JP4462384B2 - 光ヘッド装置 - Google Patents

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本発明は、光ディスクなどの光記録媒体の記録および/または再生を行う光ヘッド装置に関する。
近年、光ディスク装置が各種開発され使用されており、この光ディスク装置には光ヘッド装置が設けられている。この光ヘッド装置は、通常、光源である半導体レーザーから出射した光を対物レンズで光ディスクの記録面に集光し、その記録面での反射光を再び対物レンズで集め、検出光学系へと導く構成となっている。
ところで、この光ヘッド装置の対物レンズには、ガラスやプラスティックが用いられる。特にプラスティックレンズの場合、レンズ成型時に複屈折性が発生する。このリタデーションと遅相軸(光の進む速度が遅い(つまり、屈折率が高い)方位)のレンズ瞳内の分布を、図10と図11に模式的に示す。これらの図において、矢印の方向が遅相軸βの方向、矢印の長さがリタデーション値の大きさに対応する。図10および図11では、何れも、リタデーションは光軸付近では小さく周辺では大きくなり、遅相軸βの方向は光軸を中心に概ね回転対称となる。遅相軸βの向きは、プラスティック材料や成型条件を変えると、進相軸(光の進む速度が速い(つまり、屈折率が低い)方位)と遅相軸βが入れ替わることがあり、図10や図11のようなレンズが得られる。
このようなレンズに複屈折性がある場合、直線偏光の光を入射したときには、図12のような非点収差を発生する。これは、レンズ300を透過する光に対する屈折率がレンズ瞳径内で異なることにより光路長の差となり、このため非点収差が発生するものである。なお、この非点収差の方向は入射光の偏光方向を変えると変化する。
この非点収差を補正するために、例えばレンズ面形状により非点収差を発生させることにより、複屈折により発生する非点収差とキャンセルする方法などが提案されている。ここで、この複屈折により発生する非点収差は、入射光の偏光方向により変化する。一方、レンズ面形状で発生する非点収差は、偏光方向によっては変化しない。
特開平5−107467号公報
このような事情から、光ヘッド装置に前述のような複屈折性のある対物レンズを実装する際には、その対物レンズの向きを厳密に制御する必要があり、光ヘッド装置の組み立ての障害となっていた。ところが、光ヘッド装置での記録および/または再生用の光に円偏光を用いる場合には、非点収差は発生しない。しかしながら、この円偏光入射の際には、例えば図11のような複屈折性を有するレンズ100を透過後の光の偏光状態の1例を、図13に模式的に示したように、この光スポット400では、瞳面内の中心は円偏光状態γであるが、周辺ではほぼ直線に近い楕円偏光状態δへと変化する。また楕円偏光の長軸短軸の向きも面内で変化する。この偏光状態はレンズの持つリタデーションなどにより変化する。このように瞳面内に偏光状態の分布がある場合には、光ディスク面での集光スポット形状が劣化し、再生信号のジッターが劣化したり書き込み特性が劣化する問題があった。
また、近年、光ヘッド装置に用いる光の波長が短くなる傾向にあることで、同じリタデーション値の対物レンズでも、複屈折の影響が大きくなり問題となっている。さらに、光ディスク装置に高密度ディスクを使用すると、集光スポットに対して光ディスクのピットサイズが小さくなり、スポット形状のマージンが小さいことから、対物レンズの複屈折対策が重要課題となっている。このように、光ヘッド装置においては、対物レンズの複屈折による集光スポット形状改善の要求が生じている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、対物レンズの複屈折による集光スポット形状の劣化を改善できる光ヘッド装置を提供することを目的とする。
本発明は、光源と、前記光源から出射する出射光を光記録媒体上に集光させる対物レンズと、前記光源と前記対物レンズとの間に設けられた、光の偏光状態を変える位相板と、を備えた光ヘッド装置において、前記対物レンズは、複屈折性を有し、前記位相板は、複屈折媒質からなる複屈折性媒質層を有するとともに、前記複屈折媒質の複屈折量Δnと前記複屈折媒質層の厚さの積で表されるリタデーション値が、前記対物レンズのリタデーション値の分布をキャンセルする分布状態を有する光ヘッド装置を提供する。
本発明によれば、光ディスクの記録再生特性の向上に効果があり、特に対物レンズの複屈折による集光スポット形状改善の要求に対して効果がある光ヘッド装置を提供できる。
本発明の光ヘッド装置の一例を示す模式的図。 本発明における位相板の複屈折分布の一例を示す模式図。 本発明における位相板の複屈折分布の一例を示す模式図。 本発明における位相板の複屈折分布の一例を示す模式図。 本発明における位相板の一例を示す模式的断面図。 本発明における位相板に用いる基板形状の一例を示す模式図。 遅相軸方向が面内で変化する本発明における位相板の他の一例を示す模式図。 遅相軸方向が面内で変化する本発明における位相板のさらに他の例を示す模式図。 本発明における遅相軸方向の変化した位相板を形成するために組合せる2種の複屈折層であって、 (A)は遅相軸が45度で交差する一方の複屈折層の一例を示す模式図。 (B)は遅相軸が45度で交差する他方の複屈折層の一例を示す模式図。 プラスティック対物レンズの複屈折分布の一例を示す模式図。 プラスティック対物レンズの複屈折分布の一例を示す模式図。 プラスティック対物レンズの複屈折により発生する光の波面分布の一例を示す模式図。 図11に示す複屈折性を有するレンズ透過後の光の偏光状態の一例を示す模式図。
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施形態に係る光ヘッド装置を示すものである。この光ヘッド装置は、光源1からの出射光を光記録媒体である光ディスクD上に集光させ、この光ディスクDに情報を記録したり、光ディスクDの情報を再生したりするものであり、光源1と、コリメータレンズ2と、ビームスプリッター3と、1/4波長板4と、位相板5と、対物レンズ6と、光検出系7を備えている。
光源1には、例えば半導体レーザーを使用する。本実施形態の半導体レーザーは、波長λ(例えば、λ=405nm)のコヒーレント光を発振するものであるが、この半導体レーザーは、DVD用の例えば650nm帯やCD用の例えば780nm帯の光を発振するものであってもよいし、異なる波長の複数のレーザーを用いてもよい。
1/4波長板4は、使用しなくてもよいが、使用する場合には1/4波長板4以外の位相差をもつ波長板であってもよい。また、この1/4波長板4と位相板5とを張り合わせるなどー体化してもよく、このような構成にすれば、部品点数を削減できるので好ましい。さらに、本発明における位相板5と1/4波長板4などの均質な波長板のリタデーション値および遅相軸方向をベクトル的に合成して、ひとつの位相板とすることも可能であり、複屈折層を削減でき好ましい。例えば、中心付近のリタデ-ション値が0で、周辺で大きな値をもつ位相板5と1/4波長板4を合成すると、中心付近も1/4波長板相当のリタデーションと遅相軸方向を有するような位相板とすることができ、好ましい。
従って、本実施形態に係る光ヘッド装置によれば、半導体レーザーから出た光は、コリメータレンズ2、ビームスプリッター3、1/4波長板4、本発明における位相板5、および対物レンズ6を透過し、光ディスクDに集光される。この光ディスクDから反射された光は、対物レンズ6を透過し、位相板5、1/4波長板4、ビームスプリッター3で反射され光検出系7に導かれる。
次に、本発明における位相板5のリタデーション値(複屈折量Δnとその複屈折媒質の厚さdの積)の大きさと遅相軸方向の面内分布の具体例を、図2と図3に模式的に示した。ここで矢印の方向が遅相軸βの方向、矢印の長さがリタデーションの大きさに対応する。光源1から出射した光の光軸α中心付近ではリタデーション値は小さく周辺では大きくなり、図2の例では遅相軸βの方向は光軸αを中心とする同心円の接線方向に平行である。一方、図3の例では遅相軸βの方向は光軸αを中心とする同心円の接線方向に垂直である。
前述のように、対物レンズ6の材質にプラスティックを使用した場合には、レンズの成型時に複屈折が発生する。このリタデーション値と遅相軸βのレンズ瞳内の分布を模式的に示したものが、[背景技術]の欄で説明した図10と図11である。ここで、矢印の方向が遅相軸βの方向、矢印の長さがリタデーション値の大きさに対応する。
本発明では、この対物レンズ6のリタデーション値分布を、位相板5の有するリタデーション値分布でキャンセルさせることにより、光ディスクDの盤面上での光の集光スポット形状を改善させる。例えば、図10のようなレンズ100に複屈折性がある場合には、図3のようなリタデーション値分布を持つ位相板5(5A)を組み合わせ、図11のようなレンズ200に複屈折性がある場合には、図2のようなリタデーション値分布を持つ位相板5(5B)を組み合わせることで、対物レンズ6と位相板5とのリタデーションをキャンセル(相殺)できる。
また、本発明における位相板5のリタデーション値の面内分布は、図2や図3のように滑らかに変化させてもよいし、領域を分割して領域内は均一なリタデーション値と遅相軸方向分布として、領域ごとにリタデーション値や遅相軸の方向を変化させてもよい。また、各領域でリタデーション値または遅相軸の方向の一方のみを均一とし、他方を滑らかに変化させてもよい。この1例を、図4に模式図として示した。この図4において、位相板5(5C)は、領域A,B,C,Dの順に階段状にリタデーション値を大きくし、遅相軸βの方向は同心円状にした。
さらに、図7に位相板5の他の1例を複式的に示す。この位相板5Dは、同心円を放射状に分割した各領域の中が、リタデーション値の大きさ、方向とも均質で、領域ごとにリタデーション値、方向を変えた例である。
ところで、光ヘッド装置で使用する波長λの光に対する位相板5の位相差をφ(φ=360・△n・d/λ)で表すとき、直交した複屈折遅相軸をもつ領域の位相は−φとなり符号が逆転する。また、位相を360度の整数倍ずらせても等価である。このことを利用すると、遅相軸の方向は、遅相軸方向が直交した複屈折領域で代用することもできる。たとえば50度の領域は、遅相軸が直交する位相差310度と等価である。複式的に示すと図7の位相板5Dと図8の位相板5Eは等価となる。
また、あらゆる向きの遅相軸を示す複屈折媒質による、透過光の偏光状態の変化は、遅相軸が45度で交差する2つの複屈折媒質を重ね合わせることで、合成できる。つまり、遅相軸が45度で交差し、面内でリタデーション値が異なる2層の複屈折媒質を重ね合わせることで、所望の複屈折分布をもつ位相膜を実現できる。例えば、図9(A)と(B)の遅相軸βが45度で交差する複屈折合成層50A、50Bを積層することで、図7や図8と等価な位相板5D、5Eとなる。これにより、遅相軸の方向を面内で変化させることが難しい複屈折媒質を用いても、図2や図3のような遅相軸方向が面内で変化した位相板を実現できる。
本発明における位相板5は、複屈折媒質として、水晶やLiNbO3(ニオブ酸リチウム)のような複屈折のある単結晶を加工したり、複屈折性のある樹脂フィルムを加工したり、樹脂の射出成型品により作製してもよい。また、液晶を高分子化した高分子液晶を用いれば、液晶の配向方向を制御することで遅相軸方向を自由に設定できるので好ましい。
(I)次に、このリタデーション値分布の作製方法としては、複屈折媒質層の厚さに分布をつける方法や、複屈折媒質層の厚さを等しくしてリタデーション値を変える方法がある。そこで、複屈折媒質層として高分子液晶を用いる場合について、リタデーション値分布作製方法の具体例について説明する。
初めに、図5に示す模式的断面図を用いて、本発明における位相板5の構成を詳細に説明する。この位相板5は、透明な第1の基板51と、厚さ分布をつけて形成した複屈折媒質層である高分子液晶層52と、充填媒質層54と、第2の基板53とを積層させた構成となっている。
高分子液晶層52の厚さは、フォトリソグラフィーおよびエッティング工程で所望の分布に形成することもでき、第1の基板51に所定の凹凸をつけることで厚さを変えることも可能である。ここで、第1、第2の基板51、53は、ガラスやプラスティックを用いることができる。
複屈折媒質層である高分子液晶層52の凹凸部分の窪みは、この高分子液晶層52の常光屈折率noと異常光屈折率neのいずれか一方の値と等しいか、またはこの2つの屈折率間の屈折率を有する充填剤である充填媒質層54で充填されている。このため、高分子液晶層52の外面には高低差のないフラット面を形成している。このように、充填媒質層54の屈折率nは、高分子液晶層52の常光屈折率noと異常光屈折率neの間の屈折率値を選択することにより、透過した光の波面の乱れを抑えることができるので好ましい。特に、この充填媒質層54の屈折率nは、neまたはnoと一致させるか、neとnoの平均値にあわせることが一層好ましい。
また、この他に、リタデーション分布を作製する方法としては、高分子液晶52のチルト角の面内分布を作ることでも実現できる。ここで、チルト角とは、図5に示す位相板5の断面図において、液晶分子と基板のなす角を示す。例えば、リタデーションの小さな素子中心部ではチルト角を90度に近く、つまり液晶分子を基板51と垂直に近くすることで、透過する光に対しては複屈折量Δnを大きくすることができる。なお、リタデーションの値としては、対物レンズ6の複屈折量を補償する大きさが好ましく、周辺部の最もリタデーション値が大きい部分で、40nmから200nmが好ましい。さらには、40nmから100nmが好ましい。
(II)一方、遅相軸β方向の制御方法として、高分子液晶層52を用いる場合には、液晶の配向方向を決める配向膜を所望の方向(例えば同心円状)にラビングする方式や、配向膜を光配向する材料を用いて配向方向を制御する方法が使用できる。また、図5の第1の基板51の高分子液晶層52と接する面に、図6のような微小な凹凸溝51Aを作製し、その凹凸溝51Aの長手方向に液晶分子が配向しやすい性質を用いることで、配向方向を制御することもできる。このような凹凸溝51Aを多数同心円状に作製することで、図2のような同心円状の遅相軸分布を実現できる。また、放射状の多数の溝を作製することで図3のような放射状の遅相軸分布を実現することもできる。
この配向を制御する溝の深さd(図6参照)は、大きくなると光が散乱や回折をおこし迷光の発生や透過率の低下を招くために好ましくない。この散乱や回折を抑制するために、凹凸溝を形成した基板の屈折率naと高分子液晶の常光方向屈折率n。または異常光方向屈折率neとの差と、溝の深さdとの積
|no−na|・dおよび|ne−na|・d
は、前記光源からの光の波長λの10分の1以下であることが好ましく、特に20分の1以下、すなわち
|no−na|・d≦(1/20)λ
および
|ne−na|・d≦(1/20)λ
であることが好ましい。
また、基板の溝部の屈折率naと高分子液晶層の屈折率差は、高分子液晶層と基板との界面での反射、散乱、回折が小さくなるために小さいほうが好ましい。例えば、0.25以下が好ましく、さらに0.2以下が特に好ましい。すなわち、
|no−na|≦0.2および|ne−na|≦0.2
であることが、特に好ましい。
また、図1に示す光ヘッド装置に用いるビームスプリッター3は、光検出器7へ光を導く反射率の偏光依存性が大きいと、レンズ(ここでは、コリメータレンズ2と対物レンズ6)の複屈折が小さい場合にも、光ディスクDにある複屈折量分布により光ディスクDからの戻り光の偏光状態が変化する。この場合、光検出器7へ到達光量が変化するため、信号強度が変化し、再生特性の劣化を招く。そこで、このような場合には、本発明の位相板5を用いることで、戻り光量の変動を抑制できる。また、この場合、位相板5のリタデーション値の大きさや遅相軸の方向は、光軸を回転中心として180度回転した場合の対称性がないことがより好ましい。
次に、本発明の光ヘッド装置の実施例について、図1に示す模式図を参照しながら具体的に説明する。この実施例では、光源1として、波長(λ=405nm)を発振する半導体レーザーを用いた。この半導体レーザーから出た光は、コリメータレンズ2、ビームスプリッター3、1/4波長板4、本発明における位相板5、および対物レンズ6を透過し、光ディスクDに集光される。一方、光ディスクDで反射された光は、対物レンズ6を透過し位相板5、1/4波長板4、ビームスプリッター3で反射され、光検出系7に導かれる。ここで、用いる対物レンズ6はプラスティック製のレンズである。
ここで、この半導体レーザーとしては、DVD用の650nm帯やCD用の780nm帯の光を出射する半導体レーザーであってもよいし、異なる波長の複数のレーザー装置を用いてもよい。また、1/4波長板4は、使用しなくてもよいし、1/4波長板4以外の位相差をもつ波長板でもよい。また、本発明の1/4波長板4と位相板5とは、一体化することで部品点数を削減できるので好ましい。
対物レンズ6の複屈折性は、図11のような分布であって、中心付近はほとんど複屈折はなく、周辺ではリタデーション値が80nmであり、また、遅相軸βは放射状に分布している。なお、本発明の位相板5を用いない場合には、レンズ透過後の光に偏光状態分布が生じ、光ディスクD盤面上の集光スポット形状に悪影響を与え、スポット径が大きくなり、再生信号のジッターが劣化する。
次に、図5に示す本発明に係る位相板5について具体的に説明する。この位相板5は、透明な第1のガラス基板51に、所望の厚さ分布をつけて複屈折媒質で形成した(複屈折媒質層を構成する)高分子液晶層52を有し、この上に充填媒質層54を介して第2の基板53を積層している。高分子液晶層52は、所望の厚さ分布となるように、フォトリソグラフィーおよびエッティング工程で作製する。なお、充填媒質層54の屈折率は1.52とし、高分子液晶層52の常光屈折率noは1.52、異常光屈折率neは、1.57、第1、第2のガラス基板51、53の屈折率は1.52とする。
ここで、図5に示すように、第1の基板51の高分子液晶層52と接する面には、図6のような微小な凹凸溝51Aを作製することで、その凹凸溝51Aの長手方向に液晶が配向しやすい性質を用いて、液晶分子を配向させ、その状態で高分子化する。なお、凹凸溝51Aを多数同心円状に作製することで、図4のような同心円状の遅相軸分布を実現できる。
この図6において、基板51に屈折率1.47の薄膜を形成し、この薄膜をフォトリソグラフィーおよびエッティングの技術により液晶分子の配向を制御する凹凸溝51Aを作製する。この深さdは、80nmとする。この基板の凹凸溝51Aの屈折率naは1.47である。
基板51の溝部の屈折率naと高分子液晶層の屈折率差は、
|n。−na|=|1.52−1.47|
=0.05
および、
|ne−na|=|1.57−1.47|
=0.1
であり、十分に小さい。
また、凹凸溝部の基板の屈折率naと、高分子液晶の常光方向屈折率noおよび異常光方向屈折率neとの差と溝の深さdとの積
|n。−na|・dおよび|ne−na|・d
は、それぞれ、4nm(約(1/100)・λ)および8nm(約(1/50)・λ)と十分に小さく、界面の反射や散乱、回折が小さくなるために小さい。また、これらの素子でのリタデーション値の大きさの分布は、光の光軸の中心では複屈折量は小さく周辺では大きくする。この実施例では、中心はリタデーション値を0nmとし、周辺で80nmとする。
従って、この実施例の位相板5を用いることで、実際にレンズの複屈折をキャンセルすることができ、レンズ透過後の光の偏光状態分布が補正されるとともに、光ディスクD盤面上の集光スポット形状が改善され、再生信号のジッターも改善される。
本発明は、位相板での遅相軸方向とリタデーション値とのうち少なくとも一方が位相板の面内において分布が一様でなく、例えば位相板での遅相軸方向が光軸を中心に円周方向により異なり、または、リタデーション値が光軸を中心にして半径方向に異なることにより、対物レンズなどのリタデーションをキャンセルして記録および/または再生特性を向上させることができ、光ディスクなどの光記録媒体の記録および/または再生を行う光ヘッド装置として利用できる。
1 光源(半導体レーザー)
2 コリメータレンズ
3 ビームスプリッター
4 1/4波長板
5 位相板
6 対物レンズ
7 光検出系
50A、50B 複屈折合成層
51、53 基板
51A 凹凸溝
52 複屈折媒質層(高分子液晶層)
54 充填媒質層(充填剤)
D 光ディスク(光記録媒体)
α 光軸
β 遅相軸

Claims (1)

  1. 光源と、
    前記光源から出射する出射光を光記録媒体上に集光させる対物レンズと、
    前記光源と前記対物レンズとの間に設けられた、光の偏光状態を変える位相板と、を備えた光ヘッド装置において、
    前記対物レンズは、複屈折性を有し、
    前記位相板は、複屈折媒質からなる複屈折性媒質層を有するとともに、前記複屈折媒質の複屈折量Δnと前記複屈折媒質層の厚さの積で表されるリタデーション値が、前記対物レンズのリタデーション値の分布をキャンセルする分布状態を有する光ヘッド装置。
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