以下、図面を参照しつつ本発明に係る製造情報管理システムについて詳細に説明する。
図1に、本発明に係る製造情報管理システム100のブロック構成図を示す。
本発明に係る製造情報管理システム100は、撮像部110、制御部120、データ記憶部130、製品情報決定部140を備える。
撮像部110は、製造情報管理システム100の管理対象となる製造設備又は装置(以下、対象設備という)全体を撮影する。また撮像部110は、1台若しくは複数のカメラで構成し、対象設備に含まれる全ての可動部は、何れかのカメラで撮影されるように構成する。また、対象設備の可動部の移動を、画像上の位置の変化として捉えられるように、撮影対象である各可動部の動作平面から離れたところに撮像部110を配置することが好ましい。さらに撮像部110は、対象設備を特定可能なように、設備識別番号といった、対象設備の識別情報が表示されたラベルを判読可能に撮影する。なお、ラベルには、JAN、ITF、NW−7、Code128といった1次元バーコードや、QRコード(登録商標)、データマトリックス(登録商標)、PDF417、Maxi Code、及びAztec Codeといった2次元コードを用いてもよい。
また、撮像部110は、対象設備の可動部の動作を逐次捉えられるように、連続的に撮影可能であることが好ましく、例えばビデオレート(30Hz)で撮影を行う。撮影した画像は、制御部120へ送信する。
製品情報決定部140は、制御部120と通信可能に接続され、対象設備で製造された部品又は製品(以下、部品等という)に対して、製造番号等のユニークな番号を製品情報として設定し、またその番号を制御部120に送信する。
製品情報決定部140は、例えばRFIDシステム(Radio Frequency Identification System)を用いて構成することができる。
この場合、以下のように製品情報を決定することができる。
まず、対象設備で製造される部品等自体、若しくは、部品等と一対一に対応する搬送用治具にIDタグを付しておく。そして、対象設備による部品等の製造工程が終了した後の工程部に、上記のIDタグに対して情報を読み書き可能なリードライトヘッドを設けておく。また、リードライトヘッドは、そのヘッドのコントローラとケーブル接続され、さらにコントローラはパソコンやプログラマブルコントローラといった上位機種とRS−232C等で接続される。
リードライトヘッドを設置した工程部に部品等が搬送されてくると、製品情報決定部140は、予め定めたルールに従って決定した製品情報をIDタグに書き込む。例えば、部品等のロット番号(4桁)、製造年月日(年の下2桁+月2桁+日2桁=6桁)、設備番号(2桁)、製造当日の累計製造数(5桁)の各数値を順に並べた17桁の数値で表した製造番号を製品情報とすることができる。また製品情報決定部140は、リードライトヘッドを介して製品情報をIDタグに書き込むと同時に、同じ製品情報を制御部120に送信する。
ここで対象設備における全ての製造工程の後に、良否判定を行う工程部を設け、その後上述したリードライトヘッドを設置した工程部を設けてもよい。その場合、良否判定を行う工程部で、不良品を排除することが可能なため、不良品に対して製品情報を割り付けてしまうことを避けることができる。
制御部120は、撮像部110から受信した画像データを解析し、必要と認める画像データをデータ記憶部130に保存する。詳しくは、対象設備について、その設備で行われる製造工程の各動作ステップの終了後に、その動作ステップで移動した可動部の位置を上述の画像データから特定し、その可動部が動作終了後の所定位置にいると判定した場合、その解析に用いた画像データをデータ記憶部130に保存する。若しくは、対象設備の次の動作ステップの開始前に、その動作ステップで移動する可動部の位置を上述の画像データから特定し、その可動部が動作開始前の所定位置にいると判定した場合、その解析に用いた画像データをデータ記憶部130に保存する。一方、解析した画像データでは、着目する可動部が動作終了後の所定位置、若しくは動作開始前の所定位置にいないと判定される場合(例えばその可動部が動作中の場合)、制御部120は、解析に使用した画像データを廃棄する。
また、制御部120は、保存する画像データについて、各動作ステップの動作終了後、又は動作終了前の可動部の位置を示す情報、例えば、対象可動部の特定部位の画像上の座標値も併せてデータ記憶部130に保存させてもよい。
着目する可動部が所定の位置にいるか否かの判定は、以下に説明する方法で行うことができる。
まず、解析対象の画像データから、着目する可動部中の特定部分を認識する。
次に、認識された特定部分の画像データ上の位置と、理想状態にある設備を撮影した画像データ等から求められた基準位置との距離が、予め定められた許容範囲内にあるか否かを判定する。
その距離が許容範囲内に収まる場合、着目する可動部は所定の位置にいると判定する。
なお、着目する可動部中の特定部分の認識は、例えば可動部中の特徴ある部分について、2値化処理でその特徴ある部分に相当する画素だけを抽出し、抽出された画素の重心等を求めることで実行できる。また、2値化処理の代わりに、エッジ検出処理を行って、上記部分の境界に相当するエッジ画素を抽出し、エッジ画素の重心等を求めてもよい。さらに、上記の2値化処理やエッジ検出処理を、着目する可動部が写っている部分を含む、一部の領域(関心領域)に限定して行ってもよい。このように関心領域に限定して処理を行えば、処理に使用するデータ量を減ずることができるため、高速な処理が可能となる。
上述した判定方法の代わりとして、理想状態にある設備を撮影した画像データと、解析対象となっている画像データとのマッチング処理を行い、マッチングの結果を表す相関度が所定の閾値以上の場合、着目する可動部が所定の位置にいると判定する判定方法を用いてもよい。この判定方法を用いる場合においても、上述した関心領域に限定して処理を行うことが好ましい。
さらに制御部120は、画像データから対象設備の識別情報が含まれるラベルを検出し、そのラベルから設備番号等の識別情報を取得する。そして、その識別情報と、製品情報決定部140から取得した製品情報、及び当該画像データ撮影時に製造されていた部品等の製造時間について、対応する画像データに関連付けたテーブルを作成する。
識別情報、製品情報等と画像データの関連付けは、以下に説明する方法で行うことができる。
まず、対象設備の識別情報の取得について説明する。
対象設備の各動作ステップを示す画像データのうち、特定の動作ステップに相当する画像データを取得すると、その画像データから、対象設備に付された、識別情報を含むラベルを検出し、識別情報を取得する。ラベルからの識別情報の取り出しには、用いるラベルの種類によって最適化された公知の1次元コード又は2次元コード認識技術やOCR(Optical Character Recognition)といった文字認識技術を用いることができる。そして、取得した識別情報を制御部120内に設けた1次的なキャッシュメモリ125に保存しておく。また、上述の特定の動作ステップとしては、その動作ステップに相当する画像データから、ラベル全体を視認でき、ラベルの各画素を画像データ上で識別可能という条件を満たす限りにおいて、どの動作ステップであってもよい。
次に、画像データ撮影時に製造されていた部品等の製造時間の決定について説明する。
部品等の製造時間は、その部品等が対象設備における製造工程1サイクルのうちのいずれかの段階に到達した時間とすることができる。本実施形態では、対象設備の製造工程1サイクル中の最後の動作ステップに相当する画像データを取得した時間とする。最後の動作ステップに相当する画像データを取得した時間は、上述した可動部の位置判定によって最後の動作ステップが終了したと判定された時間、若しくは最後の動作ステップの開始準備が整ったと判定された時間とすることができる。
制御部120は、製造工程1サイクル毎に製造時間Tci(i=1,2,...,n)を求め、上記のキャッシュメモリ125に保存する。
さらに、上記の製造時間Tciと、対応する製造工程に対して取得した対象設備の識別情報と、その製造工程1サイクル中に含まれる画像データの名称とを関連付けたテーブルを作成し、上記のキャッシュメモリ125に保存する。
次に、製品情報及び部品等の製造時間と画像データの関連付けについて説明する。
制御部120が製品情報決定部140から製品情報を受信すると、その製品情報がどの製造サイクルの画像データに対応するかを決定する。
対象設備による部品等の製造工程が終了してから、その部品等が製品情報決定部140のリードライトヘッダを備えた工程部に到達するまでの経過時間Teはほぼ一定であり、事前に計測して求めることができる。そこで、経過時間Teを予め計測し、制御部120で参照できるようにデータ記録部130又は上記のキャッシュメモリ125に保存しておく。
制御部120が製品情報決定部140から製品情報を受信すると、その受信した時間Tdから経過時間Teを引いて、推定製造時間Tfを決定する。そして、推定製造時間Tfとキャッシュメモリ125に保存されている各動作サイクルの製造時間Tciとを比較し、一番差の少ない製造時間Tcminを決定する。そして、その製造時間Tcminに対応するテーブルを参照することにより、製品情報と画像データを関連付けることができる。またその製造時間Tcmin自体から、部品等の製造時間を画像データに関連付けることができる。
製品情報と製造サイクルの関連付けが終了すると、制御部120は設備の識別情報、製品情報、製造時間とともに、画像データに関連付けたテーブルを作成する。なお、製造工程1サイクル毎にテーブルを作成してもよいが、後でテーブルを参照して、製品情報から関連する画像データを見つけるためには、一つのテーブルだけを作成し、製品情報と製造サイクルとの関連付けが終了する度にそのテーブルに追記していくことが好ましい。
図11に、画像データと対応する設備の識別情報、製品情報、製造時間等を関連付けるテーブルの一例を示す。
図11に示したテーブル300では、関連する製品情報、設備識別情報、製造年月日及び画像データの名称が行毎に記載される。左から順に列301には製品情報、列302には設備識別情報、列303には製造年月日、列304には画像名称が記載される。そして、部品等の製造が終了し、製品情報が付される度に、テーブル300の最下行に、その新しい部品等についての情報が追加されていく。
なお、テーブルはこの例に限られるものではなく、例えば列303には、年月日だけでなく、時間、分や秒まで記載してもよい。また、テーブル300の列304の右側に列を追加し、その列に、列304に記載されている画像の保存場所を記載してもよい。
また、設備の識別情報は、頻繁に変更されるものではないため、製造サイクル毎にラベルを検出して識別情報を取り出すことは必ずしも要求されず、設備の識別情報が変更された直後の製造サイクルでラベルの検出を行って設備の識別情報を取得し、次に識別情報が変更されるまで制御部120のキャッシュメモリ125又はデータ記憶部130にその識別情報を保存しておき、各画像データに関連付けてもよい。
制御部120は、設備の駆動制御を併せて行うことも可能であり、特に、着目した可動部が所定の位置にあると判定した場合に、設備に対して次の動作を行うよう、同期信号を出力するようにしてもよい。このような構成とすることで、撮像部110が可動部の位置を確認するセンサの役割を果たすため、他にセンサを準備する必要がなくなり、設備の簡略化及び省スペース化が可能となり、さらにメンテナンスの容易性を向上できる。
また制御部120は、監視対象である設備に異常が発生したか否かを、撮像部110から受信した画像データを解析する等により判定し、異常が発生したと判定した場合、設備を停止する。
異常発生の判定を以下に説明する。
まず、監視対象設備の各動作ステップについて、正常動作中の設備の各動作ステップの開始前、若しくは終了後の画像データを参照画像データとして予め取得する。そして、参照画像データに基づいて、その予め解析を行う関心領域を設定する。例えば、部品組み立て装置や部品検査装置では、動作ステップ毎に決まった位置に、特定の種類の部品が存在するはずである。そこで、画像データ上において、そのような部品が存在すべき場所に関心領域を設定する。
設備の監視中においては、各動作ステップの開始前、若しくは終了後の画像データを取得する。そして、対応する参照画像と、関心領域内の画像データ間でマッチングを行う。マッチングの結果を例えば両画像データ間の対応する画素値の絶対平均偏差として求め、その絶対平均偏差が所定の閾値より大きい場合、異常が発生したと判定する。なお、各動作ステップの開始前、若しくは終了後に相当する画像データとして、上述した方法により動作ステップの開始前、若しくは終了後と判断され、データ記憶部130に保存される画像データを用いればよい。
代わりの異常判定方法としては、以下の方法がある。
まず、制御部120は、設備が正常動作している場合における各動作ステップの所要時間を予め記憶しておく。
設備の監視中においては、各動作ステップの動作開始前の時間(若しくは、前動作ステップが終了した判定された時間)を逐次記録しておき、その動作ステップが終了したと判定された時間との経過時間を算出する。算出した経過時間が、予め記憶しておいた所要時間と比較して相当余分な時間を要している場合、例えば経過時間が上記所要時間の数倍(例えば2倍、5倍、10倍)以上要している場合、異常が発生したと判定する。また、上記所要時間の数倍の時間が経過しても、動作終了と判定されない場合も、制御部120は異常が発生したと判定してもよい。
さらに別の異常判定方法としては、例えば設備の可動部を動かすモータに送る電流値を監視しておき、その電流値が、モータの過負荷状態を示すような値にまで増大した場合、異常が発生したと判定することができる。
データ記憶部130は、制御部120により保存する指示を受けた画像データ、及び対象設備の識別情報、製品情報等と画像データを関連付けるテーブルを保存する。データ記憶部130には、常に最新の動作ステップから、複数ステップ前の動作ステップまでの各動作ステップに相当する画像データまでを保存しておくことが好ましく、異常発生が認められた動作ステップから、数日〜数週分(例えば3日分)前までの全ての製造サイクルに相当する画像データを保存しておくことがさらに好ましい。対象設備で組み立て等を行った部品等が、後日不良品と判明した場合であっても、対象設備によって当該部品等が製造された際の状況を再現・把握できるようにするためである。一方、余りに長期間に亘って全ての画像データを保存すると、データ保存のために必要なハードディスク等の容量が膨大となってしまい、好ましくない。また、設備起因による部品等の不良は、対象設備の異常が発生する直前の期間に集中すると考えられるため、異常発生直前のある一定期間のデータを保存しておけば、不良と設備との因果関係把握・状況再現といった目的を達成することが可能なためである。
そこで、データ記憶部130は、予め画像データを保存しておく期間を決めておき、画像データがデータ記憶部130に書き込まれたときから、その期間を経過すると、自動的にその画像データを消去する。ただし、データ記憶部130に書き込まれてから、消去されるまでの間に、対象設備に異常が発生した場合、その異常発生の時点でデータ記憶部130に保存されている全ての画像データは、以後消去されることなく、データ記憶部130に保存され続ける。データ記憶部130に保存されている任意の画像データについて、一定期間経過後に自動的に消去するか否かの判定は、画像データ毎に対応する消去可否フラグを設けておき、例えば消去可否フラグの値が1なら消去可能、値が0なら消去不可能と判断することで行うことができる。
なお、制御部120、データ記憶部130は、市販のパーソナルコンピュータ及び内蔵プログラムとして構成することができる。また、専用のハードウェアやファームウェアとして構成してもよい。さらにデータ記憶部130は、複数の設備の情報を一括管理可能とするために、複数の製造情報管理システムで共有され、且つ各製造情報管理システムの制御部とTCP/IPのような通信プロトコルを用いた通信ネットワークを介して通信可能なファイルサーバとして構成してもよい。
以下に、本発明に係る製造情報管理システムを製造装置の一例の組み立て装置に実装した場合について説明する。
図2に、本発明に係る製造情報管理システムを実装した組み立て装置200の構成ブロック図を示す。また図3に、組み立て装置200の概略上面図を示す。図4に、図3のCCDカメラ111から見た組み立て装置200の概略斜視図を示す。図5に、図3のAA’の線において矢印方向から見た概略断面図を示す。
本実施形態に係る組み立て装置200は、一例として、直径50mm、高さ50mmの円筒形をした基幹部品(ワーク)の中心に、直径20mm、高さ10mmの円筒形の部品を上方から嵌め込んで完成品を製造するものである。また、本実施形態に係る製造情報管理システム100は、組み立て装置200の各製造サイクルに含まれる各動作ステップの終了時点での画像データを保存し、画像データの書き込み時点(保存開始時点)から3日以内に組み立て装置200に異常が発生しない限り、書き込み時点から3日経過後に自動的に消去するものとする。また製造情報管理システム100は、併せて組み立て装置200の駆動制御も行うものとする。
組み立て装置200は、搬送ユニット210、上下ユニット220、ワーク搬入部230、部品投入部240、組み立て部250及びワーク排出部260を備え、撮像部であるCCDカメラ111、制御部であるコントローラ121、データ記憶部であるメモリ131及び製品情報決定部であるRFIDシステム141とで製造情報管理システム100を構成する。
本実施形態に係る組み立て装置200では、図3及び図4に示すように、ワーク202は、パレット205に載せられた状態でワーク搬送路201に沿ってワーク搬入部230から搬入され、ワーク排出部260により排出される。一方、部品203は、部品投入部240により、ワーク搬入部230と略直交する方向から投入され、ワーク搬入部230とワーク排出部260の中間にある組み立て部250で、ワーク202に組み付けられる。
ワーク搬入部230は、前工程から送られてきたワークを連続的に組み立て装置200に搬入可能なように、ワーク202を載せたパレット205とともに運ぶベルトコンベアで構成する。部品投入部240は、部品投入側から組み立て部250側へ緩やかな下降傾斜路であって、振動により、投入された部品203が徐々に組み立て部250側へ搬送される。ワーク排出部260は、ワーク搬入部230同様、ベルトコンベアで構成する。そして、搬送ユニット210が部品組み付け済みのワーク(完成品)204を組み立て部250側に最も近いワーク排出部260の出口261に排出すると、その完成品を載せて次工程へ搬送する。
搬送ユニット210は、ワーク搬送路201と略平行に取り付けられ、ワーク搬入部230の終端付近の入口231にあるワーク202を載せたパレット205を捕捉し、ワーク排出部260の方へ平行移動して組み立て部250へ搬送する。さらに部品組み付け済みのワーク(完成品)204を、その完成品204を載せたパレット205とともにワーク排出部260に存在する出口261へと搬送する。組み立て部250に配置した上下ユニット220は、上部ユニット221が部品203を捕捉して上下運動し、下部ユニット222がワーク202を固定することにより、ワーク202に部品203を組み付けて完成品204を製造する。
搬送ユニット210は、ワーク搬送方向と略平行方向の長さ150mm、略直交方向の幅50mmからなる部材211と、部材211の下部に取り付けられたグリッパ212及び駆動用のサーボモータを備える。グリッパ212は、ワーク搬送方向にパレット205の幅とほぼ等しい間隔で配置した2本の爪で構成し、同時に2つのパレットを保持可能なように、ワーク搬送路201に沿って2セット配置する。
また搬送ユニット210は、ワーク搬送路201の存在する平面内で、ワーク搬送路201と直交する方向、及びワーク搬送路201と平行方向に移動可能である。また搬送ユニット210の原点位置を、搬送ユニット210がワーク搬送路201上にあるワーク202と接触しないよう、ワーク搬送路201から約30mm後方に離れた位置に設定する。そして、原点位置にある搬送ユニット210に送り動作を指示すると、ワーク搬送路201に沿って、ワーク排出方向へ向けて約70mm移動する(この移動先を便宜上送り位置と呼ぶ)。さらに、送り位置にある搬送ユニット210に、戻り動作が指示されると、原点位置へ戻るように、ワーク搬送路201に沿って、ワーク搬入方向に約70mm移動する。一方、原点位置若しくは送り位置にある搬送ユニット210に前進動作が指示されると、搬送ユニット210は、ワーク搬送路201上にあるワーク202又は完成品204をパレット205とともに捕捉するため、若しくは保持しているワーク202又は完成品204をワーク搬送路201上にパレット205ごとリリースするため、ワーク搬送路201に近づく方向に約30mm移動する。逆に、ワーク搬送路201に近接した位置にある搬送ユニット210に対し、後退動作が指示されると、搬送ユニット210はワーク搬送路201から離れる方向に約30mm移動する。
上下ユニット220は、上部ユニット221、及び下部ユニット222で構成される。下部ユニット222は組み立て部250へ搬送されてきたワーク202を固定する。一方、上部ユニット221は、開閉可能な爪からなるワークチャック223、及びワークチャック223が取り付けられるチャックシリンダ224、及びこれらを駆動するサーボモータを備えている。
上部ユニット221は、初期状態では、組み立て部250に搬送されてくるワーク202、部品203と衝突しないように、組み立て部250の上方に退避しておく。組み立て部250に部品203が来ると、上部ユニット221を下降させ、ワークチャック223を閉じて部品203を保持する。部品203を保持すると、上部ユニット221は上方に移動する。その後ワーク202が組み立て部250へ搬送されてくると、再び上部ユニット221は下降し、ワーク202に部品203を挿入し、組み付ける。部品の組み付けが終わると、ワークチャック223は開いて部品をリリースし、再び上部ユニット221は上方に移動する。この上下方向の移動距離は、組み立て部250にワーク202が存在する場合、約10mmであり、ワーク202が存在しない場合約60mmである。
本実施形態によると、搬送ユニット210の部材211の上面にCCDカメラ111で撮影可能なように、特に、搬送ユニット210が原点位置にいて、且つワーク202を保持していない場合、CCDカメラ111で撮影した画像データ上で、ラベル215全体が写る位置に設備の識別情報を示したラベル215が付される。ラベル215は、40mm×40mmの大きさを有する2次元コードであり、設備の識別情報として2桁の設備番号を有している。
さらに、ワーク202を載せ、運搬に使用する治具であるパレット205は、IDタグ206を有し、IDタグ206はRFIDシステム141と通信を行って製品情報の消去・書き込みがなされる。
また本実施形態によると、監視及び駆動制御される対象である可動部に検出マークが形成される。すなわち、搬送ユニット210の部材211の搬入部230側端部の上面に検出マーク213を、及び排出部260側端部の上面に検出マーク214を取り付ける。検出マーク213及び214は、直径5mmの赤い円形シールであり、CCDカメラ111で撮影する画像において、搬送ユニット210がどの位置にあっても、どちらかの検出マークが写り込むようになっている。なお、検出マーク213及び214は上記のものに限られるわけではなく、画像上で明確に判別可能なものであればよく、部材211自体の特有の形状等で代用することも可能である。
また、上下ユニット220の上部ユニット221においても、チャックシリンダ224の上面に検出マーク225、及びワークチャック223の上面に検出マーク226が取り付けられている。検出マーク225、226は、搬送ユニットに取り付けた検出マーク同様、直径5mmの赤い円形シールである。さらに、CCDカメラ111で撮影する画像において、上部ユニット221が如何なる位置にあっても、またチャックの開閉によらず、検出マーク225、226が写り込むよう構成されている。なお、検出マーク225、226は、検出マーク213、214と同じマークである必要は無く、画像上で明確に判別可能なものであればよい。
また、製造情報管理システム100の撮像部であるCCDカメラ111は、上述した組み立て部250の斜め上方、部品投入部側に約30°の方向に配置する。そして、搬送ユニット210、上下ユニット220、ワーク搬入部230、部品投入部240、ワーク排出部260を全て1枚の画像に収めるとともに、搬送ユニット210、上下ユニット220の各部の動作範囲も全て収めることができる。また、制御部であるコントローラ121は、CCDカメラ111からの画像信号を受信して、所定の条件を満たす画像データをデータ記憶部であるメモリ131に保存する。また、コントローラ121は、一時的に組み立て装置200の識別情報等を保存するために、キャッシュメモリ125を備える。さらにコントローラ121は、組み立て装置200の駆動制御も行うため、搬送ユニット210、上下ユニット220それぞれのサーボモータへ制御信号を送信する。
制御部であるコントローラ121及びデータ記憶部であるメモリ131は、本実施形態においては、パーソナルコンピュータ(PC)に内蔵のプログラム、メモリ、RS232Cといった外部出力ポート等によって構成する。また、本実施形態においては、コントローラ121は組み立て装置200の駆動制御も行うため、組み立て装置200の可動部(搬送ユニット210、上下ユニット220)のサーボモータを制御するモータドライバを内蔵する。なお、コントローラ121及びメモリ131はこれに限られるものではなく、専用のハードウェア、ファームウェア等で構成してもよい。また、コントローラ121及びメモリ131と、モータドライバを、別個のハードウェアとして構成し、互いに通信可能な構成としてもよい。例えば、コントローラ121及びメモリ131をPC及び内蔵プログラムで構成し、モータドライバをプログラマブルロジックコントローラ(PLC)で構成してもよい。
CCDカメラ111は、組み立て装置200の作動中、搬送ユニット210、上下ユニット220、及び搬送されてくるワークや部品、排出される組み立て済みワークを全て1枚の画像に収めた静止画を、ビデオレート(30Hz)で連続して取得し、コントローラ121へ送信する。この目的のため、CCDカメラ111として、1/4インチ41万画素CCD、焦点距離4.3mm(画角69.8°)、24ビット(RGB各8ビット)出力のものを用いる。しかし、CCDカメラ111としては、これに限られるものではなく、組み立て装置200の各部を1枚の画像に収めることが可能で、且つラベル215及び各検出マーク等の判別ができるものであればよい。
製品情報決定部であるRFIDシステム141は、コントローラ121と通信可能に接続される。また、図11に示すように、ワーク排出部260のベルトコンベアの裏面側に近接して配置されたリードライトヘッド142を備え、リードライトヘッド142はワーク排出部260を通過する完成品204を載せたパレット205の底面に付されたIDタグ206とマイクロ波によって通信可能に構成される。そして、上記パレット205がワーク排出部260を通過する際、リードライトヘッド142を通じて以前に付された製品情報を消去し、改めて新しい製品情報をIDタグ206に書き込む。また、IDタグ206に書き込んだ製品情報と同一の製品情報を、コントローラ121に送信する。なお、IDタグ206に書き込まれた製品情報は、図示しない後の製造工程でIDタグ206から読み出され、完成品204毎にユニークな製品情報を有する1次元コード又は2次元コードラベルが作成され、対応する完成品204に貼付される。
コントローラ121は、CCDカメラ111から画像データを受信すると、検出マークの動きによる位置の変化を示す変化後の画像データを解析し、搬送ユニット210や上下ユニット220等の位置を認識し、認識結果に応じて内蔵のモータドライバを経て、搬送ユニット210又は上下ユニット220に内蔵されたサーボモータに対して制御信号を送信する。このようにして、本実施形態によれば、検出マークの位置の変化により、組み立て装置200をシーケンス動作させることができる。
さらに、搬送ユニット210や上下ユニット220の各動作ステップ終了時の位置を検出マークの位置により認識し、その動作ステップ終了時に相当する画像データ、検出マークの位置、動作終了と判定した時の時間等をメモリ131に保存する。その他、コントローラ121は、上記の動作ステップ終了時に相当する画像データ、各動作ステップの所要時間、及び搬送ユニット210等のサーボモータ駆動電流値のモニタによる過負荷の発生有無に基づいて、組み立て装置200の作動中、異常を発生したか否かの監視を行う。
また、搬送ユニット210が原点位置にいる動作ステップ終了時に相当する画像データから、ラベル215を検出し、組み立て装置200の識別情報を取得し、キャッシュメモリ125に保存する。
そして、1回の製造サイクルが終了すると、設備の識別情報、製品情報等と画像データを関連付けるテーブルを作成し、メモリ131に保存する。既にテーブルが存在している場合には、そのテーブルに追記する。
以下、フローチャート及びタイミングチャートを参照して、製造情報管理システム100及び組み立て装置200の動作について説明する。
図6及び図7に、本実施形態に係る組み立て装置200の動作のフローチャートを示す。また図8に、組み立て装置200の可動部である搬送ユニット210、上下ユニット中の上部ユニット221について動作のタイミングチャートを示す。
図8において、上部に示したS02等の記号501は、後述する組み立て準備完了、若しくは各可動部の動作終了判定ステップの実行タイミングを示す。また、各可動部の動作を横欄毎に示し、タイミングチャート線502がその横欄に存在する場合、各可動部はその横欄の左側欄503に示された動作を行うことを表す。どちらの動作を示す欄にも属さず、中間線上にタイミングチャート線502が存在する場合、その可動部は動作を行わず、その前状態を保持し続けることを表す。
まず、組み立て準備完了か否かを判定する(ステップS00)。この判定は、コントローラ120が行う。以下(i)〜(iii)の3条件全てを満たす場合、準備完了と判定する。
(i)ワーク搬入部230の入口231にワーク202が存在すること
(ii)ワーク排出部260の出口261に完成品204が存在しないこと
(iii)部品投入部240に部品203が存在すること
ワークや部品等の存在の有無は、以下の手順により調べることができる。
まず、事前準備として、CCDカメラ111を通じてワーク202、部品203及び完成品204が入口231等に存在する場合、及び存在しない場合の画像データをそれぞれ取得する。図9に示すように、取得した画像データを参照し、入口231や出口261の位置、部品の存在有無を調べる位置を特定し、関心領域001〜003としてその画像上の位置(例えば関心領域の左上端座標と右下端座標)をメモリ131に保存しておく。次に、関心領域001〜003にワーク202、部品203又は完成品204が存在する場合、存在しない場合のそれぞれについて、各関心領域内の平均信号値を求める。そして、各関心領域について、ワーク202、部品203又は完成品204が存在する場合の平均信号値と、存在しない場合の平均信号値との平均値を算出し、閾値Thd001〜Thd003とする。その閾値Thd001〜Thd003を予めメモリ131に保存しておく。
組み立て装置200の動作時においては、CCDカメラ111から送られてくる画像データに対し、メモリ131に保存した関心領域001〜003の位置に基づいて、関心領域001内の平均信号値AVG001、関心領域002内の平均信号値AVG002、関心領域003内の平均信号値AVG003をそれぞれ算出する。メモリ131から上述した閾値Thd001〜Thd003を呼び出し、平均信号値AVG001〜AVG003とそれぞれ比較する。平均信号値AVG001〜AVG003が、閾値Thd001〜Thd003より、ワーク202、部品203又は完成品204が存在する場合の参照画像データにおける平均信号値に近い場合、ワーク202、部品203又は完成品204が存在すると判定する。
なお、判定方法は上記の方法に限られるものではなく、別の方法を用いてもよい。例えば、上記と同様、事前にワーク202、部品203又は完成品204が存在する参照画像データを取得してメモリ131に保存しておく。また、上記同様に関心領域001〜003を設定する。
そして、組み立て装置200の動作時において、CCDカメラ111から受信した画像データと参照画像データとの間で、関心領域内001〜003内の各画素で差分信号値の絶対値を算出し、その平均信号値(平均絶対偏差)を算出する。その平均絶対偏差が所定の許容範囲内であれば、ワーク202、部品203又は完成品204が存在する(または存在しない)と判定する。なお、上記の許容範囲は、組み立て装置が設置された場所の照明など環境条件によって左右される可能性があるため、実験的に決定しておくことが好ましい。
上記の判定方法に基づき、CCDカメラ111から連続的に受信した画像データに対し、逐次判定を行う。いずれかの条件を満たさない場合、コントローラ121は組み立て準備が完了していないと判断し、組み立て装置200のアイドル状態を維持する。また、受信した画像データは廃棄する。
一方、ある時点で、受信した画像データについて上記(i)〜(iii)の全ての条件を満たすと、コントローラ121は組み立て準備完了と判断する。そしてコントローラ121は、その画像データをメモリ131に保存する。また上述したように、搬送ユニット210がワーク202を保持せず、原点位置にいる場合、ラベル215は何かに遮られることなく、CCDカメラ111で撮影した画像データに全体が写る。そこでコントローラ121は、メモリ131に保存される画像データから、ラベル215を認識し、組み立て装置200の識別情報を取得する。ラベル215の認識及び識別情報の取得には、ラベル215に使用する2次元コードに対応した公知の画像認識技術を用いる。取得した識別情報は、キャッシュメモリ125に保存される。
その後、内蔵のモータドライバを通じて搬送ユニット210にワーク搬送路201に近づくよう前進動作させる制御信号を送信する。その制御信号に基づいて、搬送ユニット210がワークを掴むために前進動作する(ステップS01)。
次に、搬送ユニット210の前進動作が終了したか否か、及び組み立て装置200にワーク202や部品203の転落、位置ずれといった異常が発生していないかどうかを判定する(ステップS02)。
説明の便宜のため、まず搬送ユニット210の前進動作が終了したか否かの判定手順について説明し、その後異常発生の有無に関する判定について説明する。
係る判定は、搬送ユニット210に付された検出マーク213の重心位置及び面積が所定の条件を満たすか否かを判定することによって行う。以下にその方法を詳述する。
事前準備として、搬送ユニット210の前進動作終了時点に相当する参照画像データを取得する。図9に示すように、取得した参照画像データから、搬送ユニット210の前進動作終了時点における検出マーク213の存在すべき位置を含む関心領域101を設定し、メモリ131にその位置・範囲を記憶させておく。ここで関心領域101は、検出マーク213の位置検出に使用する領域であるため、正確な位置認識を行うために検出マーク213を完全に収めることができる大きさであることが好ましい。一方、位置認識の処理に必要な計算時間を減らすため、関心領域101は狭い方が好ましい。具体的には、関心領域101は、検出マーク213の画像上における面積の5倍〜100倍程度の大きさに設定することが好ましい。さらに参照画像データに基づいて、搬送ユニット210の前進動作終了時点における検出マーク213を示す画素の重心位置、画像中の面積をそれぞれ基準重心Gorg、基準面積Dorgとして算出する。そして基準重心Gorg、基準面積Dorgを予めメモリ131に記憶させておく。
図10に、ステップS02の動作手順のフローチャートを示す。
組み立て装置200の稼動時においては、コントローラ121がCCDカメラ111から受信した画像について、関心領域101のみに限定して検出マーク213の重心位置G・面積Dを調べ、基準重心、基準面積との比較で動作が完了したか否かを判定する。まず、関心領域の位置、範囲、及び基準重心Gorg、基準面積Dorgをメモリ131から取得する(ステップS201)。次に、判定を行う画像データを取得する(ステップS202)。その後、関心領域101内の画像データを、検出マークとそれ以外に分離可能なように2値化する(ステップS203)。2値化の閾値は組み立て装置200の設置環境等を勘案して経験的に設定する。
本実施形態では、1画素あたりのデータが赤(R)、緑(G)、青(B)各8ビットで表される。そこで関心領域101中の任意の画素の値P(=(R, G, B))とし、対応する2値化画像の任意の画素値をPbinとすると、検出マーク213は赤色であることから、例えば
Pbin = 1 (R≧128、G<32、B<32)(検出マーク213に相当)
Pbin = 0 (上記以外のとき)
とすることができる。
2値化が終了すると、検出マーク213に相当する(Pbin=1)画素の重心G、画素数の合計(面積)Dを算出する(ステップS204)。次に、重心Gと、メモリ131に記憶された基準重心Gorgとの距離ΔG(=((Gx−Gorgx)2+(Gy−Gorgy)2)1/2)を求める(ただし、Gx、Gyはそれぞれ重心Gの水平座標、垂直座標であり、一方Gorgx、Gorgyはそれぞれ基準重心Gorgの水平座標、垂直座標である)。同様に、面積Dと、基準面積Dorgとの面積の差の絶対値ΔD(=|D−Dorg|)を求める(ステップS205)。ΔG、ΔDそれぞれについて許容誤差範囲(本実施形態においては、それぞれ2画素以内)か否か判定する(ステップS206)。共に許容誤差範囲内であれば、搬送ユニット210は正常に前進動作(S01)を終了したと判定する。この場合、コントローラ121は、モータドライバを通じて、次の動作を実行させるための制御信号となる、同期信号を出力する(ステップS207)。
また、搬送ユニット10の前進動作が終了したと判定された画像データをメモリ131に保存する(ステップS208)。その際、保存される画像データが、どの動作ステップに対応するか判るよう、画像データに対して動作ステップに対応する名称を付ける。また、複数サイクル分の画像データを保存するため、サイクルの差異も名称に反映する。この実施形態では、画像名称を10桁の数値+拡張子で表す。最初の8桁(最も左側からの10桁の数値)をサイクル番号、残りの2桁をステップ番号とする。拡張子は、画像データの形式(.jpg,.bmp等)を示す。例えば、画像データの形式をJPEGとすると、12345678サイクル目のステップS02で保存された画像データの名称は、”1234567802.jpg”と表される。
さらに、保存する画像データと関連付けて、消去可能か否かを表す消去可否フラグをメモリ131に保存する。消去可否フラグの値が1の時、そのフラグと関連付けられた画像データは消去可能であり、値が0の時は逆に消去不可能である。なお、画像データ保存時においては、消去可否フラグは、常に値が1として保存される。以後、画像データ保存時には、同様に消去可否フラグも保存される。
また、画像動作終了と判定された時間(年月日も含む)、検出マークの重心G、面積D、制御信号の詳細等も画像データと関連付けてメモリ131に保存する。ただし、動作終了と判定された時間、検出マークの重心G、面積D、制御信号の詳細等については、経時変化を観察可能とするために、画像データが破棄された後もそのままメモリ131に保持しておく。
一方、ΔG、ΔDのどちらか一方でも、許容誤差範囲を超えた場合、搬送ユニット210の前進動作は完了していないと判断し、判定に使用した画像データを廃棄するとともに、次にCCDカメラ111から送られてくる画像に対して同様の判定手順を繰り返す。
次に、本実施形態に係る組み立て装置200に異常が発生していないかどうかの判定について説明する。
異常発生の判定は、動作終了との判定が所定時間内に得られない場合、又はワーク202や部品203の配置に異常があるか否かを判定することにより行う。(ステップS209、ステップS210)。
搬送ユニット210や上部ユニット221といった可動部が、一動作に必要とする時間は予め予測できる。そのため、その予測できる時間を超えても、動作終了の判定ができない場合には、何らかの異常が発生していると考えられる。
画像データの取得(S202)後において、準備完了判定ステップ(S00)の条件が満たされてからの経過時間と、予め定められた閾値との比較を行う。閾値よりも経過時間が多い場合、許容時間内に動作終了と判定できず、異常発生と判定する(ステップS209)。上記閾値は、正常動作時に必要な所要時間の数倍〜数十倍程度が好ましい。例えば、搬送ユニット210の前進動作の所要時間が1秒の場合、上記閾値は5秒、10秒等の値とする。なお、CCDカメラ111の撮影間隔は一定のため、1動作期間内に取得された画像データの枚数をカウントし、その合計に撮影間隔の時間を乗ずることにより、その動作期間中の経過時間を知ることができる。したがって、動作終了判定を行った画像の枚数を経過時間の代わりの指標として用いてもよい。
異常発生と判定された場合、最後に解析を行った画像データをメモリ131に保存し(ステップS211)、製造情報管理システム100は、組み立て装置200を停止する(ステップS212)。
また、経過時間から異常が検出されない場合でも、ワークや部品が所定の位置に存在しているか否かにより、異常発生の有無を判定する(ステップS210)。この判定は、搬送部210の動作が終了し、組み立て装置200が静止状態となった時点で行う。搬送ユニット210が未だ前進動作中に判定を行っても、その後の動作でワーク202や部品203が転落するといった異常が発生する可能性があるためである。そこで、ステップ210は、ステップS206の後、動作が終了したと判定された画像データに基づいて、ステップS00の稼動準備が整ったか否かの判定と同様の方法により実施する。すなわち、組み立て装置200が正常動作している場合、各動作ステップの終了時点において、ワークや部品は、それぞれ所定の位置に存在しているはずである。ステップS02では、ワーク202がワーク搬入路230の入口231に存在し、部品203が部品投入部240に存在しているはずである。そこで、搬入ユニット210の前進動作が終了したと判定された画像データに対し、ステップS00と同様、正常動作時にワーク202や部品203が存在しているはずの位置に関心領域を設定し、その関心領域内の信号値を調べて、ワーク等が存在しているか否かを調べる。そして、ワーク202、部品203がそれぞれ所定位置に存在していると判定されれば、異常無と判定する。一方、ワーク202、若しくは部品203のどちらか一方でも存在しない場合、異常発生と判定し、判定に使用した画像データをメモリ131に保存し(ステップS211)、組み立て装置200を停止する(ステップS212)。さらに、既にメモリ131に保存されている、各動作ステップに関連付けられた消去可否フラグの値を全て0に書き換える。
なお、装置の停止とともに、装置の操作者に対して警告を発生するよう構成してもよい。係る警告は、装置の作動状態を監視するモニタ(図示せず)上への警告表示、又は警告音の発生等で行うことが可能である。
上述した動作終了判定方法及び異常発生有無の判定方法は、以下に述べるステップS04、S06等、組み立て装置200の可動部の各動作終了判定ステップにおいても同様に使用する。ただし、着目する検出マーク、設定する関心領域、及び基準となる重心位置Gorg、面積Dorgは、各動作終了判定ステップについて最適化する。この最適化についても、上述した事前準備と同様の方法で、動作終了判定を行う可動部の動作終了時を示す参照画像データを予め取得しておき、その参照画像データから着目する検出マークの重心、面積を調べておけばよい。
このように、検出マークの重心位置、及び面積を検出し、理想状態におけるそれらと比較することにより、その検出マークが付された可動部について正確な位置決定が可能となり、装置の信頼性を向上させることが可能である。
コントローラ121が、搬送ユニット210の前進動作は終了したと判定した場合、コントローラ121は、モータドライバを通じて搬送ユニット210のサーボモータに搬送ユニット210を後退動作させるよう制御信号を送信する。その制御信号に基づいて、搬送ユニット210はワークを保持したまま後退動作を行う(ステップS03)。なお、この後退動作に伴って、ワーク202に取り付ける部品203が、部品投入部より組み立て部250に移動する。
次に、搬送ユニット210の後退が終了したか否かを判定する(ステップS04)。
その判定方法はステップS02と同様である。即ち、予め設定した関心領域内で検出マーク213の重心位置と面積を算出し、事前に求められているそれらの値との差異が許容範囲内に収まるか否かで判定する。また、ステップS02と同様に、動作終了判定基準を満たさない画像データは廃棄し、判定基準を満たした画像データ、検出マーク213の重心位置等をメモリ131に保存する。異常発生の有無判定も同様に実施する。
コントローラ121が、搬送ユニット210の後退動作は終了したと判定した場合、モータドライバに対し、上部ユニット221を下降させる指令を出す。モータドライバは、係る指令を受け取ると、上部ユニット221のサーボモータに制御信号を送信する。その制御信号に基づいて、上部ユニット221が下降する(ステップS05)。
その後、上部ユニット221の下降動作が終了したか否かを判定する(ステップS06)。その判定方法はステップS02と同様である。即ち、予め設定した関心領域内で検出マーク225の重心位置と面積を算出し、事前に求められているそれらの値との差異が許容範囲内に収まるか否かで判定する。また、ステップS02と同様に、動作終了判定基準を満たさない画像データは廃棄し、判定基準を満たした画像データ、検出マーク225の重心位置等をメモリ131に保存する。
本実施形態では、CCDカメラ111を、組み立て部250の直上でなく、斜め30°の方向に配置したことにより、上部ユニット221の上下運動も、画像上で位置の変化として捉えることを可能としたので、複数のCCDカメラを用いることを要しない。なお、正確に可動部の位置を把握するために、CCDカメラ111で撮影した画像上において、全ての可動部の動作距離が、10画素以上となるように配置することがさらに好ましい。
コントローラ121が、上部ユニット221の下降動作は終了したと判定した場合、次の動作として、ワークチャック223を閉じるよう、モータドライバを通じて上部ユニット221のサーボモータに制御信号を送信する。その制御信号に基づいて、ワークチャック223が閉じて組み立て部250にある部品203を捕捉する(チャック動作)(ステップS07)。
その後、ワークチャック223のチャック動作が終了したか否かを判定する(ステップS08)。なお判定方法はステップS02と同様であり、予め設定された関心領域内でワークチャック223に付された検出マーク226の重心位置、面積を調べて判定する。また、動作終了判定基準を満たさない画像データは廃棄し、判定基準を満たした画像データ、検出マーク226の重心位置等をメモリ131に保存することも同様である。
コントローラ121が、ワークチャック223のチャック動作は終了したと判定した場合、コントローラ121は、モータドライバを通じて上部ユニット221のサーボモータに上部ユニット221を上昇させるよう制御信号を送信する。その制御信号に基づいて、上部ユニット221は部品203を保持したまま上昇する(ステップS09)。
その後、上部ユニット221の上昇動作が終了したか否かを判定する(ステップS10)。この判定は、上部ユニット221に付された検出マーク225を用いる他、上記S02と同様に実施する。また、動作終了判定基準を満たさない画像データは廃棄し、判定基準を満たした画像データ、検出マーク225の重心位置等をメモリ131に保存することも同様である。
コントローラ121が、上部ユニット221の上昇動作は終了したと判定した場合、次の動作として、搬送ユニット210を送り動作させ、その後前進動作させるよう、モータドライバを通じて搬送ユニット210のサーボモータに制御信号を送信する。その制御信号に基づいて、搬送ユニット210はワーク202を組み立て部250に搬送するため、ワーク202を保持したままワーク搬送路201に沿って送り動作し、その後前進動作する(ステップS11)。
ステップS02と同様の判定方法により、搬送ユニット210の移動が完了したか否かを判定する(ステップS12)。同様に、搬送ユニット210の移動が完了したと判定された画像データ、検出マークの重心位置等を保存し、それ以外の画像データの廃棄も同様に実施する。ただし、搬送ユニット210がワーク排出部側へ移動したことにより、ワーク搬入部側の検出マーク213が、上部ユニット221に隠れて見えなくなるため、ワーク排出部側の検出マーク214を用いて判定を行い、関心領域も検出マーク214の存在位置を含むように設定しておく。
コントローラ121は、搬送ユニット210の移動は終了したと判定した場合、次の動作として、上部ユニット221を下降させるよう、モータドライバを通じて上部ユニット221のサーボモータに制御信号を送信する。その制御信号に基づいて、上部ユニット221が下降し、組み立て部250にあるワーク202に、部品203を取り付ける(ステップS13)。この時、下部ユニット222は、ワーク202を固定する。
ステップS04と同様の判定方法により、上部ユニット221の下降動作が終了したか否か、判定する(S14)。判定に用いる検出マークも同様であり、また、動作終了判定基準を満たさない画像データは廃棄し、判定基準を満たした画像データ、検出マーク225の重心位置等をメモリ131に保存することも同様である。
コントローラ121は、上部ユニット221の下降動作は終了したと判定した場合、次の動作として、搬送ユニット210に後退動作させ、その後戻り動作をさせる。同時に、ワークチャック223に対し、部品203をリリースするよう開く動作(アンチャック動作)を行わせる。そのため、コントローラ121は、モータドライバを通じて、搬送ユニット210のサーボモータに制御信号を送信する。その制御信号に基づき、搬送ユニット210がワーク202をリリースして後退し、その後戻り動作して原点位置に復帰する。同様に、上部ユニット221のサーボモータに制御信号を送信する。その制御信号に基づき、ワークチャック223はアンチャック動作を行う(ステップS15)。
次に、搬送ユニット210の移動が完了し、原点位置に復帰したか否かを判定する。同時に、ワークチャック223のアンチャック動作が完了したか否か判定する(ステップS16)。
搬送ユニット210の移動完了、アンチャック動作の完了は、それぞれ上述してきた判定方法と同様の方法で行われるが、ステップS16では、それらを同一の画像上で同時に実行することが可能である。即ち、搬送ユニット210の検出マーク213の重心位置、面積を調べるための関心領域と、ワークチャック223に付された検出マーク226の重心位置、面積を調べるための関心領域をそれぞれ設定し、関心領域毎に判定を行う。
それぞれの判定の結果、搬送ユニットの移動完了、アンチャック動作の完了とも確認できると、コントローラ121は、次の動作として、上部ユニット221を上昇させるよう、モータドライバを通じて上部ユニット221のサーボモータに制御信号を送信する。その制御信号に基づき、上部ユニット221は上昇する(ステップS17)。
その後、ステップS10と同様に、上部ユニット221の上昇動作が終了したか否かを判定する(ステップS18)。また、動作終了判定基準を満たさない画像データは廃棄し、判定基準を満たした画像データ、検出マーク225の重心位置等をメモリ131に保存することも同様に行う。
コントローラ121が、上部ユニット221の上昇動作は終了したと判定した場合、次の動作として、部品組み付け済みのワーク(完成品)204を捕捉するため、搬送ユニット210を前進させる。そのため、コントローラ121は、モータドライバを通じて搬送ユニット210のサーボモータに対して制御信号を送信する。その制御信号に基づいて、搬送ユニット210は前進動作する(ステップS19)。
ステップS19で搬送ユニット210の前進が終了したか否か判定する(ステップS20)。動作終了判定基準を満たさない画像データは廃棄し、判定基準を満たした画像データ、検出マーク213の重心位置等をメモリ131に保存することも同様に行う。
ステップS20で、搬送ユニット210の前進が終了したと判定された場合、コントローラ121は、モータドライバを通じて搬送ユニット210のサーボモータに対して後退動作をさせる制御信号を送信する。その制御信号に基づいて、搬送ユニット210は完成品204を保持したまま後退する(ステップS21)。
そして、搬送ユニットの後退を確認する(ステップS22)。動作終了判定基準を満たさない画像データは廃棄し、判定基準を満たした画像データ、検出マーク213の重心位置等をメモリ131に保存することも同様に行う。
ステップS22で、搬送ユニット210の後退が終了したと判定された場合、コントローラ121は、モータドライバを通じて、搬送ユニット210のサーボモータに対して送り動作及び前進動作をさせる制御信号を送信する。その制御信号に基づき、搬送ユニット210は完成品204をワーク排出部260へ排出するために、完成品204を保持したまま、送り動作し、その後前進する(ステップS23)。
次に、ステップS23の搬送ユニット210の前進が終了したか否か判定する(ステップS24)。動作終了判定基準を満たさない画像データは廃棄し、判定基準を満たした画像データ、検出マーク214の重心位置等をメモリ131に保存することも同様に行う。
ステップS24において、ある画像データにおいて動作終了判定基準を満たすと、その判定基準を満たした時間を完成品204の製造時間としてキャッシュメモリ125に保存する。
ステップS24で、搬送ユニット210の前進終了を確認すると、完成品204がワーク排出部260のワーク出口261に排出される。そして、コントローラ121は、モータドライバを通じて搬送ユニット210のサーボモータに対して、搬送ユニット210が、後退動作した後、戻り動作を行うよう制御信号を送信する。そしてその制御信号に基づき、搬送ユニット210は原点位置に復帰する(ステップS25)。
最後に、搬送ユニット210が原点位置に復帰したか否かを確認する(ステップS26)。ステップS26では、搬送ユニット210に付された検出マーク213を用いて、他のステップS16同様に判定する。動作終了判定基準を満たさない画像データは廃棄し、判定基準を満たした画像データ、検出マーク213の重心位置等をメモリ131に保存することも同様に行う。
上記の各ステップによって組み立てが終了した完成品204が、ワーク排出部260を通過する際、パレット205に付されたIDタグ206とRFIDシステム141に含まれるリードライトヘッド142との間で通信が行われ、製品情報がIDタグ206に書き込まれる。また、その製品情報がRFIDシステム141からコントローラ121に送信される。
コントローラ121は、RFIDシステム141から製品情報を受信すると、上述したような方法で、キャッシュメモリ125に保存されている組み立て装置200の識別情報及び製造日時と、RFIDシステム141から受信した製品情報を、各動作ステップの画像データと対応付けるテーブルを作成する。そして、作成したテーブルをメモリ131に保存する。
上述してきたように、画像データ及び画像データと関連する製造設備の識別情報、製品情報、製造日時等の情報を関連付けたテーブルをデータ記憶部に保存しておくことにより、その製造設備で製造された部品等が後日不良品と判明した場合であっても、その部品等に付された製品情報を手掛かりとして、上記テーブルが保存されているデータ記憶部から該当する製造設備を特定し、また製造当時の画像データを見つけることができる。そして、その画像データを参照することにより、製造設備に起因する不良か否かを究明するための知見を得ることが可能となる。
なお、上述してきた実施形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではない。