JP4401197B2 - 亜酸化銅粉末及びその製造方法 - Google Patents

亜酸化銅粉末及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4401197B2
JP4401197B2 JP2004067989A JP2004067989A JP4401197B2 JP 4401197 B2 JP4401197 B2 JP 4401197B2 JP 2004067989 A JP2004067989 A JP 2004067989A JP 2004067989 A JP2004067989 A JP 2004067989A JP 4401197 B2 JP4401197 B2 JP 4401197B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cuprous oxide
oxide powder
solution
mol
cubic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2004067989A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005255445A (ja
Inventor
忠夫 杉本
晃 青木
貴彦 坂上
克彦 吉丸
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsui Mining and Smelting Co Ltd
Original Assignee
Mitsui Mining and Smelting Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsui Mining and Smelting Co Ltd filed Critical Mitsui Mining and Smelting Co Ltd
Priority to JP2004067989A priority Critical patent/JP4401197B2/ja
Publication of JP2005255445A publication Critical patent/JP2005255445A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4401197B2 publication Critical patent/JP4401197B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Agricultural Chemicals And Associated Chemicals (AREA)

Description

本発明は、亜酸化銅粉末及びその製造方法に関し、詳しくは立方体形状の亜酸化銅粒子を主体とし、セラミック電子回路用基板の配線材料、セラミックコンデンサの外部電極、若しくは半導体デバイス等の電子材料、防汚塗料等の塗料原料を始めとする種々の用途に適用可能な亜酸化銅粉末及びその製造方法に関する。
亜酸化銅粉末は、防汚塗料の原料、電子材料、毒剤、触媒、着色剤等の用途に用いられている化合物粉末である。特に、今後、船舶等の海洋構造物に付着するイガイ、フジツボ等の海生物に対する防汚塗料の原料、あるいはセラミック電子回路用基板の配線材料や積層セラミックコンデンサの外部電極用導電ペースト用材料に期待される。さらに、亜酸化銅がP型半導体の物性を有することから、亜酸化銅粉末は、整流器や太陽電池用材料としての用途がある。そのため、従来から亜酸化銅粉末についての多くの研究・開発・製造が行われてきた。
例えば、当該研究の一つとして亜酸化銅粉末を構成する亜酸化銅粒子が立方体形状であることを開示した研究例が非特許文献1に開示されている。
ところで、立方体は極めてシンプルな六面体である。すなわちすべて辺の長さが等しく、かつ、すべての面の頂角が直角である正六面体である。よって、立方体形状の構造体であって同じ大きさのものは互いに隣接させ2次元的に整列させることにより、都度一つ一つの立方体の面方向を決めることなく容易に平面的構造体を作製することができる。また、上記構造体は互いに隣接させて3次元的に整列させることにより、同様に、都度一つ一つ面方向を決めることなく容易に立体的構造体を作成することができる。以上のことは亜酸化銅粒子のようなミクロンオーダーの立方体形状の粒子についても例外ではない。
さらに、立方体形状構造(頂角がすべて直角である正六面体形状)は辺の長さだけが決まれば一義的にその構造が決定する。しかし、非特許文献1には一定の粒径を持つ立方体形状の亜酸化銅粒子の簡単な製造条件についての開示はあるが(TABLE I)、立方体形状の亜酸化銅粒子の個々の立方体の一辺の長さ(粒径)を制御する具体的な方法は開示されていない。
よって、例えば、このような特殊な立方体形状の一定の粒径を持つ亜酸化銅粒子から構成される亜酸化銅粉末を用いて、上記のように適宜平面的あるいは立体的にいくつかの立方体形状の亜酸化銅粒子を整列させ電子デバイスを形成すれば簡易に板状化又はブロック化することができる利点がある。例えばこのようにブロック化された焼成体にあってはキャビティ発生が防止され、内部応力の均一化が図り易くなりクラック等が発生の確率が低下できる。またナノテクノロジーの分野においては、立方体形状の亜酸化銅粒子1個でさえ有用な電子デバイス材料となり得る。
一方、亜酸化銅粉末の製造方法としては、種々の方法が提案されている。例えば湿式法としては、(1)塩酸含有塩化銅溶液を出発原料とし、金属銅等を溶解することにより塩化第二銅を塩化第一銅に還元し、得られた溶液をアルカリ溶液と反応させて亜酸化銅とする方法(特許文献1及び2)、(2)塩素イオン含有溶液中で、陽極を金属銅として電解する方法、(3)溶液中の銅イオンをヒドラジン等の還元剤で還元する方法等が用いられている。
また、上記(1)又は(2)に示される湿式の製造方法では、常に塩素イオンの存在を伴うため、そして、上記(3)に示される湿式の製造方法では、塩素イオンの存在を伴うことがあるため、得られる亜酸化銅粉末を電子材料の用途に用いることは使用時の信頼性が低くなる傾向にある。
そこで、上述したような様々な電子機器の小型化に伴う電子デバイスのマイクロ化に対応すべく、電子材料用途としての立方体形状の亜酸化銅粒子にも様々な大きさを製造する微細化技術であって、塩素フリーな亜酸化銅粒子を得るための製造技術が要請される。
JOURNAL OF COLLOID AND INTERFACE SCIENCE,44(1),1973,pp.95−106,(by P.McFADYEN and E.MATIJEVIC) 特開平2003−165724号公報 特開平2003−165725号公報
従って、本発明の目的は、粒度分布の幅の狭く、かつ粒径が任意に制御された、立方体形状の亜酸化銅粒子を主体とする塩素フリーな亜酸化銅粉末及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、検討の結果、銅塩含有溶液にアルカリ溶液を加え一定濃度のスラリーを調製し、その後、該スラリーに還元糖を特定条件で添加、撹拌することによって、従来にない亜酸化銅粉末が得られ、上記目的が達成し得ることを知見した。
<本件発明に係る亜酸化銅粉末>
以下に、本件発明に係る亜酸化銅粒子及び亜酸化銅粉末に関して述べることとする。
本件発明に係る立方体形状亜酸化銅粉末の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を図1〜図4に示した。ここで図1及び図2、図3及び図4は同一の立方体形状亜酸化銅粉末を倍率を変えて観察したものである。なお、図1及び図3の低倍率SEM像は倍率2000倍、図2及び図4の高倍率SEM像は倍率5000倍である。ここで、図1〜図4を示したのは、本件発明で言う立方体形状亜酸化銅粉末の形態の幅を明示するためであり、この図1〜図4から把握できる形態が含まれるのである。
本件発明で言う立方体形状亜酸化銅粉末は、図1〜図4に示されるように基本的に正六面体形状である。従って、その形態を特定する方法として、図6に示したように正六面体形状と捉えたときの一辺の長さ(L)を基準として、角欠けを形成する長さ(d1,d2)を測定し、(d1+d2)/Lとして算出した値を定義する。この値が0.3未満であれば、本件発明でいう立方体形状亜酸化銅粒子の範疇に入るものとする。
また、本件発明で言う立方体形状亜酸化銅粉末は、上記亜酸化銅粉末を構成する亜酸化銅粒子の一次粒子の平均粒径が1.5μm〜15μmである亜酸化銅粉末を提供するものである。この立方体形状亜酸化銅粒子の粒径は、15μm以下の粒径であれば電子材料分野での使用が十分に可能であり、さらに粒径が2μm〜10μmの範囲となるよう、後述する製造方法の製造条件を変更することで任意に作り込みが可能である。この粒径は走査電子型顕微鏡による観察像から、目視により測定した数値である。そして、粒径とは、立方体形状亜酸化銅粉末の粒子を走査型電子顕微鏡で観察したときの観察可能な立方体の一辺の長さである。
このように粒径が上記の範囲となるような、比較的大きいサイズの立方体形状亜酸化銅粉末によれば、導電性ペースト用材料としてペースト化した場合の低粘度化を図ることができる、経時安定性が高くなる、表面積が小さくなる、若しくは粉体の分散性が高くなる等の利点をもたらす。
また、本件発明で言う立方体形状亜酸化銅粉末は、上記の亜酸化銅粉末として、以下に示す粉体特性を備えるものを提供するものである。ここでこのように粉体特性を明示したのは、本件発明に係る亜酸化銅粉末が、立方体形状亜酸化銅粉末であるが故に、従来の亜酸化銅粉末では得られなかった効果を発揮する可能性を持ち、更には電子材料用途として十分に使用可能なレベルにある粉体特性を備えることを明らかにするためである。
レーザー回折式粒度分布測定法により得られる平均体積粒径であるD50は、1.5μm〜15μmである。このD50の値と、上述のSEM観察像から把握できる一次粒子の平均粒径(1.5μm〜15μm)とを対比しても、あまり大きな差が発生していないことが分かるのである。即ち、レーザー回折式粒度分布測定法は、粒子の凝集状態が存在すれば、その凝集状態が反映され、一次粒子径よりも大きな値となる傾向にある。しかしながら、SEM観察像で分かる一次粒子の平均粒径とD50との差があまり無いと言うことは、凝集の少ない粒子分散性に優れた粉末であることの裏付けとなる。
レーザー回折式粒度分布測定法により得られる体積粒径であるD90/D10は、1.4〜2.5である。このD90/D10は、体積累積90%の粒径と体積累積10%の粒径との比であり、この値が小さな程、粒度分布が狭くシャープであることを意味する。従って、本件発明に係る製造方法で得られる立方体形状亜酸化銅粉末のD90/D10の値は2.5以下となり、十分にシャープな粒度分布を持つ粉末であることが理解できる。しかしながら、D90/D10の値が1.4未満となることは殆ど無いのである。
タップ充填密度(g/cm)は、2.2g/cm〜3.5g/cmの範囲である。タップ充填密度が2.2g/cm未満の場合には、積層セラミックコンデンサの外部電極形成等に用いたときの膜密度が低くなり、電気抵抗の上昇を招くため好ましくない。一方、本件発明に係る立方体形状亜酸化銅粒子の粒径は、上述したように1.5μm〜15μmの範囲にある等の条件に依存し、タップ充填密度が3.5g/cmを超えることは研究過程における実績からして困難と考えられる。
また、本件発明に係る亜酸化銅粉末は、立方体形状の亜酸化銅粒子を60〜100%(体積%、以下同様)含有する上記亜酸化銅粉末を提供するものであるとした。この意味するところは、上述の製造方法をもって本件発明に係る立方体状の亜酸化銅粉末を製造すると、殆どの粉粒形状を本件発明に係る立方体状の亜酸化銅粉末とすることが可能である。しかしながら、製造プロセス内の工程変動等が発生するのは常であり、係る場合には立方体形状の亜酸化銅粒子以外に極めて微粒の粒子が生成する場合もある。その場合に走査型電子顕微鏡の一視野の中で観察すると微粒の粒子は数多く観察され、本件に係る立方体形状の亜酸化銅粒子は大きな粒子として観察され一視野中の個数は極めて少なく観察される場合がある。かかる場合を想定し、体積%で考えれば、経験的に60%(体積%)以上の粉粒が立方体状であれば、本件発明に言う立方体状の亜酸化銅粉末と捉えても支障がないと考える。なお、ここで言う体積%とは、走査型電子顕微鏡を用いて倍率2000倍で観察した視野内において確認できる粉粒の体積の総和を100%とし、そこに含まれる立方体状の亜酸化銅粉末の体積の占める割合として算出した。
<亜酸化銅粉末の製造方法>
本発明者らは、検討の結果、銅含有溶液にアルカリ溶液を加え、一定濃度のスラリーを形成し、その後該スラリーに還元糖を特定条件で添加し撹拌することによって、従来にない形状の亜酸化銅粉末が得られ、上記目的が達成し得ることを知見した。なお、製造方法に関しては、後述する実施形態で更に詳説する。
本件発明に係る亜酸化銅粉末の製造方法は、銅塩含有溶液にアルカリ溶液を加え、濃度(酸化銅(CuO)換算)0.05モル/l〜1.0モル/lのスラリーを調製し、その後、該スラリーに還元糖を添加時間1分〜60分の条件で添加、攪拌することを特徴とする立方体形状の亜酸化銅粒子を含む亜酸化銅粉末の製造方法を提供するものである。
また、本件発明に係る亜酸化銅粉末の製造方法は、上記アルカリ溶液の添加量が上記スラリー中の銅元素に対して1.4当量〜1.6当量であり、上記還元糖の添加、攪拌時の液温が40℃〜80℃である上記立方体形状の亜酸化銅粒子を含む亜酸化銅粉末の製造方法を提供するものである。
また、本件発明に係る亜酸化銅粉末の製造方法は、上記還元糖がグルコース水溶液であってグルコース溶液濃度が0.1モル/l〜5モル/lであり、グルコース添加量は上記スラリー中の銅元素1モルに対して、グルコース0.2モル〜2モルであることを特徴とする上記立方体形状の亜酸化銅粒子を含む亜酸化銅粉末の製造方法を提供するものである。
また、本件発明に係る亜酸化銅粉末の製造方法は、上記アルカリ溶液が水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液、水酸化リチウム溶液、炭酸カリウム溶液又はこれらの混合溶液である上記立方体形状の亜酸化銅粒子を含む亜酸化銅粉末の製造方法を提供するものである。
本発明の亜酸化銅粉末は、粒度分布の幅が狭く、かつ粒径を任意に制御されているので、特にマイクロオーダーが要求されるデバイスの電極等の電子材料に適用が可能である。また、亜酸化銅粒子の形状が基本的に立方体であることから、粒子を隣接させて整列し易い。そして整列後は焼成あるいは界面部のみ溶解すること等によりさらに大きなブロック化又は板状化が容易であるという特徴を有するから各種用途に適用可能である。また塩素フリーの亜酸化銅粉末であるため電子デバイス等に使用した場合に塩素による不具合が発生しない。
以下、本発明を実施するための最良形態について説明する(なお、本件出願において、単に「還元糖」とある場合には液体状のものばかりでなく固体状のものも含むものとする。)。本発明に係る亜酸化銅粉末の製造方法では、銅塩含有溶液にアルカリ溶液を加え、濃度(酸化銅(CuO)換算)0.05モル/l〜1.0モル/lのスラリーを調製する。
ここに用いられるスラリーとしては、銅塩に所定量の水を添加したものが通常用いられる。特に制限はされないが、例えば硫酸銅が銅塩として使用される。スラリーの濃度は0.05モル/l〜1.0モル/l、好ましくは0.1モル/l〜0.8モル/lであり、この範囲を外れると立方体状の亜酸化銅粉末が得られ難い。
また、アルカリ溶液としては、水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液、水酸化リチウム溶液、炭酸カリウム溶液又はこれらの混合溶液が用いられる。このアルカリ溶液の添加量は、上記スラリー中の銅元素に対して1.4当量〜1.6当量であることが好ましく、この量範囲をはずれると、得られる粒子形状が立方体形状を維持することが困難となる。より好ましくは、1.45当量〜1.55当量で、上記スラリーの濃度との組み合わせで考え、最も良好な製造安定性が得られる。
このように、銅塩含有溶液にアルカリ溶液を添加して所定濃度のスラリーを調製する際に熟成処理を行うことも好ましい。熟成処理とは、銅塩含有溶液とアルカリ溶液とを馴染ませ、スラリー性状を安定化させる作業のことであり、銅塩含有溶液にアルカリ溶液添加後撹拌を加えつつ、ある一定時間以上保持するのである。このときの熟成時間は5分〜120分が適当である。
このようにして調製されたスラリーに還元糖を特定条件下で添加、攪拌し、亜酸化銅粒子として生成させ、その後、濾過、洗浄、乾燥して亜酸化銅粉末を得る。
還元糖としては、グルコース、キシロース、ガラクトース、フルクトース、マルトース、ラクトース等の各溶液及び、それらの固体が挙げられるが、好ましくはグルコース水溶液であり、その濃度は0.1モル/l〜5モル/lが望ましい。このときのトータル還元糖量はスラリー中の銅元素含有量から自ずと定まるものである。しかしながら、グルコース水溶液の濃度が0.1モル/l未満の場合には、反応速度が遅くなり、添加溶液量が増加し、排水負荷が大きくなり工業的観点から好ましくない。一方、グルコース水溶液の濃度が5モル/lを超えると、還元反応が局所的に起こるようになり、シャープな粒度分布を持つ立方体形状亜酸化銅粉末を製造することが困難となる。
なお、本件発明において、グルコース添加量を上記スラリー中の銅元素1モルに対して、0.2モル〜2モルが好適であるとしている。グルコース添加量を上記スラリー中の銅元素1モルに対して0.2モル未満では亜酸化銅粒子が生成しづらく、一方、グルコース添加量を上記スラリー中の銅元素1モルに対して2モル以上では銅金属粒子の析出があり得るため好ましくないためである。
上記還元糖の添加、攪拌条件は、添加時間1分〜60分、好ましくは10分〜40分、攪拌速度は100rpm〜700rpm、好ましくは400rpm〜600rpmである。この添加、攪拌条件は、還元速度を決める重要な要素であり、上述した添加条件及び撹拌速度の範囲で、立方体形状亜酸化銅粉末が効率よく得られるのであり、この範囲を外れると立方体形状亜酸化銅粉末が得られ難い。特に還元糖の添加時間と立方体形状亜酸化銅粒子の粒径との間には、ある一定の相関関係が存在し、得られる粒子の粒径を制御することが可能となる。例えば、図5に示したような還元糖であるグルコースと平均SEM粒径(一次粒子の平均粒径)との関係の如きものである。また、還元速度を決める重要な要素として、この際の液温は40℃〜80℃が好ましく用いられる。液温が40℃未満では、立方体形状亜酸化銅粉末を得るための適正な還元速度が確保できず、収率が著しく低下するのである。一方、液温が80℃を超えると、反応が速くなり過ぎて添加時間及び撹拌速度をいかに制御しても、立方体形状亜酸化銅粉末を得るための適正な還元速度が得られないのである。
このようにして得られた立方体形状亜酸化銅粉末を60%〜100%(体積%)含む亜酸化銅粉末は、平面状化または立体化構造を形成し易く、かつ、塩素イオンをも含有しないことから、積層セラミックコンデンサの外部電極等の電子材料を始めとして、整流器、太陽電池等の電子材料等の種々の用途に有効に適用可能である。
以下、本発明を実施例に基づき具体的に説明する。なお、実施例1〜実施例8におけるグルコース添加時間と平均粒径(SEM)との関係は、図5に示したとおりである。実施例1〜実施例8は、スラリー濃度(酸化銅(CuO)換算濃度)とグルコース添加時間とをパラメータとした場合の一次粒子の平均粒径を評価したものである。
ステンレスビーカーに、硫酸銅・5水塩(CuSO・5HO)1.5gと適量の蒸留水とを混合し32mlの銅塩含有溶液を得た。そして、この溶液に、2.3mlの8モル/l濃度の水酸化ナトリウム溶液を添加し、更に蒸留水を用いて液量調整しトータル量60mlのスラリー(酸化銅(CuO)換算濃度0.10モル/l)を調製し、60分間熟成した。
調整されたスラリーに、0.25モル/lのグルコース水溶液12mlを添加時間1分、撹拌時間500rpmの条件で添加、撹拌し、亜酸化銅を得た。その際の液温は60℃とした。
得られた亜酸化銅を濾過し、洗浄し、乾燥して亜酸化銅粉末を得た。この亜酸化銅粉末は、図1及び2に示されるように、すべて立方体形状亜酸化銅粒子からなるものであった。
以上のようにして得られた立方体形状亜酸化銅粒子の一次粒子の平均粒径は、1.8μmであった。また、亜酸化銅粉末としての粉体特性は、タップ充填密度が、3.2g/cm、D50が、2.1μm、D90/D10が、2.1であった。
グルコース水溶液の添加時間を20分とした以外は、実施例1と同様な方法により、亜酸化銅粉末を得た。この亜酸化銅粉末は、実施例1と同様に、すべて立方体形状亜酸化銅粒子からなるものであった。
以上のようにして得られた立方体形状亜酸化銅粒子の一次粒子の平均粒径は、2.2μmであった。また、亜酸化銅粉末としての粉体特性は、タップ充填密度が、2.9g/cm、D50が2.2μm、D90/D10が、1.5であった。
グルコース水溶液の添加時間を60分とした以外は、実施例1と同様な方法により、亜酸化銅粉末を得た。この亜酸化銅粉末は、実施例1及び2と同様に、すべて立方体形状亜酸化銅粒子からなるものであった。(なお図1及び図2は、実施例1〜実施例3までのすべて立方体形状亜酸化銅粒子よりなる亜酸化銅粉末のSEM写真の代表例である。)
以上のようにして得られた立方体形状亜酸化銅粒子の一次粒子の平均粒径は、2.4μmであった。また、亜酸化銅粉末としての粉体特性は、タップ充填密度が、2.8g/cm、D50が、2.4μm、D90/D10が、1.8であった。
ステンレスビーカーに、硫酸銅・5水塩(CuSO・5HO)5.0gと適量の蒸留水とを混合し32mlの銅塩含有溶液を得た。そして、この溶液に、7.7mlの8モル/l濃度の水酸化ナトリウム溶液を添加し、更に蒸留水を用いて液量調整しトータル量60mlのスラリー(酸化銅(CuO)換算濃度0.33モル/l)を調製し、10分間熟成した。
調整されたスラリーに、0.25モル/Lのグルコース水溶液12mlを添加時間1分、撹拌速度500rpmの条件で添加、撹拌し、亜酸化銅を得た。その際の液温は60℃とした。
得られた亜酸化銅を濾過し、洗浄し、乾燥して亜酸化銅粉末を得た。この亜酸化銅粉末は、図3及び4に示されるように、僅かに角欠けされた立方体形状亜酸化銅粒子からなるものであった。
以上のようにして得られた立方体形状亜酸化銅粒子の一次粒子の平均粒径は、2.2μmであった。また、亜酸化銅粉末としての粉体特性は、タップ充填密度が、3.0g/cm、D50が、2.8μm、D90/D10が、2.4であった。
グルコース水溶液の添加時間を20分とした以外は、実施例4と同様な方法により、亜酸化銅粉末を得た。この亜酸化銅粉末は、実施例4と同様に、僅かに角欠けされた立方体形状亜酸化銅粒子からなるものであった。
以上のようにして得られた立方体形状亜酸化銅粒子の一次粒子の平均粒径は、3.3μmであった。また、亜酸化銅粉末としての粉体特性は、タップ充填密度が、2.5g/cm、D50が、3.4μm、D90/D10が、1.5であった。
グルコース水溶液の添加時間を30分とした以外は、実施例4と同様な方法により、亜酸化銅粉末を得た。この亜酸化銅粉末は、実施例4と同様に、僅かに角欠けされた立方体形状亜酸化銅粒子からなるものであった。
以上のようにして得られた立方体形状亜酸化銅粒子の一次粒子の平均粒径は、3.8μmであった。また、亜酸化銅粉末としての粉体特性は、タップ充填密度が、2.4g/cm、D50が、3.9μm、D90/D10が、1.6であった。
グルコース水溶液の添加時間を60分とした以外は、実施例4と同様な方法により、亜酸化銅粉末を得た。この亜酸化銅粉末は、実施例4と同様に、僅かに角欠けされた立方体形状亜酸化銅粒子からなるものであった。(なお図3及び図4は、実施例4〜実施例7までの僅かに角欠けされた立方体形状亜酸化銅粒子よりなる亜酸化銅粉末のSEM写真の代表例である。)
以上のようにして得られた立方体形状亜酸化銅粒子の一次粒子の平均粒径は、4.0μmであった。また、亜酸化銅粉末としての粉体特性は、タップ充填密度が、2.4g/cm、D50が、4.2μm、D90/D10が、1.5であった。
このように実施例4から実施例7によれば、上記立方体形状の亜酸化銅粒子に僅かに角欠けされた面取り部がある場合に、立方体形状の一片の長さに対する面取り部の長さの比(d1+d2)/Lが、0.3未満である上記亜酸化銅粉末が得られる。
ステンレスビーカーに、硫酸銅・5水塩(CuSO・5HO)10.5gと適量の蒸留水とを混合し32mlの銅塩含有溶液を得た。そして、この溶液に、16mlの8モル/l濃度の水酸化ナトリウム溶液を添加し、更に蒸留水を用いて液量調整しトータル量60mlのスラリー(酸化銅(CuO)換算濃度0.70モル/l)を調製し、10分間熟成した。
調製されたスラリーに、1.75モル/lのグルコース水溶液12mlを添加時間40分、攪拌速度500rpmの条件で添加、攪拌し、亜酸化銅を得た。その際の液温は60℃とした。
以上のようにして得られた立方体形状亜酸化銅粒子の一次粒子の平均粒径は、10.2μmであった。また、亜酸化銅粉末としての粉体特性は、タップ充填密度が、2.2g/cm、D50が、10.7μm、D90/D10が、2.1であった。
なお、実施例8によれば、立方体形状亜酸化銅粒子の一次粒子の平均粒径が10μm程度の大きさの当該亜酸化銅粉末を提供することができる。
本発明の製造方法により得られた亜酸化銅粉末は、セラミックス電子回路用基板の配線材料や積層セラミックコンデンサの外部電極、整流器及び太陽電池用半導体を例とする電子材料、防汚塗料の原料等、種々の分野に適用可能である。
図1は、本発明の製造方法により得られた亜酸化銅粉末の第1の例を示す走査型電子顕微鏡(SEM)写真(×2000)である。 図2は、本発明の製造方法により得られた亜酸化銅粉末の第1の例を示す走査型電子顕微鏡(SEM)写真(×5000)である。 図3は、本発明の製造方法により得られた亜酸化銅粉末の第2の例を示す走査型電子顕微鏡(SEM)写真(×2000)である。 図4は、本発明の製造方法により得られた亜酸化銅粉末の第2の例を示す走査型電子顕微鏡(SEM)写真(×5000)である。 図5は、実施例1〜実施例8におけるグルコース添加時間と平均粒径(SEM)との関係を示すグラフである。 図6は、亜酸化銅粒子の一片の長さと角欠け部の長さとの関係を説明するための一個の粒子を斜め方向から見た模式図である。

Claims (9)

  1. 亜酸化銅粉末を構成する立方体形状の亜酸化銅粒子の一次粒子の平均粒径が1.5μm〜15μmであり、且つ、タップ充填密度が2.2g/cm 〜3.5g/cm であることを特徴とする亜酸化銅粉末。
  2. 請求項1に記載の立方体形状の亜酸化銅粒子を60%〜100%(体積%)含有する立方体形状の亜酸化銅粒子を含む亜酸化銅粉末。
  3. レーザー回折散乱分析法による平均粒度D50が1.5μm〜15μmであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の立方体形状の亜酸化銅粒子を含む亜酸化銅粉末。
  4. レーザー回折散乱分析法により得られる粒度比D90/D10が1.4〜2.5であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の立方体形状の亜酸化銅粒子を含む亜酸化銅粉末。
  5. 銅塩含有溶液にアルカリ溶液を加え、濃度(酸化銅(CuO)換算)0.05モル/l〜1.0モル/lのスラリーを調製し、その後、該スラリーに還元糖を添加時間1分〜60分の条件で添加し撹拌することを特徴とする立方体形状の亜酸化銅粒子を含む亜酸化銅粉末の製造方法。
  6. 上記アルカリ溶液の添加量が上記スラリー中の銅元素に対して1.4当量〜1.6当量であり、上記還元糖の添加、攪拌時の液温が40℃〜80℃であることを特徴とする請求項に記載の立方体形状の亜酸化銅粒子を含む亜酸化銅粉末の製造方法。
  7. 上記還元糖がグルコース水溶液であってグルコース濃度が0.1モル/l〜5モル/lであり、グルコース添加量は上記スラリー中の銅元素1モルに対して、グルコース0.2モル〜2モルであることを特徴とする請求項又は請求項に記載の立方体形状の亜酸化銅粒子を含む亜酸化銅粉末の製造方法。
  8. 上記銅塩含有溶液は、硫酸銅であることを特徴とする請求項〜請求項のいずれかに記載の亜酸化銅粒子を含む亜酸化銅粉末の製造方法。
  9. 上記アルカリ溶液が水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液、水酸化リチウム溶液、炭酸カリウム溶液又はこれらの混合溶液であることを特徴とする請求項〜請求項のいずれかに記載の立方体形状の亜酸化銅粒子を含む亜酸化銅粉末の製造方法。
JP2004067989A 2004-03-10 2004-03-10 亜酸化銅粉末及びその製造方法 Expired - Lifetime JP4401197B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004067989A JP4401197B2 (ja) 2004-03-10 2004-03-10 亜酸化銅粉末及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004067989A JP4401197B2 (ja) 2004-03-10 2004-03-10 亜酸化銅粉末及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005255445A JP2005255445A (ja) 2005-09-22
JP4401197B2 true JP4401197B2 (ja) 2010-01-20

Family

ID=35081544

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004067989A Expired - Lifetime JP4401197B2 (ja) 2004-03-10 2004-03-10 亜酸化銅粉末及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4401197B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8889164B2 (en) 2011-10-12 2014-11-18 Showa Denko K.K. Antimicrobial and antiviral composition, and method of producing the same

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5142891B2 (ja) * 2008-09-02 2013-02-13 Dowaエレクトロニクス株式会社 亜酸化銅粉末およびその製造方法
JP5926644B2 (ja) * 2011-09-30 2016-05-25 Dowaエレクトロニクス株式会社 亜酸化銅粉末およびその製造方法
KR102538902B1 (ko) * 2016-02-24 2023-06-01 삼성전기주식회사 전자부품 및 그의 제조방법

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8889164B2 (en) 2011-10-12 2014-11-18 Showa Denko K.K. Antimicrobial and antiviral composition, and method of producing the same

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005255445A (ja) 2005-09-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI570196B (zh) 銀被覆銅粉
US20070202036A1 (en) Production Of Barium Titanate Compounds
Zhou et al. Morphology control and piezoelectric response of Na 0.5 Bi 0.5 TiO 3 synthesized via a hydrothermal method
JP5065607B2 (ja) 微粒銀粒子製造方法及びその製造方法で得られた微粒銀粒子
KR101045186B1 (ko) 구리 나노입자 제조방법 및 이에 따른 구리 나노입자
JP6130209B2 (ja) 導電膜
TW201100185A (en) Silver particles and a process for making them
JP4750491B2 (ja) 板状チタン酸金属化合物およびその製造方法
TW201043359A (en) Silver particles and a process for making them
JP6236706B2 (ja) 微小金属粒子含有セラミックキャパシタの製造方法
JP6835595B2 (ja) 金属粉末、インク及び金属粉末の製造方法
JP5622127B2 (ja) 還元析出型球状NiP微小粒子およびその製造方法
JP4401197B2 (ja) 亜酸化銅粉末及びその製造方法
JP4144695B2 (ja) 二層コート銅粉並びにその二層コート銅粉の製造方法及びその二層コート銅粉を用いた導電性ペースト
JP4144694B2 (ja) スズコート銅粉並びにそのスズコート銅粉の製造方法及びそのスズコート銅粉を用いた導電性ペースト
JP4756652B2 (ja) ドロップ状銅粉、ドロップ状銅粉の製造方法および導電性ペースト
JP2017039991A (ja) 銀コート銅粉とその製造方法、及びそれを用いた導電性ペースト
JP4473607B2 (ja) 亜酸化銅粉末及びその製造方法
JP5339346B2 (ja) アルミニウム置換α型水酸化ニッケルの製造方法
Kanie et al. Hydrothermal synthesis of sodium and potassium niobates fine particles and their application to lead-free piezoelectric material
JP2004315835A (ja) 異形銅粉及びその異形銅粉の製造方法並びにその異形銅粉を用いた導電性ペースト
JP4320448B2 (ja) 金属超微粒子分散複合体及びその製造方法
JP4401198B2 (ja) 亜酸化銅粉末及びその製造方法
JP6114873B2 (ja) 酸化ポリオキソアニオン塩の析出を介した無機基材上の酸化物シェルの形成
TWI844761B (zh) 雙晶銅金屬層、具有其之基板及其製備方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070213

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090724

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090731

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090929

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20091022

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20091027

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4401197

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121106

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131106

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term