JP4396341B2 - 光ヘッド装置 - Google Patents
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このように大きなNAの対物レンズを設けた光ディスクシステムでは、光ディスク(高密度ディスク)の傾き(そり)による収差を低減するために、ディスクカバー厚を0.1mm程度にする必要がある。そこで、このように薄い光ディスクのディスクカバーは、従来の射出成型では製造が困難であることから、シート状に成型した樹脂フィルムを切り出す方法が用いられる。
図3に示すように、ディスクカバーをフィルムなどのシート状の樹脂で作成した場合、このシート状の樹脂での複屈折は、シート作成時に一方向に応力がかかるなどして、進相軸の方向が概ね一方向に向きやすい。例えば、図8に光ディスクDでの複屈折の面内分布の一例を模式的に示したものであるが、矢印αは複屈折の遅相軸の方向を示す。また、積層工程などでも複屈折が発生する場合がある。このように、ディスクカバーをフィルムで形成した光ディスクは、従来のDVDやCDと異なり、複屈折の進相軸方向がディスクに対して回転対称とはならない。
従って、前述の特許文献1に記載のような位相差のみを変化させる方法では、光検出器への光量を安定させることができず、記録特性や再生特性を劣化させてしまい、問題となっていた。また、光源の波長が400nm帯と短波長化することで、光ディスクの複屈折による偏光状態の変化も大きくなり、問題を深刻化していた。
前記光記録媒体の回転位置に応じて前記可変位相板に所要の電圧を印加し前記可変位相板の複屈折位相量とその複屈折の進相軸方向とを変更させる制御手段を備え、前記対物レンズの前記光記録媒体側への透過光が楕円偏光となることを特徴とする光ヘッド装置を提供する。
前記2つの液晶層は、液晶の配向方向が45度又はこれに近い角度で交差する上記の光ヘッド装置を提供する
前記液晶層は、入射する前記光源からの光の前記偏光方向と、液晶の配向方向とが、22.5度の奇数倍の角度で、または22.5度に近い角度の奇数倍の角度で交差する上記の光ヘッド装置を提供する。
図1は、本発明の実施形態に係る光ヘッド装置10を示すものであり、この光ヘッド装置10は、光源である半導体レーザー11と、コリメータレンズ12と、ビームスプリッター13と、可変位相板20と、対物レンズ14と、光検出系15と、制御回路16を備えており、半導体レーザー11からの出射光を光記録媒体である光ディスクD上に集光させ、その光ディスクDに情報を記録したり、光ディスクDの情報を再生したりする。
制御回路16は、光ディスクDに記録された記録情報を正確に再生するとともに記録するために、光ディスクDが回転する際、その回転位置に応じて可変位相板20での複屈折位相量とその複屈折の方向とを制御する。そのため、この制御回路16は、所要の制御電圧を発生して可変位相板20に印加する制御手段を構成している。なお、本実施形態の制御回路16は、光検出器に入射する光強度が最適となるように、可変位相板20に所要値の電圧を印加する。
可変位相板20は、制御回路16からの駆動信号を入力することで、リタデーション量や複屈折の方向を変化させることができる。
本実施形態の可変位相板20は、液晶層を2層(2つの液晶層)で構成しており、具体的には、3枚の基板21、22、23と、これらの基板21、22、23とシール材30との間に形成される空間内に充填された2つの液晶層24、25とを設けており、位相差可変用の液晶素子を構成している。なお、本実施形態では、光源である半導体レーザー11からの光が、直線偏光またはこれに近い偏光状態で、入射面である基板21から入射する。
透明電極26〜29は、配線28A、29A(図2では、透明電極28、29の配線のみ図示する)を介して制御回路16と接続されている。なお、この図2では省略したが、透明電極26〜28の表面には、絶縁膜や配向膜を成膜することが好ましい。
この可変位相板20は、例えば、図3に示すように、ツイストをさせていない液晶層LC1とLC2での液晶の配向方向を45度(または、これに近い角度;たとえば45度±10度)で交差させるとともに、制御回路16でそれぞれ電圧制御を独立に行う構成とすれば、それぞれの液晶層LC1、LC2での位相差を独立に変化させることにより、位相差と光学軸方向を自由に変化させることができ、好ましい。
θ=22.5・N ・・・(1)
ここで、N=2n+1(但し、nは整数)
(または、この角度θの近傍の角度;たとえばθ=22.5・N±10[度])で交差させることにより、液晶層LC1での位相差の変化量が小さな範囲でも、2層の液晶層LC1、LC2の組み合わせにより、位相差と光学軸の変化範囲を大きく取れるので好ましい。
なお、図4(B)、図5(B)、図6(B)は、偏光状態を示すポアンカレ球を北極方向から見た平面図であり、偏光状態を示すストークスパラメータS1、S2、S3のうちS1−S2座標系で、液晶層LC1とLC2を透過した光の偏光状態を示した。但し、紙面に垂直にS3軸、また、水平軸、垂直軸がそれぞれS1とS2の各軸をあらわす。また、図中、S1とS2が0となり、S3が±1となる点は円偏光状態を表し、原点からの距離が離れるにしたがって直線偏光に近い状態を表す。なお、ストークスパラメータS1、S2、S3とは、光の偏光状態により、電場の方向と振幅を記述するための光学的な要素であり、S1は横偏光と縦偏光の差、S2、は45°偏光と135°偏光の差、S3は右円偏光と左円偏光の差を示すものである。
例えば、図4(B)に示す円周上は、楕円率の等しい楕円偏光で楕円の軸方向が円周上で変化していることを示す。また、図4(B)にくらべ、図5(B)、図6(B)はポアンカレ球上で半径が大きな円であり、これはより直線偏光に近い楕円偏光であることがわかる。
つまり、これは、光ディスクの回転に伴って変化する複屈折をキャンセル(相殺)するような複屈折を、本発明の可変位相板が発生可能であることを意味している。これを利用して、光ディスクDの複屈折量にあわせて、液晶層LC1とLC2の位相差、つまり液晶層LC1とLC2に印加する電圧を時間変化させることで、光ディスクDの複屈折をキャンセルできる。これにより、光ヘッド装置での良好な記録特性および再生特性を得ることができる。
光ディスクDが高密度ディスク(例えば、ブルーレイ・ディスクなど)の場合には、この光ディスクDに入射する光は、図示外の対物レンズのNAが0.85と非常に大きいため、周辺光Lfと中心光Lcの光で入射角が大きく異なる。これにより、ディスクDの複屈折の影響が周辺光と中心の光では異なる。なお、同図において、複屈折楕円体IEを模式的に示した。
従って、例えば直線偏光が入射する光ヘッド装置においては、この入射角度により屈折率が異なることで非点収差が発生し、ディスクの記録および再生特性を劣化させる。従来のDVDやCDではNAが小さかったためにこのような複屈折の入射角依存性は小さく無視できたが、高NAの光ヘッド装置では無視できなくなる。
この実施例では、光源として、前述したように、波長λ(=405nm)を発振する青色レーザー11を用いた。また、可変位相差板20には、制御電圧を発生して出力する(制御電圧の発生手段である)制御回路16を備えており、光ディスクDの情報を正確に記録したり再生できるように可変位相差板20の制御をする。例えば、光検出系15に設けた図示外の光検出器に入射する光強度が最適となるように、制御回路16から可変位相差板20に電圧を印加する。つまり、この可変位相差板20は、制御回路16より駆動信号が入力することで、リタデーション量や複屈折の方向を変化させることができる。
即ち、この図3では、光の入射偏光方向と、光の入射側(光源側)の液晶層LC1の配向方向とのなす角を22.5度とし、また、液晶層LC1の位相差を90度、液晶層LC2の位相差を45度とすることで、直線偏光で入射した光は円偏光となり、可変位相板20は1/4波長板として機能する。光ディスクDに複屈折がほとんどない場合には、このような位相差が発生するように液晶層LC1とLC2に電圧を印加することが好ましい。
例えば、図4(B)に示す円周上は、楕円率の等しい楕円偏光で、楕円の軸方向が円周上で変化していることを示す。また、この図4(B)にくらべ、図5(B)や図6(B)はポアンカレ球上で半径が大きな円であり、これはより直線偏光に近い楕円偏光であることがわかる。
これは、図8に示すような面内でほぼ均一な複屈折分布を持つ光ディスクDを回転したときに、対物レンズを透過した光が感じる複屈折の変化とほぼ等価である。つまり、これは、光ディスクDの回転に伴って変化する複屈折をキャンセル(相殺)するような複屈折を、本発明の可変位相板20が発生可能であることを意味している。
これを利用して、光ディスクDに、複屈折量にあわせて液晶層LC1とLC2の位相差、つまり液晶層LC1とLC2に印加する電圧を時間変化させることで、光ディスクの複屈折をキャンセルさせることができる。その結果、良好な記録特性および再生特性を有する光ヘッド装置を得ることができる。
11 半導体レーザー(光源)
12 コリメータレンズ
13 ビームスプリッター
14 対物レンズ
15 光検出系
16 制御回路(制御手段)
20 可変位相板
21、22、23 基板
24、25 液晶層(LC1、LC2)
26、27、28、29 透明電極
28A、29A 配線(フレキシブルプリント基板)
30 シール材
D 光ディスク
IE 屈折率楕円体
LC 中心光
Lf 周辺光
α (複屈折の)遅相軸方向
Claims (4)
- 光源と、前記光源からの出射光を光記録媒体上に集光させる対物レンズと、前記光源と前記対物レンズとの間に設けられ前記光源から出射した光の偏光状態を変更させる可変位相板とを備えた光ヘッド装置であって、前記光記録媒体の回転位置に応じて前記可変位相板に所要の電圧を印加し前記可変位相板の複屈折位相量とその複屈折の進相軸方向とを変更させる制御手段を備え、前記対物レンズの前記光記録媒体側への透過光が楕円偏光となることを特徴とする光ヘッド装置。
- 前記可変位相板は、2つの液晶層と前記2つの液晶層に臨んで設けた透明電極とを有するとともに、前記2つの液晶層は、液晶の配向方向が45度又はこれに近い角度で交差する請求項1に記載の光ヘッド装置。
- 前記可変位相板は、前記光源から出射した光が入射する入射面において、直線偏光またはこれに近い偏光状態で入射するとともに、前記液晶層は、入射する前記光源からの光の前記偏光方向と、液晶の配向方向とが、22.5度の奇数倍の角度で、または22.5度に近い角度の奇数倍の角度で交差する請求項2に記載の光ヘッド装置。
- 前記可変位相板において、位相差量の分布を形成した分布方向が、前記可変位相板の前記入射面の面方向と平行な方向である請求項1から3のいずれか1項に記載の光ヘッド装置。
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