JP4397650B2 - 熱伝導シート及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電子部品等の発熱体からの放熱を促すため、その発熱体に対して接触するように配置して使用される熱伝導シート、及びその製造方法に関する。
従来より、シリコーンゴムやEPDM等のゴムに熱伝導フィラーを充填し、混練・成形してなる熱伝導シートが考えられている(例えば、特許文献1参照)。この種の熱伝導シートは、電気・電子装置の内部において、例えば、発熱源となる電子部品と、放熱板や筐体パネル等といったヒートシンクとなる部品(以下、単にヒートシンクという)との間に介在させるように配置して使用される。このように熱伝導シートを配置した場合、電子部品等が発生する熱をヒートシンク側へ良好に逃がすことができる。このため、この種の熱伝導シートは、例えばCPUの高速化等のために不可欠な素材として注目を集めている。また、白金材料等のように難燃性を付与する機能を有するものを熱伝導フィラーとして使用した場合、熱伝導シートに難燃性を付与して、上記電気・電子装置の安全性を向上させることができる。
特開平2−16135号公報
この種の熱伝導シートでは、熱伝導性を向上させるために一層多量の熱伝導フィラーを充填することが望まれる。しかしながら、一定量のゴムに充填可能な熱伝導フィラーの量には限界があり、同じ物質を用いている限りは熱伝導シートの熱伝導性をある一定値以上に向上させることができなかった。そこで、本発明は、熱伝導フィラーを多量に充填することによって熱伝導性を良好に向上させた熱伝導シート、及びその熱伝導シートの製造方法を提供することを目的としてなされた。特に、請求項1〜記載の発明は、熱伝導フィラーを高度に充填してもシートの機械的強度(特に引き裂き強度)を良好に確保することを目的としてなされた。
上記目的を達するためになされた請求項1記載の発明は、流動性を有するシリコーンゴムに熱伝導フィラーを充填し、混練・成形してなる熱伝導シートであって、上記シリコーンゴムに対して3〜20wt%の硬化遅延剤を上記熱伝導フィラーと共に上記シリコーンゴムに配合して、混練してシート状に成形した後、特定の面を下方に向けて硬化させることによって上記熱伝導フィラーを上記特定の面側に沈殿させ粘着力を低下させたことを特徴とする。
本願出願人は、流動性を有するシリコーンゴムに熱伝導フィラーを充填し、混練・成形して熱伝導シートを製造するに当たり、硬化遅延剤を3〜20wt%(通常のシリコーンゴムで一般に使用される量の約100倍)使用することによりハンドリング性,タック性,及び折れに対する特性が向上することを発見した。また、このように多量の硬化遅延剤を使用した場合、シートの引き裂き強度も良好に向上することが分かった。
また、硬化遅延剤を前述のように多量に使用すると熱伝導シートの硬化が大幅に遅延される。このため、上記硬化遅延剤を熱伝導フィラーと共にシリコーンゴムに配合して混練してシート状に成形した後、特定の面を下方に向けて硬化させれば、熱伝導フィラーは上記特定の面側に沈殿する。すると、上記特定の面はその反対面に比べて粘着力が低下する。
この場合、上記特定の面またはその反対面を電子部品等に被着することにより電子部品等とヒートシンクとの間に熱伝導シートを配設した後、上記電子部品等をヒートシンクから引き剥がしたとき、熱伝導シートが電子部品またはヒートシンクの所望の側に必ず付着するようにすることができる。また、熱伝導シートの両面にPETフィルム等を被着して使用時に剥がすようにした場合、PETフィルム等は必ず上記特定の面の側から剥がすことができる。なお、本発明及び次の請求項記載の発明でいう硬化とは、ある程度の弾性を有するゴム状態となる場合も含む。
請求項記載の発明は、流動性を有するシリコーンゴムに熱伝導フィラーを充填し、混練・成形して熱伝導シートを製造する熱伝導シートの製造方法であって、上記熱伝導フィラーと共に3〜20wt%の硬化遅延剤をシリコーンゴムに配合して混練してシート状に成形した後、特定の面を下方に向けて硬化させることを特徴とする。
このように、本発明では、流動性を有するシリコーンゴムに熱伝導フィラーを充填し、混練・成形して熱伝導シートを製造するに当たって、熱伝導フィラーと共に3〜20wt%の硬化遅延剤をシリコーンゴムに配合して混練してシート状に成形した後、特定の面を下方に向けて硬化させている。このため、熱伝導フィラーは上記特定の面側に沈殿し、その特定の面の粘着力が低下する。
請求項1記載の発明の熱伝導シートは、シリコーンゴムに対して3〜20wt%の硬化遅延剤が配合されているので、ハンドリング性,タック性,及び折れに対する特性が良好であると共に、良好な引き裂き強度を有している。従って、本発明の熱伝導シートを電子部品等に配設したり電子部品等から引き剥がしたりする作業も極めて容易となり、従来0.5mmのシートには必要であったがガラスクロス等も必要ではない。
また、本発明では、上記効果に加えて、電子部品等への着脱やPETフィルム等の剥離を一層容易とすることができるといった効果が生じる。
請求項記載の発明では、面によって粘着力が異なる熱伝導シートを容易に製造することができるといった効果が生じる。このため、請求項1に関連して説明したように、本発明の方法で製造された熱伝導シートは電子部品等への着脱やPETフィルム等の剥離が容易で、引き裂き強度にも優れている。
次に、本発明の実施の形態を説明する。本実施の形態では、以下の製造方法により熱伝導シートを製造した。
すなわち、液状シリコーンゴム100重量部と、熱伝導フィラーとしての炭化ケイ素(SiC)400重量部とを混合することにより、シリコーンゴムに熱伝導フィラーを充填した。上記混合の方法としては、真空脱泡ミキサー等の機械を用いて混練する方法の他、押し出し,2本ロール,ニーダ,バンバリーミキサー等の種々の方法を適用することができる。この内、ミキサーを使用して混練する場合、作業性が向上する点で望ましい。また、上記炭化ケイ素としては、大小2種類の平均粒径を有するもの(例えば、平均粒径50〜100μmのものと平均粒径10μm以下のもの)を混合して用いた。
続いて、このように炭化ケイ素を混練した液状シリコーンゴムを成形した。この成形の方法としては、コーター,カレンダロール,押し出し,プレス等の機械を用いて成形する方法等、種々の方法を適用することができる。この内、コーターを用いて成形する場合、薄いフィルムの作製が簡単にできる、生産性がよいため大量生産に向いている、フィルムの厚み精度が出し易い、といった点で望ましい。
このようにして製造された熱伝導シートでは、前述のように炭化ケイ素を80wt%以上も混合しているにも拘わらず、その炭化ケイ素を液状シリコーンゴムに良好に充填することができた。この理由は未だ不明な点もあるが、本願出願人は、大小2種類の平均粒径を有する熱伝導フィラーを混合してシリコーンゴムに充填すると、極めて高い充填性が得られることを発見しており、本実施の形態でも大小2種類の炭化ケイ素を混合して用いたためと考えられる。
本実施の形態では、このように、炭化ケイ素を80wt%以上充填しているので、その炭化ケイ素によって熱伝導シートに極めて良好な熱伝導性及び難燃性が与えられ、難燃助剤を添加する必要がない。しかも、炭化ケイ素は、同じく難燃性を付与する機能を有する白金材料等の熱伝導性フィラーに比べて安価である。従って、上記実施の形態では、熱伝導シートの熱伝導性及び難燃性を良好に向上させると共に、その製造コストを極めて良好に低減することができる。
また、本実施の形態では、大小2種類の炭化ケイ素を用いているので、1種類の粒子を用いる場合に比べて充填後のシリコーンゴムが低粘度となり、粒子が逃げる隙間があるため、混練時における撹拌機羽等の摩耗量も低減することができた。従って、製造を容易にすると共に製造コストを一層低減することができた。なお、上記大小2種類の炭化ケイ素の組み合わせとしては、平均粒径50〜100μmのものと平均粒径10μm以下のものとを、重量比1:1〜3:1の割合で混合し、熱伝導フィラーとすることが望ましい。
更に、炭化ケイ素は研磨用のセラミックスであり、焼結用等の一般的なセラミックスに比べて、極めてシャープな粒度分布を有する。例えば、焼結用セラミックス(商品名:ウルトラデンシックDU、製造元:昭和電工、主成分:SiC、平均粒径:3.2μm)は、図5に示すように幅広い粒度分布を有するのに対して、研磨用セラミックス(商品名:デンシックGC、製造元:昭和電工、主成分:SiC、平均粒径:5μm)は、図4に示すように極めてシャープな粒度分布を有している。なお、研磨用セラミックスとしては、GC#2500(商品名、製造元:太平洋ランダム)やET#2500(商品名、製造元:ワッカーケミカルESアジア)も同様の特性を示す。
このため、大小2種類の粒子を混合することによって生じる上記効果が、一層顕著に表れる。すなわち、多量の熱伝導フィラーを一層良好に充填することができ、こうして得られた熱伝導シートが一層良好な熱伝導性を有すると共に、その製造を一層容易にし、製造コストを一層良好に低減することができる。しかも、本実施の形態では、シリコーンゴムと炭化ケイ素とを組み合わせて用いているので、廃棄処理する材にシリコーン成分が少なく、焼却処分がし易くなる。
更に、上記研磨用セラミックスは粉砕型であるため造粒型のものに比べて極めて安価である。従って、熱伝導シートの製造コストを一層低減することができる。ここで、粉砕型の研磨用セラミックスは、図6(A),(B)の顕微鏡写真に示すように多面体状の粒形を有するため、これを熱伝導フィラーとして用いた場合には熱伝導フィラー同士の接触点が少なくなって従来は充分な熱伝導性が得られなかった。このため、従来は、比較的高価な造粒型の熱伝導フィラーを使用せざるを得なかった。これに対して、本実施の形態では前述のように大小2種類の粒子を混合しているので、大きな粒子の隙間を小さな粒子が埋め、多面体状の粉砕型セラミックスを熱伝導フィラーとして用いてもその熱伝導フィラー同士の接触点を良好に確保することができる。このため、安価な粉砕型の研磨用セラミックスを熱伝導フィラーとして用いても良好な熱伝導性を得ることができる。
次に、上記実施の形態の熱伝導シートを、炭化ケイ素の平均粒径や、大粒径と小粒径との混合比等を種々に変更して製造し、その特性を調査した。なお、液状シリコーンゴムとしては、「CY52−276」(商品名、製造元:東レ・ダウ)を使用し、炭化ケイ素としては「デンシックGC」(商品名、製造元:昭和電工)を使用した。また、前述のように混練した液状シリコーンゴムには、120℃,12分,t=2mmの加硫条件で加硫を施して成形した。各種粒径及び混合比等に対応する実施例の特性を、以下の表1〜表4に示す。
表1は、大粒径の炭化ケイ素と小粒径の炭化ケイ素との混合比を3:2に固定すると共に、それら炭化ケイ素を合計したシリコーンゴムに対する充填量(フィラー充填量)を81.4wt%に固定した上で、大粒径の炭化ケイ素及び小粒径の炭化ケイ素のそれぞれの平均粒径の比を種々に変更してその特性を調査したものである。表1に示すように、上記平均粒径の比を10:1程度に設定した場合に極めて良好な成形性が得られ、特に、100μmまたは90μmのものと5〜10μmのものとを混合した場合、最も優れた熱伝導性及び成形性が得られた。
なお、表1における熱伝導率(括弧内の数値:単位W/m・K)は、熱線法を応用して測定する機械QTM−500(商品名:京都電子製)によって測定した。測定に当たっては、シートサイズが100×50×2mmの試料に一定電力を与え続けると共に、ヒータ線の温度上昇を記録し、その温度勾配から試料の熱伝導率を測定した。また、後述の他の表についても同様に熱伝導率を測定した。
また、混合される炭化ケイ素の平均粒径によって上記のような特性の相違が生じる理由は、次のように考えられる。先ず、熱伝導性については、粒径が大きな粒子を使用した方が、熱的に絶縁物に属する樹脂との接触数が少なくなるためと考えられる。成形性については、粒径が大きなものほど、比表面積が小さいため粒子を覆う樹脂量が少なくて済み、コンポジットが低粘度なためと考えられる。
表2は、平均粒径90μmの炭化ケイ素と平均粒径5μm炭化ケイ素とに対し、その混合比を種々に変更してその特性を調査したものである。表2に示すように、大粒径:小粒径の混合比を3:2に設定した場合、最も優れた熱伝導性,柔軟性,及び成形性が得られた。なお、表2以降における熱伝導性及び硬度の単位は表1と同様である。
炭化ケイ素の混合比によってこのような特性の相違が生じる理由は、次のように考えられる。先ず、熱伝導性については、大きな粒子の隙間を埋める粒子の数が減ると熱伝導率が低下するためと考えられる。柔軟性については、大きな粒子に対して小さな粒子が多すぎても少なすぎても、柔軟性を損なうためと考えられる。更に、成形性については、大きな粒子に対して小さな粒子が多すぎても少なすぎても、コンポジットの粘度が大きくなり成形性が悪くなってしまうためと考えられる。
表3は、平均粒径90μmの炭化ケイ素と平均粒径5μmの炭化ケイ素とを3:2で混合した熱伝導性フィラーを、その充填量を種々に変更して充填し(2粒子系)、平均粒径30〜60μmの炭化ケイ素のみを用いた1粒子系とで充填性を比較したものである。表3に示すように、前述のように大小2種類の平均粒径を有するものを混合して使用したことにより、2粒子系では極めて良好に充填性が向上している。そして、1粒子系では、上記表1,表2に示したような80%以上の充填量を達成することは困難であった。
また、表3に示すように、炭化ケイ素の充填量が増加するに伴って熱伝導シートの熱伝導率が向上している。ここで、炭化ケイ素の充填量が同じであっても、2粒子系の方が1粒子系よりも優れた熱伝導率を呈しているが、これは、次のような理由によるものと考えられる。すなわち、1粒子系では、大きな粒子のみの充填となり、どうしても隙間が空いてしまう。一方、2粒子系では、大きな粒子の隙間を小さな粒子が埋めるために、熱伝導率が向上するのである。
表4は、平均粒径90μmの炭化ケイ素と平均粒径5μmの炭化ケイ素とを3:2で混合した熱伝導性フィラーを、81.5wt%の充填量で充填した試料に対し、シリコーンゴムへの硬化遅延剤(アセチルアルコール類、マレイン酸エステル類)の配合を種々に変更してその特性を比較したものである。表4に示すように、硬化遅延剤の量が多くなるにつれて、ハンドリング性は良好になるがタック性や折れに対する特性が悪化する。本実施例では、硬化遅延剤を3〜20wt%とした配合が最適であることが判る。これは、通常のシリコーンゴムで一般的に採用される約0.025wt%の配合に比べて多くなっている。
更に、このように多量の硬化遅延剤を配合した場合、ロールを用いた成形機によって熱伝導シートを成形すると一層顕著な効果が生じる。図7は、この種の成形機51の構成を概略的に表す説明図である。図7に示すように、この成形機51では、装置の上方に巻回保持されたPETフィルム91がロール53,55を介して搬送され、装置の下方に巻回保持されたPETフィルム93がロール57,59を介して搬送される。ロール55とロール59とは熱伝導シートの厚さに対応した隙間を開けて対向配置され、その間に搬送されるPETフィルム93の上には材料タンク61に設けられた材料注入口63から熱伝導シートの材料95(上記シリコーンゴム及び熱伝導フィラーを硬化遅延剤を配合して混練したもの)が供給される。
すると、この材料95はロール55,59の間にPETフィルム91,93を介して挟まれることによってシート状に成形される。続いて、この材料95は、材料乾燥を行う常温の第1ゾーン71,加硫を行う第2ゾーン73,同じく加硫を行う第3ゾーン75,及び,更に同じく加硫を行う第4ゾーン77を経て搬送される。この間、材料95は特定の面(PETフィルム93が貼着された面)を下方に向けたまま略水平に搬送される。
なお、成形機51では、第1ゾーン71の長さを2mとし、第2ゾーン73,第3ゾーン75,及び第4ゾーン77を合わせた長さを8mとした。材料95はPETフィルム91,93と共に第1ゾーン71〜第4ゾーン77を毎分約1mの速度で搬送されるので、材料95の上記特定面は加硫が終了するまでの間約10分間下方に向けられることになる。また、本実施例では、PETフィルム91の厚さを100μm、PETフィルム93の厚さを50μmとした。
本実施例では、硬化遅延剤を前述のように多量に使用しているので、このように材料95の特定面を下方に向けて加硫による硬化を行うと、硬化するまでの間に熱伝導フィラーが上記特定面側に沈殿する。すると、この特定面はその反対面に比べて粘着力が低下し、次のような種々の効果が生じる。
材料95が硬化して形成された熱伝導シートを使用する際、PETフィルム91,93をがすが、この場合、粘着力の弱い上記特定面側に被着されたPETフィルム93の側からがすことができる。また、この傾向はPETフィルム93をPETフィルム91よりも薄肉に構成したことによって一層顕著になる。
更に、上記特定の面またはその反対面を電子部品等に被着することにより、電子部品等とヒートシンクとの間に上記熱伝導シートを配置して使用してから上記電子部品等をヒートシンクから引き剥がすとき、熱伝導シートが電子部品またはヒートシンクの所望の側に必ず付着するようにすることができる。従って、電子部品等への着脱やPETフィルム等の剥離を一層容易とすることができる。また更に、硬化遅延剤を多量に使用することにより、前述のようにハンドリング性,タック性,及び折れに対する特性が向上するのみならず、引き裂き強度も向上する。従って、本実施例では、熱伝導シートを電子部品等に配設したり電子部品等から引き剥がしたりする作業が一層容易となる。特に、0.5mmなどの薄膜であってもガラスクロス等を用いる必要がなくなるため、低コスト化、低熱抵抗化が図れる。なお、このように熱伝導フィラーを熱伝導シートの片面に沈殿させるためには、プレス等の方法を用いてもよい。但し、上記ローラによる成型法はプレス等に比べてコスト的に有利である。
以上説明したように、本実施例の熱伝導シートは、良好な熱伝導率及び成形性を有すると共に、撹拌機羽等の摩耗量も低減することができる。このため、上記製造方法によって熱伝導シートを製造すれば、良好な熱伝導率を有する熱伝導シートを容易に製造することができる。更に、上記熱伝導シートは、炭化ケイ素の特性により、良好な難燃性を有している。
なお、上記実施例において、シリコーンゴムとしてTSE3065(商品名、製造元:東芝シリコーン)を使用しても同様の結果が得られる。また、本発明は上記実施の形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施することができる。例えば、熱伝導フィラーとしてはSiC以外にも種々のものを使用することができ、研磨用のセラミックスでなくてもよい。また、ゴムとしては、EPDM等の有機合成ゴムを適用することもできる。
更に、ゴムとしては、本願出願人が特願2000−166173号で提案したように、成形後においても30℃〜65℃で可塑化するオレフィン系樹脂(例えば、分子量7000〜50000の未加硫EPDM)を使用してもよい。
この場合、常温(20℃前後)で使用する場合には熱伝導シートが適度な硬さを有し、手等にくっつくことがないので熱伝導シートを電子部品等の近傍に配置する作業が容易である。一方、電子部品等の温度が上昇して例えば30℃〜60℃になった場合には、熱伝導シートが可塑化し、接触する相手の電子部品の表面形状に追従して柔軟に変形するため、電子部品から効率よく熱を奪うことができる。また、電子部品のOFFによりその電子部品の温度が常温に低下すれば、熱伝導シートが前述のように適度な硬さを有するので、電子部品から本発明をがす作業も容易となる。従って、この場合、電子部品等への着脱を一層容易にすると共にその電子部品等から一層効率よく熱を奪うことができる。
本発明に関連した発明の原理を概略的に表す説明図である。 その原理の内、粒径に関して更に詳細に表す説明図である。 その原理の内、外圧に関して更に詳細に表す説明図である。 研磨用セラミックスの粒度分布を表すグラフである。 焼結用セラミックスの粒度分布を表すグラフである。 研磨用セラミックスの粒形を表す顕微鏡写真である。 ロールを用いた成形機の構成を概略的に表す説明図である。
1,2…粒子 51…成形機 53,55,57,59…ロール
91,93…PETフィルム 95…材料

Claims (2)

  1. 流動性を有するシリコーンゴムに熱伝導フィラーを充填し、混練・成形してなる熱伝導シートであって、
    上記シリコーンゴムに対して3〜20wt%の硬化遅延剤を上記熱伝導フィラーと共に上記シリコーンゴムに配合して、混練してシート状に成形した後、特定の面を下方に向けて硬化させることによって上記熱伝導フィラーを上記特定の面側に沈殿させ粘着力を低下させたことを特徴とする熱伝導シート。
  2. 流動性を有するシリコーンゴムに熱伝導フィラーを充填し、混練・成形して熱伝導シートを製造する熱伝導シートの製造方法であって、
    上記熱伝導フィラーと共に3〜20wt%の硬化遅延剤をシリコーンゴムに配合して混練してシート状に成形した後、特定の面を下方に向けて硬化させることを特徴とする熱伝導シートの製造方法
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