JP4396961B2 - 分電盤の配線覆い支持構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、分電盤に収納した機器の操作部を露出させて箱体の前面を被覆する配線覆いの支持構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、分電盤に配線覆いを取り付ける際、分電盤の取り付け面の凹凸等によって箱体が歪んだ状態でも配線覆いを取り付けられるようにした分電盤の配線覆い支持構造としては、例えば、特許文献1に示されるものがある。この分電盤の配線覆い支持構造は、支柱の先端部に受体を設け、受体は先端面にすり鉢状の挿通孔を形成し、内部に挿通孔と連通した空洞を設け、この空洞内に矩形板状の角ナットを設けている。そして配線覆いの前面からローレットねじを配線覆いの挿入孔を通して支柱の挿通孔に挿通し、角ナットに螺合することにより、配線覆いを固定している。角ナットは挿通孔の半径方向に移動が可能になっているので配線覆いの挿入孔と角ナットが軸方向にずれていても少しのずれであればローレットねじと角ナットの螺合が可能になっている。
【0003】
また、配線覆いの取り付けを容易にする構造としては、例えば、特許文献2に示されるものがある。この配線覆い支持構造は、配線覆いの下端部に断面がコ字状の仮置き部を設け、仮置き部を箱体の開口下側短縁部に乗せて仮置きし、仮置き部を支点にし配線覆いを立てて、位置決めをしてからローレットねじで配線覆いを支柱に締め付け固定していた。
【0004】
また、配線覆いの封印構造としては、例えば、特許文献3に示されるものがある。これは、配線覆いを支持するための支柱に封印ネジ取付用ネジ孔を穿設し、配線覆いは封印ネジ取付用ネジ孔に対向する位置に封印ネジのネジ部を通すための通し孔を穿設し、また、封印ネジにより配線覆いとともに支柱に共締めされる封印片の回り止め用突起が係合するための係合孔を穿設し、封印片の回り止め用突起を配線覆いの係合孔に係合させ、封印ネジにより封印片と配線覆いを支柱に共締めし、封印ネジの封印孔と封印片の封印孔とに封印用ワイヤを挿通させて金属片で結合して封印をしていた。
【0005】
【特許文献1】
特開平8−163718号公報(第5頁、第6−8図)
【特許文献2】
実開平7−20008号公報(第6頁、第1−3図)
【特許文献3】
実開昭62−33608号公報(第5−6頁、第4図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1の配線覆い支持構造は、箱体の歪みが少し大きいと対応できないという問題があるし、特許文献2の配線覆いの取付構造は、配線覆いに部材を加工して追加しなければならずコストがかかるという問題があり、特許文献3の配線覆いの封印構造は、専用の部品を製作しなければならず、部品を紛失しやすいし、部品点数が多いので組立性が悪いという欠点があった。
【0007】
そこで上記問題点に鑑み、本発明の目的は、配線覆いと支柱との位置合わせの調整範囲が広く、箱体に歪みがあっても配線覆いを支柱に取り付けることができ、また、部品点数を増加させずに取り付け時の仮固定を可能にし、また、封印に必要な部品点数を少なくすることができる分電盤の配線覆い支持構造を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明によれば、分電盤の箱体の底面に立設した支柱により配線覆いを支持する構造において、支柱は上側支柱と下側支柱とに高さ方向に分割して構成し、上側支柱を左右方向又は上下方向に位置調整可能に固定手段により下側支柱に固定し、下側支柱を上側支柱の調整方向と直交するように上下方向又は左右方向に位置調整可能に固定手段により箱体の底面に固定したことを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の分電盤の配線覆い支持構造において、上側支柱と下側支柱の夫々の接合面に滑り止め部を形成したことを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明によれば、分電盤の箱体の底面に立設された支柱により配線覆いを支持する構造において、支柱の端部に配線覆いを引っ掛けるための係止部を形成し、配線覆いに係止部が係止する係止孔を穿設し、支柱の係止部に配線覆いの係止孔を挿通させて支持するようにするとともに、配線覆いの係止孔を通して前面に露出した支柱の係止部の先端に封印用ワイヤが挿通するための封印用孔を形成し、配線覆いにネジが挿通するための挿通孔を穿設し、挿通孔に封印ネジのネジ部を挿通させて支柱に形成したネジ孔に螺合し、封印ネジの頭部に穿設した貫通孔と支柱の封印用孔とに封印用ワイヤを挿通して封印可能にしたことを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
請求項1に記載の発明によれば、分電盤の箱体の底面に立設した支柱により配線覆いを支持する構造において、支柱は上側支柱と下側支柱とに高さ方向に分割して構成し、上側支柱を左右方向又は上下方向に位置調整可能に固定手段により下側支柱に固定し、下側支柱を上側支柱の調整方向と直交するように上下方向又は左右方向に位置調整可能に固定手段により箱体の底面に固定したことにより、配線覆いと支柱との位置合わせの調整範囲が広く、箱体に歪みがあっても配線覆いを支柱に取り付けることができる。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の分電盤の配線覆い支持構造において、上側支柱と下側支柱の夫々の接合面に滑り止め部を形成したことにより、位置調整がしやすく、また、上側支柱と下側支柱を螺着固定する際に回り止めし、輸送時に上側支柱と下側支柱のズレを防止する。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、分電盤の箱体の底面に立設された支柱により配線覆いを支持する構造において、支柱の端部に配線覆いを引っ掛けるための係止部を形成し、配線覆いに係止部が係止する係止孔を穿設し、支柱の係止部に配線覆いの係止孔を挿通させて支持するようにするとともに、配線覆いの係止孔を通して前面に露出した支柱の係止部の先端に封印用ワイヤが挿通するための封印用孔を形成し、配線覆いにネジが挿通するための挿通孔を穿設し、挿通孔に封印ネジのネジ部を挿通させて支柱に形成したネジ孔に螺合し、封印ネジの頭部に穿設した貫通孔と支柱の封印用孔とに封印用ワイヤを挿通して封印可能にしたことにより、部品点数を増加させずに取り付け時の仮固定を可能にし、また、封印に必要な部品点数を少なくし、コストを低減することができる。
【0014】
【実施例】
本発明に係る分電盤の配線覆い支持構造の一実施例を図1〜図3の添付図面に基づいて説明する。
【0015】
分電盤(図示せず)は前面を開口した箱体(図示せず)にブレーカ等の機器(図示せず)を配設し、箱体の前面開口に機器の操作部が露出するように窓孔を形成した配線覆い1が箱体の底面の四隅に立設された支柱2に取り付けられて支持される。
【0016】
支柱2は上側支柱2aと下側支柱2bとに高さ方向に分割して構成され、上側支柱2aと下側支柱2bの接合部3a,3bは接合面を広くするために板状に形成され、上側支柱2aの接合部3aには調整ネジ4が挿通するための横長の長孔5が穿設され、下側支柱2bの接合部3bには調整ネジ4が螺合する螺子孔6が形成されている。図において螺子孔6が複数設けられているのは下側支柱2bを箱体の左側に取り付ける際に下側支柱2bを反転させて使用するためである。そして、上側支柱2aの長孔5に調整ネジ4を挿通させて下側支柱2bの螺子孔6に緩く螺合し、上側支柱2aを長孔5に沿って移動させることにより上側支柱2aを下側支柱2bに対して左右方向へ位置調整することができる。位置調整ができたら調整ネジ4を完全に締め付けて固定する。また、上側支柱2aと下側支柱2bの夫々の接合面には縦方向に延びる複数の略V字状の突起と溝によって滑り止め部7a,7bが形成され、上側支柱2aと下側支柱2bの結合時に左右方向へ細かくずらすことができ調整がしやすいようになっている。また、上側支柱2aと下側支柱2bとを調整ネジ4で螺着する際に回り止めにもなり、製品完成後の輸送時には上側支柱2aと下側支柱2bのズレ防止になる。
【0017】
また、下側支柱2bの下端の取付部8には取付用孔9が穿設され、取付用孔9に取付ネジ10を挿通させて箱体の底面に螺着固定するようになっている。取付ネジ10のネジ部の直径は取付用孔9の直径より小さいので下側支柱2bをずらすことができ、上側支柱2aの調整方向と直交するように上下方向に位置調整することができる。尚、取付用孔9を縦長の長孔形状に形成することにより調整幅を大きくすることができる。
【0018】
上側支柱2aの端部には断面矩形状の係止部11が形成され、係止部11の基端には段部12が形成されている。配線覆い1は上側支柱2aの係止部11と対向する位置に矩形状の係止孔13が穿設され、上側支柱2aの係止部11に配線覆い1の係止孔13を引っ掛けて仮止めすることができ、配線覆い1を固定する際に両手が自由に使えるので一人で配線覆い1の取り付け作業を行うことができる。
【0019】
尚、配線覆い1の固定は、配線覆い1に穿設した挿通孔14にローレットネジ15のネジ部15aを前面から挿通させ、上側支柱2aの挿通孔14と対向する位置に形成したネジ孔16に螺着することにより、配線覆い1がローレットネジ15の頭部15bと上側支柱2aの段部12とで挟持されて固定することができる。
【0020】
また、配線覆い1の係止孔13を通して前面に露出した上側支柱2aの係止部11の先端には封印用孔17が形成され、図3に示すようにローレットネジ15を封印ネジ18に替え、ローレットネジ15による固定方法と同様に配線覆い1を上側支柱2aの係止部11に仮止めした状態で封印ネジ18のネジ部18aを配線覆い1の挿通孔14に挿通させ、上側支柱2aのネジ孔16に螺着して配線覆い1を固定し、封印ネジ18の頭部18bに形成された貫通孔19と上側支柱2aの封印用孔17とに封印用ワイヤ20を挿通させて金属片21で結合することにより封印を施すことができる。
【0021】
尚、本実施例において上側支柱を左右方向に位置調整可能にし下側支柱を上下方向に位置調整可能にしたが、上側支柱を上下方向に位置調整可能にし下側支柱を左右方向に位置調整可能にしても良く、また、固定手段についても限定はないし、また、上側支柱と下側支柱の接合面の滑り止め形状についても限定はない。また、配線覆いの仮止め構造についても配線覆いの係止孔が支柱に係止すれば良く、支柱の係止部の形状について限定はない。更に、仮止め構造は支柱を2分割して位置調整可能に形成しなくても問題なく利用でき、配線覆いと支柱の構造について本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0022】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1に記載の発明によれば、分電盤の箱体の底面に立設した支柱により配線覆いを支持する構造において、支柱は上側支柱と下側支柱とに高さ方向に分割して構成し、上側支柱を左右方向又は上下方向に位置調整可能に固定手段により下側支柱に固定し、下側支柱を上側支柱の調整方向と直交するように上下方向又は左右方向に位置調整可能に固定手段により箱体の底面に固定したことにより、配線覆いと支柱との位置合わせの調整範囲が広く、箱体に歪みがあっても配線覆いを支柱に取り付けることができるという効果がある。
【0023】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の分電盤の配線覆い支持構造において、上側支柱と下側支柱の夫々の接合面に滑り止め部を形成したことにより、位置調整がしやすく、また、上側支柱と下側支柱を螺着固定する際に回り止めし、輸送時に上側支柱と下側支柱のズレを防止するという効果がある。
【0024】
請求項3に記載の発明によれば、分電盤の箱体の底面に立設された支柱により配線覆いを支持する構造において、支柱の端部に配線覆いを引っ掛けるための係止部を形成し、配線覆いに係止部が係止する係止孔を穿設し、支柱の係止部に配線覆いの係止孔を挿通させて支持するようにするとともに、配線覆いの係止孔を通して前面に露出した支柱の係止部の先端に封印用ワイヤが挿通するための封印用孔を形成し、配線覆いにネジが挿通するための挿通孔を穿設し、挿通孔に封印ネジのネジ部を挿通させて支柱に形成したネジ孔に螺合し、封印ネジの頭部に穿設した貫通孔と支柱の封印用孔とに封印用ワイヤを挿通して封印可能にしたことにより、部品点数を増加させずに取り付け時の仮固定を可能にし、また、封印に必要な部品点数を少なくし、コストを低減することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る配線覆いの支持構造を示す斜視図である。
【図2】 上側支柱の平面図である。
【図3】 配線覆いの封印方法を示す斜視図であり、(a)は配線覆いの封印を行う前の状態、(b)は封印をした状態である。
【符号の説明】
1…配線覆い
2…支柱
2a…上側支柱
2b…下側支柱
3a,3b…接合部
4…調整ネジ
5…長孔
6…螺子孔
7a,7b…滑り止め部
9…取付用孔
10…取付ネジ
11…係止部
13…係止孔
17…封印用孔
18…封印ネジ
20…封印用ワイヤ
Claims (3)
- 分電盤の箱体の底面に立設した支柱により配線覆いを支持する構造において、前記支柱は上側支柱と下側支柱とに高さ方向に分割して構成し、前記上側支柱を左右方向又は上下方向に位置調整可能に固定手段により前記下側支柱に固定し、前記下側支柱を前記上側支柱の調整方向と直交するように上下方向又は左右方向に位置調整可能に固定手段により前記箱体の底面に固定したことを特徴とする分電盤の配線覆い支持構造。
- 前記上側支柱と前記下側支柱の夫々の接合面に滑り止め部を形成したことを特徴とする請求項1に記載の分電盤の配線覆い支持構造。
- 分電盤の箱体の底面に立設された支柱により配線覆いを支持する構造において、前記支柱の端部に前記配線覆いを引っ掛けるための係止部を形成し、前記配線覆いに前記係止部が係止する係止孔を穿設し、前記支柱の係止部に前記配線覆いの係止孔を挿通させて支持するようにするとともに、前記配線覆いの係止孔を通して前面に露出した前記支柱の係止部の先端に封印用ワイヤが挿通するための封印用孔を形成し、前記配線覆いにネジが挿通するための挿通孔を穿設し、該挿通孔に封印ネジのネジ部を挿通させて前記支柱に形成したネジ孔に螺合し、前記封印ネジの頭部に穿設した貫通孔と前記支柱の封印用孔とに前記封印用ワイヤを挿通して封印可能にしたことを特徴とする分電盤の配線覆い支持構造。
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