JP2011054251A - 液晶光学素子及びこれを用いた光ピックアップ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】2層光ディスクやプラスチック対物レンズの温度変化などにより発生する球面収差を補正するため、往路用と復路用の回折レンズを備えているにもかかわらず、それぞれの回折レンズの光軸ズレが小さく、製造が容易な液晶光学素子及びこれを用いた光ピックアップ装置を提供する。
【解決手段】液晶表示素子5はレーザー光が往復する光路中に配置され、回折レンズ機能及び球面収差補正機能を有する往路用補正部1と、少なくとも回折レンズ機能を有する復路用補正部2とを有し、往路用補正部1及び復路用補正部2の回折レンズ用電極が透明基板20の表裏に一体形成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、光ピックアップ装置などに用いられる液晶光学素子及びこれを用いた光ピックアップ装置に関する。
CD、DVD、BD(ブルーレイ・ディスク)等の光ディスクや、光磁気ディスク等から情報を読み取ったり、これらに書き込んだりするのに光ピックアップ装置が用いられている。この光ピックアップ装置は、レーザー光源から出射したレーザー光を光ディスクに照射し、光ディスク表面のトラックに記録された情報を読み取ったり、そのトラックに情報を書きこんだりする。
この光ピックアップ装置により光ディスク上に焦点を結ぼうとするときに、光ディスク上に設けられた透明樹脂層が影響して焦点位置が光ピックアップ装置の対物レンズの中心軸(光軸ともいう)に沿って分散してしまうことがある(レンズ中心軸に沿って焦点が分散する現象が球面レンズの球面収差と似ているため、以下この現象を球面収差と呼ぶ)。この球面収差に対し非球面対物レンズを使うことがあった。しかし同一種類の光ディスクであってもそれぞれの光ディスク毎に樹脂層の厚みがばらつくことに加え、樹脂層の厚さや材質が大きく異なる前述の3種類の光ディスクに同一の光ピックアップ装置で対応するためには単一の非球面対物レンズだけでは済まなくなる。
前述のような複数種類の光ディスクに対応するため、対物レンズを光軸にそって動かしたり、対物レンズの前に液晶光学素子を配置したりすることがある。対物レンズを光軸方向に動かすフォーカシングは、単に像面(焦点位置)を移動させるだけなので球面収差を補正してはいない。このためフォーカシング機能と収差補正機能を兼ね備えたシステムが望まれているが、機械的なフォーカシングの代わりに液晶光学素子を用いてフォーカシングを行い、それと同時に球面収差を補正する方法が知られている。
例えば特許文献1の液晶光学素子は、2層光ディスクの層間ジャンプ(フォーカシング相当)と球面収差補正を同時に処理することを目指している。この光学素子は、図9(段落0039)に記載されているように、半導体レーザ61から出射したレーザー光が、偏光ビームスプリッタ62とコリメータレンズ63を通り、液晶レンズ素子64(液晶光学素子)で球面収差補正され、4分の1波長板61、対物レンズ66を経て2層光ディスクDの第1記録層D1に焦点を結ぶ。言い換えると、段落(0024)に記載されているように、比較的大きなパワー(波面を収束あるいは発散させる能力をレンズのパワーとよぶ)を発生するフレネルレンズ部と、パワーを連続的に変化させられる電極レンズ部とによりピント調整とカバー厚(透明樹脂層)に起因する球面収差を補正している。
特許文献1では他の種類の光ディスクへの対応は明示されていないが、光ピックアップ装置に簡単な機械的フォーカシング機構を付加すれば可能と思われる。しかしながらCD、DVD、及び2層も含めたBDに対応するのに必要な補正量を見積もると、適切に設計された非球面対物レンズと球面収差補正用の液晶光学素子(特許文献1の電極レンズ部に相当)だけでも対応できる。すなわち非球面レンズを含む光学系が適度な球面収差を持ち、液晶光学素子がこの球面収差及びカバー厚に起因する球面収差を補正し各光ディスクに対しピント調整する。特許文献1に即して言うと、非球面対物レンズとフレネルレンズ部のない液晶光学素子との組み合わせにより球面収差補正を受けたレーザー光は、光ディスクの樹脂層で発生する球面収差の相殺ばかりでなく層間ジャンプのような焦点距離変動まで含めた形で所望の位置に結像する。ところが光ピックアップ装置の軽量化・低コスト化
のためにプラスチック製対物レンズを用いようとすると、この対物レンズは温度によって屈折率が変化し球面収差が発生してしまうので、やはり光ディスクの情報を安定して読み書きするためには強力なパワーを有する球面収差補正が必要となる。
そこで強力なパワーを有する球面収差補正に立ち戻り、この液晶光学素子を図7で説明する。図7は、特許文献1の図1を転記し参照符号を変えたもので、フレネルレンズ部110A,110Bと電極レンズ部110Cを備えた液晶光学素子100の断面図を示している。
図7において、液晶光学素子100は、透明基板111〜114間に挟持された液晶層124,125,126を備え、それぞれの液晶層124,125,126がフレネルレンズ部110A、フレネルレンズ部110B、電極レンズ部110Cに含まれる。
フレネルレンズ部110Aに含まれる一対の透明基板111,112には液晶層124に電圧を印加するための透明電極115,116が形成されており、透明電極116には凸凹部を有する透明樹脂127が積層している。同様にフレネルレンズ部110Bに含まれる一対の透明基板112,113にも液晶層125に電圧を印加するための透明電極117,118が形成されており、透明電極118には凸凹部を有する透明樹脂128が積層している。なお、液晶層125の配向方向は液晶層124の配向方向と90度異なる。電極レンズ部110Cは、一対の透明基板113,114により挟持された液晶層126に電圧を印加するための透明複合電極119,120が形成されており、液晶層126の配向方向は液晶層125の配向方向と同一である。
この様な構成の液晶光学素子100を光ピックアップ装置に用いることで、フレネルレンズ部110Bと電極レンズ部110Cによりプラスチック製の対物レンズや光ディスク上の樹脂層で発生する往路光の球面収差を補正できる。そして光ディスクから反射された復路光は、偏光方向が往路と直交するためフレネルレンズ部110Bと電極レンズ部110Cを素通りし、フレネルレンズ部110Aで平行光束に戻るから、光検出器に対し正確に焦点を結ぶことができる。この結果、液晶光学素子100を用いた光ピックアップ装置は安定した情報の読み書きを達成できる。
なお、フレネルレンズ部110A,110Bは透明基板112,113上に透明電極116,118と透明樹脂127,128とを積層していた。これに対し透明樹脂127,128を用いず、透明電極116,118を同心円状に配列する輪帯状電極に分割し、鋸歯形状(ブレーズ)の屈折率分布を持たせたブレーズ型フレネルレンズ(以下回折レンズと呼ぶ)も知られている。例えば特許文献2には輪帯状電極の組み合わせ方を変えて回折レンズの焦点距離を切り替える手法が示されている。特許文献2では所望の焦点距離を得ようとするとき、段落(0019)に記載された式(1)により、位相が0から2πまで変わる輪帯状電極の組み合わせ(ゾーン)を決め、各ゾーンの各輪帯状電極に電圧を印加し鋸歯形状の位相分布を持たせている。
特開2006−85801号公報(図9、段落(0039)、段落(0024)、図1) 特開平5−100201号公報(段落(0019))
一般的に液晶光学素子を製造する場合、一個の液晶光学素子の電極パターンが多数配列
するマザーガラスを重ね合わせ、この重ね合わせたマザーガラスを切断して一個の液晶光学素子を得ることが多い。液晶光学素子100を作るのにも、透明基板111,112,113,114を含む4枚のマザーガラスを重ね合わせ、これから一個の液晶光学素子100を切り出すことになる。ここで図7に示すように液晶光学素子100は、フレネルレンズ部110Aとフレネルレンズ部110B及び電極レンズ部110Cの光軸が完全に一致していることが望ましいが、透明基板112,113,114を含む3枚のマザーガラスを重ね合わせる際にマザーガラスの外形を基準として採用すると仮定すると、フレネルレンズ部110Aとフレネルレンズ部110B及び電極レンズ部110Cの光軸は100μmオーダーでずれてしまい、液晶光学素子として充分に機能しない。このことは透明樹脂127,128の代わりに輪帯状電極でブレーズ状の屈折率分布を持たせた回折レンズでも同様である。
マザーガラスの外形で位置合わせする方法では精度が充分でないので、各マザーガラスに位置合わせマークを持たせることがある。マザーガラス同士を位置合わせマークで重ねあわせる精度は10μm以内に収められるが、シール121,122を焼結する際にズレが起こる。つまり第1と第2のフレネルレンズ部110A,110B及び電極レンズ部110Cの光軸の位置合わせ精度は、重ね合わせ誤差と焼結によるズレが積算され10μmオーダーとなる。この結果、球面収差補正が十分ではなくなったり、往路光と復路光の経路が一致しなくなるため光検出器に正確に焦点が結べなくなったりするという事態が発生する。このため光ピックアップ装置の特性を維持するためには、常に細心の注意を払った高い“位置あわせ精度”を確保しておかなければならないという問題があった。
本発明は、上記従来技術の有する問題に鑑みてなされたものであり、光ディスクの種類の違いで異なる樹脂層の材質及び厚さや、プラスチック対物レンズの温度変化などにより発生する球面収差を補正するため、往路用と復路用の回折レンズを備えているにもかかわらず、それぞれの回折レンズの光軸ズレが小さく、製造が容易な液晶光学素子及びこれを用いた光ピックアップ装置を提供することを目的とする。
本発明は、レーザー光が往復する光路中に配置される液晶光学素子において、対向配置された第1及び第2基板間に液晶層を挟持し、回折レンズ機能及び球面収差補正機能を有する往路用補正部と、第2基板と、この第2基板に対して第1基板とは反対側に対向配置された第3基板との間に液晶層を挟持し、少なくとも回折レンズ機能を有する復路用補正部と、を備え、第2基板の両面に回折レンズ用電極がそれぞれ形成され、第1基板の液晶層側の面に収差補正用電極が形成されていることを特徴とするものである。
第3基板の液晶層側の面に収差補正用電極が形成されていても良い。
収差補正機能が球面収差補正機能であっても良い。
本発明は、レーザー光を出射するレーザー光源と、レーザー光を光ディスクに集光する対物レンズと、光ディスクからの反射光を受光する受光器とを有する光ピックアップ装置であって、レーザー光の光路中に、位相差板と液晶光学素子とを備えることを特徴とするものである。
対物レンズがプラスチックレンズであっても良い。
以上の説明から明らかなように本発明によれば、第2基板の両面に回折レンズ用電極が形成されているため、複数のマザーガラスを重ね合わせた後の焼結時に大きなパワーを
発生する回折レンズ同士の光軸のズレが、回折レンズ用電極を形成するときに使われる露光装置の位置合わせ精度だけで決まる。また重ね合わせ時に回折レンズ同士の光軸を調整する工程が不要になるため製造工程が容易になる。この結果、回折レンズの光軸のズレが小さく、製造が容易な液晶光学素子及びこれを用いた光ピックアップ装置を提供することができる。
本発明の実施形態に係る液晶光学素子の断面図である。 図1の回折レンズ用電極のパターンを示す断面図である。 図1の球面収差補正用電極のパターンを示す断面図である。 図2に示した回折レンズ用電極の設定方法を説明するための図である。 図3に示した球面収差補正用電極の設定方法を説明するための図である。 図1の液晶光学素子を備えた光ピックアップ装置を示す図である。 従来の液晶光学素子を示す断面図である。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において、同一または相当要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図1は、本発明の実施形態に係る液晶光学素子5を示す断面図である。液晶光学素子5は透明基板10,20,30(第1,第2,第3基板)を含み、透明基板20を中心に透明基板30は透明基板20に対して透明基板10とは反対側に対向配置している。この光学素子5はレーザー光が往復する光路中に配置され(図6参照)、往路用補正部1と復路用補正部2を備えている。往路用補正部1は、シール材13で貼り合わせた透明基板10と透明基板20、及びその間隙に挟持した液晶層15を含んでいる。同様に復路用補正部2は、シール材23で貼り合わせた透明基板20と透明基板30、及びその間隙に挟持した液晶層25を含んでいる。
往路用補正部1では、透明基板10上に、球面収差を微調整するための球面収差補正用電極を含む透明電極11と配向膜12が形成され、透明基板20上に回折レンズ用電極を含む透明電極19と配向膜18が形成されている。なお往路用補正部1では、回折レンズ用電極と球面収差補正用電極との間に電圧を印加することによって往路光に対し球面収差補正を行う。透明基板20の延出部には複数の引き出し電極31が形成されている。なおこの引き出し電極31は透明電極19に含まれる。
復路用補正部2では、透明基板20の反対面に回折レンズ用のパターンを含む透明電極21と配向膜22が形成されており、透明基板30上に球面収差を微調整するための球面収差補正用電極を含む透明電極29と配向膜28が形成されている。なお復路用補正部2も、回折レンズ用電極と球面収差補正用電極の間に電圧を印加することによって復路光に対し球面収差補正を行う。なお、液晶層15の配向方向14は往路光の偏光方向と一致し、液晶層25の配向方向24は復路光の偏光方向と一致する。配向方向14,24は互いに直交している。透明基板20の延出部下面には複数の引き出し電極32が形成されている。なおこの引き出し電極32は透明電極21に含まれる。
図2は図1のA−A線に沿った断面図を示している。なおシール13の外側の領域は図示していない。透明電極19は、光軸を中心として同心円状に配列する円形透明電極19a、輪帯状透明電極19b〜hと、重ね合わせマーク用透明電極19iと、配線透明電極(図示せず)と、外部にある駆動用回路から駆動信号を受け取るための引き出し電極31(図示せず)とから構成されている。回折レンズ用電極は円形透明電極19aと輪帯状透
明電極19b〜hからなり、輪帯状透明電極19b〜hは周辺部にいくほど幅が狭くなっている。円形透明電極19a及び輪帯状透明電極19b〜hはパターンギャップで絶縁されており、配線透明電極によってシール13の外側に引き出され、引き出し電極31と接続する。このようにしてそれぞれの回折レンズ用電極19a〜h(以後、円形透明電極19aと輪帯状透明電極19b〜hを形状により区別する場合を除きこのように呼ぶ)には独立した電圧が印加できる。
図3は図1のB−B線に沿った断面図である。透明電極11は、中心から同心円状に配列した円形透明電極11a、輪帯状透明電極11b,11cと、重ね合わせマーク用透明電極11iと配線用透明電極(図示せず)から構成されている。円形透明電極11aおよび輪帯状透明電極11b,11cは、配線透明電極によってシール13まで引き出され、シール13で透明電極19側に移り引き出し電極31と接続をとることにより、球面収差補正用電極11a〜c(円形透明電極11aと輪帯状透明電極11b〜cを形状により区別する場合を除きこのように呼ぶ)へ別々の電圧が印加できる。
なお透明基板10,20を含むマザー基板は図示していない位置合わせマークを使い重ね合わせを行っているが、図のように液晶光学素子5内に重ね合わせマーク用透明電極11i,19iを作製しても良い。
図4は回折レンズ用電極19a〜hの形状を設定する方法を説明するための図であり、横軸が半径、縦軸が位相差である。パワー曲線68は球面収差補正するために必要なパワー形状となっている。この例ではパワーが2λ(λはレーザーの波長、位相角で4πラジアン)であり、凹レンズ型の曲線となっている。なお、一般的にパワーは半径の偶数のべき級数として下に示す式であらわされる。
φ=a×r+b×r+c×r・・・・・・・・・
(φは位相差、rは半径、a,b,c・・・・は定数)
図4に示すように、パワー曲線68は中心0から徐々に増加していく。ここで中心0から位相差が1λ以内の領域を半径領域61、位相差領域63とし、位相差が1λ〜2λの領域を半径領域62、位相差領域64とする。位相差領域63を4等分した直線とパワー曲線68が交差した点から横軸に垂線を下ろし、この垂線で仕切られる半径領域61のうち最も中心にある半径領域を円形透明電極19aの半径領域とし、外側に向かって順番に輪帯状透明電極19b〜dの半径領域とする。また、半径領域62おいても同様に位相差領域64を4等分するようにして輪帯状透明電極19e〜hの半径領域を決める。
次に電圧の印加方法について説明する。説明を簡単にするため液晶層15を挟んで対向する球面収差補正用電極11a〜cはグランドレベルであるものとする。パワー曲線68を得るためには円形透明電極19aに最も位相差が小さくなる電圧(位相差は0であり、例えば液晶分子が電圧無印加時に水平に配向する場合は一番高い電圧)を印加し、外側に向かって順番に輪帯状透明電極19b〜hに位相差が大きくなっていく電圧(輪帯状透明電極19hでは位相差は2λであり、例えば一番低い電圧)を印加する。しかしながらこの方法では2λの位相差を発生させるため液晶層15を厚くせざるを得ず、応答速度の低下や駆動電圧の増加を招いてしまう。
そこでパワー曲線68のかわりにパワー曲線69を採用する。パワー曲線69はパワー曲線68の半径領域62における位相差を1λ低くしたものである。つまり円形透明電極19aと輪帯状透明電極19eに印加する電圧を等しくし、同様に輪帯状透明電極19dと輪帯状透明電極19hに印加する電圧を等しくする。輪帯状透明電極19b,fは円形透明電極19aよりも位相差が0.25λ大きくなるように電圧を印加し、輪帯状透明電極19c,gは輪帯状透明電極19b,fに対して位相差が0.25λ大きくなるように
電圧を印加し、輪帯状透明電極19d,hは輪帯状透明電極19c,gに対して位相差が0.25λ大きくなるように電圧を印加する。パワー曲線69は凹レンズ型のフレネル回折レンズに相当するので、この様な電圧を印加することで2λ分のパワーを発生させることができるようになる。このパワーと非球面対物レンズとを組み合わせることによりレーザー波面の曲率を大きく変える球面収差補正ができるようになる。なお電圧範囲を維持したまま、円形透明電極19a、輪帯状透明電極19b〜hに前述とは異なった電圧を印加することで、回折レンズをパワーがλの凹レンズ、パワーの無い状態、パワーがλ、2λの凸レンズとすることができる。このようにλ単位でパワーを切替えることにより球面収差を大きく補正できる。
図5は球面収差補正用電極11a〜cの設定方法を説明するため図であり、横軸が半径、縦軸が位相差である。球面収差曲線78は、微調整の対象となる球面収差成分を光線に沿って足しあわせ、球面収差補正用電極11a〜c面に投影した球面収差量を示している。なお、図4のパワー曲線68,69は回折レンズが目指す結果であるのに対し、図5の球面収差曲線78はスポットを結ぶのに有害な球面収差成分、すなわち補正しようとする対象である。また説明を簡単にするため球面収差曲線78を1/2に圧縮するものとする。図に示すように、球面収差曲線78の位相差領域73を半分にするように位相差領域74と位相差領域75に分ける。これらの位相差領域74,75の境界線と球面収差曲線78との交点を通る垂線が横軸と交差するところが球面収差補正用電極11a〜cの境界となる。この結果、球面収差補正用電極11a〜cは、原点0を中心として同心円状に配列する円形透明電極11a、輪帯状透明電極11b,11cに分かれる。
次にこれらの球面収差補正用電極11a〜cに印加する電圧について説明する。なお、説明を簡単にするため回折レンズ用電極19a〜hはグランドレベルであるものとする。円形透明電極11aと輪帯状透明電極11cには位相差が発生しない電圧を印加する。この結果、円形透明電極11aと輪帯状透明電極11cが占める領域では球面収差曲線78は球面収差曲線79と一致し位相差領域75に収まる。これに対し輪帯状透明電極11bには、円形透明電極11a及び輪帯状透明電極11cよりも位相差が位相差領域74分だけ少なくなる(位相差を打ち消す)ように電圧を印加する。このように電圧を印加することで、元々存在していた球面収差曲線78は球面収差曲線79となり球面収差が半分に低減され、光ディスク上のスポットが鮮明になる。
これまでパワー発生の説明では回折レンズ用電極19a〜hに電圧を印加するとき球面収差補正用電極11a〜cをグランドレベルとし、球面収差の圧縮の説明では球面収差補正用電極11a〜cに電圧を印加するときに回折レンズ用電極19a〜hをグランドレベルにしていた。すなわち回折レンズが所望のパワーを得ることと、微調整用球面収差補正で有害な球面収差を抑圧することとを別々に説明してきた。しかしながら所望の球面収差補正を行なうにはパワー発生と微調整(抑圧等)が同時に必要になるから、回折レンズ用電極19a〜hと球面収差補正用電極11a〜cにそれぞれ所望の電圧を印加し、λ単位で切り換えられるパワー発生と、0〜λの補正に対応する微調整が同時にできるようにする。
復路光についても同様の補正ができる。図6を使って液晶光学素子5を適用した光ピックアップ装置とともにこの補正の様子を説明する。図6は液晶光学素子5を適用した光ピックアップ装置を示している。レーザー光源81から出射したレーザー光はコリメートレンズ82で平行光となり、偏光ビームスプリッタ83を通過して液晶光学素子5に入射する。駆動用回路41によって電圧を印加された液晶光学素子5の往路用補正部1はレーザー光の波面を変調し、平行ビームを発散させる(発散がパワー成分に相当し球面収差補正の微調整は図示していない)。このレーザー光が1/4λ位相差板85で円偏光となり非球面の対物レンズ86によって光ディスク87にスポットを結ぶ。
光ディスク87で反射したレーザー光は逆周りの円偏光となり、往路とは逆の経路を辿って非球面対物レンズ86に戻る。非球面対物レンズ86を出射したレーザー光は1/4λ位相差板85に入射し、ここで往路時の偏光方向とは90度回転した直線偏光となる。そして1/4λ位相差板85を出射したレーザー光は液晶光学素子5に入射する。このとき光ディスク87の樹脂層や対物レンズ86によってレーザー光には球面収差成分が与えられている。また液晶光学素子5の復路用補正部2に形成された透明電極21に含まれる回折レンズ用電極は、回折レンズ用電極19a〜hと同一パターンを有し平面的に重なっており、同様に透明電極29に含まれる球面収差補正用電極も球面収差補正電極11a〜cと同一パターンを有し平面的に重なっている。液晶層25の配向方向24と復路光の偏光方向とが一致しているため、復路光は復路用補正部2で往路光と同じ補正を受けるが、往路用補正部1は偏光方向が直交しているのでそのまま通過する。この結果、復路光は復路用補正部2で往路と同じ球面収差補正を受け平行ビーム化された平面波となる。このレーザー光は、偏光ビームスプリッタ83で光路を曲げ、マルチレンズ88によって光検出器89にスポットを結ぶ。
最後に本実施形態の液晶光学素子5の製造方法を説明する。透明基板10、20,30を含むマザーガラスの表面に、蒸着法あるいはスパッタリング法で透明導電膜を形成し、フォトリソ工程を経てこの透明導電膜のパターニングを行い、複数ブロックの透明電極11、19,21、29を形成する。なお透明基板20を含むマザーガラスは両面に複数ブロックの透明電極19,21を形成する。
往路用補正部1は、透明電極11,19を含む2枚のマザー基板の表面に配向膜12,18を含む配向膜を形成し、配向方向14に沿ってラビング処理する。その後、シール13を形成し、液晶層15の厚みを規定するためのスペーサー(図示せず)を噴霧する。最後に重ね合わせ用のアライメントマーク(図示せず)を使ってマザーガラス同士を貼り合わせる。復路用補正部2も同様に作製し、このあとシールを焼結する。3枚重ねのマザーガラスから複数ブロックの液晶光学素子5領域が一列に並んだ短冊を切り出し、液晶の注入とシールの封孔を行う。この短冊を切断し液晶光学素子5を得る。
一般に一枚のマザーガラス両面にパターンを形成するアライメントは、2枚のマザーガラスを重ね合わせる際のアライメントよりも精度がよい。本実施例は、マザーガラス段階で透明基板20の両面に強いパワーを発生する回折レンズ電極をパターニングしたことで、表裏の回折レンズ同士の位置合わせ精度を高くできるため、往路光と復路光の経路も高い精度で一致させることができる。
本実施形態の液晶光学素子5を光ピックアップ装置に用いると、回折レンズ用電極により大きく球面収差を補正する回折レンズ機能と、球面補正用電極による細かな球面収差を補正する球面収差補正機能を組み合わせることができるため、層間ジャンプを必要とする2層光ディスクや温度変化で球面収差が発生するプラスチック対物レンズに対して安定した読み書きが可能となる。なお本実施形態は復路用補正部2にも球面収差補正用電極を備えていたが、光検出器89上のスポットは光ディスク上のスポットより大きくてよいため球面収差の影響を受けにくいので、復路側の球面収差補正電極を省きこの領域をコモン電極とすることもできる。
なお、本発明に係る液晶表示装置は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、実施形態では回折レンズ機能と球面収差機能の組み合わせとなっているが、収差補正機能としてコマ収差や非点収差を追加してもよい。また、回折レンズの補正量は2λの例を示したが、λ単位で増やしたり減らしたりしても良い。球面収差を1/2に圧縮する例を示したが、球面収差補正電極をより細かく分割して圧縮率を大きくしてもよい。
1…往路用補正部、2…復路用補正部、5…液晶光学素子、10,20,30…透明基板(第1,第2,第3基板)、11、19、21、29…透明電極、11a〜11c…球面収差補正用電極(収差補正用電極)、19a〜h…回折レンズ用電極、12,18,22,28…配向膜、15,25…液晶層、14,24…液晶の配向方向、41…駆動用回路、61,62…領域、63,64,73,74,75…位相差領域、68,69…パワー曲線、78,79…球面収差曲線、81…レーザー光源、82…コリメートレンズ、83…偏光ビームスプリッタ、85…1/4λ位相差板、86…対物レンズ、87…光ディスク、88…マルチレンズ、89…光検出器。

Claims (5)

  1. レーザー光が往復する光路中に配置される液晶光学素子において、
    対向配置された第1及び第2基板間に液晶層を挟持し、回折レンズ機能及び収差補正機能を有する往路用補正部と、
    前記第2基板と、該第2基板に対して前記第1基板とは反対側に対向配置された第3基板との間に液晶層を挟持し、少なくとも回折レンズ機能を有する復路用補正部と、を備え、
    前記第2基板の両面に回折レンズ用電極がそれぞれ形成され、前記第1基板の前記液晶層側の面に収差補正用電極が形成されていることを特徴とする液晶光学素子。
  2. 前記第3基板の前記液晶層側の面に収差補正用電極が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の液晶光学素子。
  3. 前記収差補正機能が球面収差補正機能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の液晶光学素子。
  4. レーザー光を出射するレーザー光源と、
    前記レーザー光を光ディスクに集光する対物レンズと、
    前記光ディスクからの反射光を受光する受光器とを有する光ピックアップ装置であって、
    前記レーザー光の光路中に、位相差板と請求項1〜3のいずれか一項に記載の液晶光学素子とが備えられることを特徴とするピックアップ装置。
  5. 前記対物レンズがプラスチックレンズであることを特徴とする請求項4に記載のピックアップ装置。
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