JP4399342B2 - 磁性体が埋設された積層構造体の劣化診断方法及び劣化診断装置 - Google Patents

磁性体が埋設された積層構造体の劣化診断方法及び劣化診断装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4399342B2
JP4399342B2 JP2004326704A JP2004326704A JP4399342B2 JP 4399342 B2 JP4399342 B2 JP 4399342B2 JP 2004326704 A JP2004326704 A JP 2004326704A JP 2004326704 A JP2004326704 A JP 2004326704A JP 4399342 B2 JP4399342 B2 JP 4399342B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
embedded
laminated structure
magnetic material
delamination
magnetic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2004326704A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2006053119A (ja
Inventor
匡 五嶋
清 長沼
浩 山崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Building Systems Co Ltd
Original Assignee
Hitachi Building Systems Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Building Systems Co Ltd filed Critical Hitachi Building Systems Co Ltd
Priority to JP2004326704A priority Critical patent/JP4399342B2/ja
Publication of JP2006053119A publication Critical patent/JP2006053119A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4399342B2 publication Critical patent/JP4399342B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Investigating Or Analyzing Materials By The Use Of Ultrasonic Waves (AREA)

Description

本発明は、磁性体が埋設された積層構造体の劣化診断方法及びその方法に用いられる劣化診断装置に関するものである。
従来の磁性体が埋設された積層構造体100は、図8から図9に示すように、ゴム材からなる表面帆布層101とゴム材からなる中間ゴム層102とゴム材からなる中心ゴム層103とを積層させる積層構造にすると共に、その中間ゴム層102と中心ゴム層103との間に、複数本のスチールコードなどの磁性体からなる線状の抗張体104を、磁性体が埋設された積層構造体100の長手方向に沿って均等に配設する構造とし、しかも、表面帆布層101と中間ゴム層102との間を、空隙が生じないようにゴムなどの接着剤で接着すると共に、中間ゴム層102と中心ゴム層103との間を、複数本の抗張体104があっても、空隙が生じないようにゴムなどの接着剤性の充填部材によって接着することにより、抗張体104が、中間ゴム層102と中心ゴム層103の間で移動して寄れることがないようにしている。
ところが、上記従来の磁性体が埋設された積層構造体100は、長時間使用して、中間ゴム層102と中心ゴム層103との間の充填部材の劣化が進展すると、中間ゴム層102と抗張体104の間と、中心ゴム層103と抗張体104の間の、いずれか一方若しくは両方が剥離する現象が発生してしまうものであつた。この現象のことを、以下、層間剥離と称することとする。
上記中間ゴム層102と中心ゴム層103との間の充填部材の劣化が進展して層間剥離の長さ(以下、層間剥離長と称する)Lが長くなると、図10の(a)、(b)に示すように、中間ゴム層102と中心ゴム層103の間に大きな空隙105ができ、この空隙105内を抗張体104が移動してその抗張体104が寄れるために、中心ゴム層103が外方に向かって膨らんで膨出部103Aを形成したり、複数本の抗張体104同士が接触したりするようになって、中心ゴム層103の外周面(背面)の異常摩耗及び抗張体104の破断が生じていた。
なお、ここで、寄れとは、複数本の抗張体104が、中間ゴム層102と中心ゴム層103の間で移動して、部分的に片寄って配設された状態になることをいう。
そこで、従来は、中心ゴム層103の摩耗状況の診断をする場合には、磁性体が埋設された積層構造体100をガイドから取り外して、中心ゴム層103の外周面(背面)を目視で確認するようにしていた。また、抗張体104の破断の有無を診断する場合には、抗張体104の破断部からの漏洩磁束を検出することで抗張体104の破断の有無を検出するようにしたものが知られていた(例えば、特許文献1を参照)。
また、複数本の抗張体104が中間ゴム層102と中心ゴム層103の間で移動して寄れている状況を診断する場合には、抗張体104の寄れに伴う磁束変化を検出することで、その寄れの状態を判定するようにしたもの(例えば、特許文献2を参照)や、X線透視画像により磁性体が埋設された積層構造体100内の抗張体104の状態を判定するようにしたものが知られていた(例えば、特許文献3を参照)。
特開平6−316394号公報(段落番号0005〜段落番号0007、図1) 特開平2002−80185号公報(段落番号0042〜段落番号0055、図6〜図8) 特開平10−10060号公報(段落番号0012及び段落番号0016、図10〜図11)
上述した特開平6−316394号公報に記載の損傷検出装置では、磁性体が埋設された積層構造体内の抗張体の破断の有無を診断することができるが、抗張体が破断になる以前に生じるところの層間剥離の有無及びその層間剥離の進展状態を診断することができなかった。また、特開平2002−80185号公報に記載の異常診断装置及び特開平10−10060号公報に記載のX線探傷装置では、磁性体が埋設された積層構造体内の抗張体の寄れの状態を診断することができるが、その寄れの状態になる以前に生じるところの層間剥離の有無及びその層間剥離の進展状態を診断することができなかった。
本発明は、上述した従来技術における実状からなされたもので、その目的は、磁性体が埋設された積層構造体内における抗張体との間に生じる層間剥離の有無及びその層間剥離の進展状態を診断することのできる磁性体が埋設された積層構造体の劣化診断方法及びその方法に用いられる劣化診断装置を提供するにある。
上記目的を達成するために、本発明の磁性体が埋設された積層構造体の劣化診断方法は、磁性体が埋設された積層構造体の外部より磁界を印加することで、抗張体として磁性体が埋設された積層構造体内の磁性体を励振させた後、この励振させることによって磁性体が埋設された積層構造体内の層間剥離部分で発生する音響の特徴周波数を検出し、この特徴周波数の発生で、層間剥離を検知し、磁性体が埋設された積層構造体内の劣化を判定することを特徴とする。
また、本発明の磁性体が埋設された積層構造体の劣化診断方法は、磁性体が埋設された積層構造体の外部より磁界を印加することで、磁性体が埋設された積層構造体内の抗張体を励振させた後、その励振させることによって磁性体が埋設された積層構造体内の層間剥離部分で発生する音響の特徴周波数を検出し、この特徴周波数の発生継続時間の長さを測定すると共に、その発生継続時間の長さを基に換算して得られる層間剥離長と予め設定した判定閾値とを比較することにより、磁性体が埋設された積層構造体内の劣化進展状況を判定するようにしたことを特徴とする。
また、本発明の磁性体が埋設された積層構造体の劣化診断方法は、前記発生継続時間の長さを基に換算して得られる層間剥離長が前記判定閾値に満たない長さとして判定された2個の層間剥離同士間の距離が、予め設定させた限界距離よりも小さい若しくは限界距離LSに等しい場合には、その2個の層間剥離を同一の層間剥離と判定することを特徴とする。
また、本発明の磁性体が埋設された積層構造体の劣化診断方法は、磁性体が埋設された積層構造体の外部より磁界を印加する場合、磁性体が埋設された積層構造体の上面上方から隙間を隔てて抗張体として磁性体が埋設された積層構造体内の抗張体に磁界を印加させてその抗張体を励振させるようにしたことを特徴とする。
また、本発明の磁性体が埋設された積層構造体の劣化診断装置は、磁性体が埋設された積層構造体の外部より磁界を印加することで磁性体が埋設された積層構造体内の磁性体を励振させて音響を発生させる音響発生手段と、この音響発生手段により発生した音響のうち、磁性体が埋設された積層構造体内の層間剥離部分で発生する音響の特徴周波数を検出する検出手段とを少なくとも具備し、前記特徴周波数の発生で、層間剥離を検知し、磁性体が埋設された積層構造体内の劣化を判定する構成にしたことを特徴する。
また、本発明の磁性体が埋設された積層構造体の劣化診断装置は、磁性体が埋設された積層構造体の外部より磁界を印加することで磁性体が埋設された積層構造体内の磁性体を励振させて音響を発生させる音響発生手段と、この音響発生手段により発生した音響のうち、磁性体が埋設された積層構造体内の層間剥離部分で発生する音響の特徴周波数を検出する検出手段とを少なくとも具備し、前記検出手段で検知した特徴周波数の発生継続時間の長さを測定すると共に、その発生継続時間の長さを基に換算して得られる層間剥離長と予め設定した判定閾値とを比較することにより、磁性体が埋設された積層構造体内の劣化進展状況を判定する構成にしたことを特徴とする。
本発明によれば、層間剥離の有無及びその層間剥離の進展状態を簡単に確認し得る磁性体が埋設された積層構造体の劣化診断方法が得られた。また、本発明によれば、層間剥離の有無及びその層間剥離の進展状態を診断し得る磁性体が埋設された積層構造体の劣化診断装置が得られた。
以下、本発明に磁性体が埋設された積層構造体の劣化診断方法の一実施形態を図1〜図7に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係わる磁性体が埋設された積層構造体の劣化診断方法に用いられる劣化診断装置の概略構造説明図である。図2は、本発明の一実施形態に係わる磁性体が埋設された積層構造体の劣化診断方法の説明図である。図3は、本発明の一実施形態に係わる磁性体が埋設された積層構造体の劣化診断方法により得られた音響の音圧と周波数との特性図(音圧スペクトル図)である。図4は、本発明の一実施形態に係わる磁性体が埋設された積層構造体の劣化診断方法により得られる磁性体が埋設された積層構造体一周分の音圧推移特性図(音圧波形図)である。図5の(a)(b)は、本発明の一実施形態に係わる磁性体が埋設された積層構造体の層間剥離状況を示し、(a)は、層間剥離部分が2箇所できた状態の要部構造説明図であり、(b)は、2箇所にできた層間剥離部分が繋がった状態の要部構造説明である。図6は、本発明の一実施形態に係わる磁性体が埋設された積層構造体の劣化診断方法において、層間剥離同士間の距離を、層間剥離の長さと判定する条件を説明する図である。図7は、本発明の一実施形態に係わる磁性体が埋設された積層構造体の劣化診断方法に用いられる劣化進展度と劣化内容と判定閾値の関係を示す図である。
図1において、本発明の一実施形態に係わる磁性体が埋設された積層構造体1の劣化診断方法に用いられる劣化診断装置2は、音響発生手段3と、検出手段4と、これら音響発生手段3及び検出手段4を収納したケース5とを、少なくとも具備している。音響発生手段3は、図1に示すように、鉄心6と、この鉄心6に巻き付けたコイル7とを、少なくとも備えており、コイル7に100Vの交流電源8を接続してコイル7に交流電流を流すことで、磁性体が埋設された積層構造体1内の複数本の抗張体10に交番磁界9を印加させることにより、複数本の抗張体10を、矢印Pのように、励振させて音響を発生させる機能を少なくとも有している。
図1に示す検出手段4は、音響発生手段3により発生した音響のうち、磁性体が埋設された積層構造体1内の層間剥離部分で発生する音響の特徴周波数F(2200〜2800Hz)を検出する音響センサー11を、少なくとも具備しており、検知した特徴周波数Fの発生継続時間の長さTを測定すると共に、その測定した発生継続時間の長さTを基に換算して得られる層間剥離長Lと予め設定した後述する判定閾値H0〜H5と比較することにより、磁性体が埋設された積層構造体1内の劣化進展状況(後述する劣化進展度0〜5)を判定する機能を有している。
本発明の一実施形態に係わる磁性体が埋設された積層構造体1は、例えば、モーターとプーリを連結するベルト等として使用される。前記、磁性体が埋設された積層構造体1は、ゴム材からなる表面帆布層1Aとゴム材からなる中間ゴム層1Bとゴム材からなる中心ゴム層1Cとを積層させると共に、その中間ゴム層1Bと中心ゴム層1Cとの間に、磁性体であるスチールコードからなる複数本の抗張体10を均等に配設する構造としてある。複数本の抗張体10は、磁性体が埋設された積層構造体1の長手方向に沿って並行に配設させてある。しかも、磁性体が埋設された積層構造体1は、表面帆布層1Aと中間ゴム層1Bとの間を、空隙が生じないようにゴムなどの接着剤で接着すると共に、中間ゴム層1Bと中心ゴム層1Cとの間を、複数本の抗張体10があっても、空隙が生じないようにゴムなどの接着剤性の充填部材で接着することで、抗張体10が中間ゴム層1Bと中心ゴム層1Cとの間で移動して寄れることがないようにしてある(図1を参照)。
磁性体が埋設された積層構造体1は、抗張体10と中間ゴム層1B若しくは中心ゴム層1Cとの間に層間剥離が生じていない場合には、劣化診断装置1により、抗張体10を励振させるようにしても、その抗張体10が振動しないので、抗張体10の振動による音響を発生させないが、抗張体10と中間ゴム層1B若しくは中心ゴム層1Cとの間に層間剥離が生じている場合には、抗張体10が振動してその抗張体10の振動部分が中間ゴム層1B及び中心ゴム層1Cに衝突(接触)して音響を発生させる。
劣化診断装置2は、図2に示すように、磁性体が埋設された積層構造体1の上面上方に、約10mmの隙間Gを隔てて保持させ、かつ、磁性体が埋設された積層構造体1内の複数本の抗張体10に交番磁界9を印加させた状態で、磁性体が埋設された積層構造体1を、矢印Q方向に一定速度で一周回転させて、磁性体が埋設された積層構造体1の抗張体10の振動に基づき発生するところの音響の発生箇所及びその音響の発生継続時間を、検出手段4で測定することにより、層間剥離の発生箇所及び層間剥離の長さを判定するようにしたものである。
すなわち、音響発生手段3により磁性体が埋設された積層構造体1内の抗張体10を励振させると、磁性体が埋設された積層構造体1内に層間剥離がある場合には、その層間剥離部分に位置する抗張体10の部分が振動して中間ゴム層1B及び中心ゴム層1Cに衝突(接触)して音響を発生させる。したがって、その音響の特徴周波数F(2200〜2800H)の有無を、図3に示すように、音響の音圧と周波数との特性図(音圧スペクトル図)を作成して確認することにより、層間剥離の有無を確認することができる。
さらに、磁性体が埋設された積層構造体1の抗張体10の振動に基づき発生するところの層間剥離の発生箇所及び長さは、音響発生手段3により磁性体が埋設された積層構造体1内の抗張体10を励振させつつ磁性体が埋設された積層構造体1を一定速度で一周させながら、磁性体が埋設された積層構造体1内の層間剥離部分で発生する音響を、音響センサー11で検出して、図4に示す音圧推移特性図(音圧波形図)を作成することによって、確認することができる。すなわち、図4において、音圧閾値Cを越えている部分X1、X2、X3が、層間剥離の発生箇所を表していると共に、音圧閾値Cを越えている部分X1、X2、X3の横幅が、発生継続時間の長さT1、T2、T3を表している。
この発生継続時間の長さT1、T2、T3を基に換算することで、層間剥離の各発生箇所の層間剥離長L1、L2、L3を得ることができる。そして、これら層間剥離長L1、L2、L3のうち、一番長い層間剥離長(最大層間剥離長)と、後述する判定閾値H0〜H5とを比較することにより、磁性体が埋設された積層構造体1内の劣化進展状況を判定することができる。
磁性体が埋設された積層構造体1内の劣化進展状況を判定する場合、発生継続時間の長さT1、T2、T3を基に換算して得られる層間剥離長T1、T2、T3が判定閾値H0〜H5に満たない長さとして判定された2個の層間剥離同士間の距離LKが、予め設定させた限界距離LSよりも小さい若しくは限界距離LSに等しい場合には、2個の層間剥離を同一の層間剥離とみなして判定するようにしている。その理由を、図5の(a)(b)及び図6に基づき、次に、説明する。
磁性体が埋設された積層構造体1内の劣化に伴い、図5の(a)に示すように、磁性体が埋設された積層構造体1内には2個の層間剥離部B1、B2が磁性体が埋設された積層構造体1の長手方向に並んで発生し、その後、磁性体が埋設された積層構造体1内の劣化がさらに進むと、図5の(b)に示すように、層間剥離部B1と層間剥離部B2とが繋がって層間剥離部B3となる。したがって、層間剥離部B1と層間剥離部B2との間が近いと、層間剥離部B1及び層間剥離部B2の層間剥離長LM、LNが短くても、短時間で長い層間剥離長LGが形成される層間剥離部B0となってしまう。
そこで、図6に示すように、層間剥離部B1と層間剥離部B2との間の距離LKが、予め設定させた限界距離LSよりも小さい若しくは限界距離LSに等しい場合には、層間剥離部B1と層間剥離部B2とを同一の層間剥離とみなして劣化判定すると共に、層間剥離部B1と層間剥離部B2との間の距離LKが予め設定させた限界距離LSより大きい場合には、層間剥離部B1と層間剥離部B2をそれぞれ別個の層間剥離とみなして劣化判定する機能を、劣化診断装置2に持たせることで、より実際の劣化進展状況に見合った判定ができるようにしている。
本発明の一実施形態に係わる磁性体が埋設された積層構造体1の劣化進展状況の判定は、劣化進展度0〜5の6段階で行われる。それら劣化進展度0〜5の劣化内容とそれら劣化進展度0〜5を判定するための判定閾値H0〜H5との関係を、図7に基づいて説明する。
劣化進展度0の場合は、図7の劣化内容の欄に示すように、「劣化なし」として、層間剥離の長さの判定閾値をH0とする。劣化進展度1の場合は、図7の劣化内容の欄に示すように、「抗張体10を拘束する充填部材が劣化して亀裂が発生している」として、層間剥離の長さの判定閾値をH1とする。劣化進展度2の場合は、図7の劣化内容の欄に示すように、「磁性体が埋設された積層構造体1の抗張体10と中間ゴム層1B若しくは中心ゴム層1Cとの間に空隙1Dができて層間剥離が進展中」として、層間剥離の長さの判定閾値をH2とする。劣化進展度3の場合は、図7の劣化内容の欄に示すように、「磁性体が埋設された積層構造体1の抗張体10と中間ゴム層1B若しくは中心ゴム層1Cとの間に発生した層間剥離が磁性体が埋設された積層構造体1の長手方向に大きく進展している」として、層間剥離の長さの判定閾値をH3とする。劣化進展度4の場合は、図7の劣化内容の欄に示すように、「抗張体10が、中間ゴム層1Bと中心ゴム層1Cの間にできた層間剥離による空隙1D内を移動して寄れている」として、層間剥離の長さの判定閾値をH4とする。劣化進展度5の場合は、図7の劣化内容の欄に示すように、「中心ゴム層1Cに膨出部が発生したり、複数本の抗張体10同士のフレッティング摩耗が発生したりしている」として、層間剥離の長さの判定閾値をH5とする。
なお、劣化進展度0〜5にそれぞれ対応する層間剥離の長さの判定閾値H0〜H5や音圧閾値C及び限界距離LSは、磁性体が埋設された積層構造体1の劣化進展実験等を行うことにより、予め設定して、劣化診断装置2に取り込めるようにしてある。
次に、本発明の一実施形態に係わる磁性体が埋設された積層構造体1の劣化診断方法を行う場合の手順を、説明する。
始めに、磁性体が埋設された積層構造体1をガイドから外すことなく、図2に示すように、ターミナル部12側に位置するところの、磁性体が埋設された積層構造体1の水平部分の上方に劣化診断装置2を設置する。その場合、磁性体が埋設された積層構造体1の上面と劣化診断装置2の下面との隙間Gが、10mm以内に保持されるように、劣化診断装置2が磁性体が埋設された積層構造体1に設置される。
次いで、劣化診断装置2のコイル7に交流電流を流して磁性体が埋設された積層構造体1内の複数本の抗張体10に交番磁界9を印加させた状態で、磁性体が埋設された積層構造体1を一定速度で一周させることにより、音響センサー11によって、磁性体が埋設された積層構造体1の抗張体10の振動に基づき発生するところの音響の発生箇所、大きさ及び発生継続時間を図4に示す音圧推移特性図のように、測定する。
次いで、図4において、測定した発生継続時間の長さT1、T2、T3を基に層間剥離の各発生箇所X1、X2、X3の層間剥離長L1、L2、L3を換算して得た後、これら層間剥離長L1、L2、L3のうち、一番長い層間剥離長L1と判定閾値H0〜H5を比較することにより、その層間剥離長L1が判定閾値H0〜H5のうちいずれの判定閾値を超えているか否かを判定することで、磁性体が埋設された積層構造体1内の劣化進展状況を判定する。例えば、層間剥離長L1が判定閾値H3を超えている場合には、図7に示すように、「磁性体が埋設された積層構造体1の抗張体10と中間ゴム層1B若しくは中心ゴム層1Cとの間に発生した層間剥離が磁性体が埋設された積層構造体1の長手方向に大きく進展している」とされて、劣化進展度3と判定される。また、層間剥離長L1が、判定閾値H2より大きく、かつ、判定閾値H3を超えていない場合には、図7に示すように、「磁性体が埋設された積層構造体1の抗張体10と中間ゴム層1B若しくは中心ゴム層1Cとの間に空隙1Dができて層間剥離が進展中」とされて、劣化進展度2と判定される。
以上のように、一実施形態に係わる磁性体が埋設された積層構造体1の劣化診断方法によれば、磁性体が埋設された積層構造体1をガイドから外すことなく、磁性体が埋設された積層構造体1内の層間剥離の有無及びその層間剥離の進展状態、すなわち、磁性体が埋設された積層構造体1内の劣化進展状況を、簡単に確認することができ、劣化診断作業を効率よく短時間で行うことを可能にする。
さらに、一実施形態に係わる磁性体が埋設された積層構造体1の劣化診断方法によれば、定期的に劣化診断作業を行うことにより、磁性体が埋設された積層構造体1の抗張体10が破断する前の状態を確認することができ、抗張体10が破断する前に修理・交換などの対策を行うことができるので、抗張体10が破断してその抗張体10が磁性体が埋設された積層構造体1の表面に飛び出すなどの事故の発生を阻止できる。
さらに、一実施形態に係わる磁性体が埋設された積層構造体1の劣化診断方法によれば、層間剥離部B1と層間剥離部B2との間の距離LKが、予め設定させた限界距離LSよりも小さい若しくは限界距離LSに等しい場合には、層間剥離部B1と層間剥離部B2とを同一の層間剥離とみなして劣化判定するので、より実際の劣化の進展状況に見合った判定を行うことができる。
なお、図4に示す音圧推移特性図(音圧波形図)は、劣化診断装置2に画像表示装置を設けて、その画像表示装置の表示画面に表示するようにしてもよいし、劣化診断装置2に印刷装置を設けて、その印刷装置で紙に印刷するようにしてもよい。
本発明の一実施形態に係わる磁性体が埋設された積層構造体の劣化診断方法に用いられる劣化診断装置の概略構造説明図である。 本発明の一実施形態に係わる磁性体が埋設された積層構造体の劣化診断方法の説明図である。 本発明の一実施形態に係わる磁性体が埋設された積層構造体の劣化診断方法により得られる音圧と周波数との特性図(音圧スペクトル図)である。 本発明の一実施形態に係わる磁性体が埋設された積層構造体の劣化診断方法により得られる磁性体が埋設された積層構造体一周分の音圧推移特性図(音圧波形図)である。 本発明の一実施形態に係わる磁性体が埋設された積層構造体の層間剥離状況を示し、(a)は、層間剥離部分が2箇所できた状態の要部断面図であり、(b)は、2箇所にできた層間剥離部分が繋がった状態の断面図である。 本発明の一実施形態に係わる磁性体が埋設された積層構造体の劣化診断方法おいて、層間剥離同士間の距離を、層間剥離の長さと判定する条件を説明する図である。 本発明の一実施形態に係わる磁性体が埋設された積層構造体の劣化診断方法に用いられる劣化進展度と劣化内容と判定閾値の関係を示す図である。 従来例に係わる磁性体が埋設された積層構造体の要部斜視図である。 従来例に係わる磁性体が埋設された積層構造体の要部拡大断面図である。 従来例に係わる磁性体が埋設された積層構造体の層間剥離状態を示し、(a)は、磁性体が埋設された積層構造体の長手方向に沿って層間剥離した部分の状態説明図であり、(b)は、磁性体が埋設された積層構造体の長手方向に対して直角方向に沿って層間剥離した部分の状態説明図である。
符号の説明
1 磁性体が埋設された積層構造体
1A 表面帆布層
1B 中間ゴム層
1C 中心ゴム層
1D 層間剥離による空隙
2 劣化診断装置
3 音響発生手段
4 検出手段
5 ケース
6 鉄心
7 コイル
8 交流電源
9 交番磁界
10 抗張体
11 音響センサー
12 ターミナル部
G 隙間
F 特徴周波数
T 発生継続時間の長さ
C 音圧閾値
L 層間剥離長
H0〜H5 判定閾値
LK 層間剥離同士間の距離
LS 限界距離
X1、X2、X3 層間剥離の発生箇所
T1、T2、T3 発生継続時間の長さ
L1、L2、L3 換算して得られる層間剥離長

Claims (6)

  1. 抗張体として磁性体が埋設された積層構造体の外部より磁界を印加することで、磁性体が埋設された積層構造体内の磁性体を励振させた後、この励振させることによって磁性体が埋設された積層構造体内の層間剥離部分で発生する音響の特徴周波数を検出し、この特徴周波数の発生で、層間剥離を検知し、磁性体が埋設された積層構造体内の劣化を判定することを特徴とする磁性体が埋設された積層構造体の劣化診断方法。
  2. 磁性体が埋設された積層構造体の外部より磁界を印加することで、磁性体が埋設された積層構造体内の磁性体を励振させた後、この励振させることによって磁性体が埋設された積層構造体内の層間剥離部分で発生する音響の特徴周波数を検出し、この特徴周波数の発生継続時間の長さを測定すると共に、その発生継続時間の長さを基に換算して得られる層間剥離長と予め設定した判定閾値とを比較することにより、磁性体が埋設された積層構造体内の劣化進展状況を判定することを特徴とする磁性体が埋設された積層構造体の劣化診断方法。
  3. 前記発生継続時間の長さを基に換算して得られる層間剥離長が前記判定閾値に満たない長さとして判定された2個の層間剥離同士間の距離が、予め設定させた限界距離よりも小さい若しくは限界距離に等しい場合には、その2個の層間剥離を同一の層間剥離と判定することを特徴とする請求項2記載の磁性体が埋設された積層構造体の劣化診断方法。
  4. 磁性体が埋設された積層構造体の外部より磁界を印加する場合、磁性体が埋設された積層構造体の上面上方から隙間を隔てて磁性体が埋設された積層構造体の抗張体に磁界を印加させたことを特徴とする請求項1もしくは2記載の磁性体が埋設された積層構造体の劣化診断方法。
  5. 磁性体が埋設された積層構造体の外部より磁界を印加することで磁性体が埋設された積層構造体内の磁性体を励振させて音響を発生させる音響発生手段と、この音響発生手段により発生した音響のうち、磁性体が埋設された積層構造体内の層間剥離部分で発生する音響の特徴周波数を検出する検出手段とを少なくとも具備し、前記特徴周波数の発生で、層間剥離を検知し、磁性体が埋設された積層構造体内の劣化を判定する構成にしたことを特徴する磁性体が埋設された積層構造体の劣化診断装置。
  6. 磁性体が埋設された積層構造体の外部より磁界を印加することで磁性体が埋設された積層構造体内の抗張体を励振させて音響を発生させる音響発生手段と、この音響発生手段により発生した音響のうち、磁性体が埋設された積層構造体内の層間剥離部分で発生する音響の特徴周波数を検出する検出手段とを少なくとも具備し、前記検出手段で検知した特徴周波数の発生継続時間の長さを測定すると共に、その発生継続時間の長さを基に換算して得られる層間剥離長と予め設定した判定閾値とを比較することにより、磁性体が埋設された積層構造体内の劣化進展状況を判定する構成にしたことを特徴とする磁性体が埋設された積層構造体の劣化診断装置。
JP2004326704A 2004-07-15 2004-11-10 磁性体が埋設された積層構造体の劣化診断方法及び劣化診断装置 Active JP4399342B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004326704A JP4399342B2 (ja) 2004-07-15 2004-11-10 磁性体が埋設された積層構造体の劣化診断方法及び劣化診断装置

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004208680 2004-07-15
JP2004326704A JP4399342B2 (ja) 2004-07-15 2004-11-10 磁性体が埋設された積層構造体の劣化診断方法及び劣化診断装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006053119A JP2006053119A (ja) 2006-02-23
JP4399342B2 true JP4399342B2 (ja) 2010-01-13

Family

ID=36030692

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004326704A Active JP4399342B2 (ja) 2004-07-15 2004-11-10 磁性体が埋設された積層構造体の劣化診断方法及び劣化診断装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4399342B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101083205B1 (ko) 2009-02-20 2011-11-11 고려대학교 산학협력단 3층막구조의 합성 페리자성체로 이루어진 나노구조 셀의 열적 안정성 계수 측정 방법
WO2016003553A1 (en) * 2014-07-02 2016-01-07 Schlumberger Canada Limited Magnetic property characterization of motor lamination material
JP5942059B1 (ja) * 2016-03-15 2016-06-29 株式会社エッチアンドビーシステム 非破壊検査方法、及び非破壊検査装置

Family Cites Families (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS543754B2 (ja) * 1974-05-11 1979-02-26
JPH04190174A (ja) * 1990-11-22 1992-07-08 Showa Electric Wire & Cable Co Ltd 線状体の素線損傷検出装置
JP3186326B2 (ja) * 1993-05-07 2001-07-11 株式会社日立ビルシステム エスカレータハンドレールの損傷検出器
JPH08278287A (ja) * 1995-04-05 1996-10-22 Babcock Hitachi Kk 鋼材熱履歴診断方法及び診断装置
JP3547260B2 (ja) * 1996-06-27 2004-07-28 株式会社日立ビルシステム マンコンベア用ハンドレールのx線探傷装置
JPH1164098A (ja) * 1997-08-12 1999-03-05 Ohbayashi Corp 積層ゴムの品質管理システム
JPH1164099A (ja) * 1997-08-12 1999-03-05 Ohbayashi Corp 積層ゴムの品質管理方法
JP3705960B2 (ja) * 1999-07-09 2005-10-12 四国エックス線株式会社 多層部材の検査方法
JP2002080185A (ja) * 2000-07-03 2002-03-19 Hitachi Building Systems Co Ltd ハンドレール用スチールコードの異常診断方法、異常診断装置および異常検出装置
WO2002040959A1 (fr) * 2000-11-17 2002-05-23 Amic Co.,Ltd. Dispositif et procede de mesure et de diagnostic acoustiques au moyen d'une force electromagnetique pulsee
JP4436744B2 (ja) * 2003-10-22 2010-03-24 株式会社日立ビルシステム 積層帯の診断方法
JP2006008385A (ja) * 2004-06-29 2006-01-12 Hitachi Building Systems Co Ltd エスカレーターハンドレールの劣化診断方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2006053119A (ja) 2006-02-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2008214037A (ja) エレベータのワイヤロープ検査装置及びロープ外径測定方法
EP2958844B1 (en) Elevator cord health monitoring
TWI489105B (zh) 鋼索的檢查設備、以及鋼索的損傷判定設備、方法及程式
JP2005154042A (ja) エレベータ用ワイヤロープ探傷装置
US11505430B2 (en) Method and arrangement for condition monitoring of a rope of a hoisting apparatus
WO2015068322A1 (ja) エレベータ診断装置
EP1439262A2 (en) Rope and method for detecting damage thereof
JP4399342B2 (ja) 磁性体が埋設された積層構造体の劣化診断方法及び劣化診断装置
JP5377769B2 (ja) エレベータ用ロープ
JP2008081306A (ja) エレベーター
JP2010014659A (ja) ワイヤーロープの探傷装置
Schlanbusch et al. Condition monitoring technologies for steel wire ropes–a review
JP2009227363A (ja) チェーン張力測定装置及び乗客コンベアのチェーン張力測定方法
JP2006242628A (ja) 磁性体から成る抗張体を埋設した積層帯の劣化診断方法
JP2007271607A (ja) 異常検出装置
JP2009155020A (ja) ロープ走行点検装置およびそれを備えるロープ破断検出装置
JP2006008385A (ja) エスカレーターハンドレールの劣化診断方法
JP6419305B2 (ja) 電動機の絶縁検査装置および電動機の絶縁検査方法
JP2002348068A (ja) エレベータのロープ診断装置
JP2007115512A (ja) 燃料電池の診断方法および当該診断方法を実施するための手段を備えた燃料電池システム
JP2017171485A (ja) 移動手摺り劣化診断装置および移動手摺り劣化診断方法、並びにこれらに用いられる位置特定目印
JP2009300250A (ja) 励磁巻線の検査方法
JPH06316394A (ja) エスカレータハンドレールの損傷検出器
JP4436744B2 (ja) 積層帯の診断方法
JP2006298510A (ja) エスカレーターハンドレールの劣化診断方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070226

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090929

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20091013

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20091026

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121030

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4399342

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121030

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151030

Year of fee payment: 6

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350