JP4397184B2 - 演算回路装置および磁性体記憶装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、薄膜磁性体素子を利用する回路装置に関し、特に、高速演算機能を実現し、かつ演算結果を不揮発的に記憶する演算回路装置およびそのための記憶素子の構成に関する。
【0002】
【従来の技術】
不揮発的にデータを記憶する集積化された記憶装置として、MRAM(マグネティック・ランダム・アクセス・メモリ)が知られている。このMRAMにおいては、データを記憶するために、磁性体薄膜が利用される。メモリセル構造としては、MTJ(マグネティック・トンネル・ジャンクション;磁気トンネル接合)を利用するMTJセルと、TMR(トンネル・マグネト・レジスタンス;トンネル磁気抵抗)効果を利用するTMRセルがある。
【0003】
MTJセルにおいては、データ記憶部に、一定方向の固定磁化方向を有する固定磁気層と、トンネルバリア絶縁膜を介して固定磁気層と対向して配置され、その磁化方向が書込データに応じて設定される自由磁気層とが設けられる。磁気トンネル接合部の電気抵抗値が、固定磁気層と自由磁気層との間の磁化方向の相対関係に応じて変化する。具体的に、固定磁気層の磁化方向と自由磁気層の磁化方向とが同一の場合には、両者の磁化方向が異なる場合に比べてその電気的抵抗が小さくなる。したがって、データ読出時、MTJセルを流れる電流の大きさを検知することにより、記憶データを読出すことができる。
【0004】
データ書込時においては、MTJセルにおいて、通常、書込ワード線(デジット線)に一定方向の電流を流し、また、ビット線に書込データに応じた方向に電流を流す。これらの書込ワード線電流およびビット線電流が誘起する磁界により、自由磁気層の磁化方向が設定される。通常、書込ワード線およびビット線は、直交する方向に配置され、これらの直交磁界の合成磁界により、自由磁気層の磁化方向が決定される。
【0005】
TMRセルのデータ記憶部においては、反強磁性体層により形成される一定の方向の固定磁界を有する固定磁気層と、書込データに応じてその磁化方向が設定される自由磁気層と、これらの固定磁気層および自由磁気層の間に形成されるトンネルバリア絶縁膜とが設けられる。このTMRセルにおいても、データ記憶部の電気的抵抗値が、MTJセルの場合と同様、自由磁気層および固定磁気層の磁化方向の相対関係に従って設定される。したがって、このTMRセルにおいても、データ読出時、TMRセルを介して流れる電流の大きさを検知することにより記憶データの読出を行なうことができる。データ書込時においては、ビット線および書込ワード線を流れる電流が誘起する磁界により、自由磁気層の磁化方向を設定する。
【0006】
このような磁気抵抗効果を利用するメモリセルの構成は、たとえば特許文献1(特開2002−260377号公報)および非特許文献(ISSCC Digest of Technical Papers pp.128−129、およびSlide Supplement pp.94−95および409−410、Feb.2000に示されている。
【0007】
これらの特許文献1および非特許文献1に示されるメモリセルは、2個の可変磁気抵抗素子と2個の読出トランジスタで構成され、相補データを記憶しまた、読み出すことにより、動作マージンを向上させることを図る。
【0008】
【特許文献1】
特開2002−260377号公報
【0009】
【非特許文献】
ISSCC Digest of Technical Papers pp.128−129、およびSlide Supplement pp.94−95および409−410、Feb.2000
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
TMRセルおよびMTJセルいずれにおいても、データ書込時、ビット線および書込ワード線(デジット線)に書込データに応じて電流(書込電流)を流す。この書込電流の大きさは、予め固定的に定められており、2値データ“0”および“1”に応じて、メモリセルの自由磁気層の磁化方向が設定される。
【0011】
書込データは、MRAM外部から与えられ、MRAM自身は、不揮発的にデータを記憶する能力はあるものの、書込みデータに対して演算処理を施す演算能力は何ら有していない。
【0012】
また、MRAMセルは、データ記憶部の磁性体素子のサイズをMOSトランジスタ(絶縁ゲート型電界効果トランジスタ)よりも小さくすることができるため、そのサイズを小さくすることができ、高密度でメモリセルを配置することが可能である。しかしながら、メモリセルを高密度に配置した場合、メモリセル間の距離が短くなり、磁気ディスターバンスの問題が生じる。すなわち、データ書込時、選択メモリセルへ印加される磁界のリーク磁界が非選択隣接メモリセルへ印加され、この非選択隣接メモリセルの記憶データが書換えられるという問題が生じる。
【0013】
また、MRAMへ与えられるデータは、固定データではなく、演算処理されたデータである場合がある。演算処理装置においては、通常、MOSトランジスタを用いる論理ゲート回路などが配置される。アナログ演算処理を実行する場合には、演算増幅器などのアナログ演算回路が配置される。このような演算処理装置の占有面積は大きい。また、ゲート遅延などにより処理時間の高速化には限界がある。また、処理結果を記憶するためには、演算処理装置と別の部分に設けられた記憶装置へ処理結果データを転送して格納する必要があり、このデータ転送に要する時間のために、処理システムの性能が低下する。
【0014】
前述の特許文献1および非特許文献1に示される構成では、相補ビット線に磁気抵抗素子が結合されて、相補データの書込および読出が実行される。しかしながら、メモリセルの構成としては、各ビット線に対して1可変磁気抵抗素子/1トランジスタのメモリ素子が配置されており、微細化時に、隣接非選択メモリセルにおける磁気ディスターバンスの問題については考慮していない。また、単にデータを記憶する機能を備えているだけであり、演算機能については考慮されていない。
【0015】
それゆえ、この発明の目的は、高速で演算処理を行ないかつその処理結果を不揮発的に記憶することのできる小占有面積の演算回路装置およびそのためのメモリセル構造を提供することである。
【0016】
この発明の他の目的は、ノイズ耐性に優れた磁性体メモリセル構造を提供することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
この発明の第1の観点に係る演算回路装置は、演算モード時、演算データに従って電流を演算電流線に流す演算電流駆動回路と、この演算電流線に流れる電流が誘起する磁界により磁化状態が設定され、その磁化状態により情報を記憶する磁性体メモリセルとを備える。
演算データは、複数の処理データを含み、演算電流線は、メモリセルに対して物理的距離の互いに異なるそれぞれが個々の演算データに応じた電流を流す複数の電流線を含む。演算電流駆動回路は、複数の処理データに従って複数の電流線に電流を個々それぞれに供給する。
【0018】
この発明に第2の観点に係る演算回路装置は、磁性体メモリセルと、電流を流し、この電流が誘起する磁界により磁性体メモリセルの磁化状態を設定する書込電流線と、この書込電流線の電流が誘起する磁界強度と磁性体メモリセルへの書込データとの対応を重み設定信号に従って設定する重付け回路を備える。
書込データは複数ビットのデータであり、書込電流線は、互いに前記磁性体メモリセルに対する物理的な距離の異なる複数の電流線を含む。重付け回路は、複数ビットと複数の電流線との対応を変更する。
【0020】
演算データに対応する電流により誘起される磁界により磁性体メモリ素子の磁化方向を設定する。この磁性体メモリ素子に対する発生磁界は、演算データに対する演算結果を示しており、磁性体メモリ素子には、この演算結果を2値化したデータが格納される。磁性体メモリ素子の磁化反転時間は非常に短く、ns(ナノ秒)オーダ以下に設定することができる。したがって、小占有面積で演算および演算結果の記憶を行なう回路を構成することができ、また高速計算を実現することができる。また、この演算結果を不揮発的に記憶することができ、演算結果を記憶するための別の記憶装置が不要となり、またデータ転送のための時間も不用となり、システムの処理能力のシステム規模を増大させることなく向上させることができる。
【0021】
また、演算データと発生磁界との対応を重み設定信号に従って設定する事により、演算内容をダイナミックに変更することができ、演算処理の柔軟性が改善される。
【0023】
【発明の実施の形態】
[全体の構成]
図1は、この発明に従う演算回路装置の全体の構成を概略的に示す図である。図1において、演算回路装置は、与えられたデータDATAに従って、演算処理内容に応じた電流および磁界を発生し、この磁界により磁性体メモリ素子に演算結果を記憶させる演算/記憶回路1と、演算/記憶回路1の演算動作を制御する制御回路2と、データ読出時、制御回路2の制御の下に演算/記憶回路1の記憶データをラッチし、出力データPOUTを生成するラッチ回路4を含む。
【0024】
演算/記憶回路1は、演算電流線5に対応して配置される磁性体メモリセルMを含む演算回路10と、与えられたデータDATAに従って演算電流線5に演算電流Iopを供給する演算電流駆動回路20を含む。
【0025】
磁性体メモリ素子Mは、演算電流線5を介して流れる電流Iopにより誘起される磁界Hopに従って、その磁化状態が設定される。この磁性体メモリ素子Mは、TMR素子およびMTJ素子のいずれであってもよい。データDATAに従って演算電流Iopを通して磁界Hopを生成することにより、データDATAに対する演算結果が、この磁界Hopにより表わされる。磁界Hopにより、磁性体メモリ素子Mの磁化状態を設定することにより、この演算結果を2値化(しきい値処理)して不揮発的に格納することができる。
【0026】
図2は、磁性体メモリ素子のデータ書込時におけるデータ書込電流の方向とデータ書込磁界の方向との関係を示す概念図である。図2において、横軸に、磁化困難軸に沿った方向に印加される磁界Hxを示し、縦軸に、磁化容易軸方向に印加される磁界Hyを示す。演算電流線5は、後に説明するように、直交して配置される書込ワード線(デジット線)とビット線を含み、これらのデジット線およびビット線に、それぞれ、演算電流Iopを構成する書込電流が供給される。
【0027】
図2に示すように、書込ワード線(デジット線)に供給される電流が誘起する磁界H(WWL)とビット線に供給される書込電流が誘起する磁界H(BL)の合成磁界が、磁界Hopとして磁性体メモリ素子に印加される。磁性体メモリ素子の自由磁気層の磁化方向は、データ書込磁界H(WWL)およびH(BL)の合成磁界が、アステロイド特性線の外側の領域に達する場合においてのみ反転される。したがって、アステロイド特性線の内側の領域に相当するデータ書込磁界が印加された場合には、自由磁気層の磁化方向は更新されない。したがって、磁界Hopが演算結果を示しており、磁性体メモリ素子Mに、この演算結果を表わす磁界Hopをしきい値処理したデータを不揮発的に格納することができる。
【0028】
磁性体メモリ素子Mにおいて、その磁化状態反転に要する時間は、たとえばナノ秒オーダであり、極めて短時間で、演算処理に応じた演算電流Iopおよび磁界Hopを生成して、その処理結果を磁性体メモリ素子Mに格納することができ、高速演算が実現される。
【0029】
磁性体メモリ素子Mは、拡散層が不要であり、そのサイズは、MOSトランジスタに比べて十分に小さくすることができ、演算回路10の占有面積を十分に低減することができる。
【0030】
また、ラッチ回路4により、この演算回路10の磁性体メモリ素子Mの記憶データを読出してラッチすることにより、必要なタイミングで、処理結果データPOUTを用いて、次段回路において必要な処理を行なうことができる。
【0031】
[実施の形態1]
図3は、この発明の実施の形態1に従う演算回路装置の構成を示す図である。図3において、演算/記憶回路1は、それぞれが互いにその演算内容が個々に設定される演算記憶回路OPK1−IPK4を含む。これらの演算記憶回路OPK1からOPK4は、その内部構成は同一であるため、図3においては、演算記憶回路OPK1の構成を代表的に示す。演算記憶回路OPK1からOPK4は、それぞれ、個々にその演算内容が設定されて個々に演算処理を行なえば良く、その演算内容が同一であっても、処理データの種類に応じて、これらの演算記憶回路OPK1からOPK4が別々に配置されてもよい。
【0032】
演算記憶回路OPK1は、ビット線BL1およびBL2とデジット線DL1およびDL2の交差部に対応して配置される磁性体メモリ素子M1およびM2を含む。これらの磁性体メモリ素子M1およびM2は、相補データを記憶する。すなわち、磁性体メモリ素子M1およびM2の一方が高抵抗状態に設定された場合には、他方は、低抵抗状態に設定される。これらの磁性体メモリ素子M1およびM2に、相補データを格納する構成については後に詳細に説明する。相補データを記憶することにより、ノイズの影響を受けることなく安定にデータを記憶しまた、安定にデータを読み出すことができる。
【0033】
デジット線DL1およびDL2は、メインデジット線DLMに結合される。このメインデジット線DLMは、データDAと演算活性化信号CALCを受けるゲート回路G1により駆動される。ビット線BL1,BL2とデジット線DLM,DL1,DL2が、図1に示す演算電流線5に対応する。
【0034】
磁性体メモリ素子M1およびM2は、その一方電極(例えば、自由磁気層側)がビット線BL1およびBL2にそれぞれ結合され、他方電極側(例えば、固定磁気層電極側)が、ソース選択トランジスタRSを介して接地ノードに結合される。
【0035】
ソース選択トランジスタRSは、そのゲートに選択信号SEL1を受け、データ読出時に、磁性対メモリ素子M1およびM2に電流が流れる経路を形成する。データ書込時には、ビット線BL1およびBL2を流れる書込電流が磁性対メモリ素子M1およびM2を介して分流するのを防止するため、ソース選択トランジスタRSはオフ状態に設定される。
【0036】
データ書込時にビット線BL1およびBL2に電流を供給するために、左側書込電流駆動回路LWCKと右側書込電流駆動回路RWCKが設けられる。左側書込電流駆動回路LWCKは、演算活性化信号CALCとデータDBを受けるANDゲートG2と、演算活性化信号CALCと補のデータ/DBを受けるANDゲートG3と、これらのANDゲートG2およびG3の出力信号に従って、ビット線BL1を電源ノードまたは接地ノードに結合するプログラムバッファPB1を含む。
【0037】
プログラムバッファPB1は、ANDゲートG2の出力信号がHレベル(論理ハイレベル)のときに導通し、ビット線BL1に電流を供給するNチャネルMOSトランジスタT1と、ANDゲートG3の出力信号がHレベルのとき導通し、ビット線BL1から接地ノードへ電流を放電するNチャネルMOSトランジスタT2を含む。
【0038】
右側書込電流駆動回路RWCKは、演算活性化信号CALCと補のデータ/DBを受けるANDゲートG4と、データDBと演算活性化信号CALCを受けるANDゲートG5と、これらのANDゲートG4およびG5の出力信号に従ってビット線BL2を充電または放電するプログラムバッファPB2を含む。
【0039】
プログラムバッファPB2は、ANDゲートG4の出力信号がHレベルのときに導通し、ビット線BL2に電流を供給するNチャネルMOSトランジスタT3と、ANDゲートG5の出力信号がHレベルのときに導通し、ビット線BL2から接地ノードへ電流を放電するNチャネルMOSトランジスタT4を含む。
【0040】
プログラムバッファPB1およびPB2へは、動作電源電圧VCCMが供給され、この電圧VCCMを発生する回路の駆動電流量は、変更可能である。
【0041】
データ書込時、ビット線BL1およびBL2へ、電源ノードから接地ノードへ連続的に電流を流すために、ビット線BL1およびBL2の間にトランスミッションゲートTM1が設けられる。このトランスミッションゲートTM1は、演算活性化信号CALCと電源投入検出信号/POR1を受けるORゲートG5の出力信号とこのORゲートG5の出力信号を受けるインバータIV1の出力信号とにより、その導通/非導通が制御される。
【0042】
演算活性化信号CALCは、演算記憶回路OPK1において演算処理を行なう場合に活性化される(Hレベルに設定される)。電源投入検出信号/POR1は、ラッチ回路4における電源投入時、Hレベルに設定され、このラッチ回路4の電圧が安定化するとLレベルに設定される(これは、データ転送/読出時に実行される)。
【0043】
演算処理を行なう場合には、演算活性化信号CALCがHレベルであるため、トランスミッションゲートTM1は導通状態にあり、書込電流駆動回路LWCKおよびRWCKにより、データDBおよび/DBに従ってビット線BL1およびBL2に電流が流れる。データDBがHレベルのときには、プログラムバッファPB1においてMOSトランジスタT1が導通し、プログラムバッファPB2においてMOSトランジスタT4が導通するため、電源ノードからビット線BL1およびBL2を介して接地ノードへ電流が流れる。逆に、データDBがLレベルのときには補のデータ/DBがHレベルであり、プログラムバッファPB1においてMOSトランジスタT2がオン状態、プログラムバッファPB2においてMOSトランジスタT3がオン状態であり、電源ノードからビット線BL2およびBL1を介して接地ノードに電流が流れる。したがって、データDBの論理値により、これらのビット線BL1およびBL2を流れる電流の方向を設定することができる。
【0044】
ビット線BL1およびBL2へ電流を流す場合、一例として、ビット線BL1およびBL2を折返しビット線構成に配置することにより、ビット線BL1およびBL2に逆方向に電流を流すことができ、応じて磁性体メモリ素子M1およびM2に相補データを格納することができる。
【0045】
演算記憶回路OPK1は、さらに、選択信号SEL1に従ってビット線BL1およびBL2をラッチ回路4に結合する選択ゲートTG1を含む。
【0046】
ラッチ回路4は、演算記憶回路OPK1からOPK4に共通に設けられる。ラッチ回路4は、ラッチ回路電源ノードとノードNEの間に接続されかつそのゲートに電源制御信号PROを受けるPチャネルMOSトランジスタT9と、ノードNEとノードNAの間に接続されかつそのゲートがノードNBに接続されるPチャネルMOSトランジスタT5と、ノードNAとノードNCの間に接続されかつそのゲートがノードNBに接続されるNチャネルMOSトランジスタT6と、ノードNEとノードNBの間に接続されかつそのゲートがノードNAに接続されるPチャネルMOSトランジスタT7と、ノードNBとノードNDの間に接続されかつそのゲートがノードNAに接続されるNチャネルMOSトランジスタT8を含む。
【0047】
電源制御信号PROは、このラッチ回路4において、選択された演算記憶回路の記憶データをラッチするときに活性状態(Lレベル)に設定される。ノードNCおよびノードNDは、演算記憶回路OPK1からOPK4に含まれる選択ゲートTG1に共通に結合される。
【0048】
ラッチ回路4は、さらに、ラッチ回路電源投入検出信号POR1を受けるインバータIV2と、電源投入検出信号POR1とインバータIV2の出力信号に従って選択的に導通してノードNAおよびNBを短絡するトランスミッションゲートTM2と、遅延電源投入検出信号POR1Dとプリチャージ指示信号/PRGとを受けるANDゲートG6と、ANDゲートG6の出力する読出活性化信号RENに従ってノードNAおよびNBを出力ノードに結合して出力データPOおよび/POを生成するトランスファーゲートTXaおよびTXbを含む。トランスファーゲートTXaおよびTXbは、一例として、NチャネルMOSトランジスタで構成される。
【0049】
プリチャージ指示信号/PRGは、データ読出モード時にHレベルに設定され、それ以外のときにはLレベルに設定される。電源投入検出信号POR1は、このラッチ回路4に対する電源電圧VCCLが投入されて、安定化したときに、Hレベルとなる。遅延電源投入検出信号POR1Dは、この電源投入検出信号POR1を所定時間遅延した信号であり、データ読出時、ノードNAおよびNBのラッチデータが安定化した後に活性化されてトランスファーゲートTXaおよびTXbを導通状態に設定して、ノードNAおよびNBのラッチデータを出力する。出力データPOおよび/POが、図1に示すラッチデータPOUTに対応する。次に、この図3に示す演算回路装置の動作について説明する。
【0050】
図4は、スタンバイ状態時(非動作状態)におけるラッチ回路4および演算記憶回路OPK1の内部状態を示す図である。図4において、スタンバイ状態においては、ラッチ回路4において、電源制御信号PROはHレベルであり、MOSトランジスタT9がオフ状態に設定され、ノードNEが、ラッチ回路電源ノードから分離される。ラッチ回路4に対して電源電圧VCCLは、スタンバイ状態時においては供給されているため、電源投入検出信号POR1は、Hレベルであり、トランスミッションゲートTM2はオフ状態にある。
【0051】
一方、このスタンバイ状態時においてはプリチャージ指示信号/PRGがLレベルに設定され、ANDゲートG6からの読出活性化信号RENはLレベルであり、トランスファーゲートTXaおよびTXbがオフ状態にある。このラッチ回路4において、ノードNAおよびNBがフローティング状態となり、先の演算時に読出されたデータに対応した電圧レベルに維持される(または放電されている)。
【0052】
ノードNAおよびNBが、スタンバイ状態時にフローティング状態となるのを防止するために、電源制御信号PROを活性状態(Lレベル)に設定してノードNEをラッチ回路の電源ノードに接続し、また、ノードNCおよびNDを、プリチャージ指示信号/PRGに従って接地電圧レベルに固定してもよい。この構成の場合、MOSトランジスタT5からT8によりCMOSインバータが構成され、ノードNAおよびNBには、前のサイクルにおいて転送された相補データがラッチされる。
【0053】
演算記憶回路OPK1においては、スタンバイ状態時において、選択ゲートTG1は、選択信号SEL1が非活性状態であり非導通状態にある。また、演算活性化信号CALCがLレベルであり、また電源投入検出信号/POR1がLレベルであるため(ラッチ回路4に対する電源電圧VCCLは安定化している)ため、ORゲートG5の出力信号がLレベルである。したがって、トランスミッションゲートTM1はオフ状態であり、ビット線BL1およびBL2は分離される。また、演算活性化信号CALCが非活性状態にあるため、プログラムバッファPB1およびPB2は出力ハイインピーダンス状態となり、ビット線BL1およびBL2への電流供給は停止される。
【0054】
磁性体メモリ素子M1およびM2には、先の演算時に生成された相補データを記憶する状態に設定される。図4においては、磁性体メモリ素子M1が低抵抗状態Rminに設定され、磁性体メモリ素子M2が高抵抗状態Rmaxに設定される状態を一例として示す。
【0055】
図4においては、明確には示していないが、ビット線BL1およびBL2がスタンバイ時にフローティング状態となるのを防止するために、演算活性化信号CALCの非活性化時ビット線BL1およびBL2を接地ノードに結合するプリチャージ素子が設けられる。このビット線BL1およびBL2のプリチャージは、プログラムバッファPB1およびPB2により、行なわれるように構成されてもよい。たとえば、左側書込電流駆動回路LWCKにおいて、ANDゲートG3を、データDBと演算活性化信号CALCを受けるNANDゲートで置換する。同様、右側書込電流駆動回路RWCKにおいてANDゲートG5を、演算活性化信号CALCとデータ/DBを受けるNANDゲートで置換する。これにより、ビット線BL1およびBL2を、プログラムバッファPB1およびPB2により、それぞれ接地電圧レベルにプリチャージすることができる。
【0056】
磁性体メモリ素子M1およびM2のソース線は、ソース選択トランジスタRSがオフ状態であり、ソース線は図示しないプリチャージ素子により接地電圧レベルに設定される。これに代えて、ソース選択トランジスタRSをスタンバイ時にオン状態として、ソース線を、接地ノードに結合しても良い。ビット線BL1およびBL2を接地電圧レベルにプリチャージすることにより、これらの磁性体メモリ素子M1およびM2において電流が流れるのを防止することができる。
【0057】
また、演算活性化信号CALCが非活性状態であるため、メインデジット線DLMは、ANDゲートG1により接地電圧レベルに維持され、デジット線DL1およびDL2には電流は流れない。
【0058】
また、ビット線BL1およびBL2とソース線は電源電圧レベルにプリチャージされてもよい。ソース線とビット線とが同一電圧レベルにプリチャージされることにより、磁性体メモリ素子M1およびM2を介して電流が流れるのを防止することが出来る。
【0059】
したがって、スタンバイ状態時においては、このラッチ回路4および演算記憶回路OPK1においては電流はすべて遮断されている。
【0060】
図5は、演算記憶回路OPK1における演算動作時のラッチ回路および演算記憶回路の内部状態の一例を示す図である。ラッチ回路4においては、スタンバイ状態時と同様、トランスミッションゲートTM2およびトランスファーゲートゲートTXaおよびTXbがオフ状態にある。この演算動作時においては、電源制御信号PROは活性状態および非活性状態のいずれに設定されてもよく、MOSトランジスタT9は、オン状態およびオフ状態のいずれの状態に設定されてもよい。MOSトランジスタT9がオン状態に設定されている場合には、ノードNAおよびNBには、前の演算時における転送データが保持されている。演算記憶回路OPK1においては選択ゲートTG1が選択信号SEL1に従ってオフ状態にあるため、このラッチ回路4のノードNAおよびNBの状態は、この演算処理に影響を及ぼさない。
【0061】
演算動作時においては、演算活性化信号CALCが活性状態へ駆動され、ORゲートG5の出力信号がHレベルとなり、トランスミッションゲートTM1がオン状態となり、ビット線BL1およびBL2が結合される。データDAが“0”(Lレベル)のときにはANDゲートG1の出力信号はLレベルであり、デジット線DL1およびDL2には電流は流れない。この状態では、データDBおよび/DBにより、ビット線BL1およびBL2に電流が流れても、このデジット線DL1およびDL2とビット線BL1およびBL2それぞれが誘起する磁界の合成磁界Hでは、磁性体メモリ素子M1およびM2の磁化状態は変化しない。
【0062】
データDAが“1”(Hレベル)のときには、デジット線DL1およびDL2へ、ANDゲートG1を介して電流が流れる。左側書込電流駆動回路LWCKおよび右側書込電流駆動回路RWCKの駆動するビット線書込電流の方向は、データDBにより決定される。図5においては、一例として、データDBが“0”の場合のプログラムバッファPB1およびPB2におけるMOSトランジスタT1−T4の状態を示す。データDBが“0”のときには、MOSトランジスタT3およびT2がオン状態となり、ビット線BL2からビット線BL1へ電流が流れる。
【0063】
ビット線BL2およびBL1それぞれを介して流れる電流により誘起される磁界(ビット線書込磁界)とデジット線DL1およびDL2それぞれを流れる電流により誘起される磁界(デジット線書込磁界)のそれぞれの合成磁界により、磁性体メモリ素子M1およびM2の磁化状態が反転する。図5に示すように、プリチャージ状態時(スタンバイ時)において高抵抗状態およびRmaxおよび低抵抗状態Rminに設定されていた磁性体メモリ素子M1およびM2は、それぞれ、低抵抗状態RminおよびRmaxに設定される。
【0064】
データDAが“1”のときには、データDBに従って磁性体メモリ素子M1およびM2に相補データが書込まれ、データDAが“0”のときには、磁性体メモリ素子M1およびM2の状態は変化しない。また、たとえば、データDAおよびDBがともに“1”のときに、磁性体メモリ素子M1およびM2によりデータ“1”が記憶され、データDAまたはDBが“0”のときに、磁性体メモリ素子M1およびM2により、データ“0”が記憶される場合、データDAおよびDBの論理積結果を、これらの磁性体メモリ素子M1およびM2により記憶することができる。
【0065】
図6は、図3に示す記憶保持回路OPK1の記憶データ読出時の動作を示す信号波形図である。以下、図6を参照して、図3に示す演算回路装置の演算結果の読出動作について説明する。
【0066】
演算結果データ読出は、3つの動作状態を含む。1つめは、記憶保持回路に格納されたデータをラッチ回路において読出を開始する読出状態であり、2つめは、この読出状態により読出されたデータを増幅する増幅状態であり、3つめは、増幅結果を出力する出力状態である。
【0067】
読出動作開始前においては、この演算回路装置はスタンバイ状態にある。ラッチ回路4に対する電源電圧VCCLの供給は、読出動作前に停止されており、電源投入検出信号POR1は、Lレベルである。また、電源制御信号PROはHレベルである。したがって、図3に示すラッチ回路4のMOSトランジスタT9はオフ状態にある。
【0068】
演算結果読出モードに入ると、まず、電源制御信号PROをHレベルからLレベルに駆動し、またプリチャージ指示信号/PRGをLレベルからHレベルに立上げる。また、演算記憶回路OPK1の演算結果データを読出す場合、選択信号SEL1をHレベルに設定する。この読出動作開始時におけるトランジスタの状態を図7に示す。この図7に示すように、演算記憶回路OPK1においては、演算活性化信号CALCはLレベルであり、プログラムバッファPB1およびPB2のMOSトランジスタT1からT4は、すべてオフ状態にある。一方、電源投入検出信号/POR1は、電源制御信号PORの立下がりに応答してHレベルとなり、トランスミッションゲートTM1がオン状態となり、ビット線BL1およびBL2が結合される。このとき、ビット線BL1およびBL2に対して設けられている図示しないプリチャージ素子は、非活性状態に維持される。
【0069】
選択信号SEL1がHレベルに設定されるため、磁性体メモリ素子M1およびM2が、選択ゲートTG1を介して、ラッチ回路4のノードNCおよびNDに結合される。また、ソース選択トランジスタRSがオン状態となり、磁性体メモリ素子M1およびM2のソース線が接地電圧レベルに維持される。
【0070】
ラッチ回路4においては、遅延電源投入検出信号POR1DがLレベルであるため、トランスファーゲートTXaおよびTXbはオフ状態にある。一方、電源投入検出信号POR1がLレベルであるため、トランスミッションゲートTM2がオン状態であり、ノードNAおよびNBが短絡される。
【0071】
この状態で、ラッチ回路4に対し電源を投入し、電源電圧VCCLの電圧レベルを上昇させる。この電源電圧VCCLの電圧レベルの上昇に従って、電流がノードNAおよびNBを介してビット線BL1およびBL2へ供給される。この場合、トランスミッションゲートTM1およびTM2がともにオン状態であるため、ノードNAおよびNBの電圧レベルが同じであり、またノードNCおよびNDの電圧レベルも同じであり、同一速度でこれらのノードNA−NDの電圧レベルが上昇する。
【0072】
この読出期間を設けて、ラッチ回路4のラッチノードNAおよびNBの電圧レベルを短絡して同一速度で上昇させることにより、ラッチ回路4が誤ったラッチ状態に入るのを防止する。このラッチ回路4のノードNAおよびNBの電圧レベルが上昇し、読出状態期間が完了すると、次に、図8に内部状態を示す増幅状態期間に入る。
【0073】
この増幅状態期間において、ラッチ回路4の電源電圧VCCLの電圧レベルが所定値以上に到達すると、電源投入検出信号POR1がLレベルからHレベルに立上がり、応じて補の電源投入検出信号/POR1がHレベルからLレベルに立下がる。この状態においては、図8に各トランジスタの状態を示すように、ラッチ回路4においてトランスミッションゲートTM2がオフ状態となり、また演算記憶回路OPK1において、トランスミッションゲートTM1がオフ状態となる。これにより、ビット線BL1およびBL2の短絡が停止し、またラッチ回路4におけるノードNAおよびNBの短絡が停止する。
【0074】
磁性体メモリ素子M1およびM2には、相補データが格納されており、一方が高抵抗状態、他方が低抵抗状態である。図8において、磁性体メモリ素子M1が低抵抗状態Rminに設定され、磁性体メモリ素子M2が高抵抗状態Rmaxに設定される状態が示される。この場合、ラッチ回路4から供給される電流は、低抵抗状態Rminの磁性体メモリ素子M1を介して多く流れ、高抵抗状態Rmaxの磁性体メモリ素子M2を介しては、電流はあまり流れない。したがって、ノードNCの電圧レベルが、ノードNDよりも速く低下し、応じてノードNAの電圧レベルがノードNBよりも低下する。
【0075】
ノードNAおよびNBの電位差が、MOSトランジスタT5からT8によるインバータラッチによりラッチされ、ノードNAおよびNBの電圧レベルは、一方がHレベル、他方がLレベルに設定される。図8に示すようにメモリ素子M1およびM2が、それぞれ低抵抗状態Rminおよび高抵抗状態Rmaxに設定されている場合には、ノードNAがLレベル、ノードNBがHレベルに設定される。
【0076】
このラッチノードNAおよびNBの電位が確定すると、次に、このラッチデータを出力する出力状態が始まる。この場合、遅延電源投入検出信号POR1DがHレベルとなり、ゲート回路G6からの読出活性化信号RENがHレベルとなり、トランスファーゲートTXaおよびTXbがオフ状態からオン状態へ移行し、ラッチノードNAおよびNBにラッチされたデータ信号が、出力信号POおよび/POとして出力される。
【0077】
図9は、この発明の実施の形態1における電源投入検出信号POR1および/POR1を発生する回路の構成の一例を概略的に示す図である。図9において、電源投入検出信号発生部は、ラッチ回路4の電源電圧VCCLの投入を検出するPOR回路30と、電源電圧VCCを動作電源電圧として受け、POR回路30からの電源投入検出信号POR1と電源制御信号PROを受けて補の電源投入検出信号/POR1を発生するNOR回路32を含む。電源電圧VCCは、ラッチ回路4の電源電圧VCCLと別系統で与えられる電源電圧である。
【0078】
POR回路30は、このラッチ回路の電源電圧VCCLを動作電源電圧として受け、たとえば容量素子の容量結合により、ラッチ回路電源電圧VCCLの電圧レベルを検出し、その検出結果に基づいてラッチ回路電源投入検出信号POR1を生成する。
【0079】
この図9に示す電源投入検出信号発生部においては、演算記憶回路の記憶データ読出時、電源投入検出信号POR1をLレベルに設定し、このとき補の電源投入検出信号/POR1を、電源制御信号PROに従ってHレベルに設定する。その後、電源投入検出信号POR1がHレベルとなると、補の電源投入検出信号/POR1をLレベルに設定する。これにより、ラッチ回路4における読出状態および増幅状態に応じて、電源投入検出信号POR1および/POR1の論理レベルを設定することができる。
【0080】
演算モード時においては、電源制御信号PROをHレベルに設定して電源投入検出信号/POR1をLレベルに維持する。演算時においてはビット線の短絡を演算活性化信号CALCに従って実行し、データ読出時においては、ビット線短絡を電源投入検出信号/PORに従って実行する。
【0081】
[変更例]
図10は、この発明の実施の形態1の変更例の構成を示す図である。この図10に示す構成においては、演算記憶回路OPK(OPK1−OPK4)において、ビット線BL(BL1,BL2)を駆動するプログラムバッファPB(PB1,PB2)に対する動作電流量を調整する重付け回路35が設けられる。重付け回路35は、電源ノードとノードNFとの間に結合されて一定の電流を供給する定電流源CRSと、ノードNFと接地ノードの間に直列に接続され、それぞれ抵抗接続されるNチャネルMOSトランジスタT10からT14と、MORトランジスタT11からT13と並列にそれぞれ接続されるスイッチング素子SW1からSW3を含む。これらのスイッチング素子SW1からSW3は、それぞれスイッチ制御信号S1からS3により、その導通/非導通が制御される。
【0082】
重付け回路35は、さらに、電源ノードとプログラムバッファPBの電源ノードの間に接続されかつそのゲートがノードNFに接続されるNチャネルMOSトランジスタT15を含む。このプログラムバッファPBの電源ノードに電圧VCCMが生成され、プログラムバッファPBの動作時、ビット線BLに、このMOSトランジスタT15を介して流れる電流が書込み電流として流れる。MOSトランジスタT15の駆動電流量は、ノードNFの電圧Vrefにより決定される。
【0083】
MOSトランジスタT15は、1つの演算記憶回路OPK(OPK1からOPK4)において配置されるプログラムバッファPB1およびPB2それぞれに対して設けられる。
【0084】
スイッチング素子SW1からSW3は、それぞれ、導通時、対応のMOSトランジスタT11からT13を短絡する。したがって、これらのスイッチング素子SW1からSW3がすべて導通状態のときには、ノードNFの電圧Vrefは、MOSトランジスタT10およびT14のチャネル抵抗と電流源CRSが駆動する電流とにより決定される電圧レベルとなる。一方、スイッチング素子SW1からSW3がすべて非導通状態のときには、ノードNFの電圧Vrefは、定電流源CRSが供給する電流とMOSトランジスタT10からT14のチャネル抵抗の総和により決定される電圧レベルとなる。
【0085】
MOSトランジスタT15は、この電圧Vrefの電圧レベルが高いときにはそのコンダクタンスが大きくなり、電源ノードから大きな電流を供給し、一方、電圧電圧Vrefの電圧レベルが低下すると、MOSトランジスタT15の駆動電流量は低下する。したがって、制御信号S1からS3を用いてスイッチング素子SW1からSW3を選択的に導通/非導通状態に設定することにより、このMOSトランジスタT15がプログラムバッファPBへ供給する電流量を、変更することができる。
【0086】
データ書込時においてビット線BL(BL1,BL2)を流れる電流(ビット線書込電流)が大きい場合には、その誘起磁界強度は強くなり、一方、ビット線書込電流が低下すると、その誘起磁界強度が低下する。磁性体メモリ素子は、このビット線BLを誘起する磁界とデジット線(図10には示さず)を流れる電流が誘起する磁界の合成磁界によりその磁化状態が設定される。したがって、ビット線書込電流が誘起する磁界強度が大きくなった場合、磁性体メモリ素子の磁化状態を、このビット線書込磁界が決定する方向に容易に設定することができ、磁性体メモリ素子の磁化状態反転のしきい値を変更することができる。
【0087】
したがって、たとえばこのスイッチ制御信号S1からS3を、処理内容に応じて変更する場合、データDBを、2値データに変えてアナログ的にその値を変化させることができ、アナログ演算処理を行なってその処理結果を磁性体メモリ素子に格納することができる。例えば、プログラムバッファPBに与えられるデータDBを“1”に設定した場合、重付け回路35の供給電流量を変更することにより、このデータ“1”を、アナログ値データ“k”に設定することができる。この場合、スイッチ制御信号S1からS3の値を調整することにより、kを、1よりも小さな値または1よりも大きな値に設定することができる。
【0088】
スイッチ制御信号S1からS3は、演算処理内容に応じて図1に示す制御回路により設定されてもよい。また、プログラムバッファPBへ与えられるデータDBの値に応じて、スイッチ制御信号S1からS3が生成されてもよい。この場合、データDBが、アナログ値を多ビット表現した多ビットデジタル値の場合、データDBとして“1”を与え、スイッチ制御信号S1からS3として、A/D変換されたデジタル値の各ビットをスイッチ制御信号として用いてもよい。
【0089】
処理データDBが、多ビットデジタルデータの場合、この重付け回路35において、スイッチ制御信号をこの多ビットデジタルデータの各ビットに対応させることにより、ビット線BLに供給される電流量を、多ビットデータに対応させることができる。従って、デジタルデータをアナログ電流量で表現するデジタル/アナログ変換処理を行なって、アナログ演算処理を行なうことができる。
【0090】
したがって、スイッチ制御信号S1からS3は、演算比較回路OPKにおいて行なわれる演算処理内容に応じて適切な態様で生成されればよい。この重付け回路35を利用することにより、演算記憶回路OPKにおいて実行することのできる演算処理内容の種類を豊富にすることができる。
【0091】
なお、この重付け回路は、デジット線をデータ書込時駆動するANDゲート(図3のゲートG1)に対して設けられてもよい。
【0092】
図11は、この発明の実施の形態1に従う演算回路装置の演算部の配置を概略的に示す図である。図11においては、演算記憶回路OPK1およびOPK2の演算部の配置を代表的に示す。ラッチ回路4に演算記憶回路OPK1からOPK4が並列に結合される。
【0093】
演算記憶回路OPK1においては、ビット線BL1およびBL2が平行に配置され、またこれらのビット線BL1およびBL2と直交する方向に、デジット線DLMaおよびDLMbが配設される。デジット線DLMaとビット線BL1およびBL2の交差部に対応して磁性体メモリ素子M1およびM2が配置される。デジット線DLMaは、図3に示すメインデジット線DLM、DL1およびDL2に対応する。
【0094】
ビット線BL1およびBL2はトランスミッションTM1を介して相互接続される。ビット線BL1に対してプログラムバッファPB1が配置され、ビット線BL2に対してプログラムバッファPB2が配置される。これらのプログラムバッファPB1およびPB2は、図3に示すプログラムバッファPB1およびPB2に対応し、各々、電源ノードと接地ノードの間に直列に接続されるNチャネルMOSトランジスタを含む。
【0095】
プログラムバッファPB1は、図3に示す構成と同様、ANDゲートG2およびG3の出力信号に従ってビット線BL1を駆動し、プログラムバッファPB2は、ANDゲートG4およびG5の出力信号に従ってビット線BL2を駆動する。これらのANDゲートG2からG4は、図3に示す構成と同じであり、それぞれ演算活性化信号CALCの活性化時能動化され、データDBまたは/DBに従って、それぞれの出力信号を生成する。
【0096】
ビット線BL1およびBL2は、選択信号SEL1に応答する選択ゲートTG1を介してラッチ回路4に結合される。
【0097】
演算記憶回路OPK2においても、ビット線BL1およびBL2が平行に配設され、これらのビット線BL1およびBL2と交差する方向にメインデジット線DLMaおよびDLMbが配設される。この演算記憶回路OPK2においても、ビット線BL1およびBL2はトランスミッションゲートTM1を介して相互接続される。演算記憶回路OPK2においては、メインデジット線DLMbとビット線BL1およびBL2の交差部に対応して磁性体メモリ素子M1およびM2が配設される。
【0098】
ビット線BL1およびBL2は、ビット線書込電流駆動回路WCKに結合される。このビット線書込電流駆動回路WCKは、演算記憶回路OPK1のコラムバッファPB1およびPB2とANDゲートG2からG4を含む構成に対応する。ビット線BL1およびBL2は、また、この演算記憶回路OPK2においても、選択信号SEL2に応答する選択ゲートTG1を介してラッチ回路4に結合される。これらの演算記憶回路OPK1およびOPK2は、並列に、図3に示すノードNCおよびNDに結合される。
【0099】
メインデジット線DLMaおよびDLMbには、それぞれ、演算記憶回路OPK1およびOPK2に対して、図3に示すANDゲートG1がそれぞれ配設される。これらのデジット線駆動用のANDゲートは、演算記憶回路OPK1からOPK4に共通の領域(デジット線の一端側)に集中的に配置される。
【0100】
演算活性化信号CALCが演算記憶回路OPK1からOPK4に対し共通に活性化されるとき、デジット線DLMaおよびDLMbに対しても、処理データに応じた電流が供給される。したがって、メモリ素子M1およびM2は、演算記憶回路OPK1およびOPK2それぞれにおいて、対応のデジット線DLM(DLMa,DLMbのいずれか)とビット線BL1およびBL2の交差部に対応して配設される。この演算活性化信号CALCは、演算記憶回路OPK1からOPK4それぞれに個々に与えられ、演算記憶回路OPK1からOPK4が個々に活性化されてもよい。この構成の場合、ビット線BL1およびBL2を流れる電流が誘起する磁界に従ってメモリ素子M1およびM2の磁化状態が決定される。
【0101】
図10に示す重付け回路35を利用する場合、対応のデジット線に電流が流れない場合においてもビット線BL1およびBL2を流れる電流が誘起する磁界により、メモリ素子M1およびM2の磁化状態が反転する場合が考えられる。したがって、演算記憶回路OPK1およびOPK2それぞれにおいて、対応のデジット線DLMa,DLMbとビット線BL1およびBL2の交差部に対応してのみ磁性体メモリ素子M1およびM2を配設する。
【0102】
演算処理動作時においては、トランスミッションゲートTM1が導通状態となる。このとき、プログラムバッファPB1およびPB2は、データDBおよび/DBに従って一方が充電動作、他方が放電動作を実行する。したがって、ビット線BL1およびBL2には、逆方向に電流が流れ、メモリ素子M1およびM2には、逆方向のビット線書込磁界が印加される。これにより、磁性体メモリ素子M1およびM2に常に、相補データを書込むことができる。磁性体メモリ素子の対を用いて相補データを記憶することにより、演算処理結果を確実に記憶する。
【0103】
この図11に示すレイアウトから明らかなように、記憶演算回路OPK1およびOPK2の構成は、通常のMRAMのアレイ部の各メモリセル列に対応して配置される構成と同様である。したがって、これらの記憶演算回路OPK1およびOPK2の占有面積は、十分小さくすることができ、小占有面積で高速で演算処理を行なう演算回路装置を実現することができる。
【0104】
また、磁性体メモリ素子M1およびM2においては、記憶データを読出すためのソース選択トランジスタを配置することが要求されるだけであり、メモリ素子構造を、1トランジスタ/1MTJ素子構成のMRAMセルと同様の構造とすることができ、MRAMセル製造工程を援用して、この発明に従う演算回路装置を実現することができる。
【0105】
以上のように、この発明の実施の形態1に従えば、演算処理データに従って磁性体メモリ素子に対する合成磁界強度を決定し、メモリ素子の記憶データを設定している。これにより、高速で演算処理を行ない、演算処理結果を不揮発的に記憶することができ、小占有面積で高速演算する演算回路装置を実現することができる。
【0106】
また、相補データをメモリ素子において記憶しており、記憶データの信頼性を向上することができる。
【0107】
また、ビット線書込電流に重みをつけることによりアナログ的な演算を実行することができ、種々の演算を実現することができる。
【0108】
[実施の形態2]
図12は、この発明の実施の形態2に従う演算回路装置の構成を示す図である。この図12においても、実施の形態1と同様、演算/記憶回路1において、4つの演算記憶回路OPK1からOPK4が設けられる。この図12に示す構成においても、演算記憶回路OPK1からOPK4は、同一構成を有するため、演算記憶回路OPK1の構成を代表的に示す。
【0109】
この図12に示す演算記憶回路1の構成は、以下の点が、図3に示す演算記憶回路1の構成と異なる。すなわち、メインデジット線DLMと平行に、追加のデジット線DLMAが配設される。この追加のメインデジット線DLMAは、デジット線DL1およびDL2と平行に配設されかつ磁性体メモリ素子M1およびM2にそれぞれ対応して配置されるデジット線DLA1およびDLA2に分岐する。デジット線DL1およびDLA1が共通に接地ノードに結合され、またデジット線DL2およびDL3も共通に接地ノードに結合される。追加のメインデジット線DLMAは、データDCと演算活性化信号CALCを受けるANDゲートGA1により駆動される。
【0110】
また、ビット線BL1およびBL2と平行に追加のビット線BLAが配設される。この追加のビット線BLAは連続的に延在して配置され、その両端にそれぞれプログラムバッファPBA1およびPBA2が設けられる。これらのプログラムバッファPBA1およびPBA2は、各々、直列に接続されるNチャネルMOSトランジスタで構成される。
【0111】
プログラムバッファPBA1に対して、データDEと演算活性化信号CALCを受けるANDゲートGA2と、演算活性化信号CALCとデータ/DEを受けるANDゲートGA3が設けられる。演算活性化信号CALCの活性化時、これらのANDゲートGA2およびGA3は、データDEおよび/DEに従って互いに相補な信号を出力し、応じて、プログラムバッファPBA1は、追加のビット線BLAを充電または放電する。
【0112】
プログラムバッファPBA2に対しては、演算活性化信号CALCと補のデータ/DEを受けるANDゲートGA4と、演算活性化信号CALCとデータDEを受けるANDゲートGA5が設けられる。プログラムバッファPBA2は、動作時、プログラムバッファPBA1と相補的に動作する。したがって、データDEがHレベルのときには、プログラムバッファPBA1が電源ノードから電流を追加のビット線BLAに供給し、プログラムバッファPBA2が、この追加のビット線BLAに供給される電流を放電する。逆に、データDEがLレベルのときには、プログラムバッファPBA2が追加のビット線BLAに電流を供給し、プログラムバッファPBA1がこのビット線BLAを放電する。
【0113】
この図12に示す演算記憶回路OPK1の他の構成は、図3に示す演算記憶回路の構成と同じであり、対応する部分には同一参照番号を付し、その詳細説明は省略する。
【0114】
演算記憶回路OPK1からOPK4に共通に設けられるラッチ回路4は、図3に示すラッチ回路4と同一構成を有するため、図12において、対応する部分には同一参照番号を付し、その詳細説明は省略する。なお、図12において、ラッチ回路4のデータ出力を制御する読出活性化信号RENを発生するゲート回路(G6)は示していない。
【0115】
この図12に示す演算記憶回路OPK1において、磁性体メモリ素子M1およびM2の磁化反転が発生する条件は、入力データDAおよびDCに従ってデジット線DLMおよびDLMAに供給される電流が発生する合成磁界(デジット線合成書込磁界)と、データDEおよびDBに従ってビット線BL1、BL2およびBLAを流れる電流が誘起する磁界の合成磁界(ビット線合成書込磁界)により決定される。すなわち、ビット線合成書込磁界とデジット線合成書込磁界との合成磁界が、磁性体メモリ素子M1およびM2の磁化反転条件(図2に示すアステロイド特性線)を超えたときに磁化反転が生じる。したがって、4ビットのデータDAからDEについて演算処理を行ない、その演算処理結果をしきい値処理した結果が、磁性体メモリ素子M1およびM2に格納される。
【0116】
この構成の場合、演算内容として以下の演算内容を設定することが出来る。入力データDEおよびDBがともに“1”であっても、入力データDCおよびDAがともに“0”のときには、デジット線合成書込磁界は生成されず、メモリ素子に印加される合成磁界は、磁化反転のしきい値に到達せず、メモリ素子M1およびM2においては磁化反転が生じない。この状態において、たとえば入力データDCまたはDAのいずれかが“1”であり、ビット線合成書込磁界とデジット線合成書込磁界が合成されたときに、磁性体メモリ素子M1およびM2の磁化状態が反転する。また、これに代えて、データDAからDEがすべて“1”のときにのみ、メモリ素子M1およびM2において磁化反転が生じるという演算内容を設定することができる。また、データDEおよびDBの論理レベルが異なる場合には、磁性体メモリ素子M1およびM2において、ビット線書込磁界が、ビット線BL1およびBL2が生成する磁界と追加のビット線BLAが生成する磁界とが相殺し、データDAおよびDCの値に係らず、メモリ素子の磁化状態は反転しないという演算も設定することができる。
【0117】
したがって、これらの4ビットデータを利用することにより、演算内容が多様となり、複雑な演算を1回の演算処理サイクルで実行することができる。
【0118】
図13は、この発明の実施の形態2に従う演算回路装置のメモリセルのレイアウトを概略的に示す図である。図13において、ラッチ回路4に対し共通に演算記憶回路OPK1からOPK4が結合される。図13においては、演算記憶回路OPK1およびOPK2を代表的に示す。演算記憶回路OPK1は、アレイビット線駆動部OPK1aとデジット線駆動部DDVaとに分割され、また、演算記憶回路OPK2は、アレイビット線駆動部OPK2aと、デジット線駆動部DDVbとに分割される。演算記憶回路OPK1およびOPK2の各構成要素は、同一構成を有するため、演算記憶回路OPK1の構成を具体的に示し、演算記憶回路OPK2の構成要素の構成はブロック図で示す。
【0119】
アレイビット線駆動部OPK1aは、右側ビット線書込電流駆動回路RWCKと、左側ビット線書込電流駆動回路LWCKと、下側ビット線書込電流駆動回路LWCKAを含む。
【0120】
右側ビット線書込電流駆動回路RWCKは、ビット線BL2に結合されるプログラムバッファと、演算活性化信号CALCとデータ/DBおよびDBに従ってプログラムバッファに対する制御信号を生成するゲート回路を含む。この右側ビット線書込電流駆動回路RWCKは、データDBがHレベルのときにビット線BL2を放電し、データDBがLレベルのときにビット線BL2を充電する。
【0121】
左側ビット線書込電流駆動回路LWCKも、ビット線BL1に結合されるプログラムバッファと、データDBおよび演算活性化信号CALCに従ってプログラムバッファを駆動する制御信号を生成するゲート回路を含む。左側ビット線書込電流駆動回路LWCKは、データDBがHレベルのときにビット線BL1を充電し、データDBがLレベルのときにビット線BL1を放電する。ビット線BL1およびBL2は平行に隣接して配置され、トランスミッションゲートTM1を介して相互接続される。これらのビット線BL2およびBL1の外側に平行に、分割ビット線BLAUおよびBLALが配置される。これらの分割ビット線BLAUおよびBLALは、配線により相互接続され、追加のビット線BLAを構成する。
【0122】
分割ビット線BLAUが上側ビット線書込電流駆動回路UWCKAに結合され、分割ビット線BLALが、下側ビット線書込電流駆動回路LWCKAに結合される。これらの上側ビット線書込電流駆動回路および下側ビット線書込電流駆動回路は、それぞれ、右側ビット線書込電流駆動回路RWCKおよび左側ビット線書込電流駆動回路LWCKと同様の構成を備え、与えられるデータが異なるだけである(図13には示さず)。
【0123】
演算記憶回路OPK2のアレイビット線駆動部OPK2aにおいても、ビット線BL1およびBL2を駆動するビット線書込電流駆動回路WCKと、分割ビット線BLAUおよびBLALで構成される追加のビット線BLAを駆動する上側ビット線書込電流駆動回路UWCKAおよび下側ビット線書込電流駆動回路LWCKAが配置される。このアレイビット線駆動部OPK2aのビット線の構成は、アレイビット線駆動部OPK1aのそれと同じである。
【0124】
これらの演算記憶回路OPK1およびOPK2に共通に、デジット線DLMa、DLMAa、DLMAbおよびDLMbが、ビット線BL1、BL2およびBLAに交差する方向に配置される。アレイビット線駆動部OPK1aにおいては、デジット線DLMaおよびDLMAaとビット線BL1,BL2,BLAUおよびBLALの交差部に対応して磁性体メモリ素子M1およびM2が配置され、演算記憶回路OPK2においては、デジット線DLMAbおよびDLMbとビット線BLAU、BL2、BL1およびBLALの交差部に対応してメモリ素子M1およびM2が配置される。
【0125】
これらの演算記憶回路OPK1およびOPK2に対し共通に、デジット線DLMa,DLMAa,DLMAbおよびDLMbを駆動するためのデジット線駆動部DDVaおよびDDVbを配置するデジット線駆動部配置領域40が設けられる。デジット線駆動部DDVaは、デジット線DLMaおよびDLMAaを駆動し、デジット線駆動部DDVbは、デジット線DLMAbおよびDLMbを駆動する。デジット線駆動部DDVaは、演算動作時、データDAに従ってデジット線DLMaを駆動するゲート回路と、データDCに従ってデジット線DLMAaを駆動するゲート回路を含む。これらのゲート回路は、一例として、ANDゲーとで構成される。デジット線駆動部においても、同様に、デジット線DLMbおよびDLMAbを駆動するゲート回路が配置される。
【0126】
このデジット線を演算記憶回路に共通に配設し、デジット線の一端にデジット線駆動部配置領域40を配設することにより、データを伝達する配線レイアウトを簡略化し、またメモリセル配置部のレイアウトの規則性を維持する。
【0127】
メモリ素子M1は、ビット線BL1およびBLALに対する距離が異なり、また、メモリ素子M2は、ビット線BL2およびBLAUに対する距離が異なる。さらに、メモリ素子M1およびM2は、デジット線DLM(DLMa,DLMb)と追加のデジット線DLMA(DLMAa,DLMAb)との距離が異なる。ビット線/デジット線とメモリ素子との距離を異ならせることにより、誘起磁界のメモリ素子の磁化に対する影響を異ならせる。
【0128】
図13に示す配置においては、メモリ素子M1およびM2は、ビット線BL1およびBL2が生成する磁界の影響を分割ビット線BLALおよびBLAUよりも強く受け、またデジット線DLM(DLMa,DLMb)の生成する磁界の影響を、追加のデジット線DLM(DLMa,DLMb)の生成する磁界よりも強く受ける。
【0129】
すなわち、図14(A)に示すように、メモリ素子Mに対するビット線BLの距離が、分割ビット線BLAのそれよりも短く、またビット線BLはメモリ素子Mに対し、ビット線BLAよりも広い部分で重なり合っている。したがって、ビット線BLの誘起する磁界HBと追加のビット線BLAの誘起する磁界HBAの合成磁界においては、ビット線BLの生成する磁界HBの影響が強く現われる。これにより、ビット線BLおよびBLAに対応するデータに対し、この距離の違いによる磁界強度の差により、重付けを行なう。
【0130】
同様、図14(B)に示すように、メモリ素子Mとデジット線DLMの距離が、メモリ素子Mと追加のデジット線DLMAの距離よりも長い。したがって、デジット線DLMの生成する磁界HDの影響が、追加のデジット線DLMAの生成する磁界HDAよりも強くメモリ素子の磁化に対して現われる。したがって、この場合においても、デジット線DLMおよびDLMAに対して、メモリ素子に対する磁界強度に差をつけることにより、対応のデータに重付けを行なうことができる。
【0131】
この距離の差により、データと生成される磁界強度との対応を異ならせることにより、データに重付けを行なうことができ、減算を含むアナログ的な演算処理を実行することができる。
【0132】
なお、この発明の実施の形態2においても、図10に示す重付け回路35が用いられ、ビット線書込電流に対し、重付けが行なわれてもよい。
【0133】
また、デジット線DLMおよびDLMAそれぞれ両端に、デジット線ドライブ回路を設け、データの論理レベルに応じてデジット線を流れる電流の方向を変更するように構成してもよい。デジット線DLMおよびDLMAにおいて、逆データに従ってその電流が駆動される場合、これらのデジット線DLMおよびDLMAに逆方向に電流が流れ、生成される磁界を打ち消す方向に磁界が発生され、たとえば、データDAおよびDCの減算に対応する演算を実現することができる。
【0134】
すなわち、図15に示すように、デジット線DLMaの両側に、それぞれ、演算活性化信号CALCの活性化時データDAおよび/DAに従ってデジット線書込電流を生成するゲート回路G1およびGG1を配置する。同様、追加のデジット線DLMAaの両端に対向して、演算活性化信号CALCの活性化時、データDCおよび/DCに従ってデジット線書込電流を駆動するゲート回路GA1およびGGA1を配置する。
【0135】
データDAおよびDCの論理レベルが同じ場合には、これらのデジット線DLMaおよびDLMAaには、同一方向にデジット線書込電流が流れ、同一方向に磁界が生成され、その合成磁界強度は大きくなる。一方、データDAおよびDCの論理レベルが異なる場合には、デジット線DLMaおよびDLMAaには、逆方向にデジット線書込電流が流れ、反対方向に磁界が生成され、合成磁界強度が低減される。したがって、この場合、データDAおよびDCの論理レベルが一致しているときのみ、メモリ素子の磁化反転を生じさせ、これらのデータDAおよびDCの論理レベルが不一致のときには、メモリ素子の磁化反転を生じさせない演算等の演算を実現することができる。また、重付けを行なっているため、減算処理をアナログ的に実行する事も出来る。
【0136】
[変更例2]
図16は、この発明の実施の形態2の変更例2の構成を概略的に示す図である。図16において、デジット線DLMおよびDLMAに対し直交するようにビット線BLが配置され、一方、これらのデジット線DLMおよびDLMAと斜交するように、追加のビット線BLAが配置される。これらのビット線BLおよびBLAとデジット線DLMおよびDLMAの交差部に対応して磁性体メモリ素子Mが配置される。
【0137】
この図16に示す配置の場合、ビット線BLの誘起する磁界と、デジット線DLMおよびDLMAが生成する磁界は直交磁界であり、メモリ素子Mに対しては、この直交磁界の合成磁界が印加される。一方、追加のビット線BLAとデジット線DLMおよびDLMAとは斜交しており、追加のビット線BLAとデジット線DLMおよびDLMAの合成磁界は、斜交磁界の合成磁界となる。この斜交磁界の合成磁界の場合、デジット線DLMおよびDLMAに対し一定方向に電流が流れる場合、追加のビット線BLAを流れる電流の方向に応じて、斜交磁界の合成磁界強度は異なる。したがって、ビット線BLAを流れる電流が誘起する磁界強度に、データの論理レベルに応じた重付けをつけることができる。ただし、メモリ素子M1およびM2には相補データが格納されるため、図16の配置の場合、メモリ素子M1およびM2に対する斜交磁界の影響が同じとなる様に、追加のビット線BLAとデジット線DLMおよびDLMAとの斜交形状を、ビット線に関して対称的に設定する。
【0138】
追加のビット線BLAおよびビット線BLがそれぞれ生成する磁界が、それぞれデジット線DLMおよびDLMAと生成する合成磁界に対する影響の度合いは異なる。従って、例えば、ビット線BLAに第1の方向に電流を流すときのメモリ素子Mに対する合成磁界に対する追加のビット線BLAからの磁界の影響が最も強く、追加のビット線BLAに逆の第2の方向に流れるときの磁界の影響が、メモリ素子Mに対する合成磁界に対して最も小さい状態を実現することができる。これにより、追加のビット線BLAに対応するデータおよび演算の重付けを実現することができる。
【0139】
なお、ビット線BLおよびBLAとデジット線DLMおよびDLMAとが交差する角度が異なればよく、ビット線BLおよびBLAが直線的に延在し、デジット線DLMおよびDLMAの一方が斜交してビット線BLおよびBLAと交差する様に配置されるなど、他の配置が用いられても良い。
【0140】
この図16に示す配置が、メモリ素子M1およびM2に対して配置される。
以上のように、この発明の実施の形態2に従えば、複数のビット線およびデジット線を用い、それぞれを個々にデータに応じて駆動し、メモリ素子の磁化状態を設定しており、複雑な演算を1サイクルで実行することができる。
【0141】
また、各信号線(ビット線またはデジット線)が流れる電流が生成する合成磁場に対する影響を変更する重付けを行なうことにより、データに重付けを行なってアナログ的な演算処理を実行することができる。
【0142】
また、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
[実施の形態3]
図17は、この発明の実施の形態3に従う演算回路装置の構成を概略的に示す図である。この図17に示す演算回路装置は、図3に示す演算回路装置と、その構成が以下の点で異なっている。すなわち、メモリ素子M1に対し分岐デジット線DL11、DL12およびDL13が配置され、メモリ素子M2に対し分岐デジット線DL21、DL22およびDL23が配置される。分岐デジット線DL11およびDL21は、メインデジット線DLM1により結合され、分岐デジット線DL12およびDL22は、メインデジット線DLM2に結合され、分岐デジット線DL13およびDL23はメインデジット線DLM3に結合される。
【0143】
メモリ素子M1と分岐デジット線DL11からDL13それぞれとの距離は互いに異なっており、またメモリ素子M2と分岐デジット線DL21からDL23それぞれとの距離は互いに異なっている。ただし、メモリ素子M1およびM2に対し相補データを記憶するため、メインデジット線DLM1からDLM3について、メモリ素子M1およびM2に対する距離の関係が、一意的に定められている。
【0144】
これらのメインデジット線DLM1からDLM3に対し、データDAからDDとデジット線DLM1からDLM3との対応を変更する重付け回路50が設けられる。重付け回路50は、演算活性化信号CALCと重付け制御信号W1からW3に従って、演算動作時、データDAからDDのメインデジット線DLM1からDLM3への伝達経路を設定する。
【0145】
この図17に示す演算回路装置の他の構成は、図3に示す演算回路装置の構成と同じであり、対応する部分には同一参照番号を付し、その詳細説明は省略する。
【0146】
動作サイクル(演算サイクル)ごとに、重付け回路50において、データDAからDDとデジット線DLM1からDLM3の対応関係を変更する。これにより、各動作サイクル(演算サイクル)においてデータDAからDDの重付けをダイナミックに設定し、演算内容を、各サイクルごとに設定する。各演算サイクル毎に対応関係が変更されても良い。
【0147】
図18は、この発明の実施の形態3に従う演算回路装置のレイアウトを概略的に示す図である。図18において、アレイビット線駆動部OPK1aおよびOPK2aそれぞれにおいて、平行に、ビット線BL1およびBL2が配置される。ビット線BL1およびBL2は、トランスミッションゲートTM1を介して相互接続される。ビット線BL1およびBL2は、演算動作時、右側ビット線書込電流駆動回路RWCKおよび左側ビット線書込電流駆動回路LWCKを含むビット線電流駆動回路WCKにより駆動される。ビット線書込電流駆動回路WCKは、選択ゲートTG1を介してラッチ回路4に結合される。アレイビット線駆動部OPK1aの選択ゲートTG1は選択信号SEL1に応答し、アレイビット線駆動部OPK2aの選択ゲートTG1は選択信号SEL2に応答する。
【0148】
これらのアレイビット線駆動部OPK1aおよびOPK2aに共通に、デジット線DLMa1からDLMa3およびDLMb1からDLMb3が、ビット線BL1およびBL2と交差する方向に配設される。デジット線DLMa1からDLMa3およびDLMb1からDLMb3の一端に、重付け回路50aおよび50bが配置される。
【0149】
重付け回路50aは、重み制御信号WA1−WA3と演算活性化信号CALCとに従ってデータDA、DCおよびDDとデジット線DLMa1からDLMa3の対応を設定する。重付け回路50bは、重み制御信号WB1−WB3と演算活性化信号CALCとに従って、データDX−DZとデジット線DLMb1−DLMb3の対応を設定する。
【0150】
なお、デジット線DLMa1からDLMa3は、図17に示すデジット線DLM1−DLM3およびDL11−DL13およびDL21−DL23に対応する。実施の形態1および2と同様、ビット線BL1およびBL2が折返し構造にされているため、デジット線を分岐構造に設定することは要求されず、直線的に、デジット線が延在する。
【0151】
アレイビット線駆動部OPK1aにおいては、ビット線BL1およびBL2とデジット線DLMa1からDLMa3の交差部に対応してメモリセルM1およびM2が配置される。アレイビット線駆動部OPK2aにおいては、ビット線BL1およびBL2とデジット線DLMb1からDLMb3の交差部に対応してメモリ素子M1およびM2が配置される。メモリ素子M1およびM2と対応のデジット線DLM1からDLM3(DLM1aからDLM3aまたはDLM1bからDLM3b)との距離は異なる。したがって、メモリ素子M1およびM2へのこれらのデジット線DLM1からDLM3が生成する磁界の影響の度合いが異なる。
【0152】
図18に示す配置においては、メモリ素子M1およびM2は、デジット線DLM1(DLM1a,DLM1b)に最も近接して配置され、デジット線DLM3(DLM3a,DLM3b)から最も離れて配置される。従って、デジット線誘起磁界において、デジット線DLM1の誘起磁界の影響が最も強く、デジット線DLM3の誘起磁界の影響が最も小さい。
【0153】
図19は、デジット線磁界とメモリ素子との対応関係を概念的に示す図である。図19においては、メモリ素子M(M1,M2)に対してデジット線DLM1−DLM3(DLM1a−DLM3aまたはDLM1b−DLM3b)が配置される。メモリ素子Mに対し、デジット線DLM1が最も近く配置され、デジット線DLM3が最も遠く配置される。デジット線DLM1からDLM3それぞれに流れる電流により磁界が誘起され、この誘起磁界がメモリ素子Mに印加される。図19において、メモリ素子Mに対し、デジット線DLM1−DLM3からの磁界HB1、HB2およびHB3が印加される。これらの磁界HB1−HB3の合成磁界とビット線からの誘起磁界との合成磁界により、メモリ素子Mの磁化状態が決定される。電流により磁界が誘起される場合、その磁界強度は、電流源からの距離が長くなると小さくなる。したがって、図19に示す配置においては、メモリ素子Mに対する合成磁界においてデジット線DLM1が誘起する磁界HB1の影響が最も大きく、デジット線DLM3が誘起する磁界HB3の影響が最も小さい。これらの磁界HB1からHB3の、メモリ素子Mの磁化状態を決定する合成磁界に及ぼす影響の度合いが異なり、応じて、デジット線DLM1−DLM3を流れる電流に重付けを行なうことができ、したがって、これらのデジット線DLM1−DLM3の電流量を決定するデータに対し重付けを行なうことができる。この配置において、メモリ素子M1およびM2は、同じデジット線からの磁界の影響が同じとなるように配置される。
【0154】
図20は、図17に示す重付け回路50の構成の一例を示す図である。この図20に示す重付け回路50と同様の構成が、図18に示す重付け回路50aおよび50bにおいて用いられる。
【0155】
図20において、重付け回路50は、重み制御信号W1−W3に応答してそれぞれ選択的に導通し、導通時、データDAを伝達するスイッチング素子SWA1−SWA3と、重み制御信号W1−W3に応答して選択的に導通し、導通時、データDCを伝達するスイッチング素子SWB1−SWB3と、重み制御信号W1−W3に従ってそれぞれ選択的に導通し、導通時、データDDを伝達するスイッチング素子SWC1−SWC3と、演算活性化信号CALCとスイッチング素子SWA1、SWB3、およびSWC2のいずれかを介して伝達される信号とを受けてメインデジット線DLM1を駆動するANDゲートG11と、演算活性化信号CALCとスイッチング素子SWA2、SWB1およびSWC3のいずれかからのデータとを受けてメインデジット線DLM2を駆動するANDゲートG12と、演算活性化信号CALCとスイッチング素子SWA3、SWB2およびSWC1のいずれかからのデータとを受けてメインデジット線DLM3を駆動するANDゲートG13を含む。
【0156】
重み制御信号W1−W3は、重付け演算処理動作時において、いずれか1つがHレベルの活性状態に設定され、残りの重み制御信号は非選択状態に設定される。重み制御信号W1の活性化時、スイッチング素子SWA1、SWB1およびSWC1が導通し、データDA、DCおよびDDが、それぞれANDゲートG11、G12およびG13へ伝達される。したがって、演算操作時においては、メインデジット線DLM1、DLM2およびDLM3は、それぞれデータDA、DCおよびDDに従って駆動される。
【0157】
重み制御信号W2が活性状態のときには、スイッチング素子SWA2、SWB2およびSWC2が導通する。応じて、データDAがANDゲートG12へ与えられ、データDCがANDゲートG13へ与えられ、データDDがANDゲートG11へ与えられる。この場合には、メインデジット線DLM1、DLM2およびDLM3は、データDD、DAおよびDCに従って駆動される。
【0158】
重み制御信号W3が活性状態のときには、スイッチング素子SWA3、SWB3およびSWC3が導通する。この状態では、データDA、DCおよびDDが、それぞれ、ANDゲートG13、G11およびG12へ与えられる。したがって、メインデジット線DLM1、DLM2およびDLM3が、データDC、DDおよびDAに従って駆動される。
【0159】
重み制御信号W1からW3を、演算動作時モード時、各サイクルごとにまたは演算内容に応じて選択的に活性化することにより、すなわち、活性化される重み制御信号をダイナミックに変更することにより、データDA、DCおよびDDとメインデジット線DLM1、DLM2およびDLM3の対応関係を変更することができる。
【0160】
なお、この図20に示す重付け回路50の構成の場合、スタンバイ状態時、ANDゲートG11からG13のデータを受ける入力ノードは、演算活性化信号CALCの反転信号に応答するプリチャージトランジスタにより、接地電圧レベルにプリチャージされる。
【0161】
[変更例]
図21は、この発明の実施の形態3の変更例を概略的に示す図である。図21においては、ビット線BL1およびBL2に対し、さらにビット線BLA1およびBLA2が設けられる。ビット線BL1およびBL2は、トランスミッションゲートTM1を介して相互接続される。ビット線BL1、BL2、BLA1、BLA2の両端に、重付け回路55Rおよび55Lがそれぞれ設けられる。
【0162】
重付け回路55Rおよび55Lは、演算活性化信号CALCの活性化時、重み制御信号群WGに従ってデータD0、D1およびD2とビット線BLA1、BLA2、BL1およびBL2の対応関係を設定する。ビット線BL1およびBLA1およびBL2のメモリ素子M1に対する距離は互いに異なり、またビット線BL2、BLA1およびBLA2のメモリ素子M2に対する距離が互いに異なる。したがってこの重付け回路55Rおよび55LによりデータD0、D1およびD2とビット線BL1,BL2、BLA1およびBLA2の対応関係を変更することにより、各演算時に、データD0−D2の重付けを変更することができる。
【0163】
重付け回路55Rおよび55Lは、重み制御信号群WGによりデータD0−D2の転送経路を設定するマルチプレクサと、ビット線BLA1、BLA2、およびBL(BL1,BL2)に対して設けられるビット線書込電流駆動回路とを含む。ビット線書込電流駆動回路へ転送されるデータをマルチプレクサにより変更することにより、データD0−D2とビット線との対応関係を変更することができる。
【0164】
マルチプレクサの構成としては、図20に示すスイッチ素子群の構成と同様の構成を利用することができる。
【0165】
なお、並列に配置されるデジット線またはビット線の書込電流線の数は、3本に限定されず、2本であってもよく、また4本などの別の数であってもよい。
【0166】
以上のように、この発明の実施の形態3に従えば、1つのメモリ素子について複数の書込電流伝達線(ビット線またはデジット線)を、対応のメモリ素子との距離を互いに異ならせて配置し、これらの複数の書込電流伝達線とデータとの対応関係をダイナミックに(演算サイクルごとに)設定しており、演算内容を演算サイクルごとに変更して演算処理を行なうことができる。
【0167】
[実施の形態4]
図22は、この発明の実施の形態4に従う演算回路装置において利用される磁性体メモリ素子の構成を概略的に示す図である。図22において、磁性体メモリ素子は、4つのリング状に配置される可変磁気抵抗素子VREaからVREdを含む。可変磁気抵抗素子VREaからVREdは、物理的に間隔GAPを置いて配置される。これらの可変磁気抵抗素子VREaからVREdにおいて、磁区の方向がリング状に連続するように、これらの可変磁気抵抗素子VREaからVREdの磁化状態を設定する。
【0168】
図22に示されるように、可変磁気抵抗素子VREaからVREdの磁区の方向がリング状に連続して完結している状態において、外部からノイズ磁場が印加されても、このリング状の磁場のために、磁化反転は生じない。すなわち、これらの可変磁気抵抗素子VREaからVREdのいずれかの場所において磁区の方向に対してノイズ磁場の方向が逆向きであっても、その点対称の位置においては、ノイズ磁場の方向が、磁区の方向に対し順方向となっており、これらの可変磁気抵抗素子VREaからVREd間の磁場結合により、ノイズ磁場と磁区の方向が反対の部分における磁化方向の反転を防止することができる。
【0169】
図22に示す構成のメモリ素子においてメモリ素子の磁化方向を逆転させるためには、個々の可変磁性体素子VREaからVREdにそれぞれの磁区が反転するように、磁場を印加することが要求される。このような磁場の印加は、自然界においては通常生じず、デバイス内部で人為的に生じさせる必要がある。したがって、可変磁気抵抗素子VREaからVREdに同時に、人為的に磁場を印加して、可変磁気抵抗素子VREaからVREdで構成されるメモリ素子に磁化反転を生じさせて、データの書込を実行する。
【0170】
したがって、4つの可変磁気抵抗素子VREaからVREdにより、1ビットのデータを記憶する。可変磁気抵抗素子VREaからVREdは、各々、TMR素子およびMTJ素子のいずれであってもよい。
【0171】
図23は、この発明の実施の形態4に従うメモリ素子の平面レイアウトを概略的に示す図である。図23において、可変抵抗素子VREaからVREdが、線対称および点対称に、互いに間隔を置いて配置される。これらの可変抵抗素子VREaからVREdそれぞれの下部に、ストラップ60aから60dが配設される。これらのストラップ60aから60dは、可変磁気抵抗素子VREaからVREdと同様、互いに線対称かつ点対称に配置されかつ互いに分離して配置される。これらのストラップ60aから60dは、その外側2辺は互いに直交し、これらの直交2辺とさらに直交する2つの短辺とこれらの2つの短辺の間の斜辺とで構成される。ストラップ60aから60dは、それぞれ可変磁気抵抗素子VREaからVREdの一方側電極(下側電極)を構成する。
【0172】
可変磁気抵抗素子VREaおよびVREcのストラップ60aおよび60c下層に、デジット線DLaを形成する下層導電線65が配設され、この下層導電線65と平行に、可変磁気抵抗素子VREbおよびVREd上層に、デジット線DLbを構成する上層導電線66が配設される。したがって、デジット線DLaが可変磁気抵抗素子VREaおよびVREcにより共有され、デジット線DLbは、可変磁気抵抗素子VREbおよびVREdにより共有される。
【0173】
可変磁気抵抗素子VREa上層に、下層導電線65と交差する方向に上層導電線62aが配設され、可変磁気抵抗素子VREbのストラップ60b下層に、上層導電線66と交差する方向に、下層導電線64aが配設される。これらの導電線62aおよび64aはコンタクトCA1を介して相互接続される。これらの導電線62aおよび64aは書込ビット線WBLaを構成する。
【0174】
可変磁気抵抗素子VREc上層に、下層導電線65と交差する方向に上層導電線62bが配設され、可変磁気抵抗素子VREdのストラップ60d下層に、この上層導電線62bと同一方向に延在する下層導電線64bが配設される。これらの導電線62bおよび64bはコンタクトCC1を介して相互接続され、書込ビット線WBLbを構成する。
【0175】
書込ビット線WBLaが、したがって、可変磁気抵抗素子VREaおよびVREbにより共有され、書込ビット線WBLbが、可変磁気抵抗素子VREcおよびVREdにより共有される。上層導電線62aおよび62bは、下層導電線64aおよび64bとそれぞれ同一方向に電流を流す。したがって、上層導電線62aおよび62bは、それぞれ、対応の可変磁気抵抗素子に対し、下層導電線64aおよび64bが誘起する磁界と逆方向の磁界を印加する。この逆方向の磁界印加により、可変磁気抵抗素子VREaおよびVREcと可変磁気抵抗素子VREbおよびVREdの磁化方向を反対方向として、メモリ素子全体において、磁化を連続的にリング状に連結させる。
【0176】
導電線62a、62b、64aおよび64bは、対応の可変磁気抵抗素子とは、データ書込動作時、磁気的に結合されるものの、データ書込および読出動作時において電気的には結合されない。これらの可変磁気抵抗素子VREaからVREdの磁化状態により表現される記憶データを読出すために、電極取出層配線が設けられる。可変磁気抵抗素子VREaに対しては、ストラップ60aが下層電極取出線67aにコンタクトCA3を介して結合され、また可変磁気抵抗素子VREaの上側電極が上層導電線68aにコンタクトCA2を介して電気的に接続される。可変磁気抵抗素子VREbについては、上層導電線68bがコンタクトCB1を介してこの可変磁気抵抗素子VREbの上側電極に電気的に接続され、またストラップ60bが、コンタクトCB2を介して下層導電線67bに接続される。
【0177】
可変磁気抵抗素子VREcについては、上層導電線68cが、コンタクトCC2を介して可変磁気抵抗素子VREcの上側電極に電気的に接続され、ストラップ60cがコンタクトCC3を介して下側導電線67cに接続される。可変磁気抵抗素子VREdについては、上層導電線68dが、コンタクトCD1により、可変磁気抵抗素子の上側電極に接続され、ストラップ60dがコンタクトCD2を介して下層導電線67dに接続される。
【0178】
下層導電線67aから67dは、それぞれ、データ読出時に可変磁気抵抗素子に電流が流れる経路を形成するために、選択信号に応答する読出選択トランジスタに接続されて、たとえばデータ読出時、接地に接続される。上側導電線68aから68dは、それぞれ、データ読出時、同様、電流経路を形成するために、読出ビット線またはデータ読出線に接続される。
【0179】
図24は、図23に示す可変磁気抵抗素子VREaの部分の断面構造を概略的に示す図である。可変磁気抵抗素子VREaは、その磁化方向が固定される固定磁気層PILと、その磁化方向が印加磁界により決定される自由磁気層FRLと、これらの固定磁気層PILと自由磁気層FRLの間のバリア層BRLとを含む。固定磁気層PILがストラップ60aに図示しない導電層を介してまたは直接電気的に接続される。可変磁気抵抗素子VREaの上層に、書込ビット線WLaを構成する上層導電線62aが配設される。この上層導電線62aは、可変磁気抵抗素子VREaの上側電極とは電気的に分離され、データ書込時に磁気的に結合される。ストラップ60aは、コンタクトCA3を介して下層導電線67aに接続される。このストラップ60a下層に、デジット線DLaを形成する下層導電線65が配設される。下層導電線67aが、図示しないリード選択トランジスタに接続される。
【0180】
可変磁気抵抗素子VREaの上側電極層は、図示しない領域において、図23に示す上層導電線68aに電気的に接続される。
【0181】
図25は、図23に示す可変磁気抵抗素子VREbに関連する部分の断面構造を概略的に示す図である。この可変磁気抵抗素子VREb上層に、デジット線DLbを構成する上層導電線66が配設される。可変磁気抵抗素子VREbの上側電極が、コンタクトCB1を介して上側導電線68bに接続される。ストラップ60b下層に、書込ビット線WBLaを構成する下層導電線64aが配設される。ストラップ60bは、図示しない領域において、図23に示すコンタクトCB2を介して下層導電線67bに接続される。
【0182】
図24および図25に示すように、可変磁気抵抗素子VREa上層に、書込ビット線WBLaを配設した場合と、可変磁気抵抗素子VREb下層に書込ビット線WBLaを配設した場合とでは、書込ビット線WBLaが誘起する磁界は、同一方向であっても、可変磁気抵抗素子VREaおよびVREbに印加される磁界の向きが逆方向となる。デジット線DLaおよびDLbに、可変磁気抵抗素子の自由磁気層の磁化困難軸方向の磁界を生成するように電流を流し、書込ビット線を流れる電流により、この自由磁気層の磁化容易軸方向の磁界を誘起させる。
【0183】
また、デジット線についても、上層導電線と下層導電線が用いられており、これらが誘起する磁界が同一方向でも、可変磁気抵抗素子に印加される磁界の方向が、反対となる。したがって、合成磁界の方向を、可変磁気抵抗素子VREaと可変磁気抵抗素子VREbにおいて反対方向に設定することができる。固定磁気層PILの磁化方向は、すべての可変磁気抵抗素子VREaからVREdにおいてすべて同一に設定する。したがって、ビット線延在方向において隣接する可変磁気抵抗素子の自由磁気層の磁化方向は互いに反対となるため、これらの可変磁気抵抗素子において、一方が高抵抗状態、他方が低抵抗状態となり、相補データを記憶することができる。
【0184】
図26は、この発明の実施の形態4に従うメモリ素子を利用する演算回路装置の構成を、概略的に示す図である。図26においては、演算回路装置において1つの演算を実行する演算記憶回路OPKの構成を示す。
【0185】
図26において、書込ビット線WBLaおよびWBLbとデジット線DLaおよびDLbの交差部に対応して、可変磁気抵抗素子VREaからVREdがそれぞれ配置される。可変磁気抵抗素子VREaおよびVREcの上側電極は共通に読出ビット線RBLに接続され、可変磁気抵抗素子VREbおよびVREdの上側電極は、共通に、読出ビット線/RBLに接続される。可変磁気抵抗素子VREaからVREdのそれぞれの下側電極は、読出制御信号SELAに応答するリード選択トランジスタ74aから74dを介してそれぞれ接地される。データ書込時に下側電極が接地電圧に固定されて磁気シールド層として作用するのを防止する。
【0186】
書込ビット線WBLaおよびWBLbの両側に、対向して書込ビット線駆動回路72lおよび72rが配置される。書込ビット線駆動回路72lは、図3に示す左側ビット線書込電流駆動回路LWCKと同様の構成を、書込ビット線WBLaおよびWBLbそれぞれに対して有し、書込ビット線駆動回路72rは、図3に示す右側ビット線書込電流駆動回路RWCKと同様の構成を、書込ビット線WBLaおよびWBLbそれぞれに対して有する。これらの書込ビット線駆動回路72lおよび72rにより、演算活性化信号CALCの活性化時、データDBに従って、書込ビット線WBLaおよびWBLbに同じ方向に電流が流れる。
【0187】
デジット線DLaおよびDLbに対してデジット線駆動回路70が設けられる。このデジット線駆動回路70は、図3に示すANDゲートG1の構成に対応し、演算活性化信号CALCの活性化時、データDAに従ってデジット線DLaおよびDLbを駆動する。このデジット線駆動回路70により、演算動作時、データDAに従ってデジット線DLaおよびDLbに同一方向に電流を供給することができる。
【0188】
読出ビット線RBLおよび/RBLは、選択信号SELAに応答する選択ゲートSGを介してラッチ回路4に結合される。このラッチ回路4は、図3に示すラッチ回路4と同様の構成を備え、ダイナミックラッチ動作により、読出ビット線RBLおよび/RBLを流れる電流量に従ってデータの読出を実行する。
【0189】
図27は、可変磁気抵抗素子VREaからVREdへの演算動作時の書込電流および書込磁界の印加態様を示す図である。この図27においては、書込ビット線WBLaを構成する導電線62aおよび64aに対し、図の左側から右方向に向かって書込電流が供給され、同様、書込ビット線WBLbを構成する導電線62bおよび64bにも、同じ方向に、すなわち図の左側から右方向に向かって電流が供給される。デジット線を構成する導電線65および66に対しては、それぞれ下側から上側に向かう電流が図26に示すデータ線駆動回路70により供給される。
【0190】
導電線62aおよび64aが可変磁気抵抗素子VREaおよびVREbに印加する磁界については、同心円状の磁界の下側の磁界が、可変磁気抵抗素子VREaに与えられ、この同心円状の磁界の上側の磁界が、可変磁気抵抗素子VREbに与えられ、これらの印加磁界の磁界方向は逆である。
【0191】
同様、導電線65が可変抵抗素子VREaおよびVRECに印加する磁界と導電線66が可変抵抗素子VREbおよびVREdに印加する磁界は、逆方向である。従って、可変抵抗素子VREaおよびVREbでは、逆方向の合成磁界が印可され、可変抵抗素子VREcおよびVREdでは、逆方向の合成磁界が印加される。また、デジット線延在方向に整列する可変抵抗素子においては、同一方向の合成磁界が印加される。
【0192】
したがって、書込ビット線WBLaに、図の左側から右方向に電流を流した場合、可変磁気抵抗素子VREaの自由磁気層は、図の下から上向き方向の磁化方向となり、一方、変磁気抵抗素子VREbにおいては、その磁化方向は図の上側から下側方向となる。可変磁気抵抗素子VREcおよびVREdについても同様である。したがって、可変磁気抵抗素子VREaおよびVREbの磁化方向が、反対方向であり、磁場結合により連続的な磁場が形成され、また可変磁気抵抗素子VREcおよびVREdも、磁化方向が反対方向であり、磁場結合により連続的な磁場が形成される。
【0193】
一方、可変磁気抵抗素子VREaおよびVREcはその磁化方向が同じであり、また可変磁気抵抗素子VREbおよびVREdはその磁気方向が同じである。したがって、磁場結合により、図27において矢印で示すように、図の右回り方向の連続磁場が形成される。
【0194】
これらの可変磁気抵抗素子VREaからVREdにおいて固定磁気層の磁化方向はすべて同じであり、図27において、太い矢印で示すように、図の下側から上側に向く方向に設定される。したがって、可変磁気抵抗素子VREaおよびVREcが低抵抗状態、可変磁気抵抗素子VREbおよびVREdが高抵抗状態に設定される。
【0195】
従って、書込ビット線駆動回路72lと72rとデジット線駆動回路70により、演算データに応じた電流を書込みビット線およびデジット線に供給することにより、その演算結果に応じたデータを、これらの可変磁気抵抗素子VREaからVREdに格納することができる。
【0196】
図28は、演算操作時の書込電流および書込磁界の他の印加態様を示す図である。この図28においては、書込ビット線WBLaを構成する導電線64aおよび62aには、図の右側から左側に向かって電流が流れ、同様、書込ビット線WBLbを構成する導電線64bおよび62bの右側から左側に向かって電流が流れる。デジット線DLaおよびDLbには、電流が、図の下側から上側に向かって電流が流れる。
【0197】
この場合には、可変磁気抵抗素子VREaの磁化状態は、図の下側向き方向となり、一方、可変磁気抵抗素子VREbの磁化方向は図の上側向き方向となる。また可変磁気抵抗素子VREcおよびVREdの磁化方向は、それぞれ、下側向き方向および上側向き方向なとる。
【0198】
図28に示すように、これらの可変磁気抵抗素子VREaからVREdの磁化方向は、磁場結合により磁区が連続的に連結されて、図の左回り方向に磁区の磁化方向が設定される。したがって、この場合には、可変磁気抵抗素子VREaおよびVREcは、その自由磁気層と固定磁気層の磁化方向が異なるため高抵抗状態であり、可変磁気抵抗素子VREbおよびVREdは、固定磁気層と自由磁気層の磁化方向が同じであり、低抵抗状態となる。
【0199】
可変磁気抵抗素子VREaからVREdで構成されるメモリ素子の記憶データの読出時においては、先の実施の形態1と同様、ラッチ回路4においてダイナミックラッチ動作を実行する。可変磁気抵抗素子VREaからVREdは、その上側電極が読出ビット線RBLおよび/RBLに接続され、その下側電極が、接地ノードにリード選択トランジスタ74a−74dを介して結合されている。したがって、ラッチ回路4における電源投入後、ラッチ回路の内部ノードの電位が上昇した後に、選択ゲートSGを、選択信号SELAにより導通状態に設定することにより、読出ビット線RBLおよび/RBLの一方に他方よりも大きな電流が流れ、ラッチ回路4のラッチ状態を設定することができる。
【0200】
したがって、可変磁気抵抗素子を配置し、2本の書込ビット線および2本のデジット線で演算結果に対応する書込電流を供給することにより、ノイズ磁場の影響を受けることなく安定に演算結果を格納することができる。
【0201】
この発明の実施の形態4の演算回路装置においても、実施の形態1と同様、書込ビット線駆動回路72lおよび72rの駆動電流量に重付けを行なうことにより、演算機能を変更することができ、またアナログ処理をも実現することができる。
【0202】
以上のように、この発明の実施の形態4に従えば、可変磁気抵抗素子をリング状に配設し、リング状に連結する磁区が生成されるように書込電流を供給して書込磁場を発生しており、ノイズ磁場耐性に優れた信頼性の高い演算回路装置を実現することができる。
【0203】
[実施の形態5]
図29は、この発明の実施の形態5に従う半導体記憶装置の全体の構成を概略的に示す図である。図29において、半導体記憶装置は、行列状に配列されるメモリセルMCを有するメモリセルアレイ100を含む。このメモリセルMCは、先の実施の形態4において示した4つの可変磁性抵抗素子を含む4素子セルである。図29においては、1つのメモリセルMCを代表的に示す。
【0204】
メモリセルアレイ100においては、Y方向に整列して配置されるメモリセルMCに対し、デジット線対DLPおよび読出ビット線対RBLPが平行に配設され、X方向に整列するメモリセルMCに対し共通に、書込ビット線対WBLPおよび読出ワード線対RWLPが配設される。本実施の形態においては、メモリセルMCに含まれる4素子の相補データを、一度の読出サイクルで読出す。
【0205】
半導体記憶装置は、さらに、外部からの動作モード指示CMDに従って各種内部制御信号を生成する制御回路102と、制御回路102の制御のもとに動作し、外部データDQを入出力する入出力回路104と、制御回路102の制御のもとに動作し、入出力回路104からの内部書込データDとアドレス信号ADとに従って、データ書込時、書込ビット線対へビット線書込電流を供給する書込ビット線駆動回路106Lおよび106Rと、制御回路102の制御のもとにデータ読出時動作し、アドレス信号ADに従って選択された読出ワード線対RWLPを選択状態へ駆動する読出ワード線選択回路108と、制御回路102の制御のもとに動作し、アドレス信号に従って選択されたデジット線対DLPに電流を供給するデジット線駆動回路110と、データ読出時、アドレス信号ADに従って、読出ビット線対を選択する読出列選択回路112と、読出列選択回路112を介して、選択された読出ビット線対を流れる電流を検知し、選択メモリセルのデータを読出す読出回路114を含む。
【0206】
この半導体記憶装置においては、データ書込時およびデータ読出時、デジット線、読出デジット線、読出ワード線、および書込ビット線は、メモリセルの4素子を同時に駆動するため、すべて信号線対単位で駆動される。
【0207】
図30は、図29に示す半導体記憶装置の1つのメモリセルMCに関連する部分の構成の一例を示す図である。図30において、メモリセルMCは、4つの可変抵抗素子VREaからVREdと、これらの可変磁気抵抗素子VREaからVREdそれぞれに対応して設けられるリード選択トランジスタ120aから120dを含む。
【0208】
可変磁気抵抗素子VREaからVREdの配置は、先の実施の形態4に示すメモリ素子での配置と同じであり、点対称および線対称に配置され、データ記憶時、その磁区が連結されて、1ビットデータを記憶する。
【0209】
可変磁気抵抗素子VREaおよびVREcの一方側電極(たとえば上部電極)が読出ビット線RBLに接続され、可変磁気抵抗素子VREbおよびVREdの一方側電極が補の読出ビット線/RBLに接続される。これらの読出ビット線RBLおよび/RBLは、図29に示す読出ビット線対RBLPに対応する。
【0210】
可変磁気抵抗素子VREaおよびVREbに共通に、書込ビット線WBLaが配設され、可変磁気抵抗素子VREcおよびVREdに対し、書込ビット線WBLbが配設される。これらの書込ビット線WBLaおよびWBLbは、図29に示す書込ビット線対WBLPに対応する。なお、可変磁気抵抗素子VREaおよびVREcに対応してデジット線DLaが配設され、可変磁気抵抗素子VREb得VREdに対応してデジット線DLbが配設される。これらのデジット線DLaおよびDLbは、図29に示すデジット線対DLPを構成し、その一端を基準電圧源(接地ノード)に接続される。
【0211】
リード選択トランジスタ120aおよび120bは、たとえばNチャネルMOSトランジスタで構成され、読出ワード線RWLaの選択時導通状態となり、可変磁気抵抗素子VREaおよびVREbの他方側電極(たとえばストラップ)を基準電圧源(接地ノード)に接続する。リード選択トランジスタ120cおよび120dは、同様、NチャネルMOSトランジスタで構成され、読出ワード線RWLbの選択時導通し、可変磁気抵抗素子VREcおよびVREdの他方電極を基準電圧源(接地ノード)に接続する。この読出ワード線RWLaおよびRWLbは、図29に示す読出ワード線対RWLPに対応する。
【0212】
読出列選択回路112は、読出ビット線RBLおよび/RBLに対して設けられる列選択ゲートCSGを含む。この列選択ゲートCSGは、読出列選択信号RCSLの選択時導通し、読出ビット線RBLおよび/RBLを読出回路114に結合する。
【0213】
読出回路114は、差動電流センス回路122を含み、読出ビット線RBLおよび/RBLを流れる電流を検知して内部読出データを生成する。この差動電流センス回路122として、通常のスタティック・ランダム・アクセス・メモリ(SRAM)などにおいて用いられる電流センス回路が利用されてもよく、また先の実施の形態1から4に示すダイナミックラッチ動作を行なうラッチ回路が利用されてもよい。
【0214】
メモリセルMCへのデータ書込時においては、デジット線DLaおよびDLbが選択状態へ駆動され、デジット線書込電流が供給される。また書込ビット線WBLaおよびWLbに、書込データに応じて同一方向にビット線書込電流が供給される。このときに生成される合成磁界により、実施の形態4の場合と同様、可変磁気抵抗素子VREaおよびVREcは、同じ抵抗状態となり、可変磁気抵抗素子VREbおよびVREdが同じ抵抗状態となる。一方、X方向に整列する可変磁気抵抗素子VREaおよびVREbが、反対の抵抗状態となり、また可変磁気抵抗素子VREcおよびVREdは、反対の抵抗状態となる。
【0215】
データ読出時においては、読出ワード線RWLaおよびRWLbを同時に選択状態へ駆動し、リード選択トランジスタ120aから120dを同時にオン状態に設定する。これにより、読出ビット線RBLおよび/RBLにメモリセルMCを介して電流を流れる経路が形成され、可変磁気抵抗素子VREaからVREdの抵抗状態に応じて、読出ビット線RBLおよび/RBLの一方が高抵抗を介して接地ノードに結合され、他方が低抵抗を介して接地ノードに結合される。読出列選択ゲートCSGを読出列選択信号RCSLにより選択して、これらの読出ビット線RBLおよび/RBLを差動電流センス回路122に結合する。読出ビット線RBLおよび/RBLの一方には、他方よりも大きな電流が流れ、この差動電流を差動電流センス回路122で検知することにより、メモリセルMCの記憶データを読出す。
【0216】
電流検知でデータを読出すため、読出ビット線RBLおよび/RBLの電位差が小さい場合でも、安定にデータを読出すことができる。
【0217】
また、メモリセルが4素子で構成され、その磁区の方向が連結しており、ノイズ耐性の優れたメモリセルを実現することができる。従って、データ書込時、非選択メモリセルにおいてリーク磁界により記憶データが書き換えられるという磁気ディスターバンスの問題が生じることがなく、高密度でメモリセルを配置することができ、大記憶容量の記憶装置をアレイ面積を増大させることなく実現することができる。
【0218】
図31は、図29に示す書込ビット線駆動回路106Lおよび106Rの構成の一例を示す図である。図31においては、書込ビット線WBLaおよびWBLbに対して書込ビット線駆動回路106L内において設けられる回路部分を代表的に示す。
【0219】
図31において、書込ビット線駆動回路106Lは、データDと書込列選択信号WCSLとを受けるANDゲート130aと、補のデータ/Dと書込列選択信号WCSLとを受けるANDゲート130bと、ANDゲート130aおよび130bの出力信号に従って書込ビット線WBLaを駆動するビット線ドライバ132aと、ANDゲート130aおよび130bの出力信号に従って書込ビット線WBLbを駆動するビット線ドライバ132bを含む。
【0220】
書込列選択信号WCSLは、データ書込時、図示しない書込列デコーダからアドレス信号に従って生成され、書込ビット線WBLaおよびWBLbを同時に指定する。
【0221】
書込ビット線WBLaおよびWBLbは、書込ビット線対WBLPを構成し、データ書込時、データDおよび補のデータ/Dと書込列選択信号WCSLとに従って同時に駆動されて、同じ方向にビット線書込電流を流す。
【0222】
ビット線ドライバ132aは、ANDゲート130aの出力信号がHレベルのときに書込ビット線WBLaに電流を供給するNチャネルMOSトランジスタT30と、ANDゲート130bの出力信号がHレベルのときに書込ビット線WBLaから電流を引抜くNチャネルMOSトランジスタT31を含む。
【0223】
ビット線ドライバ132bは、ANDゲート130aの出力信号がHレベルのときに書込ビット線WBLbに電流を供給するNチャネルMOSトランジスタT32と、ANDゲート130bの出力信号がHレベルのときに書込ビット線WBLbから電流を引抜くNチャネルMOSトランジスタT33を含む。
【0224】
書込ビット線駆動回路106Rにおいても、この図31に示す構成と同じ構成のビット線ドライブ回路が書込ビット線WBLaおよびWBLbに対して設けられる。ただし、書込ビット線駆動回路106Rにおいては、データDおよび/Dが位置を交換して与えられ、ANDゲート130aに補のデータ/Dが与えられ、ANDゲート130bにデータDが与えられる。
【0225】
図31に示す書込ビット線駆動回路106Lおよび106Rの構成は、実施の形態1から4において示すビット線書込電流駆動回路の構成と同じである。演算活性化信号CALCに代えて書込列選択信号WCSLが与えられ、プログラムバッファPBに代えて、ビット線ドライバ132aおよび132bが用いられる。したがって、実施の形態1から4と同様、書込列選択信号WCSLの選択時、データDおよび/Dに従って、書込ビット線WBLaおよびWBLbにビット線書込電流を供給することができる。
【0226】
図32は、図29で示すデジット線駆動回路110の構成の一例を示す図である。図32においては、デジット線DLPaおよびDLPbで構成されるデジット線対DLPに対して設けられる構成を代表的に示す。
【0227】
図32において、デジット線駆動回路110は、書込行選択信号WRSLに従ってデジット線DLaを選択状態へ駆動するドライバ133aと、書込行選択信号WRSLに従ってデジット線DLbを選択状態へ駆動するドライバ133bを含む。これらのドライバ133aおよび133bは、一例として、その両入力が相互接続されるANDゲートで構成される。
【0228】
書込行選択信号WRSLは、データ書込時、図示しない書込行デコーダからアドレス信号に従って生成され、図29に示すY方向に整列するメモリセルMCに対応して配置されるデジット線対DLPを選択する。
【0229】
この図32に示すデジット線駆動回路110の構成は、実施の形態1から4におけるデジット線を駆動するゲート回路G1においてデータDAおよび演算活性化信号CALCに代えて書込行選択信号WRSLが用いられる構成と等価である。図32に示すデジット線駆動回路110を利用することにより、書込行選択信号WRSLに従ってデジット線DLaおよびDLbを並行して選択状態へ駆動することができる。
【0230】
なお、このデジット線駆動回路110において、書込行選択信号WRSLとデジット線選択タイミング信号とがドライバ133aおよび133bへ与えられ、デジット線選択タイミングおよび期間が、デジット線選択タイミング信号により規定されてもよい。
【0231】
図33は、図29に示す読出ワード線選択回路108の構成の一例を示す図である。図33においては、読出ワード線RWLaおよびRWLbに対して設けられる選択回路の構成を代表的に示す。
【0232】
図33において、読出ワード線選択回路108は、読出行選択信号RRSLに従って読出ワード線RWLaを選択状態へ駆動するドライバ134aと、読出行選択信号RRSLに従って読出ワード線RWLbを選択状態へ駆動するドライバ134bを含む。読出行選択信号RRSLは、データ読出時、アドレス信号ADに従って図示しない読出行デコーダから生成され、X方向に整列するメモリセルを指定する。
【0233】
ドライバ134aおよび134bを並列に配置して同時に駆動することにより、読出ワード線RWLaおよびRWLbを同時に選択状態へ駆動して、メモリセルMC内の4つの可変磁気抵抗素子のリード選択トランジスタ120aから120d(図30参照)を同時に選択状態へ駆動することができる。
【0234】
[変更例1]
図34は、この発明の実施の形態5の変更例1のメモリセルMCの構成を概略的に示す図である。この図34に示すメモリセルMCにおいては、可変磁気抵抗素子VREaからVREdの他方側電極(例えば、ストラップ)ノードが共通にリード選択トランジスタ120eを介して接地ノードに結合される。このメモリセルMCの他の構成は、図30に示すメモリセルMCの構成と同じであり、対応する部分には同一参照番号を付しその詳細説明は省略する。
【0235】
リード選択トランジスタ120eのゲートには、読出ワード線RWLが接続される。したがって、X方向に整列するメモリセルMCに対し1つの読出ワード線RWLを配設するだけでよく、配線レイアウトピッチが緩和され、アレイ面積を低減することができる。
【0236】
データの書込および読出時の動作は、図30に示すメモリセルMCの場合と同じである。
【0237】
[変更例2]
図35は、この発明の実施の形態5の変更例2のメモリセルMCの構成を概略的に示す図である。図35を参照して、メモリセルMCにおいて、可変磁気抵抗素子VREaおよびVREbの他方側電極ノードが、リード選択トランジスタ120fを介して接地ノードに結合され、可変磁気抵抗素子VREcおよびVREdの他方電極ノードが、リード選択トランジスタ120gを介して接地ノードに結合される。
【0238】
リード選択トランジスタ120fおよび120gのゲートは、それぞれ、リードワード線RWL0およびRWL1に結合される。この図35に示すメモリセルMCの他の構成は、図30に示すメモリセルMCの構成と同じであり、対応する部分には同一参照番号を付し、その詳細説明は省略する。
【0239】
図35に示すメモリセルMCのデータ読出時において、リードワード線RWL0およびRWL1を、順次選択状態へ駆動する。すなわち、可変磁気抵抗素子VREaおよびVREbの記憶データを読出し、その後、可変磁気抵抗素子VREcおよびVREdの記憶データを読出す。メモリセルMCが、正常にデータを記憶している場合、可変磁気抵抗素子VREaおよびVREcが同一抵抗状態であり、また可変磁気抵抗素子VREbおよびVREdは同じ抵抗状態である。したがって読出ワード線RWL0およびRWL1の選択時において、読出ビット線RBLおよび/RBLには、同じ論理レベルの信号が現われる。リードワード線RWL0およびRWL1を順次選択状態へ駆動して、メモリセルMCの2つの可変抵抗素子単位で相補データを読出すことにより、記憶データの信頼性を保証することができる。
【0240】
読出ワード線RWL0選択時と読出ワード線RWL1選択時において読出されるデータの論理が異なる場合、メモリセルMCから読出されたデータは、エラーデータであると判定される。
【0241】
この読出ワード線を順次選択状態へ駆動する構成として、図33に示すドライバ134aおよび134bへ、それぞれ異なるタイミングで活性化されるタイミング制御信号が、読出ワード線選択信号RRSLと共に与えられる構成を利用することが出来る。
【0242】
[変更例3]
図36は、この発明の実施の形態5の変更例3のメモリセルMCの構成を概略的に示す図である。この図36に示すメモリセルMCの構成においては、リードワード線RWLaおよびRWLbがデジット線DLaおよびDLbと平行に配設され、読出ビット線RBLおよび/RBLが、書込ビット線WBLaおよびWBLbと平行に配列される。この図36に示すメモリセルの他の配置は、図30に示すメモリセルMCの配置と同じであり、対応する部分には同一参照番号を付し、その詳細説明は省略する。
【0243】
この図36に示すメモリセルの配置の場合、X方向に整列するメモリセルに対し、書込ビット線WBLaおよびWBLbと読出ビット線RBLおよび/RBLが配設され、Y方向に整列するメモリセルに対し共通に、デジット線DLaおよびDLbと読出ワード線RWLaおよびRWLbが配設される。したがって、メモリセル選択回路において、X方向に整列するメモリセルを選択するデコード回路を、データ書込およびデータ読出に共通に用い、その出力信号を書込/読出モードに応じて選択的に活性化することができる。同様、Y方向に整列するメモリセルを選択す行デコード回路を、書込および読出で共用することが出来る。この構成においては、動作モード指示信号に従って、データ書込時にはデジット線に対する行選択信号を活性化し、データ読出時には、読出ワード線に対する行デコード信号を活性化する。これにより、デコード回路の占有面積を低減することができる。
【0244】
[変更例4]
図37は、この発明の実施の形態5の変更例4のメモリセルMCの配置を概略的に示す図である。この図37に示すメモリセルMCの配置においては、リード選択トランジスタ120aから120dが、それぞれ、Y方向に延在する読出ワード線RWLa、RWLb、RWLcおよびRWLdに結合される。この図37に示すメモリセルMCの他の構成は、図36に示すメモリセルMCの構成と同じであり、対応する部分には同一参照番号を付し、その詳細説明は省略する。
【0245】
この図37に示すメモリセルMCの配置においては、リードワード線RWLaとリードワード線RWLbとが同時に選択状態へ駆動され、またリードワード線RWLcとリードワード線RWLdが同時に選択状態へ駆動される。したがって、可変磁気抵抗素子VREaおよびVREbが記憶する相補データと可変磁気抵抗素子VREcおよびVREdにより記憶されるデータを、順次読出すことができる。
【0246】
[変更例5]
図38は、この発明の実施の形態5の変更例5のメモリセルMCの配置を概略的に示す図である。この図38に示すメモリセルMCの配置においては、可変磁気抵抗素子VREaからVREdの一方側電極(たとえば上側電極)がシングルエンドの読出ビット線RBLに共通に結合される。リード選択トランジスタ120aから120dは、それぞれ、読出ワード線RWL0からRWL3に結合される。
【0247】
列選択ゲートCSGは、読出列選択信号RCSLに従って読出ビット線RBLを読出回路114に結合する1つの読出トランスファーゲートRTXで構成される。この図38に示すメモリセルMCの他の配置自体は、図37に示すメモリセルMCの配置と同じであり、対応する部分には同一参照番号を付し、その詳細説明は省略する。
【0248】
読出ワード線RWL0からRWL3は、データ読出時、順次、選択状態へ駆動される。したがって、可変磁気抵抗素子VREaからVREdが、順次選択されて、その記憶データの読出が行なわれる。この図38に示す配置の場合、読出ビット線がシングルエンド構成であり、配線レイアウトを簡略化することができ、また、配線のピッチを大きくすることが出来る。
【0249】
この構成では、可変磁気抵抗素子VREaからVREdの記憶データを1ビット単位で順次読出し、その後に読出データをデコードすることにより記憶データを復元する。
【0250】
図39は、図38に示す読出回路114の構成の一例を概略的に示す図である。図39において、読出回路114は、列選択ゲートCSGを介して読出ビット線RBLに流れる電流を検知し、検知結果に従って原始読出データ信号を生成するセンスアンプ114aと、このセンスアンプ114aの生成した原始読出データ信号を各読出ワード線に対応して格納するレジスタ114bと、レジスタ114bの格納するデータをデコードして内部読出データQを生成するデコーダ114cを含む。
【0251】
センスアンプ114aの構成としては、電流センス回路が利用されれば良く、メモリ分野において一般に利用される回路を利用することができる。
【0252】
また、リードワード線を順次選択する構成として、リードワード線RWLaからRWLdそれぞれに対して設けられるドライバ(図33参照)に対して、順次活性化される選択タイミング信号を与える構成を利用することができる。
【0253】
可変磁気抵抗素子VREaからVREdの抵抗状態に応じた記憶データを順次読出し、その後デコードして内部データを生成することにより、たとえば1つの可変磁気抵抗素子に不良が生じても、デコーダ114cにおいて、たとえば多数決原理に従ってその記憶データを復元することができ、読出データの信頼性を保証することができる。
【0254】
なお、この図38に示すメモリセルMCの配置において、読出ワード線RWL0およびRWL2が共有され、また読出ワード線RWL1およびRWL3が共有されてもよい。この場合、可変磁気抵抗素子VREaおよびVREcの抵抗状態に応じたデータを読出し、また、可変磁気抵抗素子CREbおよびVREdの抵抗状態に応じたデータを読出す。これらの2回の読出サイクルにおいて読出されたデータが互いに相補な場合には、正確なデータが読出されたこと保証され、対応のデータを生成することにより、データの信頼性を保証することができる。
【0255】
以上のように、この発明の実施の形態5に従えば、リング状に磁区が連結するように複数の可変磁気抵抗素子を配置してメモリセルを構成しており、ノイズ耐性の優れたメモリセルを有する半導体記憶装置を実現することができる。
【0256】
【発明の効果】
以上のように、この発明に従えば、可変磁気抵抗素子を演算素子および演算結果記憶素子として利用しており、小占有面積で高速演算処理を行なうことのできる演算回路装置を実現することができる。
【0257】
また、この演算結果記憶素子として、複数の可変磁気抵抗素子を線対称かつ点対称に配して磁区の方向のリング状に連結させることにより、ノイズ磁界の影響を受けることなく正確にデータを保持することができる。
【0258】
また、この演算結果記憶素子をメモリセルとして利用することにより、データ書込時の非選択メモリセルの記憶データの書換が生じるという磁気ディスターバンスの生じることのない信頼性の高い半導体記憶装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明に従う演算回路装置の全体の構成を概略的に示す図である。
【図2】 可変磁気抵抗素子の磁気特性を示す図である。
【図3】 この発明の実施の形態1に従う演算回路装置の要部の構成を示す図である。
【図4】 図3に示す演算回路装置のスタンバイ状態時の内部のトランジスタの状態を示す図である。
【図5】 図3に示す演算回路装置の演算処理動作時の内部のトランジスタの状態を示す図である。
【図6】 図3に示す演算回路装置のデータ読出時の動作を示す信号波形図である。
【図7】 図3に示す演算回路装置のデータ読出時の内部のトランジスタの状態を示す図である。
【図8】 図3に示す演算回路装置の読出データ増幅時の内部のトランジスタの状態を示す図である。
【図9】 図3に示す電源投入検出信号を発生する部分の構成の一例を示す図である。
【図10】 この発明の実施の形態1の変更例の重付け回路の構成の一例を示す図である。
【図11】 この発明の実施の形態1における演算回路装置のビット線駆動部の配置を概略的に示す図である。
【図12】 この発明の実施の形態2に従う演算回路装置の構成を示す図である。
【図13】 この発明の実施の形態2に従う演算回路装置のメモリセルの配置を概略的に示す図である。
【図14】 (A)は、ビット線とメモリ素子との距離と印加磁界との関係を示し(B)は、メモリ素子とデジット線との距離および印加磁界の関係を示す図である。
【図15】 この発明の実施の形態2の変更例を示す図である。
【図16】 この発明の実施の形態2の変更例2のデジット線およびビット線配置を概略的に示す図である。
【図17】 この発明の実施の形態3に従う演算回路装置の構成を示す図である。
【図18】 図17に示す回路装置のメモリセルに関連する部分のレイアウトを概略的に示す図である。
【図19】 この発明の実施の形態3におけるメモリセルとデジット線との距離および印加磁界強度の関係を概略的に示す図である。
【図20】 図17に示す重付け回路の構成の一例を示す図である。
【図21】 この発明の実施の形態3の変更例の構成を概略的に示す図である。
【図22】 この発明の実施の形態4におけるメモリセルの構成を概略的に示す図である。
【図23】 この発明の実施の形態4におけるメモリセルのレイアウトを概略的に示す図である。
【図24】 図23におけるメモリセルの第1の可変磁気抵抗素子の断面構造を概略的に示す図である。
【図25】 図23に示すメモリセルの第2の可変磁気抵抗素子の断面構造を概略的に示す図である。
【図26】 この発明の実施の形態4に従う演算回路装置の要部の構成を概略的に示す図である。
【図27】 この発明の実施の形態4における演算操作時の書込電流とメモリセルの磁化の関係を概略的に示す図である。
【図28】 この発明の実施の形態4における演算操作時の書込磁界とメモリセルの磁化方向の関係を示す図である。
【図29】 この発明の実施の形態5に従う半導体記憶装置の全体の構成を概略的に示す図である。
【図30】 この発明の実施の形態5における半導体記憶装置のメモリセルに関連する部分の構成を概略的に示す図である。
【図31】 図29に示す書込ビット線駆動回路の構成の一例を示す図である。
【図32】 図29に示すデジット線駆動回路の構成の一例を示す図である。
【図33】 図29に示す読出ワード線選択回路の構成の一例を示す図である。
【図34】 この発明の実施の形態5の変更例1のメモリセルの配置を概略的に示す図である。
【図35】 この発明の実施の形態5のメモリセルの変更例2の配置を示す図である。
【図36】 この発明の実施の形態5のメモリセルの配置の変更例3を示す図である。
【図37】 この発明の実施の形態5のメモリセルの配置の変更例4を示す図である。
【図38】 この発明の実施の形態5のメモリセルの配置の変更例5を示す図である。
【図39】 図38に示す読出回路の構成を概略的に示す図である。
【符号の説明】
1 演算回路装置、2 制御回路、4 ラッチ回路、10 演算/記憶回路、20 演算電流駆動回路、PB1,PB2 プログラムバッファ、OPK1−OPK4 演算記憶回路、M1,M2 可変磁気抵抗素子、DLM,DLMa,DLMb デジット線、BL1,BL2 ビット線、35 重付け回路、PBA1,PBA2 プログラムバッファ、DLA1,DLA2 デジット線、BLA ビット線、DLMA デジット線、RWCK 右側ビット線書込電流駆動回路、LWCK 左側ビット線書込電流駆動回路、UWCKA 上側ビット線書込電流駆動回路、LWCKA 下側ビット線書込電流駆動回路、WCK ビット線書込電流駆動回路、50,50a,50b 重付け回路、DLM1−DLM3 メインデジット線、DL11−DL13,DL21−DL23 デジット線、VREa−VREd 可変磁気抵抗素子、WBLa,WBBLb 書込ビット線、100 メモリセルアレイ、110 デジット線駆動回路、112 読出列選択回路、106L,106R 書込ビット線駆動回路、108 読出ワード線選択回路、114 読出回路、122 差動電流センス回路、RBL,RBLa,RBLb 読出ビット線。

Claims (3)

  1. 演算モード時、演算データに従って電流を演算電流線に流す演算電流駆動回路、および
    前記演算電流線に流れる電流が誘起する磁界により磁化状態が設定され、その磁化状態により情報を記憶する磁性体メモリセルを備え、
    前記演算データは、複数の処理データを含み、
    前記演算電流線は、前記メモリセルに対して物理的距離の互いに異なるそれぞれが個々の演算データに応じた電流を流す複数の電流線を含み、
    前記演算電流駆動回路は、前記複数の処理データに従って前記複数の電流線に電流を個々それぞれに供給する、演算回路装置。
  2. 前記演算電流駆動回路は、前記複数の処理データと前記複数の電流線との対応を変更する重付け変更回路を含む、請求項記載の演算回路装置。
  3. 磁性体メモリセル、
    電流を流し、前記電流が誘起する磁界により前記磁性体メモリセルの磁化状態を設定する書込電流線、および
    前記書込電流線の電流が誘起する磁界強度と前記磁性体メモリセルへの書込データとの対応を、重み設定信号に従って設定する重付け回路を備え
    前記書込データは複数ビットのデータであり、
    前記書込電流線は、互いに前記磁性体メモリセルに対する物理的な距離の異なる複数の電流線を含み、
    前記重付け回路は、前記複数ビットと前記複数の電流線との対応を変更する、演算回路装置。
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