表層は、周囲を前記熱の良導体が囲むように凝集した粒状性を呈するフッ素樹脂材料を含む。
粒状性を有するフッ素樹脂材料を囲むように凝集した「熱の良導体」は、良導体相互に接触した状態をなし、表層の表面には、粒状性を有するフッ素樹脂材料の断面が露呈している。
請求項2に記載の発明では、請求項1の定着部材において、前記熱の良導体として金属を用いたことを特徴とする。
請求項4に記載の発明では、請求項1の定着部材において、前記熱の良導体として絶縁性無機化合物を用いたことを特徴とする。
請求項6に記載の発明では、請求項1ないし5のいずれか1つに記載の定着部材において、前記表層の、水に対する接触角が80°以上であることを特徴とする。
請求項8に記載の発明では、請求項1ないし7のいずれか1つに記載の定着部材において、前記フッ素樹脂材料は、MFR(メルトフローレート)(372℃、荷重5kg)で6g/10分以下であることを特徴とする。
前記請求項1ないし8のいずれか1つに記載の定着部材において、フッ素樹脂材料は、分子量の大きいPFA、およびカーボンを含むPFA、の少なくとも一方を有することができる。
請求項10に記載の発明では、請求項1ないし9のいずれか1つに記載の定着部材の前記表層の作製法において、前記樹脂材料としてフッ素樹脂を用い、該フッ素樹脂の粒子に前記熱の良導体を表面被覆したものを一部、または全部使用し、前記回転体に静電塗装した後、加熱し、膜とし、該膜の表面を研磨して、フッ素樹脂材料の断面を露呈させるたことを特徴とする。
請求項11に記載の発明では、請求項1ないし9のいずれか1つに記載の定着部材の前記表層の作製法において、前記樹脂材料としてフッ素樹脂を用い、該フッ素樹脂の粒子に前記熱の良導体を表面被覆したものを一部または、全部使用し、それらを水溶液中に分散し、その塗装液により、前記回転体に塗装した後、加熱し、膜とし、該膜の表面を研磨して、フッ素樹脂材料の断面を露呈させるたことを特徴とする。
請求項12に記載の発明では、請求項1ないし9のいずれか1つに記載の定着部材と、該定着部材に接触して回転する回転体の接触部に前記記録媒体を挟持搬送して前記未定着トナーを定着する定着装置を特徴とする。
請求項14に記載の発明では、請求項12または13に記載の定着装置において、前記2つの回転体(定着部材および記定着部材に接触して回転する回転体)の少なくとも一方に離型剤を塗布する塗布手段を設けたことを特徴とする。
請求項16に記載の発明では、請求項12ないし15のいずれか1つに記載の定着装置において、前記2つの回転体の圧接する接触部分の単位面積当たりの圧力が4.0[kgf/cm2]以下となるよう設定したことを特徴とする。
請求項17に記載の発明では、請求項1ないし9のいずれか1つに記載の定着部材を用いて、ワックス含有のトナーの定着を行う定着方法を特徴とする。
請求項18に記載の発明では、請求項12ないし16のいずれか1つに記載の定着装置を用い、前記2つの回転体の少なくとも一方に離型剤を塗布する定着方法を特徴とする。
請求項19に記載の発明では、請求項12ないし16のいずれか1つに記載の定着装置を用いた画像形成装置を特徴とする。
定着ローラ電位をアースに近くして静電反発によるトナーチリを防止できる。
負帯電トナーに対し、定着ローラが負に帯電し、トナーの付着を減らすことができる。
熱良導体が加熱時に広がるのを防止し、効率よく、少ない熱良導体添加での離型性のよい定着部材の表層構造を作製できる。
トナーとの離型性向上を計り、耐久性を持つ定着方法を得ることができる。
トナー付着を防止するため、ワックスや離型剤の離型性の限界以内で定着することができる。
高耐久、高画質、省エネの特性を持った画像形成装置を得ることができる。
さらなる効果については、実施例中で直接述べる。
同図において符号1は感光体、2は帯電ローラ、3は光走査装置、4は現像装置、5は転写ローラ、6は定着装置、7はクリーニング装置、8は除電装置、9は記録媒体をそれぞれ示す。
画像形成装置は、周知の電子写真プロセスを実行することによって画像を得ることができるものであって、像担持体として円筒状に形成された光導電性の感光体1を有している。感光体1の周囲には、帯電手段としての帯電ローラ2、現像装置4、転写ローラ5、クリーニング装置7、除電装置8が配備されている。また、それらのほかに、画像形成装置は、光走査装置3と定着装置6を備えている。帯電手段としては、コロナチャージャを用いることもできる。光走査装置は帯電ローラと現像装置との間の感光体面で光走査による露光を行う。
同図において符号21は温度検知素子、23はハロゲンヒーター、24は定着ローラ、25は定着ローラの表層、26は加圧ローラ、Sは記録シート、TIは定着されるべきトナー画像をそれぞれ示す。
加圧ローラ26と圧接する定着ローラ24は時計回りに回転し、定着されるべきトナー画像TIを有する記録シートSを、これら定着ローラ24と加圧ローラ26とで挟圧して矢印方向に搬送するようになっている。加熱用のハロゲンヒーター23が定着ローラ内部から加熱している。定着ローラ24の表面温度は温度検知素子21で検出される。本発明の表層25は、定着ローラ24の表面に形成される。
同図において符号51はフッ素樹脂部分、52は熱の良導体の凝集部分をそれぞれ示す。同図は定着ローラ基材の面に平行な方向の断面(表層の表面)を示している。この方向を便宜上水平方向と呼ぶ。
表層は、周囲を熱の良導体52が囲むように凝集した粒状性を呈するフッ素樹脂材料部分51を含む。粒状のフッ素樹脂材料部52を囲むように凝集した熱の良導体52は、相互に接触した状態をなしている。
フッ素樹脂部分51の、前記断面に露呈した部分が、前記断面において面積的に大きく占め、離型性を確保している。熱良導体凝集部分は、面積的には、5%程度であるが、ほとんどが凝集しているため熱伝導率の寄与が大きい。
凝集部分はすべての方向に連続的に相互接触しているので、水平方向での熱伝導率も高い。ここで、凝集とは、局部的な体積部分において、少なくとも熱良導体の体積が、フッ素樹脂の体積を上回る状態の部分をいう。
同図において符号27はローラの基材を示す。
同図に示す断面方向を便宜上、垂直方向と呼ぶ。同図に見られるように、凝集部分は垂直方向に関してもすべての方向に連続的に相互接触しているので、熱伝導率向上に寄与している。
低分子量ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粉末は、ルブロンL−5、L−2(ダイキン工業)、MP1100、1200、1300、TLP−10F−1(三井デュポンフロロケミカル)が知られている。テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)粉末は、532−8000(デュポン)が知られている。テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)は、MP−10、MP102、(三井デュポンフロロケミカル)が知られている。特にMFR(メルトフローレート:熱流動性)が小さい流動性の低いものとして、MP103、MP300(三井デュポンフロロケミカル)、AC−5600、AC5539 (ダイキン工業)等が本発明には向いている。一般に流動性が低いものを得るには、分子量を大きくして、分子の運動性を制限することによって得られる。また、微細な、例えばμmオーダー、またはそれ以下のものを混入して分子の運動性を制限することが行われる。これには分散性の点から、例えば、微細カーボンが用いられる。
また、金属フィラーとしては、金、銀、銅、鉛、ニッケル、亜鉛、鉄、アルミニウム、マグネシウム、チタン等のフィラーが使用できる。これらの球状、針状フィラー、繊維状フィラーとして用い、フッ素樹脂の周囲に金属粉を固着させる。
熱の良導体としては、金属以外に、以下の絶縁性無機化合物を用いることができる。
すなわち、絶縁性無機化合物として珪素酸化物、珪素窒化物、珪素酸窒化物、アルミニウム酸化物、アルミニウム窒化物、アルミニウム酸窒化物、ホウ素酸化物、ホウ素窒化物、ホウ素酸窒化物、酸化マグネシウム、酸化チタン、サイアロン、ベリリアなどが使用可能である。以下、金属材料および非金属材料の少なくとも一方を意味する場合、表現を簡略化するため単に「金属材料および非金属材料」と表現する。
MFRの大きいMP102で粉体塗装して焼成すると、同図(a)のようになり、凝集が壊れる。しかし、MFRの小さいフッ素樹脂粉を用いると、同図(b)のようになり、凝集が残るため熱伝導率向上が図られる。
このように、熱の良導体が凝集することにより、単純に分散した状態では達成できない熱伝導率を得ることができ、定着部材の定着時の温度低下を低減することができる。また、熱の良導体添加量を少なくできたため、離型性の低下を実質的に無視できる程度にすることができる。また、金属の導電性のため表層をアースに電気的に接続する構造をとり、ローラ表面の電位をアース電位に近くできる。
また、熱良導体の絶縁性のため表層を電気的に浮かせることができ、摩擦帯電による電位を維持し、ローラ表面の電位をアースから離れた電位にできる。
この水に対する接触角が、80°未満になると濡れ過ぎるため、トナー樹脂自身の接着力が急激に増大してワックスによる付着防止効果を上回り、トナー全体が表層側に移行し、定着不良を生じる。尚、本発明における接触角の測定は、定着部材の表層材料の平面状の試験片を形成し、協和界面科学社製のCA−X型で室温において液滴法によって測定した。
定着部材の表層15の水に対する接触角を、80°以上の範囲内に調整する方法としては、表層15の形成材料であるフッ素樹脂と熱良導体との配合比を変化させ、水に対する接触角を制御する方法がある。この場合、フッ素樹脂と熱良導体の種類、混合方法、加熱温度の組合せで水に対する接触角を制御することができる。
また、表層15の熱良導体の凝集部分がその任意の断面において最大幅部が30μm以下となるように表層を形成した場合、仮にフッ素樹脂よりも非粘着性に劣る金属材料および非金属材料部分が表面に露出したとしても、トナーが金属材料および非金属材料部分に直接接触する面積が小さくなるため、オフセット防止に対して有利な構造となる。
同図において符号151は本体ケーシング、155はローターブレード、158はステーター、159は排出バルブ、162は回転ローター、163はリサイクルパイプ、164は原料投入シュート、168は衝撃室、177はステータージャケット
をそれぞれ示す。
同図は(株)奈良機械製作所製のハイブリダイゼーションシステムの概要を示す。
該装置において、原料投入シュート164から供給された粉体粒子及び他の微小固体粒子は、衝撃室168内で主として高速で回転している回転ローター162に配置された複数のローターブレード155によって瞬間的な打撃作用を受け、さらに周辺のステーター158に衝突して粉体粒子同士または、他の微小固体粒子同士の凝集をほぐしながら系内に分散させると同時に、粉体粒子表面に他の微小固体粒子を静電気力、ファンデルワールス力等により付着させるか、粉体粒子のみの場合は、粒子の角取り又は球形化が行なわれる。この状態は粒子の飛行と衝突に伴って進んで行く。すなわち、ローターブレード155の回転により発生する気流の流れに伴って、該粒子は、163のリサイクルパイプを複数回通過することにより処理される。さらにローターブレード155及びステーター158から該粒子が繰り返し打撃作用を受けることにより、他の微小固体粒子は、粉体粒子表面またはその近傍に均一に分散し固定化される。作製した粉体単独、もしくは通常のフッ素樹脂と作製した粉体とを混合したものを、静電塗装、または、湿式塗料にて塗布し、焼成することにより表層を作製する。
MFRの測定条件は以下のすべての例において共通である。
Ex.2:同様に、PFA粉(MP103:MFR6g/10分、平均粒径φ20μm)中に前記と同様のAg粉(平均粒径0.5μm)を体積換算で、Agが10%となる量を混合し、同装置に投入し、Ag粉をPFA粉上に固着させた。Agは、PFA粉上をほぼ覆っている状態であることを、SEMによる観察で確認した。
定着ローラの芯金となるアルミニウム管に静電塗装し、380℃で塗装した樹脂を溶融させた後に冷却し、これをコランダム粒子で研磨を行い、表面粗さRzで、2μm以下としたものを作製し、定着ローラとした。表層の最終厚みを40μmとした。このローラを(株)リコー製画像形成装置MF4570機に装着した。10000枚、黒ベタ画像を通し、ローラ表面のトナーの付着状態を観察した。特に大きな付着は観察されず。通常のものと何ら変わりがなかった。さらに、コールドオフセット温度は、EX.2は、約10℃下がっている。
Ex.2と同様のPFA粉(MP103:MFR 6g/10分、平均粒径φ20μm)中にAg鱗片状粉(平均粒径30−80μm)を体積換算で、Agが10%となる量を混合し、定着ローラの芯金となるアルミニウム管に静電塗装し、380℃で塗装した樹脂を溶融させた後に冷却し、これをコランダム粒子で研磨を行い、表面粗さRzで、2μm以下としたものを作製し、定着ローラとした。表層の最終厚み40μm。このローラを前記画像形成装置MF4570機に装着した。10000枚、黒ベタ画像を通し、ローラ表面のトナーの付着状態を観察した。9000枚程度で、ローラにトナーが付着した。その部分を観察すると、50−60μmのAgが露出しその部分にトナーが付着していた。さらに、コールドオフセット温度は、純正品とほぼ同程度であった。
Ex.4:同様に、カーボン含有PFA粉(MFR 6g/10分、平均粒径φ20μm)中にAg粉(平均粒径0.5μm)を体積換算で、Agが10%となる量を混合し、前記装置に投入し、Ag粉をPFA粉上に固着させた。Agは、PFA粉上をほぼ覆っている状態であることを、SEMによる観察で確認した。
定着ローラの芯金となるアルミニウム管に静電塗装し、380℃で塗装した樹脂を溶融させた後に冷却し、これをコランダム粒子で研磨を行い、表面粗さRzで、2μm以下としたものを作製し、定着ローラとした。表層の最終厚み40μmとした。このローラを前記画像形成装置MF4570装着した。10000枚、黒ベタ画像を通し、ローラ表面のトナーの付着状態を観察した。特に大きな付着は観察されず。通常のものと何ら変わりがなかった。さらに、コールドオフセット温度は、実施例1と同様にEx.4は、約10℃下がっている。
Ex.6:同様に、PFA粉(MP103 :MFR 6g/10分、平均粒径φ20μm)中にNi粉(平均粒径1.2μm)を体積換算で、Niが10%となる量を混合し、前記装置に投入し、Ni粉をPFA粉上に固着させた。Niは、PFA粉上をほぼ覆っている状態であることを、SEMによる観察で確認した。
定着ローラの芯金となるアルミニウム管に静電塗装し、380℃で塗装した樹脂を溶融させた後に冷却し、これをコランダム粒子で研磨を行い、表面粗さRzで、2μm以下としたものを作製し、定着ローラとした。表層の最終厚み40μmとした。このローラを前記画像形成装置MF4570機に装着した。10000枚、黒ベタ画像を通し、ローラ表面のトナーの付着状態を観察した。特に大きな付着は観察されず。通常のものと何ら変わりがなかった。さらに、コールドオフセット温度は、前と同様にEx.6は、約10℃下がっている。
Ex.8:同様に、カーボン含有PFA粉(MFR 6g/10分、平均粒径φ20μm)中にNi粉(平均粒径1.2μm)を体積換算で、Niが10%となる量を混合し、前記装置に投入し、Ni粉をPFA粉上に固着させた。Niは、PFA粉上をほぼ覆っている状態であることを、SEMによる観察で確認した。
定着ローラの芯金となるアルミニウム管に静電塗装し、380℃で塗装した樹脂を溶融させた後に冷却し、これをコランダム粒子で研磨を行い、表面粗さRzで、2μm以下としたものを作製し、定着ローラとした。表層の最終厚み40μm。このローラを前記画像形成装置MF4570機に装着した。10000枚、黒ベタ画像を通し、ローラ表面のトナーの付着状態を観察した。特に大きな付着は観察されず。通常のものと何ら変わりがなかった。さらに、コールドオフセット温度は、前と同様にEx.8は、約10℃下がっている。
このローラを前記画像形成装置MF4570機に装着した。10000枚、黒ベタ画像を通し、ローラ表面のトナーの付着状態を観察した。特に大きな付着は観察されず。通常のものと何ら変わりがなかった。別に作製したサンプルでの熱伝導率は、1.21(W/mK)であり、コールドオフセット温度は、約8℃下がっている。
この結果、表面粗さがRzで5μm以下であれば効果があることが観察された。また、7μmのものはMF4570でジャムが多発したため、途中で実験を取りやめた。
定着部材の表層の強度、硬さが、種々のものが要求された場合でも、金属の種類を選択することにより、伝熱効率を低下させずに、要求特性にあった表層を形成できる。
熱の良導体の大きさと分布をコントロールすることにより、マクロな形での表面エネルギーをフッ素樹脂単体の状態を保持でき、これにより、トナーの離型性を確保できる。つまり、小さな熱の良導体部分の露出では、マクロな接触角には影響が少なかったため離型性を確保できる。
粉体の調整(帯電可能化、分散性向上)により、従来のフッ素樹脂のコート工程を大きく変えることなく本構成を作成可能となった。
フッ素樹脂の流動性を小さくしたため、粉体状の樹脂が熱により溶けて膜になるときに熱の良導体粉の拡散が小さく、凝集部分の熱伝導率低下を押さえることができる。それにより、凝集部分で、容易に熱の通り道を構成でき、少ない熱の良導体粉添加量で、熱の伝導率を上げることができる。
画質、特にベタ画像は、定着部材の表面が転写されるため、表面がなめらかなローラにより光沢度が向上する。
トナーの中のワックスにより離型性が向上する。
離型剤により、トナーとトナーに接する定着部材の離型性が向上する。
多くのトナーでの定着は、定着ローラと加圧ローラの間の接触領域における単位面積当たりの圧力に依存し、特に、0.5[kgf/cm2]以上かけることにより、画像の定着性が向上する。
4.0[kgf/cm2]以上の条件では、トナーの持つワックス、または、シリコンオイルなどの離型剤が、トナー樹脂とローラ離型層からでてしまう。この圧力以下であると離型性が維持できる。
高離型性の熱伝導率の高い表層を持つローラを使用することにより信頼性の高い、エネルギー効率のよい画像形成装置を提供できる。
6 定着装置
23 ハロゲンヒータ
24 定着ローラ
25 表層
26 加圧ローラ
27 定着ローラ基材
51 フッ素樹脂部分
52 熱の良導体凝集部分
Claims (19)
- 加熱部材を有し、未定着トナーを担持する記録媒体に接触し該記録媒体を加熱し前記未定着トナーを定着する定着部材であって、該定着部材は、回転体を構成する基材と、該基材の外周側に設けられたフッ素樹脂材料に熱の良導体が混在した表層とを有し、
該表層は、周囲を前記熱の良導体が囲むように凝集した粒状性を呈する前記フッ素樹脂材料を含み、
前記粒状性を有する前記フッ素樹脂材料を囲むように凝集した前記熱の良導体は、相互に接触した状態をなし、
前記表層の表面には、前記粒状性を有するフッ素樹脂材料の断面が露呈していることを特徴とする定着部材。 - 請求項1の定着部材において、
熱の良導体として金属を用いたことを特徴とする定着部材。 - 請求項2に記載の定着部材において、
熱の良導体として、金、銀、銅、鉛、ニッケル、亜鉛、鉄、アルミニウム、マグネシウム、チタン、ビスマス、錫のいずれか1つ以上を含む金属の粒としたことを特徴とする定着部材。 - 請求項1の定着部材において、
熱の良導体として絶縁性無機化合物を用いたことを特徴とする定着部材。 - 請求項4に記載の定着部材において、
熱の良導体として、珪素酸化物、珪素窒化物、珪素酸窒化物、アルミニウム酸化物、アルミニウム窒化物、アルミニウム酸窒化物、ホウ素酸化物、ホウ素窒化物、ホウ素酸窒化物、酸化マグネシウム、酸化チタン、サイアロン、ベリリアのいずれか1つ以上を含む粒としたことを特徴とする定着部材。 - 請求項1ないし5のいずれか1つに記載の定着部材において、
表層は、水に対する接触角が80°以上であることを特徴とする定着部材。 - 請求項1ないし6のいずれか1つに記載の定着部材において、
表層の、熱の良導体が囲むように凝集した部分の厚さは、基材の面に平行な断面において、30μm以下であることを特徴とする定着部材。 - 請求項1ないし7のいずれか1つに記載の定着部材において、
フッ素樹脂材料は、MFR(メルトフローレート)(372℃、荷重5kg)で6g/10分以下であることを特徴とする定着部材。 - 請求項1ないし8のいずれか1つに記載の定着部材において、
表層は、その表面粗さが、Rz(10点平均粗さ)として2μm以下にすることを特徴とする定着部材。 - 請求項1ないし9のいずれか1つに記載の定着部材の前記表層の作製法において、
フッ素樹脂の粒子に熱の良導体を表面被覆したものを一部、または全部使用し、回転体に静電塗装した後、加熱し、膜とし、該膜の表面を研磨して、前記フッ素樹脂材料の断面を露呈させることを特徴とする定着部材表層の作製方法。 - 請求項1ないし9のいずれか1つに記載の定着部材の前記表層の作製法において、
フッ素樹脂の粒子に熱の良導体を表面被覆したものを一部または、全部使用し、それらを水溶液中に分散し、その塗装液により、前記回転体に塗装した後、加熱し、膜とし、該膜の表面を研磨して、前記フッ素樹脂材料の断面を露呈させるたことを特徴とする定着部材表層の作製方法。 - 請求項1ないし9のいずれか1つに記載の定着部材と、該定着部材に接触して回転する回転体の接触部に前記記録媒体を挟持搬送して前記未定着トナーを定着することを特徴とする定着装置。
- 請求項12に記載の定着装置において、
定着部材に接触して回転する回転体も加熱部材を有することを特徴とする定着装置。 - 請求項12または13に記載の定着装置において、
定着部材および回転体の少なくとも一方に離型剤を塗布する塗布手段を設けたことを特徴とする定着装置。 - 請求項12ないし14のいずれか1つに記載の定着装置において、
定着部材および回転体の圧接しあう接触部分の単位面積当たりの圧力が0.5[kgf/cm2]以上となるよう設定されたことを特徴とする定着装置。 - 請求項12ないし15のいずれか1つに記載の定着装置において、
定着部材および回転体の圧接しあう接触部分の単位面積当たりの圧力が4.0[kgf/cm2]以下となるよう設定されたことを特徴とする定着装置。 - 請求項1ないし9のいずれか1つに記載の定着部材を用いて、ワックス含有のトナーの定着を行うことを特徴とする電子写真画像の定着方法。
- 請求項12ないし16のいずれか1つに記載の定着装置を用い、定着部材および回転体の少なくとも一方に離型剤を塗布することを特徴とする定着方法。
- 請求項12ないし16のいずれか1つに記載の定着装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
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