JP4401692B2 - 電池用セパレータ及びアルカリ一次電池 - Google Patents

電池用セパレータ及びアルカリ一次電池 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルカリマンガン電池、水銀電池、酸化銀電池、空気亜鉛電池等のアルカリ一次電池に好適な電池用セパレータ及び該電池用セパレータを具備してなるアルカリ一次電池に関するものであり、さらに詳しくは内部短絡の生じにくい電池用セパレータおよび振動・落下時における耐衝撃性に優れたアルカリ一次電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般にアルカリ一次電池等の電池には、正極活物質と負極活物質を隔離するためのセパレータが用いられている。このセパレータには、
▲1▼前記正極活物質と負極活物質の内部短絡を防止すること
▲2▼十分な起電反応を生じさせるために高い電解液吸液性を有していること
▲3▼電池内部に組込まれた際の占有率が小さく、正極活物質・負極活物質等の量を増やせる(電池使用可能時間を長くできる)こと
などの様々な性能が要求される。
上記の性能を具備する電池用セパレータとして、耐薬品性、親水性、機械的性能等に優れていることからポリビニルアルコール系繊維を用いた電池用セパレータや、さらに電解液吸液性等を高めるためにセルロース系繊維等を併用した電池用セパレータが提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
一方、電池内部におけるセパレータの構造としては、円筒型電池の場合、底紙充填タイプ(特許文献4〜8参照)と、セパレータが底部を閉塞するタイプ(特許文献9参照)に大別される。
【0003】
しかしながら、底紙充填タイプにおいては、電池の搬送や携帯時に振動、落下による衝撃によって底紙が移動し内部短絡を生じる場合があり、この内部短絡防止のために前記特許文献4〜8のような対策がなされているが、円筒型の電池用セパレータと底紙との間隙が十分に接着されていないことによる負極ゲルの漏れ出しのために依然として内部短絡が生じるといった問題を含んでいる。また、底部を閉塞するタイプにおいては前記した特許文献1〜3の電池用セパレータを用いた場合、底部の接着性が乏しいため接着部分が外れ、電池製造時に電池用セパレータが正極缶内にうまく挿入できないといった問題を生じる場合があり、さらには電池の搬送や携帯時に振動、落下による衝撃によって底部の接着部分が外れ、負極ゲルが底部から漏れ出し内部短絡を生じるといった問題も含んでいるのが現状である。また、特許文献9においては、底部を閉塞させるタイプの接着方法として、水分を噴射添加し、圧着させる方法が提案されているが、一度水分を噴射添加する必要があるためにセパレータの生産スピードが上がらないといった問題がある。
【0004】
【特許文献1】
特開平1−146249
【特許文献2】
特開平6−163024
【特許文献3】
特開平6−231746
【特許文献4】
特開平8−31426
【特許文献5】
特開平9−17408
【特許文献6】
特開平10−334878
【特許文献7】
特開平11−329396
【特許文献8】
特開2002−110133
【特許文献9】
特開平11−339753
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、こうした現状に鑑み、特に円筒型アルカリ一次電池におけるセパレータ底部の接着性に優れ、内部短絡の生じ難い電池用セパレータ、及び該電池用セパレータを具備してなるアルカリ一次電池を提供することを目的とする。
【0006】
【問題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく、本発明者らは鋭意検討を重ねてきた。その結果、ポリビニルアルコール系繊維と、該ポリビニルアルコール系繊維より溶融温度及びまたは軟化温度が20℃以上低い重合体を少なくとも一成分とした耐アルカリ性繊維バインダーを構成繊維として用いることにより、セパレータ底部の接着性が大幅に改善されることを見出した。そして、このセパレータを用いた電池とすることで、搬送や携帯時に振動・落下による衝撃による内部短絡を解消できることを見出し、それらの知見に基づいて本発明を完成した。
【0007】
すなわち本発明は、ポリビニルアルコール系繊維と、該ポリビニルアルコール系繊維より溶融温度および/または軟化温度が20℃以上低い耐アルカリ性を有する重合体を少なくとも一成分とした耐アルカリ性繊維バインダーを含む不織布からなる電池用セパレータであって、該ポリビニルアルコール系繊維が主体繊維とバインダー繊維からなり、該耐アルカリ性繊維バインダーの単繊維繊度が0.6〜5.0dtexであり、該バインダー繊維と該耐アルカリ性繊維バインダーとの質量比が20:80〜95:5であり、かつ該セパレータ同士を接着させた際における剥離強度が150mN/mm2であることを特徴とする電池用セパレータに関する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明の電池用セパレータは、少なくともポリビニルアルコール系繊維と、該ポリビニルアルコール系繊維より溶融温度および/または軟化温度が20℃以上低い重合体を少なくとも一成分とした耐アルカリ性繊維バインダーを構成繊維として用いる点を特徴とする。かかる繊維を用いることにより、該セパレータ同士を接着させた際の剥離強度が150mN/mm以上とすることが可能となり、電池製造時に電池用セパレータが正極缶内にうまく挿入できないといった問題や、電池の搬送や携帯時に振動・落下による衝撃によって内部短絡が生じるといった問題を解消することができる。
【0009】
本発明に使用するポリビニルアルコール系繊維としては、主体繊維として水中溶解温度90℃以上、特に100℃以上の繊維を用いることが好ましい。具体的には、平均重合度1000〜5000、鹸化度95モル%以上のビニルアルコール系ポリマーからなる繊維が好適に挙げられる。該ビニルアルコール系ポリマーは、他の共重合成分により共重合されていてもよいが、耐水性等の点から共重合量は20モル%以下、特に10モル%以下であるのが好ましい。また、アセタール化等の処理が施されていることが望ましい。
また、該ポリビニルアルコール系繊維は、ビニルアルコール系ポリマーのみから構成されている必要はなく、他のポリマーを含んでいても構わない。勿論、他のポリマーとの複合紡糸繊維、混合紡糸繊維(海島繊維等)であっても構わないが、電解液吸液性等の点からはビニルアルコール系ポリマーを30質量%以上、特に50質量%以上、さらには80質量%以上含むポリビニルアルコール繊維を用いることが好ましい。
該ポリビニルアルコール系繊維の繊度は、セパレート性、薄型化の点から3.3dtex以下、より好ましくは1.1dtex以下、さらには好ましくは、0.8dtex以下であるのが好ましく、抄紙性、内部圧力の増大を抑制する点から0.1dtex以上、さらに0.2dtex以上であるのが好ましい。また、繊維長は単繊維繊度に応じて適宜設定すればよいが、抄紙性等の点から繊維長0.5〜10mm、特に1〜5mmとするのが好ましい。
【0010】
本発明においては、耐電解液性、吸液性の点から上記した主体繊維の他にポリビニルアルコール系バインダーを用いる。その形態としては、繊維状、粉末状、溶液状のものがあるが、湿式抄造によってセパレータを抄造する場合は、繊維状バインダーが好ましい。ポリビニルアルコール系バインダーが粉末状、溶液状であった場合、セパレータのシート強力を発現させるためには、これらが溶解する必要があるが、この際にポリビニルアルコールが被膜を形成し、セパレータの繊維間の空隙を塞ぐため、電解液吸液性の低下、電池内部抵抗の上昇が起こる。これに対して、繊維状バインダーを用いた場合は、通常の使用法では上と同じ現象が起こり好ましくないが、乾燥前の持ち込み水分を下げる等の手段により、バインダーを完全に溶解させず、繊維形態を残したままバインダー繊維と主体繊維との交点のみを点接着させた場合には、電解液吸液性の低下、電池内部抵抗の上昇を招くことなくセパレータの強力を上げることができるので、繊維状バインダーを使用するのが望ましい。
かかるポリビニルアルコール系バインダー繊維の水中溶解温度としては、60〜90℃が好ましく、さらに好ましくは、70〜90℃である。また、平均重合度は500〜3000程度、ケン化度97〜99モル%のポリビニルアルコール系ポリマーから構成されたバインダー繊維が好適に使用できる。勿論、他のポリマーとの複合紡糸繊維、混合紡糸繊維(海島繊維)であっても構わない。電解液吸液性、機械的性能等の点からはビニルアルコール系ポリマーを30質量%以上、特に50質量%以上、さらに80質量%以上含むポリビニルアルコール系繊維を用いることが好ましい。一方、繊度は水分散性、他成分との接着性、ポアサイズ等の点から0.01〜3dtex程度であるのが好ましく、繊維長1〜5mm程度であるのが好ましい。勿論、上記繊維以外の他の繊維を配合しても構わない。
【0011】
さらに本発明の電池用セパレータは、ポリビニルアルコール系繊維より溶融温度および/または軟化温度が20℃以上低い重合体を少なくとも一成分とした耐アルカリ性繊維バインダーも構成成分としており、その配合量は5〜30質量%が望ましい。バインダー成分の配合量が5質量%よりも少ないと、必要なセパレータの強力が得られず、また30質量%よりも多い場合には、吸液性に劣る、及び繊維間の空隙を塞ぐため電気抵抗を上昇させる点で好ましくない。また、本発明においてはポリビニルアルコール系バインダー繊維と該耐アルカリ性繊維バインダーとの質量比は20:80〜95:5であり、好ましくは、30:70〜80:20である。
【0012】
また、本発明に使用するポリビニルアルコール系繊維より溶融温度および/または軟化温度が20℃以上低い耐アルカリ性を有する重合体としては、エチレン−ビニルアルコール系共重合体、ポリエチレン系共重合体、ポリプロピレン系共重合体、ポリアミド系共重合体が挙げられるが、中でもエチレンービニルアルコール共重合体が好適に使用できる。上記共重合体でも一般にオレフィン系繊維を配合すると親水性が低下して電解液吸液性が損なわれやすくなる場合があるので、スルホン化処理などにより親水性を高めてもよい。
一方、エチレンービニルアルコール系共重合体は親水基を予め有していることから、吸液性等を実質的に損なうことなく、セパレート性を効率的に高めることができる。
【0013】
該耐アルカリ性繊維バインダーとしては、単一成分による単独繊維でも構わないし、耐アルカリ性を有する他成分を芯成分に用いた芯鞘型複合繊維、分割型複合繊維、海島型複合繊維等が挙げられる。本発明においては、単繊維繊度5.0dtex以下、好ましくは2.2dtex以下、さらに好ましくは1.6dtex以下のエチレンービニルアルコール共重合体ケン化物を用いた繊維を使用するのが好ましい。かかる繊維バインダーを用いることにより、セパレータ底部の大幅な接着強力向上及び、ポリビニルアルコール系バインダー繊維を使用する場合よりも同一抄紙水分で抄造した場合には溶解性が低いため、主体繊維との交点のみの点接着が可能となり、適度なポアサイズが確保でき、さらにはセパレート性を確保しつつ、吸液速度を改善・向上できるとともにセパレータを一層薄型化することができる。また吸液性の点からもかかる繊度のエチレンービニルアルコール共重合体ケン化物を用いた繊維バインダーを使用するのが好ましい。すなわち、エチレンービニルアルコール共重合体ケン化物を用いた繊維バインダーの繊度が小さい場合には繊維間に電解液を保吸することが可能であるが、繊維そのものの吸液性は低いために繊度が大きくなるとセパレータの吸液性も低下することとなる。また膨潤性の高い繊維の場合には繊度が小さくなりすぎると内部抵抗が大きくなる問題が生じるが、エチレンービニルアルコール共重合体ケン化物を用いた繊維バインダーは膨潤性が低いことから、繊度を極めて小さくした場合であっても優れた効果が得られる。抄紙性及び内部抵抗の上昇を抑制する点からは単繊維繊度0.01dtex以上、特に0.05dtex以上のエチレンービニルアルコール共重合体ケン化物を用いた繊維を使用するのが好ましい。繊維長は抄紙性、セパレート性等の点から0.5〜20mm、特に1〜5mmとすることが好ましい。
【0014】
耐アルカリ性繊維バインダーとして、エチレン−ビニルアルコール系共重合体繊維バインダーを用いる場合、その配合量は、0.5〜20質量%、さらに好ましくは2〜15質量%であり、さらには5〜10質量%とするのが好ましい。エチレン−ビニルアルコール系繊維バインダーの配合量を増やすことにより、セパレータ製筒時の底部の熱接着強力は向上し、またポアサイズを確保できることから、吸液速度は向上するが、配合量が20質量%を超えると、セパレータのこわさ(コシ)が弱くなり、電池の搬送や携帯時に振動・落下による衝撃によってセパレータ自体が座屈し、内部短絡を生じるおそれがある。また逆に0.5質量%未満では、セパレータ製筒時の底部の剥離強度(セパレータ同士を接着させた際の剥離強度)が乏しくなり、剥離強度が150mN/mm以上確保できず、本発明の効果が十分に現れない。セパレータ製筒時の底部の剥離強度が150mN/mm2以上確保できないと、セパレータ製筒時正極缶内にうまく挿入できない問題が生じる場合があり、また落下による衝撃に底部の接着部分が外れ、内部短絡を生じる可能性がある。
【0015】
また、電池の搬送や携帯時に振動・落下による衝撃によって、セパレータ自体が座屈し、内部短絡を生じるときの基準として、こわさ強力は1.5N以上確保することが望ましい。本発明にいうこわさ強力は、電池用セパレータにおけるいわゆる「コシ」の指標となるものであり、後述する方法により求めることができる。
【0016】
該エチレン−ビニルアルコール系共重合繊維バインダーを構成するエチレンービニルアルコール共重合体は特に限定されない。エチレン含有量は目的に応じて設定すればよいが、親水性、膨潤性、紡糸性等の点からエチレン含有量が25〜70モル%の共重合体であるのが好ましい。エチレン含有量(エチレンからなる繰り返し単位の割合)が高くなると膨潤性は低くなるものの吸液性が低下する傾向があり、エチレン含有量が低くなると吸液性は向上するものの膨潤性は高くなる傾向があり、ポアサイズの小径化、内部抵抗の上昇を招く。膨潤性及び吸液性の点からは特にエチレン含有量が30〜50モル%とするのが好ましい。また該共重合体はランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体等、いずれの共重合体でもかまわない。
【0017】
該エチレン−ビニルアルコール系共重合体の製造方法は特に限定されないが、エチレン−ビニルアルコール系共重合体をケン化することにより、効率的に製造できる。親水性の点からはビニルアルコールユニットのケン化度は95モル%以上、特に98モル%以上であるのが好ましい。
また該エチレン−ビニルアルコール系共重合体には他のユニットが共重合されていても構わないが、本発明の効果を効率的に得る点からは、エチレンユニット及びビニルアルコールユニット以外の共重合成分が30モル%以下、特に10モル%以下であるのが好ましい。また該共重合体の平均分子量は、紡糸性、耐熱水性等の点から500〜5000、特に800〜3500程度とするのが好ましい。
【0018】
セパレータの吸液性、機械的性能等の点からは、ポリビニルアルコール系繊維、エチレン−ビニルアルコール系共重合繊維バインダーおよび耐アルカリ性セルロース系繊維をともに配合するのが特に好ましく、耐アルカリ性セルロース系繊維としては、フィブリル化可能なレーヨン繊維(ポリノジックレーヨン繊維、溶剤紡糸セルロース等を含む)、アセテート系繊維、天然パルプ(木材パルプ、コットンリンターパルプ、麻パルプ等)等が挙げられ、これらにマーセル化処理を行ったものや、これらの叩解物等も使用できる。
また該セルロース系繊維の配合量は、80質量%以上であると膨潤度が大きくなること、20質量%以下であると電解液吸液性が低下する傾向があること、及び内部抵抗が上昇する傾向があることから、20〜80質量%が好ましく、より好ましくは40〜75質量%である。
【0019】
上記繊維を用いて不織布とすることにより電池用セパレータが得られるが、その方法は特に限定されない。たとえば一般の湿式抄紙機を用いることにより効率的に所望の不織布を製造できる。用いる抄き網としては、円網、短網及び長網等が挙げられ、これらの抄き網を単独で用いて単層としても、また抄き網の組み合わせによる複数層の抄き合せシートとしても良い。地合斑のない均質で電気特性に優れた紙を得る点からは複数層の抄き合せとすることが好ましく、中でも短網―円網抄紙機にて2層抄き合せ紙とするのが好ましい。紙料を含むスラリーを抄き上げた後にヤンキー型乾燥機等で乾燥することにより目的とする電池用セパレータが得られる。乾燥温度は、該耐アルカリ性繊維バインダーのバインダー性能を発揮させるために、110℃以上、好ましくは115℃以上、さらに好ましくは120℃以上が好ましい。また、抄紙時の抄紙水分率は、該耐アルカリ性繊維バインダーの溶解性を考えると60〜65%/WB、好ましくは65〜70%/WB、さらに好ましくは70%〜75%/WBがよい。勿論、必要に応じて熱プレス加工等をさらに行うこともできる。さらには、界面活性剤処理等の親水化処理を行うことで、電解液吸液性を向上させることも可能である。
【0020】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。なお、本発明における各物性値は以下の方法により測定した。
【0021】
[水中溶解温度 ℃]
400ccの水(20℃)に試料繊維を2.6g投入し、昇温速度1℃/min、攪拌速度280rpmの条件で攪拌しながら昇温し、繊維が完全に溶解したときの温度を水中溶解温度として測定した。
【0022】
[濾水度(CSF) ml]
JIS P 8121「パルプの濾水度試験方法」に準じてカナダ標準濾水度測定した。
【0023】
[厚さmm 密度g/cm]
JIS P 8118「紙及び板紙の厚さと密度の試験方法」に準じて測定した。
【0024】
[坪量 g/m]
JIS P 8124「紙のメートル坪量測定方法」に準じて測定した。
【0025】
[裂断長 km]
JIS P 8113「紙及び板紙の引張強さ試験方法」に準じて測定した。
【0026】
[剥離強度 mN/mm]
セパレータを2枚重ねた上から、接圧=1.96N(200gf)/1.2mmにて、温度=205℃の鉄製の熱源を30秒間押し付け、その後2枚重ねた後の接着剥離強度をオートグラフ(島津製作所製)にて測定した。
【0027】
[吸液量 g/g]
50mm×50mmの試料を35%KOH水溶液に浴比1/100の条件で30分浸漬し、30秒間自然液切りした後の試料質量を測定し、保液された液体の質量を浸漬前の試料質量で除すことによって吸液量を算出した。
【0028】
[吸液高さ mm/3分]
試料(高さ150mm×幅25mm)を35%KOH水溶液に浸漬し、35%KOH水溶液が3分間で吸上げられる高さを評価した。
【0029】
[透気度 秒/100cc]
JIS P 8117「紙及び板紙―透気度試験方法」に準じ、ガーレー試験機にて測定した。
【0030】
[ポアサイズ μm]
Porus.Materials.Inc社(米国)製:パームポロメーターにより測定した。
【0031】
[こわさ強力 N]
40mm×40mmの試料を熊谷理機製:BENDING STIFFNESS TESTERを使用し、スパン長1mm(回転角度15°)にてこわさ(コシ)強力を測定する方法を用いた。
【0032】
[電池組立性(接着性)]
電池生産スピードが毎分600個の底部接着方式の電池製造装置により電池を製造し、底部接着不良における不良品の個数を数えた。不良品が発生した場合を×、不良品なしの場合を○とした。
【0033】
[耐衝撃性試験]
壁に長さ1mの糸を取り付け、糸の先端に電池をくくり付け、壁と糸の頂点の角度が60°になるようにして、10個の電池を壁に10回当てた後、電池を解体し、セパレータの底部の接着が外れていないものを○、セパレータ底部の接着が1個でも外れているものを×とした。
【0034】
[実施例1]
耐アルカリ性繊維バインダーとして、エチレン含有量44モル%、ケン化度99%のエチレン−ビニルアルコール系共重合体(EVOH)単独繊維バインダー(0.6dtex×3mm、融点165℃)を5質量%、ポリビニルアルコール系主体繊維(0.4dtex×2mm、水中溶解温度100℃以上、軟化点230℃)を30質量%、溶剤系レーヨン繊維(1.7dtex×2mm、CSF=525ml)を55質量%、ポリビニルアルコール系バインダー繊維(1.1dtex×3mm、水中溶解温度70℃、軟化点230℃)を10質量%水に分散してスラリーを製造し、これを短網―円網抄紙機にて2層抄きあわせ抄紙を行い、ヤンキー型乾燥機にて乾燥し、坪量41.6g/m、厚さ0.116mmの電池用セパレータを得た。結果を表1に示す。
【0035】
[実施例2]
ポリビニルアルコール系バインダー繊維を12.5質量%、エチレンービニルアルコール系共重合体単独繊維を2.5質量%に変更したこと以外は実施例1と同様にして、坪量41.8g/m、厚さ0.117mmのセパレータを得た。結果を表1に示す。
【0036】
[実施例3]
ポリビニルアルコール系バインダー繊維を14.0質量%、エチレンービニルアルコール系共重合体単独繊維を1.0質量%に変更したこと以外は実施例1と同様にして、坪量41.6g/m、厚さ0.116mmのセパレータを得た。結果を表1に示す。
【0037】
[実施例4]
エチレンービニルアルコール系共重合体繊維バインダーとして、エチレン含有量44モル%、ケン化度99%のエチレン−ビニルアルコール系単独繊維(1.6dtex×5mm、融点165℃)を5質量%用い、ポリビニルアルコール系繊維としてポリビニルアルコール主体繊維(0.6dtex×2mm、軟化点230℃と0.4dtex×2mm、軟化点230℃を各15質量%ずつ混合)を用いたこと以外は実施例1と同様にして坪量41.9g/m、厚さ0.113mmのセパレータを得た。結果を表1に示す。
【0038】
[実施例5]
耐アルカリ性繊維バインダーとして、芯成分にポリプロピレン(融点170℃)、鞘成分にエチレンービニルアルコール系共重合体(融点165℃)を用いた芯鞘型複合繊維(2.2dtex×5mm)を2.5質量%用い、ポリビニルアルコール系繊維としてポリビニルアルコール主体繊維(0.4dtex×2mm、軟化点230℃)を35質量%、溶剤系レーヨン繊維(1.7dtex×2mm)を50質量%、ポリビニルアルコール系バインダー繊維(1.1dtex×3mm、水中溶解温度70℃、軟化点230℃)を12.5質量%混合したこと以外は、実施例1と同様にして坪量42.2g/m、厚さ0.115mmのセパレータを得た。結果を表1に示す。
【0039】
[実施例6]
実施例1で用いたポリビニルアルコール系繊維バインダー繊維を5.0質量%、実施例5で用いたポリプロピレン/エチレンービニルアルコール系共重合体芯鞘型複合繊維(2.2dtex×5mm)を20.0質量%、ポリビニルアルコール系繊維としてポリビニルアルコール系主体繊維(0.4dtex×2mm)を25質量%、ポリビニルアルコール系バインダー繊維(1.1dtex×3mm、水中溶解温度70℃)を5質量%、溶剤系レーヨン繊維(1.7dtex×2mm、CSF=525)を50質量%混合し、実施例1と同様に抄紙して坪量42.4g/m、厚さ0.116mmのセパレータを得た。結果を表1に示す。
【0040】
[実施例7]
耐アルカリ性繊維バインダーとして、ポリエチレン共重合体(融点135℃)を鞘成分、ポリプロピレン共重合体(融点170℃)を芯成分とした芯鞘型複合繊維(2.2dtex×5mm)を5質量%用いたこと以外は実施例1と同様にして、坪量41.5g/m、厚さ0.119mmのセパレータを得た。結果を表1に示す。
【0041】
[比較例1]
実施例1において、耐アルカリ性繊維バインダーを使用せずにポリビニルアルコールバインダー繊維を15質量%使用したこと以外は、実施例1と同様にして坪量42.5g/m、厚さ0.118mmのセパレータを作製した。結果を表1に示す。
【0042】
[比較例2]
実施例1において、ポリビニルアルコール系バインダー繊維とエチレンービニルアルコール系共重合体単独繊維の配合量をそれぞれ14.9質量%、0.1質量%に変更したこと以外は実施例1と同様にして、坪量41.4g/m、厚さ0.116mmのセパレータを作製した。結果を表1に示す。
【0043】
[比較例3]
実施例4で用いたエチレンービニルアルコール系共重合体単独繊維(1.6dtex×5mm)を29質量%、ポリビニルアルコール系バインダー繊維(1.1dtex×3mm、水中溶解温度70℃)を1質量%、ポリビニルアルコール系主体繊維(0.4dtex×2mm、水中溶解温度100℃以上)を20質量%、溶剤系レーヨン繊維(1.7dtex×2mm、CSF=525ml)を50質量%配合したこと以外は実施例1と同様にして、坪量42.8g/m、厚さ0.120mmのセパレータを作製した。結果を表1に示す。
【0044】
【表1】
Figure 0004401692
【0045】
表1に示す通り、実施例1〜7で得られた電池用セパレータは、剥離強度を150mN/mm以上確保し、且つこわさ強力も1.5N以上であり、電解液保液性にも優れたものであった。
【0046】
比較例1、2で得られた電池用セパレータは電解液保液性、こわさ強力は確保しているものの、剥離強度が弱く、セパレータ製筒時正極缶内にセパレータがうまく挿入できない問題が生じた。
【0047】
また、比較例3で得られた電池用セパレータは、セパレータ同士の剥離強度を150mN/mm以上確保しているものの、セパレータのこわさ強力が1.5N以下となるため、耐衝撃性試験において、セパレータ底部の外れが認められた。また電池の搬送や携帯時に振動・落下による衝撃によってセパレータ自体が座屈し、電池内で内部短絡を生じた。
【0048】
【発明の効果】
本発明により、セパレータ底部の接着性が大幅に改善された電池用セパレートを得ることができる。そして、本発明の電池用セパレータを用いることで、搬送や携帯時に振動・落下等の衝撃による内部短絡の生じにくいアルカリ一次電池を得ることができる。

Claims (4)

  1. ポリビニルアルコール系繊維と、該ポリビニルアルコール系繊維より溶融温度および/または軟化温度が20℃以上低い耐アルカリ性を有する重合体を少なくとも一成分とした耐アルカリ性繊維バインダーを含む不織布からなる電池用セパレータであって、該ポリビニルアルコール系繊維が、主体繊維とバインダー繊維からなり、該耐アルカリ性繊維バインダーの単繊維繊度が0.6〜5.0dtexであり、該ポリビニルアルコール系バインダー繊維と該耐アルカリ性繊維バインダーとの質量比が20:80〜95:5であり、かつ該セパレータ同士を接着させた際における剥離強度が150mN/mm2以上であることを特徴とする電池用セパレータ。
  2. 該電池用セパレータのこわさ強力が1.5N以上である請求項1記載の電池用セパレータ。
  3. 該電池用セパレータが耐アルカリ性セルロース系繊維を20〜80質量%含有する請求項1または2に記載の電池用セパレータ。
  4. 請求項1〜のいずれか1項に記載の電池用セパレータを備えてなるアルカリ一次電池。
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