JP4396768B2 - ポリアミドおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
また、カダベリンは生体内に普遍的に存在する生体アミンであり、その生合成系が解明されつつある(非特許文献3参照。)。また、エシェリシア・コリ(Escherichia coli)由来のL−リジン脱炭酸酵素遺伝子が知られている(非特許文献4参照。)。
「(1)カダベリンとアジピン酸との塩を原料にしたポリアミドであって、2,3,4,5−テトラヒドロピリジンの含有量が0.30wt%以下のポリアミド。
(2)カダベリンとアジピン酸との塩を原料にしたポリアミドであって、トリ−n−ブチルアミンの含有量が0.003wt%未満のポリアミド。
(3)カダベリンとアジピン酸との塩を原料にしたポリアミドであって、2,3,4,5−テトラヒドロピリジンの含有量が0.30wt%以下かつトリ−n−ブチルアミンの含有量が0.003wt%未満のポリアミド。
(4)L−リジン塩水溶液に、L−リジン脱炭酸酵素を作用させ、反応液からカダベリンを単離させる工程と、カダベリンとジカルボン酸との塩を加熱重縮合する工程を含む、ポリアミドの製造方法。」である。
Column:NUKOL 30m×0.24mmI.D. 0.2μm Film
Oven:120℃(一定)
InJ:200℃(Split 10:1)
Flow:He 2.4ml/min (const.Flow)
MS:230℃(SCAN m/z=30〜400)
このようにして得られたカダベリンは、ポリアミドの原料として有用である。
使用カラム:CAPCELL PAK C18(資生堂)
移動相:0.1%(w/w)H3PO4:アセトニトリル=4.5:5.5
検出:UV 360nm
サンプル前処理:分析サンプル25μlに内標として0.03M 1,4−ジアミノブタンを25μl、0.075M 炭酸水素ナトリウムを150μlおよび0.2M 2,4−ジニトロフルオロベンゼンのエタノール溶液を添加混合し37℃で1時間保温する。上記反応溶液50μlを1mlアセトニトリルに溶解後、10,000rpmで5分間遠心した後の10μlをHPLC分析した。
(1)L−リジン脱炭酸酵素遺伝子のクローニングおよび細胞内発現ベクターの作製
L−リジン脱炭酸酵素を用いてL−リジン塩からカダベリンに変換させるために、E.coliのL−リジン脱炭酸酵素遺伝子(cadA)のクローニングを行った。
pLDC1でE.coli JM109株をアンピシリン耐性に形質転換し、得られた形質転換体をJM109/pLDC1株と命名した。
この組み換えL−リジン脱炭酸酵素は、N末端アミノ酸配列に6個のヒスチジン残基があることから、ニッケルイオンとの相互作用を利用した精製を行った。まず、10mlのキレーティング セファロース ファースト フロー(Chilating Sepharose Fast Flow)担体(アマシャム バイオサイエンス社製)を充填したカラムシステムを構築した。このカラムに50mlの50mM 硫酸ニッケル水溶液、50mlのTBS緩衝液の順で流した後、(2)と同様の方法で得られたJM109/pLDC1株の500mL培養液由来の50ml細胞破砕液を流した。その後、100mlの5mM イミダゾールを含むTBS緩衝液、100mlの50mM イミダゾールを含むTBS緩衝液をこの順序で流した。更に50mlの600mM イミダゾールを含むTBS緩衝液を流した。カラムに流した各々の緩衝液のL−リジン脱炭酸酵素活性を(2)と同様の方法で測定したところ、600mM イミダゾールを含むTBS緩衝液のみに活性があった。また、カラムに流した各々の緩衝液をSDS−PAGEし、クマシーブリリアントブルーで染色したところ、600mM イミダゾールを含むTBS緩衝液から、約80kDaの単一バンドを検出した。また、カラムに流した各々の緩衝液を(2)と同様の方法でウエスタンブロッティングを行ったところ、600mM イミダゾールを含むTBS緩衝液のみに約80kDaタンパク質を検出し、この精製タンパク質はL−リジン脱炭酸酵素活性を有する組み換えL−リジン脱炭酸酵素であることを確認した。
まず、リポプロテインの配列の一部および外膜結合タンパク質(OmpA)の46番目のアミノ酸から159番目のアミノ酸までの配列を一つのカセットとしてクローニングした。
pTM16でE.coli JM109株をアンピシリン耐性に形質転換し、得られた形質転換体をJM109/pTM16株と命名した。
1000mlのフラスコに、表1に示すL−リジンまたはL−リジン塩を終濃度1.35Mになるように各種L−リジンを加え調整した水溶液500mlを加えた。その後、終濃度50mg/Lになるように参考例1(3)で得た精製した組み換えL−リジン脱炭酸酵素を加え作用させた。45℃で48時間反応した後の反応液中に含まれるカダベリンの濃度を測定した。その結果を表1に示す。
1000mlのフラスコに、L−リジン一塩酸塩を終濃度1.35Mになるように調整した水溶液500mlを加えた。次に表2に示す各種ビタミンB6を終濃度0.05mMになるように添加した。最後に終濃度50mg/Lになるように参考例1(3)で得た精製した組み換えL−リジン脱炭酸酵素を加え作用させた。45℃で48時間反応した後の反応液中に含まれるカダベリンの濃度を測定した。その結果を表2に示す。
1000mlのフラスコに、終濃度1.35MになるようにL−リジン一塩酸塩を加え調整した水溶液500mlを加えた。次にピリドキサルリン酸一水和物を終濃度0.05mMになるように添加した。最後に、終濃度50mg/Lになるように参考例1(3)で得た精製した組み換えL−リジン脱炭酸酵素を加え、45℃において作用させた。残存L−リジン濃度をHPLCにより常に測定し、表3に示す残存L−リジン濃度に達した際に反応溶液を80℃に加熱し反応を停止した。これら反応液に水酸化ナトリウムを添加し、反応液のpHを13以上にした。次にクロロホルムを反応液と等量加え、クロロホルム相にカダベリンを抽出した。最後にこのクロロホルム相を、減圧蒸留(30mmHg、80℃)することによりカダベリンを単離した。この単離操作における精製収率を表3にまとめる。
参考例1に示す方法により得られたJM109/pLDC1株を培養し表4に示すような精製処理をおこなった。また、L−リジン脱炭酸酵素が細胞表面に局在化したJM109/pTM16株の培養も行った。また、参考例1に示す方法により得られたJM109/pTV118N株の培養も行った。
L−リジン一塩酸塩20g(Fluka社製)シクロヘキサノール100ml(シグマアルドリッチジャパン製)に懸濁し、次いで28%ナトリウムメトキシド/メタノール溶液(シグマアルドリッチジャパン製)21.2ml、2−シクロヘキセン−1−オン1ml(シグマアルドリッチジャパン製)を加え、155℃で3時間加熱撹拌した。反応終了後、反応混合物に塩化水素4g(シグマアルドリッチジャパン製)を含むイソプロパノール溶液20ml(シグマアルドリッチジャパン製)を加え、析出した生成物を回収し、乾燥することによりカダベリン二塩酸塩を得た(特公平4−10452の実施例3記載の方法)。この水溶液に、水酸化ナトリウム水溶液を添加することによってカダベリン二塩酸塩をカダベリンに変換し、クロロホルムで抽出して、減圧蒸留(30mmHg、80℃)することにより、カダベリンを得た。
参考例15〜19で得られた各反応液(参考例21〜25)を参考例10〜13に示した精製方法によりカダベリンを単離した。不純物の分析を、下記に示す条件でGC−MS法により行い、参考例20で調製したカダベリン(参考例26)の不純物分析と比較した結果を表6に示す。
GC/MS:HP6980/HP5973A
Column:NUKOL 30m×0.24mmI.D. 0.2μm Film
Oven:120℃(一定)
InJ:200℃(Split 10:1)
Flow:He 2.4ml/min (const.Flow)
MS:230℃(SCAN m/z=30〜400)
参考例18のカダベリン10.3gを、水25g中に溶解した水溶液を、40℃のウォーターバスに浸して撹拌しているところに、アジピン酸(カーク製)を約1gずつ、中和点付近では約0.2gずつ添加していき、アジピン酸添加量に対する水溶液のpH変化を調べ、中和点を求めると、pH8.66であった。pHが8.66になるように、カダベリンとアジピン酸の等モル塩の50wt%水溶液を調製した。
参考例20のカダベリン10.3gを、水25g中に溶解した水溶液を、40℃のウォーターバスに浸して撹拌しているところに、アジピン酸(カーク製)を約1gずつ、中和点付近では約0.2gずつ添加していき、アジピン酸添加量に対する水溶液のpH変化を調べ、中和点を求めると、pH8.72であった。pHが8.72になるようにカダベリンとアジピン酸の等モル塩の50wt%水溶液を調製した。
参考例27で調製したカダベリンとアジピン酸の等モル塩の50wt%水溶液50.0gを試験管に仕込み、オートクレーブに入れて、密閉し、窒素置換した。ジャケット温度を265℃に設定し、加熱を開始した。缶内圧力が17.5kg/cm2に到達した後、缶内圧力を17.5kg/cm2で3時間保持した。その後、ジャケット温度を275℃に設定し、2時間かけて缶内圧力を常圧に放圧した。その後、缶内温度が245℃に到達した時点で、加熱を停止した。室温に放冷後、試験管をオートクレーブから取り出し、ポリアミドを得た。
参考例28で調製したカダベリンとアジピン酸の等モル塩の50wt%水溶液50.0gを用いる以外は、実施例1と全く同様の方法でポリアミドを得た。
実施例1で得られたポリアミドおよび比較例1で得られたポリアミドを下記に示す方法で比較評価した。その結果を表7に示す。
ポリアミド約15gを精秤して、メタノールでソックスレー抽出し、その抽出液を、下記条件でGC−MS分析して、ポリアミド中に含まれる2,3,4,5−テトラヒドロピリジン、およびトリ−n−ブチルアミンを定量した。
装置:ヒューレットパッカード製 HP5890質量検出器
カラム:5%−ジフェニル−95%−ジメチルポリシロキサン
カラム温度:Initial 100℃
Final 250℃
昇温速度:10℃/min
注入口温度:230℃
検出器温度:280℃
キャリアガス:ヘリウム
注入口圧力:50kg/cm2
試料注入量:1μl。
セイコー電子工業製ロボットDSCRDC220を用い、窒素雰囲気下、ポリアミドを約5mgを採取し、次の条件で測定した。融点+25℃に昇温して3分間保持し、ポリアミドを完全に融解させた後、20℃/分の降温速度で、30℃まで降温し、3分間保持した後、30℃から融点+25℃まで20℃/分の昇温速度で昇温したときに観測される吸熱ピークの温度、および熱量を求めた。
98%硫酸中、0.01g/ml濃度、25℃でオストワルド式粘度計を用いて測定を行った。
試験管にポリアミド約5gを仕込み、窒素雰囲気下、融点+20℃の温度のシリコンバスに浸漬し、ポリアミドが完全に溶融してから30分間放置した後、ポリアミドを回収して相対粘度測定を行った。
Claims (4)
- カダベリンとアジピン酸との塩を原料にしたポリアミドであって、2,3,4,5−テトラヒドロピリジンの含有量が0.30wt%以下のポリアミド。
- カダベリンとアジピン酸との塩を原料にしたポリアミドであって、トリ−n−ブチルアミンの含有量が0.003wt%未満のポリアミド。
- カダベリンとアジピン酸との塩を原料にしたポリアミドであって、2,3,4,5−テトラヒドロピリジンの含有量が0.30wt%以下かつトリ−n−ブチルアミンの含有量が0.003wt%未満のポリアミド。
- L−リジン塩水溶液に、L−リジン脱炭酸酵素を作用させ、反応液からカダベリンを単離する工程と、カダベリンとジカルボン酸との塩を加熱重縮合する工程を含む、ポリアミドの製造方法。
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